JP7135278B2 - 封止用樹脂組成物及び電子装置の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、低応力剤を封止用樹脂組成物に添加する場合、封止用樹脂組成物と、基材との密着性が低下する不都合があった。さらに、低応力剤を封止用樹脂組成物に添加する場合、例えば、マルチチップ・スタックドCPSなどのチップが多段に積層された電子装置を作製した際、チップ間の隙間への充填性が低下してしまうという不都合があった。
以上より、電子装置における基材の反りの低減と、封止用樹脂組成物の密着性及び充填性とは、トレードオフの関係にあった。そこで、本発明は、電子装置における基材の反りを低減し、かつ、密着性及び充填性をバランスよく発現する封止用樹脂組成物を提供することを課題とする。
以上より、本発明者らが、特定の構造のシランカップリング剤と、低応力剤とを特定の数値範囲で封止用樹脂組成物に添加することを見出し、本発明は完成した。
エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
充填材と、
シランカップリング剤と、
低応力剤と、を含み、
前記シランカップリング剤は、下記一般式(1)で表され、
封止用樹脂組成物中の前記シランカップリング剤の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上2.0質量%以下であり、
前記低応力剤が、分子構造中にエポキシ基およびポリエーテル基を含むシリコーンオイルを含み、
前記低応力剤の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、3.0質量%以上7.0質量%以下であり、
封止用樹脂組成物中の前記充填材の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、80質量%以上95質量%以下であり、
前記充填材のレーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される体積基準の累積50%粒径D50が、0.1μm以上7.0μm以下であり、
前記封止用樹脂組成物を、175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物について、前記硬化物の25℃における曲げ弾性率をE[GPa]とし、前記硬化物のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数をα1[10-5/℃]としたとき、下記(式)で算出されるストレスインデックスが2[10-5×GPa/℃]以上25[10-5×GPa/℃]以下である、
封止用樹脂組成物が提供される(前記エポキシ樹脂が、下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂を含有する封止用樹脂組成物を除く。)。
(式)(ストレスインデックス)=(ガラス転移温度以下の線膨張係数α1)×(曲げ弾性率E)
複数のAは、それぞれ独立して炭素数1以上30以下の有機基を表す。複数のAは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。複数のAのうち少なくとも一つは炭素数1以上30以下のアルコキシ基である。)
(上記一般式(2)において、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 は各々水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~4のアルキル基から選ばれた基を示す。)
基材上に電子部品を配設する配設工程と、
上記封止用樹脂組成物を用いて、電子部品を封止する封止工程と、を含む、電子装置の製造方法が提供される。
複数のAは、それぞれ独立して炭素数1以上30以下の有機基を表す。複数のAは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。複数のAのうち少なくとも一つは炭素数1以上30以下のアルコキシ基である。)
しかしながら、上記低応力剤を封止用樹脂組成物に添加する場合、封止用樹脂組成物の表面に低応力剤が分散してしまう。これにより、封止用樹脂組成物と、基材との密着性が低下してしまうという不都合があった。
さらに、低応力剤は、封止用樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂などの低応力剤以外の成分と比べて、粘りが強い。これにより、封止用樹脂組成物が低応力剤を含有する場合、低応力剤を含有しない場合と比べて、封止用樹脂組成物が高粘度になってしまう。ここで、マルチチップ・スタックドCPSなどのチップが多段に積層された電子装置ではチップ間の隙間が、例えば10μmと狭い。このような、狭い隙間に封止用樹脂組成物を充填する場合、封止用樹脂組成物が高粘度だと充填が不完全になってしまうという不都合があった。
以上より、電子装置における基材の反りの低減と、封止用樹脂組成物の密着性及び充填性とは、トレードオフの関係にあった。
上記特定の構造のシランカップリング剤の分子鎖は、封止用樹脂組成物が硬化時に形成する架橋構造に組み込まれると推測される。シランカップリング剤の分子鎖は、架橋構造中で柔軟なセグメントとして振る舞うと考えられる。これにより、封止用樹脂組成物が硬化する際に生じる内部応力を、上記柔軟なセグメントが緩和し、基材の反りを低減できると考えられる。
また、上記特定のシランカップリング剤のうち、上記架橋構造に組み込まれず遊離している上記特定のシランカップリング剤のアルコキシシリル基は、基材表面に存在するヒドロキシル基と縮合すると考えられる。これにより、封止用樹脂組成物の基材に対する密着性を向上できると考えられる。
さらに、上記特定のシランカップリング剤の分子鎖が、封止用樹脂組成物の架橋構造に組み込まれることで、封止用樹脂組成物の成形時の粘度の上昇を抑制できると推測される。これにより、封止用樹脂組成物の充填性を向上できると考えられる。
以上より、本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、電子装置における基材の反りを低減し、かつ、密着性及び充填性をバランスよく発現できると推測される。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂としては限定されず、その分子量、分子構造に関係なく、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を使用することが可能である。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等に例示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、これらの中から1種を単独で用いてよいし、異なる2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、上記具体例のうち、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂及び多官能エポキシ樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を用いることが好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂または多官能エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。これにより、詳細なメカニズムは定かではないが、シランカップリング剤の分子鎖が、封止用樹脂組成物の架橋構造内に、より適切に組み込まれると推測される。したがって、基材の反りを低減することができ、充填性を向上できる。
また、封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量の上限値は、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、例えば、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。詳細なメカニズムは定かではないが、これにより、線膨張係数が小さくできると推測される。したがって、封止用樹脂組成物が硬化する際の内部応力を低減し、基材の反りを低減できる。
なお、本実施形態において、封止用樹脂組成物の全固形分とは、溶媒を除く全含有成分の合計を示す。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、硬化剤を含む。封止用樹脂組成物に含まれる硬化剤としては、具体的には、重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプがある。
フェノール樹脂系硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は限定されない。
硬化剤として用いられるフェノール樹脂系硬化剤は、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック、フェノール-ビフェニルノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール;トリフェニルメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、等のビスフェノール化合物などが挙げられる。フェノール樹脂系硬化剤としては、上記具体例の中から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
フェノール樹脂系硬化剤としては、上記具体例のうち、ノボラック型フェノール樹脂及び多官能型フェノール樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を含むことが好ましい。
また、ノボラック型フェノール樹脂としては、上記具体例のうち、フェノールノボラック樹脂を用いることが好ましい。多官能型フェノール樹脂としては、上記具体例のうち、トリフェニルメタン型フェノール樹脂を含むことが好ましい。これにより、成形時における流動性を向上させることができる。したがって、充填性を向上させることができる。
また、封止用樹脂組成物中の硬化剤の含有量の下限値は、例えば、封止用樹脂組成物の全固形分に対して0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、封止樹脂組成物の硬化速度を適切に調整することができる。したがって、局所的な硬化反応の進行により、内部応力が上昇するのを抑制できる。
充填材としては、電子装置に求められる機械的特性に応じて適切な充填材を選択できる。
充填材としては、具体的には、無機充填材または有機充填材などが挙げられる。充填材としては、上記具体例のうち、無機充填材を含むことが好ましい。これにより、封止用樹脂組成物の熱膨張係数を低減することができる。
無機充填材としては、上記具体例のうち、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカ、タルク、チタンホワイト、窒化珪素及びアルミナからなる群より選択される1種または2種以上を含むことが好ましく、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ及び結晶性シリカからなる群より選択される1種または2種以上を用いることがより好ましい。これにより、詳細なメカニズムは定かではないが、シランカップリング剤が無機充填材と好適に相互作用し、シランカップリング剤の封止用樹脂組成物中での分散性を向上できると推測される。したがって、シランカップリング剤の分子鎖が、より適切に架橋構造中に組み込まれ、内部応力を低減できる。以上より、基材の反りを低減できる。
また、封止用樹脂組成物中の充填材の含有量の上限値は、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、例えば、95質量%以下であることが好ましく、94質量%以下であることがより好ましく、93質量%以下であることが好ましい。これにより、封止用樹脂組成物の粘度が上昇しすぎることを抑制し、充填性を向上できる。
また、充填材の体積基準の累積50%粒径D50の下限値は、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることが更に好ましい。これにより、粒子が凝集し、粗大な充填材を形成することを抑制できる。
これは、同体積かつ同形状の充填材の場合、充填材の粒径が小さくなるほど比表面積は増大し、粒子は増大しやすくなるためである。
なお、充填材の体積基準の累積50%粒径D50は、例えば、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所社製、SALD-7000)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定し、その累積50%粒径によって求めることができる。
シランカップリング剤は、アルコキシ基などの加水分解基を備え、ケイ素原子を含む化合物である。
本実施形態に係るシランカップリング剤の構造式は、下記一般式(1)で表される。
複数のAは、それぞれ独立して炭素数1以上30以下の有機基を表す。複数のAは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。複数のAのうち少なくとも一つは炭素数1以上30以下のアルコキシ基である。)
水素及び炭素以外の原子としては、具体的には、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、フッ素原子、塩素原子などが挙げられる。水素及び炭素以外の原子としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
なお、R1は、1価の有機基である。ここで、1価の有機基とは、原子価のことを示す。すなわち、R1が他の原子と結合する結合手が1個であることを示す。
R1としては、上記具体例のうち、アリール基であることが好ましい。また、R1としては、アリール基のうち、フェニル基であることが好ましい。これにより、詳細なメカニズムは定かではないが、エポキシ樹脂がベンゼン環などの芳香環を備える場合、R1のフェニル基と、エポキシ樹脂の芳香環が適切に配位することで、エポキシ樹脂と、シランカップリング剤とが引き合う相互作用をすると推測される。これにより、シランカップリング剤を介して、エポキシ樹脂と、基材のヒドロキシル基との間に密着する相互作用が発現し、密着性を向上できる。
なお、R2は、2価の有機基である。ここで、2価の有機基とは、原子価のことを示す。すなわち、R2が他の原子と結合する結合手が2個であることを示す。
アルキレン基としては、例えば、直鎖形状のアルキレン基でもよく、分岐鎖形状のアルキレン基でもよい。直鎖形状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。分岐鎖形状のアルキレン基としては、具体的には、-C(CH3)2-、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-などのアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2CH2-などのアルキルエチレン基などが挙げられる。
アリーレン基としては、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、及び、2個またはそれ以上のアリーレン基同士が結合したものなどが挙げられる。
上記具体例のうち、R2としては、例えば、アルキレン基であることが好ましい。また、R2としては、アルキレン基のうち、直鎖形状のアルキレン基であることがより好ましい。これにより、架橋構造に適切な柔軟性を付与できる。したがって、封止用樹脂組成物の硬化時の曲げ弾性率の増加を抑制しつつ、ガラス転移温度以下の熱膨張係数を低減できる。したがって、内部応力を低減し、基材の反りを低減できる。
なお、Aは、1価の有機基である。ここで、1価の有機基とは、原子価のことを示す。すなわち、Aが他の原子と結合する結合手が1個であることを示す。
シランカップリング剤としては、上記具体例のうち、例えば、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを用いるのがより好ましい。
また、封止用樹脂組成物中のシランカップリング剤の含有量の上限値は、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、例えば、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1.2質量%以下であることが好ましい。これにより、架橋構造に寄与できなかったシランカップリング剤が封止用樹脂組成物中に過度に分散し、密着性及び充填性が低下することを抑制できる。
封止用樹脂組成物中のシランカップリング剤の含有量の上限値は、後述する低応力剤100質量%に対して、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、27質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが一層好ましく、23質量%以下であることが殊更好ましい。これにより、詳細なメカニズムは定かではないが、適切な架橋構造を形成し、曲げ弾性率の上昇を抑制しつつ、熱膨張係数を低下することができると推測される。したがって、内部応力を低減し、基材の反りを低減できる。
低応力剤としては、具体的には、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の上述したシランカップリング剤とは異なるシリコーン化合物;ポリブタジエン化合物;アクリロニトリルブタジエン共重合化合物などを挙げることができる。低応力剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
低応力剤としては、上記具体例のうち、例えば、シランカップリング剤とは異なるシリコーン化合物を用いることが好ましい。また、シランカップリング剤とは異なるシリコーン化合物としては、シリコーンオイルを用いることが好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、具体的には、オルガノポリシロキサンなどを挙げることができる。ここで、オルガノポリシロキサンとしては、その構造中にエポキシ基、アミノ基、メトキシ基、フェニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルキル基、ビニル基、メルカプト基などの官能基を導入したものを用いてもよい。オルガノポリシロキサンがその構造中に導入する官能基としては、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、ポリエーテル基が好ましい。また、上記シリコーンオイルの市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のFZ-3730、BY-750などが挙げられる。
また、封止用樹脂組成物中の低応力剤の含有量の上限値は、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、例えば、7.0質量%以下であることが好ましく、6.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることが好ましい。これにより、密着性及び充填性が低下するのを抑制し、基材の反りの低減と、密着性及び充填性とをバランスよく発現することができる。
封止用樹脂組成物中には、必要に応じて、流動性付与剤、離型剤、イオン捕捉剤、硬化促進剤、着色剤及び難燃剤等の各種添加剤のうち一種または二種以上を適宜配合することができる。
流動性付与剤は、リン原子含有硬化促進剤などの潜伏性を有さない硬化促進剤が、樹脂組成物の溶融混練時に反応することを抑制できる。これにより、封止用樹脂組成物の生産性を向上できる。
流動性付与剤としては、具体的には、カテコール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン及びこれらの誘導体などの芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物などが挙げられる。
離型剤としては、具体的には、カルナバワックスなどの天然ワックス;モンタン酸エステルワックス、酸化ポリエチレンワックスなどの合成ワックス;ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩、パラフィンなどが挙げられる。離型剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
上記イオン捕捉剤は、具体的には、ハイドロタルサイト類;マグネシウム、アルミニウム、ビスマス、チタン、ジルコニウムから選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられる。イオン捕捉剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
硬化促進剤としては、具体的には、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7などのジアザビシクロアルケン及びその誘導体;トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどのアミン系化合物;2-メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;ベンゾキノンをアダクトしたトリフェニルホスフィンなどが挙げられる。硬化促進剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
着色剤としては、具体的には、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタンなどを挙げることができる。着色剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
難燃剤としては、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼン、カーボンブラックなどを挙げることができる。難燃剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
次に、本実施形態に係る封止用樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物の製造方法は、例えば、上述した原料成分を混合して混合物を作製する混合工程(S1)と、次いで、混合物を成形する成形工程(S2)とを含む。
混合工程は、原料成分を混合し、混合物を作製工程である。混合する方法は限定されず、用いられる成分に応じて、公知の方法を用いることができる。
混合工程としては、具体的には、上述した封止用樹脂組成物が含む原料成分を、ミキサーなどを用いて均一に混合する。次いで、ロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、混合物を作製する。
上述した混合工程(S1)に、次いで、混合物を成形する成形工程(S2)を行う。
成形する方法としては限定されず、封止用樹脂組成物の形状に応じて、公知の方法を用いることができる。封止用樹脂組成物の形状としては、例えば、顆粒形状、粉末形状、タブレット形状、シート形状などが挙げられる。
また、粉末形状とした封止用樹脂組成物を作製する成形工程としては、例えば、混合物を粉砕し顆粒形状の封止用樹脂組成物とした後、該顆粒形状の封止用樹脂組成物をさらに粉砕する工程が挙げられる。
また、タブレット形状とした封止用樹脂組成物を作製する成形工程としては、例えば、混合物を粉砕し顆粒形状の封止用樹脂組成物とした後、該顆粒形状の封止用樹脂組成物を打錠成型する工程が挙げられる。
また、シート形状とした封止用樹脂組成物を作製する成形工程としては、例えば、溶融混練後、混合物を押出成形またはカレンダー成形する工程が挙げられる。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物を、175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物について、前記硬化物の25℃における曲げ弾性率をE[GPa]とし、前記硬化物のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数をα1[10-5/℃]としたとき、下記(式)でストレスインデックスが算出される。
(式)(ストレスインデックス)=(ガラス転移温度以下の線膨張係数α1)×(曲げ弾性率E)
ストレスインデックスの上限値としては、例えば、25[10-5×GPa/℃]以下であることが好ましく、15[10-5×GPa/℃]以下であることがより好ましく、5[10-5×GPa/℃]以下であることがさらに好ましい。これにより、詳細なメカニズムは定かではないが基材の反りを低減できる。
また、ストレスインデックスの下限値としては、例えば、2[10-5×GPa/℃]以上であり、3[10-5×GPa/℃]以上である。これにより、封止用樹脂組成物を硬化した時に適切な機械的強度を保つ。
そこで、本発明者らは、本実施形態に係る封止用樹脂組成物について、密着性を維持することを前提に、ストレスインデックスを低減し、上述した特定の数値範囲内とする方法について検討した。その結果、封止用樹脂組成物が含有する、上述した特定の構造のシランカップリング剤の添加量を適切に選択することで、曲げ弾性率Eの上昇を抑制しつつ、ガラス転移温度以下の線膨張係数α1を低下できる、すなわち、ストレスインデックスの値を低減できることを見出した。
本実施形態にかかる封止用樹脂組成物は、電子装置において、基材上に配設された電子部品を封止する封止部材に用いられる。すなわち、本実施形態に係る電子装置は、基材上に配設された電子部品と、前記電子部品を封止する封止部材と、を備える電子装置であって、封止部材が、上述した封止用樹脂組成物の硬化物で構成されるものである。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、基材の反りを低減できることから、上記具体例のうち、大面積の基材を用いるWLPまたはMAPに好適に用いることができ、WLPにより好適に用いることができる。
本実施形態に係る電子装置の製造方法について説明する。
本実施形態に係る電子装置の製造方法は、例えば、基材上に電子部品を配設する配設工程と、上述した封止用樹脂組成物を用いて、電子部品を封止する封止工程と、を含む。
配設工程では、基材上に電子部品を配設する。
配設工程で配設される電子部品の数は限定されず、例えば、基材上に1個の電子部品を配設してもよく、基材上に複数の電子部品を配設してもよい。
配設工程では、例えば、ウエハなどの基材上に電子回路などの電子部品を形成してもよく、有機基材などの基材上に半導体素子などの電子部品を配置してもよい。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、充填性に優れるため、例えば、複数のチップをスタックさせて配置する場合に好適に用いることができる。
封止工程では、上述した封止用樹脂組成物を用いて、電子部品を封止する。これにより、上述した封止部材を封止用樹脂組成物の硬化物で形成することができる。
封止する方法としては、具体的には、トランスファー成形法、圧縮成形法、インジェクション成形などが挙げられる。これらの方法により、封止用樹脂組成物を、成形し、硬化させることにより封止部材を形成することができる。本実施形態の封止用樹脂組成物は、大面積の基材を封止する場合に好適に用いることができる。
図1はWafer Level Package(:WLP)の電子装置の製造方法の一例である。
図2は、Mold Array Package(:MAP)の電子装置の製造方法の一例である。
図3は、Fan-Out型Packageの電子装置の製造方法の一例である。
なお、配設工程として、例えば、回路面の上にバンプを形成してもよい。また、封止工程として、封止材層を削って、封止材層からバンプを露出させてもよい。さらに、封止工程の後、配線工程として、バンプに半田ボールを接続してもよい。
まず、配設工程として、例えば、図1(a)に示すように、ウエハなどの基材10上に、図示しない複数の電子部品を配設する。これにより、回路面21を形成する。次いで、例えば、図1(b)に示すように、回路面21の上に、後述する半田ボールと、電子部品とを電気的に接続するために、メタルポストなどのバンプ22を形成する。
次いで、封止工程として、例えば、図1(c)に示すように、上述した回路面21を覆うように封止用樹脂組成物を用いて封止し、封止材層30を形成する。次いで、例えば、図1(d)に示すように、封止材層30を削ることで、封止材層30からバンプ22を露出させる。なお、封止材層30を形成する際に、図1(d)に示すように、バンプ22が露出するように封止材層30を形成する場合、封止材層30は削らなくてもよい。
次いで、配線工程として、例えば、図1(e)に示すように、バンプ22に半田ボール96を接続する。
次いで、個片化工程として、例えば、図1(f)に示すように、封止材層30及び基材10をダイシングブレード、レーザーなどで切断し、電子装置50を得る。なお、個片化する電子装置50に接続されるバンプ22及び半田ボール96の数は限定されず、電子装置50の種類に応じて設定することができる。
まず、配設工程として、例えば、図2(a)に示すように、ウエハなどの基材10を準備する。次いで、例えば、図2(b)に示すように、基材10の上に複数の電子部品20を、互いに離間するように基材上に配設する。なお、配設する方法としては、電子部品20の種類に応じた公知の方法を用いることができ、例えば、接着剤を用いて配設してもよい。
次いで、封止工程として、例えば、図2(c)に示すように、隣接する電子部品の間に存在する間隙を埋設し、さらに、全ての電子部品の表面を覆うように封止用樹脂組成物を用いて電子部品を封止し、封止材層30を形成する。
次いで、個片化工程として、例えば、図2(d)に示すように、電子部品20の間隙に存在する封止材層30及び基材10をダイシングブレード、レーザーなどで切断し、電子装置50を得る。なお、個片化する電子装置50に接続される電子部品20の数は限定されず、電子装置50の種類に応じて設定することができる。
なお、剥離工程の後、再配線絶縁樹脂層、ビアホール、ビア、再配線回路、半田ボール、ソルダーレジスト層などを形成する配線工程を行ってもよい。さらに、配線工程の後、封止材層を切断し電子装置を個片化する個片化工程を行ってもよい。
まず、配設工程として、例えば、図3(a)に示すように、犠牲材70の剥離層71の上に、複数の電子部品20を、互いに離間するように配設する。なお、剥離層71としては、例えば、接着力の低い接着剤を用いてもよく、発泡剤を含む樹脂を用いてもよい。これにより、後述する剥離工程にて、剥離層71と、電子部品20及び封止材層30とを剥離することができる。
次いで、封止工程として、例えば、図3(b)に示すように、隣接する電子部品の間に存在する間隙を埋設し、さらに、剥離層71及び全ての電子部品20の表面を覆うように封止用樹脂組成物を用いて電子部品を封止し、封止材層30を形成する。
次いで、剥離工程として、例えば、図3(c)に示すように、剥離層71を剥離する。剥離の方法は、例えば、加熱処理、電子線照射、紫外線照射などにより、熱発泡性粘着剤からなる剥離層71を発泡させることで行うことができる。また、剥離層71が、接着色の低い接着剤からなる場合、発泡などを行わずに剥離工程を行うことができる。
次いで、配線工程として、例えば、図3(d)に示すように、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサイド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などからなる再配線用絶縁樹脂層80を形成する。再配線用絶縁樹脂層80はフォトリソグラフィー法等を用いてパターンを形成し、硬化処理を行うことで形成される。なお、再配線用絶縁樹脂層80には、ビアホール82を形成してもよい。
さらに、配線工程として、例えば、図3(e)に示すように、再配線用絶縁樹脂層80の全面に給電層をスパッタ等の方法で形成した後、給電層の上にレジスト層を形成し、所定のパターンに露光、現像後、電解銅メッキにてビア92、再配線回路94を形成する。次いで、レジスト層を剥離し、給電層をエッチングする。さらに、例えば、図3(f)に示すように、配線工程として、再配線回路94に半田ボール96を搭載する。次いで、再配線回路94及び半田ボール96の一部を覆うようにソルダーレジスト層98を形成する。
次いで、個片化工程として、例えば、図3(g)に示すように、封止材層30、再配線用絶縁樹脂層80及びソルダーレジスト層98を切断し電子装置50を個片化する個片化工程を行ってもよい。ここで、電子装置50に含まれる電子部品20の数は限定されず、電子装置50の種類に応じて設定することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
[1] エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
充填材と、
シランカップリング剤と、
低応力剤と、を含み、
前記シランカップリング剤は、下記一般式(1)で表され、
封止用樹脂組成物中の前記シランカップリング剤の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、0.4質量%以上2.0質量%以下であり、
前記低応力剤の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、1.0質量%以上7.0質量%以下である、封止用樹脂組成物。
複数のAは、それぞれ独立して炭素数1以上30以下の有機基を表す。複数のAは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。複数のAのうち少なくとも一つは炭素数1以上30以下のアルコキシ基である。)
[2] [1]に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記封止用樹脂組成物を、175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物について、前記硬化物の25℃における曲げ弾性率をE[GPa]とし、前記硬化物のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数をα1[10 -5 /℃]としたとき、下記(式)で算出されるストレスインデックスが2[10 -5 ×GPa/℃]以上25[10 -5 ×GPa/℃]以下である、封止用樹脂組成物。
(式)(ストレスインデックス)=(ガラス転移温度以下の線膨張係数α1)×(曲げ弾性率E)
[3] [1]または[2]に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記低応力剤は、前記シランカップリング剤とは異なるシリコーン化合物である、封止用樹脂組成物。
[4] [1]から[3]のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
封止用樹脂組成物中の前記充填材の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、60質量%以上95質量%以下である、封止用樹脂組成物。
[5] [1]から[4]のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
前記充填材は、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカ、タルク、チタンホワイト、窒化珪素及びアルミナからなる群より選択される1種または2種以上を含む、封止用樹脂組成物。
[6] 基材上に電子部品を配設する配設工程と、
[1]から[5]のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物を用いて、電子部品を封止する封止工程と、を含む、電子装置の製造方法。
[7] [6]に記載の電子装置の製造方法であって、
前記配設工程において、複数の前記電子部品を、互いに離間するように前記基材上に配設し、
前記封止工程において、隣接する前記電子部品の間に存在する間隙を埋設し、さらに、全ての前記電子部品の表面を覆うように前記封止用樹脂組成物を用いて前記電子部品を封止し、
前記封止工程の後、前記間隙を埋設した前記封止用樹脂組成物、及び、前記基材を切断し、電子装置を個片化する個片化工程を含む、電子装置の製造方法。
[8] [6]に記載の電子装置の製造方法であって、
前記配設工程において、前記基材上に複数の電子部品を配設することで、回路面を形成し、
前記封止工程において、前記回路面を覆うように前記封止用樹脂組成物を用いて封止し、
前記封止工程の後、前記基材の前記回路面を覆う前記封止用樹脂組成物、及び、前記基材を切断し、電子装置を個片化する個片化工程を含む、電子装置の製造方法。
[9] [6]に記載の電子装置の製造方法であって、
前記基材は、剥離層を備えており、
前記配設工程において、複数の前記電子部品を、互いに離間するように前記基材の前記剥離層上に配設し、
前記封止工程において、隣接する前記電子部品の間に存在する間隙を埋設し、さらに、前記剥離層及び全ての前記電子部品の表面を覆うように前記封止用樹脂組成物を用いて前記電子部品を封止し、
前記封止工程の後、前記電子部品及び前記剥離層を覆う封止用樹脂組成物から、剥離層を剥離する剥離工程と、を含む、電子装置の製造方法。
・エポキシ樹脂1:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YX-4000K)
・エポキシ樹脂2:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(三菱化学社製、E-1032H60)
・硬化剤1:下記式(C1)で表される2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE910-20)
・硬化剤2:フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製、PR-55617)
・充填材1:溶融球状シリカ(龍森社製、MUF-4V、体積基準の累積50%粒径D50:3.8μm)
・シランカップリング剤1:下記式(S1)で表されるN-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、CF-4083)
・低応力剤1:下記式(L1)で表されるシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、FZ-3730)
各実施例及び比較例のそれぞれについて、以下のように封止用樹脂組成物を調製した。
まず、表1に示す配合に従い、各成分をミキサーによって粉砕混合した後、80℃で5分間ロール混練した。次いで、これを冷却し、粉砕して封止用樹脂組成物を得た。
表1中における各成分の詳細は上述したとおりである。なお、表1に示す各成分の配合割合は、全て質量部を指す。
各実施例及び比較例の封止用樹脂組成物について、硬化物を作製した。
まず、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、長さ80mm×幅10mm×厚み4mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で熱処理し、硬化物を作製した。
各実施例及び比較例の封止用樹脂組成物について、ガラス転移温度(Tg)以下の線膨張係数α1を評価した。評価方法について以下に説明する。
上述した硬化物について、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、温度範囲0℃から320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行い、ガラス転移温度Tg以下の線膨張係数α1を評価した。なお、ガラス転移温度Tg以下の線膨張係数α1の単位は[10-5/℃]である。評価結果を下記表1に示す。
各実施例及び比較例の封止用樹脂組成物について、曲げ弾性率Eを評価した。評価方法について以下に説明する。
上述した硬化物について、テンシロン試験機を用いて、25℃における曲げ弾性率EをJIS K 6911に準じて評価した。なお、曲げ弾性率Eの単位はGPaである。評価結果を下記表1に示す。
各実施例及び比較例の封止用樹脂組成物について、ガラス転移温度Tg以下の線膨張係数α1と、曲げ弾性率Eから、下記式によってストレスインデックスを算出した。算出したストレスインデックスを下記表1に示す。なお、ストレスインデックスの単位は[10-5×GPa/℃]である。
(式) (ストレスインデックス)=(ガラス転移温度Tg以下の線膨張係数α1)×(曲げ弾性率E)
各実施例及び比較例の封止用樹脂組成物について、シリコンウエハを封止した際の反り量を評価した。評価方法を以下に説明する。
厚み0.7mm、直径200mmのシリコンウエハの回路面に対し、金型温度150℃、成形圧力6MPa、硬化時間5分の条件で、成形樹脂厚0.8mmとなるように封止用樹脂組成物を圧縮成形し、ウエハレベルパッケージ(Wafer level Package:WLP)を得た。得られたウエハレベルパッケージを樹脂面が上となるように平面上に静置し、ウエハレベルパッケージの最高位置と最低位置の高さの差を評価した。ここで、該高さの差が最低値となるようにウエハレベルパッケージの角度を調製したときの、該高さの差を反り量とした。評価結果を下記表1に示す。なお、反りの単位はmmである。
各実施例及び比較例の封止用樹脂組成物について、基材に対する密着強度を評価した。評価方法を以下に説明する。
まず、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、ケイ素(Si)薄板上と、窒化ケイ素(SiN)薄板上とに長さ4mm×幅4mm×厚み4mmの密着強度試験片を作製した。次いで、自動せん断強度測定装置(DAGE社製、PC2400)を用いて、基板を固定し、密着強度試験片が基板から剥離する際のせん断応力を密着強度として評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
なお、評価は、温度25℃と、温度260℃の条件でそれぞれ行った。また、密着強度の単位はN/mm2である。
各実施例及び比較例の封止用樹脂組成物について、充填性を評価した。評価方法を以下に説明する。
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、KTS-15)をインサート成形に転用して、ANSI/ASTM D 3123-72に準じたスパイラルフロー測定用金型に、温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件で封止用樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。なお、表1中におけるスパイラルフローの単位はcmである。
なお、スパイラルフローは流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。
20 電子部品
21 回路面
22 バンプ
30 封止材層
50 電子装置
70 犠牲材
71 剥離層
80 再配線用絶縁樹脂層
82 ビアホール
92 ビア
94 再配線回路
96 半田ボール
98 ソルダーレジスト層
Claims (7)
- エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
充填材と、
シランカップリング剤と、
低応力剤と、を含み、
前記シランカップリング剤は、下記一般式(1)で表され、
封止用樹脂組成物中の前記シランカップリング剤の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上2.0質量%以下であり、
前記低応力剤が、分子構造中にエポキシ基およびポリエーテル基を含むシリコーンオイルを含み、
前記低応力剤の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、3.0質量%以上7.0質量%以下であり、
封止用樹脂組成物中の前記充填材の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、80質量%以上95質量%以下であり、
前記充填材のレーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される体積基準の累積50%粒径D50が、0.1μm以上7.0μm以下であり、
前記封止用樹脂組成物を、175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物について、前記硬化物の25℃における曲げ弾性率をE[GPa]とし、前記硬化物のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数をα1[10-5/℃]としたとき、下記(式)で算出されるストレスインデックスが2[10-5×GPa/℃]以上25[10-5×GPa/℃]以下である、封止用樹脂組成物(前記エポキシ樹脂が、下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂を含有する封止用樹脂組成物を除く。)。
(式)(ストレスインデックス)=(ガラス転移温度以下の線膨張係数α1)×(曲げ弾性率E)
複数のAは、それぞれ独立して炭素数1以上30以下の有機基を表す。複数のAは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。複数のAのうち少なくとも一つは炭素数1以上30以下のアルコキシ基である。)
- 請求項1に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記低応力剤は、前記シランカップリング剤とは異なるシリコーン化合物である、封止用樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記充填材は、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカ、タルク、チタンホワイト、窒化珪素及びアルミナからなる群より選択される1種または2種以上を含む、封止用樹脂組成物。 - 基材上に電子部品を配設する配設工程と、
請求項1から3のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物を用いて、電子部品を封止する封止工程と、を含む、電子装置の製造方法。 - 請求項4に記載の電子装置の製造方法であって、
前記配設工程において、複数の前記電子部品を、互いに離間するように前記基材上に配設し、
前記封止工程において、隣接する前記電子部品の間に存在する間隙を埋設し、さらに、全ての前記電子部品の表面を覆うように前記封止用樹脂組成物を用いて前記電子部品を封止し、
前記封止工程の後、前記間隙を埋設した前記封止用樹脂組成物、及び、前記基材を切断し、電子装置を個片化する個片化工程を含む、電子装置の製造方法。 - 請求項4に記載の電子装置の製造方法であって、
前記配設工程において、前記基材上に複数の電子部品を配設することで、回路面を形成し、
前記封止工程において、前記回路面を覆うように前記封止用樹脂組成物を用いて封止し、
前記封止工程の後、前記基材の前記回路面を覆う前記封止用樹脂組成物、及び、前記基材を切断し、電子装置を個片化する個片化工程を含む、電子装置の製造方法。 - 請求項4に記載の電子装置の製造方法であって、
前記基材は、剥離層を備えており、
前記配設工程において、複数の前記電子部品を、互いに離間するように前記基材の前記剥離層上に配設し、
前記封止工程において、隣接する前記電子部品の間に存在する間隙を埋設し、さらに、前記剥離層及び全ての前記電子部品の表面を覆うように前記封止用樹脂組成物を用いて前記電子部品を封止し、
前記封止工程の後、前記電子部品及び前記剥離層を覆う封止用樹脂組成物から、剥離層を剥離する剥離工程と、を含む、電子装置の製造方法。
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