JP2004300275A - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)骨格中に2級アミノ基と3級アミノ基を含有するシラン化合物及び(D)無機充填剤を含有する封止用エポキシ樹脂成形材料。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信頼性に優れた封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこの成形材料で封止した素子を備えた電子部品装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品封止の分野ではエポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等のバランスがとれているためである。特に、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とノボラック型フェノール硬化剤の組合せはこれらのバランスに優れており、封止用成形材料のベース樹脂の主流になっている。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴い、実装の高密度化が進み、電子部品装置は従来のピン挿入型から、表面実装型のパッケージがなされるようになってきている。半導体装置を配線板に取り付ける場合、従来のピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後、配線板裏面から半田付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることはなかった。しかし、表面実装型パッケージでは半導体装置全体が半田バスやリフロー装置などで処理されるため、直接半田付け温度にさらされる。この結果、パッケージが吸湿した場合、半田付け時に吸湿水分が急激に膨張し、接着界面の剥離やパッケージクラックが発生し、実装時のパッケージの信頼性を低下させるという問題があった。
【0003】
上記の問題を解決するために封止用エポキシ樹脂成形材料とリードフレームとの密着性を高め、耐リフロー性を向上させる方法として、たとえば、シラン化合物としてアミン系シラン化合物を添加する方法が提案されている(特許文献1及び2参照。)。しかし、この方法では耐半田リフロー性及び接着性の改善には充分な効果が得られていない他、流動性の低下を引き起こしてしまう問題があった。また、封止用エポキシ樹脂成形材料の流動性が低いと成形時に金線流れ、ボイド、ピンホール等の発生といった新たな問題も生じてしまう(非特許文献1参照。)。
また、ICの防湿梱包や、配線板へ実装する前に予めICを十分乾燥して使用するなどの方法もとられているが、これらの方法は手間がかかり、コストも高くなる(非特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−147939号公報
【特許文献2】
特開2001−213939号公報
【非特許文献1】
(株)技術情報協会編「半導体封止樹脂の高信頼性化」技術情報協会1990年1月31日、172−176頁
【非特許文献2】
(株)日立製作所半導体事業部編「表面実装形LSIパッケージの実装技術とその信頼性向上」応用技術出版1988年11月16日、254−256頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、硬化性を低下させることなく流動性、接着性、耐半田リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、封止用エポキシ樹脂成形材料に特定の構造を有するシラン化合物を配合することにより、上記の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)骨格中に2級アミノ基と3級アミノ基を含有するシラン化合物及び(D)無機充填剤を含有する封止用エポキシ樹脂成形材料。
(2)(C)成分が、骨格中にカルボニル基をさらに含有するシラン化合物を含有する上記1記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(3)(C)成分が下記一般式(I)で示される化合物を含有する上記1又は上記2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
【0008】
【化2】
(ここで、R1、R2は置換又は非置換の炭素数1〜18の炭化水素基を示し、R1、R2が結合して環状となっていても良く、二価又は三価の原子を介して結合されていても良い。R3は置換又は非置換の炭素数1〜10の炭化水素基及び二価又は三価の原子を介して結合された有機基。R4は置換又は非置換の炭素数1〜10の炭化水素基及び二価又は三価の原子を介して結合された有機基、R5は炭素数1〜10の炭化水素基、R6は炭素数1〜6の炭化水素基、R7は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは0又は1を示し、nは1〜3の整数を示す。)
(4)(A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する上記1〜3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(5)(B)硬化剤がビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂の少なくとも1種を含有する上記1〜4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(6)上記1〜5のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備える電子部品装置に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノ−ル類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるアラルキル型フェノール樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0010】
なかでも、耐半田リフロー性の観点からはビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性の観点からはビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂が好ましく、これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0011】
ビフェニル型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、スチルベン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、硫黄原子含有エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(V)が挙げられる。
【0012】
【化3】
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【0013】
【化4】
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【0014】
【化5】
(ここで、R1〜R8は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【0015】
【化6】
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【0016】
上記一般式(II)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4’−ビフェノール又は4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。
上記一般式(III)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、たとえば3−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベン、及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0017】
上記一般式(IV)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R1〜R8が水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれるエポキシ樹脂が好ましく、R1、R4、R5及びR8が水素原子で、R2、R3、R6及びR7がアルキル基であるエポキシ樹脂がより好ましく、R1、R4、R5及びR8が水素原子で、R2及びR7がメチル基で、R3及びR6がt−ブチル基であるエポキシ樹脂がさらに好ましい。このような化合物としては、YSLV−120TE(新日鐵化学社製)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(V)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂はとしては、例えば、R1、R3、R6及びR8がメチル基で、R2、R4、R5及びR7が水素原子であり、n=0を主成分とするYSLV−80XY(新日鉄化学株式会社製商品名)が市販品として入手可能である。
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0018】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0019】
【化7】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(VI)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、上記一般式(VI)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(VI)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0020】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0021】
【化8】
(ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記式(VII)中のR1としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。R2としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0022】
ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
下記一般式(VIII)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、m個の構成単位及びn個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。また、下記一般式(IX)で示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては特に制限はないが、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましい。
【0023】
【化9】
(ここで、R1〜R3は水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、m、nはそれぞれ0〜11の整数であって、(m+n)が1〜11の整数でかつ(m+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
【0024】
【化10】
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0025】
ビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂としては下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂が挙げられ、難燃性及び耐リフロー性の観点からは下記一般式(X)のR1〜R8が水素原子である樹脂を含有していることが好ましく、このような化合物としては、NC−3000(日本化薬社製)等が市販品として入手可能である。
また難燃性及び耐リフロー性及び流動性の両立の観点からは上記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂及び下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂を含有していることが好ましく、なかでも下記一般式(X)のR1〜R8が水素原子で上記一般式(III)のR1〜R8が水素原子でn=0であることがより好ましい。また特にその配合重量比は、(III)/(X)=50/50〜5/95であることが好ましく、40/60〜10/90がより好ましく、30/70〜15/85がさらに好ましい。このような配合重量比を満足する化合物としては、CER−3000L(日本化薬社製)等が市販品として入手可能である。
【0026】
【化11】
(ここで、R1〜R9は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。)
【0027】
上記のビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂及びビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量はエポキシ樹脂全量に対して合わせて50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
【0028】
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール・ノボラック構造とフェノール・アラルキル構造がランダム、ブロック又は交互に繰り返された共重合型フェノール・アラルキル樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
なかでも、難燃性の観点からはビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂が好ましく、耐半田リフロー性及び硬化性の観点からはフェノール・アラルキル樹脂及びナフトール・アラルキル樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹脂が好ましく、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0029】
ビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XI)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
【0030】
【化12】
(ここで、R1〜R9は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。)
上記式(XI)中のR1〜R9としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基及びベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、なかでも水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。上記一般式(XI)で示されるビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえばR1〜R9が全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50重量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。
ビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂を使用する場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0031】
フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XII)で示されるフェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。
【0032】
【化13】
(ここで、Rは水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記式(XII)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも、Rが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂が好ましく、具体例としては、p−キシリレン型ザイロック、m−キシリレン型ザイロック等が挙げられる。このフェノール・アラルキル樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0033】
ナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XIII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂等が挙げられる。
【0034】
【化14】
(ここで、R1〜R3は全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基を示す。nは0〜10の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数、rは0〜4の整数を示す。)
上記式(XIII)中のR1〜R3としてはたとえば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基から選ばれ、なかでもR1〜R3水素原子で1分子中の平均nが0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
ナフトール・アラルキル樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0035】
上記一般式(XII)で示されるフェノール・アラルキル樹脂及び上記一般式(XIII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂は、難燃性の観点からその一部又は全部がアセナフチレンと予備混合されていてもよい。アセナフチレンはアセナフテンを脱水素して得ることができるが、市販品を用いてもよい。また、アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物として用いることもできる。(B)硬化剤の一部又は全部とアセナフチレンとの予備混合の方法としては、(B)硬化剤及びアセナフチレンをそれぞれ微細に粉砕し固体状態のままミキサー等で混合する方法、両成分を溶解する溶媒に均一に溶解させた後溶媒を除去する方法、(B)硬化剤及び/又はアセナフチレンの軟化点以上の温度で両者を溶融混合する方法等で行うことができるが、均一な混合物が得られて不純物の混入が少ない溶融混合法が好ましい。その際、混合中にアセナフチレンが重合もしくは(B)硬化剤と反応しても構わない。
【0036】
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XIV)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【0037】
【化15】
(ここで、R1及びR2は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記式(XIV)中のR1としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。R2としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。また1分子中の平均nが0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0038】
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【0039】
【化16】
(ここで、Rは水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記式(XV)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0040】
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでも下記一般式(XVI)で示されるノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
【0041】
【化17】
(ここで、Rは水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、iは0〜3の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。)
上記式(XVI)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、水素原子がより好ましく、nの平均値が0〜8であることが好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0042】
共重合型フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
【0043】
【化18】
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基及び水酸基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。またXは芳香環を含む基を示す。n及びmは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XVII)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましく、またn及びmは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
一般式(XVII)中のXとしては、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基、キシリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、アラルキル基置換アリーレン基などが挙げられ、なかでも、置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましい。このような化合物としては、HE−510住金エア・ウォーター・ケミカル株式会社製)等が市販品として入手可能である。
【0044】
上記のビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量はフェノール樹脂全量に対して合わせて50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
【0045】
本発明において、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわちエポキシ基に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性、耐半田リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0046】
本発明で用いられる(C)シラン化合物は、骨格中に下記一般式(I)で示される化合物であれば特に制限はないが、下記一般式(I)中のR1、R2としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられ、またR1、R2が直接あるいは二価又は三価の原子を介して結合して環状構造を形成してもよい。これらの基は水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換されていてもよいが、なかでもR1、R2が炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基等が好ましく、二価の原子としては酸素原子が好ましく、三価の原子としては窒素原子が好ましい。R3としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等のアルキレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ジエチルフェニレン基等のアリーレン基やアルキレンアリーレン基、窒素原子又は酸素原子を介して結合されたアルキレン基等の炭素数1〜10の二価の有機基が挙げられ、成形性の観点からは炭素数2〜6のアルキレン基又は窒素原子又は酸素原子を介して結合された炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。R4としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等のアルキレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ジエチルフェニレン基等のアリーレン基やアルキレンアリーレン基、窒素原子又は酸素原子を介して結合されたアルキレン基等の炭素数1〜10の二価の有機基が挙げられ、成形性の観点からは炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。R5としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等のアルキレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ジエチルフェニレン基等のアリーレン基やアルキレンアリーレン基が挙げられ、成形性の観点からは炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。R6、R7としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基などの炭素数1〜6の炭化水素基が挙げられ、なかでも炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、成形性又は接着性の観点からはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、等の炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、mは0又は1の整数を示すが流動性の観点からは0であるものが好ましい。nは1〜3の整数を示すが、接着性の観点からは2又は3であるものが好ましく、3であるものがより好ましい。
【0047】
【化19】
(ここで、R1、R2は置換又は非置換の炭素数1〜18の炭化水素基を示し、R1とR2が結合して環状となっていても良く、二価又は三価の原子を介して結合されていてもよい。R3は置換又は非置換の炭素数1〜10の炭化水素基及び二価又は三価の原子を介して結合された有機基。R4は置換又は非置換の炭素数1〜10の炭化水素基及び二価又は三価の原子を介して結合された有機基、R5は炭素数1〜10の炭化水素基、R6は炭素数1〜6の炭化水素基、R7は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは0又は1を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【0048】
上記一般式(I)で示される化合物としては、たとえば、下記一般式(XVIII)〜(XXXXV)で示される化合物等が挙げられる。接着性、流動性、成形性の観点からは下記一般式(XXXVI)、(XXXXIV)で示される化合物の1種又は2種以上含有するシラン化合物を用いることが好ましい。
【0049】
【化20】
【0050】
【化21】
【0051】
【化22】
【0052】
【化23】
【0053】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、上記(C)シラン化合物以外に従来公知のカップリング剤を併用してもよい。たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン系のカップリング剤、あるいはイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を1種以上併用することができる。
【0054】
(C)シラン化合物の全配合量は特に制限はないが無機充填剤に対して0.01〜2.0重量%配合されることが好ましく、0.1〜1.6重量%がより好ましい。0.01重量%未満では発明の効果が小さくなる傾向があり、2.0重量%を超えると成形性が低下する傾向がある。
【0055】
本発明で用いられる(D)無機充填剤としては、特に制限はないが、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア等の粉体、又はこれらを求形化したビーズ、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ等の単結晶繊維、ガラス繊維等を1種以上配合して用いることができる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛などが挙げられ、これらを単独又は併用して用いることもできる。上記の無機充填剤の中で、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。充填剤形状は成形時の流動性及び金型磨耗性の点から球形もしくは球状に近い形が好ましい。
無機充填剤の配合量は、成形性、吸湿性、線膨張係数の低減及び強度向上の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料に対して60重量%以上が好ましく、70〜95重量%がより好ましく、75〜92重量%がさらに好ましい。60重量%未満では耐半田リフロー性が低下する傾向があり、95重量%を超える場合には流動性が不十分となる傾向がある。
【0056】
本発明のエポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているもので特に限定はないが、たとえば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2―フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
なかでも、硬化性及び流動性の観点からは第三ホスフィンとキノン化合物との付加物が好ましく、保存安定性の観点からはシクロアミジン化合物とフェノール樹脂との付加物が好ましく、ジアザビシクロウンデセンのノボラック型フェノール樹脂塩がより好ましい。これらの硬化促進剤の配合量は硬化促進剤全量に対して合わせて60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0057】
第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられる第三ホスフィンとしては特に制限はないが、たとえば、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン等のアリール基を有する第三ホスフィンが挙げられ、成形性の点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また、第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられるキノン化合物としては特に制限はないが、たとえば、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられ、耐湿性又は保存安定性の観点からはp−ベンゾキノンが好ましい。
【0058】
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましい。0.1重量部未満では短時間で硬化させることが困難となり、10重量部を超えると硬化速度が早すぎて良好な成形品が得られない傾向がある。
【0059】
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、ICの耐湿性、高温放置特性を向上させる目的で陰イオン交換体を必要に応じて配合することができる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、下記組成式(XXXXVI)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
【0060】
【化24】
Mg1−XAlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O……(XXXXVI)
(0<x≦0.5、mは正の数)
陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
【0061】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、接着性をより向上させるために、必要に応じて接着促進剤を用いることができる。接着促進剤としては、たとえば、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等の誘導体、アントラニル酸、没食子酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アミノフェノール、キノリン等及びこれらの誘導体、脂肪族酸アミド化合物、ジチオカルバミン酸塩、チアジアゾール誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて離型剤を用いてもよい。離型剤としては、酸化型又は非酸化型のポリオレフィンを(A)エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部用いることが好ましく、0.1〜5重量部用いることがより好ましい。0.01重量部未満では離型性が不十分となる傾向があり、10重量部を超えると接着性が低下する傾向がある。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンとしては、ヘキスト株式会社製H4やPE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、これ以外の離型剤としては、たとえばカルナバワックス、モンタン酸エステル、モンタン酸、ステアリン酸等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンに加えてこれら他の離型剤を併用する場合、その配合量は合わせて(A)エポキシ樹脂100重量部に対して0.l〜10重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
【0063】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には従来公知の難燃剤を必要に応じて配合することができる。たとえば、ブロム化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、赤リン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機物及び/又はフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等で被覆された赤リン、リン酸エステル等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び下記組成式(XXXXVII)で示される複合金属水酸化物などが挙げられる。
【0064】
【化25】
p(M1aOb)・q(M2cOd)・r(M3cOd)・mH2O (XXXXVII)
(ここで、M1、M2及びM3は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
上記組成式(XXXXVII)中のM1、M2及びM3は互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、M1が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、M1がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、M2が鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、M1がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルで、r=0のものが好ましい。p、q及びrのモル比は特に制限はないが、r=0で、p/qが1/99〜1/1であることが好ましい。なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期率表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。また、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の着色剤を用いても良い。
さらに、その他の添加剤として、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤等を必要に応じて配合することができる。
【0065】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。たとえば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダーなどで混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使いやすい。
【0066】
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により封止した素子を備えた電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。このような電子部品装置としては、たとえば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用できる。
【0067】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
【0068】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
合成例1:シラン化合物1の合成
温度計、撹拌機、冷却器を備えた4つ口フラスコに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン約156.7gを仕込み、窒素雰囲気下、70℃まで昇温した。次にN、N−ジメチルアクリルアミド約77.2gを30分かけて滴下し、さらに100℃で8時間加熱撹拌した。そしてこの反応混合物を減圧蒸留(138℃/1.3hPa)することにより下記一般式(XXXVI)で示されるシラン化合物1(無色透明液体、収量170.2g、収率70.5%)を得た。
【0070】
合成例2:シラン化合物2の合成
温度計、撹拌機、冷却器を備えた4つ口フラスコに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン約33.2gを仕込み、窒素雰囲気下、70℃まで昇温した。次にN−アクリロイルモルフォリン約23.3gを10分かけて滴下し、さらに100℃で3時間加熱撹拌した。そしてこの反応混合物を加熱減圧(130℃/1.3hPa)により低沸点成分を除去することにより下記一般式(XXXXIV)で示されるシラン化合物2(淡黄色透明液体、収量53.7g、収率95%)を得た。
【0071】
【化26】
【0072】
実施例1〜86、比較例1〜47
エポキシ樹脂としてはエポキシ当量200、軟化点67℃のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1、住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190)、エポキシ当量210、融点120℃のスチルベン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2、住友化学工業株式会社製商品名ESLV−210)、エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX−4000H)、エポキシ当量176、融点111℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂4、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YL−6121H)、エポキシ当量242、融点118℃の硫黄原子含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂5、新日本製鐵化学株式会社製商品名YSLV−120TE)、エポキシ当量264、軟化点64℃のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂6、大日本インキ化学工業株式会社製商品名HP−7200)、エポキシ当量217、軟化点72℃のナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂7、日本化薬株式会社製商品名NC−7300)、エポキシ当量170、軟化点65℃のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂8、日本化薬株式会社製商品名EPPN−502H)、エポキシ当量192、融点79℃のビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂9、新日本製鐵化学株式会社製商品名YSLV−80XY)、エポキシ当量241、軟化点96℃のビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂10、日本化薬株式会社製商品名CER−3000L)、エポキシ当量375、軟化点80℃、臭素含有量48重量%のビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(エポキシ樹脂11)、硬化剤としては水酸基当量199、軟化点89℃のビフェニレン骨格型フェノール樹脂(硬化剤1、明和化成株式会社製商品名MEH−7851)、水酸基当量176、軟化点70℃のフェノール・アラルキル樹脂(硬化剤2、三井化学株式会社製商品名ミレックスXLC)、水酸基当量183、軟化点79℃のナフトールアラルキル樹脂(硬化剤3、新日本製鐵化学株式会社製商品名SN−170)、水酸基当量170、軟化点93℃のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(硬化剤4、日本石油化学株式会社製商品名DPP)、水酸基当量104、軟化点83℃のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤5、明和化成株式会社製商品名MEH−7500)、水酸基当量106、軟化点64℃のノボラック型フェノール樹脂(硬化剤6、明和化成株式会社製商品名H−4)、水酸基当量156、軟化点 ℃のフェノール樹脂(硬化剤7、住金エア・ウォーター・ケミカル株式会社製商品名HE−510)、シラン化合物としては上記一般式(XXXVI)で示されるシラン化合物(シラン化合物1)、上記一般式(XXXXIV)で示されるシラン化合物(シラン化合物2)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物3)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シラン化合物4)、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物5)、フェニルトリメトキシシラン(シラン化合物6)、硬化促進剤としてはトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとのベタイン型付加物(硬化促進剤1)、トリブチルホスフィンとp−ベンゾキノンとのベタイン型付加物(硬化促進剤2)、無機充填剤としては平均粒径17.5μm、比表面積3.8m2/gの球状溶融シリカ、その他の添加成分としてはカルナバワックス、三酸化アンチモン、カーボンブラックを、表1〜13に示す重量比で配合し、混練温度80〜90℃、混練時間15分の条件でロール混練を行い、実施例1〜86及び比較例1〜47の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】
実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の(1)〜(8)の各種特性試験により評価した。評価結果を表14〜26に示す。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ成形材料を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)円板フロー
200mm(W)×200mm(D)×25mm(H)の上型と200mm(W)×200mm(D)×15mm(H)の下型を有する円板フロー測定用平板金型を用いて、上皿天秤にて秤量した封止用エポキシ樹脂成形材料5gを180℃に加熱した下型の中心部にのせ、5秒後に180℃に加熱した上型を閉じて、荷重78N、硬化時間90秒の条件で圧縮成形し、ノギスで成形品の長径(mm)及び短径(mm)を測定して、その平均値(mm)を円板フローとした。
(3)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
【0087】
(4)接着保持率
上記条件で30μmのアルミ箔上に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、PCT処理(121℃、0.2MPa、100時間)前後で試験片の90度方向のピール強度(N/m)を測定し、接着保持率(%)=PCT処理後アルミピール強度/PCT処理前アルミピール強度×100で評価した。
(5)耐半田リフロー性
42アロイリードフレーム上に8×10mmのシリコーンチップを搭載した外形寸法20×14×2mmの80ピンフラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、85℃、85%RHの条件で加湿して所定時間ごとに240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの発生の有無を観察し、試験パッケージ数(10)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(6)吸水率
上記(3)で成形した円板を上記条件で後硬化し、85℃、85%RHの条件下で72時間放置し、放置前後の重量変化を測定して、吸水率(重量%)=(放置後の円板重量−放置前の円板重量)/放置前の円板重量×100で評価した。
(7)ガラス転移温度(Tg)
上記条件で19mm×3mm×3mmの形状に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、理学電気株式会社製の熱機械分析装置(TMA−8140、TAS−100)により、昇温速度5℃/minの条件で測定を行い、線膨張曲線の屈曲点からガラス転移温度(Tg、単位:℃)を求めた。
(8)難燃性
厚さ1/16インチの試験片を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形して後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
【0088】
【表14】
【0089】
【表15】
【0090】
【表16】
【0091】
【表17】
【0092】
【表18】
【0093】
【表19】
【0094】
【表20】
【0095】
【表21】
【0096】
【表22】
【0097】
【表23】
【0098】
【表24】
【0099】
【表25】
【0100】
【表26】
【0101】
表14〜21に見られるように実施例1〜86では同一樹脂組成の比較例と比べて、硬化性を低下させることなく、スパイラルフロー、円板フロー及び接着性において良好な特性を示している。また72時間吸湿後のリフロー処理においてほぼ不良は無く、また48時間吸湿後のリフロー処理においてもパッケージクラックが無く耐半田リフロー性に優れている。一方、本発明の(C)シラン化合物を含まない比較例では本発明の目的を満足しない。すなわち表22〜26に示される比較例1〜47では、流動性が低く、72時間吸湿後のリフロー処理において50%以上ものパッケージクラックが発生し、さらに48時間吸湿後のリフロー処理においてもパッケージクラックが発生しており耐半田リフロー性に劣る。
【0102】
【発明の効果】
本発明によって得られる封止用エポキシ樹脂成形材料は、スパイラルフロー、円板フロー及び接着性において良好な特性を示し、硬化性を低下させることなく、優れた耐半田リフロー性が得られたことから、信頼性の高い電子部品装置を得ることができ、その工業的価値は大である。
Claims (6)
- (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)骨格中に2級アミノ基と3級アミノ基を含有するシラン化合物及び(D)無機充填剤を含有する封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (C)成分が、骨格中にカルボニル基をさらに含有するシラン化合物を含有する請求項1記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (C)成分が下記一般式(I)で示される化合物を含有する請求項1又は請求項2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (B)硬化剤がビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備える電子部品装置。
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