JP6569492B2 - 生タイヤモデルの作成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤの開発に役立つ生タイヤモデルの作成方法に関する。
近年、コンピュータを用いて、生タイヤモデルを作成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この生タイヤモデルは、有限個の要素でモデル化された部材モデルが積層されることによって定義されている。図19(a)は、部材モデルbが積層された生タイヤモデルaを部分的に示す図である。
生タイヤモデルaが三次元モデルの場合、各部材モデルbを構成する要素cとして、6面体要素が用いられている。他方、生タイヤモデルが二次元モデルの場合、各部材モデルbを構成する要素cとして、4角形要素が用いられている。また、各部材モデルbの端部tは、角張った形状に定義されている。
特開2003−225952号公報
図19(b)は、生タイヤモデルの変形状態を示す図である。上記のような角張った形状の部材モデルが積層された後に、加硫金型(図示省略)をモデル化した金型モデルd及びブラダー(図示省略)をモデル化したブラダーモデルeによって圧縮変形されると、部材モデルbの端部tにテーパ状の大きな隙間sが形成されるという問題があった。このような隙間sは、角張った形状の端部tを、他の部材モデルbに減り込ませ、変形計算が不安定になりやすいという問題があった。
また、変形計算を安定させるために、隙間sを、新たな要素の追加によって埋めることも考えられる。しかしながら、部材モデルbの厚さや体積が、実際の生タイヤの部材の厚さや体積よりも大きくなってしまい、ひいては、シミュレーション精度が低下するという問題もあった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、互いに積層されるゴム要素及びプライ要素間に生じがちな隙間を低減しうる生タイヤモデルの作成方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、ゴムとプライとが積層された生タイヤの数値解析用の生タイヤモデルを作成するための方法であって、コンピュータが、前記生タイヤの前記ゴム及び前記プライにそれぞれ相当するゴム要素及びプライ要素を定義する要素定義工程を含み、前記要素定義工程は、タイヤ回転軸を含む子午線断面において、前記ゴム要素又は前記プライ要素の端部を、鋭利なテーパ状に定義することを特徴とする。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記要素定義工程は、タイヤ回転軸を含む子午線断面において、前記ゴム要素又は前記プライ要素の端部を、角張った形状に定義する第1工程と、前記角張った端部を、前記テーパ状に変形させる第2工程とを含むのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記第2工程は、当該要素の前記端部の厚さを変えることなく前記テーパ状に変形させるのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記第2工程は、当該要素の断面積を変えることなく前記テーパ状に変形させるのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記要素定義工程は、当該端部を、節点が1つの頂部からなるテーパ状に定義するのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記要素定義工程は、前記プライ要素について行われるのが望ましい。
本発明の生タイヤモデルの作成方法は、コンピュータが、生タイヤのゴム及びプライにそれぞれ相当するゴム要素及びプライ要素を定義する要素定義工程を含んでいる。要素定義工程は、タイヤ回転軸を含む子午線断面において、ゴム要素又はプライ要素の端部を、鋭利なテーパ状に定義している。
本発明の生タイヤモデルの作成方法では、例えば、テーパ状に定義されたゴム要素又はプライ要素が積層されることにより、ゴム要素又はプライ要素の端部に形成されがちなテーパ状の隙間を低減することができる。これにより、ゴム要素又はプライ要素が他のゴム要素又はプライ要素に減り込むのを防ぐことができるため、変形計算を安定させることができる。
本実施形態の生タイヤモデルの作成方法に使用するコンピュータの斜視図である。 生タイヤの断面図である。 (a)、(b)は、生タイヤの成形方法を説明する断面図である。 生タイヤの加硫工程を説明する断面図である。 本実施形態の作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の要素定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の第1工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ケーシングモデル及びトレッドリングモデルの図である。 図8に示したケーシングモデルの拡大図である。 図8に示したトレッドリンクの拡大図である。 本実施形態の第2工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)、(b)は、カバリングゴム要素を有しないプライ要素の変形を説明する図である。 (a)、(b)は、カバリングゴム要素を有するプライ要素の変形を説明する図である。 鋭利なテーパ状に変形されたカーカスプライモデルを示す図である。 鋭利なテーパ状に変形されたベルトプライモデル及びバンドプライモデルを示す図である。 半径方向外側に膨出したケーシングモデルを示す図である。 ケーシングモデルのはみ出し部分を巻き上げた状態を説明する図である。 本実施形態の生タイヤモデルを用いた圧縮変形シミュレーションを説明する図である。 (a)は、部材モデルが積層された生タイヤモデルを部分的に示す図、(b)は、生タイヤモデルの変形状態を示す図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の生タイヤモデルの作成方法(以下、単に「作成方法」ということがある)は、評価対象の生タイヤの数値解析用の生タイヤモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法である。
図1は、本実施形態の作成方法に使用するコンピュータ1の斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dが含まれる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態の作成方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は、評価対象の生タイヤ2の断面図である。図2に示されるように、本実施形態の生タイヤ2は、ゴム3とプライ4とが積層されることによって構成されている。
本実施形態のゴム3は、トレッドゴム3A、サイドウォールゴム3B、クリンチゴム3C、ビードエーペックスゴム3D、インナーライナーゴム3E、及び、チェファーゴム3Fを含んでいる。本実施形態のプライ4は、カーカスプライ6、ベルトプライ7及びバンドプライ8を含んでいる。また、本実施形態の生タイヤ2には、ビードコア5が設けられている。
トレッドゴム3Aは、トレッド部2aにおいて、バンドプライ8の外側に配されている。サイドウォールゴム3Bは、サイドウォール部2bにおいて、カーカスプライ6の外側に配されている。クリンチゴム3Cは、サイドウォールゴム3Bの半径方向内側に固定されており、ビード部2cに配されている。ビードエーペックスゴム3Dは、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびている。インナーライナーゴム3Eは、カーカスプライ6の内面に配置されている。チェファーゴム3Fは、ビード部2cの半径方向内面に配置されている。
カーカスプライ6は、内側カーカスプライ6Aと、外側カーカスプライ6Bとを含んで構成されている。「内側」及び「外側」は、タイヤ赤道Cの位置で区別されるものとする。内側カーカスプライ6A及び外側カーカスプライ6Bは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5にのびている。内側カーカスプライ6A及び外側カーカスプライ6Bは、タイヤ赤道Cに対して、例えば75〜90度の角度で配列されたカーカスコード(図示省略)を有している。
ベルトプライ7は、カーカスプライ6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されている。ベルトプライ7は、内側ベルトプライ7Aと、内側ベルトプライ7Aのタイヤ半径方向外側に配置される外側ベルトプライ7Bとを含んで構成されている。内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bは、タイヤ周方向に対して、例えば10〜40度の角度で傾斜して配列されたベルトコード(図示省略)が設けられている。ベルトコードは、トッピングゴム(図示省略)で被覆されている。内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bは、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合されている。本実施形態の内側ベルトプライ7Aのタイヤ軸方向外端には、ベルトコード端からの損傷を防止するためのカバリングゴム9が被覆されている。本実施形態のカバリングゴム9は、断面コ字状に形成されている。
バンドプライ8は、ベルトプライ7のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されている。バンドプライ8は、フルバンドプライ8Aと、エッジバンドプライ8Bとを含んで構成されている。フルバンドプライ8Aは、ベルトプライ7A、7Bの略全域を覆っている。エッジバンドプライ8Bは、フルバンドプライ8Aのタイヤ半径方向外側において、ベルトプライ7A、7Bのタイヤ軸方向の両端部のみを覆って左右一対で設けられている。これらのフルバンドプライ8A及びエッジバンドプライ8Bは、バンドコードをタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配列することで形成されている。
ビードコア5は、例えば、スチール製のビードワイヤを所定回数螺旋巻きすることにより、断面略矩形状に形成したものを、ゴム被覆することにより形成される。
図3(a)、(b)は、生タイヤ2の成形方法を説明する断面図である。本実施形態の生タイヤ2の成形方法では、従来の成形方法と同様に、先ず、第1軸心を有する円筒状のドラム(図示省略)に、第1積層体11A、第2積層体11B及び第3積層体11Cが巻回される。これにより、円筒状のケーシング13(2点鎖線で示す)が形成される。
第1積層体11Aは、図2に示した未加硫のインナーライナーゴム3Eと、未加硫のチェファーゴム3Fと、カーカスプライ6A、6Bとを積層したものである。第2積層体11Bは、未加硫のクリンチゴム3Cと未加硫のサイドウォールゴム3Bとを積層したものである。第3積層体11Cは、ビードコア5と未加硫のビードエーペックスゴム3Dとを積層したものである。
次に、生タイヤ2の成形方法では、例えば、ケーシング13を形成するドラムよりも大きな径を有するドラム(図示省略)に、未加硫のトレッドゴム3A、内側ベルトプライ7A、外側ベルトプライ7B、フルバンドプライ8A、及び、一対のエッジバンドプライ8B、8Bが積層される。これにより、円筒状のトレッドリング14が形成される。
次に、生タイヤ2の成形方法では、ビードコア5を把持するビード保持部15によって、ビードコア5、5の軸方向距離を減じつつ、内圧P1を付与することによって、ケーシング13がトロイド状に膨出(シェーピング)される。また、ケーシング13の外周面には、その半径方向外側に予め待機させたトレッドリング14の内周面が貼り付けられる。そして、図3(b)に示されるように、トレッドリング14の外周面14oに、ステッチングローラ(図示省略)が押し付けられることにより、ケーシング13の外周面とトレッドリング14の内周面とが密着される。
次に、生タイヤ2の成形方法では、内圧P1が付与されたケーシング13において、ビードコア5よりもタイヤ軸方向外側にはみ出したはみ出し部分13p(サイドウォールゴム3B及びクリンチゴム3Cを含む)が、はみ出し部分13pの内方に配置されたブラダー(図示省略)の膨張によって、ビードコア5廻りで巻き上げられる。これにより、図2に示した生タイヤ2が形成される。
図4は、生タイヤ2の加硫工程を説明する断面図である。生タイヤ2を加硫する加硫工程では、タイヤ(図示省略)の外面を成形する加硫金型16、及び、タイヤの内面を成形するブラダー17が用いられる。加硫工程では、先ず、加硫金型16内に、生タイヤ2が投入される。次に、加硫工程では、加硫金型16に投入された生タイヤ2が、膨張したブラダー17によって、加硫金型16の成形面16sへ押圧されて加熱される。これにより、生タイヤ2が加硫成形され、タイヤ(図示省略)が製造される。
図5は、本実施形態の作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の作成方法では、先ず、コンピュータ1が、図2に示した生タイヤ2のゴム3及びプライ4にそれぞれ相当するゴム要素及びプライ要素を定義する(要素定義工程S1)。図6は、要素定義工程S1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の要素定義工程S1は、先ず、タイヤ回転軸を含む子午線断面において、ゴム要素又はプライ要素の端部を、角張った形状に定義する(第1工程S11)。図7は、本実施形態の第1工程S11の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8は、ケーシングモデル及びトレッドリングモデルの図である。図9は、図8に示したケーシングモデルの拡大図である。図10は、図8に示したトレッドリンクの拡大図である。
本実施形態の第1工程S11では、先ず、コンピュータ1に、角張った形状の端部を有するゴム要素23を定義する(工程S111)。本実施形態の工程S111では、第1軸心回り(図示省略)で円筒状に巻回されたシート状のゴム3(図2又は図3に示す)の第1軸心を含む断面形状に基づいて、有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化したゴム要素23が定義される。本実施形態では、図2に示したトレッドゴム3A、サイドウォールゴム3B、クリンチゴム3C、ビードエーペックスゴム3D、インナーライナーゴム3E、及び、チェファーゴム3Fがそれぞれモデル化される。
工程S111では、先ず、ドラム(図示省略)に巻回されたシート状のゴム3(3A〜3F(図3及び図4に示す))の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、例えば、各ゴム3A〜3Fの輪郭に関する数値データ等が含まれている。そして、本実施形態の工程S111では、各ゴム3(3A〜3F)の設計データに基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化(離散化)した二次元モデルが、予め定められた角度ピッチでタイヤ周方向に複写されて、三次元に展開される。これにより、図8〜図10に示されるように、三次元のトレッドゴム要素23A、サイドウォールゴム要素23B、クリンチゴム要素23C、ビードエーペックスゴム要素23D、インナーライナーゴム要素23E、及び、チェファーゴム要素23Fが定義される。
図2に示されるように、上記設計データにおいて、シート状の各ゴム3A〜3Fの輪郭は、それらの端部3tが角張った形状を有している。従って、図9及び図10に示されるように、上記設計データに基づいてモデル化された各ゴム要素23A〜23Fの端部23tは、角張った形状(本実施形態では、直角状)に定義される。
要素F(i)は、数値解析法により取扱い可能なものである。数値解析法としては、例えば、有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法を適宜採用することができる。本実施形態では、有限要素法が採用されている。
三次元に展開された要素F(i)としては、三次元のソリッド要素又はビーム要素等として定義されている。また、各要素F(i)には、要素番号、節点21の番号、節点21の座標値、及び、材料特性(例えば、密度、引張剛性、圧縮剛性、せん断剛性、曲げ剛性、又は、捩り剛性など)等の数値データが定義される。
なお、未加硫ゴムの材料特性としては、例えば、文献(針間浩、「未加硫ゴムの一定伸長速度下での大変形挙動」、日本レオロジー学会誌、社団法人日本レオロジー学会、1976年、Vol.4、p.3−9)や、文献(戸崎近雄、外3名、「グリーンストレングス指標、降伏応力の粘弾性的取扱い」、日本ゴム協会誌、一般社団法人日本ゴム協会、1969年、第42巻、第6号、p.433−438)等に開示されている。本実施形態では、これらの文献に基づいて、未加硫ゴムの材料特性が定義される。角張った形状の端部を有する各ゴム要素23(23A〜23F)は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1工程S11では、コンピュータ1に、角張った形状の端部を有するプライ要素24を定義する(工程S112)。本実施形態の工程S112では、第1軸心回り(図示省略)で円筒状に巻回されたシート状のプライ4(図2に示す)の第1軸心を含む断面形状に基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化したプライ要素24が定義される。本実施形態では、図2に示した内側カーカスプライ6A、外側カーカスプライ6B、内側ベルトプライ7A、外側ベルトプライ7B、フルバンドプライ8A、及び、一対のエッジバンドプライ8B、8Bがそれぞれモデル化される。
工程S112では、先ず、ドラム(図示省略)に巻回されたシート状のプライ4(6A〜8B(図3及び図4に示す))の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、例えば、各プライ4(6A〜8B)の輪郭に関する数値データ等が含まれている。そして、本実施形態の工程S112では、各プライ4(6A〜8B)の設計データに基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化(離散化)した二次元モデルが、予め定められた角度ピッチでタイヤ周方向に複写されて、三次元に展開される。これにより、図8乃至図10に示されるように、三次元の内側カーカスプライ要素26A、外側カーカスプライ要素26B、内側ベルトプライ要素27A、外側ベルトプライ要素27B、フルバンドプライ要素28A、及び、一対のエッジバンドプライ要素28B、28Bがそれぞれ定義される。本実施形態の内側ベルトプライ要素27Aの端部27Atには、カバリングゴム9を有限個の要素F(i)でモデル化したカバリングゴム要素29が設けられている。
図2に示されるように、上記設計データにおいて、シート状の各プライ4(6A〜8B)及びカバリングゴム9の輪郭は、それらの端部4t、9tが角張った形状を有している。従って、図9及び図10に示されるように、上記設計データに基づいてモデル化された各プライ要素24(26A〜28B)の端部24t及びカバリングゴム要素29の端部29tも、角張った形状に定義される。
三次元に展開された各プライ要素24(26A〜28B)の要素F(i)は、各ゴム要素23A〜23Fの要素F(i)と同様のものが採用されうる。この要素F(i)には、節点21の座標値、並びに、図2に示した各プライ4の材料特性(上記した未加硫ゴムの材料特性や、コード材のタイヤ周方向に対する角度等に基づく剛性の異方性等)を含む数値データが定義される。角張った形状の端部24tを有する各プライ要素24(26A〜28B)は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1工程S11では、コンピュータ1に、ビードコア5(図2に示す)の第1軸心を含む断面形状に基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化したビードコア要素25を定義する(工程S113)。工程S113では、ビードコア5の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、ビードコア5のコード(図示省略)の配列や、コードを被覆するトッピングゴム(図示省略)の輪郭に関する数値データが含まれている。そして、工程S113では、ビードコア5の設計データに基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化(離散化)されたビードコア要素25が設定される。要素F(i)には、節点21の座標値、及び、ビードコア5の材料特性等を含む数値データが定義される。このようなビードコア要素25は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1工程S11では、コンピュータ1が、第1積層体11A(図3(a)に示す)をモデル化した第1積層体モデル31Aを定義する(工程S114)。工程S114では、先ず、第1積層体11A(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、図8及び図9に示されるように、インナーライナーゴム要素23E、チェファーゴム要素23F、内側カーカスプライ要素26A、及び、外側カーカスプライ要素26Bが配置される。次に、工程S114では、インナーライナーゴム要素23E、チェファーゴム要素23F、内側カーカスプライ要素26A、及び、外側カーカスプライ要素26Bの接合面において、各モデル間の要素F(i)の節点21が互いに共有するように、要素F(i)が再定義される。これにより、第1積層体モデル31Aがコンピュータ1に定義される。
次に、本実施形態の第1工程S11では、コンピュータ1が、第2積層体11B(図3(a)に示す)をモデル化した第2積層体モデル31Bを定義する(工程S115)。工程S115では、第2積層体11B(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、クリンチゴム要素23C、及び、サイドウォールゴム要素23Bが配置され、各モデル間の要素F(i)の節点21が互いに共有するように、要素F(i)が再定義される。これにより、第2積層体モデル31Bがコンピュータ1に定義される。
次に、本実施形態の第1工程S11では、コンピュータ1が、第3積層体11C(図3(a)に示す)をモデル化した第3積層体モデル31Cを定義する(工程S116)。工程S116では、第3積層体11C(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、ビードコア要素25とビードエーペックスゴム要素23Dとが配置され、各モデル間の要素F(i)の節点21が互いに共有するように、要素F(i)が再定義される。これにより、第3積層体モデル31Cがコンピュータ1に定義される。
次に、本実施形態の第1工程S11では、コンピュータ1が、ケーシング13(図3(a)に示す)をモデル化したケーシングモデルを定義する(工程S117)。工程S117では、未加硫のケーシング13(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、図8に示されるように、第1積層体モデル31A、第2積層体モデル31B、及び、第3積層体モデル31Cが配置される。そして、工程S117では、第1積層体モデル31Aと第2積層体モデル31Bとの接合面、及び、第1積層体モデル31Aと第3積層体モデル31Cとの接合面に、固定条件を含む境界条件が設定される。固定条件は、実際の生タイヤ2の各部材間の接着力に基づいて定義されている。これにより、ケーシングモデル33がコンピュータ1に定義される。
次に、本実施形態の第1工程S11では、コンピュータ1が、トレッドリング14(図3(a)に示す)をモデル化したトレッドリングモデル34を定義する(工程S118)。工程S118では、トレッドリング14(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、図8及び図10に示されるように、内側ベルトプライ要素27A、外側ベルトプライ要素27B、フルバンドプライ要素28A、一対のエッジバンドプライ要素28B、28B、及び、トレッドゴム要素23Aが配置され、各モデル間の要素F(i)の節点21が互いに共有するように、要素F(i)が再定義される。これにより、トレッドリングモデル34がコンピュータ1に定義される。
ところで、図19(b)に示されるように、上記のような角張った形状の端部tを有する部材モデルb(本実施形態では、図8に示した各要素23、24)によって構成された生タイヤモデルaは、加硫金型16(図4に示す)をモデル化した金型モデルd、及び、ブラダー17(図4に示す)をモデル化したブラダーモデルeによって圧縮変形されると、部材モデルbの端部t(本実施形態では、各要素23、24の端部23t、24t)にテーパ状の隙間sが形成される。このような隙間sは、角張った形状の端部tを、他の部材モデルb(本実施形態では、要素23、24)に減り込ませ、変形計算が不安定になりやすいという問題がある。
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、生タイヤ2(図2に示す)を構成するゴム又はプライの角張っていた端部は、加硫時のゴム流れによってテーパ状に変形していき、ゴム又はプライの端部に形成された隙間sが小さくなることを知見した。このような知見に基づいて、本実施形態の要素定義工程S1では、生タイヤモデルを用いた圧縮変形計算に先立ち、タイヤ回転軸を含む子午線断面において、図9及び図10に示したゴム要素23の角張った端部23t又はプライ要素24の角張った端部24tを、テーパ状に変形させている(第2工程S12)。
第2工程S12では、ゴム要素23の角張った端部23t又はプライ要素24の角張った端部24tのいずれか一方のみをテーパ状に変形してもよいし、双方をテーパ状に変形してもよい。なお、プライ要素24には、ゴム要素23に比べて大きな剛性が定義されているため、ゴム要素23に減り込みやすい。このため、本実施形態では、ゴム要素23又はプライ要素24のうち、少なくともプライ要素24の端部24tを、鋭利なテーパ状に定義するのが望ましい。これにより、角張った形状の端部24tが、他の要素23、24に減り込むのを効果的に防ぐことができる。本実施形態では、プライ要素24の端部24tのみを、鋭利なテーパ状に定義している。
第2工程S12では、各要素の端部(本実施形態では、プライ要素24の端部24t)の厚さを変えることなく、鋭利なテーパ状に変形させるのが望ましい。さらに、第2工程S12では、各要素の端部(本実施形態では、プライ要素24の端部24t)の断面積(図示省略)を変えることなく、鋭利なテーパ状に変形させるのが望ましい。これにより、本実施形態の作成方法では、ゴム要素23及びプライ要素24の形状や大きさを、実際の生タイヤ2のゴム3及びプライ4の形状や大きさに近似させることができるため、生タイヤモデル22を用いた圧縮変形時(図18に示す)において、実際の生タイヤ2の変形形状(図4に示す)に近似させることができる。
図11は、本実施形態の第2工程S12の処理手順の一例を示すフローチャートである。図12(a)、(b)は、カバリングゴム要素を有しないプライ要素24の変形を説明する図である。図13(a)、(b)は、カバリングゴム要素を有するプライ要素24の変形を説明する図である。
本実施形態の第2工程S12は、先ず、テーパ状に変形される要素の端部の厚さ及び断面積を求める(工程S121)。本実施形態の工程S121では、図9及び図10に示されるように、角張った端部24tがテーパ状に変形されるプライ要素24について、図12(a)及び図13(a)に示されるように、タイヤ回転軸を含む子午線断面の端部24tの厚さW1b及び断面積が計算される。各プライ要素24(26A〜28B)の厚さW1b及び断面積は、コンピュータ1に入力される。なお、カバリングゴム要素29を有するプライ要素24の場合は、カバリングゴム要素29の厚さW1c及び断面積も計算される。カバリングゴム要素29の厚さW1c及び断面積は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第2工程S12は、各要素の(本実施形態では、プライ要素24)の端部24tの厚さW1b及び断面積を変えることなく、角張った端部24tを、テーパ状に変形させる(工程S122)。工程S122では、カバリングゴム要素29を有しないプライ要素24と、カバリングゴム要素29を有するプライ要素24とで、テーパ状に変形させる手順が異なる。
図12(a)に示されるように、カバリングゴム要素29を有しないプライ要素24については、プライ要素24を構成する要素F(i)のうち、角張った端部24tを形成する要素F(i)(本実施形態では、一対の第1要素41、41)について、図12(b)に示されるように、節点21が1つの頂部40からなるテーパ状に変形させている。
カバリングゴム要素29を有しないプライ要素24の変形手順としては、各第1要素41、41と同一の長さL1aを有し、かつ、各第1要素41、41の外端面に新たに追加される一対の第1延長要素44、44と、一対の第1要素41、41との接合体を、節点21が1つの頂部40からなる断面三角形に変形させている。これにより、プライ要素24の端部24tの厚さ(最大厚さ)W1b及び断面積を変えることなく、プライ要素24の角張った端部24tを鋭利なテーパ状に変形させることができる。一対の第1要素41、41及び一対の第1延長要素44、44とで形成される三角形については、二等辺三角形が望ましい。
カバリングゴム要素29を有するプライ要素24の変形手順としては、先ず、図12(a)、(b)に示した処理手順に従って、図13(a)、(b)に示されるように、プライ要素24の端部24tの厚さW1b及び断面積を変えることなく、プライ要素24の角張った端部24tが鋭利なテーパ状に変形される。
次に、カバリングゴム要素29については、図13(a)に示されるように、カバリングゴム要素29を構成する要素F(i)のうち、タイヤ軸方向内側で角張った内端部29iを形成する要素(本実施形態では、2つの第2要素42、42)について、図13(b)に示されるように、節点21が1つの頂部40からなるテーパ状にそれぞれ変形させている。さらに、カバリングゴム要素29については、図13(a)に示されるように、カバリングゴム要素29を構成する要素F(i)のうち、タイヤ軸方向外側で角張った外端部29oを形成し、かつ、テーパ状に変形されたプライ要素24の第1要素41及び第1延長要素44に接する要素(本実施形態では、6つの第3要素43)について、図13(b)に示されるように、節点21が1つの頂部40からなるテーパ状にそれぞれ変形させている。
図13(b)に示されるように、カバリングゴム要素29の変形手順としては、先ず、各第2要素42と同一の長さL1bを有し、かつ、第2要素42の内端面に新たに追加される第2延長要素45と、第2要素42との接合体を、節点21が1つの頂部40からなる断面三角形に変形させている。これにより、カバリングゴム要素29の厚さ(最大厚さ)W1c及び断面積(図示省略)を変えることなく、カバリングゴム要素29の角張った内端部29iを鋭利なテーパ状に変形させることができる。本実施形態の頂部40を構成する節点21は、プライ要素24の節点21に共有するように定義されている。
次に、カバリングゴム要素29の変形手順としては、プライ要素24の第1要素41及び第1延長要素44の側面に沿って、第3要素43を同一の厚さW1cで変形させるとともに、第3要素43の外端面に、一対の第3延長要素46、46が配置される。第3延長要素46は、断面三角形状に形成される。これにより、カバリングゴム要素29の厚さ(最大厚さ)W1c及び断面積を変えることなく、カバリングゴム要素29の角張った外端部29oを鋭利なテーパ状に変形させることができる。図14は、鋭利なテーパ状に変形されたカーカスプライモデルを示す図である。図15は、鋭利なテーパ状に変形されたベルトプライモデル及びバンドプライモデルを示す図である。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1が、ケーシングモデル33の外面33oと、トレッドリングモデル34の内面34iとを接触させて、生タイヤモデル22を定義する(工程S2)。図16は、半径方向外側に膨出したケーシングモデル33を示す図である。図17は、ケーシングモデル33のはみ出し部分33pを巻き上げた状態を説明する図である。
工程S2では、先ず、図3(a)に示した実際のトレッドリング14、及び、膨出前のケーシング13の半径方向の位置に基づいて、図8に示されるように、ケーシングモデル33の外側に、トレッドリングモデル34を配置する。次に、工程S2では、図16に示されるように、ケーシングモデル33の内面33iに等分布荷重p1を定義して、ケーシングモデル33を半径方向外側に膨出させるとともに、ビードコア要素25、25をタイヤ軸方向内側に移動させて、ケーシングモデル33のビード部のタイヤ軸方向の距離を減じる。これにより、工程S2では、ケーシングモデル33を半径方向外側に膨出させて、ケーシングモデル33の外面33oと、トレッドリングモデル34の内面34iとを接触させることができる。
次に、工程S2では、トレッドリングモデル34の外面34oに定義される等分布荷重p2によって、トレッドリングモデル34をケーシングモデル33側に変形させる。これにより、ケーシングモデル33の外面33oに沿って、トレッドリングモデル34の内面34iを接触させることができる。
次に、工程S2では、図17に示されるように、ビードコア要素25よりもタイヤ軸方向外側にはみ出したケーシングモデル33のはみ出し部分33pの内面に定義される等分布荷重p3により、はみ出し部分33pをビードコア要素25の廻りで巻き上げる。これにより、外側カーカスプライ要素26Bの外面又はトレッドゴム要素23Aの外面に、はみ出し部分33pを接触させることができる。
トレッドリング14とケーシングモデル33との接触面には、相対移動を防ぐ境界条件が設定される。そして、等分布荷重p1、p2及びp3が解除されることにより、生タイヤモデル22が、コンピュータ1に定義される。
ケーシングモデル33やトレッドリングモデル34等の変形計算は、図9及び図10に示した各要素F(i)の形状及び材料特性などに基づいて、微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとに実施される。このような変形計算は、例えば、JSOL社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算することができる。
このように、本実施形態の作成方法は、図3(a)、(b)に示した実際の生タイヤ2を成形する工程と同様の手順に従って、生タイヤモデル22を定義している。従って、本実施形態の作成方法は、生タイヤモデル22の形状を、実際の生タイヤ2(図2に示す)の形状に近似させることができる。
本実施形態の生タイヤモデル22は、図4に示した生タイヤ2の加硫工程を数値計算する圧縮変形シミュレーションに用いられる。図18は、本実施形態の生タイヤモデル22を用いた圧縮変形シミュレーションを説明する図である。圧縮変形シミュレーションでは、加硫金型16(図4に示す)を有限個の要素(図示省略)でモデル化した金型モデル36、及び、ブラダー17(図4に示す)を有限個の要素(図示省略)でモデル化したブラダーモデル37が用いられる。
本実施形態の圧縮変形シミュレーションは、金型モデル36内に、生タイヤモデル22が配置され、生タイヤモデル22のタイヤ半径方向内側に、ブラダーモデル37が配置される。そして、ブラダーモデル37の内面に定義された等分布荷重p4によって、ブラダーモデル37を膨張させ、生タイヤモデル22の外面22o、金型モデル36の成形面36sに沿って押し付けられる。これにより、圧縮変形シミュレーションでは、加硫工程の生タイヤ2の形状を再現した生タイヤモデル22の変形が計算される。
上述したように、本実施形態の生タイヤモデル22は、プライ要素24の端部24tが、鋭利なテーパ状に定義されている。これにより、圧縮変形シミュレーションでは、実際の生タイヤ2のゴム流れによる変形を考慮できるため、テーパ状の隙間s(図19(b)に示す)を低減することができる。従って、本実施形態では、角張った形状の端部23t、24tが、他の要素23、24に減り込むのを防ぐことができるため、変形計算を安定させることができる。しかも、本実施形態の角張った端部23t、24tは、節点21が1つの頂部40からなるテーパ状に定義されている。このような頂部40からなる端部23t、24tにより、上記のようなテーパ状の隙間sを、効果的に低減することができる。
また、本実施形態では、プライ要素24の端部24tの厚さW1b(図13及び図14に示す)や断面積を変えることなく、テーパ状に変形させている。このため、変形した生タイヤモデル22の寸法を、実際の加硫時の生タイヤ2の寸法に精度よく近似させることができる。さらに、本実施形態では、カバリングゴム要素29の内端部29i及び外端部29oについても、厚さW1cや断面積を変えることなく、テーパ状に変形させているため、実際の加硫時の生タイヤ2の寸法に、より精度よく近似させることができる。しかも、本実施形態では、生タイヤモデル22の隙間s(図19(b)に示す)に、新たな要素の追加によって埋める必要もない。これにより、生タイヤモデルを用いた圧縮変形シミュレーションの精度を維持することができる。
本実施形態では、プライ要素24の端部24tのみを、鋭利なテーパ状に定義する態様が例示されたが、ゴム要素23の端部23tのみを、鋭利なテーパ状に定義してもよいし、プライ要素24の端部24t及びゴム要素23の端部の双方を、鋭利なテーパ状に定義してもよい。プライ要素24の端部24t及びゴム要素23の端部の双方を、鋭利なテーパ状に定義した場合には、生タイヤモデル22に形成されがちなテーパ状の隙間s(図19(b)に示す)をより効果的に低減することができる。
本実施形態の要素定義工程では、図9及び図10に示したゴム要素23又はプライ要素24の端部を角張った形状に定義する第1工程S11を実施した後に、角張った端部を、テーパ状に変形させる第2工程S12が実施される態様が例示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、設計データ(例えば、CADデータ)から特定された角張った端部の輪郭を、鋭利なテーパ状の輪郭に変形した後に、鋭利なテーパ状の輪郭に基づいて、鋭利なテーパ状の端部を有するゴム要素23又はプライ要素24が、有限個の要素F(i)で定義されてもよい。これにより、前実施形態のように、角張った形状の端部を有するゴム要素23又はプライ要素24の定義を省略することができる。なお、鋭利なテーパ状の輪郭は、角張った端部の厚さや断面積を変えずに変形されるのが望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3(a)、(b)に示した手順に従って、図2に示した生タイヤが製造された(実験例)。そして、図4に示されるように、生タイヤが加硫金型に投入され、膨張したブラダーによって、生タイヤが加硫金型の成形面へ押圧されて加熱された。そして、加硫後のタイヤについて、バンドプライのタイヤ軸方向の外端での厚さが測定された。
図5及び図6に示した処理手順に従って、生タイヤのゴム及びプライにそれぞれ相当するゴム要素及びプライ要素が定義された(実施例)。実施例では、図7及び図11に示した処理手順に従って、プライ要素の端部を、角張った形状に定義する第1工程と、角張った端部をテーパ状に変形させる第2工程が実施された。そして、ゴム要素及びプライ要素が積層され、生タイヤモデルが作成された。
また、比較のために、実際の生タイヤを構成するゴム及びプライの断面形状に基づいて、角張った形状の端部を有するゴム要素及びプライ要素が定義された(比較例1、比較例2)。比較例1では、角張った形状の端部を有するゴム要素及びプライ要素が積層され、生タイヤモデルが作成された。他方、比較例2では、角張った形状の端部を有するゴム要素及びプライ要素を積層した後に、端部に形成された隙間に、新たな要素が追加された。
そして、実施例、比較例1及び比較例2の生タイヤモデルが、加硫金型をモデル化した金型モデル及びブラダーをモデル化したブラダーモデルによって圧縮変形され、ゴム要素及びプライ要素の端部での隙間の有無、及び、バンドプライモデルの外端での生タイヤモデルの厚さについて測定された。図8は、圧縮変形した実施例の生タイヤモデルを示す図である。図19(b)は、圧縮変形した比較例の生タイヤモデルを示す図である。共通仕様は次のとおりである。テスト結果を表1に示す。
タイヤサイズ:275/30R20
シミュレーションソフトウェア:JSOL社製のLS-DYNA
テストの結果、比較例1は、プライ要素の端部に、テーパ状の大きな隙間が形成され、圧縮変形の計算が正常終了できなかった。比較例2では、端部に新たな要素が追加されたため、バンドプライモデルの外端での厚さが、実施例のバンドプライモデルの外端での厚さよりも大きくなった。他方、実施例では、プライ要素の端部に形成されがちなテーパ状の隙間を大幅に低減できた。さらに、実施例では、隙間の減少により、バンドプライモデルの外端での厚さを、実験例のバンドプライの外端での厚さに近似させることができた。従って、実施例は、ゴム要素及びプライ要素間に生じがちな隙間を低減しつつ、変形計算の精度を向上しうることが確認できた。
24 プライ要素
24t 端部

Claims (6)

  1. ゴムとプライとが積層された生タイヤの数値解析用の生タイヤモデルを作成するための方法であって、
    コンピュータが、前記生タイヤの前記ゴム及び前記プライにそれぞれ相当するゴム要素及びプライ要素を定義する要素定義工程を含み、
    前記要素定義工程は、タイヤ回転軸を含む子午線断面において、前記ゴム要素又は前記プライ要素の端部を、鋭利なテーパ状に定義することを特徴とする生タイヤモデルの作成方法。
  2. 前記要素定義工程は、タイヤ回転軸を含む子午線断面において、前記ゴム要素又は前記プライ要素の端部を、角張った形状に定義する第1工程と、
    前記角張った端部を、前記テーパ状に変形させる第2工程とを含む請求項1記載の生タイヤモデルの作成方法。
  3. 前記第2工程は、当該要素の前記端部の厚さを変えることなく前記テーパ状に変形させる請求項2記載の生タイヤモデルの作成方法。
  4. 前記第2工程は、当該要素の断面積を変えることなく前記テーパ状に変形させる請求項2又は3記載の生タイヤモデルの作成方法。
  5. 前記要素定義工程は、当該端部を、節点が1つの頂部からなるテーパ状に定義する請求項1乃至4のいずれかに記載の生タイヤモデルの作成方法。
  6. 前記要素定義工程は、前記プライ要素について行われる請求項1乃至4のいずれかに記載の生タイヤモデルの作成方法。
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