JP2011026399A - 封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ノンハロゲンかつノンアンチモンであり、充填剤の割合が高い場合でもリードフレームとの熱膨張係数の差が小さく、高温時における弾性率低減効果による耐半田リフロー性に優れ、かつ、耐熱衝撃性に優れ、銅腐食の可能性となる硫黄を含まない封止用エポキシ樹脂組成物及び、これにより封止した素子を備えてなる電子部品装置を提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)トリメリット酸エステルを含有する封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれにより封止された素子を備えてなる電子部品装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
近年、半導体素子の高密度実装化が進んでいる。これに伴い、樹脂封止型半導体装置は従来のピン挿入型のパッケージから面実装型のパッケージが主流になっている。面実装型のIC、LSI等は、実装密度を高くし、実装高さを低くするために薄型、小型のパッケージになっており、パッケージに対する半導体素子の占有面積が大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなってきた。さらにこれらの面実装型パッケージは、従来のピン挿入型パッケージとは実装方法が異なっている。すなわち、ピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後、配線板裏面から半田付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることがなかった。しかし面実装型パッケージは、配線板表面に仮止めを行い、半田バスやリフロー装置などで処理されるため、直接半田付け温度(リフロー温度)にさらされる。この結果、ICパッケージが吸湿した場合、リフロー時にこの吸湿水分が気化して、発生した蒸気圧が剥離応力として働き、半導体素子、リードフレーム等のインサートと封止材との間で剥離が発生し、パッケージクラックの発生や電気的特性不良の原因となる。このため、半田耐熱性(耐半田リフロー性)に優れた封止材料の開発が望まれている。従って、封止材料としては、低吸湿性に加え、リードフレーム(材質として、Cu,Ag,Au)やチップ界面等の異種材料界面との接着性、密着性の向上及び、高温時における弾性率の低減化が強く求められている。
更に、様々な温度環境で動作するICにとって、吸湿をかけた上での耐熱衝撃性が優れていることは必要不可欠である。特に低吸湿化を実現するために高充填とすると、封止材料とリードフレームとの熱膨張係数が異なる傾向にあり、熱膨張係数の差を縮小することも重要な材料設計指針の一つとなる。
これらの要求に対応するために、主材となるエポキシ樹脂側から様々な検討がされているが、エポキシ樹脂側の改良だけでは、低吸湿化に伴う耐熱性の低下、密着性の向上に伴う硬化性の低下等が生じ、物性のバランスをとることが困難であった。
従って、上記背景から主々のエポキシ樹脂改質材が検討されており、例えば、インデン・スチレン・フェノール共重合オリゴマー(例えば特許文献1参照)や硫黄原子含有化合物(例えば特許文献2、3参照)、硫黄原子含有シランカップリング剤(例えば特許文献4参照)、燐酸エステル等がある。
特開平10−265650号公報 特開平11−12442号公報 特開2002−3704号公報 特開2000−103940号公報
しかしながら、インデン・スチレン・フェノール共重合オリゴマーを用いた場合は、耐半田リフロー性に対する特性の改善が見られても、多量に用いることにより、硬化性が低下する要因となる。また、硫黄原子含有シランカップリング剤を用いた場合はAgやAuのような貴金属との接着性向上効果が乏しく、また硫黄原子含有化合物を文献開示の量を添加しても貴金属との接着性が十分に向上せず、いずれも耐半田リフロー性を満足するに至っていない。
一方で、燐酸エステルを含む添加剤については、耐半田リフロー性の向上の他、難燃性などの向上も見られるも、燐を含有する化合物は、環境負荷の観点から使用を制限される方向にある。また、過去に大きな粒径を持つ赤リンがワイヤ間に挟まり導通不良を起こした経緯を持ち、リン系の化合物を多量に使用することは、敬遠されている。
また、環境対応の観点からノンハロゲン、ノンアンチモンとするために、充填剤の割合を高くした場合、封止材の熱膨張係数が小さくなり、リードフレームとの熱膨張係数との差が大きくなる。
さらに、半導体パッケージの近年のトレンドとして、低価格化を実現するために、従来の金ワイヤから銅ワイヤに移行する動きも見られ、ICチップの配線も、将来、アルミニウムから銅へ移行する可能性が高い。よって、信頼性においても銅が腐食しにくい封止材の設計が重要となるが、硫黄原子含有の化合物を添加した場合、銅の腐食を促進する場合がある。
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、ノンハロゲンかつノンアンチモンであり、充填剤の割合が高い場合でもリードフレームとの熱膨張係数の差が小さく、高温時における弾性率低減効果による耐半田リフロー性に優れ、かつ、耐熱衝撃性に優れ、銅腐食の可能性となる硫黄を含まない封止用エポキシ樹脂組成物及び、これにより封止した素子を備えてなる電子部品装置を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、トリメリット酸エステルを含有する封止用エポキシ樹脂組成物が上記課題を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)トリメリット酸エステルを含有する封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(2)前記(C)トリメリット酸エステルが下記一般式(I)で示される化合物である前記(1)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
Figure 2011026399
(一般式(I)中、R,R,Rは、水素原子又は、炭素数1〜20炭化水素基を示し、これらは同一であっても互いに異なっていてもよい。但し、R〜Rの全てが水素原子である場合を除く。)
また、本発明は、(3)前記(C)トリメリット酸エステルが封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して、封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して、0.05〜3.0質量%である前記(1)または(2)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(4)前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂、ナフトール・アラルキル型フェノール樹脂、メトキシナフタレン型エポキシ樹脂及びフェノール・アラルキル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(5)前記(B)硬化剤が、ビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(6)前記(A)エポキシ樹脂がフェノール・アラルキル樹脂を含み、前記(C)トリメリット酸エステルの含有量が、封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して0.5〜3.0質量%である、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(7)前記(A)エポキシ樹脂がフェノール・アラルキル樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂を含み、(C)トリメリット酸エステルの含有量が、封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して0.5〜2.0質量%である、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(8)前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えてなる電子部品装置に関する。
本発明によれば、ノンハロゲンかつノンアンチモンであり、充填剤の割合が高い場合でもリードフレームとの熱膨張係数の差が小さく、高温時における弾性率低減効果による耐半田リフロー性に優れ、かつ、耐熱衝撃性に優れ、銅腐食の可能性となる硫黄を含まない封止用エポキシ樹脂組成物及び、これにより封止した素子を備えてなる電子部品装置を提供することができる。すなわち、本発明による封止用エポキシ樹脂組成物は、通常の低吸湿性を実現させるために、高充填剤率としてもリードフレームとの膨張係数に大きな差が生じず、耐熱衝撃性に優れた電子部品装置等の製品を得ることができ、その工業的価値は大である。更に、高温時における弾性率の低減効果も高く、この点においても耐半田リフロー性を向上させるエポキシ樹脂成形材料の設計に対し、極めて有効である。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)トリメリット酸エステルを含有することを特徴とする。
以下、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
(C)トリメリット酸エステル
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、(C)トリメリット酸エステルを含有することが重要であり、それによって、耐半田リフロー性を向上させ、かつ耐熱衝撃性に優れた封止用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
本発明でにおいて用いられる、(C)トリメリット酸エステルとは、トリメリット酸のカルボキシル基の1つ以上をエステル化した化合物であり、例えば下記一般式(I)で示される。
Figure 2011026399
上記一般式(I)のR,R,Rは、水素原子又は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル等の炭素数1〜20のアルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、封止用エポキシ樹脂組成物の可塑性を考慮すると、炭素数5以上の炭化水素基であることが好ましく、封止用エポキシ樹脂組成物の流動性の観点からは、炭素数10以下の炭化水素基であることが好ましい。また、これらの炭化水素基は直鎖であっても、分鎖であっても構わない。前記R、R、Rは、全て同一、一部同一、又は互いに異なっていてもよいが、全てが水素原子である場合を除く。このようなトリメリット酸エステルの市販品として、例えば、R〜Rが全てn−オクチル基(−C17)であるDIC株式会社製商品名:W−755、R〜Rが全て2−エチルヘキシル基(−CHCH(C)(n−C))であるDIC株式会社製商品名:W−705がある。
(C)トリメリット酸エステルの含有量は、封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.05〜3.0質量%、より好ましくは0.5〜2.0質量%、特に好ましくは0.75〜1.5質量%である。前記含有量を0.05質量%以上にすることにより、(C)トリメリット酸エステルの添加効果がはっきり発現し、耐熱衝撃性試験における効果が得られ、また流動性の向上も見られ易くなる。また、前記含有量を3.0質量%以下にすることにより、硬化性が悪化せず、樹脂封止に必要な熱時硬度を維持し易くなる。
(A)エポキシ樹脂
本発明で用いられる(A)エポキシ樹脂は、従来公知のエポキシ樹脂を使用することができる。使用可能なエポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル;
スチルベン型エポキシ樹脂;
ハイドロキノン型エポキシ樹脂;
フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;
ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物;
ナフタレン環を有するエポキシ樹脂;
キシリレン骨格、ビフェニレン骨格を含有するフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;
トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;
テルペン変性エポキシ樹脂;
オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;
脂環族エポキシ樹脂;
硫黄原子含有エポキシ樹脂;などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて併用して用いてもよい。
本発明では、(C)トリメリット酸エステルの添加効果をより発揮できる点で、エポキシ樹脂としてフェノール・アラルキル型エポキシ樹脂を含むことが好ましく、耐半田リフロー性と硬化性が特に向上する。さらに、フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂とビフェニル型エポキシ樹脂を併用することにより、耐半田リフロー性と硬化性の向上に加え、流動性にも優れる点でより好ましい。
フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(II)中、R〜Rは全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(II)において、R〜Rとしては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基;などが挙げられ、これらのなかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
一般式(II)で示されるフェノール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、R〜Rの全てが水素原子である日本化薬株式会社製商品名:NC−2000L等が市販品として入手可能である。
上記フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
また、流動性及び耐半田リフロー性の観点からはビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性の観点からはビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましく、耐半田リフロー性の観点からはビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(IV)中、R〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(IV)において、R〜Rとしては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;などが挙げられ、これらのなかでも、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記一般式(IV)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4´−ビフェノール又は4,4´−(3,3´,5,5´−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:エピコートYX−4000等が市販品として入手可能である。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(V)中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(V)において、R〜Rとしては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基;などが挙げられ、これらのなかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
上記一般式(V)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、R、R、R及びRがメチル基で、R、R、R及びRが水素原子であり、n=0を主成分とする東都化成株式会社製商品名:YSLV−80XY等が市販品として入手可能である。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
スチルベン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(VI)中、R〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5の一価の炭化水素基であり、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(VI)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。
この原料であるスチルベン系フェノール類としては、たとえば3−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−tert−ブチル−5,5´−ジメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−tert−ブチル−6,6´−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、及び4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記スチルベン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
硫黄原子含有エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(VII)中、R〜Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(VII)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R、R、R及びRが水素原子で、R、R、R及びRがアルキル基であるエポキシ樹脂が好ましく、R、R、R及びRが水素原子で、R及びRがtert−ブチル基で、R及びRがメチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、東都化成株式会社製商品名:YSLV−120TE等が市販品として入手可能である。これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で併用に用いても2種以上を組合わせて併用に用いてもよい。
上記硫黄原子含有エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(VIII)中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(VIII)中のRとしては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;などが好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製商品名:EOCN−1020等が市販品として入手可能である。
上記ノボラック型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(IX)中、R及びRは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記一般式(IX)中のRとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基;などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、これらのなかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。Rとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基;などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、これらのなかでも水素原子が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、大日本インキ化学工業株式会社製商品名:HP−7200等が市販品として入手可能である。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(X)中、R〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12の一価の炭化水素基であり、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、l、mはそれぞれ0〜11の整数であって、(l+m)が1〜11の整数でかつ(l+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
上記一般式(X)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。一般式(X)において、R、Rが水素原子で、Rがメチル基であるエポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製商品名:NC−7000等が市販品として入手可能である。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(XI)中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
一般式(XI)において、Rが水素原子であるエポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:E−1032等が市販品として入手可能である。
上記トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
ビフェニレン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(XII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
一般式(XII)式、R〜Rは全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基;から選ばれ、これらのなかでも水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。ビフェニレン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製商品名:NC−3000が市販品として入手可能である。
上記ビフェニレン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
また、前述したように、本発明では、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂とフェノール・アラルキル型エポキシ樹脂を併用することにより、耐半田リフロー性と硬化性の向上に加え、流動性にも優れる点でより好ましく、両者の配合割合は、ビフェニル型エポキシ樹脂:フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂が3:7〜7:3とすることが好ましい。
ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(XIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(XIII)中、R〜Rは水素原子及び置換を有していてもよい炭素数1〜12の一価の炭化水素基であり、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは1〜10の整数を示す。)
ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、東都化成株式会社製商品名:ESN−175等が市販品として入手可能である。
上記ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよい。
また、本発明では(A)エポキシ樹脂として、下記一般式(XIV)のエポキシ樹脂も使用することができる。
Figure 2011026399
(一般式(XIV)中のRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基及び置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜4の整数を示す。またRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基及び置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。mは0〜2の整数を示す。)
上記一般式(XIV)で示されるエポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(XV)〜(XXXIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
Figure 2011026399
なかでも、難燃性、成形性の観点からは上記一般式(XV)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としてはジャパンエポキシレジン社製商品名:YL−7172等が入手可能である。
上記一般式(XIV)で示されるエポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
また、本発明では、(A)エポキシ樹脂として、下記一般式(XXXIV)で示される化合物を使用することもできる。
Figure 2011026399
(一般式(XXXIV)中のR1は、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。R2、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。
nは1〜20の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
一般式(XXXIV)中、mは1〜2であることが難燃性、硬化性の観点から好ましい。一般式(XXXIV)で示される化合物はインドール類と架橋剤を酸触媒下で反応させた後、エピハロヒドリン化合物と反応させることにより得られる。インドール類の置換基Rとしては水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n−アミル基、sec−アミル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;ビニルエーテル基、アリルオキシ基などのアルケニルオキシ基;エチン基、プロパルギル基などのアルキニル基;プロパルギルエーテル基などのアルキニルオキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基;等が挙げられる。これらのなかでも、好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。架橋剤と反応させて得られる下記一般式(a)の架橋基としてはp−キシリレン基、m−キシリレン基、1,4−ビスエチリデンフェニレン基、1,3−ビスエチリデンフェニレン基、1,4−ビスイソプロピリデンフェニレン基、1,3−イソプロピリデンフェニレン基、4,4‘−ビスメチレンビフェニレン基、3,4’−ビスメチレンビフェニレン基、3,3‘−ビスメチレンビフェニレン基、4,4’−ビスエチリデンビフェニレン基、3,4‘−ビスエチリデンビフェニレン基、3,3’−ビスエチリデンビフェニレン基、4,4‘−ビスイソプロピリデンビフェニレン基、3,4’−ビスイソプロピリデンビフェニレン基、3,3‘−ビスイソプロピリデンビフェニレン基が挙げられる。また架橋剤としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン等のアルデヒド類、ケトン類を併用してもよい。nは1〜20の整数を示すが、好ましくは1〜5である。酸触媒としては塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素酸、イオン交換樹脂、活性白土、シリカアルミナ、ゼオライト等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(a)中のR2、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。mは1〜3の整数を示す。)
一般式(XXXIV)で示される化合物としては、東都化成株式会社製商品名:ENP−80等が入手可能である。一般式(XXXIV)で示される化合物の軟化点は好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜160℃、さらに好ましくは60〜120℃である。40℃未満の場合、硬化性が低下し、200℃を超える場合は流動性が低下する傾向にある。ここで軟化点とはJIS−K−6911の環球法に基づき測定される軟化点を示す。
上記一般式(XXXIV)のエポキシ樹脂の配合量は、各々の観点で性能を発揮するためには、エポキシ樹脂全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、60質量%以上とすることがさらに好ましい。
本発明では、耐半田リフロー性の観点からは、下記一般式(b)で示されるエポキシ樹脂を使用することが好ましい。
Figure 2011026399
(ここで、R、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜2のアルコキシ基から選ばれ、互いに同一であっても異なってもよい。nは0〜10の整数を示す。)
Figure 2011026399
上記硬化剤の中でも、Rがメチル基で、Rがメトキシ基である上記一般式(b−1)で示されるエポキシ樹脂が耐半田リフロー性に優れることから好ましく、このような樹脂としてはDIC株式会社製商品名:HP−5000等が入手可能である。
上記一般式(b)のエポキシ樹脂の配合量は、耐半田リフロー性の観点から、エポキシ樹脂全中、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。また、上記一般式(b)のエポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂と併用することが好ましい。
また、本発明では難燃性と成形性の観点から、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビフェニル型エポキシ樹脂の混合物を用いることが好ましく、両者の混合割合は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシが3:7〜9:1であることが好ましく、5:5〜8:2であることが好ましい。そのようなエポキシ樹脂の混合物としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:YL−7399が市販品として入手可能である。前記エポキシ樹脂の混合物の配合量は、エポキシ樹脂全中、50質量%以上とすることが好ましい。
(B)硬化剤
本発明で用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール・ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;
これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂;などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、難燃性、成形性の観点からは下記一般式(XXXV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が好ましい。
Figure 2011026399
(一般式(XXXV)中、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
一般式(XXXV)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。このような化合物としては三井化学株式会社製商品名:XLC等が市販品として入手可能である。これらのアラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましい。
ナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXVI)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
上記一般式(XXXVI)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえばR、Rが全て水素原子である化合物等が挙げられ、このような化合物としては、新日鐵化学株式会社製商品名:SN−170が市販品として入手可能である。
ナフトール・アラルキル樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXVII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(XXXVII)中、R及びRは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
及びRが水素原子である上記化合物としては、新日本石油化学株式会社製商品名:DPP等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
反り低減という観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましい。トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXVIII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
(一般式(XXXVIII)中、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
Rが水素原子である上記化合物としては、明和化成株式会社製商品名:MEH−7500等が市販品として入手可能である。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂の配合量は、(B)硬化剤全量に対して10〜50質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましい。10質量%以上であると反り低減効果が良好となり、50質量%以下であると難燃性が良好となる。
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえばフェノール・ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでもフェノール・ノボラック樹脂が好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXIX)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011026399
上記一般式(XXXIX)中のR〜Rは全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基;などから選ばれ、これらのなかでも水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。
上記一般式(XXXIX)で示されるビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえばR〜Rが全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50質量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。
このような化合物としては、明和化成株式会社製商品名:MEH−7851、MEH−7800が市販品として入手可能である。
ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して、30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが特に好ましい。
上記のアラルキル型フェノール樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
上記フェノール樹脂の中でも、流動特性及び接着力の向上の観点から、ビフェニレンフェノール・アラルキル樹脂を用いることが好ましく、硬化性の観点から、ノボラック型フェノール樹脂を用いることが好ましく、難燃性及び成形性の観点からフェノール・アラルキル樹脂を用いることが好ましい。
本発明においては下記一般式(XXXX)で示される化合物を含むこともできる。
Figure 2011026399
(一般式(XXXX)中のR1は水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、R2は水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜10の整数を示す。)
一般式(XXXX)で示される化合物は、フェノール化合物と芳香族アルデヒド及びビフェニレン化合物を酸触媒の存在下で反応させることにより得られる。フェノール化合物としてはフェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール等の置換フェノール類が用いられる。芳香族アルデヒドは芳香族に結合した1個のアルデヒド基を持った芳香族化合物である。芳香族アルデヒドとしてはベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、tert−ブチルベンズアルデヒド等が挙げられる。またビフェニレン化合物としてはビフェニレングリコール、ビフェニレングリコールジメチルエーテル、ビフェニレングリコールジエチルエーテル、ビフェニレングリコールジアセトキシエステル、ビフェニレングリコールジプロピオキシエステル、ビフェニレングリコールモノメチルエーテル、ビフェニレングリコールモノアセトキシエステル等が挙げられる。特にビフェニレングリコール、ビフェニレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
また下記一般式(a)で示されるビフェニレン化合物も用いることができる。
Figure 2011026399
一般式(XXXX)で示される化合物としては、エア・ウォーター株式会社製商品名:HE−610C、620C等が入手可能である。
一般式(XXXX)で示される化合物の配合量は、(B)硬化剤全量に対して50〜90質量%であり、70〜85質量%が好ましい。50質量%以上であると難燃性が良好となり、90質量%以下であると反り低減効果が良好となる。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には難燃性を向上させる観点から、アセナフチレンを含有してもよい。アセナフチレンはアセナフテンを脱水素して得ることができるが、市販品を用いてもよい。また、アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物として用いることもできる。アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物を得る方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等が挙げられる。また、重合に際しては従来公知の触媒を用いることができるが、触媒を用いずに熱だけで行うこともできる。この際、重合温度は80〜160℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。得られるアセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物の軟化点は、60〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。60℃より低いと成形時の染み出しにより成形性が低下する傾向にあり、150℃より高いと樹脂との相溶性が低下する傾向にある。
アセナフチレンと共重合させる他の芳香族オレフィンとしては、スチレン、α−メチルスチレン、インデン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル又はそれらのアルキル置換体等が挙げられる。また、上記した芳香族オレフィン以外に本発明の効果に支障の無い範囲で脂肪族オレフィンを併用することもできる。脂肪族オレフィンとしては、(メタ)アクリル酸及びそれらのエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、フマル酸及びそれらのエステル等が挙げられる。これら脂肪族オレフィンの使用量は重合モノマー全量に対して20質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましい。
さらに、アセナフチレンとして、(B)硬化剤の一部又は全部と予備混合されたアセナフチレンを含有することもできる。(B)硬化剤の一部又は全部と、アセナフチレン、アセナフチレンの重合物及びアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物の1種以上とを予備混合したものを用いてもよい。予備混合の方法としては、(B)硬化剤及びアセナフチレン成分をそれぞれ微細に粉砕し固体状態のままミキサー等で混合する方法、両成分を溶解する溶媒に均一に溶解させた後溶媒を除去する方法、(B)硬化剤及び/又はアセナフチレン成分の軟化点以上の温度で両者を溶融混合する方法等で行うことができるが、均一な混合物が得られて不純物の混入が少ない溶融混合法が好ましい。溶融混合は、(B)硬化剤及び/又はアセナフチレン成分の軟化点以上の温度であれば制限はないが、100〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。また、溶融混合は両者が均一に混合すれば混合時間に制限はないが、1〜20時間が好ましく、2〜15時間がより好ましい。
(B)硬化剤とアセナフチレンを予備混合する場合、混合中にアセナフチレン成分が重合もしくは(B)硬化剤と反応しても構わない。本発明の封止用エポキシ樹脂組成物中には、アセナフチレン成分の分散性に起因する難燃性向上の観点から前述の予備混合物(アセナフチレン変性硬化剤)が(B)硬化剤中に90質量%以上含まれることが好ましい。
アセナフチレン変性硬化剤中に含まれるアセナフチレン及び/又はアセナフチレンを含む芳香族オレフィンの重合物の量は5〜40質量%が好ましく、8〜25質量%がより好ましい。5質量%より少ないと難燃性が低下する傾向があり、40質量%より多いと成形性が低下する傾向がある。本発明のエポキシ樹脂組成物中に含まれるアセナフチレン構造の含有率は、難燃性と成形性の観点からは0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。0.1質量%より少ないと難燃性に劣る傾向にあり、5質量%より多いと成形性が低下する傾向にある。
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性及び耐半田リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂組成物を得るためには、前記当量比は0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
(その他の成分)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)トリメリット酸エステルに加えて、以下に例示する硬化促進剤、無機充填剤、カップリング剤、難燃剤、陰イオン交換体、離型剤、着色剤、応力緩和剤といったその他の成分を追加してもよい。
(硬化促進剤)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の反応を促進させるために必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤は、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、たとえば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン化合物及びこれらのホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、難燃性、硬化性の観点からは、トリフェニルホスフィンが好ましく、難燃性、硬化性、流動性及び離型性の観点からは第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましい。第三ホスフィン化合物としては、特に限定するものではないが、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィンなどのアルキル基、アリール基を有する第三ホスフィン化合物が好ましい。またキノン化合物としてはo−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等があげられ、なかでも耐湿性、保存安定性の観点からp−ベンゾキノンが好ましい。トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物が離型性の観点からより好ましく、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加物が流動性や耐半田リフロー性に優れている点からより好ましい。
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、封止用エポキシ樹脂組成物に対して0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。前記配合量が0.005質量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、2質量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
(無機充填剤)
本発明では必要に応じて無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上のために封止用エポキシ樹脂組成物に配合されるものであり、封止用エポキシ樹脂組成物に一般的に使用されるものであれば特に制限されるものではない。無機充填剤としては、たとえば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などが挙げられる。ここで、ホウ酸亜鉛としてはU.S.Borax社製商品名:FB−290、FB−500、水澤化学社製商品名:FRZ−500C等が、モリブデン酸亜鉛としてはSherwin−Williams社製商品名:KEMGARD911B、911C、1100等が各々市販品として入手可能である。
これらの無機充填剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、充填性、線膨張係数の低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、無機充填剤の形状は充填性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
無機充填剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減、強度向上及び耐半田リフロー性の観点から、封止用エポキシ樹脂組成物に対して50質量%以上が好ましく、難燃性の観点から60〜95質量%がより好ましく、70〜90質量%がさらに好ましい。
前記配合量が50質量%未満では難燃性及び耐半田リフロー性が低下する傾向があり、95質量%を超えると流動性が不足する傾向があり、また難燃性も低下する傾向にある。
(カップリング剤)
本発明において、無機充填剤を用いる場合、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるために、カップリング剤をさらに配合することが好ましい。カップリング剤としては、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、たとえば、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられる。カップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤;などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、耐半田リフロー性に優れるという点から、エポキシシランとアルキルシランを併用することが好ましい。
また、流動性、金線変形低減、難燃性の観点からは2級アミノ基を有するシラン系カップリング剤が好ましい。2級アミノ基を有するシラン系カップリング剤は分子内に2級アミノ基を有するシラン化合物であれば特に制限はないが、たとえば、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリエトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも下記一般式(III)で示されるアミノシランカップリング剤が特に好ましい。
Figure 2011026399
(一般式(III)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜2のアルコキシ基から選ばれ、Rは炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基から選ばれ、Rはメチル基又はエチル基を示し、nは1〜6の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
カップリング剤の配合量は、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して0.037〜4.75質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜2.5質量%であることがさらに好ましい。前記配合量が0.037質量%未満ではフレームとの接着性が低下する傾向があり、4.75質量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
(難燃剤)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、さらに難燃性を向上する目的で従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を必要に応じて配合することができる。難燃剤としては、たとえば、赤リン、酸化亜鉛等の無機化合物とフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆された赤リン及びリン酸エステル、ホスフィンオキサイド等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
これらのなかでも流動性の観点からは、リン酸エステル、ホスフィンオキサイド及びシクロホスファゼンが好ましい。リン酸エステルはリン酸とアルコール化合物又はフェノール化合物のエステルであれば特に制限はないが、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(2,6ジメチルフェニル)ホスフェート及び芳香族縮合リン酸エステル等が挙げられる。なかでも耐加水分解性の観点からは、下記一般式(XXXXI)で示される芳香族縮合リン酸エステルが好ましい。
Figure 2011026399
上記式(XXXXI)のリン酸エステルを例示すると、下記構造式(XXXXII)〜(XXXXVI)で示されるリン酸エステル等が挙げられる。
Figure 2011026399
これらリン酸エステルの添加量は、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量から無機充填剤を除く他の全配合成分に対して、燐原子の量で0.2〜3.0質量%の範囲内であることが好ましい。前記添加量が0.2質量%より少ない場合は難燃効果が低くなる傾向があり、3.0質量%を超えた場合は成形性、耐湿性の低下や、成形時にこれらのリン酸エステルがしみ出し、外観を阻害する場合がある。
ホスフィンオキサイドを難燃剤として用いる場合、ホスフィンオキサイドとしては下記一般式(XXXXVII)で示される化合物が好ましい。
Figure 2011026399
(一般式(XXXXVII)中、R、R及びRは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び水素原子から選ばれ、すべて同一でも異なってもよい。ただしすべてが水素原子である場合を除く。)
上記一般式(XXXXVII)で示されるリン化合物の中でも、耐加水分解性の観点からはR〜Rが置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、特に好ましくはフェニル基である。
ホスフィンオキサイドの配合量は封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対してリン原子の量が0.01〜0.2質量%であることが好まく、0.02〜0.1質量%であることがより好ましく、0.03〜0.08質量%であることが特に好ましい。前記配合量が0.01質量%未満であると難燃性が低下する傾向があり、0.2質量%を超えると成形性、耐湿性が低下する傾向がある。
シクロホスファゼンとしては主鎖骨格中に次式(XXXXVIII)及び/又は次式(XXXXIX)を繰り返し単位として含む環状ホスファゼン化合物、あるいはホスファゼン環中の燐原子に対する置換位置が異なる次式(XXXXX)及び/又は次式(XXXXXI)を繰り返し単位として含む化合物等が挙げられる。
Figure 2011026399
ここで、式(XXXXVIII)及び式(XXXXX)中のmは1〜10の整数で、R〜Rは置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基、アリール基及び水酸基から選ばれ、全て同一でも異なっていても良い。Aは炭素数1〜4のアルキレン基又はアリーレン基を示す。式(XXXXIX)及び式(XXXXXI)中のnは1〜10の整数で、R〜Rは置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基から選ばれ、全て同一でも異なっていても良く、Aは炭素数1〜4のアルキレン基又はアリーレン基を示す。また、式中m個のR、R、R、Rはm個全てが同一でも異なっていても良く、n個のR、R、R、Rはn個全てが同一でも異なっていても良い。
上記式(XXXXVIII)〜式(XXXXXI)において、R〜Rで示される置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基としては特に制限はないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基等のアルキル基置換アリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基などが挙げられ、さらにこれらに置換する置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアミノ基等が挙げられる。
これらの中で、エポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐湿性の観点からはアリール基が好ましく、より好ましくはフェニル基もしくはヒドロキシフェニル基である。
また、上記式(XXXXVIII)〜式(XXXXXI)中のAで示される炭素数1〜4のアルキレン基又はアリーレン基としては特に制限はないが、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられ、エポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐湿性の観点からはアリーレン基が好ましく、中でもフェニレン基がより好ましい。
環状ホスファゼン化合物は、上記式(XXXXVIII)〜式(XXXXXI)のいずれかの重合物、上記式(XXXXVIII)と上記式(XXXXIX)との共重合物、又は上記式(XXXXX)と上記式(XXXXXI)との共重合物であるが、共重合物の場合、ランダム共重合物でも、ブロック共重合物でも、交互共重合物のいずれでも良い。その共重合モル比m/nは特に限定するものではないが、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性や強度向上の観点から1/0〜1/4が好ましく、1/0〜1/1.5がより好ましい。また、重合度m+nは1〜20であり、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6である。
環状ホスファゼン化合物として好ましいものを例示すると、次式(XXXXXII)の重合物、次式(XXXXXIII)の共重合物等が挙げられる。
Figure 2011026399
(ここで、式(XXXXXII)中のnは、0〜9の整数で、R〜Rはそれぞれ独立に水素又は水酸基を示す。)
Figure 2011026399
ここで、上記式(XXXXXIII)中のm、nは、0〜9の整数で、R〜Rはそれぞれ独立に水素または水酸基から選ばれる。また、上記式(XXXXXIII)で示される環状ホスファゼン化合物は、次に示すm個の繰り返し単位(c)とn個の繰り返し単位(d)を交互に含むもの、ブロック状に含むもの、ランダムに含むもののいずれであってもかまわないが、ランダムに含むものが好ましい。
Figure 2011026399
中でも、上記式(XXXXXII)でmが3〜6の重合体を主成分とするものや、上記式(XXXXXIII)でR〜Rが全て水素又は1つが水酸基であり、m/nが1/2〜1/3で、m+nが3〜6の共重合体を主成分とするものが好ましい。また、市販のホスファゼン化合物としては、大塚化学株式会社製商品名:SPE−100が入手可能である。
複合金属水酸化物を難燃剤として用いる場合、複合金属水酸化物は下記組成式(XXXXXIV)で示される化合物が好ましい。
p(MaOb)・q(McOd)・r(MeOf)・mHO (XXXXXIV)
(組成式(XXXXXIV)中、M、M及びMは互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、e、f、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
なかでも、上記組成式(XXXXXIV)中のrが0である化合物、すなわち、下記組成式(XXXXXV)で示される化合物がさらに好ましい。
m(MaOb)・n(McOd)・lHO (XXXXXV)
(組成式(XXXXXV)中、M及びMは互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、m、n及びlは正の数を示す。)
上記組成式(XXXXXIV)及び(XXXXXV)中のM、M及びMは互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、MとMが同一とならないようにMが第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、MがIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、Mがマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、Mが鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、Mがマグネシウム、Mが亜鉛又はニッケルであることが好ましく、MがマグネシウムでMが亜鉛であることがより好ましい。
上記組成式(XXXXXIV)中のp、q、rのモル比は本発明の効果が得られれば特に制限はないが、r=0で、p及びqのモル比p/qが99/1〜50/50であることが好ましい。すなわち、上記組成式(XXXXXV)中のm及びnのモル比m/nが99/1〜50/50であることが好ましい。
市販品としては、例えば、上記組成式(XXXXXV)のMがマグネシウム、Mが亜鉛で、mが7、nが3、lが10で、a、b、c及びdが1である水酸化マグネシウム・水酸化亜鉛固溶体複合金属水酸化物(タテホ化学工業株式会社製商品名:エコーマグZ−10)を使用できる。なお、金属元素とは半金属元素といわれるものも含めるものとし、非金属元素を除く全ての元素をさす。
なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期率表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。
複合金属水酸化物の形状は特に制限はないが、流動性、充填性の観点からは、平板状より、適度の厚みを有する多面体形状が好ましい。複合金属水酸化物は、金属水酸化物と比較して多面体状の結晶が得られやすい。
複合金属水酸化物の配合量は特に制限はないが、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して0.5〜20質量%であることが好ましく、0.7〜15質量%であることがより好ましく、1.4〜12質量%であることがさらに好ましい。前記配合量が0.5質量%未満では難燃性が不十分となる傾向があり、20質量%を超えると流動性及び耐半田リフロー性が低下する傾向がある。
トリアジン環を有する化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物を共縮重合させたものが、難燃性、銅フレームとの接着性の観点から好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の多価フェノール類、フェニルフェノール、アミノフェノール、又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類あるいはこれらのフェノール性水酸基を有する化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂等がある。中でも、成形性の観点からはフェノール、クレゾール、あるいはこれらとホルムアルデヒドとの共縮重合物が好ましい。また、トリアジン誘導体としては分子中にトリアジン核を有するものであれば特に限定はなく、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のグアナミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート等のシアヌル酸誘導体が挙げられ、1種類のみまたは2種類以上の併用も可能である。これらのなかでも、成形性、信頼性の観点からはメラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン誘導体が好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物に対するアルデヒド基を有する化合物の配合量は、モル比(アルデヒド基を有する化合物(モル)/フェノール性水酸基を有する化合物(モル))で0.05〜0.9であることが好ましく、0.1〜0.8であることがより好ましい。前記配合量が0.05未満ではフェノール性水酸基に対するアルデヒド基を有する化合物の反応が起こりにくく、未反応フェノールが残りやすく、生産性が悪く、0.9を超えると合成中ゲル化しやすくなる。
フェノール性水酸基を有する化合物に対するトリアジン誘導体の配合量は1〜30質量%とすることが好ましく、さらには5〜20質量%とすることがより好ましい。前記配合量が1質量%未満では難燃性に乏しく、30質量%を超えると軟化点が高くなり、組成物作製時の混練性が低下する傾向がある。トリアジン誘導体に対するアルデヒド基を有する化合物の配合量(モル比)は特に制限はない。
フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の合成時の反応温度は特に制限はないが、60〜120℃で行うことが好ましい。また反応のpHは3〜9が好ましく、4〜8がさらに好ましい。pHが3未満では合成中に樹脂がゲル化し易く、9より高いとフェノール樹脂とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合が起こりにくくなり、製造した樹脂の窒素含有量が低くなる。
必要に応じてフェノール性水酸基を有する化合物にアルデヒド基を有する化合物、トリアジン誘導体を反応させた後、常圧または減圧下での加熱蒸留等で、未反応のフェノール性水酸基を有する化合物及びアルデヒド基を有する化合物等を除去することができる。この時未反応のフェノール性水酸基を有する化合物の残存量が3%以下であることが好ましい。前記残存量が3%を超える場合は成形性が低下しがちである。
また得られた共縮重合物の軟化点は40〜150℃であることが好ましい。前記軟化点が40℃未満であるとブロッキングしやすく、150℃を超える場合は組成物の混練性が低下する傾向がある。このフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物を例示するならば、下記構造式(XXXXXVI)〜(XXXXXXI)のものが挙げられる。
Figure 2011026399
フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の数平均分子量は500〜1000であることが好ましく、550〜800がさらに好ましい。前記数平均分子量が500未満であると成形性、耐リフロークラック性が低下し、1000を超える場合は流動性が低下しがちである。またフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の重量平均分子量は、1500〜10000であることが好ましく、1700〜7000がさらに好ましい。前記重量平均分子量が1500未満であると耐リフロークラック性が低下し、10000を超える場合は流動性が低下しがちである。さらに、このフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の分子量分布Mw/Mnは2.0〜10.0であることが好ましく、3.0〜6.0がさらに好ましい。前記分子量分布が2.0未満であると耐リフロークラック性が低下し、10.0を超える場合は流動性が低下しがちである。
上記共縮重合物の中でもフェノール樹脂とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共重縮合物であることが、耐半田リフロー性の観点からより好ましい。ここで用いられるフェノール樹脂としては組成物で一般に使用されているものであれば特に限定はなく、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の多価フェノール類、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類又はフェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール誘導体とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂等がある。これらのなかでも、成形性の観点からはフェノールとホルムアルデヒドとの重縮合物であるフェノール・ノボラック樹脂が好ましい。
フェノール樹脂は上記に列挙したようなものであれば、特にその合成方法は限定するものではないが、下記に示す方法により合成したものを用いた場合、その分子量、分子量分布を本発明で記載する好ましい範囲のものとして合成可能であるという点で、好適である。すなわち、フェノール樹脂を合成する際、フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物の使用割合は、フェノール誘導体1モルに対してアルデヒド基を有する化合物が0.01〜2.0モルとすることが好ましく、0.05〜1.0モルとすることがより好ましい。前記使用割合が0.01モル未満では、反応が不十分となり、分子量が上がらず、成形性、耐熱性、耐水性、難燃性、強度等が低下する傾向があり、2.0モルを超えると、分子量が大きくなりすぎて、混練性が低下する傾向がある。
この反応温度は、80〜220℃とすることが好ましく、100〜180℃とすることがより好ましい。反応温度が80℃未満では、反応性が不充分となり、分子量が小さく、成形性が低下する傾向があり、220℃を越えるとフェノール樹脂を合成する際に、生産設備的に不利となる傾向がある。反応時間は、1〜30時間程度とすることが好ましい。
また、必要に応じてトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系触媒、p−トルエンスルホン酸、蓚酸等の酸触媒、水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ触媒などを、フェノール誘導体1モルに対して、0.00001〜0.01モル程度使用してもよい。また、反応系のpHは、1〜10程度とするのが好ましい。
このようにして、フェノール誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を反応させた後、必要に応じて、未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去することができるが、その条件は、一般的に、温度が80〜220℃、望ましくは100〜180℃、圧力が100mmHg以下、望ましくは60mmHg以下、時間が0.5〜10時間とすることが好ましい。
フェノール樹脂に、トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を添加し、反応させる際のトリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物の使用割合は、フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物との重縮合物(フェノール樹脂)(未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去したもの、あるいは前記除去を行っていないもの(この場合は、未反応フェノールも重縮合物の重量に含むこととする))100g対して、トリアジン誘導体を3〜50gとすることが好ましく、4〜30gとすることがより好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物は、重縮合物(フェノール樹脂)100g対して、5〜100gとすることが好ましく、6〜50gとすることがより好ましい。トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を上記のような範囲とすることで、最終的に得られる重縮合物の分子量分布、窒素含有量を所望の範囲に容易に調整することができる。
反応温度は、50〜250℃とすることが好ましく、80〜170℃とすることがより好ましい。反応温度が50℃未満では、反応が不充分となり、分子量が上がらず、成形性、耐熱性、耐水性、難燃性、強度等が低下する傾向があり、250℃を越えると合成する際に、生産設備的に不利となる傾向がある。反応時間は、1〜30時間程度とすることが好ましい。
また、必要に応じてトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系触媒、蓚酸等の酸触媒を、フェノール誘導体1モルに対して、0.00001〜0.01モル程度使用してもよい。
また、反応系のpHは、1〜10程度とすることが好ましい。フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物との重縮合物(フェノール樹脂)と、トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物との反応の後、未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去することができるが、その条件は、温度が80〜180℃、圧力が100mmHg以下、望ましくは60mmHg以下、時間が0.5〜10時間とすることが好ましい。合成に用いるトリアジン誘導体としては分子中にトリアジン核を有する化合物であれば特に限定はなく、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のグアナミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート等のシアヌル酸誘導体等が挙げられ、1種類のみまたは2種類以上の併用も可能である。中でも、成形性、信頼性の観点からはメラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン誘導体が好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
また本発明では反り低減の観点からケイ素含有重合物を含有してもよい。ケイ素含有重合物としては下記の結合(e)及び(f)を有し、末端がR、水酸基及びアルコキシ基から選ばれた官能基であり、エポキシ当量が500〜4000であれば特に制限はないが、このような重合物として例えば分岐状ポリシロキサンなどが挙げられる。
Figure 2011026399
(ここで、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中の全Rはすべてが同一でも異なっていてもよい。Xはエポキシ基を含む1価の有機基を示す。)
上記一般式(e)及び(f)中のRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;等が挙げられ、これらのなかでもメチル基又はフェニル基が好ましい。
また、上記一般式(f)中のXとしては2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシ基を有するアルキル基が挙げられ、これらのなかでも3−グリシドキシプロピル基が好ましい。
また、ケイ素含有重合物の末端は重合物の保存安定性の点から前述のR、水酸基及びアルコキシ基のいずれかである必要がある。この場合のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられる。さらに、ケイ素含有重合物のエポキシ当量は、500〜4000の範囲であることが好ましく、より好ましくは1000〜2500である。500より小さいと封止用エポキシ樹脂組成物の流動性が低下する傾向にあり、4000より大きいと硬化物表面に染み出しやすく、成形不良を起こし易い傾向にある。ケイ素含有重合物はさらに下記の結合(g)を有することが得られる封止用エポキシ樹脂組成物の流動性と低反り性の両立の観点から好ましい。
Figure 2011026399
(ここで、Rは置換基を有していても良い炭素数1〜12の1価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中のRはすべてが同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(g)中のRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;等が挙げられ、これらのなかでもメチル基またはフェニル基が好ましい。
このようなケイ素含有重合物の軟化点は40℃〜120℃に設定されることが好ましく、50℃〜100℃に設定されることがより好ましい。前記軟化点が440℃より低いと得られる封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物の機械強度が低下する傾向にあり、120℃より高いと封止用エポキシ樹脂組成物中へのケイ素含有重合物の分散性が低下する傾向にある。ケイ素含有重合物の軟化点を調整する方法としては、ケイ素含有重合物の分子量、構成結合単位(例えば(e)〜(g)含有比率等)、ケイ素原子に結合する有機基の種類を設定することで可能であるが、特に封止用エポキシ樹脂組成物へのケイ素含有重合物の分散性及び得られる封止用エポキシ樹脂組成物の流動性の観点からケイ素含有重合物中のアリール基の含有量を設定して軟化点を調整することが好ましい。この場合のアリール基とは、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基がより好ましい。ケイ素含有重合物中のケイ素原子に結合した一価の有機基中のフェニル基の含有量を、好ましくは60モル%〜99モル%、より好ましくは70モル%〜85モル%に設定することで所望の軟化点を有するケイ素含有重合物を得ることができる。
ケイ素含有重合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値で、好ましくは1000〜30000、より好ましくは2000〜20000、さらに好ましくは3000〜10000である。また。ケイ素含有重合物は、ランダム共重合体であることが好ましい。
このようなケイ素含有重合物は以下に示す製造方法により得ることができるが、市販品としては東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名:AY42−119が入手可能である。
ケイ素含有重合物の製造方法は、特に制限なく公知の方法で製造することができる。例えば、加水分解縮合反応により上記(e)〜(g)単位を形成し得るオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、シロキサン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を原料及び反応生成物を溶解可能な有機溶剤と原料のすべての加水分解性基を加水分解可能な量の水との混合溶液中に混合し、加水分解縮合反応させて得ることができる。この際、封止用エポキシ樹脂組成物中に不純物として含有される塩素量を低減させるためにオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンを原料とすることが好ましい。この場合、反応を促進する触媒として、酸、塩基、有機金属化合物を添加することが好ましい。
ケイ素含有重合物の原料となるオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、およびこれらの加水分解縮合物等が挙げられる。
ケイ素含有重合物の含有量は封止用エポキシ樹脂組成物全体の総質量に対して0.2質量%〜1.5質量%であることが好ましく、0.3質量%〜1.3質量%であることがさらに好ましい。前記含有量が0.2質量%より少ないとケイ素含有重合物の添加効果が見られにくく、1.5質量%より多いと得られる封止用エポキシ樹脂組成物の熱時硬度が低下する傾向にある。
また、本発明では必要に応じて下記組成式(XXXXXXII)で表される化合物及び/又は下記組成式(XXXXXXIII)で表される化合物をIC等の半導体素子の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から含有することができる。
Mg1−XAl(OH)(COx/2・mHO (XXXXXXII)
(0<X≦0.5、mは正の数)
BiO(OH)(NO (XXXXXXIII)
(0.9≦x≦1.1 0.6≦y≦0.8 0.2≦z≦0.4)
なお、上記式(XXXXXXII)の化合物は市販品として協和化学工業株式会社製商品名:DHT−4Aとして入手可能である。また、上記式(XXXXXXIII)の化合物は市販品として東亜合成株式会社製商品名:IXE500として入手可能である。また必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤としては、特に制限はなく従来公知のものを用いることができる。例えば、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤としては、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を用いることができる。
応力緩和剤としては、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを用いることができる。
(封止用エポキシ樹脂組成物の調製)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合することにより調製できる。難燃性の観点から(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤を予め溶融混合して用いることが好ましい。溶融混合する方法は特に制限は無いが、両者あるいは一方が溶融する温度以上に加熱して、攪拌し、均一になるまで混合する。
この際、ゲル化しないよう、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、FT−IR等を使用して反応性を確認し、最適な条件を設定することが好ましい。通常80〜120℃、好ましくは90〜120℃で10〜60分、より好ましくは20〜40分攪拌溶融混合することが好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機、らいかい機、プラネタリミキサ等によって混合又は溶融混練した後、冷却し、必要に応じて脱泡、粉砕する方法等を挙げることができる。また、必要に応じて成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化してもよい。
(電子部品装置)
本発明の電子部品装置は、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えてなるものである。電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材や実装基板に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止した、電子部品装置等が挙げられる。
ここで、実装基板としては特に制限するものではなく、たとえば、有機基板、有機フィルム、セラミック基板、ガラス基板等のインターポーザ基板、液晶用ガラス基板、MCM(Multi Chip Module)用基板、ハイブリットIC用基板等が挙げられる。
このような素子を備えた電子部品装置としては、たとえば半導体装置が挙げられ、具体的には、リードフレーム(アイランド、タブ)上に半導体チップ等の素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形などにより封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の樹脂封止型IC、テープキャリアにリードボンディングした半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)、COG(Chip On Glass)等のベアチップ実装した半導体装置、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したハイブリッドIC、MCM(Multi Chip Module)マザーボード接続用の端子を形成したインターポーザ基板に半導体チップを搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより半導体チップとインターポーザ基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で半導体チップ搭載側を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、これらの半導体装置は、実装基板上に素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の素子を一度に封止用エポキシ樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を封止材として用いて、半導体装置等の電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等も挙げられる。ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等を用いてもよい。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[封止用エポキシ樹脂組成物の作製]
(実施例1〜16、比較例1〜10)
以下の成分をそれぞれ表1〜表5に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行うことによって、実施例1〜16、比較例1〜10の封止用エポキシ樹脂組成物を作製した。なお、無機充填剤の含有量は、封止用エポキシ樹脂組成物の総重量に対して80体積%である。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂1:エポキシ当量261のビスフェノールA型エポキシ樹脂とビフェニル型エポキシ樹脂の混合物(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:YL−7399)
エポキシ樹脂2:エポキシ当量250の2−メトキシナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製商品名:HP−5000)
エポキシ樹脂3:エポキシ当量238、軟化点52℃のフェノール・アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製商品名:NC−2000L)
エポキシ樹脂4:エポキシ当量238、軟化点52℃のエポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:エピコートYX−4000H)
(B)硬化剤
硬化剤1:水酸基当量175、軟化点66℃のビフェニレン骨格型フェノール樹脂(明和化成株式会社製商品名:MEH−7800)
(C)トリメリット酸エステル
トリメリット酸エステル1:下記構造式(XXXXXXXIV)で表される分鎖型トリメリット酸エステル(DIC社製商品名:W−705)
トリメリット酸エステル2:下記構造式(XXXXXXV)で表される直鎖型トリメリット酸エステル(DIC社製商品名:W−755)
(硬化促進剤)
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加物
(カップリング剤)
カップリング剤1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウシリコーン株式会社製商品名:A−187)
カップリング剤2:メチルトリメトキシシラン(東レダウシリコーン株式会社製商品名:A−163)
(無機充填剤)
溶融シリカ:平均粒径16.0μm、比表面積2.1m/gの球状溶融シリカ
(離型剤)
ポリエチレンワックス(クラリアント社製)
ヘキストワックス(ヘキスト社製)
(応力緩和剤)
シリコーン(北興化学社製)
(着色剤)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名:MA−100)
(添加剤)
添加剤1:インデンオリゴマー(新日鉄化学社製商品名:I−100)
添加剤2:ジフェニルジスルフィド(大内新興化学社製商品名:ノクタイザーSS)
添加剤3:コアシェル型可とう化剤(三菱レーヨン社製商品名:SRK−200E)
添加剤4:リン酸エステル(大八化学社製商品名:PX−200)
添加剤5:エポキシ化大豆油(旭電化工業社製商品名:O−130P)
添加剤6:シリコーンポリカプロラクトンブロック共重合体(旭化成ワッカーシリコーン社製商品名:WAXOH−350)
添加剤7:ポリエーテルシリコーン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製商品名:BY16−876)
添加剤8:ビス(2−エチルヘキシル)フタレート(大八化学工業社製商品名:DOP)
Figure 2011026399
Figure 2011026399
[封止用エポキシ樹脂組成物の特性評価]
実施例1〜16及び比較例1〜11で作製した封止用エポキシ樹脂組成物の特性を、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表1〜表5に示す。
なお、封止用エポキシ樹脂組成物の成形は、トランスファ成形機を用い、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行なった。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ樹脂組成物をトランスファ成形機により、上記成形条件で成形し、流動距離(inch)を求めた。
(2)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で、直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計(アスカー製、タイプDデュロメータ)を用いて測定した。
(3)吸水率
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で、直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し(JIS K6911に準拠)、85℃/85%RHの条件で加湿を行い、168時間後に取り出して加湿前後の重量を測定し、吸水率を求めた。
(4)ガラス転移温度(Tg)及び線膨張係数(α、α
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で成形し、19mm×3mm×3mmの形状の試験片を作製した。理学電機製熱機械分析装置(TAS−100)を用い、試験片について昇温速度5℃/minの条件下で測定した線膨張曲線の屈曲点よりガラス転移温度(以下、Tgと略す)を求めた。
また、Tg以下の傾きとTg以上の傾きからそれぞれ線膨張係数(以下、前者をα、後者をαと略す)を求めた。
(5)曲げ試験(弾性率)
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で成形し、70mm×10mm×3mmの形状の試験片を作製した。A&D社製テンシロンを用い、JIS−K−6911に準拠した3点支持型曲げ試験を室温及び260℃にて行い、試験片の曲げ弾性率Eを以下式により求めた。
Figure 2011026399
E:曲げ弾性率(Pa)
p:ロードセルの値(N)
y:変位量(mm)
l:スパン=48mm
w:試験片幅=10mm、
h:試験片厚さ=3mm
(6)難燃性
厚さ1/16インチの試験片を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で成形して、さらに180℃で5時間後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
(7)耐半田リフロー性
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、リード先端銀メッキ処理品)を、封止用エポキシ樹脂組成物を用いて上記成形条件で成形して、さらに180℃で5時間後硬化を行い、試験パッケージを作製した。85℃、85%RH、
168時間の条件で試験パッケージを加湿して、230℃で10秒、240℃で10秒、又は250℃で10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を観察し、試験パッケージ数(10個)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(8)耐熱衝撃性試験
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、リード先端銀メッキ処理品)を、封止用エポキシ樹脂組成物を用いて上記成形条件で成形して、さらに180℃で5時間後硬化を行い、試験パッケージを作製した。30℃、60%RH、168時間の条件で試験パッケージを前処理し、温度サイクル試験(−65℃で15分処理と+150℃で15分処理を1サイクルとする)を行った。ここで、200サイクル、500サイクル終了時のチップ剥離の状態を日立建機株式会社製、超音波探査映像装置「HYE−FOCUS」により観測した。試験パッケージ数(10個)に対するチップ剥離発生パッケージ数で評価を行った。
Figure 2011026399
Figure 2011026399
Figure 2011026399
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Figure 2011026399
表1〜5の結果に基づいて、本発明例と比較例について考察する。
まず、(C)トリメリット酸エステルのエステル基部分の直鎖及び分鎖の差異について、実施例12及び実施例16の結果から、封止用エポキシ樹脂組成物の諸特性に大きな差は見られず、耐半田リフロー性及び耐熱衝撃性は同等の効果を示すことが分る。
また、実施例12及び実施例16の結果と、(C)トリメリット酸エステルを含まない比較例3の結果とを比較すると、(C)トリメリット酸エステルを含有することにより耐半田リフロー性及び耐熱衝撃性に優れ、直鎖及び分鎖型共に効果が発現されることがわかる。
次に、実施例1〜15に関し、エポキシ樹脂100部に対するトリメリット酸エステルの添加量の変化について考察する。
実施例1〜5はエポキシ樹脂1とエポキシ樹脂4の併用系、実施例6〜10はエポキシ樹脂2とエポキシ樹脂4の併用系、実施例11〜15はエポキシ樹脂3とエポキシ樹脂4併用系であるが、各系ともにトリメリット酸エステルの添加量を増やしていくにつれ、スパイラルフローは増加していったが、30部以上添加しても流動特性の更なる向上は殆ど見られないことが分った。
高温弾性率(260℃での弾性率)については、トリメリット酸エステルの添加量が増加するほど低減効果は大きくなった。
熱時硬度の値は、トリメリット酸エステルの添加量が増加するほど減少した。
本発明において目的とする耐半田リフロー性及び、耐熱衝撃性については、トリメリット酸エステルの添加量が30部以上でも非常に良好であることが分った。
次に、本発明と比較例について考察する。比較例1〜3はトリメリット酸エステルを含有しない組成であり、実施例1〜5と比較例1、実施例6〜10と比較例2、及び実施例11〜16と比較例3がそれぞれ対応する。
耐半田リフロー性について、実施例と比較例を比較してもわかるように、本発明例(実施例1〜16)では、エポキシ樹脂の種類に係わらず、トリメリット酸エステルを添加することにより各温度において耐半田リフロー性が向上することが分った。特にトリメリット酸エステルの添加量が20部以上で大きな改善効果が見られる。
また、耐熱衝撃性試験についても、本発明例(実施例1〜16)では、エポキシ樹脂の種類に係わらず、トリメリット酸エステルを添加することにより各温度において耐熱衝撃性が向上することが分った。特にトリメリット酸エステルの添加量が20部以上で大きな改善効果が見られる。この要因としては、封止材のガラス転移温度Tg以下の熱膨張係数α1が、トリメリット酸エステルの添加量20部以上で大きくなり、リードフレームに用いられる金属の熱膨張係数と整合したためと考えられる。
比較例4〜11は、実施例12又は実施例16におけるトリメリット酸エステルの代りに異なる添加剤1〜8を用いたものである。実施例12及び実施例16は、比較例4〜11と比べて耐熱衝撃性に優れていることが分る。この要因としては、実施例12及び実施例16は、比較例4〜11と比べて線膨張係数α1の増大効果が大きく、リードフレームに用いられる金属の熱膨張係数と整合したためと考えられる。
比較例7は、全体的に良好な特性を保っているが、リン含有の添加剤であり、環境問題を考慮すると、今後の使用を制限される可能性がある。
これら全てを考慮すると、トリメリット酸エステルは、高温弾性率の低減効果は一部の添加剤に比べると劣るが、硬化性を考慮するともっともバランスが取れている材料であると考えられる。

Claims (8)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)トリメリット酸エステルを含有する封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記(C)トリメリット酸エステルが下記一般式(I)で示される化合物である請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2011026399
    (一般式(I)中、R,R,Rは、水素原子又は、炭素数1〜20炭化水素基を示し、これらは同一であっても互いに異なっていてもよい。但し、R〜Rの全てが水素原子である場合を除く。)
  3. 前記(C)トリメリット酸エステルが封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して、0.05〜3.0質量%である請求項1または2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂、ナフトール・アラルキル型フェノール樹脂、メトキシナフタレン型エポキシ樹脂及びフェノール・アラルキル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記(B)硬化剤が、ビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記(A)エポキシ樹脂がフェノール・アラルキル樹脂を含み、(C)トリメリット酸エステルの含有量が封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して0.5〜2.0質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  7. 前記(A)エポキシ樹脂がフェノール・アラルキル樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂を含み、(C)トリメリット酸エステルの含有量が、封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して0.5〜2.0質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えてなる電子部品装置。
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