JP3688815B2 - レトルト処理耐性を有する餅又は団子とその製造方法及びレトルト食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上新粉、白玉粉等のいわゆる米粉やコーンスターチ、カタクリ粉等の澱粉質を原材料としたレトルト処理耐性を有する餅又は団子及び餅又は団子入りレトルト食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
上新粉、白玉粉等の米粉を原材料とした餅などの澱粉質食品は、約70℃前後からα−化が始まり、粘性が増大し、いわゆる餅らしい粘りを生じるが、100℃を超え、レトルト処理といわれる120℃で数分間の熱処理を行うと、粘りを失い、溶け出す。このようになった餅は冷却しても粥状になるだけで餅としての形状をとどめないため、餅はレトルト処理する食品には向かないものとされてきた。
しかしながら、レトルト処理をしないと、例えば、おしるこ等は冷蔵庫で保存しなければならず、また、流通上低温保持という制約を受けるばかりでなく、販売方法にも注意を要することとなる。
【0003】
そこで、従来、レトルト処理を可能にする方法として、特開平5−236892号公報には、餅原材料粉にジェランガム及びカルシウム塩、マグネシウム塩等の塩類を添加して製造した餅の浸透圧と調味液の浸透圧をほぼ同一にすることが開示されている。また、特公平4−40979号公報には、餅原料粉にペクチンやアルギン酸ナトリウムを添加して製造した餅の浸透圧と、カルシウム塩、例えば塩化カルシウム、乳酸カルシウム等を溶解した外液の浸透圧をほぼ等しくすることが開示されている。さらに、餅に乾燥卵白や乳アルブミンを含ませ、加熱時に生じる蛋白質の熱変性を利用して餅の形状を保持しようとする方法も提案されている(特開昭63−287445号公報参照)。
しかしながら、これら澱粉質以外の添加物を餅に含ませると、餅本来の「ねばり」や「こし」といった好ましい物性や味の面において、かなり餅とは異質なものになってしまうという問題があった。また、アルギン酸ナトリウム等のゲル化剤を固化するために外液に添加するカルシウム塩は舌に苦みと収斂性を生じさせるので、商品の品質低下につながるという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、澱粉質以外の固化剤を使用せず、レトルト処理を行っても溶けたりせず、餅や団子の形状と餅や団子本来のテクスチャーと味を保有する、レトルト処理耐性を有する餅又は団子及びこれらを含むレトルト食品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるレトルト処理耐性を有する餅又は団子は、原材料粉中にワキシーコーンスターチを5〜50重量%となるように配合し、得られた混合粉体に水を粉体全量に対して0〜60重量%加え、これを粉体全量に対する水の割合が10〜70重量%になる迄蒸練したことを特徴としている。『蒸練』は、原材料粉その他を蒸練機に投入し、蒸気を吹き込みながら混練する処理である。
また、本発明によるレトルト処理耐性を有する餅又は団子の製造方法は、原材料粉中にワキシーコーンスターチを5〜50重量%となるように配合するステップ;得られた混合粉体に水を混合粉体全量に対して0〜60重量%加えるステップ;及びこの混合粉体と水の混合物を蒸練して混合粉体全量に対する水の混合割合を10〜70重量%とするステップ;を含むことを特徴としている。
本発明は、さらに、上記の餅又は団子と調味液を含むことを特徴とするレトルト食品を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ワキシーコーンスターチを原材料粉中に5〜50重量%、好ましくは20〜50重量%含まれるように添加する。ワキシーコーンスターチの含有量が5重量%未満では餅原材料粉が蒸練時に団子状になりやすく、充分に混捏されず、50重量%を超えると、ワキシーコーンスターチの低ゲル化性により、レトルト処理で餅が溶けて形状を保持できなくなる。
なお、ワキシーコーンスターチとは、アミロペクチン100%のコーンスターチと定義されているが、本発明においては若干のアミロースが含まれるコーンスターチも使用可能である。
【0007】
本発明において、加水量は上記のように、原材料粉、すなわち、米粉などの餅又は団子の原料粉及びワキシーコーンスターチやその他の粉末添加物を含む混合粉体に対して、蒸練後において10〜70重量%、好ましくは30〜50重量%とする。通常、餅類は原料粉に対して70重量%を超える加水量で製造されるが、70重量%を超える加水量で作った餅類は、120℃で加熱するレトルト条件の下では、どうしても澱粉質が溶解してしまい、餅の形状を保持できない。また、加水量が10重量%未満であると、生地が固くなりすぎて、成型ができなくなる。加水量は、蒸練工程によって加えられる約10重量%の加水量を考慮して、蒸練前においては、0〜60重量%、好ましくは20〜40重量%とするのがよい。
【0008】
本発明の餅又は団子を製造する際には、原料粉に上記のワキシーコーンスターチの他、必要に応じて増粘多糖類、乳化剤、浸透圧調整成分などを添加することができる。
本発明の餅又は団子は、原料粉にワキシーコーンスターチ及び必要に応じて他の添加剤を混合した後、好ましくはこれを水と共に蒸練し、成形し、冷却することによって製造することができる。
【0009】
上記のようにして製造された餅又は団子は、レトルト食品の種類に応じて、種々の具や調味液と一緒にパウチ等の容器に詰め、これをレトルト処理する。
本発明において、レトルト処理とは、密封下に加圧加熱殺菌することを意味し、レトルト食品とは、パウチ、缶、びんなどの容器内でレトルト処理された調理済み食品を意味する。
本発明のレトルト食品の例としては、特に制限はなく、雑煮、おしるこ、ぜんざい、白玉あんみつ、白玉みつまめなどが挙げられる。
【0010】
【作用】
加水量を従来より少なくすることにより、レトルト処理を行っても澱粉質の膨潤糊化速度が下げられ、同時に冷却時の澱粉質の固化速度が上げられるため、餅が溶けにくくなる。また、ワキシーコーンスターチは、通常の澱粉より低い温度で糊化が始まり、吸水が速いため、蒸練による蒸気からの水分を容易に吸収し、少ない加水量でも生地が団子状態にならず、均一な生地にまとめあげることができる。
【0011】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0012】
実施例1
原材料粉に対して加水量を0、30、60、80重量%と変え、原材料粉中のワキシーコーンスターチの含有量を0、5、30、50、80重量%となるように配合したものを蒸練機を用いて蒸練した。蒸練時間は10分間で、蒸練により約10重量%の水分を加えた。但し、加水量が0のものは、蒸練時間を5分と10分の2種類とした。
蒸練の終了した餅生地をのし餅状にのばし、5℃の冷蔵庫内に24時間放置し固化させた。これを14g程度の矩形の餅に切断し、レトル処理用試験品とした。
この試験品の切餅1個、糖液100g及び小豆20gをレトルト耐性のあるパウチの袋内に入れ、120℃で15分間殺菌した。次いで、そのパウチを冷水中に入れて10℃以下まで冷却し、5℃の冷蔵庫内に24時間放置した。
得られたレトルトしるこを開封し、餅の形状、溶け具合を調べ、下記の基準で評価し、その結果を表1に示した。
○ 餅の形状は、レトルト処理前と変わりがなく、溶け出しが認められない
× 餅の形状は、変化が激しく、溶け出しが認められた
【0013】
【表1】
単位;重量%、加水量の括弧内の値は蒸練後の加水量
【0014】
【発明の効果】
本発明の餅又は団子は、レトルト処理を行っても溶けたりせず、餅や団子の形状が保持でき、澱粉質以外の固化剤を使用していないため、餅や団子本来のテクスチャーと味を保有し、優れたレトルト処理耐性を有する。したがって、本発明によれば、食感の良いレトルト食品を提供することができる。
Claims (3)
- 原材料粉中にワキシーコーンスターチを5〜50重量%となるように配合し、得られた混合粉体に水を粉体全量に対して0〜60重量%加え、これを粉体全量に対する水の割合が10〜70重量%になる迄蒸練したことを特徴とするレトルト処理耐性を有する餅又は団子。
- 原材料粉中にワキシーコーンスターチを5〜50重量%となるように配合するステップ;
得られた混合粉体に水を混合粉体全量に対して0〜60重量%加えるステップ;及び
この混合粉体と水の混合物を蒸練して混合粉体全量に対する水の混合割合を10〜70重量%とするステップ;
を含むことを特徴とするレトルト処理耐性を有する餅又は団子の製造方法。 - 請求項1記載の餅又は団子と調味液を含むことを特徴とするレトルト食品。
Priority Applications (1)
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JP18219296A JP3688815B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | レトルト処理耐性を有する餅又は団子とその製造方法及びレトルト食品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP18219296A JP3688815B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | レトルト処理耐性を有する餅又は団子とその製造方法及びレトルト食品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1023869A JPH1023869A (ja) | 1998-01-27 |
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JP18219296A Expired - Fee Related JP3688815B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | レトルト処理耐性を有する餅又は団子とその製造方法及びレトルト食品 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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KR20230132332A (ko) | 2022-03-08 | 2023-09-15 | 가부시키가이샤 신겐푸즈 | 가열 처리가 완료된 떡이 들어간 식품 및 그 제조 방법, 그리고 떡 가열 처리용의 조미액 및 그 사용 |
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1996
- 1996-07-11 JP JP18219296A patent/JP3688815B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1023869A (ja) | 1998-01-27 |
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