JP6490361B2 - コンニャク流動材料の用途 - Google Patents

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Description

本発明は、組織増強剤、コシ増強剤、解凍遅延剤等の食品用添加剤および糖尿病予防剤等の薬剤としてのコンニャク流動材料の用途に関する。
コンニャクは、古くから一般消費者に広く親しまれている食品であり、そのまま単品で食されたり、他の素材と組み合せて料理されたうえで食されたりしてきた。また、最近のダイエットブームにより、コンニャクは低カロリーの健康食として注目されるようになっており、様々な食品中にコンニャクを含ませたコンニャク含有食品が開発されている。
例えば、アルカリを加えて固化させたコンニャクを細かく裁断して、他の食材や飲料と混合しやすく改良したペースト状物が提案されている(特許文献1)。また、他の方法として、コンニャク粉に含まれている水溶性のコンニャクマンナンを精製した精製水溶性コンニャクマンナンを、他の食材や飲料と混合することも提案されている(特許文献2)。さらに、他の方法として、コンニャク粉に含まれるコンニャクマンナンを酵素処理して液状物とすることも提案されている(特許文献3)。また、コンニャク粉に水およびアルカリを添加して膨潤・反応させたコンニャクゼリー(特許文献4)、コンニャクゼリーのpH値を低減した後に酵素処理を行ったコンニャク流動材料(特許文献5)、高濃度のコンニャク粉を含むアルカリ膨潤液のpHを低減して強制攪拌することにより調製したコンニャク流動材料(特許文献6、7参照)を食品に添加することや、製剤の有効成分として用いること、このコンニャク流動材料を化粧品に添加することも提案されている(特許文献8参照)。
このように、コンニャクについては、その性質を改変する処理方法が数多く提案されており、処理が施されたコンニャク粉由来の組成物を利用した食品も提案されている。しかしながら、これまで提案されている、コンニャク粉由来の組成物を添加した食品は、コンニャク粉由来の組成物によって食品の嵩を増やしてカロリーを低減しつつ満腹感を得ようとするものや、コンニャクに含まれる食物繊維を摂取することを目的とするもの、コンニャク粉由来の組成物を増粘剤や乳化剤として使用するものであり、コンニャクの他の機能については十分に検討されていない。また、コンニャク粉由来の組成物の薬理作用については、特許文献6、7において、血中コレステロール低減作用や体脂肪減少作用を有することが記載されている。しかし、同文献で見ているのは、既に血中コレステロール値が上昇し、体脂肪が蓄積している肥満ラットにおいて、その血中コレステロールを減少させる作用および体脂肪を減少させる作用であり、肥満状態にない生体が高脂肪食を摂取した時の、血中コレステロール値の上昇を抑制する作用や体脂肪の蓄積を抑制する作用、すなわちメタボリックシンドロームの発症を未然に予防する作用については検討がなされていない。
特開平5−207854号公報 特公昭54−20582号公報 特開平5−199856号公報 特開2002−335880号公報 特開2002−335899号公報 特開2007−185113号公報 国際公開2007/080894号 特開2013−1641号公報
そこで本発明者らは、様々なコンニャク粉由来の組成物を調製して、食品の風味や食感に与える影響や、生体内での薬理作用について様々な側面から幅広く検討することにより、コンニャク粉由来の組成物の新規で有用な機能を見出すことを考えた。特に、本発明者らは、風味や食感に優れるとともに、形状が崩れにくく食べ易い食品を実現するのに有用な、コンニャク粉由来組成物の新しい用途を開発することを課題として鋭意検討を進めた。また、メタボリックシンドロームの発症を予防するのに有用な、コンニャク粉由来の組成物の新しい用途を開発することも課題として鋭意検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、本発明者らは、特定の条件を満たすコンニャク流動材料が、食品に添加されたときに、組織増強作用、コシ増強作用、油中への水分導入作用、成分保持作用、香り増強作用、食感改良作用、形状保持作用、解凍遅延作用、光沢付与作用を発揮し、品質の高い食品を実現する上で極めて有用であること、さらに、生体内に摂取されたときに、糖尿病予防作用、体脂肪蓄積抑制作用、脂肪肝抑制作用、脂質吸収抑制作用、血清コレステロール値上昇抑制作用を発揮し、メタボリックシンドロームの発症を予防する上で極めて有用であることを見出し、以下に記載する本発明を完成するに至った。
[1] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする組織増強剤。
[2] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする組織増強剤。
[3] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とするコシ増強剤。
[4] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とするコシ増強剤。
[5] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする油中への水分導入剤。
[6] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする油中への水分導入剤。
[7] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする成分保持剤。
[8] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする成分保持剤。
[9] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする香り増強剤。
[10] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする香り増強剤。
[11] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする食感改良剤。
[12] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする食感改良剤。
[13] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする形状保持剤。
[14] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする形状保持剤。
[15] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする解凍遅延剤。
[16] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする解凍遅延剤。
[17] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする光沢付与剤。
[18] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする光沢付与剤。
[19] 冷凍菓子に添加されることを特徴とする[1]〜[18]のいずれか1項に記載の組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤または光沢付与剤。
[20] アイスクリームに添加されることを特徴とする[19]に記載の組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤または光沢付与剤。
[21] チョコレートに添加されることを特徴とする[1]〜[19]のいずれか1項に記載の組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤または光沢付与剤。
[22] 食品への添加量が、食品の全重量に対して0.1〜80重量%であることを特徴とする[1]〜[21]のいずれか1項に記載の組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤または光沢付与剤。
[23] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする糖尿病予防剤。
[24] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする糖尿病予防剤。
[25] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする体脂肪蓄積抑制剤。
[26] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする体脂肪蓄積抑制剤。
[27] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする脂肪肝抑制剤。
[28] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする脂肪肝抑制剤。
[29] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする脂質吸収抑制剤。
[30] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする脂質吸収抑制剤。
[31] コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする血清コレステロール値上昇抑制剤。
[32] コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする血清コレステロール値上昇抑制剤。
[33] 1日の服用量が、凍結乾燥粉末としての固形分換算で0.1〜10000mg/kg体重であることを特徴とする[23]〜[32]のいずれか1項に記載の糖尿病予防剤、体脂肪蓄積抑制剤、脂肪肝抑制剤、脂質吸収抑制剤または血清コレステロール値上昇抑制剤。
[34] 食品に添加されることを特徴とする[23]〜[33]のいずれか1項に記載の糖尿病予防剤、体脂肪蓄積抑制剤、脂肪肝抑制剤、脂質吸収抑制剤または血清コレステロール値上昇抑制剤。
本発明で用いるコンニャク流動材料は、食品に添加されたときに、組織増強作用、コシ増強作用、油中への水分導入作用、成分保持作用、香り増強作用、食感改良作用、形状保持作用、解凍遅延作用、光沢付与作用を発揮し、風味や食感、外観に優れるとともに形状が崩れにくく、品質の高い食品を実現することができる。
また、本発明で用いるコンニャク流動材料は、生体内に摂取されたときに、糖尿病予防作用、体脂肪蓄積抑制作用、脂肪肝抑制作用、脂質吸収抑制作用、血清コレステロール値上昇抑制作用を発揮し、メタボリックシンドロームの発症を効果的に予防することができる。
試験例のマウスで得られた血糖値−時間曲線である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、コンニャク流動材料を、食品添加剤および製剤の成分として応用する点に特徴がある。
ここで、本発明で用いるコンニャク流動材料は、コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理した後にpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料、またはコンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有するコンニャク流動材料である。
本発明では、このコンニャク流動材料を、組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤、光沢付与剤である食品添加剤の成分として使用する。
本発明で用いるコンニャク流動材料は、食品に添加されたときに、組織増強作用、コシ増強作用、油中への水分導入作用、成分保持作用、香り増強作用、食感改良作用、形状保持作用、解凍遅延作用、光沢付与作用を効果的に発揮し、風味や食感、外観に優れるとともに形状が崩れにくく、品質の高い食品を実現することができる。
さらに、本発明では、上記のコンニャク流動材を、糖尿病予防剤、体脂肪蓄積抑制剤、脂肪肝抑制剤、脂質吸収抑制剤、血清コレステロール値上昇抑制剤である製剤の有効成分として使用する。
本発明で用いるコンニャク流動材料は、生体内に摂取されたときに、糖尿病予防作用、体脂肪蓄積抑制作用、脂肪肝抑制作用、脂質吸収抑制作用、血清コレステロール値上昇抑制作用を発揮し、メタボリックシンドロームの発症を効果的に予防することができる。
以下において、本発明で用いるコンニャク流動材料と、その用途について詳細に説明する。
[コンニャク流動材料]
本発明は、上記のように、特定のコンニャク流動材料を食品添加剤および製剤に用いる点に特徴がある。そこでまず、本発明で用いるコンニャク流動材料について詳しく説明する。
本発明で用いるコンニャク流動材料は、コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理することによりアルカリ組成物を得る工程(以下において「工程A」という)を行った後、該アルカリ組成物のpHを8未満に低減する工程(以下において「工程B」という)を行うことにより調製することができ、ゲル化力を有することを特徴とする流動材料である。ここでいう「ゲル化力を有する」とはアルカリ条件下で加熱することによってゲル化する機能を発揮することを意味する。通常の板コンニャクは、すでにゲル化してしまっているためにアルカリ条件下で加熱してもさらにゲル化することはない。また、コンニャク粉を水で膨潤させた後に酵素などにより長時間分解させて低分子化させたものは、コンニャク粉に由来する組成物であるにもかかわらず、アルカリ条件下で加熱してもゲル化することはない。本発明のコンニャク流動材料は、特定の製法により製造したものであって、なおかつ流動性とゲル化力を兼ね備えた材料である点に特徴がある。
コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でアルカリ処理する工程(工程A)は、コンニャク粉のゲル化力を部分的に利用してアルカリ組成物を得る工程である。従来のコンニャクの製造方法では、コンニャク粉のゲル化力をほぼ完全に利用して固形のコンニャクを得ているが、本発明の工程Aではコンニャク粉のゲル化力の利用を抑える。すなわち、水を添加して攪拌すればペースト状ないし糊状になるような状態でゲル化をとどめておく。このような状態でゲル化を抑えておくことによって、最終的に得られるコンニャク流動材料にゲル化力を持たせることが可能になり、他の成分と混合した後に、そのゲル化力を発揮させうるようになる。
工程Aで用いるコンニャク粉の産地や種類は特に制限されない。コンニャク芋をそのまま粉末化したものを用いてもよいし、精製工程を経たものを用いてもよい。また、コンニャク粉は必ずしも粒径が揃っている必要はない。
工程Aにおいてコンニャク粉に添加するアルカリは、食品または製剤に用いることができるものの中から適宜選択する。コンニャク粉は、通常pH9以上のアルカリ下にてゲル化する。したがって、このようなpH範囲内になるように工程Aにおいてコンニャク粉に添加するアルカリの量を適宜調整する。好ましいのは、塩基性アミノ酸、塩基性塩類または両者の混合物をアルカリとして添加する態様である。
塩基性アミノ酸としては、通常は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、シトルリン、オルニチン等の単独または混合したものを使用する。特に好ましいのはアルギニンまたはリジンである。塩基性アミノ酸は、コンニャク粉に対して1.25〜20重量%で添加することが好ましい。塩基性アミノ酸はpHの緩衝性が高い。このため、塩基性アミノ酸を用いれば、安定したpHが得られ、品質が安定した組成物を提供しやすいという利点もある。
塩基性物質としては、通常は、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリム等の有機酸塩、及びポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム等のリン酸塩、及び炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、及び硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の単独又は混合したものを用いることができる。このように、化粧品に用いることが可能である塩基性の塩類であればいずれも、本発明において塩基性塩類として使用することができる。
なお、バッファ効果を持たせるために各々の酸または酸性塩類を組み合わせて、最終的にpHがアルカリ性になる組み合わせで用いることも可能である。その場合の酸、塩基性塩類としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、リン酸、リン酸一ナトリウム、リンゴ酸一カリウム等を用いることができる。使用量はコンニャク粉に対して0.01〜20重量%にすることが好ましい。
塩基性アミノ酸と塩基性塩類を併用すれば、両者の機能をうまくバランスさせて製造を容易化できることがある。すなわち、塩基性アミノ酸はpH緩衝性が高く、安定したpHが得られる反面、pH値を任意に設定することが難しいという難点がある。一方、塩基性塩類はpHの緩衝性は低いが、物質の選択により任意にpHを調整できる長所がある。このため、両者をうまく組み合わせれば、pH設定を容易にし、原料、使用水によるpHの変動をおさえて、均一なアルカリ組成物を製造することが可能になる。
pHは9以上に調整するが、9.0〜10.5に調整することが好ましく、9.3〜10.2に調整することがより好ましい。pHが9.0以上であれば、効率よくゲル化を進行させやすい。また、pHが10.5以下であれば、ゲル化反応が進みすぎて離水やアルカリ臭が発生する弊害を防ぎやすい傾向がある。
コンニャク粉に、水とアルカリを添加する順序は特に制限されない。例えば、コンニャク粉に水を加えて膨潤溶解させてからアルカリを添加混合して反応させてもよいし、アルカリを添加した水をコンニャク粉に加えて膨潤と反応を同時に行ってもよい。あるいは、コンニャク粉にアルカリを混合しておいてから水を加えて膨潤溶解させてもよい。これらの方法は適宜組み合わせてもよい。また、コンニャク粉にまず塩基性アミノ酸を含む水を添加して、その後に塩基性塩類を含む水を添加してもよい。いずれの方法であっても、水による膨潤とアルカリによる反応が進行する限り、工程Aの手順として採用することが可能である。
好ましい具体例として、まず、コンニャク粉に水を加えて膨潤溶解し、得られたコンニャク糊状物に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を加え、よく混合する方法を挙げることができる。また、別の好ましい具体例として、水に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を予め混合溶解し、この溶液でコンニャク粉を膨潤溶解する方法を挙げることができる。さらに別の好ましい具体例として、コンニャク粉に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を予め混合し、次いで水を添加混合して膨潤溶解する方法を挙げることができる。
水の添加量は、コンニャク粉1重量部に対して、10〜150重量部が好ましく、12〜100重量部がより好ましい。
コンニャク粉に水やアルカリを添加した後は、室温または加熱下にて十分に反応させることが好ましい。たとえば、室温で2〜4時間、60℃で15分〜1時間程度処理することにより十分に反応させることができる。温度や時間などの条件は、コンニャク粉とアルカリの割合、添加方法、pH、最終製品とする化粧品の種類などによって適宜決定することができる。一般に、pHが高い場合には反応時間は短くてよく、pHが低い場合は反応時間を長くすることが好ましい。
工程Aでは、本発明の効果を過度に損なわない限り、上記以外の成分を添加してもよい。例えば、乳化剤、澱粉、油脂、調味料または香料等を適宜添加してもよい。その種類や量は、目的とする化粧品の種類や製造条件、保存環境などに応じて決定することができる。また、このような成分や添加剤の添加は、後の工程(例えば工程B、工程Cおよび/または工程D)において行っても構わない。
次に、アルカリ組成物のpHを8未満に低減する工程(工程B)について説明する。
工程Bは、工程Aで得られたアルカリ組成物のpHを8未満に低減する工程である。pHの低減は、通常は酸を添加することにより行う。添加する酸の種類は、本発明の効果を過度に阻害しないものであれば特に制限されない。通常は、乳酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等の有機酸溶液を添加する。酸の添加は、一時期に一気に添加してもよいし、連続的または断続的に添加してもよい。pHは、4.6〜7.5に調整することが好ましく、5〜7に調整することがより好ましい。特に、pH4.6未満、特にpH5未満のpH領域に調整してからさらにpHを上昇させるような処理を行うことなく、目的とするpHにコントロールすることがより好ましい。
本発明のコンニャク流動材料は、上記の工程Aおよび工程Bに続けて、さらに酵素処理する工程(工程C)と酵素処理済み組成物に含まれる塊粒を断裁する工程(工程D)を実施して得られるものであってもよい。本発明のコンニャク流動材料は、工程A、工程Bに続けて工程Cだけを行って得られるものであってもよい。
工程Cにおいて、酵素処理に使用する酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、及びガラクトマンナーゼから選ばれる1種又は2種以上の酵素が好ましい。これらの酵素については、市販品を使用することができる。例えば、三共株式会社製のスクラーゼNなどを好ましく使用することができる。
酵素処理は、酵素が十分に作用しうる温度で行う。通常は、加熱条件下で行い、40〜75℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。また、処理時間は、酵素の種類や温度によって異なるが、通常は10分〜12時間、好ましくは20分〜6時間、さらに好ましくは30分〜3時間である。また、酵素処理中は攪拌を行うことが好ましい。
酵素処理を行った後は、酵素を失活させることが好ましい。酵素を失活させる手段は、本発明の効果に過度な悪影響を及ぼさないものであれば特に制限されないが、例えば酵素が失活する温度まで上昇させることにより目的を達成することができる。前述のスクラーゼNを用いた場合は、例えば90℃まで温度を上昇させることによって酵素を失活させることができる。
次に工程Dについて説明する。
工程Dは、工程Cで得られた酵素処理済み組成物に含まれる塊粒を断裁する工程である。工程Cによって、本発明の粘度条件を満たすコンニャク流動材料を得ることが可能であるが、工程Cで得られた組成物の粘度をさらに低くしたい場合や、工程Cで得られた組成物に含まれる塊粒をさらに小さくしたい場合には、工程Dを行うことが好ましい。粘度はさらに0.2〜1Pa・s程度低下させることが可能である。
工程Dで行う裁断は、ホモジナイザーやフードカッターを用いて行うことが好ましい。フードカッターやホモジナイザーの構造の詳細は特に限定されない。工程Cで得られた酵素処理済み組成物に塊粒が含まれている場合は、その塊粒を機械的に断裁できればよく、高速回転カッターや高速ホモジナイザー等を用いることが好ましい。このような機械的な断裁処理は複数回繰返すことも可能である。このような裁断処理を行うことによって、一段と分散特性に優れて、他の成分と均一に混合しやすいコンニャク流動材料にすることができる。
本発明では、コンニャク粉含有量が3.5重量%以上であり、20℃における粘度が4Pa・s以下であって、ゲル化力を有する高濃度コンニャク流動材料を好ましく用いることができる。このような高濃度コンニャク流動材料は、工程Aにおいて高濃度のアルカリ組成物を調製し、工程Bにおいて強制攪拌を行うことにより調製することができる。すなわち工程Aでは、コンニャク粉1重量部に対して、水の添加量を10〜27重量部とすることが好ましく、11〜23重量部とすることがより好ましく、12〜20重量部とすることがさらに好ましく、13〜18重量部とすることが特に好ましい。工程Aで得られる組成物は、高粘度であることから、このままでは他の成分と十分に混合することはできない。このため、工程Bでは、アルカリ組成物のpHを8未満に低減して強制攪拌しつつ温度を上げて強制攪拌組成物を得る。ここでいう「強制攪拌」とは、アルカリ組成物の粘度に抗して、アルカリ組成物中に導入した攪拌手段を30rpm以上で回転させるか、それと同等の攪拌を行うものである。攪拌手段としては、2〜12枚のブレード付き回転軸などを挙げることができる。このような強制攪拌を行いながら、徐々に温度を上昇させて行く。温度上昇の幅は5〜60℃が好ましく、10〜55℃がより好ましく、20〜50℃がさらに好ましい。また、温度の上昇速度は、最初は低くしておき、徐々に高めて行くことが好ましい。工程Bにおける最終到達温度は、40〜75℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。工程Bでは、温度上昇に伴って攪拌速度を上げて行くことが好ましい。攪拌速度は最終的に1.5倍以上に上げることが好ましく、1.8倍以上に上げることがより好ましく、2倍以上に上げることが特に好ましい。具体的には、室温から60℃に温度を上昇させつつ、回転速度を30rpmから60rpmに上げる態様を好ましい態様として例示することができる。攪拌時間は2〜45分が好ましく、3〜30分がより好ましく、5〜20分が特に好ましい。工程Bを行った後は、工程Cを行うことが好ましく、さらに工程Dまで行うことがより好ましい。
高濃度コンニャク流動材料のコンニャク粉含有量は、4重量%以上であることがより好ましく、4.5重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることがさらに好ましく、5.5重量%以上であることが特に好ましい。上限については特に制限はないが、例えば8重量%のコンニャク流動材料を得ることができる。また、高濃度コンニャク流動材料の20℃における粘度は、3.5Pa・s以下であることがより好ましく、3Pa・s以下であることがさらに好ましく、2.8Pa・s以下であることが特に好ましい。下限値は、好ましくは0.1Pa・s以上であることが好ましく、0.2Pa・s以上であることがより好ましく、0.3Pa・s以上であることがさらに好ましく、0.4Pa・s以上であることが特に好ましい。範囲で規定すると、高濃度コンニャク流動材料の20℃における粘度は、0.1〜4Pa・sであることが好ましく、0.1〜3.5Pa・sであることがより好ましく、0.2〜3.2Pa・sであることがさらに好ましく、0.3〜3Pa・sであることがさらにより好ましく、0.4〜2.8Pa・sであることが特に好ましい。
高濃度コンニャク流動材料は、多量のコンニャク粉を含んでいるにもかかわらず粘度が低く、しかもゲル化力を有している点に特徴がある。コンニャク粉は水によって膨潤してペースト状になるが、コンニャク粉が元来有している膨潤量には限界があるため、3重量%を大きく上回る量のコンニャク粉を含む流動材料は製造することが容易ではない。コンニャク粉を多量に含む流動材料を得るためには、コンニャク粉を構成するコンニャクマンナン(グルコマンナン)を膨潤性がかなり低下するまで分解して水に溶解ないし分散させる方法が考えられるが、このような方法を採用するとコンニャクマンナンが有しているゲル化力や生体内作用が得られなくなってしまうため好ましくない。上記の製法によれば、コンニャクマンナンが有しているゲル化力や生体内作用を維持しつつ、高濃度化することができるため、上記の条件を満たすコンニャク流動材料を簡便に製造することができる。
[コンニャク流動材料の用途]
本発明は、上記のコンニャク流動材料を食品添加剤または製剤の成分として使用する。以下、各用途について説明する。
(食品添加剤)
本発明の組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤、光沢付与剤は、食品に添加される食品添加剤であり、上記のコンニャク流動材料を含有する点に特徴がある。
上記のコンニャク流動材料が添加された食品は、全体の組織のしまりが良好である。このため、自由水が動きにくくなっており、肉汁などを含ませた場合にその保持力が極めて高い。また、形がくずれにくく、保形性が高い。すなわち、ゴムのように伸びることがなく、また逆に収縮することもない。また、本発明のコンニャク流動材料が添加された食品は、味しみが良い。このため、煮物などに入れた場合は、だし汁の味が十分にしみ込んで旨みのある食品になる。また、全体としてやわらかくてジューシーな味わいを楽しむこともできる。
また、油分の多い食品であっても、コンニャク流動材が水分を効果的に捕捉するため、油分と水分との分離が抑えられ、水分を均一に含ませることができる。これにより、食品の油っぽさが抑えられ、さっぱりした味わいを得ることができる。一方、マヨネーズのような油分と水分を乳化状態で含有する食品である場合には、コンニャク流動材料を添加することにより、乳化安定性が極めて高くなり、長時間静置した場合であっても、相分離が生じにくい。具体的には、食品表面に油分や水分が浮き出して来たり、変色したり、粘度が変化したりすることを防ぐことができる。
さらに、アイスクリームのような冷凍菓子、チョコレートのように加温によって融解する食品では、コンニャク流動材料の添加によって風味や食感が向上するのに加えて、解凍、融解に際して形状が崩れにくくなり、冷凍状態からの解凍速度を遅延させることもできる。これにより、これらの食品が食べ易いものになり、その保存性や取扱い性が向上する。
本発明で用いるコンニャク流動材料は、このように優れた品質を食品に付与することができ、組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤、光沢付与剤として効果的に用いることができる。
コンニャク流動材料が添加される食品としては、特に限定されず、生鮮食品であってもよいし、加工食品であってもよい。生鮮食品としては、肉類、魚介類、卵類、牛乳等の動物性食品や、穀物、豆類、芋類、野菜、山菜、海藻、種実類、果物等の植物性食品を挙げることができる。加工食品としては、発酵食品、漬物、佃煮、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品、加工乳、脱脂粉乳、菓子類、嗜好品、油脂類、甘味料、調味料、香辛料等を挙げることができる。
コンニャク流動材料は、そのままの形態で食品に添加してもよいし、コンニャク流動材料を一旦凍結乾燥させて粉末にし、この凍結乾燥粉末をコンニャク流動材料に戻して食品に添加してもよい。
食品におけるコンニャク流動材料の添加量は、食品に付与すべき風味や食感、食品の種類によっても異なるが、食品の全重量に対して0.1〜80重量%であることが好ましく、0.5〜50重量%であることがより好ましく、1〜35重量%であることがさらに好ましい。これにより、バランスのよい風味や食感を得ることができる。
食品へのコンニャク流動材料の添加方法としては、通常は、食品の材料とコンニャク流動材料を混合する方法が用いられるが、これに限らず、コンニャク流動材料を食品の表面に被覆する方法であってもよい。
(製剤)
本発明の糖尿病予防剤、体脂肪蓄積抑制剤、脂肪肝抑制剤、脂質吸収抑制剤、血清コレステロール値上昇抑制剤は、生体内に摂取されて薬理作用を発揮する製剤であり、上記のコンニャク流動材料を有効成分として含有する点に特徴がある。
本発明のコンニャク流動材料は、体内に摂取することによって、血中コレステロール低減作用と体脂肪減少作用を示すとともに、糖尿病予防作用、体脂肪蓄積抑制作用、脂肪肝抑制作用、脂質吸収抑制作用、血清コレステロール値上昇抑制作用を発揮する。なお、血中コレステロール低減作用は、既に上昇している血中コレステロール値を低減させる作用であり、体脂肪減少作用は、既に蓄積している体脂肪を減少させる作用である。一方、血中コレステロール値上昇抑制作用は、血中コレステロール値が現状の値から上昇するのを抑制する作用であり、体脂肪蓄積抑制作用は、現状の体脂肪に加えて、さらに体脂肪が蓄積するのを抑制する作用である。すなわち、血中コレステロール低減作用と血中コレステロール上昇抑制作用、体脂肪減少作用と体脂肪蓄積抑制作用は、それぞれ異なる作用である。また、ここで、「体脂肪」とは、皮下脂肪と内臓脂肪を含むものである。
このように、本発明のコンニャク流動材料は生体に有益な作用を有するため、医薬品としても有用である。本発明のコンニャク流動材料は、古くから食されているコンニャク粉から製造されるものであることから、その安全性が高いことは周知の事実である。また、本発明のコンニャク流動材料の濃度には上限があることから、そのまま摂取しても薬学的な許容量を超えることはないと考えられるが、患者によっては必要に応じて投与量を個別に規定することができる。
本発明における製剤の剤型は、特に限定されず、コンニャク流動材料をそのまま製剤として用いてもよいし、コンニャク流動材料を凍結乾燥させた粉末を製剤として用いてもよい。また、本発明の製剤は、コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を整形した錠剤や丸剤であってもよい。
コンニャク流動材料を含む製剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤としては、製剤に用いられる公知の添加剤がいずれも使用可能である。
コンニャク流動材料の服用量は、凍結乾燥粉末としての固形分換算で、1日当たり、0.1〜10000mg/kg体重であることが好ましく、1〜1000mg/kg体重であることが好ましく、10〜500mg/kg体重であることがさらに好ましい。このような範囲の服用量で用いることにより、服用量が多すぎることの負担を抑えて、上記のような薬理作用を効果的に得ることができる。
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[1]コンニャク流動材料の製造
(製造例1)
コンニャク精粉20kgとリン酸ナトリウム1.8kgを60℃の水1000リットルに添加混合して、30分反応させることによって、pH12のアルカリ組成物を得た。アルカリ組成物1kgに対して5gの乳酸(50%濃度)を混合して、pH値を3.7に調整した。次いで、60℃のペ−スト状コンニャク100重量部に対して、酵素(酵素名:スクラ−ゼN、主要酵素:ペクチナ−ゼ、メ−カ−名:三共株式会社)を0.05重量部添加して2時間反応させることによりコンニャク流動材料1を製造した。
(製造例2)
コンニャク精粉20kgとリン酸ナトリウム1.8kgを25℃の水1000リットルに添加混合して、3時間反応させることによって、pH12のアルカリ組成物を得た。その後は、製造例1と同じ工程を実施することによりコンニャク流動材料2を製造した。
(製造例3)
コンニャク精粉60kgと炭酸ナトリウム2.15kgを60℃の水1000リットルに添加混合して、30分反応させることによって、pH9.3のアルカリ組成物を得た。アルカリ組成物に、クエン酸1kgと水100kgからなる水溶液を添加して室温で強制攪拌した。強制攪拌は、各混合物を入れたバッチ中に挿入した攪拌手段(10枚のブレード付き回転軸)を室温にて30rpmで回転させることにより開始し、温度を60℃まで上昇させるのに伴って回転速度を60rpmまで速めることにより行った。これによってpH7.3の組成物を得た。得られたpH調整済み組成物100重量部に対して、酵素(酵素名:スクラ−ゼN、主要酵素:ペクチナ−ゼ、メ−カ−名:三共株式会社)を0.05重量部添加して60℃で2時間酵素処理を行った。その後、90℃まで温度上昇して酵素を失活させた後、常温に降温して、酵素処理済み組成物を得た。次いで、得られた酵素処理済み組成物に含まれる塊粒をフードカッターを使用して断裁処理してコンニャク流動材料3を製造した。
(製造例4〜11)
クエン酸の使用量を2kg、3kg、4kg、5kg、6kg、7kg、8kg、9kgへそれぞれ変えて製造例3と同じ工程を実施することにより、それぞれpH6.2、pH5.6、pH5.3、pH5.0、pH4.6、pH4.4、pH4.3、pH4.2のアルカリ組成物を得て、最終的にコンニャク流動材料4〜11を得た。
(製造例12〜20)
コンニャク精粉と炭酸ナトリウムを60℃ではなく25℃の水に添加混合して、反応時間を3時間へ変更して製造例4〜11と同じ工程を実施することにより、コンニャク流動材料12〜20を製造した。
(製造例21)
酵素による処理を行わないこと以外は製造例1と同じ工程を実施することにより、コンニャクる流動材料21を製造した。
[2]食品の製造
製造例1で製造したコンニャク流動材料を用いて、以下に示す工程にしたがって食品を製造した。
(実施例1)
以下に記載される各材料を混合し、0〜5℃で冷却しながら十分に攪拌した後、ー18℃以下で冷凍することによってアイスクリームを製造した。
牛乳 20重量%
生クリーム 40重量%
卵黄 8重量%
砂糖 20重量%
ラム酒 2重量%
コンニャク流動材料 10重量%
製造したアイスクリームは、ジェラートのようなコシのある食感であった。また、このコンニャク流動材料を添加したアイスクリームは、コンニャク流動材料を添加していないアイスクリームに比べて、溶ける速度が遅く、形態を維持しながら溶けた。
このことから、コンニャク流動材料は、コシ増強作用、形状保持作用、解凍遅延作用を有することが確認された。
(実施例2)
以下に記載される各材料を約45℃で加温しながら混合して掻き混ぜた後、型に入れて12〜15℃で冷却することにより、生チョコレートを製造した。
ダーククーベルチュールチョコレート 70重量%
コンニャク流動材料 15重量%
水 15重量%
ココアパウダー 適当量
製造した生チョコレートは、コンニャク流動材料と水の代わりに生クリームを用いて製造した生チョコレートに比べて約30%のカロリーを低減することができた。また、このコンニャク流動材料を添加した生チョコレートは、生クリームの油っぽい感じがなくて、さっぱりした食感であった。
このことから、コンニャク流動材料は、油中水分導入作用、食感改良作用を有することが確認された。
(実施例3)
以下に記載されるダーククーベルチュールチョコレート以外の各材料を約45℃で加温しながら混合して掻き混ぜた後、20〜25℃まで冷却して1個あたり約8gの球状物を複数個調製し、ダーククーベルチュールチョコレートで各球状物をコーティングして12〜15℃で冷却することにより、トリュフを製造した。
ダーククーベルチュールチョコレート 46重量%
ファイトチョコレート 14重量%
コンニャク流動材料 12重量%
水 28重量%
ディッピング用のダーククーベルチュールチョコレート 適当量
製造したトリュフは、コンニャク流動材料と水の代わりに生クリームを用いて製造したトリュフに比べて約40%のカロリーを低減することができた。そして、コンニャク流動材料を添加することで、水をチョコレートに適用することができ、水の量も所望の量に調節することが可能になった。また、このコンニャク流動材料を添加したトリュフは、油っぽさがなく、ふわっとした良好な口溶け感を得ることができた。
このことから、コンニャク流動材料は、油中水分導入作用、食感改良作用を有することが確認された。
(実施例4)
以下に記載されるダーククーベルチュールチョコレート以外の各材料を約45℃で加温しながら混合して掻き混ぜた後、型に入れて20〜25℃まで冷却し、2.5cm×2.5cm×1cm程度のサイズの長方体に切断し、各長方体をダーククーベルチュールチョコレートでコーティングして12〜15℃で冷却することにより、ヌガチーヌを製造した。
ダーククーベルチュールチョコレート 55重量%
ヘーゼルナッツペースト 15重量%
ナッツブリトル 15重量%
コンニャク流動材料 10重量%
水 5重量%
ディッピング用のダーククーベルチュールチョコレート 適当量
製造したヌガチーヌは、コンニャク流動材料と水の代わりにヘーゼルナッツペーストを用いて製造したヌガチーヌに比べて約15%のカロリーを低減することができた。また、このコンニャク流動材料を用いたヌガチーヌは、ヘーゼルナッツが少量であるにも関わらず、ヘーゼルナッツの香りが高くなっており、もちもちした食感があった。
このことから、コンニャク流動材料は、香り増強作用、食感改良作用を有することが確認された。
(実施例5)
以下に記載される各材料を45〜50℃で加温しながら混合して掻き混ぜた後、型に入れて12〜15℃に冷却することにより、板チョコレートを製造した。
ダーククーベルチュールチョコレート 98重量%
コンニャク流動材料 2重量%
製造した板チョコレートは、光沢も良く、見た目も通常の板チョコレートと同じであった。この板チョコレートを食したところ、コンニャク流動材料を添加していない板チョコレートに比べて歯に付きにくく、まろやかな口溶けであった、
また、このコンニャク流動材料を添加した板チョコレートを溶かし、スティック状の焼き菓子にコーティングしたところ、光沢も良く、水分と油分の分離現象も見られなかった。
さらに、このコンニャク流動材料を添加した板チョコレートと、コンニャク流動材料を添加していない板チョコレートを、電子レンジで加熱して溶ける様子を観察した。その結果、コンニャク流動材料を添加していない板チョコレートは、水のように溶けて流れるが、コンニャク流動材料を添加した板チョコレートは、形状を保持した状態で溶けた。
このことから、コンニャク流動材料は、食感改良作用、形状保持作用、光沢付与作用を有することが確認された。また、コンニャク流動材料を添加した板チョコレートは、温めて食べるパン等の食品のトッピング用チョコレートとして好適であることがわかった。
(実施例6)
以下に記載される各材料を混合し、十分に攪拌することによってドレッシングを製造した。
食用植物油脂 25.584重量%
パームフルーツオイル 0.416重量%
コンニャク流動材料 7重量%
醸造酢 11.6重量%
砂糖類 11.2重量%
食塩 3.5重量%
大豆粉 2重量%
植物性たん白 2重量%
増粘多糖類(キサンタン、ペクチン) 0.7重量%
酵母エキス 0.5重量%
香辛料 0.3重量%
香辛料抽出物 0.008重量%
水 35.192重量%
製造したドレッシングは、マヨネーズのような半固形状をなしており、水分と油分の分離も見られなかった。これに対して、コンニャク流動材料を添加せずに製造したドレッシングは、水分と油分の分離が見られ、また、性状が緩く、垂れたような形状になってしまった。
このことから、コンニャク流動材料は、油水相分離抑制作用、形状保持作用を有することがわかった。
[3]製剤の製造
製造例1で製造したコンニャク流動材料100gを凍結乾燥し、6.6gの粉末状の製剤(以下、「コンニャク粉末製剤」ということがある)を得た。この凍結乾燥して得たコンニャク粉末製剤の食物繊維含量をProsky変法で測定した結果、不溶性食物繊維が23%、水溶性食物繊維が38%であり、食物繊維の約62%は水溶性食物繊維であった。
<試験例>
(実験飼料)
本試験例で用いた3種類の飼料(比較飼料、飼料1、飼料2)の組成を表1に示す。
各実験飼料は、それぞれ、コンニャク粉末製剤を0重量%、2.5重量%、5重量%で含有し、脂肪エネルギー比が50%になるようにラードを添加した高脂肪飼料である。また、総食物繊維量は5.0%になるようにセルロースで調整し、ミネラルおよびビタミンは、それぞれAIN−93G標準組成に準じた混合物である。
Figure 0006490361
(実験動物の飼育、生体試料の採取)
4週齢雄マウス(C57BL/6Jマウス,日本チャールス・リバー株式会社製)24匹を、通常の固形飼料(NMF,オリエンタル酵母工業株式会社製)を与えて1週間の予備飼育を行った後、各群の平均体重が均一になるように、1群8匹ずつで3つの群に分けた。
そして、第1群のマウスの各ケージ内にはコンニャク粉末製剤無添加の比較飼料と水をセットし、第2群のマウスの各ケージ内にはコンニャク粉末製剤を2.5重量%添加した飼料1と水をセットし、第3群のマウスの各ケージ内にはコンニャク粉末製剤を5重量%添加した飼料2と水をセットし、これら飼料と水を、各ケージ内のマウスに80日間、自由摂取させた。このときの飼育環境は、室温22±1℃、湿度55±5%であり、12時間の明暗サイクル(9:00〜21:00)とした。また、飼育している間、2〜3日毎に体重及び飼料摂取量を測定し、体重増加量、飼料効率を求めた。
また、試験最終週の7日間は、各マウスをステンレスメッシュの上で飼育し、その際に排泄された糞を、表面を洗浄した後、凍結乾燥して粉砕し、分析用試料とした。
解剖当日のマウスは、9:00より6時間絶食させた。そして、絶食させたマウスを、エーテル麻酔下で開腹し、心臓より血液を採取した後、肝臓、後腹壁脂肪組織、副睾丸周辺脂肪組織、腸間膜脂肪組織を摘出し、各組織の重量を測定した。また、採取した血液は、氷中で保存し、4℃に調整した遠心分離機により、6000rpmで15分間遠心分離し、血清を採取した。
(生体物質の分析)
(1)血清分析
採取した血清について、グルコース、トリグリセリド、遊離脂肪酸、総コレステロール濃度を酵素法にて分析した。グルコースの分析には「グルコースCII−テストワコー」を
使用し、トリグリセリドの定量には「トリグリセライドE−テストワコー」を使用し、遊離脂肪酸(NEFA)の定量には「NEFA C−テストワコー」を使用し、総コレステロール濃度の定量には「コレステロールE−テストワコー」を使用した(いずれも和光純薬工業株式会社製)。
血清レプチン濃度は、脂肪組織の量を反映するものであり、「マウス・レプチン・イノムアッセイキット」(R&Dシステムズ社製)を用いて、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法にて分析した。血清インスリン濃度は、「レビス インスリン−ラット(Hタイプ)」(株式会社シバヤギ製)を用いて、ELISA法にて分析した。
また、測定された血清インスリン濃度および血清グルコース濃度より下記式に従いHOMA−IRを求めた。HOMA−IRは、インスリン抵抗性の指標となる値である。
HOMA-IR=空腹時血糖値(mg/dl)×血清インスリン濃度 (μIU)/405
血清インスリン濃度 (μIU)=血清インスリン濃度(ng/ml)×26
(2)脂肪組織の脂肪細胞のサイズの測定
副睾丸周辺脂肪組織は、2%酸化オスミウム(Osmium(VIII)Oxide、和光純
薬工業株式会社製)にて、37℃で30時間固定し、250μmと25μmのメッシュを用いて洗浄、回収した。回収した脂肪組織サンプルについて、コールターカウンター(ベックマン・コールター製,商品名Multisizer3)を用い、脂肪細胞の粒径を計測した。
(3)耐糖能試験
飼育最終週のマウスを朝9時より6時間の絶食させた後、20%グルコース溶液を、1g/kg体重となるように経口ゾンデを用いてマウスの胃内に投与した。ここで、グルコール溶液の投与前(0分)に、マウスの尾部より採血を行い、さらに、グルコース溶液を投与した後、15分、30分、60分、120分の時点でマウスの尾部より採血を行った。血糖値の定量には、「小型血糖測定器 グルテストエースR」(株式会社三和科学研究所社製)を使用した。図1に、測定された血糖値−時間曲線を示す。この血糖値−時間曲線の下面積(AUC)を算出した。
(4)糞中脂質量の測定
凍結乾燥した糞の粉砕物を0.5〜1.0g精秤し、4%酢酸含有クロロホルム:メタノール(2:1)を用いたFolch法により、糞中の脂質を抽出した。得られた抽出物を、Folch水洗用ブランク(クロロホルム:メタノール:水(3:48:47))を用いて可溶性塩類等を除去した後、恒量を求めたアルミカップに入れ、ホットプレート上で溶媒を蒸発させた。その後、この抽出物を、105℃で1時間以上加熱し、30分間デシケーター内に放置して重量を測定した。測定された重量から総脂質排泄量を算出し、算出された総脂質排泄量と脂質摂取量より見かけの消化吸収率を求めた。
(5)肝臓脂質濃度の測定
各群のマウスを解剖し、Folch法により肝臓中のトリグリセリド濃度(mg/g肝臓)を測定した。具体的には、まず、マウスの肝臓を摘出し、肝臓重量(g)を測定後、凍結乾燥した。凍結乾燥した肝臓0.2gをクロロホルム/メタノール(2:1 v/v)20mLで一晩抽出した後、遠心分離(3000rpm、10分)を行い、上清を回収した。次いで、遠心分離で得られた沈殿物にクロロホルム/メタノール(2:1 v/v)10mLを添加、攪拌し、更に遠心分離(3000rpm、10分)を行い、上清を回収した。得られた全ての上清を合わせて濾紙(No.2)で濾過し、濾液をクロロホルム/メタノール(2:1 v/v)で50mLに定容して、肝臓脂質抽出液を得た。抽出液5mLを分取し、Folch水洗用ブランク(クロロホルム:メタノール:水=3:28:47 v/v)で水洗後、溶媒を窒素気流下、60℃で蒸発、乾固させた。これをイソプロパノール0.5mLに溶解して、検液を得た。検液中のトリグリセリド量を、トリグリセライドE−テストワコー(和光純薬工業社)を用いて測定した。
コレステロール量については、コレステロールE−テストワコー(和光純薬工業社)を用いた。
(統計解析)
以上のようにして得られた値から平均値および標準偏差を求め、コンニャク粉末製剤の用量反応性を検定した。ここで、平均値の差の検定には、Tukey−Kramerの多重比較法を用い、用量反応性の検定には、直線回帰分析を行い、傾きが有意となった場合に用量反応性ありと判定した。有意水準は全て5%とした。
算出された平均値±標準偏差と用量依存性の評価結果を表1〜表8に示す。表1〜表8において、「a」、「b」の添え字が付されたデータは、異なる添え字が付されたデータに対してp<0.05の有意差が認められたデータであることを示し、「ns.」は有意差が認められなかったことを示す。
Figure 0006490361
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Figure 0006490361
Figure 0006490361
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表2に示すように、コンニャク粉末製剤が添加された飼料1、2を摂取したマウスは、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに比べて、終体重、体重増加量、飼料効率が有意に低い値になっており、それらの値に用量依存性が認められた。このことから、コンニャク粉末製剤は、生体の体重増加を抑制する作用を有することが確認された。
表3に示すように、コンニャク粉末製剤が添加された飼料1、2を摂取したマウスは、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに比べて、肝臓、腸間膜脂肪組織が有意に少ない重量であった。また、後腹壁脂肪組織については、コンニャク粉末製剤の含有量が5重量%の飼料2を摂取したマウスで、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに比べて有意差が認められた。そして、これらの重量には、コンニャク粉末製剤の含有量に対して用量依存性が認められた。このことから、コンニャク粉末製剤は、生体内において内臓脂肪蓄積抑制作用を示すことが確認された。
表4に示すように、コンニャク粉末製剤が添加された飼料1、2を摂取したマウスは、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに比べて、脂質の見かけの消化吸収率が有意に少なく、その値に用量依存性が認められた。このことから、コンニャク粉末製剤は、生体内において脂質吸収抑制作用を示すことが確認された。
表5に示すように、コンニャク粉末製剤が添加された飼料1、2を摂取したマウスと、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスとで、脂肪細胞サイズに有意な差は認められなかった。このことから、コンニャク粉末製剤による脂肪組織の重量低下効果は、脂肪細胞の肥大化抑制によるものではなく、脂肪細胞数の低下によるものであることが推定された。
表6、図1に示すように、コンニャク粉末製剤が添加された飼料1、2を摂取したマウスは、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに比べて、グルコース溶液投与後15分での血糖値が有意に小さい値であり、その値に用量依存性が認められた。なお、AUCについては、個体差が大きく有意差は検出されなかった。
表7に示すように、コンニャク粉末製剤が添加された飼料1、2を摂取したマウスは、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに比べて、インスリン濃度が有意に低いものであった。また、血清総コレステロール値、レプチン濃度、インスリン抵抗性指標(HOMA−IR)については、コンニャク粉末製剤が5重量%の飼料2を摂取したマウスで、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに対して有意差が認められた。そして、これらの値には、コンニャク粉末製剤の含有量に対して用量依存性が認められた。このことから、コンニャク粉末製剤は、血清コレステロール値上昇抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用、生体の耐糖能を改善する作用(糖尿病予防作用)を有することが確認された。
表8に示すように、コンニャク粉末製剤が添加された飼料1、2を摂取したマウスは、コンニャク粉末製剤が添加されていない比較飼料を摂取したマウスに比べて、肝臓コレステロール蓄積量およびトリグリセリド蓄積量が有意に少なく、その値には用量依存性が認められた。このことから、コンニャク粉末製剤は、生体内において脂肪肝の発症を抑制する作用を示すことか確認された。
以上の評価結果から、コンニャク流動材料は、生体内に摂取されたときに、糖尿病予防作用、体脂肪蓄積抑制作用、脂肪肝抑制作用、脂質吸収抑制作用、血清コレステロール値上昇抑制作用を発揮し、メタボリックシンドロームの発症を効果的に予防し得ることが示唆された。
本発明の組織増強剤、コシ増強剤、油中への水分導入剤、成分保持剤、香り増強剤、食感改良剤、形状保持剤、解凍遅延剤、光沢付与剤、および糖尿病予防剤、体脂肪蓄積抑制剤、脂肪肝抑制剤、脂肪肝抑制剤、脂質吸収抑制剤、血清コレステロール値上昇抑制剤は、極めて簡単にかつ安価に製造することができる。また、植物由来の成分を用いているため安全性が高く、安心して製品化することができる。さらに、本発明の組織増強剤等の食品添加剤は、幅広い食品に応用可能である。また、本発明の糖尿病予防剤、体脂肪蓄積抑制剤等は、メタボリックシンドロームの発症を予防する効果がある。よって、本発明は産業上の利用可能性が高い。

Claims (5)

  1. コンニャク粉を水で膨潤溶解してpH9以上でリン酸ナトリウムによるアルカリ処理をした後に乳酸によりpHを8未満に低減する工程を経て調製したゲル化力を有するコンニャク流動材料または該コンニャク流動材料の凍結乾燥粉末を含むことを特徴とする組織増強剤。
  2. 冷凍菓子に添加されることを特徴とする、請求項1に記載の組織増強剤。
  3. アイスクリームに添加されることを特徴とする、請求項1に記載の組織増強剤。
  4. チョコレートに添加されることを特徴とする、請求項1に記載の組織増強剤。
  5. ドレッシングに添加されることを特徴とする、請求項1に記載の組織増強剤。
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