JP3982325B2 - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、封止用エポキシ樹脂成形材料、特に環境対応の観点から要求されるノンハロゲンかつノンアンチモンの難燃性や高放熱性を要求される成形材料であり、厳しい信頼性を要求されるVLSI等の素子の封止用に好適な封止用エポキシ樹脂成形材料及びこの成形材料で封止した素子を備えた電子部品装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品装置の素子封止の分野では生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性などの諸特性にバランスがとれている為である。これらの封止用エポキシ樹脂成形材料の難燃化は主にテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル等のブロム化樹脂と酸化アンチモンの組合せにより行われているが、近年、環境保護の観点からダイオキシン問題に端を発し、デカブロムをはじめとするハロゲン化樹脂やアンチモン化合物に量規制の動きがあり、封止用エポキシ樹脂成形材料についてもノンハロゲン化(ノンブロム化)及びノンアンチモン化の要求が出てきている。また、プラスチック封止ICの高温放置特性にブロム化合物が悪影響を及ぼすことが知られており、この観点からもブロム化樹脂量の低減が望まれている。
ブロム化樹脂や酸化アンチモンを用いずに難燃化を達成する手法の一つとしては、金属水酸化物を用いる方法(特開平9−241483号公報)、金属水酸化物と金属酸化物を併用する方法(特開平9−100337号公報)等を挙げることができる。
近年はまた、半導体素子の発熱量の増大に伴い、封止用エポキシ樹脂成形材料への放熱性の要求も高まっており、特に高放熱性の要求が強いパッケージに対しては、封止用エポキシ樹脂成形材料の無機充填剤に一般的に用いられる溶融シリカの他に、結晶性シリカや、さらに放熱性の高いアルミナ(酸化アルミニウム)等を併用する等の手法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、封止用エポキシ樹脂成形材料に、難燃剤として金属水酸化物、金属酸化物を用いた場合や、高放熱性実現の為にアルミナ等を用いた場合、流動性の低下や、成形装置内のゲート残り発生等による連続成形性の低下といった、特に成形性上の問題が発生し、難燃剤としてブロム化樹脂と酸化アンチモンを併用した封止用エポキシ樹脂成形材料、あるいは無機充填剤として溶融シリカや結晶シリカのみを用いた封止用エポキシ樹脂成形材料と同等の成形性、信頼性を得るに至っていない。
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、金属酸化物又は金属水酸化物を含有し、成形性に優れた封止用エポキシ樹脂材料、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の金属酸化物又は金属水酸化物を、好ましくは有機溶媒下、離型剤で前処理を行った後に成形材料の配合を行うことによって得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により上記の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、(1) (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)離型剤で処理された酸化アルミニウム又は金属水酸化物を必須成分とする封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
また、本発明は、(2) 金属水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムおよび複合金属水酸化物から選ばれる1種以上である(1)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(3) 複合金属水酸化物が、離型剤で処理された下記一般式(I)で表される複合金属水酸化物である(2)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
【化2】
p(M1 aOb)・q(M2 cOd)・r(M3 eOf)・mH2O (I)
(ここで、M1、M2及びM3は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、e、f、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
さらに、本発明は、(4) 離型剤が、高級脂肪酸またはそのエステルである(1)〜(3)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(5) (C)成分が有機溶媒を用いて離型剤で処理されたものである(1)〜(4)いずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(6) 有機溶媒が、1種以上の極性有機溶媒を含む(5)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(7) 極性有機溶媒が、炭素数6以下の、1級、2級、又は3級のアルコール又はグリコールを含む(6)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
また、(8) さらに、(D)無機充填剤を含有する(1)〜(7)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(9) (A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する(1)〜(8)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(10) (B)硬化剤がビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する(1)〜(9)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(11) さらに(E)硬化促進剤を含有する(1)〜(10)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(12) (E)硬化促進剤が、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を含有する(11)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
また、本発明は、(13) (1)〜(12)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止された素子を備えた電子部品装置に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はない。
たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノールのジグリシジルエーテル(ビスフェノール型エポキシ樹脂);アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル(ビフェニル型エポキシ樹脂);スチルベン型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);ナフタレン環を有するエポキシ樹脂(ナフタレン型エポキシ樹脂);フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;テルペン変性エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;脂環族エポキシ樹脂;硫黄原子含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、耐リフロー性の観点からはビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0007】
ビフェニル型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、スチルベン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、硫黄原子含有エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化3】
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【化4】
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。)
【化5】
(ここで、R1〜R8は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(II)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4´−ビフェノール又は4,4´−(3,3´,5,5´−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。
上記一般式(III)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、たとえば3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−t−ブチル−5,5´−ジメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−t−ブチル−6,6´−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、及び4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(IV)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R1〜R8が水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれるエポキシ樹脂が好ましく、R1、R4、R5及びR8が水素原子で、R2、R3、R6及びR7がアルキル基であるエポキシ樹脂がより好ましく、R1、R4、R5及びR8が水素原子で、R2及びR7がメチル基で、R3及びR6がt−ブチル基であるエポキシ樹脂がさらに好ましい。このような化合物としては、YSLV−120TE(新日鐵化学社製商品名)等が市販品として入手可能である。
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0008】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化6】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(V)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0009】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化7】
(ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記一般式(VI)中のR1としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。R2としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0010】
ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
下記一般式(VII)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、1個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、下記一般式(VIII)で示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては特に制限はないが、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましい。
【化8】
(ここで、R1〜R3は水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、l、mはそれぞれ0〜11の整数であって、(l+m)が1〜11の整数でかつ(l+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
【化9】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0011】
上記のビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量はエポキシ樹脂全量に対して合わせて50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
【0012】
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はない。
たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
なかでも、難燃性の観点からはビフェニル型フェノール樹脂が好ましく、耐リフロー性及び硬化性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹脂が好ましく、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0013】
ビフェニル型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(IX)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化10】
上記一般式(IX)中のR1〜R9は全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基、及び、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、なかでも水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。
上記一般式(IX)で示されるビフェニル型フェノール樹脂としては、たとえばR1〜R9が全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50重量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。このような化合物としては、MEH−7851(明和化成株式会社製商品名)が市販品として入手可能である。
ビフェニル型フェノール樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0014】
アラルキル型フェノール樹脂としては、たとえばフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等が挙げられ、下記一般式(X)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が好ましく、一般式(X)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。これらのアラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【化11】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
【0015】
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XI)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化12】
(ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0016】
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。下記一般式(XII)で示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂としては特に制限はないが、たとえば、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、o−ヒドロキシベンズアルデヒド型フェノール樹脂、m−ヒドロキシベンズアルデヒド型フェノール樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。なかでもサリチルアルデヒド型フェノール樹脂が好ましい。
【化13】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでもフェノールノボラック樹脂が好ましい。ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0017】
上記のビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は硬化剤全量に対して合わせて60重量%以上とすることが好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0018】
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性及び耐リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0019】
本発明において用いられる(C)離型剤で処理された酸化アルミニウム又は金属水酸化物は、難燃剤、もしくは高放熱剤として作用する。
金属水酸化物は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、カルシウム、バリウムから選ばれる元素の水酸化物や複合金属水酸化物等が挙げられ、なかでも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び複合金属水酸化物が好ましく、これらの1種以上を用いることが好ましい。成形性の観点からは複合金属水酸化物を用いることが特に好ましい。
これら金属水酸化物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。複合金属水酸化物のうち、特に、下記一般式(I)で示される化合物が難燃性向上の点で好ましい。
【化14】
p(M1 aOb)・q(M2 cOd)・r(M3 eOf)・mH2O (I)
(ここで、M1、M2及びM3は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、e、f、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
上記一般式(I)中のM1、M2及びM3は互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、M1が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、M1がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、M2が鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。さらに、流動性の観点からは、M1がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルで、r=0のものが好ましい。M1 aOb、M2 cOd及びM3 eOfのモル比のp、q及びrの比は特に制限はないが、r=0で、p/qが1/99〜1/1であることが好ましい。市販品としては、例えば、上記一般式(I)中のM1がマグネシウム、M2が亜鉛で、pが7、qが3、mが10で、a、b、c及びdが1で、rが0である水酸化マグネシウム・亜鉛固溶体複合金属水酸化物(タテホ化学工業株式会社製商品名エコーマグZ−10)を使用できる。
なお、金属元素とは半金属元素といわれるものも含めるものとし、非金属元素を除く全ての元素をさす。金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期律表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。
【0020】
酸化アルミニウムと、金属水酸化物とは、それぞれ単独で使用してもよいし、両者を併用しても良い。両者を併用する場合、上記金属水酸化物と酸化アルミニウムとの複合金属水酸化物も使用できる。
本発明の(C)成分に用いるものとして、成形性、難燃性等の観点からは金属水酸化物、特に複合金属水酸化物が好ましく、高放熱性の観点からは酸化アルミニウムが好ましい。
【0021】
(C)成分に用いる酸化アルミニウム又は金属水酸化物の形状は特に制限はないが、流動性の観点からは、平板状より、適度の厚みを有する多面体形状が好ましい。また、形状は鋭角が少ないものが好ましく、粒径は、最大粒径が100μm以下が好ましく、75μm以下がより好ましい。平均粒径は1〜30μmが好ましい。
(C)成分に用いる酸化アルミニウムおよび金属水酸化物の配合量は特に制限はないが、難燃剤として用いる場合には封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.5〜20重量%が好ましく、0.7〜15重量%がより好ましく、1.4〜12重量%がさらに好ましい。0.5重量%未満では難燃性が不十分となる傾向があり、20重量%を超えると流動性及び耐リフロー性が低下する傾向がある。また、高放熱剤として使用する場合には封止用エポキシ樹脂成形材料に対して10〜98重量%が好ましく、20〜95重量%がより好ましく、25〜92重量%がさらに好ましい。10重量%未満では高放熱性が不十分となる傾向があり、98重量%を超えると流動性が著しく低下する傾向がある。
【0022】
(C)成分における酸化アルミニウム又は金属水酸化物の処理に用いる離型剤の構造については、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、成形性の改善効果といった観点からは炭素数25以上である化合物が好ましく、炭素数28以上の高級脂肪族化合物がより好ましい。炭素数25未満の化合物では、酸化アルミニウム又は金属水酸化物の表面改質効果が低く、成形性向上効果が不十分となる場合がある。また、耐リフロー性、耐湿性等の信頼性の観点からは炭素数57以下の化合物であることが好ましく、炭素数50以下の脂肪族化合物がより好ましい。炭素数が57より多い化合物を用いた場合、密着性の低下から上記信頼性の低下を招き易くなる傾向がある。
本発明に用いられる離型剤は、酸化アルミニウム又は金属水酸化物と反応性を有する官能基を持っていることが好ましく、中でもカルボキシル基やカルボン酸エステルを持つ化合物が特に好ましい。酸化アルミニウム又は金属水酸化物との反応性を有する官能基を持たない化合物では、表面改質効果が不十分となる傾向にある。
上記した条件を満たす化合物としては、高級脂肪族化合物、例えば高級脂肪酸又はそのエステルが挙げられ、そのうちで炭素数25〜57の化合物であることが好ましく、さらに、炭素数28〜50の化合物であるのが好ましい。より好ましくは、例えば炭素数28の高級脂肪酸であるモンタン酸や、モンタン酸メチル、モンタン酸エチル等の炭素数57以下のモンタン酸エステルを挙げることができる。このような化合物のうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(C)成分における酸化アルミニウム又は金属水酸化物を離型剤で処理する際には、有機溶媒を用いるのが好ましい。この有機溶媒は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、分子内に極性を有する有機溶媒(極性有機溶媒)を1種以上含むことが好ましい。極性有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso‐プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール等のグリコール類、メチルアミン、エチルアミン等のアミン類、ギ酸、酢酸等の有機酸類等を挙げることができるが、中でも、炭素数6以下の、1級、2級、又は3級のアルコール又はグリコールを1種以上使用することが好ましく、炭素数の少ない1級アルコール、例えばメタノール、エタノール等を使用することがより好ましい。なお、ここで、「極性有機溶媒」とは、成分原子の電気陰性度の差異から分子内の電子雲の分布に偏りが生じ、分子内に双極子を形成するような化合物、具体的には、酸素原子、窒素原子、ハロゲン族原子を含む有機溶媒を指す。
【0024】
(C)成分における酸化アルミニウム又は金属水酸化物を離型剤で処理する際に用いる有機溶媒には、上記アルコール類等の極性有機溶媒とともに、1種以上の非極性有機溶媒を併用するのが好ましい。ここで、「非極性有機溶媒」とは、成分原子の電気陰性度の差異から生じる分子内の電子雲の分布に偏りが全くないか、又は非常に小さい化合物を指し、具体的には、酸素原子、窒素原子、ハロゲン族原子を含まない有機化合物を指す。非極性有機溶媒の例として、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができ、特にベンゼン環を有する非極性溶媒が好ましい。
【0025】
(C)成分において、酸化アルミニウム又は金属水酸化物を、1種以上の有機溶媒を用いて離型剤処理する方法については、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、例えば、予め離型剤を溶解させた有機溶媒中に酸化アルミニウム又は金属水酸化物を浸し、室温下、もしくは加熱還流条件下、それらを一定時間攪拌後、加熱乾燥により残存溶媒を除去する等の方法が挙げられる。
酸化アルミニウムおよび金属水酸化物と離型剤の比率は特に制限するものではないが、本発明の効果を充分得る為には、酸化アルミニウムおよび金属水酸化物100に対し、離型剤0.1〜10の重量比率が好ましく、0.5〜5の重量比率がより好ましい。また、有機溶媒中の極性有機溶媒と非極性有機溶媒を併用する場合の両者の比率についても特に制限するものではないが、本発明の効果を充分得る為には、極性有機溶媒1に対し、非極性有機溶媒0.1〜5の体積比率が好ましく、0.2〜2の体積比率が特に好ましい。さらに、有機溶媒の量については、やはり特に制限するものではないが、本発明の効果を充分得る為には、極性有機溶媒と非極性有機溶媒の合計が酸化アルミニウムおよび金属水酸化物の体積と同体積以上であることが好ましく、加熱乾燥作業を考慮した場合、3体積倍以下であることが好ましい。攪拌時間については、やはり特に制限するものではないが、本発明の効果を充分得る為には0.3〜3時間程度が好ましく、0.5〜2時間程度がより好ましい。処理温度については、特に制限するものではなく、25℃程度の室温から150℃程度の温度範囲を任意に選べば良い。
【0026】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、(C)成分の酸化アルミニウム又は金属水酸化物に加え、難燃剤として使用する場合には、ノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を必要に応じて併用することができるし、高放熱剤として使用する場合には、溶融シリカ等の無機充填剤を必要に応じて併用することができる。難燃剤として使用する場合の併用相手としては、たとえば、被覆又は無被覆の赤リン等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。高放熱剤として使用する場合の併用相手としては、前記溶融シリカの他に結晶性シリカ、金属又は非金属の窒化物等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて(D)無機充填剤を配合することができる。(D)無機充填剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上のために配合されるものであり、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されるもので特に制限はないが、たとえば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、充填剤形状は成形時の流動性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
(D)無機充填剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減及び強度向上の観点から、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して60重量%以上が好ましく、70〜95重量%がより好ましく、75〜92重量%がさらに好ましい。60重量%未満では難燃性及び耐リフロー性が低下する傾向があり、95重量%を超えると流動性が不足する傾向がある。
【0028】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて(E)硬化促進剤を用いることができる。(E)硬化促進剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン化合物及びこれらのホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、硬化性及び流動性の観点からは、ホスフィン化合物及びホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましく、トリフェニルホスフィン等の第三ホスフィン化合物及びトリフェニルホスフィンとキノン化合物との付加物がより好ましい。第三ホスフィン化合物を用いる場合にはキノン化合物をさらに含有することが好ましい。
【0029】
(E)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.005〜2重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。0.005重量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、2重量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
【0030】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、IC等の半導体素子の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、必要に応じて(F)イオントラップ剤をさらに配合することができる。(F)イオントラップ剤としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、下記一般式(XIII)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
【化15】
Mg1-XAlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O ……(XIII)
(0<X≦0.5、mは正の数)
(F)イオントラップ剤の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、成形性、耐湿性及び高温放置特性の観点から、(A)エポキシ樹脂に対して0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。
【0031】
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるために、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加することができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カップリング剤の配合量は、(D)無機充填剤に対して0.05〜5重量%であることが好ましく、0.1〜2.5重量%がより好ましい。0.05重量%未満ではフレームとの接着性が低下する傾向があり、5重量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
【0032】
さらに、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて配合することができる。
【0033】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使いやすい。
【0034】
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により封止した素子を備えた電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。このような電子部品装置としては、たとえば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用できる。
【0035】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
【0036】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
((C)成分:離型剤で処理された酸化アルミニウム又は金属水酸化物の作製例)
平均粒径20μmの不定形酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製商品名AS‐20)600gを、メタノール/キシレン=1/1(体積比)溶媒400mlにモンタン酸(炭素数28。クラリアントジャパン株式会社製商品名HW‐SW)12gを溶解させた懸濁液に注ぎ、還流下100℃で1時間撹拌した後、取り出して吸引濾過し、150℃で1時間乾燥を行い、酸化アルミニウム1を作製した。
また、モンタン酸を、α−オレフィン(炭素数20)と無水マレイン酸との1:1共重合体(日本油脂株式会社製商品名ニッサンエレクトールD121)とした以外は酸化アルミニウム1と同様にして処理を行い、酸化アルミニウム2を作製した。
モンタン酸を、モンタン酸とエチレングリコールのジエステル化物(炭素数58。クラリアントジャパン株式会社製商品名HW−E)とした以外は酸化アルミニウム1と同様にして処理を行い、酸化アルミニウム3を作製した。
メタノール/キシレン=1/1(体積比)溶媒をキシレンとした以外は酸化アルミニウム1と同様にして処理を行い、酸化アルミニウム4を作製した。
比較のために、無処理の前記酸化アルミニウムを比較酸化アルミニウム1とした。
【0037】
上記組成式(I)中のM1がマグネシウム、M2が亜鉛で、pが7、qが3、mが10で、a、b、c及びdが1で、rが0である水酸化マグネシウム・亜鉛固溶体複合金属水酸化物(タテホ化学工業株式会社製商品名エコーマグZ−10)135gを、メタノール/キシレン=1/1(体積比)溶媒280mlに前記モンタン酸1.8gを溶解させた懸濁液に注ぎ、還流下100℃で1時間撹拌した後、取り出して吸引濾過し、150℃で1時間乾燥を行い、金属水酸化物1を作製した。
また、モンタン酸を前記α−オレフィンと無水マレイン酸との1:1共重合体とした以外は金属水酸化物1と同様にして処理を行い、金属水酸化物2を作製した。
モンタン酸を前記モンタン酸ジエステルとした以外は金属水酸化物1と同様にして処理を行い、金属水酸化物3を作製した。
メタノール/キシレン=1/1(体積比)溶媒をキシレンとした以外は金属水酸化物1と同様にして処理を行い、金属水酸化物4を作製した。
さらに、水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製商品名キスマS2)67.5gを、メタノール/キシレン=1/1(体積比)溶媒150mlに前記モンタン酸0.9gを溶解させた懸濁液に注ぎ、還流下100℃で1時間撹拌した後、取り出して吸引濾過し、150℃で1時間乾燥を行い、金属水酸化物5を作製した。
比較のために、無処理の前記水酸化マグネシウム・亜鉛固溶体を比較金属水酸化物1とした。
無処理の前記水酸化マグネシウムを比較金属水酸化物2とした。
【0038】
(実施例1〜11、比較例1〜3)
エポキシ樹脂として、
エポキシ当量192、融点105℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1:ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートYX−4000H)、エポキシ当量210、軟化点130℃のスチルベン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2:住友化学工業株式会社製商品名ESLV−210)、
エポキシ当量195、軟化点65℃のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3:住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190)、
エポキシ当量244、融点118℃の硫黄原子含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂4:新日鐵化学株式会社製商品名YSLV−120TE)、
硬化剤として、
水酸基当量172、軟化点70℃のフェノール・アラルキル樹脂(三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)、
離型剤で処理した酸化アルミニウム又は金属水酸化物として、上記で作製した酸化アルミニウム1〜4、金属水酸化物1〜5、
未処理の酸化アルミニウム又は金属水酸化物として、上記の比較酸化アルミニウム1、比較金属水酸化物1、2、
その他の添加物として、
難燃剤として三酸化アンチモン、ビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製商品名ESB−400T、エポキシ当量375、臭素含有48重量%)、
無機充填剤として平均粒子径17.5μm、比表面積3.8m2/gの球状溶融シリカ、
硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、イオントラップ剤としてハイドロタルサイト(協和化学工業株式会社製商品名DHT−4A)、
エポキシシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製商品名KBM403)、
カルナバワックス(クラリアントジャパン株式会社製)、
及びカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)
をそれぞれ表1に示す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行って、実施例1〜11及び比較例1〜3の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
【0039】
【表1】
【0040】
作製した実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の各試験により評価した。結果を表1に併記する。
なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。
(1)スパイラルフロー(流動性の指標)
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
(3)難燃性
厚さ1/16インチの試験片を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形して後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
(4)耐リフロー性
8mm×10mm×0.4mmのシリコーンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)を、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、85℃、85%RHの条件で96時間の加湿を行った後、240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を観察し、試験パッケージ数(5)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(5)耐湿性
5μm厚の酸化膜上に線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した6mm×6mm×0.4mmのテスト用シリコーンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2.7mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)を、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、前処理を行った後加湿し、500時間後のアルミ配線腐食による断線不良を調べ、試験パッケージ数(10)に対する不良パッケージ数で評価した。
なお、前処理は85℃、85%RH、72時間の条件でフラットパッケージを加湿後、215℃、90秒間のベーパーフェーズリフロー処理を行った。その後の加湿は0.2MPa、121℃の条件で行った。
(6)ゲート残り性
最小断面積0.8mm2のゲート(成形樹脂が各パッケージに流れ込む流入路)を持った20×14×2.0mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)金型を用いて10ショットの連続成形を行った後、成形品のゲートを金属顕微鏡で観察し、ゲート残りの有無を判定した。成形条件は、クリーニング材(三菱ガス化学株式会社製)を3ショット(180秒成形)、離型回復材を1ショット(120秒成形)成形後、作製サンプルを70秒で成形した。ゲートの観察には、1ショットあたり10ヶのパッケージを用いた。全パッケージ数100ヶ(10パッケージ/ショット×10ショット)に対する、ゲート残りの発生したパッケージ数で評価した。
【0041】
酸化アルミニウム又は金属水酸化物を、全く処理を施さずに用いた比較例1〜3は流動性及び熱時硬度、若しくはゲート残り性といった成形性が不十分である。なお、比較例1は成形不良によりスパイラルフロー及び熱時硬度以外の項目は測定できなかった。
これに対して、本発明の(A)〜(C)成分を全て含む実施例は、流動性、熱時硬度、ゲート残り性といった成形性が良好であり、(C)成分を難燃剤として用いた場合にもUL−94試験でV−0を達成し良好な難燃性を示す。
なお、酸化アルミニウムまたは金属水酸化物を離型剤で処理する際に、還流下100℃で1時間撹拌する替わりに、室温で1時間〜1.5時間撹拌した場合も、還流下80℃、110℃又は120℃で1時間〜1.5時間撹拌した場合も同様の結果が得られた。
【0042】
【発明の効果】
本発明になる封止用エポキシ樹脂成形材料は、実施例で示したように、金属酸化物又は金属水酸化物を含有してなお、良好な成形性を示し、これを用いてIC、LSI等の電子部品を封止すれば良好に製品を得ることができ、その工業的価値は大である。
Claims (18)
- (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)離型剤で処理された酸化アルミニウム又は金属水酸化物を必須成分とし、
(C)成分が1種以上の極性有機溶媒を含む有機溶媒を用いて離型剤で処理されたものである封止用エポキシ樹脂成形材料。 - (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)離型剤で処理された酸化アルミニウム又は金属水酸化物を必須成分とし、
(C)成分が1種以上の極性有機溶媒及び1種以上の非極性有機溶媒を含む有機溶媒を用いて離型剤で処理されたものである封止用エポキシ樹脂成形材料。 - (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)離型剤で処理された酸化アルミニウム又は金属水酸化物を必須成分とし、
前記離型剤が、炭素数が25以上の高級脂肪酸又はそのエステルである封止用エポキシ樹脂成形材料。 - 金属水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムおよび複合金属水酸化物から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 複合金属水酸化物が、離型剤で処理された下記一般式(I)で表される複合金属水酸化物である請求項4に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
【化1】
p(M1 aOb)・q(M2 cOd)・r(M3 eOf)・mH2O (I)
(ここで、M1、M2及びM3は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、e、f、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。) - 離型剤が、高級脂肪酸またはそのエステルである請求項1または2に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (C)成分が有機溶媒を用いて離型剤で処理されたものである請求項3に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 有機溶媒が、1種以上の極性有機溶媒を含む請求項7に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 極性有機溶媒が、炭素数6以下の、1級、2級、又は3級のアルコール又はグリコールを含む請求項1、2または8に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 非極性有機溶媒が、ベンゼン環を有する非極性有機溶媒を含む請求項2に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 離型剤が、炭素数25〜57の化合物である請求項3に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 離型剤が、モンタン酸又は炭素数57以下のモンタン酸エステルである請求項3または11に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- さらに、(D)無機充填剤を含有する請求項1〜12のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1〜13のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (B)硬化剤がビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1〜14のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- さらに(E)硬化促進剤を含有する請求項1〜15のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (E)硬化促進剤が、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を含有する請求項16に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止された素子を備えた電子部品装置。
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