JP2019151685A - トランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
トランスファーコンプレッションモールド法で成形した場合、樹脂をポットからキャビティ内へ充填し、その後キャビティからポットへ戻るという工程を取る為、トランスファー成形用の半導体封止用樹脂組成物を用いた場合、加熱された金型内では樹脂が経時変化する為、粘度が上昇し、ワイヤボンディングされた配線が破損し、パッケージの信頼性を低下させる可能性が生じる。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、及び(D)球状無機充填材を含有することを特徴とするトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
[2]前記(D)球状無機充填材の平均粒子径が3〜25μmであり、前記(D)球状無機充填材の含有量が、樹脂組成物全量に対し70〜90質量%であることを特徴とする上記[1]に記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
[3]前記(D)球状無機充填材全量中に含まれる最大粒子径32μm以上の球状無機充填材が20質量%未満であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
[4]さらに、(E)離型剤として、酸無水物骨格を有するポリエチレン系の離型剤を1種類以上含有することを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
[5]前記トランスファーコンプレッションモールド成型法用導体封止用樹脂組成物の175℃における溶融粘度が10Pa・s以下であり、180℃における溶融粘度の増粘率が5%以下であることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
[7]前記半導体装置の半導体素子上の封止材の厚みが40〜100μmであることを特徴とする上記[6]に記載の半導体装置。
[トランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物]
本発明のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物(以下、単に半導体封止用樹脂組成物ともいう)は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、及び(D)球状無機充填材を含有することを特徴とする。
本発明で使用する(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造、分子量等に制限されることなく一般に電子部品の封止材料として使用されているものを広く用いることができる。中でも、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、すなわちビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。
なお、本発明におけるビフェニル骨格には、ビフェニル環のうち少なくとも一方の芳香族環が水素添加されているものも含まれる。
ビフェニル型エポキシ樹脂の使用によって、後述する(D)成分として、平均粒子径が3〜25μmの球状無機充填材を配合しても溶融粘度を最適範囲に維持することができ、流動性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
なお、(A)成分のエポキシ樹脂は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用する(B)成分のフェノール樹脂硬化剤は、1分子当たり2個以上のフェノール性水酸基を有し、上記(A)成分のエポキシ樹脂を硬化させることができるものであって、電子部品の封止材料として一般に用いられるものであれば特に制限されることなく使用できる。
本発明で使用する(C)成分の硬化促進剤は、前記(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分のフェノール樹脂硬化剤との反応を促進するものであり、かかる作用を有するものであれば特に制限されることなく使用できる。
本発明で使用する(D)成分の球状無機充填材は、平均粒子径が好ましくは3〜25μm、より好ましくは3〜15μm、更に好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が3μm以上であれば粘度上昇を抑制しワイヤ流れを抑えることができ、25μm以下であれば狭小部への充填性が良好となる。また、(D)成分の球状無機充填材全量中に含まれる最大粒子径32μm以上の球状無機充填材の含有量は、20質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが更に好ましく、1質量%未満であることがより更に好ましい。20質量%未満であれば、狭小部の充填性が良好となる。このような観点から、(D)成分は最大粒子径32μm以上の球状無機充填材を含まないことがより一層好ましい。
さらに、(D)成分の球状無機充填材は、粒径の頻度を取った時、2つの極大値を持つことが好ましい。2つの極大値を持つことにより、大小2種類の粒子がベアリング効果を示し、より一層流動性が良好になる。
なお、本明細書において、「ベアリング効果」とは、粒径の大きな粒子の間に粒径の小さな粒子が入り込むことにより、粒径の大きな粒子の移動をより自由にし、樹脂組成物全体としての流動性を向上させるものである。
また、本明細書において、「粒子径」とは、特に限定しない限り、レーザ回折・光散乱法に基づく粒度分布測定によって得られた体積基準の粒子径をいう。本明細書において「平均粒子径」とは、特に限定しない限り、レーザ回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒子径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒子径(D50、メジアン径ともいう。)をいう。
本発明の半導体封止用樹脂組成物は、さらに(E)成分の離型剤を含有することで、金型汚れ等を抑制でき、成形性を高めることができる。(E)成分の具体例としては、例えば、カルナバワックス、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でも、酸無水物骨格構造を有するポリエチレン系離型剤が好ましく、(E)成分として酸無水物骨格構造を有するポリエチレン系離型剤を1種類以上含有することが好ましい。酸無水物骨格構造を有するポリエチレン系離型剤は、分散性、ワックス浮が良好となり、半導体封止用樹脂組成物の成形性を向上させることができる。
また、上述したように、(D)成分の球状無機充填材の平均粒子径を3〜25μmとしたとき、金型汚れ等を抑制でき、成形性を高める効果が上がり、さらに平均粒子径を3〜15μmとしたときその効果は顕著になる。
本発明のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物の175℃における溶融粘度は、好ましくは10Pa・s以下、より好ましくは8Pa・s以下である。さらに、180℃における溶融粘度の増粘率は、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。
また、上記半導体封止用樹脂組成物のゲルタイムは、好ましくは40〜80秒、より好ましくは45〜70秒、更に好ましくは50〜70秒である。
なお、上記各物性値の測定は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の半導体装置は、基板と、基板上に固定されボンディングワイヤにより回路を形成している半導体素子とを備え、該半導体素子およびボンディングワイヤを、上記半導体封止用樹脂組成物を用いて封止したものである。
まず、トランスファーコンプレッションモールド成型機により、半導体封止用樹脂組成物を成形金型内の温度が150〜190℃、成形圧力が4〜12MPa、注入時間が6〜20秒の条件でトランスファー成形した後、上金型の下降によるコンプレッション成形を1〜10秒で実施することで、本発明の半導体装置が得られる。
(A)成分としてエポキシ樹脂(a−1)4.00部、エポキシ樹脂(a−2)1.80部;(B)成分としてフェノール性硬化剤(b−1)5.00部;(C)成分として硬化促進剤(c−1)0.70部、;(D)成分として溶融球状シリカ(d−1)86.0部;(E)成分として離型剤(e−1)0.10部、離型剤(e−2)0.10部、離型剤(e−3)0.04部、;添加剤として低応力剤0.7部、カップリング剤0.30部、消泡剤0.10部、ならびに着色剤0.30部を常温(20℃)で混合し、次いで、ミキシング2軸ロールを用い120℃で加熱混練し半導体封止用樹脂組成物を得た。
表1及び表2に記載の種類及び配合量の各成分に変更した以外は、実施例1と同様にして半導体封止用樹脂組成物を得た。なお、表1及び表2中、空欄は配合なしを表す。
〔(A)成分〕
・YX−4000H:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量193、三菱化学(株)製、商品名
・NC−3000:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量276、日本化薬(株)製、商品名
〔(B)成分〕
・MEHC−7800SS:フェノールキシレン樹脂、水酸基当量170、軟化点65℃、ICI粘度1.0Pa、明和化成(株)製、商品名
・BRG−558:フェノールノボラック樹脂、水酸基当量104、軟化点95℃、ICI粘度11Pa、昭和高分子(株)製、商品名
〔(C)成分〕
・TIC−188:TEP−2P4MHZ、(ビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応開始温度:130℃)、日本曹達(株)製、商品名、
・DICY7:ジシアンジアミド、(ビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応開始温度:160℃)、三菱化学(株)製、商品名
・2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール、(ビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応開始温度:90℃)、四国化成(株)製、商品名
〔(D)成分〕
・FC920G−SQ:溶融球状シリカ、(株)アドマテックス製、商品名、平均粒子径5μm、20μmカット、粒子径32μm以上の含有量が0.1質量%以下
・AM10−025R:溶融球状アルミナ、新日鐵住金マテリアルズ(株)製、商品名、平均粒子径10μm、25μmカット、粒子径32μm以上の含有量が0.1質量%以下
・FB−875FC:溶融球状シリカ、デンカ(株)製、商品名、平均粒子径23μm、55μmカット、粒子径32μm以上の含有量が20質量%
なお、FB−875FCの粒子径32μm以上の含有量は、(株)堀場製作所製のレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(製品名)で測定した値である。
・F205:破砕シリカ、(株)日東紡マテリアル製、商品名、平均粒子径5.5μm、粒子径32μm以上の含有量が4.5質量%
〔(E)成分〕
・カルナバ:天然カルナバワックス、東洋ペトロライト(株)製
・ダイヤカルナ30M:酸無水物骨格構造を有するポリエチレン系離型剤、三菱化学(株)製
・HW1105A:酸無水物骨格構造を有するポリエチレン系離型剤、三井化学(株)製
・TPNC−133:モンタン酸エステルワックス、クラリアントジャパン(株)製
・HW−4252E:低分子量エチレン・プロピレン共重合物の酸化物(酸無水物骨格構造を含有しないポリエチレン系離型剤)、三井化学(株)製
〔低応力剤〕
・ニットレジンクマロンV−120:クマロン・インデン共重合樹脂、日塗化学(株)製
〔シランカップリング剤〕
・Z−6883:フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング(株)製
〔消泡剤〕
・SF−8421:エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
〔着色剤〕
・MA−100RMJ:カーボンブラック、三菱化学(株)製
〔成形方法〕
・トランスファー成形法:金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間
・トランスファーコンプレッションモールド(TCM)法:金型温度175℃、注入圧力6MPa、注入時間20秒間でトランスファー成形した後、成形圧力6MPa、硬化時間120秒間で圧縮成形
・圧縮成形:金型温度175℃で、成形圧力6MPa、硬化時間120秒間
(1)スパイラルフロー
半導体封止用樹脂組成物を金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒間の条件で、トランスファー成形し、樹脂組成物の流動距離(cm)を測定した。なお、150cm以上を合格とする。
175℃の熱板上で、半導体封止用樹脂組成物がゲル化してから硬化するまでの時間(秒)を測定した。
レオメーターHAAKE MARSIII(サーモフィッシャーエイエンティフィック(株)製)を用い、温度175℃、180℃の各条件で溶融粘度(Pa・s)を測定した。溶融粘度の増粘率は180℃における最低溶融粘度(Pa・s)と測定開始30秒後の粘度(Pa・s)から下記式により算出した。
溶融粘度の増粘率(倍)=[(30秒後の粘度−最低溶融粘度)/最低溶融粘度]
半導体封止用樹脂組成物を金型温度175℃、注入圧力4MPa、硬化時間120秒間の条件で、スリット深さ40μmの金型へトランスファー成形し、樹脂組成物の流動距離(mm)を測定した。
半導体封止用樹脂組成物を用いて、FBGAパッケージ(50mm×50mm×0.5mm、半導体素子上面の封止材の被覆厚70μm又は200μm)を、表1及び表2に記載の成形方法による条件で200ショットの連続成形を行った。なお、以下の基準で評価した。
◎:200ショットまで連続成形が可能であった
○:150ショットまで連続成形が可能であったが、200ショットまでの連続成形は不可能であった
×:150ショットまでの連続成形が不可能であった
半導体封止用樹脂組成物を用いて、FBGAパッケージ(50mm×50mm×0.5mm、半導体素子上面の封止材の被覆厚70μm又は200μm)を、表1及び表2に記載の成形方法による条件で200ショットの連続成形を行った。なお、以下の基準で評価した。
◎:外観異常等が見られなかった
○:フローマーク等外観異常は見られるものの、表面ボイド等の外観異常は見られなかった
×:フローマーク、表面ボイド等の外観異常が顕著であった
半導体封止用樹脂組成物を用いて、表1及び表2に記載の成形方法による条件でFBGAパッケージ(50mm×50mm×0.54mm、チップ厚0.44mm、チップ上の封止材の被覆厚が100μm、ワイヤ径0.25μm、ワイヤ長4.5mm)を成形した後、X線検査装置((株)島津製作所製、SMX−1000)によりワイヤの変形を観察し、最大変形部のワイヤ流れ率を測定した。なお、ワイヤ流れ率10%未満を合格とする。
(8)耐リフロー性
上記(5)で作製したFBGAパッケージに、30℃、相対湿度60%、192時間の吸湿処理を施した後、IRリフロー処理(最高到達温度260℃)を行い、パッケージの内部クラック(剥離)の発生の有無を超音波探傷装置(SAT)で観察し、その発生率(不良数(個)/総数(個))を調べた(n=20)。
Claims (7)
- (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、及び(D)球状無機充填材を含有することを特徴とするトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
- 前記(D)球状無機充填材の平均粒子径が3〜25μmであり、前記(D)球状無機充填材の含有量が、樹脂組成物全量に対し70〜90質量%であることを特徴とする請求項1に記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
- 前記(D)球状無機充填材全量中に含まれる最大粒子径32μm以上の球状無機充填材が20質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
- さらに、(E)離型剤として、酸無水物骨格を有するポリエチレン系の離型剤を1種類以上含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
- 前記トランスファーコンプレッションモールド成型法用導体封止用樹脂組成物の175℃における溶融粘度が10Pa・s以下であり、180℃における溶融粘度の増粘率が5%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
- 前記半導体装置の半導体素子上の封止材の厚みが40〜100μmであることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
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