JP6967267B2 - 穀粉加工食品及びその製造方法 - Google Patents

穀粉加工食品及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6967267B2
JP6967267B2 JP2017140372A JP2017140372A JP6967267B2 JP 6967267 B2 JP6967267 B2 JP 6967267B2 JP 2017140372 A JP2017140372 A JP 2017140372A JP 2017140372 A JP2017140372 A JP 2017140372A JP 6967267 B2 JP6967267 B2 JP 6967267B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alginate
agar
gel
water
dry composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017140372A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019017329A (ja
Inventor
昌敬 中村
宏幸 荻原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
INA Food Industry Co Ltd
Original Assignee
INA Food Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by INA Food Industry Co Ltd filed Critical INA Food Industry Co Ltd
Priority to JP2017140372A priority Critical patent/JP6967267B2/ja
Publication of JP2019017329A publication Critical patent/JP2019017329A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6967267B2 publication Critical patent/JP6967267B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cereal-Derived Products (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Noodles (AREA)

Description

本発明は、穀粉加工食品及びその製造方法に関し、より詳細には、茹で処理や蒸し処理、湯戻しなどの加水調理がなされる穀粉加工食品及びその製造方法に関する。
近年、うどんやそば、中華麺、米粉麺などの麺類、ギョーザの皮や春巻きの皮、パスタ、タピオカ、団子等の穀粉加工食品が数多く市販されている。このような穀粉加工食品は、穀粉を主原料とする生地を適宜成形し、必要に応じて乾燥したものを、茹で処理や蒸し処理を行うことによって喫食されている。また、インスタントラーメンといった即席食品のように、湯戻しすることで喫食する形態も知られている。
このような穀粉加工食品において、茹で処理や蒸し処理時の延びが少なく食感に腰があり、即席食品とした際の湯戻し時間を短縮することが望まれている。
穀粉加工食品の食感を改良するために、種々の検討がなされている。例えば特許文献1には、麺に多糖類を添加して食感を改良する方法が開示されており、特許文献2には麺にフノリ乾燥物を添加する方法、特許文献3には、即席麺にワキシーコーンスターチおよび/またはタピオカ澱粉を架橋処理した加工澱粉を使用する方法が開示されている。
また、穀粉加工食品の湯戻り時間を短縮する技術についても多数検討がなされている。例えば特許文献4には、米麺の製造において、米粉に糖類や多糖類を加える方法が開示されており、特許文献5には麺類に化工デンプンを使用する方法、特許文献6には麺の空隙を調整することにより食感と湯戻りが改良されたカップ麺用の乾麺が開示されている。
特開2003−144071号公報 特開2009−225665号公報 特開2006−325432号公報 特開2008−22790号公報 特開2011−254805号公報 特開2016−127856号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2、特許文献4に記載の方法においては、多糖類の粘性が食感に出てしまったり、生地に粘性が出て作業が困難になったりしてしまうという問題がある。また、特許文献3や特許文献5に記載の方法においては、デンプンの老化により物性が劣化してしまうという問題がある。さらに、特許文献6に記載の乾麺は、デンプンのブレークダウンにより食感が損なわれてしまうという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、茹で処理や蒸し処理時の延びが少なく、乾燥させた際の湯戻り時間が短く、且つ食感につるみと腰がある穀粉加工食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、穀粉加工食品に、寒天及びアルギン酸塩を特定の割合で含有し、アルギン酸塩に含まれる2価カチオン及び1価カチオンが特定の条件を満たす乾燥組成物を添加することにより、茹で処理や蒸し処理を行う際に当該乾燥組成物が吸水膨潤することで、余分な水分を吸収して延びを防止し、食感に腰やつるみを与えることができ、さらに、乾燥させた穀粉加工食品の湯戻し時間を短縮できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る穀粉加工食品は、平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物を原料として含有する穀粉加工食品であって、前記乾燥組成物は、寒天及びアルギン酸塩を重量比率1:1〜1:20で含有し、前記アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、前記アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、前記2価カチオンと前記1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であって、20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水に吸水膨潤し、平均粒子径が300μmの場合において、前記20℃の蒸留水及び前記90℃の蒸留水にも前記乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになることを特徴とする。
また、本発明に係る穀粉加工食品の製造方法は、平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物を添加する工程を備える穀粉加工食品の製造方法であって、前記乾燥組成物は、寒天及びアルギン酸塩を重量比率1:1〜1:20で含有し、前記アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、前記アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、前記2価カチオンと前記1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であって、20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水に吸水膨潤し、平均粒子径が300μmの場合において、前記20℃の蒸留水及び前記90℃の蒸留水にも前記乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになり、前記寒天及び前記アルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程と、前記混合溶液を冷却して寒天ゲルを得る工程と、前記アルギン酸塩に2価カチオンを反応させてアルギン酸塩ゲルを得る工程と、前記寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルを脱水乾燥する工程と、前記各工程中、前記各工程間又は前記脱水乾燥する工程後に、1価カチオンを添加する工程と、を備えた製造方法により得られることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、茹で処理や蒸し処理時の延びが少なく、乾燥後の湯戻り時間を短縮することができ、食感に腰とつるみがある穀粉加工食品及びその製造方法を提供することができる。
本発明の穀粉加工食品とは、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、コーンスターチなどの穀粉を原材料とする食品であり、例えばうどん、そば、米粉麺、スパゲティー、マカロニ、中華麺、そうめん、ひやむぎ、インスタントラーメンなどの麺類や、シューマイの皮、ワンタンの皮、春巻きの皮、ギョーザの皮などの麺皮食品、タピオカパール、団子などが挙げられる。このように、本発明の穀粉加工食品は、穀粉を主とする原材料に水を加えて混練したものを生地とする食品である。
穀粉加工食品の形態として特に限定はなく、例えば麺類の場合、生地を麺線に成形した状態(生麺)、それを乾燥させた状態(乾麺)、蒸煮後乾燥又は油調して即席食品とした状態(即席麺)などが挙げられ、茹で処理や蒸し処理、湯戻しなどの加水調理がなされることで喫食される。また、穀粉加工食品は、保存性を高めるために酸処理されていてもよい。
本発明の穀粉加工食品は、原料として、穀粉及び乾燥組成物を含有する。穀粉としては、上記の小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、コーンスターチなど、公知のものを使用することができる。これらの穀粉のうち、1種を単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の乾燥組成物は、その形状は特に限定されないが、好ましくは粉末状、粒子状又は繊維状である。乾燥組成物の平均粒子径は5μm〜2mmであり、50μm〜1.5mmであることがさらに好ましい。5μmより小さいものは凝集が激しく作製が困難であり、2mmより大きくなると穀粉加工食品の穀粉との分離や吸水効果が少なくなり、食感が悪化してしまうため好ましくない。
本発明の穀粉加工食品において、乾燥組成物の含有量は、穀粉100重量%に対して0.05重量%〜5.0重量%であることが好ましく、0.1重量%〜3.0重量%であることがより好ましく、0.1重量%〜2.0重量%であることが特に好ましい。乾燥組成物の含有量が0.05重量%未満となると、延びの防止効果や食感の腰やつるみの付与が不十分となり、また、湯戻り時間の短縮効果が得られないため好ましくない。また、5.0重量%より多くなると、膨潤物の割合が多くなりすぎて食感が悪化してしまうため好ましくない。
本発明に係る乾燥組成物は、乾物として、微生物増殖や環境による物性変化が起こりにくい一般食材としての範疇に入る状態をいい、例えば水分含量では0.1〜20%、好ましくは2〜10%の乾燥状態をいう。本発明に係る乾燥組成物は、寒天とアルギン酸1価カチオンの塩とアルギン酸2価カチオンの塩との3成分のゲルマトリックスが絡み合い、均一な状態で存在していることが好ましい。
本発明に係る乾燥組成物は、寒天及びアルギン酸塩をゲル化成分として含有する。寒天とアルギン酸塩の重量比率は、1:1〜1:20の範囲であるが、1:1〜1:10の範囲であることがより好ましい。寒天とアルギン酸塩の重量比率は、乾燥組成物の重量比率であるが、製造の際に仕込む原料の乾燥物で換算した重量比率と同等であるため、原料の乾燥重量比率で算出することもできる。寒天とアルギン酸塩の重量比率で寒天が1:1より大きいと、アルギン酸塩と2価カチオンとの反応を行っても耐熱性が上がらず、茹で処理や湯戻し調理をしたときに溶け出してしまうため好ましくない。また、寒天が1:20より小さいと寒天のゲル構造を留めることができず、アルギン酸塩と2価カチオンとの反応で組織が壊れてしまうことになるため好ましくない。なお、本発明において、耐熱性を有するとは、例えば茹でたり、蒸したり、乾燥後に湯戻ししたり、焼いたり、又は100℃以上のレトルト殺菌において形状を保持可能な状態にあることをいう。
また、本発明において、アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれる。1価カチオンの塩としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムなどが挙げられる。1価カチオンの塩は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。また、2価カチオンの塩としては、例えば、アルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸亜鉛、アルギン酸銅などが挙げられる。2価カチオンの塩は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。2価カチオンの塩は、反応性が良く、摂取量が多くても安全性が高い点から、特にカルシウム塩が好ましい。以下、本明細書においては、2価カチオンとしてカルシウムイオン、2価カチオンの塩としてアルギン酸カルシウムを用いた例で説明する場合もある。
本発明に係る乾燥組成物において、2価カチオンは、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、0.04〜0.30倍モル含まれる。アルギン酸塩のモノマー単位とは、アルギン酸を構成するβ−D−マンヌロン酸又はα−L−グルロン酸(すなわち、Cで表すことができる単糖)1モルのことであり、例えば2価カチオンがカルシウムイオンである場合、乾燥組成物中のCaがC1モルに対して0.04〜0.30倍モル含まれていることを意味する。2価カチオンが0.04倍モルより少ないとゲルが弱く耐熱性がなく煮熟により溶け出してしまい、0.30倍モルより多いとゲルの吸水膨潤性が得られないため好ましくない。2価カチオンは、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、0.10〜0.26倍モルがより好ましい。
また、本発明に係る乾燥組成物において、1価カチオンは、上記と同様に、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、0.10〜0.70倍モル含まれる。1価カチオンが0.10倍モルより少ないと、吸水が少なくゲルの吸水膨潤性が得られにくいため好ましくない。0.70倍モルより多いとゲルが弱く耐熱性がなく煮熟により溶け出しやすくなるため好ましくない。
また、2価カチオンと1価カチオンとのモル比は1.0:0.35〜1.0:8.70であり、1.0:0.4〜1.0:4.0がより好ましい。2価カチオンと1価カチオンのモル比において1.0:0.35より1価カチオンが少なくなると吸水膨潤性が悪くなるため好ましくない。また、2価カチオンと1価カチオンのモル比において1.0:8.70より1価カチオンが多くなると吸水膨潤性はよいがゲルの耐熱性と硬さの乏しいゲルとなり好ましくない。本発明の乾燥組成物は、乾燥組成物中の2価カチオンと1価カチオンのモル比を上記範囲に固定することによって、はじめて吸水して際立って吸水膨潤性がよく耐熱性のあるゲルとなり、耐熱性と吸水膨潤性を併せ持つ優れた性質を有する。
本発明におけるアルギン酸塩中の1価カチオン及び2価カチオンのモル数は、ICP(誘電結合プラズマ)発光分析装置を使用して測定することができ、その具体的な測定方法は後述する実施例に記載の方法を採用することができる。
なお、本発明におけるアルギン酸塩中の1価カチオン及び2価カチオンのモル数は、乾燥組成物中のモル数であって、製造工程中に添加する1価カチオン及び2価カチオンのモル数や、製造工程中に作製されるゲル中の1価カチオン及び2価カチオンのモル数とは異なる。製造工程中に未反応であった1価カチオン及び2価カチオンは、ゲルを乾燥させる工程でゲルの離水による流出、乾燥中の析出による分離、冷凍変性による離水による流出等により変化してしまうためである。
上記のように、寒天とアルギン酸塩を組み合わせることにより、乾燥組成物を含水させたときに、吸水膨潤性を保持し、加熱により溶け出さない耐熱性を付与する。従って、本発明の乾燥組成物を含有する穀粉加工食品は、茹で処理などの加水調理時に乾燥組成物が余分な水分を吸収するため、延びを防止することができ、吸水膨潤してゲル化することにより、食感に腰を与えることができる。また、ゲル化後、乾燥させると、当該ゲル部分に空隙が形成される。これにより、湯戻し時に当該空隙に湯が入り込むため、湯戻し時間が短縮される。湯戻しによって乾燥組成物が再度ゲル化するため、食感に腰を与えることができる。
本発明の乾燥組成物は、寒天及びアルギン酸塩を含む混合溶液(ゾル)をゲル化させ、その後乾燥工程を経て得られることが好ましい。すなわち、具体的には、寒天及びアルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程と、前記混合溶液を冷却して寒天ゲルを得る工程と、前記アルギン酸塩に2価カチオンを反応させてアルギン酸塩ゲルを得る工程と、前記寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルを乾燥する工程と、前記各工程中、前記各工程間又は前記脱水乾燥する工程後に、1価カチオンを添加する工程とを備えた製造方法を経て得られることが好ましい。
従来、アルギン酸塩の不溶性ゲルを作ってから水分を除くと、乾燥物が、吸水性、保水性がない疎水化した繊維状態になってしまうが、本発明では、寒天とアルギン酸塩(1価カチオンを含む)を混合し加熱して水溶液とし、さらに冷却により寒天ゲルを形成させること、及びアルギン酸塩(1価カチオンを含む)と2価カチオン(カルシウム等)とを反応させてアルギン酸塩の不溶性ゲルを形成させることで、寒天ゲルがアルギン酸塩の2価カチオンとのゲル反応を構造上制御することになる。
寒天及びアルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程において、使用される寒天は、テングサ科(Gelideaceae)やオゴノリ科(Gracilariaceae)、オキツノリ科(Phyllophoraceae)などの紅藻類を熱水抽出した、若しくは熱水抽出して乾燥させた多糖類である。寒天の種類は特に限定されないが、出来るだけゲル融点が高く、粘性のあるものが好ましく、強度の高いものがより好ましい。ゲル融点は、90℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがさらに好ましい。ゲル強度は、400g/cm以上であることが好ましく、700g/cm以上であることがより好ましく、1000g/cm以上であることがさらに好ましい。このような寒天を選択することにより、熱水中での溶け出しを可及的に少なくすることができる。このような寒天は、「高融点寒天」として、例えば、特開昭63−267245号公報などによって得ることができ、上市されているものとして具体的には、伊那寒天(登録商標)カリコリカン(登録商標)、伊那寒天M−13、伊那寒天EM−15などが挙げられる。
また、寒天及びアルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程において、使用されるアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウムなどのアルギン酸塩、並びにアルギン酸プロピレングリコールなどのアルギン酸エステルは、LessoniaやAscophyllum、Laminaria、Macrocystisなど褐藻類に含まれる多糖類を抽出し、必要により加工することにより製造されたものである。アルギン酸自体は水不溶性の成分であるが、構成糖中のカルボキシル基がイオン化してナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの1価金属塩と結合したアルギン酸塩は、溶解度が増し、冷水可溶性に変化する。
従って、上記工程において、アルギン酸塩が溶解した溶液は、アルギン酸塩、例えばアルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩を水に溶解させることにより、好ましく得ることができる。また、アルギン酸塩が溶解した溶液は、アルギン酸を苛性ソーダ等のアルカリ水溶液で可溶化して製造することもできる。一般的には、より多く生産されているアルギン酸ナトリウムを使うことが特に好ましい。アルギン酸塩は、マンニュロン酸(M)とグルクロン酸(G)の比率であるM/G比が0.5〜2.0の範囲であることが好ましいが、M/G比の高いアルギン酸塩を用いるとゲルが柔らかく、M/G比の低いアルギン酸塩を用いるとより剛直なゲルとなるため、目的に応じて最適な範囲のM/G比を選択することができる。
上記寒天やアルギン酸塩は、海藻から抽出された溶液を用いてもよく、あるいは抽出液から脱水された乾燥物としての寒天やアルギン酸塩を用いて熱水で溶解した溶液を用いてもよく、乾燥物としての寒天やアルギン酸塩を水に分散させ、温度を上げることにより溶解させた溶液を用いてもよい。
寒天は、通常、熱水に溶解し冷却により均一にゲル化するが、熱可逆性の性質を有し、ゲルを90〜100℃に加熱するとゾルに戻って溶液となる。また、耐熱性の寒天(特開昭63−267245号公報など)もあるが、溶け出しがないという訳ではなく、また冷水や温水での吸水膨潤性が十分でなく、穀粉加工食品の茹で処理時や湯戻し時の延びを抑制することが困難である。
一方、アルギン酸塩溶液は、カルシウムイオンなどの2価カチオンと反応してゲル化を生じる特性があり、axial−axialに結合したGブロックが構造的に2価カチオンを取り込んでゲル化を生じさせる(Egg Box Junction)。2価カチオンがカルシウムイオンの場合で説明すると、アルギン酸カルシウムゲルは、熱不可逆性で耐熱性の性質を有しているが、アルギン酸塩溶液にカルシウムイオンを均等に反応させて均一なゲルを作ることは難しい。そこで、通常は、アルギン酸塩溶液に難溶性カルシウム塩と溶解促進剤を組み合わせることや、水溶性カルシウムに反応遅延剤を加えることにより、ゲル化反応をコントロールしてアルギン酸カルシウムゲルが作製されている。しかし、難溶性カルシウム塩と溶解促進剤の組み合わせでは、やはり不均一の反応でゲルになり、水溶性カルシウムと反応遅延剤の組み合わせでは、ゲル形成が十分でなく糊状感が強い柔らかいゲルとなり好ましくない。また、この方法では、水以外の他の水溶液(例えばコーヒーや果汁など)への溶解では天然物特有の含有イオンのバラツキによりさらに目的とするゲルが得られなくなるため好ましくない。
また、アルギン酸カルシウムゲルを乾燥させた乾燥物、例えばアルギン酸カルシウムゲルを冷凍変性させ脱水乾燥させたものは、アルギン酸カルシウムの分子鎖の網目構造の中に自由水として保持していた水を分離させてしまうので、不溶性繊維がより疎水化してしまいほとんど復元しない乾燥物になってしまう。
以上のように、寒天のみ、又はアルギン酸塩のみでは、耐熱性と吸水膨潤性を両立したゲルの乾燥組成物を製造することは困難である。しかし、本発明のように寒天とアルギン酸塩の重量比率を1:1〜1:20とし、アルギン酸塩に1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とを含ませ、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、2価カチオンと1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70とすることで、耐熱性と吸水膨潤性と両立することが可能となる。
アルギン酸塩に2価カチオンを反応させてアルギン酸塩ゲルを得る工程において、使用される2価カチオンとしては、カルシウムイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンなどが挙げられる。カルシウムイオンとしては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウムなどを用いることが好ましい。
寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルを乾燥する工程において、乾燥方法については特に限定はなく、熱風乾燥、冷凍脱水後に熱風乾燥、フリーズドライ、真空乾燥、圧力脱水後に熱風乾燥などで行うことができる。
1価カチオンを添加する工程は、他のいずれの工程中、工程間、又は工程後でもよい。すなわち、1価カチオンは、前記混合溶液を作るときに加えるか、前記アルギン酸塩と2価カチオンを反応させるときに加えるか、あるいは前記アルギン酸2価カチオンの不溶性ゲルを形成させた後に加えるか、さらに乾燥する工程で加えるか、あるいはこれらの工程の間で加えるかなどいずれかの方法により行われる。これらの中でも、混合溶液を冷却して寒天ゲルを得る工程よりも後で加えることがより好ましい。
一例として、寒天やアルギン酸塩の粉末を用いた場合のより具体的な製造方法としては、寒天とアルギン酸塩を水に分散させた後、加熱溶解し、寒天の凝固温度以下まで冷却しゲル化させる。これを一定形状に成形した後、カルシウムのような2価カチオン溶液に入れる。2価カチオン溶液を除去後、さらにナトリウム溶液のような1価カチオン溶液に浸漬し、1価カチオン溶液を除去したものを乾燥することにより行うことができる。
また、1価カチオンは、上記のように溶液として浸漬せずに乾燥物に噴霧等により添加してもよく、最終製品(乾燥組成物)に規定量含有する方法であれば特に限定はない。
1価カチオンとして、ナトリウムイオンを用いる場合には、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを好ましく用いることができる。1価カチオンとして、ナトリウムイオンの外にカリウムイオン、アンモニウムイオンなども使用できるが、味に影響が少ないナトリウムイオン好ましい。カリウムイオンとしては塩化カリウム、リン酸カリウム(1水素、2水素)などが挙げられ、アンモニウムイオンとしては塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
特に、1価カチオンをアルギン酸カルシウム(アルギン酸2価カチオン)の不溶性ゲルを作る前に添加する場合には、ゲル形成反応を妨げないカルシウムキレート作用のない塩を使用することが好ましく、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウムが好ましい。中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウムがより好ましい。なお、アルギン酸ナトリウム比率が、寒天に対して特に高い場合には、アルギン酸カルシウムの耐熱性の影響が強くなるため、これらの好ましい塩以外にも、カルシウムキレート作用のある1価カチオンを少量であれば加えることも可能である。
一般に、反応遅延剤として用いられるアルギン酸カルシウムのゲル化反応をコントロールするリン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどは、そのキレート作用によりカルシウムをマスキングして、カルシウムとしての性質を無くし、アルギン酸ナトリウムとカルシウム置換が起きないようにしている。これにより、カルシウム存在下でも反応遅延剤の添加量が多いと、アルギン酸ナトリウムがカルシウム塩とならずにゲル化が生じない。
通常、アルギン酸ナトリウムやジェランガムなどのカルシウム反応性のゲル化剤はカルシウム反応性が強く、カルシウムイオンと接触した瞬間にゲル化する現象(プリセット)が生じる。プリセットがおこると、ゲルを一定形状に成形することが難しく、さらに成形されたゲルが不均一になってしまうという問題が生じる。この問題を解決する方法として、アルギン酸ナトリウム溶液に塩化カルシウムなどの水溶性カルシウムとリン酸塩などの反応遅延剤(カルシウムをキレートする作用のある物質)を同時に加え、カルシウムをマスキングすることによりプリセットを防ぎ、徐々にアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩としてゲル化させる方法が採用されている。なお、上記のとおりであるため、リン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどの1価カチオンを反応遅延剤として使用する場合は、アルギン酸ナトリウムやジェランガムがカルシウムと反応する前の溶液の状態で添加されなければ意味がない。
これに対し、本発明の場合は、反応遅延効果を必要としない。反応遅延剤を使用してゲル化させたものは、カルシウム反応性が弱く耐熱性に欠けてしまうからである。塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム等に由来するキレート作用のない1価カチオンは、溶液中のカルシウムイオンと平衡状態となり拮抗することによりカルシウム反応を調節している。よって、反応遅延剤の場合とは異なり、過剰に添加してもカルシウムイオンと反応し、アルギン酸カルシウムとしてゲル化が生じる。
しかしながら、本発明において、一旦アルギン酸カルシウムのゲルを形成したものにリン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどを作用させた場合などには、反応遅延剤として作用しないため、耐熱性が得られる場合がある。すなわち、本発明の場合には、一般に反応遅延剤として知られるリン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどの1価カチオンを、通常どおり反応遅延効果を奏するように使用すると、耐熱性が得られず好ましくない。しかし、添加する工程によっては、反応遅延効果を奏さない状態となり、使用できる場合がある。
本発明において、1価カチオンの添加が吸水膨潤性を向上させるのは、次のような理由によると考えられる。例えば、アルギン酸塩溶液に用いられるアルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを用い、2価カチオンとしてカルシウムイオンを用いた場合、溶液状態のアルギン酸ナトリウムにカルシウムイオンを添加すると、ナトリウムとカルシウムの置換により水に不溶のアルギン酸カルシウムが生成する。アルギン酸カルシウムは水に不溶であるため、水への戻りが極端に悪い。ここにナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの1価カチオンの塩、例えば塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(1水素、2水素)などのナトリウム塩などが存在すると、アルギン酸カルシウムとアルギン酸ナトリウムの平衡状態となり、部分的に偏在した強固なカルシウムの疎水繊維ができず、吸水しやすく且つ耐熱性も有するという両者の長所を合わせ持つようになる。すなわち上述したように、本発明において、1価カチオンは、反応遅延剤として機能しているわけではない。1価カチオンの添加は、乾燥組成物の吸水膨潤性を期待しているものであり、あくまで耐熱性とのバランスの上に立つものである。
また、本発明において、上記乾燥組成物を粉砕することで、平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物を得ることができる。乾燥組成物の粉砕方法として特に限定されるものではなく、一般的に使用される粉砕機を使用することができ、例えばハンマー式、ボールミル、ジェット(衝撃式)ミル、臼式、ナイフハンマー式、ピンミル、ターボ式、冷凍粉砕などを使用することができる。また、粉砕は、寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルの乾燥後に行われるのが作業上の面からは好ましいが、乾燥前に適当な大きさに粉砕後、乾燥してもかまわない。
以上のようにして得られた本発明に係る乾燥組成物は、20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水(熱水)いずれの場合にも吸水膨潤し、いずれの吸水膨潤の場合にも乾燥組成物の15〜200倍の重量を有するゲルになることが好ましく、20〜170倍がより好ましい。また、少なくとも平均粒子径が300μmのときに、20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水のいずれの吸水膨潤の場合にも乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになり、50〜150倍の重量となることが好ましい。ここで、吸水膨潤して乾燥組成物の15〜200倍の重量を有するゲルになるというのは、乾燥組成物をその300倍以上の20℃の蒸留水に30分間浸漬させることによって吸水膨潤によりゲル化させ、そのゲルの重量が乾燥組成物の15〜200倍であることを意味する。また、90℃の熱水を用いた場合には、乾燥組成物をその300倍以上の90℃の熱水に3分間浸漬させることによって吸水膨潤してゲル化させる。
本発明に係る乾燥組成物は、水や湯(例えば20℃の蒸留水及び90℃の熱水)で吸水膨潤させる場合、以下の理由により優れた吸水性と耐熱性が得られる。本発明の乾燥組成物は、アルギン酸カルシウムと寒天と1価カチオンとが一定の割合で複合体を形成している。この組成物を水や湯に添加すると、まず、アルギン酸カルシウムのエッグボックス構造が1価カチオンにより弱くなっていて容易に吸水して膨潤する。この膨潤状態は、多量の水分が含まれるため、水溶性の高い1価カチオンが流出しやすくなる。1価カチオンが流出すると、膨潤した組成物中のアルギン酸と結合したカルシウム含量が高まり耐熱性が向上する。このため吸水膨潤性が高く、しかも耐熱性の高い組成物ができるのである。なお、反応遅延剤を使用した場合は、水や湯で膨潤した場合、1価カチオンとカルシウムイオンの流出が起こるため、耐熱性は、反応遅延効果のない塩よりも劣ることになる。
このような本発明の特徴を得るためには、乾燥物中あるいは吸水膨潤させたゲル中で、ゲルを形成させるための2価カチオンを、均一に分散されたアルギン酸塩と反応させることが好ましい。以下、2価カチオンとしてカルシウムイオンを用いた場合で説明する。
アルギン酸塩を均一に分散させるためには、上記のように、まず所定の配合で寒天とアルギン酸塩とを寒天が溶解する温度まで加熱溶解し、均一な混合液とし、この溶液を冷却して寒天をゾル・ゲル転移によりゲル化させる。このゲルにおいては、イオン基をほとんど持たないほぼ中性多糖類である寒天とアルギン酸塩は反応しておらず、寒天ゲル中にアルギン酸塩溶液が均一に分散されている状態となる。その後、ゲルに熱不可逆性の耐熱性を持たせるために、カルシウムイオンを反応させて、アルギン酸カルシウムの不溶性ゲルを形成させることが好ましい。
寒天ゲルをまず形成させるのは、アルギン酸塩の分子をゲル中に均一に配置させるためであり、その後のカルシウム反応で繊維が疎水化して水を離し結束してしまうのを防ぐためである。この方法によりアルギン酸塩とカルシウムによって形成されるエッグボックス高次構造マトリックス中に均一に寒天の高次構造マトリックスが均一に入り込む。この状態は、乾燥物にした場合でも同様に維持される。したがって、水に入れた場合に寒天分子の復元作用によりアルギン酸カルシウムのエッグボックス高次構造が押し広げられ、ここにさらに水が入り込むことにより分子間のゼータ電位が強まり、より高次構造が押し広げられることになる。そして、寒天分子はアルギン酸カルシウムのエッグボックス高次構造マトリックス中に均一に分散しているため、沸騰水中でも溶け出すことはない。
さらに、吸水膨潤性がよく耐熱性のあるゲルとなるアルギン酸カルシウムの乾燥組成物を製造する方法としては、寒天分子の網目構造にアルギン酸塩分子が均一に分散していることに加えて、カルシウムを均一に反応させて耐熱性を上げることが重要である。このための方法として最も好ましいのは、カルシウム反応後、さらにナトリウム溶液のような1価カチオン溶液に浸漬する方法である。1価カチオン溶液に浸漬すると、上述したとおり、アルギン酸カルシウムと1価カチオンの平衡状態となり、部分的に偏在した強固なカルシウムの疎水繊維ができず、吸水しやすく且つ耐熱性も有するようになる。
また、本発明の乾燥組成物には、寒天とアルギン酸塩の効果を妨げない範囲でその他の添加物を加えることができる。添加物としては、多糖類、乳化剤、色素、香料、調味料、糖類、塩類、ビタミン、ミネラル機能性素材などが挙げられる。多糖類としては、カラギナン、澱粉、乳化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸化澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉などの加工澱粉、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガム、キサンタンガム、加熱処理され改質されたキサンタンガム、サクシノグリカン、ゼラチン、水溶性ゼラチン、タマリンドガム、ペクチン、セルロース、CMC−Na、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアガム、大豆多糖類、プルラン、カードラン、ジェランガム、ネーティブジェランガムなどが挙げられる。
本発明に係る穀粉加工食品は、平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物を原料として添加することにより製造することができる。
本発明の乾燥組成物の添加方法として特に限定はなく、例えば、乾燥組成物を原料粉末に添加してから加水混練する方法、乾燥組成物を予め吸水させてから原料粉末に添加する方法、原料粉末に加水して作製した生地に乾燥組成物を添加する方法、原料粉末に加水して作製した生地に、予め吸水させた乾燥組成物を添加する方法などが挙げられる。
乾燥組成物及び穀粉を含む原料に水を加えて混練することによって、穀粉加工食品の生地を作成することができる。生地は、目的に応じ適宜成形して麺状、シート状、球状などの形状とすることができる。成形物を必要に応じて乾燥させて、乾燥食品としてもよい。当該成形物や乾燥食品は、茹で処理や蒸し処理を行うことで喫食することができる。上記乾燥組成物は耐熱性を有するため、茹で処理や蒸し処理を行ってもゲルが溶解しない。これにより、穀粉加工食品の食感に腰を与えることができる。
本発明に係る穀粉加工食品は、茹で処理や蒸し処理後に乾燥又は油調を行うことで、即席食品とすることもできる。当該即席食品は、湯戻しすることによって喫食することができる。穀粉加工食品の乾燥方法として特に限定はなく、送風乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、真空凍結乾燥などが挙げられる。穀粉加工食品を使用した即席食品の製造方法としても特に限定はなく、定法に従い作成することができる。茹で処理や蒸し処理によって吸水膨潤したゲルは、耐熱性を有することで溶解しないため、乾燥時に空隙を形成することができる。乾燥した穀粉加工食品の湯戻し時において、ゲルの乾燥によって生じた空隙に湯が入り込むため、湯戻し時間を短縮することができる。なお、ゲルが耐熱性を有しない場合には、茹で処理や蒸し処理の際にゲルが溶解してしまい、乾燥しても空隙を形成することができず、湯戻し時間を短縮できなくなってしまう。
穀粉加工食品を乾燥させて乾燥食品や即席食品とする場合、含水量が0〜20%になるように乾燥させることが好ましく、2〜15%であることがより好ましい。
本発明の穀粉加工食品には、上記乾燥組成物及び穀粉の他に、例えば抹茶;胡麻;柚子、紫蘇、唐辛子等の香辛料;山芋、長芋等;胡麻油、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブ油等の植物油;食塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のかん水;スパイス類、エキス類、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム等の呈味類;活性グルテン、加水分解グルテン、小麦グルテニン、小麦グリアジン等の小麦由来蛋白質;鶏卵、卵白、乳性蛋白質等の小麦以外由来の蛋白質類;焼成カルシウム類;澱粉リン酸エステルナトリウム、カゼインナトリウム、L−リジン塩酸塩等の食品添加物;プロピレングリコール、D−ソルビット等の湿潤剤;グアニル酸、コハク酸等の有機酸類;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆リン脂質等の界面活性剤;アラビアガム、プルラン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、大豆多糖類等の増粘剤;クチナシ色素(クロシン)、ビタミンB2(リボフラビン)、カロブ豆の胚芽粉末等の着色料等の添加物を配合することができる。これら添加物は、単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して用いてもよい。
以上のように、本発明の穀粉加工食品及びその製造方法によれば、茹で処理や蒸し処理時に余分な水分を吸収して延びを防止することに加えて、乾燥組成物が吸水膨潤したゲルによって食感に腰とつるみを与えることができる。また、乾燥組成物が吸水膨潤したゲルを含んだ穀粉加工食品を乾燥すると、大量の水を含んだゲルが乾燥することにより、乾燥後に大きな空隙ができる。乾燥した穀粉加工食品を茹でたり湯戻ししたりする際、この空隙に湯が入り込むことで茹で時間、湯戻し時間が短縮され、同時に乾燥したゲルが再度膨潤復元するため、腰のある麺を得ることができ、延びも抑制される。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
[乾燥組成物の製造]
まず、実施例で使用した資材は下記の通りである。
アルギン酸ナトリウム(1):イナゲルGS−20 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw200000)
アルギン酸ナトリウム(2):イナゲルGS−30 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw250000)
アルギン酸ナトリウム(3):イナゲルGS−50 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw500000)
アルギン酸カリウム(1):イナゲルGP−20 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw200000)
アルギン酸アンモニウム(1):イナゲルGA−20 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw200000)
寒天(1):伊那寒天M−13(高融点寒天) 伊那食品工業社製
寒天(2):伊那寒天UM−11(高融点寒天) 伊那食品工業社製
寒天(3):伊那寒天S−10 伊那食品工業社製
寒天(4):伊那寒天カリコリカン(高融点寒天) 伊那食品工業社製
塩化ナトリウム:食卓塩 JT製
塩化カルシウム:富田製薬社製
塩化カリウム:富田製薬社製
塩化アンモニウム:赤穂化成社製
ヘキサメタリン酸ナトリウム:エフシー化学社製
リン酸1水素カルシウム:太平化学社製
クエン酸ナトリウム:磐田化学社製
また、特に指定がない限り、%は重量%を示すものとする。
以下、実施例における物性の測定方法は下記の通りである。
(1)アルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウム(2価カチオン)及びナトリウム(1価カチオン)のモル比
ICP(ICPE−9000島津製作所社製)を使用して、乾燥物中のカルシウム量(2価カチオン量)(重量%)とナトリウム量(1価カチオン量)(重量%)を測定した。アルギン酸塩の重量平均分子量(Mw)は、HPLCを使用してGPC用により測定した。下記に示すとおり、アルギン酸塩を含まない寒天のみの乾燥物を同様に作製し、カルシウム量(2価カチオン量)(重量%)とナトリウム量(1価カチオン量)(重量%)を測定し、乾燥物中のアルギン酸塩に含まれるカルシウム量(2価カチオン量)とナトリウム量(1価カチオン量)を算出した。アルギン酸塩中に含まれる1価カチオン量、2価カチオン量、アルギン酸塩の重量平均分子量(Mw)を使用して乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウム及びナトリウムのモル比を算出した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
A:寒天・アルギン酸塩乾燥物中のカルシウム含量(2価カチオン量)(重量%)
B:Aに含まれる寒天と同重量の寒天のみで作製した乾燥物中のカルシウム含量(2価カチオン量)(重量%)
C:寒天・アルギン酸塩乾燥物中のナトリウム含量(1価カチオン量)(重量%)
D:Cに含まれる寒天と同重量の寒天のみで作製した乾燥物中のナトリウム含量(1価カチオン量)(重量%)
(2)吸水量
乾燥物各2.0gについて、20℃の蒸留水600gに30分間浸漬し吸水膨潤させ、150μm篩を使用しよく水切りを行った後、この膨潤物の重量を測定し、以下の式により吸水量を算出した。
同様に乾燥物各2.0gについて、90℃の蒸留水600gに3分間浸漬し吸水膨潤させ、150μm篩を使用しよく水切りを行った後、この膨潤物の重量を測定し、以下の式により吸水量を算出した。
Figure 0006967267
(3)形状の維持
乾燥組成物の平均粒子径を300μmに粉砕し調整した粒子状乾燥組成物1gを300mLのビーカーに入れ、これに90℃の蒸留水300gを加え吸水膨潤させ、更にビーカーを沸騰水中に3分間浸し、膨潤粒子が溶液とならず形状が維持されているかを確認した。
○:形状を維持
△:形状は維持しているが、膨潤が悪い
×:形状を維持せず溶解またはほとんど溶解
(4)平均粒子径
粒度分布測定機(MICROTRAC MT3000、日機装社製)を使用し、99.5%エタノールを分散液として測定した。
(5)溶け出し率(%)
実施例または比較例で作製した平均粒子径300μmの乾燥物各2.0gを95℃の蒸留水600g中に5分間浸漬した後、150μm篩を使用して固形物のみを取り除いた。固形物を取り除いた蒸留水を蒸発乾固し、乾燥物から溶け出した固形物の重量(g)を測定した。この固形物重量から、1価カチオン量(Na)(g)と2価カチオン量(Ca)(g)を差し引いて、下記の式により、溶け出した寒天またはアルギン酸Naの量を測定した。なお、1価カチオン量(Na)と2価カチオン量(Ca)は上記(1)と同様にICPを使用して測定した。
Figure 0006967267
(実験例1:カルシウム含量による変化(1))
表1に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(1)とアルギン酸ナトリウム(1)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し110℃に加温し溶解した後、更に表2に示した塩化ナトリウムを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×20cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表2に示した濃度の塩化カルシウム溶液に5時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例1〜5及び比較例2〜3の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。塩化ナトリウムを使用しなかったものも同様に作製した(比較例1)。得られた乾燥組成物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表2に記載し、各粒子径における吸水量、形状の維持について結果を表3に示した。
なお、下記全ての表中に示した注釈は、以下に示す通りである。
*1:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比
*2:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するナトリウムのモル比
*3:膨潤粒子がほとんど溶解し測定不能
(注):極わずか溶け出しが観察されたが外観には問題のない程度であった。
*4:乾燥物中Ca:Na(モル比)
*5:膨潤粒子が溶解し測定不能
*6:寒天が少なすぎて冷却後の成形ができない
*7:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカリウムのモル比
*8:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するアンモニウムのモル比
*9:乾燥物中Ca:K又はNH(モル比)
実施例20及び比較例11はCa:K
実施例21及び比較例12はCa:NH
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対して2価カチオンが0.04〜0.30倍モルもので且つカルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70のものは吸水倍率が高く、良好であった。
(実験例2:カルシウム含量による変化(2) 塩化ナトリウム含量一定の場合)
表4に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(2)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×20cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表5に示した濃度の塩化カルシウム及び塩化ナトリウムの混合溶液に5時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥し乾燥物とし、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例6〜9、比較例5〜7の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。また、塩化ナトリウムを使用しなったもの(比較例4)も同様に作製した。実験例1と同様に物性を測定し表6に記載した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルの範囲のものは吸水倍率が高く、良好であった。
(実験例3:寒天とアルギン酸塩の重量比率による変化)
表7に示した配合(重量%)にて寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(3)を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×10cm)に切断した。この麺状ゲル化物500gを0.20重量%濃度の塩化カルシウム溶液1000gに5時間浸漬した。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥し乾燥物とした。この乾燥物に食塩0.5gを水10gに溶解し噴霧しさらに乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例10〜14及び比較例8〜9の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表8に記載した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、寒天とアルギン酸ナトリウムの重量比率が1:1〜1:20のものは吸水倍率が高く、良好であった。
(実験例4:寒天とアルギン酸塩の使用濃度による変化)
表9に示した配合(重量%)にて寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(4)とアルギン酸ナトリウム(3)を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、キューブ状(10mm角×10mm角)に切断した。このキューブ状ゲル化物500gを0.18重量%濃度の塩化カルシウム溶液1000gに5時間浸漬した。浸漬後、キューブ状ゲルを取り出し0.2%塩化ナトリウム溶液1000gに5時間浸漬した。その後、キューブ状ゲルを取り出し40℃にて真空凍結乾燥し乾燥物とし、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例15〜18の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表10に記載した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例5:食塩浸漬した場合)
寒天(3)及びアルギン酸ナトリウム(2)よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(3)6gとアルギン酸ナトリウム(3)14gを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、板状(15mm×30mm×H5mm)に切断した。この板状ゲル化物500gを0.15重量%濃度の塩化カルシウム溶液1000gに5時間浸漬した。浸漬後、板状ゲルを取り出し、0.2%食塩水1000gに5時間浸漬した。その後、板状ゲルを取り出し50℃にて真空乾燥を行い、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例19の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表11に記載した。食塩水に浸漬しなかったものも同様にして作製し比較例10とした。
Figure 0006967267
以上のように、食塩水に浸漬せずCa:NaのNaが1.0:0.35以下のものは吸水が悪かった。
(実験例6:アルギン酸カリウム又はアルギン酸アンモニウムを使用した場合)
表12に示した配合(重量%)にて寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(3)と表12に示すアルギン酸塩を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量各1000g)。これを高さ10mmの容器に充填し冷却凝固させた後に、0.8%濃度の乳酸カルシウム溶液1000gに10時間浸漬した。浸漬後、ゲル化物を取り出し、キューブ状(10mm角×10mm角)に切断した。このキューブ状ゲルを実施例20においては0.6%塩化カリウム溶液1000gに5時間浸漬し、実施例21においては0.5%塩化アンモニウム溶液1000gに5時間浸漬した。その後、キューブ状ゲルを取り出し、ゲルを冷凍後50℃にて乾燥を行い、これらの乾燥組成物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例20、21の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表12に記載した。塩化カリウム溶液または塩化アンモニウム溶液に浸漬しなかったものも同様にして作製し比較例11、12とした。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、Ca:KのKまたはCa:NHのNHが1.0:0.35以下のものは吸水が悪かった。
(実験例7:ゲルを不定形粒子状に製造した場合)
寒天(2)及びアルギン酸ナトリウム(1)よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(2)10gとアルギン酸ナトリウム(1)10gを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。この溶液500gを60℃に冷却後、10℃に冷却した金属板に、直径4mmの穴から滴下し不定形粒子状に冷却凝固させた。この不定形粒子状ゲル化物を20℃の0.2%塩化カルシウム溶液1000gに1時間浸漬した後、不定形粒子状ゲルを取り出し、さらに0.5%食塩水1000gに0.5時間浸漬した。その後、取り出した粒子状ゲルを80℃にて送風乾燥を行い、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例22の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表14に記載した。食塩水に浸漬しなかったものも同様にして作製し比較例13とした。
Figure 0006967267
以上のように、Ca:NaのNaが1.0:0.35以下のものは吸水が悪かった。
(実験例8:レトルト耐性)
実施例1〜22、及び比較例1〜12(比較例9は除く)で得られた平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物1gに水300gを加え密封し、121℃、20分のレトルト処理を行った。処理後の20℃における粒子状乾燥組成物の粒子形状の維持と外観を調べ表15に記載した。
Figure 0006967267
以上のように、実施例の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物はレトルト処理後も形状を維持し充分に膨潤していた。
(実験例9:アルギン酸塩のみの場合)
表16に示す配合(重量%)にてアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、アルギン酸ナトリウムを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。この溶液500gを0.2%塩化カルシウム溶液1000gに直径5mmのオリフィスから押し出し5時間浸漬した。浸漬後、麺状ゲルを取り出し0.2%塩化ナトリウム溶液1000gに5時間浸漬した。その後、麺状ゲルを取り出し40℃にて真空凍結乾燥し乾燥物とし、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整し、比較例13〜16のアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表17に記載した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、寒天を含まずアルギン酸塩のみの場合、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、2価カチオンと1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であっても吸水膨潤が悪かった。
(実験例10:2価カチオンと1価カチオンのモル比を変えた場合(1))
表18に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(3)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に表19及び20に示した塩化ナトリウムを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表19及び20に示した濃度の塩化カルシウム溶液に表19及び20に示した時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例37〜43及び比較例17〜23の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表19及び20に記載し、各粒子径における吸水量、形状の維持について結果を表21に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対して2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、且つカルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70のものは吸水倍率が高く良好であったが、カルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70以外のものは良好な結果が得られなかった。
(実験例11:2価カチオンと1価カチオンのモル比を変えた場合(2))
表22に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(4)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し110℃に加温し溶解した後、更に表23に示した塩化ナトリウムを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表23に示した濃度の塩化カルシウム溶液に表23に示した時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例44〜45、比較例24〜29の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表23に記載し、各粒子径における吸水量、形状の維持について結果を表24に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対して2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、且つカルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70のものは吸水倍率が高く、良好であった。アルギン酸塩のモノマー単位に対する1価カチオンが0.10〜0.70倍モル以外のものは良好な結果が得られなかった。
(実験例12:溶け出し率の測定)
寒天(1)または寒天(3)のみを使用して表25の配合で実験例3と同様な形態のゲルを作製した(作製量1000g)。具体的には、水に寒天を入れ、寒天(1)は110℃で、寒天(3)は97℃で溶解し、冷却してゲル化させた。これを所定の大きさに切断し、60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整した粒子状乾燥組成物を得た(比較例30、31)。また、寒天(3)及びアルギン酸ナトリウム(3)を使用して表25の配合で実験例3と同様に、比較例33、34の寒天及びアルギン酸塩よりなる平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を作製した。比較例33、34の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物の物性を測定し表25に記載した。また、実施例1〜45、比較例1〜34について、溶け出し率(%)を測定した。溶け出し率の結果を表26に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、比較例31、32は、寒天のみであるため、お湯(95℃)へ溶け出してしまい、比較例33、34は、使用している寒天量が多いため、寒天のお湯(95℃)への溶け出しが多い結果となった。溶け出しが多いと水漬けや加熱において溶け出し率が多くなり、製品が固まったり、ぬるつき感が生じたりして好ましくない食感となってしまう問題があるが、本発明の組成物はこのような弊害が生じることがないことが示された。
(実験例13:反応遅延剤を使用した場合との比較)
表27に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に塩化ナトリウム60gを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を0.15%濃度の塩化カルシウム溶液に3時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、実施例46の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。
これとは別に、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に塩化ナトリウム60g、塩化カルシウム30g、ヘキサメタリン酸ナトリウム54gを加えた。この溶液を容器に流し10時間放置しゲル化させた。このゲルを麺状(4mm角×15cm)に切断し60℃にて乾燥させ、比較例35の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。さらに比較例35において塩化ナトリウム60gを添加しないものも同様にして作製し比較例36とした。実施例46、比較例35、36について、粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整して粒子状乾燥組成物を作製した。
得られた乾燥組成物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表28に記載し、粒子状乾燥組成物の吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表29に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、寒天とアルギン酸ナトリウムと塩化ナトリウムを含む混合溶液について、冷却により寒天ゲルを形成させたものを、Ca溶液に浸漬し乾燥した実施例46は良好な結果が得られたが、寒天とアルギン酸ナトリウムと塩化ナトリウムを含む混合溶液について、反応遅延剤を使用して寒天が完全にゲル化する前にアルギン酸がゲル化を始めて形成されたゲルを乾燥した比較例35、36は、90℃の湯で粒子が溶解してしまった。
(実験例14:1価カチオンの種類及び添加時期を変えた場合)
表30に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に表31に示した塩類を加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を0.15%濃度の塩化カルシウム溶液に3時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した(実施例47、比較例37〜45)。さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径を300μmに調整して粒子状乾燥組成物を作製した。
得られた乾燥組成物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表32、33に記載し、吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表34に示した。
これとは別に、表31に示した実施例48〜50の塩類を、寒天とアルギン酸ナトリウムが溶液状態のときに加えず、塩化カルシウム溶液に浸漬しゲルとした後に、浸漬することにより添加した。具体的には、塩類溶液(0.6%溶液、1000mL)にゲル500gを1時間浸漬した後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整して寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した。
得られた乾燥組成物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表35に記載し、粒子状乾燥組成物の吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表36に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、塩化ナトリウムの変わりにリン酸塩やクエン酸ナトリウムなどのカルシウム封鎖作用のある塩をアルギン酸ナトリウムが溶液の状態の時に使用すると、水での吸水は良好であるが90℃での耐熱性がなく溶解してしまった。これに対し、アルギン酸カルシウムとしてゲルの状態で使用したものは、塩化ナトリウムを使用した時より若干の溶解が確認されたが、問題のない程度であった。
(実験例15:1価カチオンの添加時期を変えた場合)
表37に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥組成物を作製した。具体的には、寒天(4)とアルギン酸ナトリウム(1)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し110℃に加温し溶解した。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表38に示した1価カチオン溶液に1時間浸漬した。この時の1価カチオン溶液の液量は1000g、ゲル量は500gとした。このゲルを取り出した後に0.20%濃度の塩化カルシウム溶液に3時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径を300μmに調整して寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状乾燥組成物を作製した(実施例51〜54)。
得られた乾燥組成物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表39に記載し、粒子状乾燥組成物の吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表40に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
以上のように、寒天をゲル化後に1価カチオンを反応させ、その後2価カチオンを反応させることにより良好な結果が得られたが、1価のカチオンとして塩化ナトリウムを使用した実施例は、ヘキサメタリン酸ナトリウムを使用したものより溶け出し率が少なく良好な結果が得られた。
[穀粉加工食品の製造]
以下、上記実験例1〜15において作成した寒天とアルギン酸塩の乾燥組成物(「粒子状乾燥組成物」と記載することがある)を使用して、各種穀粉加工食品を作成した。
(実験例16:うどんの作製)
表41及び42に示した配合にて、うどんを作製した(作製量2kg)。実験例1で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め20倍重量(乾燥組成物に対し:以後の実験例でも同様)の水に分散し膨潤させた後、小麦粉、残りの水に食塩を溶かした液を混ぜ合わせ、製麺機(さぬきM305型P,さぬき麺機株式会社製)を使用して常法により厚さ3mmのうどんの生麺を作製した。この生麺を15分間茹で上げ、ゆであがりを評価した。さらに生麺を60℃にて乾燥し、含水量10%の乾燥麺を得た。この乾燥麺を茹で上げ、茹で時間や食感を評価した。結果を表43に示した。
(麺類の評価方法)
1.生麺等を茹でたときの食感と経時的な延び
加水して製造した麺を茹で上げ、食感を確認した。食感は10名のパネラーにより次のような評価で行った。
◎:腰またはつるみがあり良好な食感
〇:◎より劣るが良好な食感
△:市販されている通常のものに近い食感
×:腰またはつるみが弱く食感に劣る
さらに、茹で上げた麺を15分間放置した後食感を確認して延びの評価を行った。食感は10名のパネラーにより次のような評価で行った。
◎:延びが少なく良好な食感
〇:◎より劣るが延びが少なく良好な食感
△:延びが感じられ食感が悪くなっている
×:市販されている通常のものと同程度に延びており食感が悪い
2.乾燥麺の茹で戻し時間と食感
加水して製造した麺を茹で上げたのちに、乾燥を行い乾燥物とした。この乾燥麺を茹で上げて食感を確認した。このとき、その麺での最適な食感になる茹で時間を測定した。この時の食感を、乾燥組成物を加えていないものと比較して次のような評価で行った。
◎:乾燥組成物を添加していないものに比べ腰があり良好な食感
〇:◎より劣るが乾燥組成物を添加していないものに比べ腰があり良好な食感
△:乾燥組成物を添加していないものと同程度な食感
×:腰がなく食感が悪い
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例17:そばの作製)
表44及び45に示した配合にて、そばを作製した(作製量2kg)。実験例2で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め20倍重量部の水に分散し膨潤させた後、そば粉、小麦粉、残りの水を混ぜ合わせ、製麺機(さぬきM305型P,さぬき麺機株式会社製)を使用して常法により厚さ1.5mmのそばの生麺を作製した。この生麺を1.5分間茹で上げ、茹であがりを評価した。さらに生麺を60℃にて乾燥し、含水量10%の乾燥麺を得た。この乾燥麺を茹で上げて茹で時間や食感を評価した。結果を表46に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例18:中華麺(ラーメン)の作製)
表47及び48に示した配合にて中華麺を作製した(作製量2kg)。実験例3及び4で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め20倍重量部の水に分散し膨潤させた後、小麦粉、残りの水に塩を溶解した液、かんすいを混ぜ合わせ、製麺機(さぬきM305型P,さぬき麺機株式会社製)を使用して常法により厚さ1.5mmのそばの生麺を作製した。この生麺を1.5分間茹で上げ、茹であがりを評価した。さらに生麺を170℃のヤシ油で油調することにより乾燥し、含水量5%の乾燥麺を得た。この乾燥麺を90℃の湯に浸漬して湯戻しして時間や食感を評価した。結果を表49に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例19:スパゲティーの作製)
表50及び51に示した配合にてスパゲティーを作製した(作製量2kg)。実験例5〜7で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物と小麦粉、卵、塩を混ぜ合わせ、押し出し機を使用して常法により直径1.5mmのスパゲティーを作製した。この生麺を6分間茹で上げ、茹であがりを評価した。さらに生麺を50℃で乾燥し、含水量5%の乾燥麺を得た。この乾燥麺を沸騰した湯で茹でて食感を評価した。結果を表52に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例20:素麺の作製)
表53及び54に示した配合にて素麺を作製した(作製量2kg)。実験例10で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め10倍重量の水に分散し膨潤させた後、小麦粉、残りの水に塩を溶かした液を混ぜ合わせ、押し出し機を使用して常法により直径1.0mmの素麺を作製した。この生麺を3分間茹で上げ、茹であがりを評価した。さらに生麺を50℃で乾燥し、含水量5%の乾燥麺を得た。この乾燥麺を沸騰した湯で茹でて食感を評価した。結果を表55に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例21:米粉麺の作製)
表56及び57に示した配合にて素麺を作製した(作製量2kg)。実験例11で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め20倍重量部の水に分散し膨潤させた後、米粉(日ノ本穀粉社製)、残りの水を混ぜ合わせ、押し出し機を使用して常法により直径2.0mmの米麺を作製した。この生麺を6分間茹で上げ、茹であがりを評価した。さらに生麺を50℃で乾燥し、含水量5%の乾燥麺を得た。この乾燥麺を沸騰した湯で茹でて食感を評価した。結果を表58に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例22:ギョーザの皮の作製)
表59及び60に示した配合にてギョーザの皮を作製した(作製量1kg)。実験例13〜15で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め20倍重量の水に分散し膨潤させた後、小麦粉(日清製粉社製)をミックスし、残りの水に塩を溶解した液を混ぜ合わせ練合わせた後、麺棒を使用して延ばしギョーザの皮を作製した。このギョーザの皮に具材を包み6分間茹で上げ、茹であがりを評価した。結果を表61に示した。
(食感評価)
ギョーザの皮の食感は、10名のパネラーにより次のような評価で行った。
〇:柔らかいく適度な弾力を有する
△:〇より弾力に劣る
×:弾力がない。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例23:うどんの作製 乾燥組成物の粒子径を変えた場合)
表62及び63に示した配合にてうどんを作製した(作製量2kg)。実験例1の実施例4で作製した乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め20倍重量の水に分散し膨潤させた後、小麦粉、残りの水に食塩を溶解した液を混ぜ合わせ、製麺機(さぬきM305型P,さぬき麺機株式会社製)を使用して常法により厚さ3mmのうどんの生麺を作製した。この生麺を15分間茹で上げ、ゆであがりを評価した。さらに生麺を60℃にて乾燥し、含水量10%の乾燥麺を得た。この乾燥麺を茹で上げて茹で時間や食感を評価した。結果を表64に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例24:うどんの作製 乾燥組成物の添加方法)
表65に示した配合にてうどんを作製した(作製量2kg)。乾燥組成物として、実験例2の実施例8で作製したものを使用した。乾燥組成物の添加方法は表66に示した。乾燥組成物、小麦粉、残りの水に食塩を溶解した液を混ぜ合わせ、押し出し機を使用して常法により厚さ2.5mmのうどんを作製した。このうどんを10分間茹で上げ、ゆであがりを評価した。さらに生うどんを60℃にて乾燥し、含水量10%の乾燥うどんを得た。この乾燥うどんを茹で上げて茹で時間や食感を評価した。結果を表67に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
Figure 0006967267
(実験例25:タピオカパール 乾燥組成物の添加量)
表68に示した配合にてタピオカパールを作製した(作製量1kg)。実験例5の実施例19で作製した乾燥組成物の、平均粒子径300μmの粒子状乾燥組成物を使用した。具体的には、粒子状乾燥組成物を予め20倍重量の水に分散し膨潤させた後、タピオカデンプン、残りの水を混ぜ合わせ、常法により直径3mmのタピオカパールを作製した。これを60℃にて乾燥し、含水量10%の乾燥タピオカを得た。この乾燥タピオカを茹で上げて茹で時間や食感を評価した。結果を表69に示した。
Figure 0006967267
Figure 0006967267
食感備考
**1:弾力と噛みごたえがあるが**2より劣る。1時間経過後、若干弾力が減るが問題ない程度。
**2:弾力と噛みごたえがあり美味しい。1時間経過後もほぼ同様な食感。
**3:弾力と噛みごたえがあり美味しい。1時間経過後もほぼ同様な食感。
**4:弾力と噛みごたえがあり美味しい。1時間経過後もほぼ同様な食感。
**5:弾力と噛みごたえがあるが**2より劣る。1時間経過後、若干弾力が減るが問題ない程度。
**6:弾力と噛みごたえはあるが**1より劣る。1時間経過後は弾力と噛みごたえが低減して美味しくない。
以上のように、実施例55〜99の各種穀粉加工食品は、本発明の乾燥組成物を含有することで、茹で処理による延びが少なく食感に腰やつるみがあり、また、乾燥後の茹で時間が短く食感も良好であることがわかる。

Claims (4)

  1. 平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物及び穀粉を含む原料に水を加えて混錬して作成された混練物を生地とした乾燥時の含水量が20%以下の乾燥食品であって、
    前記乾燥組成物は、
    寒天及びアルギン酸塩を重量比率1:1〜1:20で含有し、
    前記アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、
    前記アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、
    前記2価カチオンと前記1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であって、
    20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水に吸水膨潤し、平均粒子径が300μmの場合において、前記20℃の蒸留水及び前記90℃の蒸留水にも前記乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになる
    ことを特徴とする乾燥食品。
  2. 前記1価カチオンの塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムのうちいずれか一以上であり、前記2価カチオンの塩が、アルギン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載の乾燥食品。
  3. 前記乾燥食品が、うどん、そば、中華麺(ラーメン)、スパゲティー、素麺、米粉麺、タピオカパール、マカロニ、またはひやむぎであることを特徴とする請求項1または2記載の乾燥食品。
  4. 平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物及び穀粉を含む原料に水を加えて混錬して生地を作成する工程を備え、乾燥時の含水量が20%以下の乾燥食品の製造方法であって、
    前記乾燥組成物は、
    寒天及びアルギン酸塩を重量比率1:1〜1:20で含有し、
    前記アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、
    前記アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、
    前記2価カチオンと前記1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であって、
    20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水に吸水膨潤し、平均粒子径が300μmの場合において、前記20℃の蒸留水及び前記90℃の蒸留水にも前記乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになり、
    前記寒天及び前記アルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程と、
    前記混合溶液を冷却して寒天ゲルを得る工程と、
    前記アルギン酸塩に2価カチオンを反応させてアルギン酸塩ゲルを得る工程と、
    前記寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルを脱水乾燥する工程と、
    前記各工程中、前記各工程間又は前記脱水乾燥する工程後に、1価カチオンを添加する工程と、を備えた製造方法により得られる
    ことを特徴とする乾燥食品の製造方法。
JP2017140372A 2017-07-19 2017-07-19 穀粉加工食品及びその製造方法 Active JP6967267B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017140372A JP6967267B2 (ja) 2017-07-19 2017-07-19 穀粉加工食品及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017140372A JP6967267B2 (ja) 2017-07-19 2017-07-19 穀粉加工食品及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019017329A JP2019017329A (ja) 2019-02-07
JP6967267B2 true JP6967267B2 (ja) 2021-11-17

Family

ID=65352394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017140372A Active JP6967267B2 (ja) 2017-07-19 2017-07-19 穀粉加工食品及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6967267B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7205262B2 (ja) 2019-02-01 2023-01-17 株式会社デンソー 警報装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019017329A (ja) 2019-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104507331A (zh) 干燥组合物和含有该干燥组合物的食品
JP6724104B2 (ja) 大麦粉末を含む食品
EP2926665A1 (en) Rice dough composition, and rice dough prepared therefrom
JP3969512B2 (ja) 食物繊維強化麺類
JP6967267B2 (ja) 穀粉加工食品及びその製造方法
JP5800124B2 (ja) 米様食品及びその製造方法
JP7210136B2 (ja) 糖質制限麺
JP6383560B2 (ja) 乾燥組成物、吸水膨潤剤及びそれを含有する食品
JP2010207151A (ja) コンニャク含有麺及びその製造方法
KR20140146066A (ko) 전분 가공품의 개질방법
JP2016123388A (ja) ドウ組成物からなる多層積層体と層状食品
JP6588755B2 (ja) ピックル液
JPS6274255A (ja) フライ食品用パン粉およびその利用
TW201633929A (zh) 穀類加工食品用鬆散改良劑及穀類加工食品
JP6423238B2 (ja) 麺類の製造方法
JP6910048B2 (ja) 電子レンジ調理用食品及びその製造方法
JP7018273B2 (ja) 麺類の品質改善用組成物、その製造方法、及び麺類
JP7235498B2 (ja) こんにゃく粉末の製造方法
WO2021084803A1 (ja) 加熱調理用固形状ペースト組成物及びその製造方法
JP7399513B1 (ja) 澱粉含有組成物の物性改良剤及び澱粉含有組成物の物性改良方法、並びに澱粉含有組成物
JP4504897B2 (ja) 麺類の製造方法
JP2020080701A (ja) 飲食品、及び飲食品の製造方法
JP6995610B2 (ja) フライ麺類の製造方法およびフライ麺類の吸油を低減させる方法
JP6463406B2 (ja) 湯伸び抑制剤、及び湯伸び耐性麺の製造方法
JP6886665B2 (ja) グルコマンナンを含む乾物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200622

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210413

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211012

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211018

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6967267

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150