JP5953489B2 - 米様食品の製造方法及びそれによって得られた米様食品 - Google Patents

米様食品の製造方法及びそれによって得られた米様食品 Download PDF

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Description

本発明は、米と同様に炊飯器などによって調理されて食される米様食品の製造方法及びそれによって得られた米様食品に関する。
糖尿病は、インスリンの作用不足によって慢性的な高血糖状態となる代謝疾患である。糖尿病は、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、神経障害、動脈硬化、脳血管障害など様々な重篤な合併症を引き起こす生活習慣病である。近年、高血圧症・脂質異常症・高血糖症の原因が、内臓脂肪の増加による肥満であることから、生活習慣病の指標としてのメタボリックシンドロームが定義され、その該当者は、予備軍を含めて数千万人と、国民病として多くの人に認知されるようになった。メタボリックシンドロームの対処としては、食事療法と運動療法がある。しかし、病態が進むと薬物療法を行うことになり、食事療法でもかなりの食事制限が施されている。しかしながら、日常の食生活において食事の量や質を落とすことは困難であり、必要カロリー以上を摂取することによりカロリー過多になりやすい。
そこで、これまで様々な低カロリー食品が開発されており、日本人の主食である米についても、低カロリー米としてデキストリンやこんにゃくで増量成形した米様食品が提案されている。例えば、特許文献1には、澱粉、デキストリン、ゲル化剤、セルロースを有する半固形物を押し出し及びカッティングして粒状に成形した米様食品が記載されている。また、特許文献2には、グルコマンナン、澱粉及び食物繊維を分散質とする水性分散ゲル状物からなる飯粒状低カロリー食品において、アルギン酸類及び/又はカラギナンを含む増粘多糖類を含む低カロリー飯粒状食品について記載されている。
特開平6−046773号公報(請求項1) 特開平6−315356号公報(請求項1、段落0049)
しかしながら、特許文献1及び2に記載された米様食品は、米とともに炊飯する場合に、吸水倍率が小さいため、通常の米飯と同様の量とするにはより多くの量を必要とし、また食感も米とは異なっている。さらに、特許文献2に記載された米様食品は、乾燥状態ではないため重く、流通が不便であるとともに、吸水も悪いという不都合がある。また、特許文献2の米様食品は、カラギナンを使用しているため、炊飯時に成分の溶け出しが多いという問題がある。
さらに、特許文献2の技術では、塩化カルシウムと水酸化カルシウムの混合溶液に浸漬してゲル状物を得ることが記載されているが(段落0049)、この方法では、水酸化カルシウムのアルカリによりカルシウムが析出し、またアルカリ性が強くカルシウム濃度が上がらないためアルギン酸カルシウムの生成が不十分である。このため、得られる米様食品は、食感が悪く、また炊飯時に多糖類が溶け出しやすいという問題がある。
そこで、本発明は、強度や戻り倍率などの物性に優れ、かつ調理されたときの食感が良好な米様食品の製造方法及び米様食品を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、寒天、アルギン酸又はその塩、及びグルコマンナンを含む溶液と、アルカリ性を示さない多価陽イオン溶液を接触させて、前記アルギン酸又はその塩をゲル化させる第1ゲル化工程と、該第1ゲル化工程によって得られたゲル化物と、アルカリ性溶液を接触させて、前記グルコマンナンをゲル化させる第2ゲル化工程と、冷却して前記寒天をゲル化させる第3ゲル化工程と、前記第1ゲル化工程乃至第3ゲル化工程後に、ゲル化物を脱水させる脱水工程及び乾燥させる乾燥工程の少なくとも一つと、ゲル化物を米状に成形する成形工程と、を備えることにより、強度や戻り倍率などの物性に優れ、かつ調理されたときの食感が良好な米様食品を製造することができることを見出した。すなわち、本発明は、寒天、アルギン酸又はその塩、及びグルコマンナンを含む溶液と、アルカリ性を示さない多価陽イオン溶液を接触させて、前記アルギン酸又はその塩をゲル化させる第1ゲル化工程と、該第1ゲル化工程によって得られたゲル化物と、アルカリ性溶液を接触させて、前記グルコマンナンをゲル化させる第2ゲル化工程と、冷却して前記寒天をゲル化させる第3ゲル化工程と、前記第1ゲル化工程乃至第3ゲル化工程後に、ゲル化物を脱水させる脱水工程及び乾燥させる乾燥工程の少なくとも一つと、ゲル化物を米状に成形する成形工程と、を備えたことを特徴とする米様食品の製造方法である。また、本発明は、前記製造方法によって製造された米様食品である。
以上のように、本発明によれば、強度や戻り倍率などの物性に優れ、かつ調理されたときの食感が良好な米様食品の製造方法及びそれによって得られた米様食品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下に説明する部材や材料、配置等によって限定されず、これらの部材等は本発明の趣旨に沿って適宜改変することができる。
本発明は、第1ゲル化工程、第2ゲル化工程、第3ゲル化工程、乾燥工程及び成形工程を備える米様食品の製造方法である。以下、米様食品の製造方法について詳細に説明する。
(1)第1ゲル化工程
第1ゲル化工程は、寒天と、アルギン酸又はその塩と、グルコマンナンと、を含む原料を水に分散又は加熱溶解してゾル化させたのち、アルカリ性を示さない多価陽イオン溶液を接触させて、アルギン酸又はその塩をゲル化させる工程である。以下、原料について説明する。
(寒天)
寒天は、天草やオゴノリなどの紅藻類から熱水抽出され、ろ過精製しゲル化後脱水乾燥させた乾物である。この乾物状の寒天は、熱水に溶解しゾルとなり、冷えて構造転移してゲルとなるハイドロコロイドである。このゲルは、再加熱により溶解してゾルに戻る熱可逆性の性質を有する。寒天は、熱水溶解したゾルから冷却によりゲルとなりゼリー状食品として一般に使用されている一方で、寒天を様々な形状の乾物にして、溶解せずに水戻ししてサラダなどの具材として、湯戻ししてスープなどの具材として利用されている。
本発明に用いられる寒天としては、通常の寒天のほか、様々な寒天を用いることができるが、出来るだけゲル融点が高く、粘性のあるものがよく、強度の高いものが好ましい。1.5重量%におけるゲル融点は、85℃以上であることが好ましく、88℃以上であることがさらに好ましい。粘度は、7mPa・s以上であることが好ましく、20mPa・s以上であることがさらに好ましい。強度は、400g/cm以上であることが好ましく、700g/cm以上であることがさらに好ましい。熱可逆性を有する寒天は、アルギン酸又はその塩やグルコマンナンとの組み合わせにより、溶け出しを可及的に少なくすることができるが、このような寒天を選択することにより、長時間の炊飯における溶け出しをより少なくすることができる。
寒天は、単独で使用した場合、ポットの湯(80℃〜100℃)を短時間で戻す程度なら問題にならないが、米と同様の炊飯などのように長時間の加熱に用いる場合においては、溶け出し溶解してしまうという問題がある。寒天は、アルギン酸又はその塩やグルコマンナンと組み合わせることによって、はじめて炊飯の際の溶け出しを可及的に少なくすることができる。
(アルギン酸又はその塩)
アルギン酸は、褐藻などに含まれる多糖類で、β−D−マンヌロン酸とα−L−グルロン酸がブロック重合したポリマーである。アルギン酸又はその塩は、海藻抽出物を使用することが可能であり、例えばマクロシスティス、アスコフィリウム、ダービリア、レソニア、ラミナリアなどの褐藻類から抽出され、精製、乾燥、粉砕された乾物を用いることができる。
また、アルギン酸塩としては、アルギン酸中のカルボキシル基の水素が、ナトリウムやカリウム、マグネシウム、アンモニウムなどの各イオンと置換されて、水溶性のアルギン酸塩として製品化されたものを用いることができる。
アルギン酸又はその塩の重量平均分子量は、100,000〜800,000が好ましく、130,000〜800,000が更に好ましく、200,000〜600,000が特に好ましい。重量平均分子量がこのような範囲のものは、乾物からの復元性に優れている。また、アルギン酸又はその塩におけるグルロン酸(G)とマンヌロン酸(M)の比率M/Gは、0.5〜2.0が好ましく、0.7〜1.8がより好ましい。M/G比がこの範囲のものは、乾物からの復元性と食感に優れている。
(グルコマンナン)
グルコマンナンは、こんにゃく芋などに多く含まれる水溶性の中性多糖類で、D−グルコースとD−マンノースがほぼ2:3のモル比でβ−1,4結合した直鎖状の構造を有している。グルコマンナンとしては、こんにゃく芋から精製した精製グルコマンナンのほか、こんにゃく粉やこんにゃく精粉など精製しないグルコマンナンも使用することができる。
アルギン酸又はその塩と寒天の割合は、1:0.1〜10であることが好ましく、1:0.3〜1:5であることがさらに好ましい。寒天の割合がこの範囲より少ないと炊飯時において乾燥状態からの復元性が悪く、逆に寒天の割合がこの範囲より多いと米様食品からの寒天の溶け出しが多くなる。
アルギン酸又はその塩に対するに対するグルコマンナンの比率は、1:0.1〜1:10であることが好ましく、1:0.5〜1:7であることがさらに好ましい。グルコマンナンの割合がこの範囲より少ないと食感が悪く、逆にグルコマンナンの割合がこの範囲より多いと原料溶液の粘度が高くなりすぎて作業性が悪くなり、また食感も悪化しやすい。
寒天、アルギン酸又はその塩、グルコマンナンの混合物の使用濃度は、最終的に得られる米様食品の全体量に対して、0.5〜5.0重量%であることが好ましく、1.0〜2.5重量%であることがさらに好ましい。使用濃度が0.5重量%より低いと成形性が悪く、5.0重量%より高いと作業性が悪くなりやすい。
(他の成分)
本発明の米様食品には、物性を阻害しない範囲で必要に応じて多糖類、糖類、ミネラル類、色素、機能性成分、乳化剤など他の成分を添加することができる。これらの他の成分は、米様食品の原料に添加することができるほか、成形後など米様食品の製造工程のいずれかの段階で必要に応じて添加することもできる。多糖類としては、カラギナン、ファーセレラン、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガム、タマリンドガム、澱粉、化工デンプン、ペクチン、アラビアガム、プルラン、セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)、ジェランガム、脱アシルジェランガム、大豆多糖類、アラビアガムなどを挙げることができる。糖類としては、デキストリン、環状デキストリン、高度分岐環状デキストリン、オリゴ糖、2糖類、単糖類、還元糖など一般的な糖類を使用することができる。ミネラルとしては、成形時にアルギン酸塩と相互作用を起こさないように、成形後に含浸させる方法が好ましい。色素としては、一般的な色素を使用することができ、例えば合成色素、天然色素、顔料、不溶性カルシウムなどを用いることができる。機能性成分としては、酸化防止剤やビタミンなど一般に使用されているものでよい。乳化剤は、合成品、天然物どちらでもよい。
(原料のゾル化)
寒天と、アルギン酸又はその塩と、グルコマンナンとを含む原料は、水溶液に溶解してゾル化させる。原料をゾル化するためには、例えば粉末状の原料を水に分散させる方法や、原料を加熱しながら水に溶解させる方法を挙げることができる。前者の方法では、加熱を必要としないため、作業的には簡易であり好ましい。また、後者の方法における加熱温度は、例えば常圧の場合は70〜100℃の範囲内で、また高圧の場合は101℃〜121℃の範囲内で適宜設定することができ、好ましくは85〜100℃の範囲内である。
(アルギン酸又はその塩のゲル化)
続いて、上記のゾル化した溶液を、アルカリ性を示さない多価陽イオン溶液と接触させて、アルギン酸又はその塩をゲル化させる。ゲル化反応は、ゾル化後の溶液を多価陽イオン溶液(成形液)に滴下する方法などによって行うことができる。このような多価陽イオンとしては、一般に食品で使用される水溶性の多価陽イオンであれば特に限定されないが、例えばカルシウムイオン(Ca2+)などの二価陽イオンや、鉄イオン(Fe3+)、アルミニウムイオン(Al3+)などの三価陽イオンなどを挙げることができる。このうち特に、アルギン酸やその塩との架橋性が高いカルシウムイオン(Ca2+)が好ましい。このようなカルシウムイオンとしては、例えば塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムなどのカルシウム塩を挙げることができる。また、これらのカルシウム塩のうち2種類以上を混合して使用してもよい。
カルシウムの使用濃度は、カルシウム塩の種類にもよるが、例えば0.0045mol/L〜0.135mol/Lの範囲内が好ましい。カルシウムイオンの使用濃度が0.0045molより低いとゲル化物の成形性が悪くなりやすく、また0.135mol/Lより高いと米様食品を炊飯したときに硬くなりすぎるという問題がある。
(2)第2ゲル化工程
第2ゲル化工程は、第1ゲル化工程で得られたゲル化物とアルカリ性溶液を接触させてアルカリ処理を行い、グルコマンナンをゲル化させる工程である。第2ゲル化工程で使用するアルカリ性溶液は、食品の分野で一般的に使用されるアルカリ性溶液であればよく、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどの溶液を挙げることができる。このうち特に、通常のこんにゃくを作るときに使用される水酸化カルシウムが好ましい。水酸化カルシウムの水への溶解度(20℃)は、100mLに対して0.161g程度と低いため、使用濃度は0.03〜0.2重量%であることが好ましく、0.03〜0.15重量%であることがさらに好ましい。使用濃度が0.03重量%より低いとグルコマンナンの脱アセチル化が弱く、米様食品を炊飯したときの食感が悪いばかりかグルコマンナン等の溶け出しが多くなる。また、使用濃度が0.2重量%を上回ると得られる成形物が硬くなりすぎるという問題がある。
(2)’脱アルカリ処理工程
第2ゲル化工程の後、必要に応じて脱アルカリ処理工程を行うことができる。脱アルカリ処理工程は、第2ゲル化工程においてゲル化物に付着したアルカリを除去する工程である。本発明において脱アルカリ処理工程は、任意の工程である。脱アルカリ処理工程は、アルカリを含まない水や弱酸性の水などにアルカリ処理後のゲル化物を浸漬することで行うことができる。ゲル化物を浸漬する時間としては、1〜10分程度が好ましい。
(3)第3ゲル化工程
第3ゲル化工程は、原料を冷却して寒天をゲル化させる工程である。冷却温度は、寒天がゲル化する凝固点以下であれば特には限定されないが、例えば33℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、特に25℃以下であることが特に好ましい。第3ゲル化工程は、アルギン酸又はその塩のゲル化(第1ゲル化工程)と同時以降であれば、どの段階で行ってもよく、例えばグルコマンナンのゲル化(第2ゲル化工程)の前後であってもよい。なお、第1ゲル化工程と同時に第3ゲル化工程を行う場合、多価陽イオン溶液を予め冷却しておき、これにゾル化した原料の溶液を滴下することで、アルギン酸又はその塩のゲル化と寒天のゲル化を同時に行うことができる。
(4)脱水・乾燥工程
脱水・乾燥工程は、上記の第1ゲル化工程から第3ゲル化工程を経て得られたゲル化物の脱水及び乾燥の少なくとも一つを行なう工程である。脱水工程には、冷凍法により氷晶発達させ解凍して脱水する冷凍脱水法、ゲル化物に圧力を徐々に加えて脱水する加圧脱水法などがある。乾燥工程は、必要によりゲル化物を脱水し、乾燥することによって行うことができる。乾燥の方法としては、冷凍脱水法や加圧脱水法により脱水した後に乾燥する方法や、直接真空乾燥する方法、加熱乾燥する方法、フリーズドライによる方法などを挙げることができる。特に、冷凍と解凍を行うことでゲル化物を脱水して乾燥させる方法が好ましい。
脱水・乾燥工程により乾燥させた後の米様食品の水分含量は、80重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、15重量%以下であることが特に好ましい。水分含量が80重量%を超えると、ゲルマトリックス中の水分除去が不十分となり、米とともに炊飯したときに良好な食感が得られにくい。このように、第1〜第3ゲル化工程により生成したゲルを脱水または脱水・乾燥することにより、寒天、アルギン酸又はその塩、及びグルコマンナンより形成されるゲルマトリックス分子鎖同士の接点が多くなり、この結果、分子間の水素結合が強くなる。このため脱水・乾燥しないものに比べ炊飯時の溶け出しが少なく、また湯戻りしすぎず適度な戻り倍率となるため食感も良好になる。
(5)成形工程
成形工程は、ゲル化物を米状に成形する工程である。成形工程は、第1ゲル化工程と同時から乾燥工程後までのいずれかの段階で行うことができる。特に、第1ゲル化工程と同時に成形工程を行う場合は、ゾル化後の溶液を一定量ずつ多価陽イオン溶液と反応させることによってゲル化物を米状に成形することが好ましい。また、第1ゲル化工程の後から乾燥工程後までの間に成形工程を行う場合は、ゲル化物を米状に裁断することで米状に成形することができる。
上記の工程によって得られる米様食品が物性や食感において優れる理由は以下のようである。まず、第1ゲル化工程において、寒天とアルギン酸又はその塩、さらにグルコマンナンを含む溶液をカルシウム等の多価陽イオンと反応させることにより、まずアルギン酸ナトリウムがエッグボックスと呼ばれるダブルへリックスを形成し、ゲル化していない(ダブルへリックスを形成していない)グルコマンナン分子や寒天分子をアルギン酸ナトリウムゲルマトリックス中に固定する。続いて第2ゲル化工程において、水酸化カルシウムなどのアルカリ処理をすることによってグルコマンナンの脱アセチルが起こり、グルコマンナン分子がダブルへリックスを形成する。
さらに、第3ゲル化工程において、溶液が冷却されることによって寒天分子がダブルへリックスを形成しゲル化する。つまり、アルギン酸ナトリウムゲルマトリックス中にグルコマンナンゲルダブルへリックス、寒天ゲルダブルヘリックスが複雑に絡み合った構造を形成しているために、得られる米様食品は高い耐熱性や戻り倍率など良好な物性を有し、しかも弾力のある米様食感を得ることができると考えられる。この米様食品は、フリーズドライや真空乾燥、熱風乾燥、冷凍脱水後に熱風乾燥などにより乾物状態にした場合でも、炊飯時において湯に浸漬されると、吸水による寒天分子の復元力により分子を押し広げ、もとの米様食品に復元することができる。
これに対し、第1ゲル化工程において、成形液に多価陽イオン溶液がアルカリ性を示す場合、アルギン酸ナトリウムのダブルへリックス化とグルコマンナンのダブルへリックス化が同時に起きてしまう。その結果、互いのゲル化を阻害してマトリックスの形成が弱くなり、十分な食感が得られないばかりか、アルカリにより多価陽イオンが不溶性の塩となり沈殿し、アルギン酸ナトリウムとの反応が弱くなるため強度などの物性も悪くなる。
なお、上述したように、ゾル化工程において原料を加熱溶解してから続く第1ゲル化工程で成形することが好ましいが、加熱溶解せずに水に分散させた状態で成形することもできる。これは、アルギン酸ナトリウムとグルコマンナンが水溶性であることと、寒天分子も水を多量に吸水し膨潤するため分子間が広がって、その分子間にアルギン酸ナトリウムやグルコマンナンのダブルヘリックス形成分子が侵入できるためと推察される。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り重量基準である。
(1)成形液中のアルカリの有無による特性の違いの評価
(実施例1)
表1に示した配合の原料を用い、以下の製造工程を経て実施例の米様食品を得た。具体的には、水1000gに対して表1の組成の原料20gを分散し、90℃にて加熱溶解した。この溶液を70℃に冷却し、10℃に冷却した0.4重量%塩化カルシウム液からなる成形液(凝固液)1000mLに直径3mmのオリフィス(穴)から滴下して成形した。そのまま1時間放置後、成形物を取り出し、0.1重量%水酸化カルシウム液1000mLに入れて1時間放置した後、成形物を取り出した。取り出した成形物を水1000mLに2分間浸漬し、成形物に付着している水酸化カルシウムを除去した。この成形物を−20℃にて冷凍した後、室温で解凍し、加圧脱水したのち、90℃、1時間で熱風乾燥して実施例1の米様食品を得た。水分値10重量%に調整した実施例1の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
Figure 0005953489
(比較例1)
成形液として0.4重量%塩化カルシウム、0.1重量%水酸化カルシウムの2成分の溶解液を使用した以外は、実施例1と同様に米様食品を作製した。実施例1と同様に、水分値10重量%に調整した米様食品5gと米80gを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
次に、得られた実施例1、比較例1の米様食品と米様食品入り米飯について、物性や食感などの特性を評価した。特性の評価は、以下に記載する方法で行った。
(強度)
強度は、テクスチャーアナライザー(TAXT−Plus:英弘精機社製、プランジャー(1cm円柱状、進入速度30mm/分、測定温度60℃):英弘精機社製)を使用し、粒状物3個をプランジャー測定範囲内に置いて圧縮率90%までにおける最高強度の測定を行った。この測定を3回行い、平均値を強度の値として採用した。
(付着性)
付着性は、テクスチャーアナライザー(TAXT−Plus:英弘精機社製、プランジャー(1cm円柱状、進入速度30mm/分、測定温度60℃):英弘精機社製)を使用し、粒状物3個をプランジャー測定範囲内に置いて圧縮率90%までにおける最大強度を測定後、プランジャーを引き上げ、米様食品がプランジャーから離れるまでの負の最高強度(g)とした。この測定を3回行い、平均値を付着性の値として採用した。
(粘り)
粘りは、テクスチャーアナライザー(TAXT−Plus:英弘精機社製、プランジャー(1cm円柱状、進入速度30mm/分、測定温度60℃):英弘精機社製)を使用し、粒状物3個をプランジャー測定範囲内に置いて圧縮率90%までにおける最大強度を測定後、プランジャーを引き上げ、米様食品がプランジャーから離れてから強度が0に戻るまでの負の部分の面積値(g・mm)とした。この測定を3回行い、平均値を付着性の値として採用した。
(つや、形状)
つや及び形状は、目視にて観察した。
(溶け出し率)
溶け出し率は、以下の方法で測定した。まず、乾燥状態の米様食品5gを水500gに入れ、加熱して沸騰状態で20分間放置した。その後、メッシュを使用して固形分を分離し、90℃で乾燥して水分値を始めの乾燥状態と同様にして重量を測定した。得られた重量をもとに、下記の式1により溶け出し率を計算した。
溶け出し率(%)=(A−B)÷A×100 ・・・式(1)
A:乾燥状態の米様食品重量5g
B:沸騰処理後の乾燥状態の米様食品重量(g)
(戻り倍率)
戻り倍率は、米様食品5gを95℃の湯に10分間浸漬後、メッシュを使用して固形分を分離し、固形分の重量を測定し、下記の式(2)により計算した。
戻り倍率(倍)=B÷A ・・・式(2)
A:乾燥状態の米様食品重量5g
B:湯に浸漬後の米様食品重量(g)
(食感)
実施例1、比較例1の米様食品入り米飯について、パネラー10名により食感評価を行った。評価方法は、以下の基準で評価した。
5点:通常の米飯同様である
3点:通常の米飯に比べ若干違和感があるが問題なく食することができる
1点:通常の米飯に比べ違和感があり食感も劣る
上記の物性の評価方法によって、得られた実施例1、比較例1に係る米様食品入り米飯の物性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0005953489
実施例1の結果から、成形液にアルカリを含まない方法で製造した米様食品は、強度、付着性、粘りなど、いずれの物性も良好であり、この米様食品を使用した米飯は食感も良好であった。一方、比較例1では、カルシウムとアルカリを同一に溶解した成形液を使用して米様食品を作製したため、溶け出しが多く、強度や付着性など物性も実施例1から劣る結果となり、この米様食品を使用した米飯は食感も悪かった。このことから、成形液にアルカリを含まないことが、良好な物性や食感を得るために必要であることがわかった。
(2)配合割合による特性評価
(実施例2〜7、実施例2´〜7´)
表3の配合で実施例2〜7の米様食品を作製した。具体的には、表3の組成の原料20gを水1000gに分散し、90℃にて加熱溶解した。次に、この溶液を、0.4重量%塩化カルシウム液1000mLの成形液に直径5mmのオリフィス(穴)から滴下して成形した。そのまま1時間放置後、成形物を取り出し、0.1重量%水酸化カルシウム液1000mLに入れて1時間放置した後、成形物を取り出した。取り出した成形物を水1000mLに2分間浸漬し、成形物に付着している水酸化カルシウムを除去した。この成形物を−20℃にて冷凍後、解凍、加圧脱水し、90℃、1時間で熱風乾燥して実施例2〜7の米様食品を得た。水分値10重量%に調整した実施例の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
また、加圧脱水後に熱風乾燥を行わなかったもの(水分値78%)については実施例の米用食品40gと米80gとを水で洗浄後、水260gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した(実施例2´〜7´)。
Figure 0005953489
上記の実施例2〜7および2´〜7´の米様食品と米様食品入り米飯について、実施例1と同様に特性を評価した。その結果を表4、表5に示す。
Figure 0005953489
Figure 0005953489
(3)グルコマンナンの有無による特性評価
(実施例8)
以下の手順で実施例8の米様食品を作製した。具体的には、まず寒天(伊那寒天カリコリカン、伊那食品工業社製)25g、グルコマンナン(イナゲルマンナン100、伊那食品工業社製)40g、アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−70)35gを混合した。このうち15gを水1000gに分散させた後、95℃にて加熱溶解した。この溶液を70℃に冷却した後、10℃に冷却した0.4重量%塩化カルシウム液からなる成形液1000mLに直径3mmのオリフィス(穴)から滴下して成形した。そのまま1時間放置後、成形物を取り出し、0.1重量%水酸化カルシウム液1000mLに入れ1時間放置した後、成形物を取り出した。取り出した成形物を水1000mLに2分間浸漬し、成形物に付着している水酸化カルシウムを除去した。この成形物を−20℃にて冷凍した後、室温で解凍し、加圧脱水したのち、90℃、1時間熱風乾燥して実施例8の米様食品を得た。水分値10重量%に調整した実施例8の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し、米様食品入りの米飯を作製した。
(比較例2:特願2010−228375号との比較)
アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−70、伊那食品工業社製)13.5g、寒天(伊那寒天カリコリカン、伊那食品工業社製)1.5gを混合し、水1000mLに分散させた後、95℃にて加熱溶解した。これを70℃に冷却した後、10℃に調整した0.5重量%乳酸カルシウム液2000mLからなる成形液に直径3mmのオリフィス(穴)から滴下して成形した。滴下後30分間放置した後、成形物をメッシュにとりカルシウム溶液を分離して回収した。この成形物を−10℃で24時間冷凍した後、室温で解凍し、加圧脱水したのち、90℃にて送風乾燥して比較例2の米様食品を得た。水分値10%に調整した比較例2の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し、米様食品入りの米飯を作製した。
得られた実施例8と比較例2の米様食品と米様食品入り米飯について、物性や食感などの特性を評価した。評価方法は上述した実施例1と同様の方法で行った。ただし食感については、点数化が難しかったため、10名のパネラーがよりおいしいと感じるほうに1点をあたえ、もう一方を0点とした。その結果を表6に示した。
Figure 0005953489
実施例8の結果から、寒天、アルギン酸又はその塩、グルコマンナンを含む米様食品は、グルコマンナンを含まない比較例2の米様食品と比べて、強度、粘り、戻り倍率が良好であった。また、実施例8の米様食品を使用した米飯は、比較例2の米飯と比べて食感も良好であり、上質な米に匹敵するものであった。このことから、米様食品にグルコマンナンを含むことが、良好な物性や食感を得るために必要であることがわかった。
(4)寒天、グルコマンナンの有無による特性評価
(比較例3:特願2010−293823との比較)
アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−70、伊那食品工業社製)20g、もちこめ澱粉(上越スターチ社製)30gを混合し、水1000mLに分散させた。これを20℃に調整後、20℃に調整した0.5重量%乳酸カルシウム液2000mLからなる成形液に直径3mmのオリフィス(穴)から滴下した。滴下後30分間放置した後、成形物をメッシュにとりカルシウム溶液を分離して回収した。この成形物を−10℃で24時間冷凍した後、室温で解凍し、加圧脱水したのち、90℃にて送風乾燥して比較例3の米様食品を得た。水分値10%に調整した比較例3の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gと共に炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
実施例8と比較例3の米様食品と米様食品入り米飯について、物性や食感などの特性を評価した。評価方法は上述した実施例1と同様の方法で行った。ただし食感については、点数化が難しかったため、10名のパネラーがよりおいしいと感じるほうに1点をあたえ、もう一方を0点とした。その結果を表7に示した。
Figure 0005953489
実施例8の結果から、寒天、アルギン酸又はその塩、グルコマンナンを含む米様食品は、寒天とグルコマンナンを含まない比較例3の米様食品と比べて、強度、付着性、粘り、戻り倍率が良好であった。また、実施例8の米様食品を使用した米飯は、比較例3の米飯と比べて食感も良好であり、上質な米に匹敵するものであった。このことから、米様食品に寒天とグルコマンナンを含むことが、良好な物性や食感を得るために必要であることがわかった。
(5)市販の米様食品との比較
(比較例4)
比較例4として、市販の米様食品であるマンナンヒカリ(大塚食品社製)を用意し、実施例8の米様食品と物性を比較した。マンナンヒカリは、こんにゃく精粉を使用した米様食品である。炊飯方法は、米75gを水で洗浄後、実施例8の米様食品又はマンナンヒカリ6gを混ぜて水300gとともに炊飯を行った。その結果を表8に示す。
Figure 0005953489
実施例8の結果から、寒天、アルギン酸又はその塩、グルコマンナンを含む米様食品は、市販の米様食品である比較例4と比べて、強度、付着性、粘り、溶け出し率、戻り倍率が良好であった。また、実施例8の米様食品を使用した米飯は、比較例4の米飯と比べて食感も良好であり、上質な米に匹敵するものであった。
(6)原料の溶解方法の違いによる影響
(実施例9)
本発明に係る米様食品を作製した。具体的には、寒天(伊那寒天UP−37、伊那食品工業社製)25g、グルコマンナン(イナゲルマンナン100、伊那食品工業社製)35g、アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−70)40gを混合した。このうち25gを水1000gに分散させた後、95℃にて加熱溶解した。この溶液を70℃に冷却した後、10℃に冷却した0.4重量%塩化カルシウム液1000mLからなる成形液に直径3mmのオリフィス(穴)から滴下して成形した。そのまま1時間放置後、成形物を取り出し、0.1%水酸化カルシウム液1000mLに入れて1時間放置した後、成形物を取り出した。取り出した成形物を水1000mLに2分間浸漬し、成形物に付着している水酸化カルシウムを除去した。この成形物を−20℃にて冷凍した後、室温で解凍し、加圧脱水したのち、90℃、1時間熱風乾燥して実施例9の米様食品を得た。水分値10%に調整した実施例9の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
(実施例10)
これとは別に、寒天(伊那寒天UP−37、伊那食品工業社製)25g、グルコマンナン(イナゲルマンナン100、伊那食品工業社製)35g、アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−70)40gを混合した。このうち25gを水1000gに分散させたものを加熱溶解せずに室温の0.4重量%塩化カルシウム液1000mLに直径3mmの穴から滴下して成形し、以後は実施例9と同様に作製した米様食品を実施例10とした。水分値10%に調整した実施例10の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
次に、得られた実施例9,10の米様食品と米様食品入り米飯について、物性や食感などの特性を評価した。特性の評価は、実施例1に記載した方法で行った。その結果を表9に示す。
Figure 0005953489
実施例9と10の結果から、両者とも付着性などの物性や食感にそれほど違いはなく、良好であった。このことから、原料を加熱溶解した実施例9も、水に分散した実施例10の、いずれの製造方法でも良好な特性の米様食品を得ることができることがわかった。
(7)成形液のカルシウム濃度の影響
(実施例11〜13)
以下の手順で実施例11〜13の米様食品を作製した。具体的には、寒天(伊那寒天カリコリカン、伊那食品工業社製)25g、グルコマンナン(イナゲルマンナン100、伊那食品工業社製)40g、アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−70)35gを混合した。このうち15gを水1000gに分散させた後、95℃にて加熱溶解した。この溶液を70℃に冷却した後、10℃に冷却した指定濃度(表10)の塩化カルシウム液1000mLからなる成形液に直径3mmのオリフィス(穴)から滴下して成形した。そのまま1時間放置後、成形物を取り出し、0.1%水酸化カルシウム液1000mLに入れ1時間放置した後、成形物を取り出した。取り出した成形物を水1000mLに2分間浸漬し、成形物に付着している水酸化カルシウムを除去した。この成形物を−20℃にて冷凍した後、室温で解凍し、加圧脱水したのち、90℃、1時間熱風乾燥して実施例11〜13の米様食品を得た。水分値10%に調整した実施例11〜13の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
次に、得られた実施例11〜13の米様食品と米様食品入り米飯について、物性や食感などの特性を評価した。特性の評価は、実施例1に記載した方法で行った。その結果を表10に示す。
Figure 0005953489
実施例11〜13の結果から、製造方法の違いにより、強度や付着性などの物性に若干差は生じたが、米飯にしたときの食感にそれほど大きな違いはなく、いずれも良好であった。このことから、成形液のカルシウム濃度を0.05〜1.5重量%の範囲内で変更しても、食感の良好な米様食品を得ることができることがわかった。
(8)アルカリ処理液中の水酸化カルシウム濃度の影響
(実施例14〜16)
以下の手順で実施例14〜16の米様食品を作製した。具体的には寒天(伊那寒天カリコリカン、伊那食品工業社製)25g、グルコマンナン(イナゲルマンナン100、伊那食品工業社製)40g、アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−70)35gを混合した。このうち15gを水1000gに分散させた後、95℃にて加熱溶解した。この溶液を70℃に冷却した後、10℃に冷却した0.4重量%の塩化カルシウム液1000mLからなる成形液に直径3mmの穴から滴下して成形した。そのまま1時間放置後、成形物を取り出し、指定濃度(表11)の水酸化カルシウム液1000mLに入れ1時間放置した後、成形物を取り出した。取り出した成形物を水1000mLに2分間浸漬し、成形物に付着している水酸化カルシウムを除去した。この成形物を−20℃にて冷凍した後、室温で解凍し、加圧脱水したのち、90℃、1時間熱風乾燥して実施例14〜16の米様食品を得た。水分値10%に調整した実施例14〜16の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
次に、得られた実施例14〜16の米様食品と米様食品入り米飯について、物性や食感などの特性を評価した。特性の評価は、実施例1に記載した方法で行った。その結果を表11に示す。
Figure 0005953489
実施例14〜16の結果から、製造方法の違いにより、強度や付着性などの物性に若干差は生じたが、米飯にしたときの食感にそれほど大きな違いはなく、いずれも良好であった。このことから、アルカリ処理液中の水酸化カルシウム(アルカリ)濃度を0.03〜0.15重量%の範囲内で変更しても、食感の良好な米様食品を得ることができることがわかった。
(9)多糖類添加による影響
(実施例17〜19)
実施例8の配合に表12の多糖類を5g添加して混合したものを原料とした。この粉末15gを水1000mLに分散させ、以後は実施例8と同様の方法にて、実施例17〜19の米様食品を作製した。水分値10%に調整した実施例17〜19の米様食品5gと米80gとを水で洗浄後、水300gとともに炊飯器にて炊飯し米様食品入りの米飯を作製した。
Figure 0005953489
次に、得られた実施例17〜19の米様食品と米様食品入り米飯について、物性や食感などの特性を評価した。特性の評価は、実施例1に記載した方法で行った。その結果を表13に示す。
Figure 0005953489
先述した実施例8と実施例17〜19の結果から、多糖類の種類が異なることから強度や付着性などの物性に若干差は生じたが、米飯にしたときの食感にそれほど大きな違いはなく、いずれも良好であった。このことから、原料を多糖類に添加しても、食感の良好な米様食品を得ることができることがわかった。

Claims (3)

  1. 寒天、アルギン酸又はその塩、及びグルコマンナンを含む溶液と、アルカリ性を示さない多価陽イオン溶液を接触させて、前記アルギン酸又はその塩をゲル化させる第1ゲル化工程と、
    該第1ゲル化工程によって得られたゲル化物と、アルカリ性溶液を接触させて、前記グルコマンナンをゲル化させる第2ゲル化工程と、
    冷却して前記寒天をゲル化させる第3ゲル化工程と、を行うことにより、アルギン酸ゲルマトリックス中にグルコマンナンゲルダブルへリックス及び寒天ゲルダブルへリックスが絡み合った構造を形成させる工程と、
    前記第1ゲル化工程乃至第3ゲル化工程後に、ゲル化物を脱水させる脱水工程及び乾燥させる乾燥工程の少なくとも一つと、
    ゲル化物を米状に成形する成形工程と、を備えたことを特徴とする米様食品の製造方法。
  2. 前記第2ゲル化工程における前記アルカリ性溶液の使用濃度が0.03〜0.2重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の米様食品の製造方法。
  3. アルギン酸ゲルマトリックス中にグルコマンナンゲルダブルへリックス及び寒天ゲルダブルへリックスが絡み合った構造を有することを特徴とする米様食品。
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