JP2020139070A - 封止用樹脂組成物及びその製造方法、並びに半導体装置 - Google Patents

封止用樹脂組成物及びその製造方法、並びに半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】圧縮成形法に好適で、外観が良好で低背化に対応可能であり、かつ融け性に優れる封止用樹脂組成物、及び当該封止用樹脂組成物の製造方法、並びに当該封止用樹脂組成物を用いて封止された高い信頼性を有する半導体装置を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とが混合加熱溶融後粉砕されてなる平均粒子径20μm以下の粉末、(C)無機充填材および(D)硬化促進剤から形成されてなり、アセトン不溶分が10質量ppm以下である封止用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、封止用樹脂組成物及びその製造方法、並びに半導体装置に関する。
トランジスタ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の半導体装置における封止材料として、エポキシ樹脂をベースとし、これに硬化剤や硬化促進剤、さらにはシリカ粉末等の無機充填材、着色剤等を配合した樹脂組成物が広く用いられている。
従来、このような封止材料を用いた封止プロセスは、トランスファ成形が一般的であった。しかし、近年、半導体素子上の封止樹脂厚さが薄い場合、あるいはボンディングワイヤが細線かつ長い場合に有用な方法として、圧縮成形法が注目されてきている。すなわち、電子部品のプリント配線板への高密度実装化に伴い、半導体装置はピン挿入型のパッケージから表面実装型のパッケージにその主流が移ってきており、さらに、表面実装型パッケージも薄型化・小型化が進んでいる。薄型化・小型化された表面実装型パッケージでは、半導体素子のパッケージに対する占有体積も大きくなり、半導体素子を覆う封止樹脂の肉厚は薄くなりつつある(低背化)。また、半導体素子の多機能化、大容量化に伴い、チップ面積の増大、多ピン化が進み、さらには電極パッド数の増加によって、パッドピッチ、パッドサイズの縮小化、いわゆる狭パッドピッチ化も進んでいる。
一方、半導体素子を搭載する基板は、半導体素子ほどの電極パッドの狭ピッチ化ができないため、半導体素子から引き出すボンディングワイヤを長くしたり、細線化したりすることにより多端子化に対応している。しかしながら、ワイヤが細くなると、後の樹脂封止工程でワイヤが樹脂の注入圧力により流されやすくなる。特に、トランスファ成形で主流のサイドゲート方式ではこの傾向が著しい。
そこで、トランスファ成形に代わる封止プロセスとして、圧縮成形法が用いられるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、被封止物(例えば、半導体素子を実装した基板等)を上型に吸着させる一方、これに対向させるように、下型に粉粒状樹脂(封止材料)を供給し、下型を上昇させながら、被封止物と封止材料を加圧して封止成形するものである。圧縮成形法によれば、溶融した封止材料が被封止物の主面と略平行な方向に流動するため、流動量を少なくすることができ、樹脂の流れによる被封止物(例えば、半導体素子を実装した基板におけるワイヤや配線等)の変形・破損を低減させることが期待できる。
このような表面実装型パッケージの封止プロセスとして好適な圧縮成形法においても、前述の薄型化・小型化の進展が速く、半導体素子を覆う封止樹脂の肉厚はより一層薄くなりつつある。半導体素子上の封止材料の厚さが薄くなるにつれて、圧縮成形法により作製した硬化物表面の外観不良が顕在化してきている。
圧縮成形法に適用できる封止材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、無機充填材等を含有し、粒子径100μm〜3mmの粒子が85質量%以上である粒度分布を有する粉粒状の樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が使用されている。このような封止材料は、成形温度での溶融性に優れ、狭い流路への流動性に優れているので圧縮成形法に使用する封止材料として効果的である。封止材料は一般にエポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤を含む粉体混合物を溶融混練することにより製造されている。溶融混練には単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、連続ニーダ等の混練装置が使用できる。溶融混練の方法としては、上記の混練装置の中および表面でエポキシ樹脂およびフェノール樹脂を溶融温度に加熱して配合材料を均一な混合物としている。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、無機充填材等をヘンシェルミキサーで混合して均一な粉体とした後、得られた粉体を二軸押出機中で所定の温度に加熱した押出機により溶融混練して封止材料を製造している。
このような封止材料の製造方法では、封止材料の成分中に硬化促進剤が含まれているので、混練物の硬化反応が進みすぎ、ゲルタイムが短くなる等の欠点がある。そこで、圧縮成形材料のゲルタイムを変えることなく、溶融粘度の低下、流動性の向上、封止材料硬化物の吸湿率低下、硬化物の強度向上を図る製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3では、硬化促進剤以外の原料のうち少なくともエポキシ樹脂、無機充填材、およびフェノール樹脂を溶融状態で予備混合して無機充填材をエポキシ樹脂、フェノール樹脂中に分散させ、予備混合物としている。その後、硬化促進剤を含む残りの原料と予備混合物を溶融混練することにより封止材料を製造している。
また、封止材料硬化物のボイド低減を目的として、原料をヘンシェルミキサーで混合して均一な粉体とした後、得られた粉体を溶融混練前にさらに微細化・均質分散させる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4では、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、および無機充填材を少なくとも含む配合物を混合して均一な粉体とした後に、その粉体を粉砕機にかけて微細化・均質分散させ、続いて減圧下で溶融混練することにより封止材料を製造している。
特開2008−279599号公報 特開2011−153173号公報 特開平3−195764号公報 特開2008−303366号公報
上記特許文献3及び4では、溶融混練におけるエポキシ樹脂のBステージ化により封止材料を製造しているが、パッケージの外観を満足させるのに十分ではなかった。
また、半導体素子上の封止材料の厚さが薄くなる低背化の流れはいっそう進展するものと考えられる。
さらに、半導体装置の大容量化、および高機能化に伴い、半導体素子を複数積層する場合も増加している。半導体素子を複数積層することにより、半導体素子上の封止材の肉厚が薄くなるため、半導体素子上に未充填部分が生じるといった問題がある。また、半導体素子を完全に樹脂成形物で封止しないと、信頼性試験で十分な特性を確保することができない。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、圧縮成形法に好適で、外観が良好で低背化に対応可能であり、かつ融け性に優れる封止用樹脂組成物、及び当該封止用樹脂組成物の製造方法、並びに当該封止用樹脂組成物を用いて封止された高い信頼性を有する半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、封止用樹脂組成物の原料として、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とが混合加熱溶融後粉砕されてなる平均粒子径が特定の値以下である粉末を用い、アセトン不溶分が特定の値以下である封止用樹脂組成物が上記課題を解決することを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1](A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とが混合加熱溶融後粉砕されてなる平均粒子径20μm以下の粉末、(C)無機充填材および(D)硬化促進剤から形成されてなり、アセトン不溶分が10質量ppm以下である封止用樹脂組成物。
[2]平均粒子径が0.1〜2.0mmの鱗片状粉体である上記[1]に記載の封止用樹脂組成物。
[3]厚さが0.2〜20mmのシート状である上記[1]に記載の封止用樹脂組成物。
[4]下記式(1)で表される被覆率が80%以上である上記[2]に記載の封止用樹脂組成物。
被覆率(%)=(樹脂被覆面積/キャビティ面積)×100・・・式(1)
(ここで、被覆率はキャビティ内へ封止用樹脂組成物を供給した時の、当該封止用樹脂組成物により被覆されている面積比率を表し、キャビティ面積は成形金型の底部の有効面積であり、樹脂被覆面積は封止用樹脂組成物によって被覆されている面積を示す。)
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の封止用樹脂組成物により封止されてなる半導体装置。
[6](A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とを混合、加熱溶融し、混合物を得る工程と、前記混合物を平均粒子径20μm以下に粉砕し、粉末を得る工程と、前記粉末に、さらに(C)無機充填材、(D)硬化促進剤および必要に応じて配合されるその他の粉体を配合し、エポキシ樹脂の軟化点以下で混合、解砕し、粉体組成物を得る工程とを有する封止用樹脂組成物の製造方法。
[7]さらに、前記粉体組成物を用いて厚さが0.2〜20mmのシート状に成形し、シート状封止用樹脂組成物を得る工程を有する上記[6]に記載の封止用樹脂組成物の製造方法。
[8]さらに、前記シート状封止用樹脂組成物を粉砕して平均粒子径が0.1〜2.0mmの鱗片状粉体封止用樹脂組成物を得る工程を有する上記[7]に記載の封止用樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、圧縮成形法に好適で、外観が良好で低背化に対応可能であり、かつ融け性に優れる封止用樹脂組成物、及び当該封止用樹脂組成物の製造方法、並びに当該封止用樹脂組成物を用いて封止された高い信頼性を有する半導体装置を提供することができる。
以下、本発明について、一実施形態を参照しながら詳細に説明する。
<封止用樹脂組成物>
本実施形態の封止用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とが混合加熱溶融後粉砕されてなる平均粒子径20μm以下の粉末、(C)無機充填材および(D)硬化促進剤から形成されてなり、アセトン不溶分が10質量ppm以下であることを特徴とする。
本発明者は、半導体素子上の封止材料の外観不良の発生は、封止材料中に含まれているアセトン不溶分による突起不良に起因することを見出した。ここで、アセトン不溶分とは、封止材料中に含まれているシリカの凝集物や、レジンの過剰反応物である。半導体素子上の封止材料厚さが100〜200μmのようなところでは、100μm以上のアセトン不溶分が封止材料中に存在すると外観不良が起こる。例えば、上述の特許文献2に記載の封止材料の製造方法では、押し出し機中で解砕されずに残ったシリカや、レジンの局所的で過剰反応により生じた硬化物がアセトン不溶分となり、上記外観不良が発生するものと推察される。また、上述の特許文献3及び4では、溶融混練におけるエポキシ樹脂のBステージ化により封止材料を製造しているが、溶融混練時の加熱による熱履歴とせん断発熱によりエポキシ樹脂の過剰な硬化反応が局所的に進むため、アセトン不溶分が多量に生成し、上記外観不良が発生するものと推察される。
本実施形態の封止用樹脂組成物中に含まれるアセトン不溶分は10質量ppm以下である。上記封止用樹脂組成物中に含まれるアセトン不溶分が10質量ppmを超えると、上記封止用樹脂組成物の硬化物の外観が低下するおそれがある。このような観点から、封止用樹脂組成物中に含まれるアセトン不溶分は、好ましくは8質量ppm以下であり、より好ましくは5質量ppm以下である。
上記アセトン不溶分は下記測定方法により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、本実施形態の封止用樹脂組成物は、鱗片状粉体であってもよく、シート状であってもよい。
本実施形態の封止用樹脂組成物が鱗片状粉体である場合、アセトン200mLに鱗片状粉体封止用樹脂組成物100gを常温(15〜35℃)で20分振とう溶解させた後にJIS標準篩を用いてろ過し、公称目開き100μm篩に残ったアセトン不溶分を測定する。
また、本実施形態の封止用樹脂組成物がシート状である場合、アセトン200mLに平均粒子径10〜100μmに粉砕したシート状封止用樹脂組成物100gを常温(15〜35℃)で20分振とう溶解させた後にJIS標準篩を用いてろ過し、公称目開き100μm篩に残ったアセトン不溶分を測定する。
上記(A)エポキシ樹脂および(B)フェノール樹脂を混合加熱溶融後粉砕されてなる粉末の平均粒子径は20μm以下である。当該粉末の平均粒子径が20μmを超えると上記(C)無機充填材および(D)硬化促進剤と混ざりにくくなり、封止用樹脂組成物中に含まれるアセトン不溶分が多くなり、当該アセトン不溶分による突起物が生じ、上記封止用樹脂組成物の硬化物の外観を低下させるおそれがある。このような観点から、上記粉末の平均粒子径は好ましくは18μm以下、より好ましくは16μm以下である。
なお、本明細書において、平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置により求めることができ、平均粒子径は、同装置で測定された粒度分布において積算体積が50%になる粒子径(d50)である。
〔(A)エポキシ樹脂〕
本実施形態で用いられる(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造、分子量等に制限されることなく一般に電子部品の封止材料として使用されているものを広く用いることができる。
(A)成分のエポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂等の複素環型エポキシ樹脂、スチルベン型二官能エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(A)成分のエポキシ樹脂の軟化点は、封止用樹脂組成物のハンドリング性、および成形時の溶融粘度の観点から、好ましくは40〜130℃、より好ましくは50〜110℃である。
なお、本明細書における軟化点とは、「環球式軟化点」を指し、ASTM D36に準拠して測定された値をいう。
(A)成分のエポキシ樹脂の市販品を例示すると、例えば、三菱ケミカル(株)製YX−4000(エポキシ当量185、軟化点105℃)、同YX−4000H(エポキシ当量193、軟化点105℃)、日本化薬(株)製NC−3000(エポキシ当量273、軟化点58℃)、同NC−3000H(エポキシ当量288、軟化点91℃)(以上、いずれも商品名)等が挙げられる。
〔(B)フェノール樹脂〕
本実施形態で用いられる(B)成分のフェノール樹脂は、1分子当たり2個以上のフェノール性水酸基を有し、上記(A)成分のエポキシ樹脂を硬化させることができるものであって、電子部品の封止材料として一般に用いられるものであれば特に制限されることなく使用できる。
(B)成分のフェノール樹脂としては、具体的には、フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドを反応させて得られるフェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、これらのノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化又はブチル化した変性ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂などが挙げられる。なかでも、フェノールアラルキル樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂が好ましい。これらのフェノール樹脂は1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(B)成分のフェノール樹脂の軟化点は、加熱溶融による均一混合の観点から、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜110℃である。
(B)成分のフェノール樹脂の含有量は、上記(A)成分のエポキシ樹脂が有するエポキシ基数(a)に対する(B)成分のフェノール樹脂が有するフェノール性水酸基数(b)の比(b)/(a)が0.3以上1.5以下となる範囲が好ましく、0.5以上1.2以下となる範囲がより好ましい。比(b)/(a)が0.3以上であると硬化物の吸水率を低くすることができ、1.5以下であると硬化物の強度が向上する。
また、封止用樹脂組成物中における(A)成分のエポキシ樹脂及び(B)成分のフェノール樹脂の合計含有量は、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%である。
〔(C)無機充填材〕
本実施形態で用いられる(C)成分の無機充填材は、この種の樹脂組成物に一般的に使用されている公知の無機充填材であれば、特に制限されることなく使用することができる。
(C)成分の無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、破砕シリカ、合成シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム等の酸化物粉末;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物粉末;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物粉末などが挙げられる。これらの無機充填材は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(C)成分の無機充填材は、本実施形態の封止用樹脂組成物の取り扱い性および成形性を高める観点から、上記例示したなかでもシリカ粉末が好ましく、溶融シリカがより好ましく、球状溶融シリカが特に好ましい。また、溶融シリカと溶融シリカ以外のシリカを併用することもでき、その場合、溶融シリカ以外のシリカの割合はシリカ粉末全体の30質量%未満とすることが好ましい。
(C)成分の無機充填材は、平均粒子径が0.5〜40μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましく、1〜20μmであることがさらに好ましい。また、(C)成分の無機充填材の最大粒子径は55μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が0.5μm以上であると、封止用樹脂組成物の流動性および成形性を向上させることができる。一方、平均粒子径が40μm以下であると、封止用樹脂組成物を硬化して得られる成形品の反りが抑制され、寸法精度を向上させることができる。また、最大粒子径が55μm以下であると、封止用樹脂組成物の成形性を向上させることができる。
(C)成分の無機充填材の含有量は、封止用樹脂組成物全量に対し、70〜94質量%の範囲が好ましく、75〜90質量%の範囲がより好ましい。含有量が70質量%以上であると、封止用樹脂組成物の線膨張係数の増大を抑制することができ、当該封止用樹脂組成物を硬化して得られる成形品の寸法精度、耐湿性、機械的強度等を向上させることができる。また、含有量が95質量%以下であると、封止用樹脂組成物を成形して得られる樹脂シートを割れにくくすることができ、また、封止用樹脂組成物の溶融粘度の増大を抑制し、流動性および成形性を向上させることができる。
〔(D)硬化促進剤〕
本実施形態で用いられる(D)成分の硬化促進剤は、(A)成分のエポキシ樹脂と、(B)成分のフェノール樹脂との硬化反応を促進する成分である。(D)成分の硬化促進剤は、上記作用を奏するものであれば、特に制限されることなく公知の硬化促進剤を使用することができる。
(D)成分の硬化促進剤としては、具体的には、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロ化合物及びこれらの塩;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機ホスフィン化合物などが挙げられる。これらのなかでも、流動性および成形性が良好であるという観点から、イミダゾール類が好ましい。これらの硬化促進剤は1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(D)成分の硬化促進剤の含有量は、封止用樹脂組成物全量に対し、0.1〜5質量%の範囲が好ましく、0.1〜1質量%の範囲がより好ましい。含有量が0.1質量%以上であると硬化性の促進効果が得られ、5質量%以下であると成形時にワイヤの変形および破損を抑制し、充填性を良好にすることができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物には、以上の各成分の他、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、この種の樹脂組成物に一般に配合される成分、例えば、カップリング剤;合成ワックス、天然ワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩等の離型剤;カーボンブラック、コバルトブルー等の着色剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力付与剤;ハイドロタルサイト類;イオン捕捉剤などを配合することができる。
カップリング剤としては、エポキシシラン系、アミノシラン系、ウレイドシラン系、ビニルシラン系、アルキルシラン系、有機チタネート系、アルミニウムアルコレート系等のカップリング剤を使用することができる。これらのカップリング剤は1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、成形性、難燃性、硬化性等の観点から、アミノシラン系カップリング剤が好ましく、特に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。
カップリング剤の含有量は、封止用樹脂組成物全量に対し、0.01〜3質量%の範囲が好ましく、0.1〜1質量%の範囲がより好ましい。含有量が0.01質量%以上であると、封止用樹脂組成物の成形性を向上させることができ、3質量%以下であると封止用樹脂組成物の成形時に発泡が抑えられ、成形品にボイドや表面膨れ等の発生を抑制することができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、ブロッキングを抑制する観点から、溶剤を含まないことが好ましい。また、当該封止用樹脂組成物が溶剤を含まない場合、半導体素子を封止する際に、溶剤残りによる信頼性低下を招くおそれがなく好ましい。
本実施形態の封止用樹脂組成物中、上記(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)無機充填材、および(D)硬化促進剤の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本実施形態の封止用樹脂組成物が鱗片状粉体である場合、当該封止用樹脂組成物の平均粒子径は0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.15〜1.5mmであることがより好ましく、0.2〜1.0mmであることがさらに好ましい。平均粒子径が0.1mm以上であると圧縮成形装置の中で、封止用樹脂組成物を撒くときに粉が舞いにくくなり、封止材料の充填性を高めることができ、平均粒子径が2.0mm以下であると封止用樹脂組成物の融け性が向上し、硬化物の外観を良好にすることができる。
また、本実施形態の封止用樹脂組成物がシート状である場合、当該封止用樹脂組成物の厚さは、生産効率の観点から、0.2〜20mmであることが好ましく、100〜700μmであることがより好ましく、100〜500μmであることがさらに好ましく、200〜400μmであることがよりさらに好ましい。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、下記式(1)で表される被覆率を好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上とすることができる。
被覆率(%)=(樹脂被覆面積/キャビティ面積)×100・・・式(1)
ここで、被覆率はキャビティ内へ封止用樹脂組成物を供給した時の、当該封止用樹脂組成物により被覆されている面積比率を表し、キャビティ面積は成形金型の底部の有効面積であり、樹脂被覆面積は封止用樹脂組成物によって被覆されている面積を示す。
上記被覆率が80%以上であると封止用樹脂組成物の溶け性が良好となり、充填性が向上し、硬化物にボイド等の発生を低減することができる。また、ワイヤー流れを十分に低減することができる。
<封止用樹脂組成物の製造方法1:中間粉体>
本実施形態の封止用樹脂組成物の製造方法は、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とを混合、加熱溶融し、混合物を得る工程と、前記混合物を平均粒子径20μm以下に粉砕し、粉末を得る工程と、前記粉末に、さらに(C)無機充填材、(D)硬化促進剤および必要に応じて配合されるその他の粉体を配合し、エポキシ樹脂の軟化点以下で混合、解砕し、粉体組成物を得る工程とを有することを特徴とする。
本実施形態の封止用樹脂組成物の製造方法では、上記(A)エポキシ樹脂および(B)フェノール樹脂は、これらを混合し加熱溶融した後、粉砕し平均粒子径20μm以下の粉末とするため、上記(C)無機充填材および(D)硬化促進剤と混ざりやすくなる。そのため、これらの成分を混合した後、溶融混練する必要がなく、得られる封止用樹脂組成物中に含まれるアセトン不溶分を少なくすることができ、当該封止用樹脂組成物の硬化物の外観が良好となり、低背化が可能となる。
(混合工程)
本工程では、上記(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂を混合装置に入れ、加熱溶融して均一になるまで撹拌し、混合物を得る。
上記(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂は、上記<封止用樹脂組成物>の項で説明したものを用いることができる。
上記加熱溶融時の加熱温度は、通常、エポキシ樹脂の軟化温度であり、70〜100℃程度である。加熱温度が70℃以上であるとエポキシ樹脂が溶融状態になりやすく、100℃以下であるとエポキシ樹脂の自重合を避けることができる。
また、上記加熱溶融は、好ましくは5〜30分間、より好ましくは10〜20分間行う。
(粉砕工程)
本工程では、前記工程で得られた混合物(予備混合物)をバットに流しだし室温(15〜35℃)まで冷やした後、当該混合物を粉砕機で粉砕し、平均粒子径20μm以下の粉末とする。
上記混合物の粉砕は、通常の粉砕機を使用することができる。例えば、スピードミル、カッターミル、パワーミル、遊星撹拌ミルを使用することができる。
(混合、解砕工程)
本工程では、前記工程で得られた粉末に、さらに(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、及び上述した必要に応じて配合される各種成分(粉体)を配合し、エポキシ樹脂の軟化点以下で混合、解砕して、粉体組成物を得る。
上記(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、及び必要に応じて配合される各種成分は、上記<封止用樹脂組成物>の項で説明したものを用いることができる。
また、上記各成分を混合、解砕する手段としては特に限定されず、ミキサー、粉砕機等の公知の手段を用いることができる。ミキサー、粉砕機には、スクリーンが設けられていることが好ましく、上記スクリーンの目開きは、得られる粉体組成物の平均粒子径が好ましくは10〜100μmとなるように、適宜選択される。上記粉体組成物の平均粒子径が10μm以上であると、シート化する後工程でのハンドリングがしやすく、100μm以下であると、シート化する際に粉体組成物が軟化しやすく、シート化がしやすくなる。このような観点から、上記粉体組成物の平均粒子径は、好ましくは15〜90μm、より好ましくは20〜80μmである。
<封止用樹脂組成物の製造方法2;シート状封止用樹脂組成物(封止用シート)>
本実施形態の封止用樹脂組成物の製造方法は、得られる封止用樹脂組成物の形状をシート状とする場合、さらに、前記工程で得られた粉体組成物を用いて厚さが0.2〜20mmのシート状に成形し、シート状封止用樹脂組成物を得る工程を有する。具体的には、上記粉体組成物を加圧部材間で圧縮してシート状に成形する。より具体的には、上記粉体組成物をロール、熱プレスにより加熱軟化させながら0.2〜20mmの厚さに圧延する。中でも、熱履歴の増大を抑制する観点から、圧延手段として、ロールを用いることが好ましい。
上記粉体組成物を圧延する際の加熱温度は、好ましくは50〜90℃であり、より好ましくは50℃〜80℃である。加熱温度が50℃以上であると圧延しやすくなり、90℃以下であると硬化反応が適度に進行し、成形性を良好にすることができる。
<封止用樹脂組成物の製造方法3;鱗片状粉体封止用樹脂組成物(鱗片状粉体封止材)>
本実施形態の封止用樹脂組成物の製造方法は、得られる封止用樹脂組成物の形状を鱗片状粉体とする場合、さらに、前記工程で得られたシート状封止用樹脂組成物を粉砕して平均粒子径が0.1〜2.0mmの鱗片状粉体封止用樹脂組成物を得る工程を有する。
前記工程で得られたシート状封止用樹脂組成物を冷却した後、適当な大きさに粉砕する。
粉砕用のシートの厚さは好ましくは0.2〜20mm、より好ましくは100〜700μm、さらに好ましくは100〜500μm、よりさらに好ましくは200〜400μmである。シートの厚さが0.2mmより薄くなると、シートを粉砕した後の封止用樹脂組成物が静電気で粉砕機内に貼り付き、生産効率が下がってしまい、シートの厚さが20mmよりも厚くなると、粉砕において所定のサイズよりも小さな粉がたくさんできてしまうため、生産効率が下がってしまう。
また、シートの厚さが上記範囲内であると、当該シートを粉砕することで、鱗片状粉体封止用樹脂組成物を得ることができる。また、当該シートを粉砕した際に、JIS標準篩(JIS Z8801−1:2006規定)を用いた分級により、公称目開き100μmの篩を通過する微粉を生じにくくすることができる。
なお、上記シートの厚さは、例えば、マイクロメーターを用いて当該シートの厚さを50点測定し、その平均値として求めることができる。
粉砕方法は、特に制限されず、一般的な粉砕機、例えば、スピードミル、カッティングミル、ボールミル、サイクロンミル、ハンマーミル、振動ミル、カッターミル、グラインダーミル等を用いることができる。なかでも、スピードミルが好ましく用いられる。
粉砕物は、その後、篩い分級やエアー分級等によって所定の粒度分布を集合体として、特性を整えて調製することができる。
このようにして得られる鱗片状粉体封止用樹脂組成物の平均粒子径は好ましくは0.1〜2.0mm、より好ましくは0.15〜1.5mm、さらに好ましくは0.2〜1.0mmである。上記平均粒子径が0.1mmより小さくなると、圧縮成形装置の中で、上記封止用樹脂組成物を撒くときに粉が舞い、封止材料の未充填を引き起こし、上記平均粒子径が2.0mmより大きくなると、上記封止用樹脂組成物の融け性が悪くなり、硬化物の外観不良を引き起こしてしまう。
上記鱗片状粉体封止用樹脂組成物は、シート状の封止用樹脂組成物を粉砕したものであるため、平行な一対の平面を有し、当該一対の平面間の距離(以下、厚さともいう)が0.2〜20mmである平行面含有樹脂組成物である。上記の「平均粒子径」とは厚さ方向を除く幅、長さ方向の長辺の大きさの平均である。ここで、「平行」とは個々の鱗片状粉体封止用樹脂組成物の平均厚みに対する当該封止用樹脂組成物の最大厚みと最小厚みとの差の割合が5%以下であることを意味する。上記封止用樹脂組成物の厚さが0.2mm未満では静電気の影響を受け凝集しやすくなる。凝集した封止用樹脂組成物は、熱が均一に伝わりにくく溶け性が低下するおそれがある。また、当該封止用樹脂組成物の厚さが20mmを超えると熱が均一に伝わりにくく溶け性が低下するおそれがある。このような観点から、上記封止用樹脂組成物の厚さは、好ましくは100〜700μm、より好ましくは100〜500μm、さらに好ましくは200〜400μmである。
なお、上記封止用樹脂組成物粉の厚さは、例えば、光学顕微鏡(倍率:200倍)を用いて50個の封止用樹脂組成物の厚さを測定し、その平均値として求めることができる。
<半導体装置>
本実施形態の半導体装置は、上記封止用樹脂組成物を用いて圧縮成形により半導体素子を封止することにより製造することができる。以下、その方法の一例を説明する。
まず、圧縮成形用金型の上型に、半導体素子を実装した基板を供給した後、下型のキャビティ内に上記封止用樹脂組成物を供給する。次に、上型及び下型を所要の型締圧力にて型締めすることにより、下型キャビティで加熱溶融した封止用樹脂組成物に半導体素子を浸漬する。次に、下型キャビティ内の加熱溶融した封止用樹脂組成物をキャビティ底面部材で押圧し、減圧下で、所要の圧力を加えて圧縮成形する。成形条件は、温度120℃以上200℃以下、圧力2MPa以上20MPa以下とすることが好ましい。
このようにして得られる半導体装置は、前述のアセトン不溶分が少なく、融け性の良い封止用樹脂組成物により半導体素子が封止されているので、半導体素子上の樹脂厚さの薄いところでも、封止用樹脂硬化物の外観が良く、半導体装置の半導体素子上の封止材の厚さを好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは150μm以下とすることができる。また、前述のアセトン不溶分が少なく、融け性の良い封止用樹脂組成物を用いることにより、成形時のワイヤ流れ等の発生が抑制され、また、高い信頼性を有する半導体装置とすることができる。
なお、本実施形態の半導体装置において封止される半導体素子は、特に限定されるものではなく、例えば、IC、LSI、ダイオード、サイリスタ、トランジスタ等が例示されるが、ワイヤ流れが生じやすい、封止後の厚さが0.1mm以上1.5mm以下となるような半導体装置の場合に、本発明は特に有用である。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
表1に記載の(A)エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂1を混合機に入れて、90℃で10分間加熱して軟化させた。そこへ(B)フェノール樹脂として、フェノール樹脂1、およびフェノール樹脂2を3回に分割して加えて撹拌し、混合物(予備混合物)を製造した。予備混合物をバットに取り出して室温(25℃)まで冷やした後、当該予備混合物をスピードミルで粉砕して平均粒子径が14μmの粉体とした。粉砕した予備混合物、(C)無機充填材として、溶融シリカ1および溶融シリカ2、(D)硬化促進剤として、イミダゾール、その他添加剤として、着色材およびカップリング剤をヘンシェルミキサーで混合して平均粒子径27μmの粉体組成物を製造した。
次いで、表面温度が55℃の圧延ロールを用いて上記粉体組成物をシート化して厚さ0.3mmにした。得られたシート状の封止用樹脂組成物をスピードミルで粉砕して平均粒子径が0.8mmで鱗片状粉体である実施例1の封止用樹脂組成物を製造した。
なお、上記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、型番:LA−910)を用いて測定された粒度分布において積算体積が50%になる粒子径(d50)から求めた。また、上記シート状の封止用樹脂組成物の厚さは、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、型番:S−2150)を用いて当該シートの厚さを10点測定し、その平均値として求めた。
(実施例2)
シート状の封止用樹脂組成物の厚さを1.0mmにしたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径が1.0mmである実施例2の封止用樹脂組成物を製造した。
(比較例1)
実施例1において、圧延ロールの代わりに二軸押出機を使用し、樹脂温度95℃で平均粒子径30μmの粉体組成物を製造し、当該粉体組成物をシート化したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の封止用樹脂組成物を製造した。
(比較例2)
実施例1において、圧延ロールの表面温度を95℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の封止用樹脂組成物を製造した。
(比較例3)
実施例1において、予備混合物の平均粒子径および粉体組成物の平均粒子径をいずれも100μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の封止用樹脂組成物を製造した。
(比較例4)
表1に記載の配合量の各成分をヘンシェルミキサーで混合して粉体組成物を製造した。次いで、二軸押出機を使用して樹脂温度95℃で加熱混練して封止用樹脂組成物を製造した。得られた封止用樹脂組成物をスピードミルで平均粒子径1000μmの粉体とした。
次いで、表面温度が55℃の圧延ロールを用いて上記の封止用樹脂組成物をシート化して厚さ0.3mmにした。得られたシート状の封止用樹脂組成物をスピードミルで粉砕して平均粒子径が0.8mmである比較例4の封止用樹脂組成物を製造した。
封止用樹脂組成物の調製に使用した表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
(A)エポキシ樹脂
・エポキシ樹脂1:NC−3000(日本化薬(株)製、商品名;エポキシ当量:273、軟化点:58℃)
(B)フェノール樹脂
・フェノール樹脂1:MEH−7800M(明和化成(株)製、商品名;水酸基当量:175、軟化点:85℃)
・フェノール樹脂2:BRG−557(昭和電工(株)製、商品名;水酸基当量:104、軟化点:80℃)
(C)無機充填材
・溶融シリカ1:MSR−8030((株)龍森製、商品名;平均粒子径:12μm)
・溶融シリカ2:SC−4500SQ((株)アドマテックス製、商品名;平均粒子径:1μm)
(D)硬化促進剤
・イミダゾール:2P4MHZ(四国化成(株)製、商品名)
(その他添加剤)
・シランカップリング剤:Z−6883(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名;γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン)
・着色剤:MA−600(三菱ケミカル(株)製、商品名;カーボンブラック)
Figure 2020139070
また、上記各実施例及び各比較例で得られた封止用樹脂組成物及び半導体装置(製品)について、以下に示す方法で各種特性を評価した。その結果を表2に示した。
<評価項目>
(1)アセトン不溶分(成形性)
アセトン200mLに各実施例及び比較例で得られた封止用樹脂組成物100gを常温(25℃)で20分振とう溶解した。次いで、JIS標準篩を用いてろ過し、公称目開き100μm篩に残ったアセトン不溶分の重量を測定した。
(2)被覆率(充填性)
TOWA(株)製、圧縮成形機 PMC1040−Dを用い、66mm×232mmのキャビティ内に実施例及び比較例の封止用樹脂組成物3g(封止後素子上の樹脂厚み100μm相当)を0.3g/sの速度で供給し、封止用樹脂組成物表面を上部からキャビティ底面に向けデジタルカメラで撮影し画像化した。得られた画像を二値化し、封止用樹脂組成物の面積を計測し、被覆率を下記式(1)により算出した。
被覆率(%)=(樹脂被覆面積/キャビティ面積)×100・・・式(1)
ここで、被覆率はキャビティ内へ封止用樹脂組成物を供給した時の、当該封止用樹脂組成物により被覆されている面積比率を表し、キャビティ面積は成形金型の底部の有効面積であり、樹脂被覆面積は封止用樹脂組成物によって被覆されている面積を示す。
(3)硬化物外観
TOWA(株)製、圧縮成形機 PMC1040−Dを用い、66mm×232mmのキャビティ内に実施例及び比較例の封止用樹脂組成物3g(封止後素子上の樹脂厚み100μm相当)を0.3g/sの速度で供給し、金型温度175℃、成形圧力5.0MPa、硬化時間2分間で圧縮成形した後、得られた成形品の外観を目視で確認した。硬化物表面に突起物がなく、流動跡がない状態のものを「A」、硬化物表面に突起物、流動跡、およびボイドのうち少なくとも1つが見られたものを「C」と評価した。
Figure 2020139070
表2から明らかなように、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とが混合加熱溶融後粉砕されてなる平均粒子径20μm以下の粉末を用いた実施例1及び2の封止用樹脂組成物は、アセトン不溶分が少ないため成形時の半導体素子上の外観が良好であると考えられる。また、実施例1では、0.3mmまで薄いシートにしてから粉砕したため、融け性が良好で、被覆率が92%と高いことがわかる。一方、実施例2では、シートの厚さを実施例1よりも厚い1.0mmとしたため、被覆率が85%と実施例1よりも低くなっている。また、比較例1では、圧延ロールの代わりに二軸押出機を使用し、樹脂温度を95℃としたため、熱履歴が大きくなり、実施例1に比べてアセトン不溶分が増えている。比較例2では、圧延時のロール表面温度を95℃と実施例1よりも高くしたことにより、実施例1に比べてアセトン不溶分が増えている。比較例3では、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とが混合加熱溶融後粉砕されてなる粉末の平均粒子径が100μmと大きいものを用いたことにより、粉体組成物の平均粒子径も100μmと大きくなっている。元々の粒子サイズが大きいため、薄いシート状に加工したものでも、融け性が悪く、硬化物表面の外観が悪いことがわかる。また、封止材料を製造する一般的な方法で製造した封止用樹脂組成物を用いた比較例4では、アセトン不溶分が多く、被覆率が低いことから、融け性が劣っていることがわかる。
本発明の封止用樹脂組成物は、アセトン不溶分が少なく、融け性に優れているため、半導体素子上の封止材料の厚さが薄くなっても外観不良を引き起こすことがないため圧縮封止材料として好適である。したがって、封止樹脂厚が薄く、また、長くかつ細いワイヤによって接続された半導体素子の封止材料として有用であり、信頼性の高い樹脂封止型半導体装置を製造することができる。

Claims (8)

  1. (A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とが混合加熱溶融後粉砕されてなる平均粒子径20μm以下の粉末、(C)無機充填材および(D)硬化促進剤から形成されてなり、アセトン不溶分が10質量ppm以下である封止用樹脂組成物。
  2. 平均粒子径が0.1〜2.0mmの鱗片状粉体である請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
  3. 厚さが0.2〜20mmのシート状である請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 下記式(1)で表される被覆率が80%以上である請求項2に記載の封止用樹脂組成物。
    被覆率(%)=(樹脂被覆面積/キャビティ面積)×100・・・式(1)
    (ここで、被覆率はキャビティ内へ封止用樹脂組成物を供給した時の、当該封止用樹脂組成物により被覆されている面積比率を表し、キャビティ面積は成形金型の底部の有効面積であり、樹脂被覆面積は封止用樹脂組成物によって被覆されている面積を示す。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の封止用樹脂組成物により封止されてなる半導体装置。
  6. (A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂とを混合、加熱溶融し、混合物を得る工程と、前記混合物を平均粒子径20μm以下に粉砕し、粉末を得る工程と、前記粉末に、さらに(C)無機充填材、(D)硬化促進剤および必要に応じて配合されるその他の粉体を配合し、エポキシ樹脂の軟化点以下で混合、解砕し、粉体組成物を得る工程とを有する封止用樹脂組成物の製造方法。
  7. さらに、前記粉体組成物を用いて厚さが0.2〜20mmのシート状に成形し、シート状封止用樹脂組成物を得る工程を有する請求項6に記載の封止用樹脂組成物の製造方法。
  8. さらに、前記シート状封止用樹脂組成物を粉砕して平均粒子径が0.1〜2.0mmの鱗片状粉体封止用樹脂組成物を得る工程を有する請求項7に記載の封止用樹脂組成物の製造方法。
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