JP6689926B2 - 硫酸エステルの生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は有機合成の分野に関し、特に、硫酸エステルの生成方法に関する。
近年、リチウムイオン電池は電気自動車分野における応用拡大に伴い、その温度適応性がますます注目されるようになっている。本邦の大部分の地域では、夏季の気温が38℃にも達する一方、冬季には−10℃程度にまで低下するが、これはバッテリの高低温性能にとっては厳しい試練となる。ところで、硫酸エステル系化合物は用途が広く、特に、環状硫酸エステル系化合物については、バッテリの高低温性能を改善するためにリチウムバッテリのSEI(Solid Electrolyte Interphase)膜やリチウム電子電解液の新たな添加剤として用いられることが増えている。研究によれば、環状硫酸エステルは電解液中で還元されて亜硫酸塩系化合物を産生可能である。この種の化合物は良好な熱安定性を有しているため、リチウムバッテリにおけるSEI膜の高温安定性を改善し、バッテリの高温サイクル特性や高温保存特性を向上することが可能である。また、SEI膜の成分を最適化し、バッテリのインピーダンスを低下させることが可能なため、バッテリの低温放電特性を改善するのにも有利となる。
現在開示及び報告されている環状硫酸エステルの生成方法の多くでは、まずグリコール系化合物と塩化チオニルを反応させて対応する環状亜硫酸塩を取得してから、酸化により環状硫酸エステルを取得する。しかし、このような方法では反応過程で塩化チオニルを使用しており、導入する塩素イオンの除去が難しいことから、生成物の品質に影響するとの課題が一般的に存在している。また、酸化手順における操作や材料コストも嵩んでしまう。
例えば、特許文献1では、塩化チオニルとグリコールを原料として置換反応により亜硫酸エチレンを生成してから、硫酸鉄を含有するジクロロメタン−水の二相系において炭酸ナトリウム過酸化水素化物を用い、酸化させてエチレンスルファートとすることを報告している。当該技術では、2度の反応においていずれも大量の塩含有廃水が発生するため、環境保護への投入コストが高騰するほか、生成物の精製も困難である。また、生成物は水中で分解しやすいため、品質が不安定となる。
一方、特許文献2でも、塩化チオニルとグリコールを原料として置換反応により亜硫酸エチレンを生成してから、塩化ルテニウム(III)と次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤としてエチレンスルファートを生成している。しかし、当該方法でも同様に、反応における含水量や廃水量が大きいとの課題が存在する。また、酸化試薬が高価なことから工程コストが増大し、商品化や応用には適していない。
また、特許文献3では、塩化チオニルと1,2−ペンタンジオールを原料として付加反応させてから、次亜塩素酸ナトリウムと触媒である塩化ルテニウム(III)又は酸化ルテニウム(IV)の混合溶液を滴下して酸化反応させ、4−プロピル−1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシドを生成することを報告している。しかし、当該方法は操作が煩雑である。また、酸化試薬が効果なことから製造コストが増大してしまう。
上記より、従来技術では数多くの硫酸エステルの生成方法が提案されてはいるが、いずれにも、製品品質にとって不利である、製造コストが増大する、環境保護への投入コストが嵩むといった瑕疵があり、工業生産や製品の普及、応用を困難としている。
中国特許出願公開第CN106187989号 中国特許出願公開第CN105481826A号 中国特許出願公開第CN104945368A号
上述した従来技術の瑕疵に鑑みて、本発明は、従来技術の課題を解決するための硫酸エステルの生成方法を提供することを目的とする。
上記の目的及びその他関連の目的を実現するために、本発明は、式IIの化合物を反応溶媒の存在を条件としてフッ化スルフリルと反応させ、式Iの化合物を生成して取得する硫酸エステルの生成方法を提供する。反応方程式は下記で表される。
Figure 0006689926
nは、0、1、2、3又は4から選択され、MはLi、Na、Kから選択され、R1,R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ個別にH,C1〜C4のアルキル基、C6〜C18のアリール基、C1〜C4のアルコキシ基、塩素又は臭素から選択される。
本発明の一部の実施形態において、nは0又は1から選択される。
本発明の一部の実施形態において、MはNa及びKから選択される。
本発明一部の実施形態において、R1は、H、メチル基又はプロピル基から選択される。
本発明の一部の実施形態において、R2〜R6は水素である。
本発明の一部の実施形態において、フッ化スルフリルと式IIの化合物とのモル比は1〜3:1である。
本発明の一部の実施形態において、フッ化スルフリルと式IIの化合物とのモル比は1.2〜2:1である。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応溶媒は、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒のうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、エーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロパンニトリルのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応温度は−70℃〜30℃である。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応温度は−30℃〜−5℃である。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応は密閉条件下で実施される。
本発明の一部の実施形態において、フッ化スルフリルと式IIの化合物は一定量ずつ混合・反応させる。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応はガスによる保護を条件として実施される。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応は、窒素ガス及び/又は希ガスによる保護を条件として実施される。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における後処理では、反応系を昇温させ、生成物中のフッ化スルフリルを除去してから固液分離し、液体を濃縮することで析出物を取得する。
本発明の一部の実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における後処理では、更に、析出物を再結晶及び/又は懸濁させる。
本発明の一部の実施形態において、前記再結晶及び/又は懸濁では金属イオンキレート剤を添加し、前記金属イオンキレート剤はクラウンエーテルから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記式IIの化合物は式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させて生成し、取得する。反応方程式は下記で表される。
Figure 0006689926
前記アルカリ金属物質中のアルカリ金属元素は、Li、Na、Kから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記アルカリ金属物質は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属単体、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩のうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記アルカリ金属アルコキシドは、メトキシリチウム、ナトリウムメトキシド、メトキシカリウム、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシドのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記アルカリ金属単体は、単体ナトリウム、単体リチウム、単体カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記アルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記アルカリ金属水素化物は、水素化ナトリウム、水素化リチウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記アルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、式IIIの化合物とアルカリ金属物質中のアルカリ金属元素とのモル比は0.5〜3:1であり、好ましくは0.6〜1.5:1である。
本発明の一部の実施形態において、式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応における反応温度は70〜150℃である。
本発明の一部の実施形態において、式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応は、反応溶媒の存在を条件として実施される。
本発明の一部の実施形態において、式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させる反応溶媒は、芳香族炭化水素系溶媒から選択される。
本発明の一部の実施形態において、式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させる反応溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼンのうちの1又は複数の組み合わせから選択される。
本発明の一部の実施形態において、アルカリ金属物質をアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩から選択する場合には、式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させ、反応過程において、反応系で生成された低沸点成分を加熱により除去する。
本発明の一部の実施形態において、アルカリ金属物質がアルカリ金属水素化物、アルカリ金属単体である場合には、アルカリ金属物質を含有する反応溶媒に式IIIの化合物を一定量ずつ加えて反応させる。
本発明の発明者は、大量の模索と研究を重ねた結果、新たな硫酸エステルの生成方法を提供することとした。当該生成方法によれば、水及び塩素イオンの導入が効果的に回避される。且つ、手順の簡略化、副反応が少ない、収率が高い、後処理が容易といった特性を有するため、大規模工業化生産に適している。以上を元に、本発明を完成させた。
本発明は一の局面において、式Iに示す化学構造式で表される硫酸エステルの生成方法を提供する。前記硫酸エステルの生成方法では、式IIの化合物を反応溶媒の存在を条件としてフッ化スルフリルと反応させ、式Iの化合物を生成して取得する。反応方程式は下記で表される。
Figure 0006689926
式中のnは0、1、2、3又は4から選択可能であり、MはLi、Na、Kから選択可能である。また、R1,R2,R3,R4,R5,R6は、それぞれ個別にH、C1〜C4のアルキル基、C6〜C18のアリール基、C1〜C4のアルコキシ基、塩素又は臭素から選択可能である。前記C1〜C4のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等とすればよい。前記C6〜C18のアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオランテン基、フルオレン基、テトラリン基、インダン基、アントラセン基等とすればよい。前記C1〜C4のアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等とすればよい。本発明の好ましい実施形態において、nは0又は1から選択すればよい。本発明の他の好ましい実施形態において、MはNa及びKから選択すればよい。本発明他の好ましい実施形態において、R1は、H、メチル基又はプロピル基から選択すればよい。本発明の他の好ましい実施形態において、R2〜R6は水素とすればよい。本発明の他の好ましい実施形態において、式Iの化合物は、エチレンスルファート、4−メチル−1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド、4−プロピル−1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、1,3,2−ジオキサチアン2,2−ジオキシド等とすればよい。本発明の他の好ましい実施形態において、式IIの化合物は、エチレングリコールナトリウム、エチレングリコールカリウム、1,2−プロパンジオールナトリウム、1,2−プロパンジオールカリウム、1,2−ペンタンジオールナトリウム、1,2−ペンタンジオールカリウム、1,3−プロパンジオールナトリウム、1,3−プロパンジオールカリウム等とすればよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、通常、モル量換算によるフッ化スルフリルの用量は、式IIの化合物の用量とほぼ同量であるか、或いは、式IIの化合物の用量よりも多い。例えば、フッ化スルフリルと式IIの化合物のモル比は1〜3:1としてもよいし、1.2〜2:1としてもよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、通常、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応は溶媒の存在を条件として実施される。当業者は、適切な種類及び用量の溶媒を選択して式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応に適用すればよい。例えば、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応溶媒は、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒等とすればよい。また、例えば、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における芳香族炭化水素系反応溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等とすればよい。また、例えば、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応におけるエステル系溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等とすればよい。また、例えば、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応におけるハロゲン化アルキル系溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン等とすればよい。また、例えば、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応におけるエーテル系溶媒は、エーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン等とすればよい。また、例えば、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応におけるニトリル系溶媒は、アセトニトリル、プロパンニトリル、ブチロニトリル等とすればよい。本発明の好ましい実施形態において、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応溶媒は、ハロゲン化アルキル系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒等から選択すればよく、より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、エーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロパンニトリル等とすればよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、通常、反応系の安定性を保証すべく、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応は低温条件で実施される。例えば、反応温度は室温未満の温度条件としてもよいし、−70℃〜30℃としてもよく、−30℃〜−5℃としてもよい。また、当業者は、反応過程等の要因に応じて反応時間を調整すればよい。反応過程を監視制御する方法は当業者にとって既知のものとし、例えば、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等により反応過程を監視制御すればよい。また、例えば、反応時間は2〜10時間としてもよいし、2〜5時間としてもよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、通常、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応は密閉条件下で実施すればよい。反応時には、通常、反応系の安定性を保証すべく、フッ化スルフリルと式IIの化合物を一定量ずつ混合・反応させればよい。例えば、式IIの化合物と適量の反応溶媒からなる混合系に対し、フッ化スルフリルガスをゆっくりと導入してもよいし、式IIの化合物と適量の反応溶媒を混合し、フッ化スルフリルと反応溶媒を含む反応系に対し一定量ずつ加えてもよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、空気中における水蒸気等のガスが反応に及ぼす影響を効果的に回避可能なように、通常、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応はガスによる保護を条件として実施される。通常、ガスによる保護条件に提供されるガスは、反応系の主要物質(例えば、式IIの化合物、フッ化スルフリル、式Iの化合物)と化学反応を起こさないガスとすればよく、例えば、窒素ガス及び/又は希ガス等とすればよい。また、例えば、前記希ガスは、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス等とすればよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応の後処理において、反応系を昇温させ、生成物中のフッ化スルフリルを除去してから固液分離し、液体を濃縮することで析出物を取得する。後処理過程において、当業者は反応系を適切な温度に昇温させればよい。例えば、反応系を室温まで昇温させてもよく、より具体的には、反応系を20〜30℃まで昇温させてもよい。また、当業者は適切な方法を選択して生成物のフッ化スルフリルを除去すればよい。例えば、窒素ガス及び/又は希ガスを用いてバブリングすることで、反応系内のフッ化スルフリルを除去してもよい。後処理過程における固液分離は、主として反応系内の不溶物を除去する役割を果たす。方法としては、濾過、加圧濾過、遠心分離等の各分野において一般的な分離方法が用いられる。後処理過程において、通常、液体の濃縮温度は60℃未満とし、好ましくは40℃未満とする。また、残留溶媒の質量が式IIの化合物投入質量の約0.5〜3倍となるまで濃縮する。例えば、残留溶媒の質量が式IIの化合物質量の約1〜1.5倍となるまで濃縮すればよい。濃縮により生成物が徐々に析出すると、室温まで降温して析出物を取得すればよい(析出物の取得方式は固液分離とすればよい。また、通常取得される析出物は粗硫酸エステルである)。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、前記式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応の後処理において、更に、析出物を再結晶及び/又は懸濁させる。当業者は、適切な種類の溶媒を選択して析出物の再結晶及び/又は懸濁を実施すればよい。例えば、再結晶及び/又は懸濁の過程で使用する溶媒は、アルカン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒等とすればよい。また、例えば、再結晶及び/又は懸濁過程で使用するアルカン系溶媒は、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等とすればよい。また、例えば、再結晶及び/又は懸濁過程で使用する芳香族炭化水素系溶媒は、トルエン、キシレン等とすればよい。また、例えば、再結晶及び/又は懸濁過程で使用するエステル系溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジメチル等とすればよい。また、例えば、再結晶及び/又は懸濁過程で使用するハロゲン化アルキル系溶媒は、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等とすればよい。また、例えば、再結晶及び/又は懸濁過程で使用するエーテル系溶媒は、エーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン等とすればよい。また、例えば、再結晶及び/又は懸濁過程で使用するアルコール系溶媒は、エタノール、メタノール等とすればよい。当業者は、適切な溶媒用量を選択して析出物の再結晶及び/又は懸濁を実施すればよい。例えば、再結晶及び/又は懸濁過程における溶媒用量は、対象サンプル(例えば、前記析出物)の質量の1〜10倍とすればよい。また、例えば、再結晶過程における溶媒用量は、対象サンプルの質量の4〜10倍とすればよい。また、例えば、懸濁過程における溶媒用量は、対象サンプルの質量の1〜3倍とすればよい。本発明の好ましい実施形態では、析出物の質量の1〜1.5倍のジクロロメタンを加えて1回又は複数回懸濁を実施すればよい。前記再結晶及び/又は懸濁では、例えばNaイオン、Kイオン等の金属イオンが精製物に導入されないよう、適量の金属イオンキレート剤を加えればよい。当業者は適切な種類及び用量の金属キレート剤を選択して懸濁及び/又は再結晶に適用すればよい。例えば、前記金属イオンキレート剤はクラウンエーテル等とすればよい。また、例えば、前記クラウンエーテルは12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のうちの1又は複数の組み合わせとすればよい。また、例えば、前記金属イオンキレート剤の用量は、対象サンプル(例えば、前記析出物)の質量の0.01〜5%としてもよいし、対象サンプルの質量の0.1〜1%としてもよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法において、前記式IIの化合物は式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させて生成し、取得すればよい。反応方程式は下記で表される。
Figure 0006689926
式IIIの化合物のうち、R1〜R6、M、nの定義については上述の式I、式IIの化合物における定義を参照し、式I及び式IIの化合物に関する定義と対応させればよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法において、通常、前記アルカリ金属物質とはアルカリ金属元素を含む物質のことをいう。例えば、前記アルカリ金属物質は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属単体、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩等のうちの1又は複数の組み合わせとすればよい。また、通常、前記アルカリ金属元素はLi、Na、Kとすればよい。また、例えば、前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のうちの1又は複数の組み合わせから選択すればよい。また、例えば、前記アルカリ金属アルコキシドは、メトキシリチウム、ナトリウムメトキシド、メトキシカリウム、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等のうちの1又は複数の組み合わせから選択すればよい。また、例えば、前記アルカリ金属単体は、単体ナトリウム、単体リチウム、単体カリウム等のうちの1又は複数の組み合わせから選択すればよい。また、例えば、前記アルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウム、酸化カリウム等のうちの1又は複数の組み合わせから選択すればよい。また、例えば、前記アルカリ金属水素化物は、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のうちの1又は複数の組み合わせから選択すればよい。また、例えば、前記アルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム等のうちの1又は複数の組み合わせから選択すればよい。式IIIの化合物に含有される水酸基のモル量は、通常、アルカリ金属物質中のアルカリ金属元素のモル量とほぼ同量か、或いは、アルカリ金属物質中のアルカリ金属元素のモル量よりも多い。例えば、式IIIの化合物とアルカリ金属物質中のアルカリ金属元素とのモル比は、0.5〜3:1としてもよいし、0.6〜1.5:1としてもよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、通常、式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応は、室温〜溶媒還流温度を条件として実施される。例えば、反応温度は、室温〜溶媒沸点温度としてもよいし、70〜150℃としてもよい。当業者は、反応過程等の要因に応じて反応時間を調整すればよい。反応過程を監視制御する方法は当業者にとって既知のものとし、例えば、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等により反応過程を監視制御すればよい。また、例えば、反応時間は5〜30時間とすればよい。
本発明で提供する硫酸エステルの生成方法では、通常、式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応は、反応溶媒の存在を条件として実施される。当業者は、適切な種類及び用量の溶媒を選択して式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応に適用すればよい。例えば、式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応に使用する反応溶媒は、芳香族炭化水素系溶媒とすればよい。また、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等としてもよい。当業者は、適切な反応操作方法を選択して式IIIの化合物とアルカリ金属物質との反応を実現すればよい。例えば、アルカリ金属物質をアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩等から選択する場合には、式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させ、反応過程において、反応系で生成された低沸点成分(例えば、反応により生成された水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブチルアルコール等の成分)を加熱により除去すればよい。式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応は反応溶媒の存在を条件として実施されるが、溶媒が存在することで低沸点成分を効果的に分離しやすくなる。また、例えば、アルカリ金属物質がアルカリ金属水素化物、アルカリ金属単体である場合には、アルカリ金属物質を含有する反応溶媒に式IIIの化合物を一定量ずつ加えて反応させる。また、例えば、式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応における後処理には、反応完了後の析出が含まれる。
本発明は他の局面において、前記硫酸エステルの生成方法で生成して取得される硫酸エステル製品を提供する。
本発明における硫酸エステルの生成過程では、水及び塩素イオンの導入が効果的に回避されるため、生成物の分解や塩素イオンが高含有量となるとの事態が回避される。このほか、本発明の生成方法は手順が簡略化されている。また、使用原料はいずれも市販の一般的な化学品であり、原料品種もわずかである。また、副反応も少なく、収率が高い。本発明における硫酸エステルの生成方法は、製造コストが低く、且つ、反応において回収可能な有機溶媒のみを使用する。また、副生成物は単一の無機塩固体であるため回収処理が容易であり、廃水が発生しないことから、環境保護により有利となる。したがって、本発明における硫酸エステルの生成方法は、真にクリーンで環境に優しく、且つ、大規模工業生産に適した方法である。
以下に、特定の具体的実例を挙げて本発明の実施形態につき説明する。なお、当業者であれば、本明細書に開示の内容から、本発明のその他の利点及び効果を容易に理解可能である。また、本発明はその他の異なる具体的実施形態によっても実施又は応用が可能である。本明細書の各詳細事項については、異なる観点及び応用に基づき、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の追加又は変更が可能である。
なお、以下の実施例で具体的に記載していない工程設備や装置については、当該分野において一般的な設備や装置を使用すればよい。
また、特に説明がない限り、本発明で言及する1又は複数の方法ステップは、前記ステップの組み合わせ前後にその他の方法ステップが更に存在し得ること、或いは、これら明確に言及されるステップの間にその他の方法ステップが更に挿入され得ることを排除するものではない。更に、特に説明がない限り、本発明で言及する1又は複数の設備/装置の組み合わせ及び接続関係については、前記設備/装置の組み合わせ前後にその他の設備/装置が更に存在し得ること、或いは、これら明確に言及される2つの設備/装置の間にその他の設備/装置が更に挿入され得ることを排除するものではない。また、特に説明がない限り、各方法ステップの番号は各方法ステップを識別するための便宜的な手段にすぎず、各方法ステップの順序を制限するものでも、本発明が実施可能な範囲を制限するものでもなく、その対応関係の変更又は調整は、技術内容が実質的に変更されない限り、本発明で実施可能な範囲とみなされる。
エチレンスルファートの生成:
マニホールドを備えた反応フラスコ内に200mlのトルエン、75gのエチレングリコール(1.2mol)及び80g(2mol)の水酸化ナトリウムを投入し、還流温度まで昇温して反応させた。このとき、マニホールド内で水が絶えず分留されていることが観察された。20時間後に反応を終了させ、反応系の溶媒を蒸発・乾燥させることでナトリウムエチレングリコキシドを取得し、107.3gを計量して次に備えた。
続いて、1000mLの反応フラスコ内を窒素ガスで保護しつつ、前記手順で生成したナトリウムエチレングリコキシド106.0gと500mLのジクロロメタンを加えた。次に、内部温度を−10〜10℃に維持しながらフッ化スルフリルガス148.7g(1.47mol)をゆっくりと導入し、1.5時間保温反応させた。そして、窒素ガスで1時間バブリングしてから濾過し、濾液を40℃下で減圧析出させて固体粗生成物を取得した。これにジクロロメタンを200mL、15−クラウン−5を0.05g、18−クラウン−6を0.05g加えて1h昇温還流させてから、ゆっくりと室温まで降温させ、濾過及び乾燥を経て91.5gの白色系粉末を取得した。検査の結果、GC(%):99.0%、イオン含有量:Na(2ppm)、K(0.8ppm)、Fe3+(0.5ppm)、Cl(<1ppm)であった。
1,3,2−ジオキサチアン2,2−ジオキシドの生成:
マニホールドを備えた反応フラスコ内に、200mlのトルエン、100g(1.31mol)の1,3−プロパンジオール及び110gのナトリウムメトキシド(2.04mol)を投入し、還流により反応系内の低沸点物質が分離されるまで攪拌・昇温した。そして、15時間後にゆっくりと降温させてから、200mlのジクロロメタンを加えてナトリウム塩懸濁液とし、次に備えた。
続いて、2000mLのオートクレーブにおいて空気を窒素ガスに置換し、500mlのジクロロメタンを追加した。その後、窒素ガスで保護しつつ、内部温度を−10〜0℃に維持しながら145.3gのフッ化スルフリルを導入し、ナトリウム塩懸濁液をオートクレーブに滴下して2時間保温反応させた。反応完了後、反応系を窒素ガスでバブリングして余分なフッ化スルフリルガスを除去し、反応液を濾過した後に、乾燥するまで減圧析出させた。次に、粗生成物に対し300mlのメチルtert−ブチルエーテル、0.05gの15−クラウン−5、0.05gの18−クラウン−6を加えて室温で1h攪拌し、濾過した後に乾燥させて104.7gの製品を得た(2つの手順で収率82.7%)。なお、GC含量は99.9%、ナトリウムイオン0.7ppm、カリウムイオン2ppm、塩素イオン<1ppmであった。
4−プロピル−1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシドの生成:
窒素ガスで保護しつつ、55gの水素化ナトリウム(2.3mol)と200mlのテトラヒドロフランの懸濁液を調製した。続いて、微還流下で125g(1.2mol)の1,2−ペンタンジオールと200mlのテトラヒドロフランの混合液をゆっくりと滴下することで、ガス発生排出系を常時存在させた。これを10時間攪拌し、ガスが発生しなくなった時点でナトリウム塩懸濁液を取得して次に備えた。
続いて、2000mLのオートクレーブにおいて空気を窒素ガスに置換し、窒素ガスで保護しつつ300mlのテトラヒドロフランを追加した。その後、内部温度を−10〜0℃に維持しながら151.6g(1.48mol)のフッ化スルフリルを導入し、ナトリウム塩懸濁液を連続的にオートクレーブに添加して2時間保温反応させた。反応完了後、反応系を窒素ガスでバブリングして余分なフッ化スルフリルガスを除去し、反応液を濾過した後に、乾燥するまで減圧析出させた。次に、粗生成物に対し300mlのジクロロメタン、0.1gの15−クラウン−5、0.1gの18−クラウン−6を加えて1h還流攪拌し、濾過した後に乾燥させて162.7gの製品を得た(2つの手順で収率85.1%)。なお、GC含量>99.9%、ナトリウムイオン6ppm、カリウムイオン3ppm、塩素イオン<1ppmであった。
エチレンスルファートの生成:
反応フラスコ内に200mlのトルエン、80g(1.29mol)のエチレングリコール及び108gのナトリウムメトキシド(2.00mol)を投入し、攪拌しながら還流温度まで昇温してメタノールを除去し続けた。そして、15時間後に蒸発・乾燥させ、残留物を迅速に無水の2000mlオートクレーブに移し、窒素ガスで保護しながら800mlのジクロロメタンを添加した。続いて、−10〜0℃まで降温してから、ゆっくりと129.0gのフッ化スルフリルを導入し、約1時間で導入を完了した後、2時間保温反応させた。反応完了後、窒素ガスで1時間バブリングし、濾過してから、濾液を乾燥するまで減圧析出した。次に、粗生成物に250mlのn−ヘキサン、0.5gの15−クラウン−5、0.5gの18−クラウン−6を加え、室温で1h攪拌した。そして、濾過後に乾燥させて淡褐色の粉末状固体を100.2g取得した。なお、GC含量は99.9%であった。
エチレンスルファートの生成:
反応フラスコ内に、200mlのキシレン、81.2gのエチレングリコール及び110gの水酸化カリウムを投入し、還流状態の約130〜140℃となるまで攪拌した。そして、20時間後に溶媒が蒸発・乾燥してから400mlの無水アセトニトリルを補充し、均一な懸濁液となるまで攪拌した。続いて、窒素ガスに置換してから反応系を密閉し、130gのフッ化スルフリルと400mlのアセトニトリルからなる混合液中に懸濁液を連続的に添加した。添加は反応系の温度を−15〜−5℃に維持しながら約1時間で完了し、1時間保温した。反応が終了すると、窒素ガスを用いて反応系をバブリングし、不溶物を濾過した。そして、濾液を60℃下で乾燥するまで減圧析出し、取得した固体を0.6gの15−クラウン−5及び0.5gの18−クラウン−6を含有する250mlのn−ヘキサン溶液中において室温で1時間攪拌した。次に、これを濾過して乾燥させることで、白色系粉末を106.3g取得した。なお、GC含量>99.9%、カリウムイオン6ppm、塩素イオン<1ppmであった。
上述したように、本発明は従来技術における様々な瑕疵を解消可能であり、高度な産業上の利用価値を有する。
なお、上記の実施例は本発明の原理及び効果を例示的に説明するためのものにすぎず、本発明を制限するものではない。当該技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱しないことを前提に、上記実施例につき追加又は変更が可能である。したがって、当業者が、本発明で開示する精神及び技術的思想を逸脱せずに実施するあらゆる等価の追加又は変更もまた、本発明における特許請求の範囲に含まれる。

Claims (10)

  1. 硫酸エステルの生成方法であって、前記硫酸エステルの化学構造式は式Iで表され、
    式IIの化合物を反応溶媒の存在を条件としてフッ化スルフリルと反応させて式Iの化合物を取得し、反応方程式は下記で表され、
    Figure 0006689926
    nは、0、1、2、3又は4から選択され、
    MはLi、Na、Kから選択され、
    R1,R2,R3,R4,R5,R6は、それぞれ個別にH、C1〜C4のアルキル基、C6〜C18のアリール基、C1〜C4のアルコキシ基、塩素又は臭素から選択される方法。
  2. 硫酸エステルの生成方法であって、前記硫酸エステルの化学構造式は式Iで表され、
    式IIの化合物を反応溶媒の存在下、水分のない条件でフッ化スルフリルと反応させて式Iの化合物を取得し、反応方程式は下記で表され、
    Figure 0006689926
    nは、0、1、2、3又は4から選択され、
    MはLi、Na、Kから選択され、
    R1,R2,R3,R4,R5,R6は、それぞれ個別にH、C1〜C4のアルキル基、C6〜C18のアリール基、C1〜C4のアルコキシ基、塩素又は臭素から選択される方法。
  3. nは0又は1から選択され、
    及び/又は、MはNa及びKから選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸エステルの生成方法。
  4. R1は、H、メチル基又はプロピル基から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸エステルの生成方法。
  5. R2〜R6は水素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸エステルの生成方法。
  6. 更に、
    A1)フッ化スルフリルと式IIの化合物とのモル比は1〜3:1であり、
    A2)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応溶媒は、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒のうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    A3)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応温度は−70℃〜30℃であり、
    A4)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応は密閉条件下で実施され、
    A5)フッ化スルフリルと式IIの化合物は一定量ずつ混合・反応させ、
    A6)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応はガスによる保護を条件として実施され、
    A7)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における後処理では、反応系を昇温させ、生成物中のフッ化スルフリルを除去してから固液分離し、液体を濃縮することで析出物を取得する、というA1)〜A7)のうちの1又は複数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸エステルの生成方法。
  7. 更に、
    B1)フッ化スルフリルと式IIの化合物とのモル比は1.2〜2:1であり、
    B2)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、エーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロパンニトリルのうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    B3)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における反応温度は−30℃〜−5℃であり、
    B4)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応は、窒素ガス及び/又は希ガスによる保護を条件として実施され、
    B5)式IIの化合物とフッ化スルフリルの反応における後処理では、更に、析出物を再結晶及び/又は懸濁させる、というB1)〜B5)のうちの1又は複数を含むことを特徴とする請求項に記載の硫酸エステルの生成方法。
  8. 前記再結晶及び/又は懸濁では金属イオンキレート剤を添加し、前記金属イオンキレート剤はクラウンエーテルから選択されることを特徴とする請求項に記載の硫酸エステルの生成方法。
  9. 前記式IIの化合物は、式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させて生成し取得され、反応方程式は下記で表され、
    Figure 0006689926
    前記アルカリ金属物質中のアルカリ金属元素は、Li、Na、Kから選択され、
    C1)前記アルカリ金属物質は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属単体、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩のうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    C2)式IIIの化合物とアルカリ金属物質中のアルカリ金属元素とのモル比は0.5〜3:1であり
    C3)式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応における反応温度は70〜150℃であり、
    C4)式IIIの化合物とアルカリ金属物質の反応は、反応溶媒の存在を条件として実施される、というC1)〜C4)のうちの1又は複数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸エステルの生成方法。
  10. 更に、
    D1)前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    D2)前記アルカリ金属アルコキシドは、メトキシリチウム、ナトリウムメトキシド、メトキシカリウム、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシドのうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    D3)前記アルカリ金属単体は、単体ナトリウム、単体リチウム、単体カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    D4)前記アルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    D5)前記アルカリ金属水素化物は、水素化ナトリウム、水素化リチウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    D6)前記アルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムのうちの1又は複数の組み合わせから選択され、
    D7)前記反応溶媒は芳香族炭化水素系溶媒から選択され
    D8)アルカリ金属物質をアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩から選択する場合には、式IIIの化合物とアルカリ金属物質を反応させ、反応過程において、反応系で生成された低沸点成分を加熱により除去し、
    D9)アルカリ金属物質がアルカリ金属水素化物、アルカリ金属単体である場合には、アルカリ金属物質を含有する反応溶媒に式IIIの化合物を一定量ずつ加えて反応させる、というD1)〜D9)のうちの1又は複数を含むことを特徴とする請求項9に記載の硫酸エステルの生成方法。
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