以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の建物を鉄骨ラーメン構造を有する二階建てユニット式建物として具体化している。図1は建物10の間取りを示す図であり、(a)に一階部分11を示し、(b)に二階部分12を示す。
図1(a),(b)に示すように、建物10においては、その奥行き寸法が間口寸法(幅寸法)より大きくされており、全体として、奥行き方向に沿って延びた直方体状になっている。建物10は一階部分11及び二階部分12を有している。一階部分11と二階部分12とは上下に隣り合っており、一階部分11が下階部に相当し、二階部分12が上階部に相当する。建物10においては、その建物内空間が外壁15により屋外に対して区画されている。また、建物10は、間仕切壁16により仕切られた複数の屋内空間を有している。
次に、ユニット式建物について図2、図3を参照しつつ説明する。図2は二階部分12における建物ユニット20の配置を示す図、図3は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
建物10は、複数の建物ユニット20が組み合わされることで構築されており、一階部分11及び二階部分12は、いずれも複数の建物ユニット20を有している。各建物ユニット20は、全体として直方体状に形成されており、その長手方向を建物10の幅方向とした向きで配置され、建物10の奥行き方向に沿って各階において一列に並べられている。この場合、図2に示すように、各階において横並びに隣り合う建物ユニット20の境界部(ドッキングラインDL)は、建物10の奥行き方向に所定間隔で存在し、各ドッキングラインDLは、建物10の幅方向に延びている。
図3に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(ユニット躯体)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材28が支持され、床小梁26によって床面材29が支持されている。
図1(a),(b)の説明に戻り、建物10は、屋内空間として、一階部分11と二階部分12とに跨って上下に延びた吹き抜け空間31を有している。外壁15は、建物10の奥行き方向に直線的に延びた第1外壁部15aを有しており、吹き抜け空間31は、第1外壁部15aにより屋外空間に対して区画されている。この場合、第1外壁部15aは、一階部分11と二階部分12とに上下に掛け渡された状態で設けられている。
吹き抜け空間31は、一階部分11の天井及び二階部分12の床が両方とも設置されていない非設置部分を通じて、一階部分11から二階部分12に吹き抜けた空間になっている。吹き抜け空間31は、図1(b)にドットハッチングで示すように、建物10の奥行き方向に延びた部分と幅方向に延びた部分とを有していることで平面視でL字状に形成されている。
吹き抜け空間31には、昇降可能な階段32が設置されている。階段32は、昇降方向が真っ直ぐに延びている直階段部32aと、昇降方向が曲がっている廻り階段部32bとを有しており、平面視でJ字状の廻り階段とされている。直階段部32aは一階部分11の床から斜め上方に延びており、廻り階段部32bは二階部分12の床から斜め下方に向けて延びている。直階段部32aと廻り階段部32bとは、平面視で第1外壁部15aに沿って横並びに配置されている。この場合、直階段部32aが廻り階段部32bよりもファサード側に配置されており、廻り階段部32bは、建物10の幅方向において直階段部32aよりも建物内側に突出している。吹き抜け空間31においては、建物10の奥行き方向に延びた部分に直階段部32aが配置され、幅方向に延びた部分に廻り階段部32bが配置されている。
図1(a)に示すように、一階部分11の屋内空間としては、吹き抜け空間31の他に、玄関ホール41と、この玄関ホール41から行き来可能な一階廊下42と、一階廊下42から行き来可能な一階寝室43、一階トイレ44及び洗濯室45と、洗濯室45から行き来可能な浴室46と、一階寝室43から行き来可能なウォークインクローゼット等の衣装室47と、一階廊下42から物品を出し入れ可能な廊下倉庫48とが設けられている。
玄関ホール41はファサード側に配置されており、ファサードには、玄関ホール41に通じる玄関口41aが設けられている。玄関ホール41、吹き抜け空間31、衣装室47及び一階寝室43は、第1外壁部15aに沿って並べられており、いずれも第1外壁部15aにより屋外に対して区画されている。吹き抜け空間31は、玄関ホール41に隣り合う位置に配置されており、玄関ホール41から階段32に行き来可能になっている。廊下倉庫48は、建物10の幅方向において吹き抜け空間31に隣り合う位置に配置されている。また、廊下倉庫48は、吹き抜け空間31において廻り階段部32bの下方に配置された部分を有している。洗濯室45は、浴室46の前室とされており、脱衣室と称することもできる。
なお、一階部分11には、玄関ホール41に隣り合うガレージ49aと、一階寝室43に隣り合うテラス49bとが、屋外空間として設けられている。建物10は、そのファサードを道路側に向けて配置されており、ガレージ49aは、道路側に向けて開放されていることで道路からの車両の出入りを可能としている。テラス49bへの人の出入りは、一階寝室43の掃き出し窓を通じて行われるようになっている。
図1(b)に示すように、二階部分12の屋内空間としては、吹き抜け空間31の他に、階段32から行き来可能な二階廊下51と、二階廊下51から行き来可能な居室52と、居室52から行き来可能な二階寝室53及びキッチン54と、居室52から行き来可能な洗面室55と、洗面室55から行き来可能な二階トイレ56と、洗面室55から物品を出し入れ可能な洗面倉庫57とが設けられている。なお、居室52は、リビング及びダイニングの両方を形成しており、居室52においては、ダイニングがキッチン54とリビングとの間に配置されている。また、二階部分12においては、二階廊下51、洗面室55、二階トイレ56及び洗面倉庫57が非居室空間とされ、居室52及び二階寝室53が居室空間とされている。
二階廊下51は、四方のうち二方に吹き抜け空間31が存在する位置に配置されている。二階廊下51は、平面視で直階段部32a及び廻り階段部32bの両方に隣り合っており、直階段部32aの建物内側において廻り階段部32bのファサード側に配置されている。なお、二階部分12においては、吹き抜け空間31及び二階廊下51を1つの屋内空間とみなして階段室と称することもできる。
吹き抜け空間31、二階トイレ56、洗面倉庫57及び二階寝室53は、第1外壁部15aに沿って並べられており、いずれも第1外壁部15aにより屋外に対して区画されている。二階トイレ56は、吹き抜け空間31に隣り合う位置において、建物10の幅方向において洗面室55に隣り合っている。洗面室55は、建物10の幅方向において二階トイレ56と居室52との間に配置されているとともに、建物10の奥行き方向において吹き抜け空間31と二階寝室53との間に配置されている。この場合、洗面室55は、建物10の幅方向及び奥行き方向のいずれにおいても外壁15から建物内側に離間している。
二階トイレ56及び洗面倉庫57は、いずれも建物10の幅方向において洗面室55に隣り合っている。この場合、建物10の奥行き方向において、二階トイレ56及び洗面室55が吹き抜け空間31に隣り合っており、洗面室55及び洗面倉庫57が二階寝室53に隣り合っている。なお、二階寝室53は、クローゼット等の収納棚53aを有しており、この収納棚53aが洗面室55及び洗面倉庫57に隣り合っている。
なお、二階部分12には、キッチン54に隣り合う第1バルコニー58aと、居室52に隣り合う第2バルコニー58bとが、屋外空間として設けられている。第1バルコニー58aへの人の出入りは、キッチン54の屋外出入口を通じて行われるようになっており、第2バルコニー58bへの人の出入りは、居室52の掃き出し窓を通じて行われるようになっている。
二階部分12には、ファサードが建物奥側に向けて凹んだ凹み部59が設けられており、この凹み部59に第1バルコニー58aが配置されている。この場合、第1バルコニー58aは、建物10の奥行き方向において吹き抜け空間31に隣り合っている。外壁15は、第1バルコニー58aと吹き抜け空間31とを仕切る第2外壁部15bを有しており、この第2外壁部15bは、第1外壁部15aから建物10の幅方向に延びている。この場合、第2外壁部15bは、第1外壁部15aと同様に、吹き抜け空間31を屋外空間に対して区画している。また、外壁15は、二階部分12において第2バルコニー58bと居室52とを仕切る第3外壁部15cを有しており、この第3外壁部15cは、建物10の幅方向に延びている。
建物10において、外壁15には複数の窓が設けられており、これら窓を通じて屋内空間に太陽光等の自然光が取り込まれるようになっている。二階部分12においては、洗面室55が外壁15から屋内側に離間した位置に配置されているが、洗面室55にも、吹き抜け空間31に取り込まれた自然光の明るさが付与されるようになっている。つまり、自然光が吹き抜け空間31を経由して洗面室55にも取り込まれるようになっている。
ここでは、洗面室55に自然光を取り込むための構成について、図4、図5を参照しつつ説明する。図4は二階部分12の洗面室55周辺の拡大平面図、図5は洗面台55a周辺の構成を示す図である。なお、図5においては、(a)に図4のA−A線断面図を示し、(b)に図4のB−B線断面図を示す。
図4に示すように、間仕切壁16は、吹き抜け空間31と洗面室55を仕切る第1壁部16aと、二階トイレ56と洗面室55とを仕切る第2壁部16bと、洗面室55と居室52とを仕切る第3壁部16cと、洗面室55と二階寝室53とを仕切る第4壁部16dとを有している。なお、洗面室55が第1空間に相当し、二階トイレ56が第2空間に相当し、居室52が第3空間に相当し、二階寝室53が第4空間に相当する。
第1壁部16aは、建物10の幅方向において二階トイレ56と洗面室55とに跨った状態になっており、洗面室55に加えて二階トイレ56を吹き抜け空間31に対して区画している。この場合、廻り階段部32bが第1壁部16aに沿って延びていることになる。第1壁部16aは、第1外壁部15aから建物内側に向けて延びており、吹き抜け空間31を挟んで第2外壁部15bに対向している。なお、洗面室55及び二階トイレ56は廻り階段部32bに沿って横並びに配置されており、これら洗面室55及び二階トイレ56を横並びにできるスペースを廻り階段部32bが確保していることになる。
第2壁部16bは、第1壁部16aから建物奥側に向けて延びており、二階トイレ56を挟んで第1外壁部15aに対向している。第3壁部16cは、建物10の奥行き方向に直線的に延びていることで、洗面室55と二階廊下51(階段室)とに跨った状態になっており、洗面室55に加えて吹き抜け空間31及び二階廊下51も居室52に対して区画している。第2壁部16b及び第3壁部16cは、いずれも第1外壁部15aに平行に延びており、第1壁部16aは、第1外壁部15aと第3壁部16cとに掛け渡された状態になっている。この場合、第2壁部16bは、吹き抜け空間31と同じ幅寸法を有する空間を縦長の2つの空間に分割した状態になっており、これら2つの空間がそれぞれ二階トイレ56及び洗面室55とされている。
第4壁部16dは、第1壁部16aと同様に、第1外壁部15aから建物内側に向けて延びており、洗面室55、二階トイレ56及び洗面倉庫57を挟んで第1壁部16aに対向している。また、第4壁部16dは、第1外壁部15aと第3壁部16cとに掛け渡された状態になっている。この場合、第3壁部16c及び第4壁部16dは、洗面室55や吹き抜け空間31等の非居室空間と、居室52や二階寝室53等の居室空間とを仕切っていることになる。
外壁15に設けられた複数の窓としては、吹き抜け空間31に採光可能な階段窓部61,62と、二階トイレ56に採光可能なトイレ窓部63とがあり、これら窓部61〜63は、いずれも第1外壁部15aに設けられている。階段窓部61,62は、第1外壁部15aにおいて、吹き抜け空間31を屋外空間に対して区画した部分に配置され、トイレ窓部63は、二階トイレ56を屋外空間に対して区画した部分に配置されている。
階段窓部61,62は、第1外壁部15aにおいて所定間隔で横並びに配置されている。階段窓部61,62のうち、第1階段窓部61は、直階段部32aの上方位置に配置されており、第2階段窓部62は、廻り階段部32bの上方位置に配置されている。階段窓部61,62は、いずれも縦長形状とされており、吹き抜け空間31の天井から下方に離間した位置に配置されている(図5参照)。階段窓部61,62には、開閉可能なサッシ戸が設けられており、このサッシ戸が開放されることで吹き抜け空間31の通気が行われることになる。
二階トイレ56には、便器56aがその正面を洗面倉庫57側(第1壁部16aとは反対側)に向けて設けられている。便器56aは、第1壁部16a寄りの位置に配置されており、トイレ窓部63は、洗面倉庫57寄りの位置に配置されている。
洗面室55には、洗面台55aがその正面を二階寝室53側(第1壁部16aとは反対側)に向けて設けられている。洗面台55aは、洗面棚板55bの上に載せられた状態でその洗面棚板55bにより支持されている。洗面棚板55bは、第2壁部16bと第3壁部16cに掛け渡された状態で、第1壁部16aから側方に向けて延びている。洗面棚板55bは、第2壁部16bと第3壁部16cとの並び方向において、洗面台55aの幅寸法は、洗面棚板55bの幅寸法より小さくされており、洗面台55aは洗面棚板55bのほぼ中央に配置されている。
第1壁部16aには、吹き抜け空間31の明るさを洗面室55に取り込むための洗面窓部65が設けられている。洗面窓部65は、第1壁部16aにおいて吹き抜け空間31と洗面室55とを仕切る部分に設けられた開口部であり、廻り階段部32bの上方位置に配置されている。したがって、自然光が階段窓部61,62を通じて吹き抜け空間31に取り込まれた場合、その自然光の明るさが洗面窓部65を通じて洗面室55に伝わることになる。なお、階段窓部61,62が屋外窓部に相当し、洗面窓部65が屋内窓部に相当する。
洗面窓部65には、嵌め殺しの窓パネルが設けられている。窓パネルは、ガラス材料や合成樹脂材料などにより形成された透光性を有する板材であり、サッシ枠に嵌め込まれた状態で第1壁部16aに対して取り付けられている。この場合、洗面窓部65が開放されないため、二階トイレ56の匂いが吹き抜け空間31に拡散しないようになっている。
第2壁部16bには、洗面室55と二階トイレ56とに出入り可能なトイレ出入口71が設けられ、第3壁部16cには、居室52と洗面室55とに出入り可能な洗面出入口72が設けられ、第4壁部16dには、二階廊下51と居室52とに出入り可能な廊下出入口73が設けられている。洗面倉庫57は、洗面室55に向けて開放されており、その開放部分は、観音開き式の開き戸により開閉されるようになっている。
トイレ出入口71は、第2壁部16bにおいて洗面倉庫57寄りの位置に配置されており、建物10の幅方向においてトイレ窓部63に対向している。トイレ出入口71は、第2壁部16bにおいて洗面倉庫57側の側端部から第1壁部16aに向けて延びており、第1壁部16aからは洗面倉庫57側に離間している。トイレ出入口71には、開閉体としての引き戸71aが設けられており、この引き戸71aが閉状態になっている場合には、二階トイレ56から洗面室55に光が入ることが第2壁部16b及び引き戸71aにより規制される。
洗面出入口72は、第3壁部16cにおいて二階寝室53寄りの位置に配置されており、建物10の幅方向において洗面倉庫57に対向している。洗面出入口72は、第3壁部16cにおいて二階寝室53側の側端部(第4壁部16d)から第1壁部16aに向けて延びており、第1壁部16aからは二階寝室53側に離間している。洗面出入口72には、開閉体としての引き戸72aが設けられており、この引き戸72aが閉状態になっている場合には、居室52から洗面室55に光が入ることが第3壁部16c及び引き戸72aにより規制される。
洗面出入口72の位置は、トイレ出入口71よりも二階寝室53側に近く、且つ建物10の幅方向においてトイレ出入口71に重ならない位置にもなっている。この場合、洗面台55aからの離間距離は、洗面出入口72の方がトイレ出入口71よりも大きくなっている。このため、引き戸72aが開状態にあることで洗面出入口72を通じて居室52の明るさが洗面室55に付与されていたとしても、その明るさが洗面台55aに届きにくくなっている。しかも、ユーザは洗面出入口72に背を向けた状態で洗面台55aを使用すると想定されるため、居室52からの明るさをユーザ自身が遮ることになってしまう。これに対して、自然光が吹き抜け空間31から洗面窓部65を通じて洗面室55に入った場合には、その自然光はユーザの正面に付与されることになる。
洗面室55は、建物10の奥行き方向において第3外壁部15cよりも建物奥側に向けて延びている。この場合、洗面出入口72の位置は、第3外壁部15cを建物10の奥行き方向に跨ぐ位置にもなっており、洗面出入口72は、第3外壁部15cの側端部に対向している。つまり、洗面出入口72は、居室52の隅部に配置されている。このため、居室52にいるユーザが洗面出入口72を見た場合、引き戸72aが開放されていても、洗面出入口72を通じては第4壁部16dが見える程度であり、洗面出入口72に対してこの視線とは異なる方向に並べられたトイレ出入口71は見えないようになっている。このように、第3壁部16cに洗面出入口72が設けられていても、この第3壁部16cは居室52からトイレ出入口71への視線を遮るようになっている。
また、居室52と二階寝室53とは行き来可能になっているが、洗面出入口72が第4壁部16dに設けられていることで、第4壁部16dは二階寝室53からトイレ出入口71への視線を遮るようになっている。
廊下出入口73は、第3壁部16cにおいて第1バルコニー58a寄りの位置に配置されており、建物10の幅方向において第1階段窓部61に対向している。廊下出入口73は、第3壁部16cにおいて第1バルコニー58a側の側端部(第2外壁部15b)から第1壁部16aに向けて延びており、第1壁部16aからは第1バルコニー58a側に離間している。吹き抜け空間31には、平面視で二階廊下51と直階段部32aとを仕切る腰壁部75が設けられており、腰壁部75は、建物10の奥行き方向に延びた状態で、第1階段窓部61と廊下出入口73との間に配置されている。
図4、図5(b)に示すように、第1壁部16aは、ドッキングラインDLを跨いだ状態でそのドッキングラインDLに沿って延びている。ここで、第1壁部16aと同様に、ドッキングラインDLを跨ぐ位置には、隣り合う建物ユニット20の大梁22,23が集合した大梁集合部77が設けられている。大梁集合部77には、二階部分12において隣り合う建物ユニット20の各床大梁23と、一階部分11において隣り合う建物ユニット20の各天井大梁22とが含まれている。大梁集合部77は、大梁22,23がいずれもドッキングラインDLに沿って延びていることで、そのドッキングラインDLに沿って延びており、上下方向において第1壁部16aに重なる位置に配置されている。
なお、大梁集合部77においては、天井大梁22と床大梁23とが各階の建物ユニット20の境界部(スタッキングラインSL)を上下に跨いで隣り合っており、大梁集合部77は、ドッキングラインDLに加えてスタッキングラインSLに沿って延びていることになる。
第1壁部16aの壁厚み方向において、大梁集合部77は第1壁部16aの両壁面の内側に配置されている。この場合、第1壁部16aの厚み寸法が大梁集合部77の厚み寸法より大きくされており、第1壁部16aにおいて吹き抜け空間31側の壁面は、大梁集合部77よりも吹き抜け空間31側に配置されているとともに、洗面室55側の壁面は、大梁集合部77よりも洗面室55側に配置されている。ここで、第1壁部16aにおいては、吹き抜け空間31側の壁面が洗面室55の床面より下方に向けて延びており、この壁面を形成する壁面材は、大梁集合部77を吹き抜け空間31側から覆った状態になっている。
第1壁部16aには、吹き抜け空間31側に向けて突出した状態で手摺部78が取り付けられている。手摺部78は、階段32の昇降方向に沿って延びており、第1外壁部15aや腰壁部75にも取り付けられている。手摺部78は、階段32の踏み板から所定の高さ位置(例えば80cm)に配置されている。
洗面台55aには、上水を供給する給水管や水を排出する排水管などの水配管79が接続されている。水配管79は、洗面台55aから下方に向けて延びており、洗面室55の床下に引き込まれている。洗面室55の床下には、水配管79が敷設された配管スペースSが、大梁集合部77に横並びの位置に設けられている。ここで、第1壁部16aにおける洗面室55側の壁面が大梁集合部77より洗面室55側に配置されているため、水配管79が第1壁部16aの壁面に沿って上下方向に延びた状態で配管スペースSに引き込まれていても、水配管79が大梁集合部77に干渉しないようになっている。なお、洗面室55においては、第1壁部16aに対して固定されたブラケット等により水配管79が支持されている。なお、配管スペースSが設備スペースに相当する。なお、配管スペースSは、図5(a),(b)においてドットハッチングで図示している。
上記したように、第1壁部16aは、大梁集合部77に合わせて所定の厚み寸法を有していることで、手摺部78の取り付け対象及び水配管79の固定対象として使用可能になっているが、第1壁部16aの厚み寸法が大きいほど洗面窓部65を光が通りにくくなることが懸念される。
これに対して、第1壁部16aには、洗面室55に向けて凹んだ凹部81が形成されており、洗面窓部65は、第1壁部16aにおいて凹部81により薄く(厚み寸法が小さく)された肉薄部分82に設けられている。これにより、洗面窓部65を光が通りやすくなっている。
第1壁部16aにおいては、凹部81が第1壁部16aの上端部から下方に向けて延びていることで、肉薄部分82が第1壁部16aの上端部(洗面室55の天井)から下方に向けて延びている。また、凹部81は、第1壁部16aにおいて、吹き抜け空間31と洗面室55とを仕切る部分に形成されている一方で、吹き抜け空間31と二階トイレ56とを仕切る部分には形成されていない。この場合、第1壁部16aにおいて凹部81が形成されていない部分を肉薄ではない肉厚部分83と称すれば、二階トイレ56と吹き抜け空間31とを仕切る部分(図4参照)と、肉薄部分82の下方部分(図5(b)参照)とがそれぞれ肉厚部分83になっている。
第1壁部16aにおいて洗面室55と吹き抜け空間31とを仕切る部分では、肉厚部分83が、第1壁部16aの下端部(洗面室55の床)から上方に向けて延びており、肉薄部分82と肉厚部分83との境界部が洗面室55の天井と床との間に配置されている。この境界部においては、肉厚部分83の上端面が肉薄部分82から吹き抜け空間31側に向けて延びていることで段差が形成されており、この段差に対して飾り棚85が設けられている。飾り棚85においては、棚板が肉厚部分83の上端面に載せられており、その棚板が肉厚部分83や肉薄部分82に対して固定されている。
吹き抜け空間31においては、手摺部78が飾り棚85の棚板より低い位置に配置されている。つまり、手摺部78が肉厚部分83に取り付けられている。ここで、例えば、手摺部78が肉薄部分82に取り付けられた構成では、手摺部78が階段32から側方(洗面室55側)に離間して手摺部78の使い勝手が低下することが懸念される。これに対して、手摺部78が肉厚部分83に取り付けられた構成では、手摺部78が階段32から洗面室55側に離間しないため、階段32の昇降に際してユーザが掴みやすい位置に手摺部78を配置できる。
第1壁部16aにおいては、洗面窓部65が肉薄部分82に設けられている。図5(a)に示すように、洗面窓部65は、横長矩形状とされており、第2壁部16bと第3壁部16cとに掛け渡された状態で、肉薄部分82の上端部から下方に向けて延びている。洗面窓部65の下端部は、階段窓部61,62の上端部と同じ高さ又はそれより高い位置に配置されている。この場合、階段窓部61,62を通じて吹き抜け空間31に射し込んだ太陽光が、洗面窓部65を通じて洗面室55に射し込みにくくなっている。これにより、洗面室55には、太陽光の明るい雰囲気が吹き抜け空間31から洗面窓部65を通じて付与されることになる。
洗面台55aと洗面窓部65との間には鏡87が設けられている。鏡87は、反射面を吹き抜け空間31とは反対側に向けて、第1壁部16aの壁面に取り付けられている。この場合、洗面窓部65を通じて吹き抜け空間31から洗面室55に付与された光が、洗面台55aを使用しているユーザの顔に当たりやすいため、ユーザは自身の顔を鏡87で見やすくなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
階段窓部61,62を通じて吹き抜け空間31に自然光が取り込まれた場合、その自然光の明るさが洗面窓部65を通じて洗面室55に付与されるため、洗面室55が外壁15から離間した位置に配置されていても、その洗面室55において照明器具等を点灯させなくても明るさを確保できる。
洗面室55への採光用の窓部(洗面窓部65)が第1壁部16aに設けられているだけで、第2壁部16b、第3壁部16c及び第4壁部16dには設けられていないため、これら壁部16b〜16dに採光用の窓部が設けられた構成に比べてコスト負担を低減できる。
仮に、第3壁部16cや第4壁部16dに採光用の窓部が設けられていたとしても、居室52や二階寝室53においては、外壁15の窓からの採光が家具やカーテンなどにより遮断されやすいと想定される。また、第2壁部16bに採光用の窓部が設けられていると、二階トイレ56の使用に際してプライバシーに関する問題が生じることが懸念される。これに対して、吹き抜け空間31においては、階段32が設けられていることで家具が設置される可能性や、階段窓部61,62にはカーテンが取り付けられる可能性が低く、プライバシーに関する問題も生じないと想定されるため、洗面室55への採光を中継する中継空間が吹き抜け空間31とされることが好ましい。
洗面室55が第3壁部16c及び第4壁部16dにより居室52及び二階寝室53に対して仕切られているため、二階トイレ56への出入りに際してトイレ出入口71の引き戸71aが開放された場合でも、居室52からでは二階トイレ56の内部が見えにくくなっている。
洗面室55においては、洗面台55aが第1壁部16aに対して取り付けられていることで、その洗面台55aの上方に洗面窓部65が配置されているため、洗面台55aに正対しているユーザの正面側に洗面窓部65からの明るさを付与できる。
吹き抜け空間31においては、洗面窓部65の下端部が階段窓部61,62の上端部より高い位置に配置されているため、階段窓部61,62を通じて吹き抜け空間31に太陽光が直接射し込んだとしても、その太陽光が洗面窓部65には照射されにくくなっている。したがって、ユーザは洗面室55において直射日光を受けずに明るさだけを得ることができる。さらに、洗面窓部65が設けられた第1壁部16aと階段窓部61,62が設けられた第1外壁部15aとが互いに交差しているため、更に太陽光が洗面窓部65に直接は照射されにくくなっている。
第1壁部16aにおいては、肉薄部分82に洗面窓部65が設けられているため、例えば肉厚部分83に洗面窓部65が設けられた構成に比べて、洗面窓部65の光の通りやすさが高められている。第1壁部16aの壁厚み方向においては、肉厚部分83が大梁集合部77よりも壁外側に張り出した状態になっているため、その肉厚部分83を手摺部78の取り付け対象及び水配管79の固定対象として使用することができる。
第1壁部16aにおいては、肉薄部分82と肉厚部分83との段差に対して飾り棚85が設けられているため、肉厚部分83の上方位置をデッドスペースとするのではなく、飾り棚85の物品設置スペースとして有効利用することができる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、屋内窓部としての洗面窓部65が第1壁部16aの上端部から下方に向けて延びていたが、洗面窓部65は、第1壁部16aの上端部から下方に離間した位置に配置されていてもよい。例えば、洗面窓部65の上端部が階段窓部61,62の上端部より低い位置に配置された構成とする。また、洗面窓部65は、横長形状ではなく、縦長形状とされ、第2壁部16b及び第3壁部16cのいずれからも離間した位置(第2壁部16bと第3壁部16cとの中間位置)に配置されていてもよい。
(2)上記実施形態では、第1空間としての洗面室55において、洗面台55aが第1壁部16aに取り付けられていたが、洗面台55aは、第2壁部16bや第3壁部16cに取り付けられていてもよい。つまり、洗面台55aを使用するユーザの正面上方に洗面窓部65が配置されているのではなく、そのユーザの側面上方に洗面窓部65が配置されていてもよい。
(3)上記実施形態では、洗面室55において洗面台55aが、トイレ出入口71及び洗面出入口72のいずれよりも第1壁部16a側に配置されていたが、洗面台55aと第1壁部16aとの間にトイレ出入口71や洗面出入口72が配置されていてもよい。
(4)上記実施形態では、洗面出入口72が第3壁部16cに設けられていたが、洗面出入口72は、第4壁部16dに設けられていてもよい。この場合、第4空間としての二階寝室53から洗面出入口72を通じて洗面室55に出入りすることが可能になる。
(5)上記実施形態では、第1空間が洗面室55とされていたが、第1空間は、洗面台55aさえ設けられていれば、廊下や脱衣室、洗濯室などとされていてもよい。要は、第1空間が洗面台55a付きの非居室空間とされていればよい。また、第1空間は、外壁15から離間していれば、吹き抜け空間31を挟んで第1外壁部15aとは反対側に配置されていてもよい。
(6)上記実施形態では、第2空間が二階トイレ56とされていたが、第2空間は、第1外壁部15aにより屋外空間に対して区画され、且つ吹き抜け空間31及び第1空間の両方に隣り合っていれば、廊下や脱衣室、洗濯室、倉庫などとされていてもよい。
(7)上記実施形態では、第3区間としての居室52が建物10の幅方向において吹き抜け空間31に隣り合う位置に配置されていたが、居室52は、建物10の奥行き方向において吹き抜け空間31に隣り合い、且つ建物10の幅方向において洗面室55に隣り合う位置に配置されていてもよい。
(8)上記実施形態では、屋外窓部としての階段窓部61,62が第1外壁部15aに設けられていたが、階段窓部61,62は、第2外壁部15bに設けられていてもよい。この場合、第2外壁部15bは、屋内窓部としての洗面窓部65が設けられた第1壁部16aに対向しているため、階段窓部61,62が第1外壁部15aに設けられた構成に比べて、階段窓部61,62及び洗面窓部65を通じて太陽光が洗面室55に直接射し込む可能性が高くなる。
(9)上記実施形態では、第1空間としての洗面室55が二階部分12に配置されていたが、第1空間は一階部分11に配置されていてもよい。例えば、一階部分11において、廊下倉庫48が第1空間とされ、間仕切壁16において吹き抜け空間31と廊下倉庫48とを仕切る部分が第1壁部とされ、その第1壁部に屋内窓部が設けられた構成とする。この構成では、階段窓部61,62を通じて吹き抜け空間31に取り込まれた自然光の明るさが、屋内窓部を通じて廊下倉庫48に付与されることになる。
(10)上記実施形態では、吹き抜け空間31において第1壁部16aに飾り棚85が設けられていたが、飾り棚85は、洗面室55において第1壁部16aに設けられていてもよい。例えば、第1壁部16aにおいて、吹き抜け空間31側及び洗面室55側の両方に凹部81が形成され、凹部81により洗面室55側に形成された段差(肉厚部分83の上端面)に飾り棚85の棚板が載せられた構成とする。
(11)上記実施形態では、水配管79が敷設された配管スペースSが洗面室55の床下に形成されていたが、洗面室55の床下には、水配管79に加えて、給湯装置や空調ダクト、空調装置などの建物設備を設置可能な設備スペースが、大梁集合部77に横並びの位置に配置されていればよい。