JP3671272B2 - 粥 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粥、より詳しくは特定の食物繊維の塊状ゲルを含み、咀嚼感、満腹感を有し、低カロリーで、食後過血糖抑制作用を有し、殊に糖尿病患者や食事療法中の肥満症患者、血糖値の上昇抑制を要望するヒト等の摂取に適した粥に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)は、空腹時高血糖に加えて、食事摂取後の過剰な血糖上昇をその特徴の一つとしている。この食後過血糖は、主として食後の肝臓糖放出抑制低下と全身の糖取り込み率低下が原因と推察され、かかる症状の是正は、糖尿病の一次予防及び二次予防に重要な意義がある。即ち、慢性的な高血糖状態によれば、血中グルコースがインスリンの分泌とその作用を障害し、更に病態を悪化させるという悪循環を招く。また、糖尿病の初期における急激な血糖上昇は、急激なインスリン分泌をもたらし、その結果、短期的には肥満や動脈硬化の危険因子である高インスリン血症を誘発し、長期的にも膵β細胞の疲弊を誘発し、インスリン分泌不全に至らせる。
【0003】
更に、糖尿病はいずれ重篤な合併症を惹起させる危険をはらんでおり、この合併症の発症率を低下させるためにも、血糖の厳密なコントロールが三次予防として必要である。
【0004】
従来、かかる糖尿病においては、食事療法がその第一の基本的対策としてとられている。即ち、糖尿病患者には、適正範囲のエネルギー摂取制限とバランスのよい食物摂取を軸として厳密な栄養指導がなされている。しかるに、この栄養指導によれば、摂取の許容されるエネルギー量がかなり少ないために、患者は常に空腹状態にあり、これが上記食事療法のコンプライアンスを低下させる原因ともなっている。従って、糖尿病患者にとっては、上記栄養指導を遵守し、制限カロリーを越えることなく、かさ高で、咀嚼感、満腹感を満たし得る食べ物の研究、開発が最も望まれる所である。
【0005】
また、糖尿病患者にとっては、血糖値を下げること、特に食後の急激な高血糖値を是正することが、主要な予防及び治療対策であり、かかる食後過血糖を惹起しない乃至は是正できる食べ物の開発が望まれる所である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記現状に鑑み、殊に糖尿病患者の要望を満たす、咀嚼感、満腹感を有し、しかも食後過血糖是正を行ない得る食品の開発を目的として、鋭意研究を重ねた。
【0007】
その課程で、日本人の基本食である米飯でありながら、カロリーがご飯の半分以下であり、低カロリー食として知られている粥に着目したが、粥自体は、大半が水分であり、咀嚼感が乏しく、大量に摂取しなければ満腹感も得られず、糖尿病患者の要望を満たし得るものではなかった。
【0008】
また、最近、上記粥に寒天等の増粘剤を配合して、米粒の周囲を固めたレトルト米飯食品又はお粥が提案されている(特開平9−047239号公報参照)。しかしながら、この提案されたお粥は、常温では全体がゲル化したゼリー状となっており、もはやお粥の形態を呈しておらず、その摂食時に加温すれば、ゲルが溶解して元のお粥に戻り、その咀嚼感の改善等は全く望めないものであった。
【0009】
引き続く研究において、本発明者は、上記粥に特定の食物繊維の塊状ゲルを含有させるときには、上記目的に合致する食品が得られることを見いだし、ここに本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水溶性又は吸水性を有する食物繊維の塊状ゲルを含有することを特徴とする粥が提供される。
【0011】
より詳しくは、本発明によれば、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ジェランガム、ローカストビーンガム、コンニャクマンナン、タラガム、グアーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム、トラガントガム、カラヤガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、結晶化セルロース、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、アロエ葉肉、ナタデココ及び夕顔ファイバーから選ばれる少なくとも1種の水溶性又は吸水性を有する食物繊維の塊状ゲルを含有する粥が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、加熱殺菌によっても形状の崩れない塊状ゲルを含む上記粥、20℃及び60℃下に少なくとも220g/cm2 の破断応力又は20℃下に少なくとも2.98mm、60℃下に少なくとも2.11mmの破断歪みを有する塊状ゲルを含む上記粥が提供される。
【0013】
更に、本発明によれば、粥全重量に対して水溶性又は吸水性を有する食物繊維の塊状ゲルを10〜50重量%、好ましくは約20〜50重量%含有する粥が提供される。
【0014】
加えて、本発明によれば、水溶性又は吸水性を有する食物繊維の塊状ゲルからなる粥の咀嚼性改善剤が提供される。
【0015】
本発明粥は、食後過血糖抑制(血糖値上昇抑制)作用を有することを特徴としており、特に糖尿病患者の摂食に適している他、肥満や血糖値の上昇を気にしているヒトに対する食事としても好適なものである。
【0016】
加えて、本発明によれば、気密性のある容器内に収容され、レトルト殺菌された粥が提供される。
【0017】
本発明粥は、その必須成分として上記特定の食物繊維の塊状ゲルを添加存在させたことに基づき低カロリーであることは勿論のこと、上述した通り、食後過血糖抑制作用を有しており、しかもかさ高さや、程良い咀嚼性を有している。従って、本発明粥は、少量の摂食でも満腹感が得られる特徴を有しており、この点でも、厳しい食事制限下にある糖尿病患者等に特に適したものである。
【0018】
また、本発明粥は、容易に安定して供給できるものであり、日常簡便に摂取できる利点もある。
【0019】
尚、本明細書において「粥」とは、白米を煮た白粥のみならず、他の穀類を煮たものであってもよく、塩味をつけたもの、甘味料で味付けしたもの、茶で煮たもの等をも包含する。また、該粥には、適当に食素材を増量材として加え、出汁で煮た、いわゆる芋粥、七草粥、小豆粥、雑炊等も含まれるものとする。更に、上記粥には、穀物粒と水との配合比率(濃さ)によって、全粥、七分粥、三分粥、重湯、おまじり等と呼ばれているいずれの粥も包含されるものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明粥は、水溶性又は吸水性を有する食物繊維の塊状ゲルを含有することをその必須の要件とする。ここで塊状ゲルを形成する食物繊維は、水溶性又は吸水性を有する通常の食品素材乃至食品添加物から適宜選択できる。その具体例としては、例えば寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ジェランガム、ローカストビーンガム、コンニャクマンナン、タラガム、グアーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム、トラガントガム、カラヤガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、結晶化セルロース、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、アロエ葉肉、ナタデココ及び夕顔ファイバーを例示できる。
【0021】
之等の内では、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、アロエ葉肉が好ましく、特にカードランが最適である。
【0022】
また、上記食物繊維の他の好ましい群には、ジェランガム、タラガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアガム、サイリュームシードガム、カラヤガム、カルボキシメチルセルロース、結晶化セルロース、ペクチン、カードラン、アロエ葉肉、ナタデココ及び夕顔ファイバーが包含される。
【0023】
上記水溶性又は吸水性を有する食物繊維は、その1種を単独で利用することもでき、2種以上を併用することもできる。更に、上記食物繊維は、その種類に応じて、他の適当な添加剤と併用することもできる。かかる適当な添加剤としては、例えば乳酸カルシウム、グルコノ−デルタ−ラクトン(GDL)、リン酸1水素カルシウム、水酸化カルシウム等を例示できる。之等の添加によれば、塊状ゲルの凝固がより確実になる場合がある。
【0024】
本発明に特に好適な上記食物繊維又はこれと他の添加剤との組合せとしては、例えば(1)ジェランガム+乳酸カルシウム、(2)アルギン酸ナトリウム+GDL+リン酸1水素カルシウム、(3)ペクチン+リン酸1水素カルシウム、(4)グルコマンナン+水酸化カルシウム、(5)カードラン、(6)カラギーナン+グルコマンナン+ジェランガム+乳酸カルシウム、(7)ファーセレラン+グルコマンナン+ジェランガム+乳酸カルシウム、(8)寒天+グルコマンナン+ジェランガム+乳酸カルシウム、(9)アロエ葉肉等を例示することができる。
【0025】
上記特定の食物繊維又はこれと他の添加剤との組合せを用いた塊状ゲルの作成は、通常の方法に従い実施することができる。例えば、食物繊維(又はこれと他の添加剤)の所定量を水に混ぜ、温浴して溶かし、放冷することにより、実施できる。かくして、粥への配合に適した適当な形状、大きさ、例えば一辺5〜20mmの立方体形状、直径5〜20mmの球状形状等を有する所望の塊状ゲルを得ることができる。また上記で得られるゲルは、これを必要に応じて更に細切して、上記適当な大きさ、形状等とすることもできる。
【0026】
上記で得られる塊状ゲルは、用いた食物繊維(又はこれと添加剤)の種類に応じて若干異なるが、適当な咀嚼感(噛み応え)を有している。これは、例えば得られるゲル塊の所定温度における破断応力(歯ごたえ)及び破断歪み(噛みきり易さ)を指標として評価できる。
【0027】
即ち、通常食品の噛みごたえは、破断応力及び破断歪みが大きいほど大きいが、之等の値と、実際の個々の食品の噛み応えに関する官能的な評価とは、必ずしも一定の関係を有するものではない。本発明者等は、本発明に利用するゲルを実際に官能試験に供して、多くのパネラーが噛み応えを感じた場合の供試ゲルの破断応力及び破断歪みを求め、之等の値を噛み応えの尺度とした。その結果、通常、20℃及び60℃下に少なくとも220g/cm2 の破断応力を有するか又は20℃下に少なくとも2.98mm及び60℃下に少なくとも2.11mmの破断歪みを有するものであるのが好ましい。より好ましくは、破断応力が約350g/cm2以上且つ破断歪みが約6mm以上であるのがよい。上記60℃なる条件は、通常摂取される粥の温度を想定したものであり、上記ゲル塊は、該温度における破断応力及び破断歪みが20℃下におけるそれらとあまり変化のないものであるのが好ましく、より好ましくは60℃の温度条件下で、上記好ましい破断応力及び破断歪みの値を保っているのが望ましい。また、上記破断応力は約4240g/cm2(20℃)、約1660g/cm2(60℃)までであるのがよく、破断歪みは24.85mm(20℃)、12.10mm(60℃)までであるのが好ましい。
【0028】
上記塊状ゲルは、また加熱殺菌によってもその塊状形態の崩れのない保形性を有しているものであるのが好ましい。即ち、本発明粥は、一般にはこれを気密性のある容器に収容してレトルト殺菌して製品化されるのが、利用者にとり安全且つ簡便であると考えられる。しかるに、かかるレトルト殺菌時には、例えば121℃、20分程度の加熱条件が採用され、この加熱条件でも粥中のゲル塊が型くずれせず、初期の咀嚼感を保持するものであるのが好ましい。かかる加熱殺菌によっても崩れない保形性を有する塊状ゲルは、利用する水溶性又は吸水性を有する食物繊維(又はこれと添加剤)の種類を適宜選択することにより得ることができる。
【0029】
尚、上記保形性は本発明粥の好ましい要件ではあるが、必須の要件ではなく、本発明粥には、レトルト殺菌時の加熱によってその塊状形態を保持し難いものも包含される。その場合、本発明では、より緩やかな加熱条件を採用するか他の高温加熱を伴わない殺菌操作を行なうか、あるいはレトルト処理を行なわないで製品化すればよい。
【0030】
本発明粥は、上記の如くして得られる食物繊維の塊状ゲルを喫食時に含ませることをその必須の要件として、他は通常のこの種粥と同様にして得ることができる。例えば、常法に従い全粥、七部粥、三分粥、重湯等を作成した後、之等に上述した塊状ゲルの所定量を混合することにより、本発明粥を得ることができる。この方法は、特に塊状ゲルがレトルト殺菌時の加熱によってその塊状を保持し難いものの場合に適している。この場合、例えば、粥と別包装にて塊状ゲルを酸性域にて低温殺菌(pH3.8、85℃、30分程度)して商品化することもできる。
【0031】
また、本発明粥は、適当なレトルトパックに水、米、塊状ゲル、調味料等を入れてパックした後、レトルト殺菌(例えば121℃、20分程度)処理を行なうことによっても調製することができる。この方法は、特に塊状ゲルがレトルト殺菌処理条件で型崩れのない充分な保形性を有するものの場合に適切である。特にこの場合、レトルト殺菌処理時の加熱条件下で、殺菌処理と同時に炊飯が行なわれ、非常に簡単な操作で所望の粥製品を収得できる利点がある。
【0032】
尚、本発明粥には、更に必要に応じて、肉類、野菜類、魚介類等の具剤を適宜配合して、雑炊形態とすることもできる。また、本発明粥の摂食時には、所望により、ふりかけや調味料等を利用することも勿論可能である。特に、本発明者等の先の出願に関わる味付け寒天(特開平5−161479号公報参照)等のふりかけの利用は、好ましいものである。
【0033】
本発明粥における、塊状ゲルの配合量は、粥の全重量に対して、通常約10〜50重量%、好ましくは約20〜50重量%の範囲から選ばれ、この範囲での配合によって、本発明所期の優れた効果を奏し得る。
【0034】
かくして得られる本発明粥は、これを適当な容器に充填して製品とすることができる。特に、本発明粥は、これを気密性のある容器に収容して、熱シール後、加圧加熱殺菌する、いわゆるレトルト殺菌処理により製品化されるのが好ましい。ここで、レトルト殺菌処理は常法に従い実施することができ、上記容器としても、例えば気密性のあるプラスチックパウチやプラスチックとアルミニウムシート等とのラミネートパウチ等の通常汎用されるものを利用できる。加圧加熱殺菌処理も常法に従い、バッチ式及び連続式のいずれでも行ない得る。バッチ式は、熱水式及び水蒸気式の両者を包含する。殺菌処理条件としては、通常採用されている、120℃、4分以上、一般には20分程度、の条件又はそれより高温の条件を採用できる。かくして得られる本発明粥製品は、レトルトパウチの形態で、熱湯中に数分間浸漬した後、取り出して摂食することができる。
【0035】
本発明粥は、低カロリーであることは勿論のこと、通常の粥に比して咀嚼感、満腹感を顕著に改善して、しかも食後過血糖を抑制する作用を有するものであり、之等の点より、食事療法としてカロリー制限を余儀なくされている糖尿病患者や、糖尿病に陥る傾向のあるいわゆる境界型患者のための食事として、また肥満者等や肥満を伴う健常者、老人、乳幼児等の食事として、非常に有用である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明粥の製造のための塊状ゲルの製造例及び試験例を挙げ、次いで本発明粥の製造例及び試験例を挙げる。尚、各例中、部及び%とあるは、いずれも重量基準とする。
【0037】
実施例1
(1) 塊状ゲルの製造(a)
下記a)〜k)の各食物繊維又はこれと添加剤との所定量を、水中に入れ、加温(約90℃)しながら均一な液状とした後、適当な容器に流し込んで放冷して固まらせて、板状ゲルを作成した。これを細切して、大きさ5〜20mm(平均粒径約13mm)の立方体状形態を有する塊状ゲルを調製した。
【0038】
(2) 塊状ゲルの製造(b)
上記塊状ゲルの製造(a)に示したa)、b)、d)、e)、f)及びj)の各食物繊維又はこれと添加剤との所定量を、水中に入れ、加温(約90℃)しながら均一な液状とした後、アルミパウチに流し込み、シール器を用いて密閉後、121℃、20分間レトルト殺菌後、放冷して、レトルトパック状ゲルを作成した。
【0039】
このものはパックを開封してゲルを取り出し、適当な大きさに細切後、別途調製した粥にその所定量を添加配合して、本発明粥とすることができる。
【0040】
(3) 塊状ゲルの物性試験(1)
上記(1)で得られた各板状ゲルを、20℃の恒温機中に15時間保存後、レオメーター(株式会社サン科学製)により破断応力と破断歪みを測定した。
【0041】
破断応力の測定は、試料を内径50mm、高さ55mmの円筒状容器に充填し、面積1cm2のプランジャーを用いて、圧縮強度20mm/minで測定した。
【0042】
得られた結果を、下記表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
また、上記(1)で得られた板状ゲルを60℃に加温し、該温度におけるゲルの破断応力及び破断歪みを同様にして測定した。結果を下記表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
(4) 塊状ゲルの物性試験(2)
上記(1)で得られた各板状ゲルを、一辺1cmの立方体に細切し、健常人男性5名のパネラー(A〜E)に、それぞれ20gずつ摂食させ、以下の基準によりゲルの噛み応えを評価採点させた。
【0047】
5点…非常に噛み応えがある(こんにゃく等のような噛み応えがある)
4点…相当噛み応えがある
3点…比較的噛み応えがある
2点…いくらか噛み応えがある
1点…若干噛み応えがある
0点…噛み応えがない
供試ゲルを20℃及び60℃に保持して行なった、上記試験の結果を、下記表3及び4に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
上記各表及び前記表1及び2より、破断歪みが6mm以上のもの及び破断応力が350g/cm2 以上のものもは噛み応えが大きく感じられ、之等の破断応力及び破断歪みを有するゲルが、満足な咀嚼感を与えるものと考えられた。
【0051】
実施例2
(1)本発明粥の製造(a)
実施例1の(1)で製造した塊状ゲルを用いて、以下の方法に従い、本発明粥を作成した。
【0052】
即ち、米22g、水153ml及び濃縮だし汁(武田薬品社製、濃縮昆布だし汁)1mlを鍋に入れ、強火で30〜40分間加熱して、7分粥を作成した。
【0053】
次いで、得られた粥を放冷後、これに塊状ゲル50gを混ぜ込んで、本発明粥を得た。
【0054】
(2)本発明粥の製造(b)
実施例1の(2)で製造したレトルトパック入りゲルを、一辺5〜20mmの立方体形状に細切し、その50gを、米22g、水153ml及び濃縮だし汁(武田薬品社製、濃縮昆布だし汁)1mlと共にレトルトパウチに入れ、シール器を用いて密閉後、121℃、20分間レトルト殺菌処理して、殺菌と同時に炊飯された本発明の塊状ゲル入りレトルト粥を得た。
【0055】
(3)本発明粥の噛み応え試験
上記(2)で調製した粥試料中、塊状ゲルd)及びe)を用いたもの、及び比較のため、上記(2)においてゲルを用いない以外は同様にして調製した比較粥試料の3点につき、健常成人男子5名をパネラーとして、それぞれ摂食させ、之等を噛み応えのある順に1位、2位及び3位を付してもらった。
【0056】
上記試験の結果、5名のパネラー全員が、塊状ゲルe)を用いて得られた本発明粥を1位とし、5名中4名が塊状ゲルd)を用いて得られた本発明粥を2位とした。
【0057】
このことから、本発明粥は、比較とする塊状ゲルを含まない粥に比しても、噛み応えがあると判断された。
【0058】
(4)本発明粥の咀嚼性試験
(2)で製造した塊状ゲルe)を含む本発明粥(229g、エネルギー量:80kcal)及び比較のため該粥と同重量となるように同原料米(その量はゲルを含まない分だけ増加する)を用いて製造した比較粥(塊状ゲルを含まないもの、エネルギー量:100kcal)について、それらの咀嚼性を次の通り試験した。
【0059】
即ち、健康成人男子5名をパネラーとして、それぞれを摂食させ、その全量を摂食に要する時間(分)を測定し、これを咀嚼性の尺度として咀嚼性を評価した。
【0060】
尚、各粥の摂食は、交互に且つ充分な時間をおいて行なった。
【0061】
結果を下記表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
表5より、5名のパネラー全員が、比較粥の摂食時間より、本発明粥の摂食時間の方が長くなっていることが判る。このことは、本発明粥が比較粥よりも咀嚼回数が物理的に増えたことを反映している。
【0064】
(5)本発明粥の満腹感試験
上記(4)の咀嚼性試験終了後、各パネラーに、各粥の摂食後の満腹感を尋ね、ありなしで評価した。
【0065】
その結果を下記表6に示す。
【0066】
【表6】
【0067】
表6より、本発明粥は、比較粥に比して低カロリーであるにもかかわらず、パネラーの5名中4名が、その摂食によって満腹感があると応え(満腹感がないと答えた残り1名のパネラーは比較粥でも勿論満腹感をおぼえていない)、このことから塊状ゲルe)の利用によって、満腹感が増大することが明らかとなった。
【0068】
(6)本発明粥の摂食による耐糖能試験
上記(2)に従い、塊状ゲルe)を配合して得られた本発明粥について、その摂食後の耐糖能を次の通り試験した。
【0069】
健康成人男子5名を被験者として、それぞれ試験開始前夜の8時以降の食物摂取を控えさせておき、試験開始日に朝食を食べない状態で、まず前値としての血糖値を測定し、次いで午前9時から11時の間に、約5分間を要して本発明粥を摂食させ、更にその10分後に「トレーラン75」(糖負荷剤、シミズ薬品社)100gを飲ませ、以後、30分、60分、120分後に同様にして血糖値を測定した。上記血糖値の測定は、簡易血糖測定装置(アントセンス、バイエル社)を用いて行なった。
【0070】
比較のため、本発明粥に替えて、塊状ゲルe)を含まない以外は同様にして調製した比較粥(同エネルギー80kcalに調製した)を用いて、同一試験を行なった。
【0071】
得られた結果を下記表7に示す。
【0072】
【表7】
【0073】
表7より、同カロリーとした本発明粥と比較粥のそれぞれの摂食では、塊状ゲルe)の配合の有無に基づいて、健康成人男子において、明らかに血糖値の上昇パターンが異なることが判る。即ち、比較粥ではその摂食後速やかに血糖値の上昇が認められるのに対して、本発明粥では、塊状ゲルe)の配合に基づいて、血糖値の急激な上昇は有意に抑制されることが判る。
【0074】
このことから、本発明粥は、食後血糖値の上昇がより顕著に現われる例えば糖尿病患者や、境界型の耐糖能異常者において、より効果的に食後の過血糖症状を抑制できることが明らかである。
Claims (4)
- 水溶性又は吸水性を有する食物繊維の塊状ゲルを含有する粥であって、上記水溶性又は吸水性を有する食物繊維が、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ジェランガム、ローカストビーンガム、コンニャクマンナン、タラガム、グアーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム、トラガントガム、カラヤガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、結晶化セルロース、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、アロエ葉肉、ナタデココ及び夕顔ファイバーから選ばれる少なくとも1種であり、上記塊状ゲルが、加熱殺菌によっても崩れないものであり且つ20℃及び60℃下に少なくとも220g/cm2の破断応力又は20℃下に少なくとも2.98mm、60℃下に少なくとも2.11mmの破断歪みを有するものであり、また粥全重量に対して上記水溶性又は吸水性を有する食物繊維の塊状ゲルが10-50重量%含有されることを特徴とする粥。
- 食後過血糖抑制(血糖値上昇抑制)作用を有する請求項1に記載の粥。
- 糖尿病患者用あるいは肥満者用である請求項1に記載の粥。
- 気密性のある容器内に収容され、レトルト殺菌された請求項1に記載の粥。
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