JP6185333B2 - 板状集合住宅における住戸の間取り構造 - Google Patents
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Description
板状集合住宅においては、戸境壁で区画された住戸群の片側に共用廊下が構築され、反対側にはバルコニーが構築された片廊下型集合住宅が代表的である。
このような集合住宅における間取り構造としては、特許文献1の図1及び図2に記載されているものが知られている。すなわち、共用廊下に面する玄関から廊下(住戸内)がバルコニー側に向けて帯状に伸びており、この廊下の両側に、居室、トイレ、洗面所、キッチン等を接続し、共用廊下の正面に居間を接続する配置が一般的である。
しかし、上記のような間取り構造においては、廊下を必須の構成としているため、該廊下部分は部屋として使用できず、居室率が低下せざるを得ない。
また、廊下に接続する各室が閉じられた空間として、通風、換気が制限的にならざるを得ないという問題がある。
前記住戸の平面形は、間口が短辺、奥行きが長辺となる矩形をなし、
前記共用廊下に面する玄関から前記バルコニーに向けて、一方の戸境壁に沿って、パブリックな居室、前記一方の戸境壁に沿って配置されたシステムキッチンを備えるとともに食事室を有しないキッチン、居間が夫々順次、直に接続され、
前記共用廊下と前記バルコニーとの間で、前記玄関と、前記パブリックな居室と、前記キッチンと、前記居間とが、ほぼ直線状に配置されるとともに、前記玄関と、前記パブリックな居室と、前記キッチンと、前記居間とを連通する空間及び動線が形成され、
前記パブリックな居室には、住戸の間口方向に一又は二の居室が接続され、
前記キッチンには、住戸の間口方向に該キッチンから直に行き来できる洗面所・浴室が接続され、
前記居間には、住戸の間口方向に一又は二の居室が接続され、かつ、
前記一方の戸境壁と対向して配置された他方の戸境壁の側では、該他方の戸境壁に沿って、前記共用廊下の側から前記バルコニーに向けて、居室ゾーン、洗面所・浴室を含み、キッチンを含まない水場ゾーン、居室ゾーンが夫々順次配置された態様をなす、
板状集合住宅における住戸の間取り構造である。
(2)上記板状集合住宅における住戸の間取り構造において、前記玄関及び前記居間のバルコニー側には、夫々、開閉可能な窓が設けられており、これらの窓を開くことにより前記共用廊下と前記バルコニーとの間で、前記玄関、前記パブリックな居室、前記キッチン及び前記居間を貫通する直線的な風の通路が形成されることを特徴とする。
また、玄関からバルコニーに向けて、パブリックな居室、キッチン、さらに居間へと連通する、開放的で広がりのある空間が形成される。そして、これら各部屋の通風、換気を向上させることができる。
(2)前記玄関及び前記居間のバルコニー側には、夫々、開閉可能な窓が設けられており、これらの窓を開くことにより前記共用廊下と前記バルコニーとの間で、前記玄関、前記パブリックな居室、前記キッチン及び前記居間を貫通する直線的な風の通路が形成される構成により、極めて良好に通風、換気を行うことができる。
「直に接続される」とは、接続される両者の間に一定の面積を有する区画(例えば廊下や別の部屋)が設けられていないことを意味する。
本発明に係る板状集合住宅における住戸の間取り構造は、多数層積層された集合住宅、特に中高層集合住宅に適する。
また、住戸の平面形は、間口が短辺、奥行きが長辺となる矩形を前提としており、通常、間口は5〜8m、奥行き(共用廊下及びバルコニーを含まない。)は10〜14mである。
住戸1の一側には共用廊下2が配置され、他側にはバルコニー3が配置されている。符号4は柱、符号5,6は戸境壁である。戸境壁5,6は、対向して配置され、それぞれ共用廊下2とバルコニー3との間を直線的に接続している。
上記共用廊下2に面して玄関10が設けられている。玄関10はバルコニー3と対向する位置関係にあり、玄関10からバルコニー3に向けて、戸境壁5に沿って、パブリックな居室20、キッチン30、居間40が夫々順次、直に接続されている。
そして、玄関10にはパブリックな居室20が直に接続されている。
パブリックな居室20とは、居住者あるいは来訪者等が集い使用することが可能な、パブリック・ゾーンとして機能し得る居室をいう。代表例としては食堂(ダイニングルーム)が挙げられる。本実施例では食堂としての使用を想定している。もっともその用途は食堂に限られるものではない。パブリックな居室20の大きさは、例えば4〜7畳程度とすることができる。
玄関10を入ってすぐにこのような広い空間が拡がり、開放感に溢れている点が一つの特徴となっている。
キッチン30は、戸境壁5に沿って、流し台、調理台、コンロ台を含むシステムキッチン31が配置され、その反対側には洗濯機置き場32が配置されている。キッチン30の大きさは、例えば3〜5畳程度である。
パブリックな居室20とキッチン30との境界(破線で示す。)には、引き戸を設けてもよい。
居間40のバルコニー3側にはバルコニー3へ出入り可能な窓41が設けられている。
すなわち、玄関10、パブリックな居室20、キッチン30、居間40という、機能的に独立した4つのゾーンが、共用廊下2とバルコニー3との間でほぼ直線状に配置され、これらのゾーンを連通する開放的で広がりのある空間が形成され、上記4つのゾーンを廊下を介することなく直線的に行き来できる動線が得られる。
バルコニー3から居間40、キッチン30、パブリックな居室20へと連通する空間が形成されるため、各室の通風、換気も良好に行われる。さらに、玄関10に設けられた窓12及び居間40に設けられた窓41を開くことにより、共用廊下2とバルコニー3との間を貫く直線的な風の通路が形成され、極めて良好に通風、換気を行うことができる。
パブリックな居室20と居室50との境界には、居室50への出入り口となる引き戸51が設けられている。
居室50の大きさは、例えば4〜7畳程度である。
また、洗面所60には、浴室70が接続されているほか、トイレ65が接続されている。
このように、住戸1において、戸境壁5と対向して配置された戸境壁6に接する側では、戸境壁6に沿って、共用廊下2側からバルコニー3に向けて、居室ゾーン、洗面所・浴室を含み、台所を含まない水場ゾーン、居室ゾーンが順次配置された態様となっている。
また、破線で示すとおり、共用廊下2とバルコニー3との間で、玄関10、パブリックな居室20、キッチン30及び居間40を貫通する直線的な風の通路が形成されることが理解される。
各居室50,52の出入り口には、引き戸51,53が夫々が設けられている。
居室50,52の大きさは、例えば3.5〜4.5畳程度である。
具体的には、廊下を備えた従来の間取りに対して、約10%居室率を向上させることができる。居室率とは、住戸の床面積に占める居室部分の面積の割合をいう。
これにより、従来不可能と考えられていた60m2の3LDK、72m2の4LDKといった高効率なプランが実現可能となる。
また、住戸の間口について見ると、3LDKのプランでは従来の技術の下では6m必要なところを5mほどに狭めることができ、4LDKのプランでは従来の技術の下では7m必要なところを6mほどに狭めることができる。したがって、比較的狭小な敷地における集合住宅の構築にも有益である。
2 共用廊下
3 バルコニー
5 戸境壁
6 戸境壁
10 玄関
20 パブリックな居室
30 キッチン
40 居間
50,52 居室
60 洗面所
65 トイレ
70 浴室
80,82 居室
Claims (2)
- 建物の桁行方向に連続配置された複数の住戸と、該複数の住戸に沿うように該複数の住戸の一側に配置された共用廊下と、該複数の住戸に沿うように該複数の住戸の他側に配置されたバルコニーとを備えた板状集合住宅における住戸の間取り構造であって、
前記住戸の平面形は、間口が短辺、奥行きが長辺となる矩形をなし、
前記共用廊下に面する玄関から前記バルコニーに向けて、一方の戸境壁に沿って、パブリックな居室、前記一方の戸境壁に沿って配置されたシステムキッチンを備えるとともに食事室を有しないキッチン、居間が夫々順次、直に接続され、
前記共用廊下と前記バルコニーとの間で、前記玄関と、前記パブリックな居室と、前記キッチンと、前記居間とが、ほぼ直線状に配置されるとともに、前記玄関と、前記パブリックな居室と、前記キッチンと、前記居間とを連通する空間及び動線が形成され、
前記パブリックな居室には、住戸の間口方向に一又は二の居室が接続され、
前記キッチンには、住戸の間口方向に該キッチンから直に行き来できる洗面所・浴室が接続され、
前記居間には、住戸の間口方向に一又は二の居室が接続され、かつ、
前記一方の戸境壁と対向して配置された他方の戸境壁の側では、該他方の戸境壁に沿って、前記共用廊下の側から前記バルコニーに向けて、居室ゾーン、洗面所・浴室を含み、キッチンを含まない水場ゾーン、居室ゾーンが夫々順次配置された態様をなす、
板状集合住宅における住戸の間取り構造。 - 前記玄関及び前記居間のバルコニー側には、夫々、開閉可能な窓が設けられており、これらの窓を開くことにより前記共用廊下と前記バルコニーとの間で、前記玄関、前記パブリックな居室、前記キッチン及び前記居間を貫通する直線的な風の通路が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の板状集合住宅における住戸の間取り構造。
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