JP4418165B2 - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、封止用エポキシ樹脂成形材料及び半導体装置に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明はフリップチップ実装用のアンダーフィル材として好適な低反り性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料及び、及びこれにより封止された耐リフロー性、耐湿性等の信頼性が良好なフリップチップ実装型の半導体装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来から、トランジスタ、IC、LSI等の半導体素子を封止するパッケージングは生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流であり、樹脂としてエポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。
【0004】
先端分野の半導体装置として、従来インサートとして用いてきたリードフレームの代わりに、有機基板やセラミック基板等に素子を複数個搭載し、エポキシ樹脂成形材料を用い一括成形した後切り離すMAP(Mold Array Package)成形方式が確立された。この方法は、部材コストの低減と生産性の向上の面から、成形方式の主流になりつつある。
【0005】
一方、素子の高速化、多機能化の観点から、素子と配線のコネクターとして用いていたAu線の代わりに素子にはんだボールを取り付け、はんだボールを利用して配線板上のランドと接続させるフリップチップ実装と呼ばれる方法が開発された。はんだボールを付着させたチップは配線板上で位置合わせを行った後、リフローによってはんだが溶融し、セルフアライメントプロセスを経て電気的、機械的な接続が形成される。しかしながらフリップチップ実装は素子表面及びはんだボール部が外気に触れるため、著しく信頼性が低下してしまう。そのため先述のMAP成形方式と組み合わせて信頼性の向上、半導体の小型化・高速化と生産性の向上が検討されている。フリップチップ実装とMAP成形方式を組みあわせる上での問題点として、成形後の基板反り及び、個片切り離し後のパッケージ反りが挙げられる。基板反りは成形後の半導体個片への切り離し工程や、はんだバンプを取り付ける際に著しく支障をきたし、また、パッケージ反りは平坦性に乏しいことから、配線版への実装時に接続不良を起こしてしまう。
【0006】
これまで素子表面及びはんだボール部を封止する技術として、アンダーフィル材と呼ばれる液状樹脂を充填する方法が検討されていた(例えば特許文献1〜3、非特許文献1参照。)。しかし液状樹脂はエポキシ樹脂成形材料に比べ高コストであることと、樹脂硬化完了後の基板反りが発生しやすいことから、生産性向上を目的とした大型基板の封止に対応出来ないため、低コスト化と寸法安定性に優れるエポキシ樹脂成形材料の適用が検討され始めている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−260820号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2000−273287号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−380483号公報
【0010】
【非特許文献1】
表面実装評議会監修 「フリップチップおよび関連チップスケール技術の実際」 (株)産業科学システムズ出版 1998年9月30日発行、p87
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
固形タイプの封止用エポキシ樹脂成形材料を使用した真空方式の新規な成形技術がフリップチップのアンダーフィル用に開発されてきた。しかし従来の固形タイプの成形材料では充填性の向上の観点から、SMD用エポキシ樹脂成形材料よりも充填剤量を減らす手法がとられているため、エポキシ樹脂成形材料硬化後の収縮により、基板反り及びパッケージ反りが発生しやすい。
【0012】
従って本発明の目的は、フリップチップ実装用のアンダーフィル材として好適な充填性を維持しながら、封止後の基板反り及びパッケージ反りが低減される封止用エポキシ樹脂成形材料及びこれにより封止されたボイド等の成形不良や耐リフロー性、耐湿性等の信頼性が良好なフリップチップ実装型の半導体装置を提供しようとするものである。
【0013】
1つの好適な態様において、本発明によれば、フリップチップ実装型半導体装置の封止後の基板反りによって起こる生産上の不具合及び、パッケージ反りによって起こる配線版への実装不良が低減される封止用エポキシ樹脂成形材料が提供される。
【0014】
他の好適な態様において、本発明によれば、前記本発明に係る封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された、封止後の基板反りによって起こる生産上の不具合及び、パッケージ反りによって起こる配線版への実装不良が低減されるフリップチップ実装型半導体装置が提供される。
【0015】
【課題を解決するための手段】
発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の硬化物物性を有する半導体装置用の封止用エポキシ樹脂成形材料及びこれにより封止された半導体装置により上記の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は以下に関する。
【0017】
1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填剤を少なくとも含有する封止用固形エポキシ樹脂成形材料であって、前記封止用固形エポキシ樹脂成形材料は、TMA法に基づくガラス転移温度が150℃以上、JIS−K6911に基づく曲げ弾性率が19GPa以下、JIS−K6911に基づく成形収縮率が0.2%以下の条件を全て満たし、前記(A)エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択され、前記(B)硬化剤は、トリフェニルメタン型フェノール樹脂であり、シランカップリング剤としてγ−アニリノプロピルトリメトキシシランを含み、シリコーンとしてメチルフェニルシリコーンを含み、フリップチップ実装用アンダーフィル材に用いられる封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
2. 以下の(c1)、(d1)、(g1)の構成を1以上備える前記1記載の半導体装置に用いる封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
(c1)半導体チップの面積が25mm 2 以上である
(d1)封止材の総厚さが2mm以下である
(g1)一括成形方式の封止材成形面積が3000mm 2 以上である
3. 以下の(c2)、(d2)、(g2)の構成を1以上備える前記2記載の半導体装置に用いる封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
(c2)半導体チップの面積が50mm 2 以上である
(d2)封止材の総厚さが1.5mm以下である
(g2)一括成形方式の封止材成形面積が5000mm 2 以上である。
4. 半導体装置の反りが5.0mm以下である前記1〜3のいずれかに記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
5. 半導体装置の反りが2.0mm以下である前記1〜3のいずれかに記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
6. (A)エポキシ樹脂の150℃における溶融粘度が2ポイズ以下である前記1〜5のいずれかに記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
7. (B)硬化剤の150℃におけるICI粘度が2ポイズ以下である前記1〜6のいずれかに記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
8. (C)無機充填剤含有率がエポキシ樹脂成形材料に対して70〜90wt%である前記1〜7のいずれかに記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
9. (D)硬化促進剤をさらに含有する前記1〜8のいずれかに記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
10. 前記1〜9のいずれかに記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料により封止された半導体装置。
11. 以下の(c1)、(d1)、(g1)の構成を1以上を備える前記10記載の半導体装置。
(c1)半導体チップの面積が25mm 2 以上である
(d1)封止材の総厚さが2mm以下である
(g1)一括成形方式の封止材成形面積が3000mm 2 以上である
12. 以下の(c2)、(d2)、(g2)の構成を1以上備える前記11記載の半導体装置。
(c2)半導体チップの面積が50mm 2 以上である
(d2)封止材の総厚さが1.5mm以下である
(g2)一括成形方式の封止材成形面積が5000mm 2 以上である。
【0033】
【発明の実施の形態】
(エポキシ樹脂)
本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノ−ル類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
なかでも、充填性及び耐リフロー性の観点からはビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0035】
ビフェニル型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、スチルベン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、硫黄原子含有エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0036】
【化1】
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【化2】
(ここで、R1〜R8は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【化3】
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。)
【化4】
(ここで、R1〜R8は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(I)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4’−ビフェノール又は4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。
【0037】
上記一般式(II)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂はとしては、例えば、R1、R3、R6及びR8がメチル基で、R2、R4、R5及びR7が水素原子であり、n=0を主成分とするYSLV−80XY(新日鉄化学株式会社製商品名)が市販品として入手可能である。
【0038】
上記一般式(III)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、たとえば3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
上記一般式(IV)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R2、R3、R6及びR7が水素原子で、R1、R4、R5及びR8がアルキル基であるエポキシ樹脂が好ましく、R2、R3、R6及びR7が水素原子で、R1及びR8がt−ブチル基で、R4及びR5がメチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。このような化合物としては、YSLV−120TE(新日鐵化学社製)等が市販品として入手可能である。
【0040】
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0041】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0042】
【化5】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(V)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
【0043】
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0044】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0045】
【化6】
(ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記式(VI)中のR1としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。R2としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。
【0046】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0047】
ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0048】
【化7】
(ここで、R1〜R3は水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、l、mはそれぞれ0〜11の整数であって、(l+m)が1〜11の整数でかつ(l+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
上記一般式(VII)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
【化8】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0050】
上記のビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量はエポキシ樹脂全量に対して合わせて50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
【0051】
本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂の150℃における溶融粘度は、充填性の観点から2ポイズ以下が好ましく、1ポイズ以下がより好ましく、0.5ポイズ以下がさらに好ましい。ここで、溶融粘度とはICIコーンプレート粘度計で測定した粘度を示す。
【0052】
(硬化剤)
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のジクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
なかでも、難燃性の観点からはビフェニル型フェノール樹脂が好ましく、耐リフロー性及び硬化性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹脂が好ましく、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0054】
ビフェニル型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(IX)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【0055】
【化9】
上記式(IX)中のR1〜R9は全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基、及び、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、なかでも水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。
【0056】
上記一般式(IX)で示されるビフェニル型フェノール樹脂としては、たとえばR1〜R9が全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50重量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。このような化合物としては、MEH−7851(明和化成株式会社製商品名)が市販品として入手可能である。
【0057】
ビフェニル型フェノール樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0058】
アラルキル型フェノール樹脂としては、たとえばフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等が挙げられ、下記一般式(X)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が好ましく、一般式(X)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。これらのアラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0059】
【化10】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XI)
で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【0060】
【化11】
(ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0061】
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【0062】
【化12】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0063】
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでもフェノールノボラック樹脂が好ましい。ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0064】
上記のビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は硬化剤全量に対して合わせて60重量%以上とすることが好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0065】
本発明において用いられる(B)硬化剤の150℃における溶融粘度は、充填性の観点から2ポイズ以下が好ましく、1ポイズ以下がより好ましい。ここで、溶融粘度とはICI粘度を示す。
【0066】
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性及び耐リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0067】
(無機充填剤)
本発明において用いられる(C)無機充填剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上のために封止用エポキシ樹脂成形材料に配合されるものであり、たとえば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などが挙げられる。
【0068】
これらの無機充填剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、充填性、線膨張係数の低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、無機充填剤の形状は充填性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
【0069】
本発明において用いられる(C)無機充填剤はその平均粒径が15μm以下、比表面積が3.0〜6.0m2/gであることがファインピッチなバンプを有するフリップチップ実装のアンダーフィル用途の充填性を満足させる観点から好ましい。平均粒径はより好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。15μmを超えた場合はバンプで接合されたチップ/配線板の隙間にエポキシ樹脂成形材料が注入され難くなり、充填性が低下する。また比表面積はより好ましくは3.5〜5.5m2/g、さらに好ましくは4.0〜5.0m2/gである。3.0m2/g未満及び6.0m2/gを超えた場合はバンプで接合されたチップ/配線板の隙間中にボイドが発生し易くなり、充填性が低下する。
【0070】
また充填性の観点からは(C)無機充填剤の粗粒子分を篩にてカットしてもよい。この時53μm以上の(C)成分が0.5重量%以下であることが好ましく、30μm以上の(C)成分が0.5重量%以下であることがより好ましく、20μm以上の(C)成分が0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0071】
(C)無機充填剤の配合量は、充填性、信頼性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料に対して60〜95重量%が好ましい。70〜90重量%がより好ましく、75〜85重量%がさらに好ましい。60重量%未満であると耐リフロー性が低下する傾向にあり、95重量%を超えると充填性が低下する傾向にある。
【0072】
(カップリング剤)
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、樹脂成分と充項剤との接着性を高めるために、カップリング剤を配合することが好ましい。カップリング剤としては、本発明の効果を達成できる範囲内で必要に応じてカップリング剤を併用することができる。カップリング剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、1級アミノ基や2級アミノ基又は3級アミノ基を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、フェニルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
カップリング剤の全配合量は、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.037〜4.75重量%であることが好ましく、0.088〜2.3重量%であることがより好ましい。0.037質量%未満では配線板との接着性が低下する傾向があり、4.75質量%を超えると揮発分が多くなり、ボイド等充填性に関する成形不良が発生しやすくなる傾向があるとともにパッケージの成形性が低下する傾向がある。
【0074】
(2級アミノ基を有するシランカップリング剤)
上記カップリング剤の中でも、充填性の観点からは2級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0075】
2級アミノ基を有するシランカップリング剤は分子内に2級アミノ基を有するシラン化合物であれば特に制限はないが、たとえば、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリエトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0076】
なかでも充填性の観点からは、下記一般式(XIII)で示されるアミノシランカップリング剤が好ましい。
【0077】
【化13】
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜2のアルコキシ基から選ばれ、R2は炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基から選ばれ、R3はメチル基又はエチル基を示し、nは1〜6の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
上記一般式(XIII)で示されるアミノシランカップリング剤としては、たとえばγ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリエトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン等が挙げられる。特に好ましくは、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランである。
【0078】
2級アミノ基を有するシランカップリング剤の配合量は、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.037〜4.75重量%であることが好ましく、0.088〜2.3重量%であることがさらに好ましい。0.037重量%未満では流動性が低下し、ボイド等充填性に関する成形不良が発生しやすくなる傾向や、配線板との接着性が低下する傾向がある。4.75重量%を超えると揮発分が多くなり、ボイド等充填性に関する成形不良が発生しやすくなる傾向があるとともにパッケージの成形性が低下する傾向がある。
【0079】
(カップリング剤被覆率)
本発明においてカップリング剤を用いる場合、無機充填剤へのカップリング剤の被覆率は0.3〜1.0とすることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜0.9、より好ましくは0.5〜0.8の範囲とすることが都合がよい。カップリング剤の被覆率が1.0より大きい場合、成形時に発生する揮発分による気泡が増加して、薄肉部のボイドが発生しやすくなる傾向がある。また、カップリング剤の被覆率が0.3より小さい場合、樹脂と充填材との接着力が低下するため、成型品強度が低下する傾向がある。
【0080】
エポキシ樹脂組成物のカップリング剤被覆率Xは(xxx)式のように定義される。
【0081】
X(%)=Sc/Sf (xxx)
Sc及びSfは、それぞれエポキシ樹脂組成物における全カップリング剤の総最小被覆面積と全充填材の総表面積を表し、(yyy)式、(zzz)式で定義される。
【0082】
Sc=A1×W1+A2×W2+…+An×Mn(nは使用カップリング剤種数)(yyy)
Sf=B1×W1 +B2×W2+… +Bl×Wl(lは使用充填材種数) (zzz)
ここで、AとMはそれぞれ各カップリング剤の最小被覆面積およびその使用量、BとWはそれぞれ各充填材の比表面積およびその使用量を表す。
【0083】
(カップリング剤被覆率の制御方法)
エポキシ樹脂組成物に使用する各カップリング剤および無機充填剤それぞれの最小被覆面積および比表面積が既知であれば、(xxx)式、(yyy)式および(zzz)式より、目的のカップリング剤被覆率となるカップリング剤および充填材の使用量を算出することが可能である。
【0084】
(リン化合物)
充填性、難燃性の観点からは、本発明において、さらにリン化合物を配合してもよい。本発明において用いられるリン化合物としては特に制限はないが、耐湿信頼性の観点からリン酸エステル、ホスフィンオキサイドが好ましい。
【0085】
リン酸エステルはリン酸とアルコール化合物又はフェノール化合物のエステル化合物であれば特に制限はないが、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート及び芳香族縮合リン酸エステル等が挙げられる。なかでも耐加水分解性の観点からは、下記一般式(XIV)で示される芳香族縮合リン酸エステルが好ましい。
【0086】
【化14】
(ここで、式中の8個のRは炭素数1〜4のアルキル基を示し、全て同一でも異なっていてもよい。Arは芳香族環を示す。)
上記式(XIV)のリン酸エステルを例示すると、下記構造式(XV)〜 (XIX)で示されるリン酸エステル等が挙げられる。
【化15】
これらリン酸エステルの添加量は、充填剤を除く他の全配合成分に対して、燐原子の量で0.2〜3.0質量%の範囲内であることが好ましい。0.2質量%より少ない場合は充填性が低下し、ボイド等の成形不良が発生しやすくなる。また難燃効果が低くなる傾向がある。3.0質量%を超えた場合は成形性、耐湿性の低下や、成形時にこれらのリン酸エステルがしみ出し、外観を阻害する場合がある。
【0087】
ホスフィンオキサイドとしては下記一般式(XX)で示される化合物が好ましい。
【0088】
【化16】
(ここで、R1、R2及びR3は炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び水素原子を示し、すべて同一でも異なってもよい。ただしすべてが水素原子である場合を除く。)
上記一般式(XIII)で示されるリン化合物の中でも、耐加水分解性の観点からはR1〜R3が置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、特に好ましくはフェニル基である。
【0089】
ホスフィンオキサイドの配合量は封止用エポキシ樹脂成形材料に対してリン原子の量が0.01〜0.2重量%であることが必要である。好ましくは0.02〜0.1重量%であり、さらに好ましくは0.03〜0.08重量%である。0.01重量%未満であると難燃性が低下し、0.2重量%を超えると成形性、耐湿性が低下する。
【0090】
(硬化促進剤)
硬化性の観点からは、本発明において、さらに(D)硬化促進剤を配合することが好ましい。本発明において用いられる(D)硬化促進剤としては封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、たとえば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも充填性及び耐リフロー性の観点からは有機ホスフィンとキノン化合物との付加物が好ましい。
【0091】
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.005〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。0.005重量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、2重量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
【0092】
(難燃剤)
本発明には難燃性の観点から、さらに各種難燃剤を添加してもよい。難燃剤は封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル化物やブロム化フェノールノボラックエポキシ樹脂等のブロム化エポキシ樹脂。酸化アンチモン、赤リン及び前述のリン酸エステル等の燐化合物、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミン変性フェノール樹脂及びグアナミン変性フェノール樹脂等の含窒素化合物、シクロホスファゼン等の燐/窒素含有化合物、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、フェロセン、上記水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び複合金属水酸化物等の金属化合物などが挙げられる。
【0093】
近年の環境問題や高温放置特性の観点からは非ハロゲン、非アンチモン系の難燃剤が好ましい。なかでも充填性の観点からはリン酸エステルが好ましく、安全性、耐湿性の観点からは複合金属水酸化物が好ましい。
【0094】
複合金属水酸化物は下記組成式(XXI)で示される化合物が好ましい。
【0095】
p(M1aOb)・q(M2cOd)・r(M3cOd)・mH2O (XXI)
(ここで、M1、M2及びM3は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
なかでも、上記組成式(XXI)中のrが0である化合物、すなわち、下記組成式(XXIa)で示される化合物がさらに好ましい。
【0096】
m(M1aOb)・n(M2cOd)・l(H2O) (XXIa)
(ここで、M1及びM2は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、m、n及びlは正の数を示す。)
上記組成式(XXI)及び(XXIa)中のM1及びM2は互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、M1とM2が同一とならないようにM1が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、M1がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、M2が鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、M1がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルであることが好ましく、M1がマグネシウムでM2が亜鉛であることがより好ましい。
【0097】
上記組成式(XXI)中のp、q、rのモル比は本発明の効果が得られれば特に制限はないが、r=0で、p及びqのモル比p/qが99/1〜50/50であることが好ましい。すなわち、上記組成式(XXIa)中のm及びnのモル比m/nが99/1〜50/50であることが好ましい。
【0098】
なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期率表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。
【0099】
複合金属水酸化物の形状は特に制限はないが、流動性、充填性の観点からは、平板状より、適度の厚みを有する多面体形状が好ましい。複合金属水酸化物は、金属水酸化物と比較して多面体状の結晶が得られやすい。
【0100】
複合金属水酸化物の配合量は特に制限はないが、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.5〜20重量%が好ましく、0.7〜15重量%がより好ましく、1.4〜12重量%がさらに好ましい。0.5重量%未満では難燃性が不十分となる傾向があり、20重量%を超えると充填性及び耐リフロー性が低下する傾向がある。
【0101】
(加熱減量率)
エポキシ樹脂組成物の加熱減量率は0.25質量%以下が好ましいが、より好ましくは0.22質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下である。加熱減量率が0.25質量%を超えると、成形時に発生する揮発分による気泡が増加して、薄肉部のボイドが発生しやすくなる。
【0102】
(加熱減量率の定義)
重量Aの耐熱性容器に樹脂組成物を加えた重量W0を測定する。これを200℃雰囲気下にて1時間放置した後、容器と樹脂組成物の合計重量Wを測定する。このとき加熱減量率Yは次式により求まる。
【0103】
Y=100×(W0−W)/(W0−A)
(加熱減量率の制御方法)
加熱減量率測定時に発生する揮発成分は、主に水分とアルコール類である。従って、成形前エポキシ樹脂組成物の含水率低減、カップリング剤の最小必要量への最適化、揮発成分を生成し難いカップリング剤の使用等が有効である。
【0104】
本発明に係る封止用エポキシ樹脂成形材料について好ましい態様をいくつか挙げてさらに説明する。
【0105】
(第1の態様)
本発明に係る封止用エポキシ樹脂成形材料の第1の好ましい態様においては、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)及びその他の添加剤として用いる成分の組み合わせ及び配合量を調整することによって、フリップチップ実装型のアンダーフィル用封止用エポキシ樹脂成形材料を得ることができる。
【0106】
エポキシ樹脂成形材料のTMA法(示差膨張方式)に基づくガラス転移温度が150℃以上、JIS K6911に基づく曲げ弾性率が19GPa以下、JIS K6911に基づく成形収縮率が0.2%以下となる(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤及びその他の添加剤の選定とその配合量が特に重要である。
【0107】
(第2の態様)
本発明に係る封止用エポキシ樹脂成形材料の第2の好ましい態様においては、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、さらに任意成分としての(D)硬化促進剤の組み合わせ及びその他の添加剤として用いる成分の組み合わせ及び配合量を調整することによってフリップチップ実装型のアンダーフィル用封止用エポキシ樹脂成形材料を得ることができる。
【0108】
エポキシ樹脂成形材料のTMA法(示差膨張方式)に基づくガラス転移温度が150℃以上、JIS K6911に基づく曲げ弾性率が19GPa以下、JIS K6911に基づく成形収縮率が0.2%以下となる(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤及びその他の添加剤の選定とその配合量が特に重要である。
【0109】
ここで、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)無機充填剤の選定は以下の観点から行われることが好ましい。
【0110】
(A)エポキシ樹脂の選定においては150℃における溶融粘度が2ポイズ以下であるものを選択することが好ましく、1ポイズ以下であるものを選択することがより好ましい。(C)無機充填剤の配合割合が高い場合にこの選択は特に有効である。中でもビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂から選択される少なくとも1つ以上を使用することが充填性、信頼性の観点から好ましい。またフリップチップ実装型パッケージにおける反りを低減する観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1つ以上を使用することが好ましい。充填性と反りを両立するためにはビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂から選択される少なくとも1つ以上とナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1つ以上を併用することが好ましい。
【0111】
(B)硬化剤の選定においては150℃における溶融粘度は2ポイズ以下であるものを選択することが好ましく、1ポイズ以下であるものを選択することがより好ましい。(C)無機充填剤の配合割合が高い場合にこの選択は特に有効である。また成形性の観点から(A)エポキシ樹脂としてノボラック型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1つ以上を使用した場合、低吸湿性の観点からジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を選択した場合、耐熱性及び低反り性の観点からナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1つ以上を使用した場合も上記選択は特に有効である。
【0112】
(C)無機充填剤は平均粒径が15μm以下、比表面積が3.0〜6.0m2/gであるものを選択することが好ましく。その選定においては、平均粒径は15μm以下の範囲で、適用する本発明範囲のフリップチップ実装型半導体装置におけるバンプ高さ及びバンプピッチを考慮して注入可能な大きさのものを選択することが必要であるが、必要以上に小さいものを選択することは流動性が低下し、充填性が低下する。これを避けるためには比表面積が3.0〜6.0m2/gの範囲を満たすものを選択することが必要である。平均粒径、比表面積両者を上記範囲で満たすためには市販の無機充填剤2種以上を組み合せて調整することが有効である。
【0113】
さらには必要により(C)無機充填剤の粗粒子分を篩にてカットしてもよい。53μm以上の(C)成分が0.5重量%以下であることが好ましく、30μm以上の(C)成分が0.5重量%以下であることがより好ましく、20μm以上の(C)成分が0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0114】
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、IC等の半導体素子の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス等から選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、下記組成式(XXII)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
【0115】
Mg1-XAlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O・・・(XXII)
(0<X≦0.5、mは正の数)
さらに、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて配合することができる。
【0116】
(調製・使用方法)
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機、らいかい機、プラネタリミキサ等によって混合又は溶融混練した後、冷却し、必要に応じて脱泡、粉砕する方法等を挙げることができる。また、必要に応じて成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化してもよい。
【0117】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を封止材として用いて、半導体装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等も挙げられる。ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等を用いてもよい。充填性の観点からは減圧状態にて成形できる成形法が好ましい。
【0118】
(半導体装置)
続いて本発明の半導体装置について説明する。半導体装置の説明を介して本発明のエポキシ樹脂成形材料の好適な用途及び使用方法についても説明する。
【0119】
本発明の半導体装置としては、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス等の支持部材や実装基板に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したフリップチップ実装型の半導体装置などが挙げられる。
【0120】
ここで、前記封止用エポキシ樹脂成形材料としては、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いることが必須である。即ち(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填剤を少なくとも含有する封止用エポキシ樹脂成形材料であって、前記封止用エポキシ樹脂成形材料のTMA法に基づくガラス転移温度が150℃以上、JIS−K6911に基づく曲げ弾性率が19GPa以下、JIS−K6911に基づく成形収縮率が0.2%以下の条件の少なくとも1つの条件を満たす封止用エポキシ樹脂成形材料を用いることが必要である。上記条件を2つ以上満たすことがより好ましく、3つを全て満たすことがさらに好ましい。ガラス転移温度は、反りの観点から160℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。150℃未満であると反りが増大する傾向にある。曲げ弾性率は、反りの観点から18.5GPa以下が好ましく、18GPa以下がより好ましい。19GPaを超える場合は、反りが増大する傾向にある。また成形収縮率は、反りの観点から0.18%以下が好ましく、0.15%以下がより好ましい。0.2%を超える場合は反りが増大する傾向にある。
【0121】
上記封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて封止した半導体装置の反りは5.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることがさらに好ましい。5.0mmを超える場合は一括成形方式の半導体装置の場合、半導体装置個片への切り離し時の作業や配線版実装時の作業を損う傾向にある。
【0122】
前記実装基板としては特に制限するものではなく、たとえば、有機基板、有機フィルム、セラミック基板、ガラス基板等のインターポーザ基板、液晶用ガラス基板、MCM(Multi Chip Module)用基板、ハイブリットIC用基板等が挙げられる。
【0123】
本発明の半導体装置としては、それぞれ所定の値に規定された(a)フリップチップのバンプ高さ、(b)フリップチップのバンプピッチ、(c)半導体チップの面積、(d)封止材の総厚さ、(e)フリップチップのバンプ数及び(g)一括成形方式の封止材成形面積の構成を1以上備えるものが好ましい。
【0124】
具体的には以下の(a1)〜(g1)の構成を1以上備えるものが好ましい。
尚、本発明において「封止材の総厚さ」とはアンダーフィルタイプにあってはバンプ高さをいうものとする。
(a1)フリップチップのバンプ高さが150μm以下である
(b1)フリップチップのバンプピッチが500μm以下である
(c1)半導体チップの面積が25mm2以上である
(d1)封止材の総厚さが2mm以下である
(e1)フリップチップのバンプ数が100以上である
(g1)一括成形方式の封止材成形面積が3000mm2以上である
以下の(a2)〜(g2)の構成を1以上備えるものがより好ましい。
(a2)フリップチップのバンプ高さが100μm以下である
(b2)フリップチップのバンプピッチが400μm以下である
(c2)半導体チップの面積が50mm2以上である
(d2)封止材の総厚さが1.5mm以下である
(e2)フリップチップのバンプ数が150以上である
(g2)一括成形方式の封止材成形面積が5000mm2以上である。
【0125】
以下の(a3)〜(g3)の構成を1以上備えるものがさらに好ましい。
(a3)フリップチップのバンプ高さが80μm以下である
(b3)フリップチップのバンプピッチが300μm以下である
(c3)半導体チップの面積が80mm2以上である
(d3)封止材の総厚さが1.0mm以下である
(e3)フリップチップのバンプ数が200以上である
(g3)一括成形方式の封止材成形面積が7000mm2以上である。
【0126】
好ましい態様を挙げて半導体装置について説明したが、なかでも前記(a)〜(g)の構成を以下の組み合わせで備える半導体装置が特に好ましい。
【0127】
充填性の観点からは、構成(a)及び構成(b)の少なくとも一方を備える半導体装置が好ましい。より具体的には構成(a1)及び(b1)を備える半導体装置、構成(a1)及び(d1)を備える半導体装置、構成(a1)及び(c1)を備える半導体装置、構成(b)及び(d)を備える半導体装置、並びに構成(b1)及び(c1)を備える半導体装置が好ましい。さらに構成(a2)及び(b2)を備える半導体装置、構成(a2)及び(d2)を備える半導体装置、構成(a2)及び(c2)を備える半導体装置、構成(b2)及び(d2)を備える半導体装置、並びに構成(b2)及び(c2)を備える半導体装置が好ましい。さらにまた構成(a3)及び(b3)を備える半導体装置、構成(a3)及び(d3)を備える半導体装置、構成(a3)及び(c3)を備える半導体装置、構成(b3)及び(d3)を備える半導体装置、並びに構成(b3)及び(c3)を備える半導体装置が好ましい。
【0128】
また反りの観点からは、構成(c)、構成(d)及び構成(g)の少なくとも一つを備える半導体装置が好ましい。より具体的には構成(c1)及び(g1)を備える半導体装置、構成(c1)及び(d1)を備える半導体装置、構成(d1)及び(g1)を備える半導体装置が好ましい。さらに構成(c2)及び(g2)を備える半導体装置、構成(c2)及び(d2)を備える半導体装置、構成(d2)及び(g2)を備える半導体装置が好ましい。さらにまた構成(c3)及び(g3)を備える半導体装置、構成(c3)及び(d3)を備える半導体装置、構成(d3)及び(g3)を備える半導体装置が好ましい。
【0129】
このような半導体装置としては、たとえば、配線板やガラス上に形成した配線に、フリップチップボンディングで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)、COG(Chip On Glass)等のベアチップ実装した半導体装置、配線板やガラス上に形成した配線に、フリップチップボンディングで接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したハイブリッドIC、MCM(Multi Chip Module)マザーボード接続用の端子を形成したインターポーザ基板に半導体チップを搭載し、バンプにより半導体チップとインターポーザ基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で半導体チップ搭載側を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、これらの半導体装置は、実装基板上に素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の素子を一度に封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
【0130】
図1に本発明の半導体装置の一例を示すが、本発明の半導体装置はこれに限られるものではない。
【0131】
図1は、配線板1上にはんだバンプ2を用いて半導体チップ3を接続、固定した後、封止用エポキシ樹脂成形材料(封止材)4を用いて封止したフリップチップ型BGAを示し、図1の(x)は断面図(オーバーモールドタイプ)、(y)は上面図(一部透視図)を示す。
【0132】
図1に示される本発明の半導体装置は、半導体チップ3の面積cは25mm2以上であることが好ましく、50mm2以上であることがより好ましく、70mm2以上でることがさらに好ましい。
封止材4の総厚さdは2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましい。
一括成形方式の封止材成形面積gが3000mm2以上であることが好ましく、5000mm2以上であることがさらに好ましい。
【0133】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各封止用エポキシ樹脂成形材料及び半導体装置の評価は特記しない限り後に説明する評価方法に基づいて行った。
【0134】
〔封止用エポキシ樹脂成形材料の作製〕
以下に挙げる成分をそれぞれ表1〜表2に示す重量部で配合し、配合粉供給量200Kg/hの条件でニーダ混練を行い、封止用エポキシ樹脂成形材料1〜13を作製した。
【0135】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂として、エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートYX−4000H);エポキシ当量186、融点75℃のビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄化学株式会社製商品名YSLV−80XY);エポキシ当量245、融点110℃の硫黄原子含有エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製商品名YSLV−120TE);エポキシ当量195、軟化点65℃のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190)及びエポキシ当量170、軟化点70℃、150℃の溶融粘度3.1poiseのトリフェノールメタン型エポキシ樹脂(多官能型エポキシ樹脂)(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートE1032H)
(硬化剤)
硬化剤として軟化点70℃、水酸基当量175のフェノール・アラルキル樹脂(三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)、軟化点80℃、水酸基当量106のフェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製商品名H−1);軟化点83℃、水酸基当量103の多官能型フェノール樹脂(明和化成株式会社製商品名MEH―7500-3S)を用いた。
【0136】
(硬化促進剤)
硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンとp-ベンゾキノンの付加物(硬化促進剤)を用いた。
【0137】
(カップリング剤)
カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)、2級アミノ基を含有するシランカップリング剤(γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン(アニリノシラン))を用いた。
【0138】
(難燃剤)
難燃剤として三酸化アンチモン及び軟化点80℃、臭素含量48重量%のビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製商品名ESB−400T)を用いた。
【0139】
(シリコーン)
シリコーンとしてメチルフェニルシリコーン及びシリコーンゴムを用いた。
【0140】
(無機充填剤)
無機充填剤として平均粒径28μm、平均粒径20μm、平均粒径8μm、平均粒径0.5μmの球状溶融シリカを用いた。
【0141】
(その他の添加剤)
その他の添加剤として高級脂肪酸ワックス及びカーボンブラックを用いた。
【0142】
【表1】
【表2】
作製した封止用エポキシ樹脂成形材料1〜13の特性を、表に挙げた試験項目(スパイラルフロー、円板フロー、熱時硬度、曲げ弾性率、成形収縮率、ガラス転移温度)について評価を行った。結果を表3〜表4に示す。
【0143】
【表3】
【表4】
〔半導体装置1(フリップチップBGA)の作製〕
次に、封止用エポキシ樹脂成形材料1〜13を用いて、実施例1〜5、参考例1〜5及び比較例1〜3の半導体装置を作製した。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料による封止は、トランスファ成形機を用いて、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形後、180℃で5時間後硬化することにより行った。
【0144】
実施例1〜5、参考例1〜5(表5、6):絶縁ベース基材(ガラス布ーエポキシ樹脂積層板、日立化成製、商品名 E−679)上に微細配線パターンを形成し、半導体素子搭載側の金メッキ端子及び反対側の外部接続端子を除いた面に絶縁保護レジスト(太陽インキ製、商品名 PSR4000AUS5)を塗布した外形が縦40mm×横80mm×厚さ0.6mmの半導体素子搭載用基板を120℃、2時間乾燥後、縦9mm×横8mm×厚さ0.4mm(面積72mm2)、バンプ径145μm、バンプピッチ200μm、バンプ数160個の半導体素子をIRリフローにて260℃、10秒の条件でリフロー処理を行って実装した。実装後のバンプ高さは110μmであった。次に、封止用エポキシ樹脂成形材料1〜4、7及び9〜13を用いて、半導体素子搭載面を縦30mm×横70mm×厚さ0.8mmの寸法に上記条件で真空トランスファ成形し、実施例1〜5、参考例1〜5のフリップチップBGA装置を作製した。
【0145】
比較例1〜3(表7):封止用エポキシ樹脂成形材料5、6及び8を用い、実施例1〜5、参考例1〜5と同様にして、比較例1〜3の半導体装置を作製した。
【0146】
【表5】
【表6】
【表7】
〔半導体装置2(フリップチップBGA)の作製〕
次に、封止用エポキシ樹脂成形材料1〜13を用いて、実施例6〜10、参考例6〜10及び比較例4〜6の半導体装置を作製した。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料による封止は、トランスファ成形機を用いて、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形後、180℃で5時間後硬化することにより行った。
【0147】
実施例6〜10、参考例6〜10(表8、9):絶縁ベース基材(ガラス布ーエポキシ樹脂積層板、日立化成製、商品名 E−679)上に微細配線パターンを形成し、半導体素子搭載側の金メッキ端子及び反対側の外部接続端子を除いた面に絶縁保護レジスト(太陽インキ製、商品名 PSR4000AUS5)を塗布した外形が縦50mm×横100mm×厚さ0.6mmの半導体素子搭載用基板を120℃、2時間乾燥後、縦9mm×横8mm×厚さ0.4mm(面積72mm2)、バンプ径145μm、バンプピッチ200μm、バンプ数160個の半導体素子をIRリフローにて260℃、10秒の条件でリフロー処理を行って実装した。実装後のバンプ高さは110μmであった。次に、封止用エポキシ樹脂成形材料1〜4、7及び9〜13を用いて、半導体素子搭載面を縦40mm×横90mm×厚さ0.8mmの寸法に上記条件で真空トランスファ成形し、実施例6〜10、参考例6〜10のフリップチップBGA装置を作製した。
【0148】
比較例4〜6(表10):封止用エポキシ樹脂成形材料5、6及び8を用い、実施例6〜10、参考例6〜10と同様にして、比較例4〜6の半導体装置を作製した。
【0149】
【表8】
【表9】
【表10】
〔半導体装置3(フリップチップBGA)の作製〕
次に、封止用エポキシ樹脂成形材料1〜13を用いて、実施例11〜15、参考例11〜15及び比較例7〜9の半導体装置を作製した。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料による封止は、トランスファ成形機を用いて、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形後、180℃で5時間後硬化することにより行った。
【0150】
実施例11〜15、参考例11〜15(表11、12):絶縁ベース基材(ガラス布ーエポキシ樹脂積層板、日立化成製、商品名 E−679)上に微細配線パターンを形成し、半導体素子搭載側の金メッキ端子及び反対側の外部接続端子を除いた面に絶縁保護レジスト(太陽インキ製、商品名PSR4000AUS5)を塗布した外形が縦60mm×横120mm×厚さ0.6mmの半導体素子搭載用基板を120℃、2時間乾燥後、縦9mm×横8mm×厚さ0.4mm(面積72mm2)、バンプ径145μm、バンプピッチ200μm、バンプ数160個の半導体素子をIRリフローにて260℃、10秒の条件でリフロー処理を行って実装した。実装後のバンプ高さは110μmであった。次に、封止用エポキシ樹脂成形材料1〜4、7及び9〜13を用いて、半導体素子搭載面を縦50mm×横110mm×厚さ0.8mmの寸法に上記条件で真空トランスファ成形し、実施例11〜15、参考例11〜15のフリップチップBGA装置を作製した。
【0151】
比較例7〜9(表13):封止用エポキシ樹脂成形材料5、6及び8を用い、実施例11〜15、参考例11〜15と同様にして、比較例7〜9の半導体装置を作製した。
【0152】
【表11】
【表12】
【表13】
作製した実施例1〜15、参考例1〜15及び比較例1〜9の半導体装置の基板反り量の試験により評価し、ガラス転移点、曲げ弾性率、成形収縮率、半導体素子成形時の充填性との比較を行った。評価結果を表14〜17に示す。
【0153】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
TMA法 (示差膨張方式)に基づくガラス転移温度が150℃以上、JIS K6911に基づく曲げ弾性率が19GPa以下、JIS K6911に基づく成形収縮率が0.2%以下の条件のいずれも満たさないエポキシ樹脂成形材料5、6及び8で封止した比較例1〜9は、いずれも基板反りが大きく、また成形時の充填性も良好ではない。
【0154】
これに対し、上記条件全てを満たすエポキシ樹脂成形材料1〜4及び11で封止した実施例1〜15は基板反りが2.0mm以下と特に良好であり、また成形時の充填性もボイドの発生が少なく特に良好である。
【0155】
〔評価方法〕
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料をトランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形し、流動距離(inch)を求めた。
【0156】
(2)円板フロー
200mm(W)×200mm(D)×25mm(H)の上型と200mm(W)×200mm(D)×15mm(H)の下型を有する円板フロー測定用平板金型を用いて、精秤した試料(封止用エポキシ樹脂成形材料)5gを180℃に加熱した下型中心部にのせ、5秒後に、180℃に加熱した上型を閉じて、荷重78N、硬化時間90秒の条件で圧縮成形し、ノギスで成形品の長径(mm)及び短径(mm)を測定して、その平均値(mm)を円板フローとした。
【0157】
(3)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂成形材料を金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形し、直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
【0158】
(4)曲げ弾性率
JIS K6911に準じた曲げ試験片成形用金型を用いて、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形した後、180℃で5時間後硬化を行い、JIS K6911記載の曲げ試験法に従って曲げ弾性率を測定した。
【0159】
(5)成形収縮率
JIS K6911に準じた成形収縮率測定用金型を用いて、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形した後、180℃で5時間後硬化を行い、JIS K6911記載の成形収縮率試験法に従って成形収縮率を測定した。
【0160】
(6)ガラス転移温度
20mmx4mmx4mmの試験片が作製される金型を用い、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形した後、180℃で5時間後硬化を行った後、(株)マックサイエンス製 TMA装置(TSC1000)を用い、TMA法(示差膨張方式)によりガラス転移温度及び熱膨張係数を測定した。
【0161】
(7)基板反り量
水平で平滑な面に樹脂成形後のフリップチップBGA基板を置き、基板の長手方向の一端を50gの分銅で固定し、もう一端の平滑な面からの浮き寸法を金尺を用いて1/10mmまで読み取る。
【0162】
(8)成形時の充填率
超音波探査映像装置(日立建機社製HYE−HOCUS型)を用いて、半導体装置の透視観察を行って、封止面積に対する充填されている面積の割合(面積%)を算出し、評価した。
【0163】
【発明の効果】
本発明になるフリップチップ実装用の封止用エポキシ樹脂成形材料はアンダーフィル材として要求される低反り性を有し、良好な流動特性を示すため、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体装置(フリップチップBGA)のオーバーモールド一括封止(MAP成形)後の(x)断面図及び(y)上面図である。
【符号の説明】
1:配線板
2:はんだバンプ
3:半導体チップ
4:封止材
Claims (12)
- (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填剤を少なくとも含有する封止用固形エポキシ樹脂成形材料であって、
前記封止用固形エポキシ樹脂成形材料は、TMA法に基づくガラス転移温度が150℃以上、JIS−K6911に基づく曲げ弾性率が19GPa以下、JIS−K6911に基づく成形収縮率が0.2%以下の条件を全て満たし、
前記(A)エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択され、
前記(B)硬化剤は、トリフェニルメタン型フェノール樹脂であり、
シランカップリング剤としてγ−アニリノプロピルトリメトキシシランを含み、
シリコーンとしてメチルフェニルシリコーンを含み、
フリップチップ実装用アンダーフィル材に用いられることを特徴とする封止用固形エポキシ樹脂成形材料。 - 以下の(c1)、(d1)、(g1)の構成を1以上備える半導体装置に用いる請求項1に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
(c1)半導体チップの面積が25mm2以上である
(d1)封止材の総厚さが2mm以下である
(g1)一括成形方式の封止材成形面積が3000mm2以上である - 以下の(c2)、(d2)、(g2)の構成を1以上備える半導体装置に用いる請求項2に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
(c2)半導体チップの面積が50mm2以上である
(d2)封止材の総厚さが1.5mm以下である
(g2)一括成形方式の封止材成形面積が5000mm2以上である。 - 半導体装置の反りが5.0mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
- 半導体装置の反りが2.0mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
- (A)エポキシ樹脂の150℃における溶融粘度が2ポイズ以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
- (B)硬化剤の150℃におけるICI粘度が2ポイズ以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
- (C)無機充填剤含有率がエポキシ樹脂成形材料に対して70〜90wt%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
- (D)硬化促進剤をさらに含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の封止用固形エポキシ樹脂成形材料により封止された半導体装置。
- 以下の(c1)、(d1)、(g1)の構成を1以上を備える請求項10記載の半導体装置。
(c1)半導体チップの面積が25mm2以上である
(d1)封止材の総厚さが2mm以下である
(g1)一括成形方式の封止材成形面積が3000mm2以上である - 以下の(c2)、(d2)、(g2)の構成を1以上備える請求項11記載の半導体装置。
(c2)半導体チップの面積が50mm2以上である
(d2)封止材の総厚さが1.5mm以下である
(g2)一括成形方式の封止材成形面積が5000mm2以上である。
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