JP6652703B2 - 車両用アームレスト装置 - Google Patents
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Description
具体的には、シート下方に設けられたスライドレールとアームレストとをリンク部材で連結することで、乗員の体格に左右されるシートの前後方向のスライド量に比例するスライド量でアームレストを移動させるという技術である。
このため、姿勢の異なる乗員の体格に適した位置にアームレストを位置させることは現実的には困難であった。例えば、アームレストが、スライド後にも乗員の体格に適当な位置に対して過剰に移動することがあった。
さらに、任意の位置にアームレストを位置させるには、スライドレールとリンク部材とを締結するボルトを緩める必要があり、使い勝手が悪かった。
特に、スライドレールとリンク部材との締結するボルトを緩める等の作業によって、アームレストの位置を変更する場合には、車両内の他の部材と干渉することがあった。
また、本発明の他の目的は、使い勝手の良い車両用アームレスト装置を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、アームレストを移動又は形状を変更する場合に、他の部材との干渉を防ぐことにある。
さらに、本発明の他の目的は、アームレストの位置又は形状の変更が過剰となることを防止することにある。
このように、本発明に係る車両用アームレスト装置は、体格情報に基づいてアームレストの位置又は形状を変更し、乗員の体格に適した位置にアームレストを配置することで、体格差のある乗員がアームレストを使用する場合であっても、使い勝手の良い車両用アームレスト装置を提供することができる。
また例えば、前記アームレストは、前記下側支持部と、該下側支持部上に配設される後側部と、前記下側支持部及び前記後側部に対して移動可能である前記可動部と、を有し、前記エアー袋は、上下方向において前記後側部と前記下側支持部の間に挟まれて配置されていると好ましい。
また例えば、前記後側部と前記可動部を連結する引張ばねを備え、該引張ばねは、前記エアー袋の上端よりも上方位置に配置されていると好ましい。
また例えば、前記エアー袋は、前記可動部の車両幅方向における外端に当接していると好ましい。
また例えば、前記車両用アームレスト装置は、前記車両の内部に設けられたドアトリムに設けられていると好ましい。
このように、判定部が乗員の体格を基準より小さいと判定したときに、アームレストが標準位置よりも前側及び/又はシート幅方向におけるシートの中央側に配置されるように、制御部が変更機構を制御することで、体格差のある乗員のいずれの使用にも適した車両用アームレスト装置を提供することができる。
このように、制御部が、アッパーレールの位置情報に基づいて判定した乗員の体格に応じて、変更機構を制御することで、シート前後移動とアームレストの位置又は形状の変更とが連動し、特別な操作が不要となり、使い勝手が良くなる。
このように、アッパーレールが前方にあるという小柄な乗員がシートに着座している確率の高い状況時に、アームレストが標準位置よりも前側及び/又はシート幅方向におけるシートの中央側に配置されることで、特別な操作が不要となり、使い勝手が良くなる。
このように、シートウェイトセンサによって検出された荷重が基準値以下であるという小柄な乗員がシートに着座している確率の高い状況時に、アームレストが標準位置よりも前側及び/又はシート幅方向におけるシートの中央側に配置されるようにすることで、特別な操作が不要となり、使い勝手が良くなる。
このように、アームレストと車両内の他のものとの距離が基準値以下になる程近接したときに、アームレストの位置又は形状の変更を停止するようにすることで、アームレストと車両内の他のものとの干渉を抑制することができる。
このように、アームレストがシートバックに当接するという制限指標を設けて、アームレストの位置又は形状の変更を停止するという簡単な構成で、アームレストの位置又は形状の変更が過剰となることを防止することができる。
(第1の実施形態に係るアームレスト装置の全体構成、及び機能について)
まず、第1の実施形態に係るアームレスト装置2の全体構成、及び機能について図1及び図2を参照して説明する。
ここで、図1は、ドアトリム基材1aに取り付けたられた状態における本発明の第1の実施形態に係るアームレスト装置2の全体構成を示す図、図2Aは、アームレスト2aの高さが変化している状態を示す模式図、図2Bは、アームレスト2aのシート幅方向の位置が変化している状態を示す模式図である。
ドアトリム基材1aは、ポリプロピレン(PP)等の硬質の合成樹脂から形成されている。
アームレスト装置2は、詳細については図3を参照して後述するが、アームレスト2aと、アームレスト2aの位置を変更する変更機構7と、体格情報検出センサ4と、変更機構7を制御する制御部Cと、から構成される。アームレスト2aは、ドアトリム基材1aに配設され、車室側に張り出し、車体前後方向に長尺な形状を有する。
上記機能を実現するためのアームレスト装置2の構成について、図3を参照して説明する。図3は、アームレスト2aを制御する制御部Cのブロック図である。
CPU3aの制御によってアームレスト2aの位置又は形状を変更するものとして、詳細については後述するが、コンプレッサ7aによって生成される圧縮空気が用いられる。
上記の構成によって、乗員の体格情報に合わせて、アームレスト2aの位置又は形状が自動で変更することとなる。
乗員は、自動で変更されたアームレスト2aの位置又は形状を手動で変更する場合、又は上記の自動的な変更を無効とする場合には、マニュアルスイッチ5bに切り換える切換スイッチ5aを押すようにすればよい。このようにすることで、個人の好みに合わせて、アームレスト2aの位置又は形状を調整することができる。
さらに、アームレスト装置2は、シートバックS2に所定距離近づいた場合に制御信号をCPU3aに送信する後述する近接センサ6を備える。
次に、アームレスト装置2による乗員の体格情報を検出する体格情報検出センサ4としてのスライド位置検出センサ4a、シートウェイトセンサ4b、シートベルトセンサ4c又はカメラ4dについて、図4〜図6を参照して詳細に説明する。
ここで、図4は、アッパーレール8bに固定プレート9を介して取り付けられたスライド位置検出センサ4aを示す模式図、図5は、アッパーレール8bに取り付けられたシートウェイトセンサ4bを備えるクッションフレームS1aを示す斜視図、図6は、シートベルトセンサ4c及びカメラ4dを示す模式図である。
図4に示す、スライド位置検出センサ4aは、シートSのスライド位置を検出するセンサである。本実施形態におけるスライド位置検出センサ4aは、公知のリニアエンコーダであり、固定プレート9に固定されている。
具体的には、固定プレート9は、ロアレール8aの上方に位置するアッパーレール8bの上部に取り付けられており、ロアレール8aの側方に延在している。スライド位置検出センサ4aは、ロアレール8aの側面と、固定プレート9の間に配設されて、固定プレート9におけるロアレール8a側の側面に上下に2個固定されている。なお、ロアレール8aとアッパーレール8bとによってスライドレール8が構成されている。
一方、CPU3aは、例えばシートSが後方にあることを特定することによって、定められた基準の体格よりも大柄な乗員であると判定した場合には、アームレスト2aが標準位置よりも後方、シート幅方向におけるシートの外側に若しくは上方又はこれらの複数の方向に移動/変形するように制御する。
なお、アームレスト2aの移動/変形方法の詳細については後述する。
図5に示す、シートウェイトセンサ4bは、ストレインゲージを備え、乗員の荷重を電気信号として検出するセンサである。シートウェイトセンサ4bは、クッションフレームS1aを構成するシート両側にあるサイドフレームS1bの下面と、アッパーレール8bの上面との間に、前後左右に4箇所配設されている。
上記構成を備えるシートウェイトセンサ4bによって、体格情報としての乗員の荷重に係る情報が取得される。
一方、CPU3aは、シートウェイトセンサ4bによって得られた荷重に係る情報が予め定められた基準値よりも大きく、大柄な乗員であると判定した場合には、アームレスト2aが標準位置よりも後方、シート幅方向におけるシートの外側に若しくは上方又はこれらの複数の方向に移動/変形するように制御する。
図6に示す、シートベルトセンサ4cは、シートベルト40の引き出し量を検出するものである。本実施形態のおけるシートベルトセンサ4cは、公知のロータリエンコーダであり、不図示のシートベルト巻取装置内にある不図示のリールシャフトに組み込まれている。シートベルト40は、乗員の胸部から腰部にかけて掛け渡されるため、乗員の体格によってその引き出される量が異なる。このことから、シートベルト40の引き出し量を検出できるシートベルトセンサ4cを、乗員の体格の特定する検出器として用いることが可能である。
但し、例えば、スライド位置検出センサ4a又はカメラ4dが車内に設けられていないが、シートウェイトセンサ4b及びシートベルトセンサ4cは既存の装備としてシートに設けられている場合には、シートウェイトセンサ4b又はシートベルトセンサ4cを用いるようにしてコストを抑えることができる。
まず、上記体格情報に基づいてアームレスト2aの一部の位置を変更するための変更機構7について説明する前に、アームレスト2aの具体的な構成について図1、図7A及び図7Bを参照して説明する。
ここで、図7Aは、エアー袋7cが収縮した状態時におけるアームレスト装置2を示す、図1のA−A断面矢視図、図7Bは、エアー袋7cが膨張した状態時におけるアームレスト装置2を示す、図1のA−A断面矢視図である。
また、図7A及び図7Bに示すように、後側部2dの車両幅方向における車両の内側の端部と、この端部に対向する可動部2eにおける部位とには、次に説明する変更機構7の動作に関わる1本の引張ばね20fが固定されている。
次に、アームレスト装置2の変更機構7について、図7A及び図7Bを参照して具体的に説明する。
変更機構7は、圧縮空気を生成するコンプレッサ7aと、コンプレッサ7aからエアー袋7cに送り出される空気量を調整する三方弁型のバルブ7bと、コンプレッサ7aより生成された圧縮空気がバルブ7bを介して流入・流出することによって、膨張・収縮するエアー袋7cとから構成される。変更機構7は、制御部Cによるコンプレッサ7a及びバルブ7bの動作制御によって制御される。
制御部Cは、例えばエンジンの始動を契機に、コンプレッサ7aに制御信号を送信し、コンプレッサ7aを動作させ、所定の量(圧力)の圧縮空気を生成させる。次に、制御部Cは、体格情報検出センサ4によって着座者の体格情報を取得する。
圧縮空気が導入されて内圧が高まりエアー袋7cが膨張することで、エアー袋7cが可動部2eの車両幅方向における車両の外側の面に当接して、可動部2eを車両の幅方向における車両の内側に押し込むこととなる。この押込荷重が加えられた可動部2eは、下側支持部2cの上面、及び前側部2bの上面を滑るようにして、図7Bに示す車両の幅方向における車両の内側に移動することとなる。
なお、自動的に調整された可動部2eの位置が合わない場合には、その位置を修正できるようにすると好適である。
例えば、図7Bに示すように、可動部2eについてのドアトリム1から車両幅方向における車両の内側に突出した位置は、小柄な着座者であっても、例えば痩せているが体格の大きい人である場合等、着座者が腕を置くのに適当な位置ではない場合がある。この場合には着座者の操作により、図示せぬスイッチを操作することにより、制御部Cに直接、可動部2eを車両の幅方向における車両の外側に移動させる信号を送信するようにしてもよい。
このため、乗員は、ドアトリム基材1aから離間する位置に突出する可動部2eに腕をのせるため、可動部2eと後側部2dの段差に触れにくく、段差に触れることによる違和感に伴う不快感を乗員に生じさせることを防ぐことができる。
次に、第1の変形例に係るアームレスト装置20について、図8及び図9A〜図9Cを参照して説明する。
ここで、図8は、ガイド溝20c及びフリーボールベアリング20bを備えるアームレスト装置20を示す図9CのB−B断面矢視図、図9Aは、アームレスト20aの動作前の状態を示す図、図9Bは、アームレスト20aが車両幅方向における車両の中央側に動作した状態を示す図、図9Cは、アームレスト20aが車両幅方向における車両の中央側及び標準位置よりも前方側に動作した状態を示す図である。
なお、以下の説明においては、重複する構成部分については同一符号を付し、重複する構成部分及びその機能の説明を省略し、異なる構成部分及びその機能の特徴を明確にする。
このガイド溝20cは、車両幅方向における車両の外側から内側に直線的に延出し、車両前方に向かうように円弧状に曲がって延出し、車両前方に直線的に延出するように2本形成されている。この2本のガイド溝20cは、相似形を成し、所定間隔でオフセットされて形成され、大きい方のガイド溝20cが車内側に配置されている。
具体的には、2本のガイド溝20cの車両前方への延出方向は、エアー袋7cから可動部20eへの押圧方向に対して垂直な方向から、前方にかけて車両幅方向における車両の内側に傾いている。このように、エアー袋7cからの押圧方向に対してガイド溝20cが傾斜していることで、エアー袋7cの押圧力を調整することで、ガイド溝20cに沿って動作する可動部20eの車両幅方向への動作量を調整することができる。
特に、可動部20eにおける水平に延在する上部における下面には、フリーボールベアリング(ボールトランスファ)20bが2個固定されている。2個のフリーボールベアリング20bは、下側にボールが位置する向きで、2本のガイド溝20cの間隔と略同一の間隔で可動部20eに固定されている。
また、後側部20dの車両幅方向における車両の内側の端部と、この端部に対向する可動部20eにおける部位とに、次に説明する変更機構70の動作に関わる1本の引張ばね20fが固定されている。
アームレスト装置20の変更機構70が上記実施形態に係る変更機構7と異なる点は、後側部20dにガイド溝20cが形成され、可動部20eにガイド溝20cに沿って転動するフリーボールベアリング20bが形成されていることにある。
このような構成を変更機構70が備えることにより、例えば、着座者が小柄であると制御部Cが判定したときには、可動部20eをガイド溝20cに沿って車両幅方向における車両の内側及び車両の前側に移動させることができる。
そして、変形例においては、可動部20eが、ガイド溝20cに沿って下側支持部2cの上面、及び前側部2bの上面を滑るようにして、車両の幅方向における車両の外側に移動することとなり、図9Aに示す可動部20eが突出していない状態に戻ることとなる。
このようにして、アームレスト20aは、可動部20eが車両幅方向に移動することによって、その位置が変わることとなる。
つまり、乗員が小柄であるときは、ハンドルの操作のためにシートSを車両前側に出すことが多く、アームレスト20aの位置が実際の腕の位置よりも後方になってしまうことが多い。また、乗員とアームレスト20aの距離が離れるため、アームレスト20aを車両幅方向における車両の内側に突出した状態にすることが好ましい。
さらに、各乗員の体格の違いに応じて、コンプレッサ7a及びエアー袋7cに繋がる流路にあるバルブ7bを制御して、エアー袋7c内の圧力を調整することにより、車両幅方向における車両の内側への突出量を調整することができる。
なお、図示せぬ車両のドアミラーやルームミラーの角度を検出する図示せぬセンサを備え、このセンサから得られた信号から制御部Cが車両の前後方向の位置を特定して、乗員の体格を特定するようにしてもよい。
次に、第2の変形例に係るアームレスト装置21について、図10A、図10B及び図11を参照して説明する。
なお、図10Aは、複数のエアー袋を備える第2の変形例に係るアームレスト装置21を示す図、図10Bは、図10AのC−C断面矢視図であり、複数のエアー袋を備えるアームレスト装置21の構成を示す図、図11は、第2の変形例に係る変更機構71を模式的に示す構成図である。
エアー袋群21cは、具体的には、ドアトリム基材1a近傍にある外側エアー袋21dと、外側エアー袋21dの車両幅方向における車両の内側にある内側エアー袋21eと、内側エアー袋21eの下側にある下側エアー袋21fと、これらの後方に配設された後側エアー袋21gとから構成されている。
アームレスト装置21の変更機構71は、圧縮空気を生成するコンプレッサ7aと、コンプレッサ7aからエアー袋群21cに送り出される空気量を調整するバルブ群71bと、コンプレッサ7aより生成された圧縮空気がバルブ群71bを介して流入・流出することによって、膨張・収縮するエアー袋群21cとから構成される。
ここで、バルブ群71bは、図11に示すように、コンプレッサ7aからエアー袋群21cとに繋がる流路に配設されており、三方弁型のバルブ71d,71e,71f,71gから構成されるものである。具体的には、バルブ群は、外側エアー袋21dに繋がる流路に配設され、バルブ71eは、内側エアー袋21eに繋がる流路に配設され、バルブ71fは、下側エアー袋21fに繋がる流路に配設され、バルブ71gは、後側エアー袋21gに繋がる流路に配設されている。
変更機構71は、制御部Cによるコンプレッサ7a及びバルブ群71bの動作制御によって制御される。
(a)小柄な乗員が着座した場合
体格情報検出センサ4によって得られた情報が、小柄な乗員がシートSに着座したことを示す情報である場合には、制御部Cは、図10に示す変更機構71の後側部21bを、車両の幅方向における車両の内側に突出させるように変形させる。
具体的には、制御部Cは、エアー袋群21cが膨張状態にあるときには、その状態を維持し、エアー袋群21cが収縮状態にあるときには、膨張状態に変形させる。
つまり、制御部Cは、エアー袋群21cが収縮状態にあるときには、制御信号を閉塞状態にあるバルブ群71bに送信してバルブ群71bの開き方向を変更してコンプレッサ7aとエアー袋群21cとを連通状態とし、エアー袋群21c内に圧縮空気を送る。圧縮空気が導入されて内圧が高まりエアー袋群21cが膨張し、アームレスト21aの後側部21bが車両幅方向における車両の中央側に張り出すこととなる。制御部Cは、エアー袋群21c内に封入した圧縮空気が所定の圧力になると、バルブ群71bを閉塞させて、その状態を保つように制御する。
また、制御部Cは、エアー袋群21cが膨張状態にあるときには、バルブ群71bに制御信号を送信せずに、その状態を維持する。
また、例えばカメラ4dにより乗員の背が低いという情報が得られた場合には、制御部Cがエアー袋群21cのうち、上側に配された外側エアー袋21d及び内側エアー袋21eを収縮させるように制御信号をバルブ群71bに送信すると好ましい。このようにすることで、アームレスト21aは、その高さが低くなり、背の低い乗員が腕を置くのに適した形状となる。
体格情報検出センサ4によって得られた情報が、大柄な乗員がシートSに着座したことを示す情報である場合には、制御部Cは、図10に示す後側部21bが車両幅方向における車両の外側に位置するように変形させる。
具体的には、制御部Cは、エアー袋群21cが膨張状態にあるときには、収縮状態に変形させ、エアー袋群21cが収縮状態にあるときには、その状態を維持する。
つまり、制御部Cは、エアー袋群21cが膨張状態にあるときには、バルブ群71bに制御信号を送信し、バルブ群71bの開き方向を変更してエアー袋群21cと外気とを連通させ、エアー袋群21c内に封入されている圧縮空気を減らす。制御部Cは、エアー袋群21c内に封入されている圧縮空気が所定の圧力になると、バルブ群71bを閉塞させて、その状態を保つように制御する。
また、変更機構71の制御部Cは、エアー袋群21cが収縮状態にあるときには、バルブ群71bに制御信号を送信せずに、その状態を維持する。
また、例えばカメラ4dにより乗員の背が低いという情報が得られた場合には、制御部Cは、エアー袋群21cのうち、上側に配された外側エアー袋21d及び内側エアー袋21eを膨張させるようにすると好ましい。このようにすることで、アームレスト21aは、その高さが高くなり、背の高い乗員が腕を置くのに適した形状となる。
さらには、エアー袋群21c及びバルブ群71bの数を増やして、アームレスト21aの変形の自由度を高めるようにしてもよい。
上記の第1の実施形態に係るアームレスト装置2,20,21においては、エアー袋7c又はエアー袋群21cを膨張又は収縮させることによって、アームレスト2a,20a,21aのドアトリム基材1aからの突出量を調整するようにしていた。しかし、本願発明はこのような実施形態に限定されるものではない。
他の実施形態としての第2の実施形態に係るアームレスト装置24は、平歯車24bとラック部1dによって、車両幅方向にアームレスト24aを移動させる構成を備えるものである。この構成について、図12、図13及び図14A〜図14Cを参照して説明する。
後側部24dの上面においては、平歯車24bを収容してガイドするガイド溝1cが平歯車24bに対向する位置に形成されており、フリーボールベアリング24eを摺動させてガイドするガイド溝1eがフリーボールベアリング24eに対向する位置に形成されている。
このラック部1dと、ラック部1dに噛合する平歯車24bと、平歯車24bを回転させるモータMと、モータMを制御する制御部Cとによって、変更機構73は主に構成されている。
上記構成から成る変更機構73の動作について説明する。
可動部24gが車両幅方向における車両の外側に位置している図14Aに示す状態において、制御部Cが制御信号をモータMに送信することによって、モータMに軸支された平歯車24bが正転(図14Aにおいて反時計回り方向に回転)すると、平歯車24bはラック部1dに噛み合いながら車両幅方向における車両の内側に転がることとなる。そして、平歯車24bを軸支するモータMが固定された可動部24gは、図14Bに示すように、平歯車24bの転がりに伴って車両幅方向における車両の内側に移動することとなる。
さらに、平歯車24bが正転することで、図14Cに示すように、可動部24gは、一部が円弧状に曲がって形成されたラック部1dに沿って、車両幅方向における車両の内側に移動して、車両前後方向前側に移動することとなる。
さらに、平歯車24bが逆転することで、図14Aに示すように、可動部24gは、一部が円弧状に曲がって形成されたラック部1dに沿って、車両前後方向後ろ側に移動して車両幅方向における車両の外側に移動することとなる。
具体的には、体格情報検出センサ4による体格情報の検出により、制御部Cが小柄な乗員が着座したと判定し、図14Aに示すアームレスト24aの位置がシートSの着座者の腕よりも車両幅方向における車両の外側にあると制御部Cが判定した場合には、制御部Cは、モータMを所定角度だけ正転させて、図14Aに示す位置から図14Bに示す位置まで、アームレスト24a(可動部24g)を車両幅方向における車両の内側に移動させることができる。さらに、アームレスト24aの位置が、シートSの着座者の腕よりも車両前後方向後ろ側にあると制御部Cが判定した場合には、制御部Cは、モータMをより大きな回転角度で正転させて、図14Cに示す位置まで、アームレスト24aを前方に移動させることができる。
第3の実施形態に係るアームレスト装置25は、図15及び図16に示すように、上下に伸縮自在に設けられた車両前後方向の両側に一対設けられたパンタグラフPGを備えることを特徴とする。
なお、図15は、パンタグラフPGを備えるアームレスト装置25を示す分解斜視図、図16は、パンタグラフPGを備えるアームレスト装置25を示す、図1のA−A断面に相当する部位の断面図である。
ガイド溝26eには、ラック部1dと同様のラック部26fが車両幅方向における車両の外側の縁面に形成されている。
一対のパンタグラフPGの下端部は、本体25cに回動可能に取り付けられており、パンタグラフPGの上端部は、上板25eの下面を摺動可能に支持している。
そして、パンタグラフPGは、制御部Cによる制御によってモータMが回転駆動すると、上下に伸縮することとなる。
しかし、本発明によるアームレストの移動の制御については、その移動順序は限定されず、ガイド溝の形状を任意に変更することで、その順序を変更することが可能である。つまり、小柄な着座者の場合に、車両幅方向における車両の内側、標準位置よりも前側又は下側に移動し、大柄な着座者の場合には、それらの逆側に移動すればよい。
上記の第2の実施形態に係るアームレスト装置24及び第3の実施形態に係るアームレスト装置25は、ラック部1d,26fに平歯車24b,25dを噛合させることにより、車両幅方向にアームレスト24a,25aを移動させるものであったが、本願発明は、このような構成に限定されない。
この支持棒27cとボール27bは、アームレスト装置27の上面の位置を変えることができるように、車両前後方向に2個設けられている。
表皮材27dは、合成繊維、皮革等の可撓性材料から成り、ドアトリム基材1aと下側支持部2cとに端部を固定されている。
上記構成に係るアームレスト装置27によれば、モータMの出力軸を中心に支持棒27cを回動させる構成であるため、表皮材27dに加わる張力の変動を抑制しつつアームレスト27aの形状を変更することが可能である。つまり、表皮材27dに弛みの発生を抑制することができる。
なお、アームレスト25aの形状を変更するものとしては、ボール状のものに限定されず、例えば、車両前後方向に延在する棒状、筒状又は板状のものであってもよい。
次に第3の変形例に係るアームレスト装置22について、図18及び図19を参照して説明する。
なお、図18は、第3の変形例に係るアームレスト2aを制御する制御部Cのブロック図、図19は、近接センサ6を示す模式図である。
第3の変形例に係るアームレスト装置22は、他の変更機構76として、図18に示すようにリニアアクチュエータAを備えるものである。
この問題については、図19に示すように、近接センサ6をアームレスト2aの車両幅方向における車両の内側の端部に設けるようにして、電気的に制限することが可能である。詳細には、近接センサ6から、例えばシートバックS2に所定の距離までアームレスト2aが近接したことを示す信号(予め定められた基準値以下の距離となったことを示す信号)を制御部Cが受信したときに、制御部Cによって、自動的にアームレスト2aの変形又は移動を停止することができる。
このようにすれば、リクライニング調整レバー10その他のレバーを覆い隠さないように、変形に制限することができる。
1a ドアトリム基材
1c ガイド溝
1d ラック部
1e ガイド溝
2 アームレスト装置(車両用アームレスト装置)
2a アームレスト
2b 前側部
2c 下側支持部
2d 後側部
2e 可動部
2f プルポケット
3a CPU(判定部)
3b ROM
3c RAM
4 体格情報検出センサ
4a スライド位置検出センサ
4b シートウェイトセンサ
4c シートベルトセンサ
4d カメラ
5a 切換スイッチ
5b マニュアルスイッチ
6 近接センサ
7 変更機構
7a コンプレッサ
7b バルブ
7c エアー袋
8 スライドレール
8a ロアレール
8b アッパーレール
9 固定プレート
10 リクライニング調整レバー
20 アームレスト装置(車両用アームレスト装置)
20a アームレスト
20b フリーボールベアリング
20c ガイド溝
20d 後側部
20e 可動部
20f 引張ばね
21 アームレスト装置(車両用アームレスト装置)
21a アームレスト
21b 後側部
21c エアー袋群
21d 外側エアー袋
21e 内側エアー袋
21f 下側エアー袋
21g 後側エアー袋
21h 表皮材
22 アームレスト装置(車両用アームレスト装置)
24 アームレスト装置(車両用アームレスト装置)
24a アームレスト
24b 平歯車
24d 後側部
24e フリーボールベアリング
24g 可動部
25 アームレスト装置(車両用アームレスト装置)
25a アームレスト
25b 下板
25c 本体
25d 平歯車
25e 上板
25f ネジ
26 伸縮布
26d 後側部
26e ガイド溝
26f ラック部
27 アームレスト装置(車両用アームレスト装置)
27a アームレスト
27b ボール
27c 支持棒
27d 表皮材
30 駆動回路
40 シートベルト
70,71,73,74,75,76 変更機構
71b バルブ群
71d,71e,71f,71g バルブ
A リニアアクチュエータ
C 制御部
M モータ
PG パンタグラフ
S シート
S1 シートクッション
S1a クッションフレーム
S1b サイドフレーム
S2 シートバック
Claims (6)
- 車両の内部に設けられる車両用アームレスト装置であって、
アームレストと、
該アームレストの位置又は形状を変更する変更機構と、
乗員が着座したときに前記乗員の体格情報を検出するセンサと、
該センサから検出された前記体格情報に基づいて、前記変更機構を制御する制御部と、を備え、
前記変更機構は、圧縮空気を流入することで膨張するエアー袋を有し、該エアー袋を膨張させることで、前記アームレストの位置を標準位置よりもシート幅方向におけるシートの中央側に配置させるように変更し、
前記変更機構は、前記エアー袋よりも下方位置に配置され、前記エアー袋に送り出す圧縮空気を生成するコンプレッサを有し、
前記アームレストは、下側支持部と、該下側支持部上に配設され、該下側支持部に対して移動可能である可動部と、を有し、
前記下側支持部の上端部分が、上下方向において前記エアー袋と前記コンプレッサの間に配置されていることを特徴とする車両用アームレスト装置。 - 前記変更機構は、前記エアー袋に送り出す圧縮空気を生成するコンプレッサを有し、
該コンプレッサは、前記エアー袋と上下方向で重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用アームレスト装置。 - 前記アームレストは、前記下側支持部と、該下側支持部上に配設される後側部と、前記下側支持部及び前記後側部に対して移動可能である前記可動部と、を有し、
前記エアー袋は、上下方向において前記後側部と前記下側支持部の間に挟まれて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用アームレスト装置。 - 前記後側部と前記可動部を連結する引張ばねを備え、
該引張ばねは、前記エアー袋の上端よりも上方位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用アームレスト装置。 - 前記エアー袋は、前記可動部の車両幅方向における外端に当接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用アームレスト装置。
- 前記車両用アームレスト装置は、前記車両の内部に設けられたドアトリムに設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用アームレスト装置。
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