JP2020080701A - 飲食品、及び飲食品の製造方法 - Google Patents

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宏樹 山崎
Hiroki Yamasaki
宏樹 山崎
智 豊泉
Satoshi Toyoizumi
智 豊泉
誠 中馬
Makoto Chuma
誠 中馬
清香 石原
Seiko Ishihara
清香 石原
美樹 太田
Miki Ota
美樹 太田
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Abstract

【課題】物理処理澱粉を含有する飲食品の物性及び食感を改良した飲食品の提供。【解決手段】物理処理澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又は以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有する飲食品;(a)馬鈴薯を原料とする、(b)DEが2以上6以下である、(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、飲食品、及び飲食品の製造方法等に関する。
食品製造において、小麦粉又は澱粉類を主成分として含有するフラワーペースト等のフィリング材が、パン及び菓子類等に利用されている。澱粉は、多量の水の存在下で加熱されると、ある一定の温度域で周囲の水を吸収して膨潤し、それによって粘度が上昇する。このような現象を澱粉の「糊化」という。かかる現象ゆえに澱粉は、加工食品の増粘剤又は保型剤として幅広く利用されている。しかしながら、天然の未変性の澱粉は、糊化時又はその後の撹拌によって澱粉粒が崩壊して当初の粘度を保持できなくなる、いわゆる「ブレークダウン」といった現象が生じる。「ブレークダウン」は、撹拌時の剪断力が高いほど、或いは系のpHが低いほど顕著であり、加工食品の製造に際して問題になる場合がある。
例えば、フラワーペースト及びジャム等の食品用ペーストには、ブレークダウンが生じる澱粉は適さず、澱粉粒の崩壊による粘度低下が抑制された澱粉が従来から使用されている。かかる澱粉としては、澱粉分子中のグルコース鎖を化学反応によって架橋し、品質改良を施した、アジピン酸架橋澱粉、又はリン酸架橋澱粉(化工澱粉又は加工澱粉と呼ばれる)が用いられている。
また、澱粉のブレークダウンを抑制するために、増粘多糖類を併用し、物理処理を行った澱粉の改質も種々試みられており、特許文献1では、キサンタンガムと澱粉を粉末混合した後、水を添加し水分調整を行ない、これを乾式条件下で100℃〜200℃で30分から5時間加熱処理して澱粉を改質することが提案されている。また、特許文献2では、生大豆粉を澱粉に対し0.1%〜20%の割合で混合し、初期水分が8%以上で加熱熟成することを特徴とする加工澱粉の製造法が開示されている。さらには、減圧ラインと加圧蒸気ラインとの両方を付設し、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器内に澱粉を入れ、減圧した後、蒸気導入によって加圧加熱を行い、或いはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後冷却する、湿熱処理澱粉の製造法(特許文献3)、及び熱抑制された、α化していない顆粒デンプンの製造方法であって:(a)デンプンを実質的に無水となるまで脱水し、そして(b)この実質的に無水なデンプンを100℃以上の温度でこのデンプンを抑制するのに有効な時間加熱処理する;ことを含んで成る方法(特許文献4)、澱粉と水溶性ヘミセルロースの質量比率が99.5:0.5〜80:20(質量比)の粉末混合物を、100〜200℃にて湿熱処理することを特徴とする澱粉の改質方法(特許文献5)等が提案されている。
これら物理処理澱粉は、化学処理を行なわずに製造できることから、近年、いわゆるクリーンラベル澱粉として注目されている。しかし、物理処理澱粉を含有する飲食品の物性及び食感は未だ改善の余地があり、この問題を解決する新たな方法の提供が求められている。
特開2005−54028号公報 特開昭56−78572号公報 特開平4−130102号公報 特表平9−503549号公報 国際公開第2009/110610号
本発明では、物理処理澱粉を含有する飲食品の物性及び食感を改良することを目的とする。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
物理処理澱粉、並びに
果実由来食物繊維及び/又は以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有する飲食品;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置
した時の粘度が150mPa・s以下である。
項2.
前記物理処理澱粉が、
試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリー調製し、
当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、
(1)試料の温度を、
0〜 60秒まで、50℃で保持し、
60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
282〜432秒まで、95℃で保持し、
432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
(2)パドルの回転数を、
0〜10秒まで960rpm、及び
10秒以降は160rpmとする
条件で、当該60〜780秒の間、測定したときに、
この間の当該粘度の最大値が1000mPa・s以下である性質を有する、
項1に記載の飲食品。
項3.
前記物理処理澱粉が、湿熱処理澱粉又は熱抑制処理澱粉である、項1又は2に記載の飲食品。
項4.
前記物理処理澱粉が、澱粉、及び果実由来食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理することにより得られる澱粉である、項1又は2に記載の飲食品。
項5.
物理処理澱粉、並びに
果実由来食物繊維及び/又は以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有させることを特徴とする、飲食品の製造方法;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置
した時の粘度が150mPa・s以下である。
項6.
前記物理処理澱粉が、
試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリー調製し、
当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、
(1)試料の温度を、
0〜 60秒まで、50℃で保持し、
60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
282〜432秒まで、95℃で保持し、
432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
(2)パドルの回転数を、
0〜10秒まで960rpm、及び
10秒以降は160rpmとする
条件で、当該60〜780秒の間、測定したときに、
この間の当該粘度の最大値が1000mPa・s以下である性質を有する、
項5に記載の飲食品の製造方法。
項7.
前記物理処理澱粉が、湿熱処理澱粉又は熱抑制処理澱粉である、項5又は6に記載の飲食品の製造方法。
項8.
前記物理処理澱粉が、澱粉、及び果実由来食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理することにより得られる澱粉である、項5又は6に記載の飲食品の製造方法。
本発明によれば、物理処理澱粉を含有する飲食品の物性及び食感を改良することができる。
実験例1における、試料溶液の物性測定結果を示す。 実験例2における、分離液状ドレッシングの外観を示す。 実験例3における、半固形状ドレッシングの外観を示す。
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。また、本明細書中、加熱とは、室温以下の温度を有する当該混合物の温度を、処理前より高くする処理を意味する。
(1)物理処理澱粉
本発明に係る物理処理澱粉は、澱粉粒に所望の物理処理を施すことにより製造される。物理処理の例としては、湿熱処理、熱抑制処理及びα化処理等が挙げられる。
本発明に係る物理処理澱粉は、試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリー調製し、
当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、
(1)試料の温度を、
0〜 60秒まで、50℃で保持し、
60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
282〜432秒まで、95℃で保持し、
432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
(2)パドルの回転数を、
0〜10秒まで960rpm、及び
10秒以降は160rpmとする
条件で、当該60〜780秒の間、測定したときに、
この間の当該粘度の最大値が、好ましくは1000mPa・s以下、より好ましくは600mPa以下、更に好ましくは550mPa以下、より更に好ましくは500mPa以下、特に好ましくは450mPa以下である性質を有する。
(1.1)澱粉
本発明で使用される澱粉は、化学処理による変性が生じていない澱粉(いわゆる生澱粉)である。当該澱粉としては、一般に流通している澱粉を広く利用することができる。澱粉は、澱粉粒として、植物の細胞内に蓄積されている。当該澱粉(又は澱粉粒)は、アミロペクチンを含有する。当該澱粉(又は澱粉粒)は、更にアミロースを含有することができる。
澱粉粒の構造は、いまだ完全には解明されていないが、うるち種の澱粉の場合はアミロース、及びアミロペクチンが、もち種の澱粉の場合はアミロペクチンが一定の規則的な構造を構成していると考えられている。一般に流通している澱粉は、細胞壁を破壊して、植物中の澱粉粒を取り出し、集めたものである。本明細書中、用語「澱粉」は、このような澱粉粒を包含することを意図して用いられる。
本発明で使用される澱粉の例は、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、コーン澱粉、甘蔗澱粉、小麦澱粉、緑豆澱粉、葛澱粉及びサゴ澱粉、並びにそれらのもち種澱粉(例:もち馬鈴薯澱粉、もち米澱粉)を包含する。その好適な例は、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、コーン澱粉、及び甘蔗澱粉、並びにそれらのもち種澱粉を包含する。本発明においては澱粉として、前記澱粉、及びその他の澱粉からなる群より選択される1種、又は2種以上の組み合わせ(例:混合物)を使用できる。
当該澱粉粒の粒子径(最長径)は、馬鈴薯澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば15〜100μmの範囲内、タピオカ澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば5〜35μmの範囲内、コメ澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば2〜10μmの範囲内、コーン澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば6〜25μmの範囲内、小麦澱粉の場合は例えば10〜35μmの範囲内、甘藷澱粉の場合は例えば15〜35μmの範囲内、緑豆澱粉の場合は例えば15〜25μmの範囲内、葛澱粉の場合は例えば3〜15μmの範囲内、及びサゴ澱粉の場合は例えば10〜60μmの範囲内であることができる。
また、当該澱粉粒の粒子径(最長径)の標準偏差は、馬鈴薯澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば1〜60μmの範囲内、タピオカ澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば1〜15μmの範囲内、コメ澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば0.1〜5μmの範囲内、コーン澱粉及びそのもち種澱粉の場合は例えば1〜11μmの範囲内、小麦澱粉の場合は例えば1〜15μmの範囲内、甘藷澱粉の場合は例えば1〜15μmの範囲内、緑豆澱粉の場合は例えば0.1〜5μmの範囲内、葛澱粉の場合は例えば0.1〜5μmの範囲内、及びサゴ澱粉の場合は例えば1〜30μmの範囲内であることができる。
当該澱粉粒の最長径/最短径の比は、例えば、約1.0〜約1.5の範囲内、1.1〜1.5の範囲内、又は約1.0であることができる。当該澱粉は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
(1.2)湿熱処理
湿熱処理とは、通常理解される通り、高い相対湿度条件下での加熱処理を包含することができる。具体的には、当該相対湿度は、好ましくは、80%以上より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、及び特に好ましくは100%であることができる。本発明の好適な一態様において、湿熱処理は、好ましくは水蒸気の存在下、より好ましくは飽和水蒸気下で実施される。本発明の別の好適な一態様において、湿熱処理は、好ましくは、前記混合物を、その水分含量が所定の範囲になるように(具体的には、水分含量が、例えば、50%以下、35%以下、30%以下、25%以下であり、好ましくは20〜50質量%になるように)調湿した後、100〜200℃で加熱する。当該加熱は、湿熱処理、又は乾熱処理であることができる。
湿熱処理の温度の下限の好適な例は、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、及び120℃を包含する。当該温度をこのような数値以上に設定することにより、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊を抑制する効果を高くすることができる。また、当該温度をこのような数値以上に設定することにより、レトルト殺菌を含む加熱殺菌後の澱粉含有溶液のゲル化を抑制する効果を高くすることができる。
湿熱処理の温度の上限の好適な例は、200℃、150℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、及び110℃を包含する。当該温度をこのような数値以下に設定することにより、改質処理に起因する澱粉の望まざる着色を防止又は抑制できる。
湿熱処理の温度は、好ましくは95〜140℃の範囲内、より好ましくは100℃〜130℃の範囲内、及び更に好ましくは105℃〜130℃の範囲内であることができる。
湿熱処理の時間の下限の好適な例は、0.5分間、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、8分間、10分間、12分間、15分間、及び20分間を包含する。当該時間をこのような数値以上に設定することにより、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊を抑制する効果が高くすることができる。また、当該時間をこのような数値以上に設定することにより、レトルト殺菌を含む加熱殺菌後の澱粉含有溶液のゲル化を抑制する効果を高くすることができる。
湿熱処理の時間の上限の好適な例は、180分間、150分間、120分間、90分間、60分間、40分間、30分間、20分間、15分間、10分間、5分間、2分間、及び1分間を包含する。当該時間をこのような数値以下に設定することにより、改質処理に起因す
る澱粉の望まざる着色を防止又は抑制できる。
湿熱処理の時間は、好ましくは1〜300分間の範囲内、より好ましくは5〜300分間の範囲内、更に好ましくは10〜180分間、より更に好ましくは10〜120分間の範囲内であることができる。
好適に、湿熱処理の温度をより高く設定する場合、時間をより短く設定することが可能であり、並びに湿熱処理の温度をより低く設定する場合、時間をより長く設定することが可能であり湿熱処理の温度と時間の好適な組合せの例は、
(1)95〜120℃の範囲内の温度、且つ10〜120分間の範囲内の時間、及び
(2)120〜140℃の範囲内の温度、且つ3〜60分間の範囲内の時間を包含する。
当該湿熱処理は、例えば、
(1)市販のオートクレーブ等の加圧加熱容器を使用して行うこと、
(2)流動層造粒乾燥機、及び/又はハイブリッドキルン等の装置に、水蒸気、過熱水蒸気、及び/又は水スプレーなどを組み合わせて加熱処理をすること、及び
(3)恒温恒湿槽を用いて所望の温度及び湿度条件で加熱処理すること等の方法によって実施できる。
前記「オートクレーブ」とは、当業者が通常理解する通り、圧力釜又は加圧蒸気釜と呼ばれる装置の一形態であり、密閉容器中で排気バルブを制御しながら水を加熱することにより、内圧を保ちながら水蒸気温度を100℃以上にすることができる装置である。当該オートクレーブは、加圧熱殺菌及び/又は水熱合成に用いられており、加圧熱殺菌用のものでは上限4気圧、130℃程度までの処理が可能であり、一方、水熱合成用のものでは、数百気圧、300℃程度までの処理が可能である。オートクレーブ容器内の相対湿度は100%となることができる。
前記「ハイブリッドキルン」とは、インダクション加熱(IH)による外熱加熱と過熱水蒸気による内熱加熱方式を併用したロータリー型の装置であり、キルン内に試料を投入した後、加熱しながら飽和又は過熱水蒸気を吹き込むことにより湿熱処理を行なうことができる。飽和水蒸気を用いる場合は100℃程度、過熱水蒸気を用いる場合は105℃〜400℃程度の加熱処理を行うことができる。当該ハイブリッドキルンは開放系なので、加熱時間中、常に水蒸気を供給する必要がある。キルン内圧力は大気圧(1気圧)である。当該水蒸気量は、供給する水蒸気の温度、水蒸気流の線速度及び加熱時間によって決定される。実際には、供給した水蒸気量は水蒸気発生装置が消費した水の量から計算することができる。
前記恒温恒湿槽とは、常圧開放系の処理槽中をヒーターで加熱しつつ、水を別のヒーターで加熱し、水蒸気を吹き込むことにより槽内に相対湿度80〜100%の雰囲気をつくり、この状態から排気ファンによって槽内から水蒸気を適宜排出することによって湿度及び温度を一定にコントロールすることができる熱処理装置である。当該恒温恒湿槽の場合、温度及び相対湿度は、湿球温度計及び/又は乾球温度計により自動的に計算され設定された温度及び湿度に制御することができる。恒温恒湿槽の槽内は開放系なので、加熱時間中、常に水蒸気を供給する必要がある。槽内圧力は大気圧(1気圧)である。当該水蒸気量は、設定した槽内の相対湿度、槽内の温度及び処理時間によって決定される。実際には、供給した水蒸気量は、ハイブリッドキルンと同様に恒温恒湿槽に供給された水の量から計算することができる。
湿熱処理の加熱時間は、湿熱処理の方法によって変化し得る。例えば、特開平6−145203号公報に記載の方法に従って湿熱処理される場合、まず約0〜500トール(約0〜66.661kPa)に減圧し、その後加圧蒸気を導入して約100℃〜約150℃にて約2分〜約120分間保持することにより加熱処理される。湿熱処理は、種々の文献に記載されており、当該分野で公知の任意の湿熱処理方法に従って行われ得る。特開平4−130102に記載のように、減圧ラインと加圧蒸気ラインとの両方を付設し、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器内に澱粉を入れ、減圧とした後、蒸気導入による加圧加熱を行い、或いはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後冷却することによって湿熱処理澱粉の効率的製造することもできる。その他、湿熱処理は例えば、特開平6−145203号公報、特開平4−130102号公報および月刊フードケミカル2010−2(P.37−42)等に記載されている。
湿熱処理の温度、時間などは目的とする澱粉およびその物性によって適切に設定され得る。本発明の好適な一態様における前記湿熱処理は、例えば、前記混合物を、密閉容器内に水蒸気を導入した加圧環境下で5〜300分間加熱する処理であることができる。
湿熱処理澱粉の例としては、例えば、三和澱粉工業株式会社製の「デリカスター・シリーズ」、「ナチュラスター・シリーズ」、「アミロジェル」及び日本食品化工株式会社製の「ロードスター」が挙げられる。
(1.3)熱抑制処理
熱抑制処理とは、極めて低水分に乾燥した澱粉粒を、ドライ加熱処理することにより澱粉粒の結晶構造を強化することをいう。「極めて低水分に乾燥した澱粉粒」とは、水分含量が約1%未満の澱粉粒をいう。熱抑制処理される澱粉粒の水分含量は好ましくは約0%である。澱粉粒を極めて低水分に乾燥する方法は、例えば、特開2008−223032号公報に記載され、例えば、澱粉粒のpHを7.0以上のpHに調整してから、水分含量が約1%未満になるまで脱水する方法であり得る。この低水分に乾燥する場合のpHは好ましくはpH7以上であり、より好ましくはpH8より大きく、好ましくはpH7.5〜10.5であり、より好ましくはpH8〜9.5である。脱水は熱的脱水であってもよく、非熱的脱水であってもよい。ドライ加熱処理の際には、澱粉を抑制するのに充分な時間にわたって充分な温度で熱処理する。好ましくは、澱粉を非凝集性にするのに充分な時間にわたって充分な温度で熱処理する。熱抑制処理のための好ましい加熱温度は、約100℃よりも高い。熱処理温度は好ましくは約200℃以下である。熱抑制処理のための加熱温度は、より好ましくは約120℃〜約180℃であり、特に好ましくは約140℃〜約160℃であり、最も好ましくは約160℃である。抑制のレベルはpH、加熱温度および加熱時間に依存する。pHが高いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱処理温度が高いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱処理時間が長いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱抑制処理のための熱処理時間は、例えば約3時間以上であり、好ましくは約20時間以下である。熱抑制処理は、種々の文献に記載されており、当該分野で公知の任意の熱抑制処理方法に従って行われ得る。熱抑制処理は、例えば、米国特許第6,221,420号公報、国際公開第1995/004082号、特表平9−503549及び特開2008−223032号公報に記載されている。熱抑制処理の温度、時間などは目的とする澱粉およびその物性によって適切に設定され得る。物理処理は当該分野で周知の方法に従って実施され得る。
熱抑制澱粉の例としては、例えば、イングレディオン社製「ノベーション・シリーズ」が挙げられる。
(1.4)物理処理澱粉の好適製造例
本発明に係る物理処理澱粉は、澱粉、及び増粘多糖類等の素材の混合物を、水の存在下で加熱することによっても製造できる。例えば、国際公開第2008/143144号及び国際公開第2009/110610号には、澱粉及び水溶性ヘミセルロースの混合物を、水の存在下で加熱することにより、物理処理澱粉を製造している。
本発明に係る物理処理澱粉は、好ましくは、澱粉、及び果実由来食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理することにより製造することができる。具体的には、本願出願人によるPCT/JP2018/019900の記載を参照できる。
本発明で使用される果実由来食物繊維は、一般に流通している果実由来食物繊維を広く利用することができる。本発明で使用される果実由来食物繊維は、また例えば、果実の圧搾後に果汁を除いた残渣、又はその精製物として調製できる。
本発明で使用される果実由来食物繊維は、好適に、水溶性食物繊維、及び水不溶性食物繊維を含有する複合型食物繊維であることができる。本発明で使用される果実由来食物繊維は、好適に、ペクチン質を含有する食物繊維であることができる。当該水溶性食物繊維の例は、水溶性ヘミセルロース、及びペクチン、並びにそれらの組合せを包含する。当該不溶性食物繊維の例は、セルロース、リグニン、不溶性ヘミセルロース、及びプロトペクチン、並びにそれらの組合せを包含する。
前記複合型食物繊維は、好適に、食物繊維を50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上含有することができる。前記複合型食物繊維は、好適に、不溶性食物繊維を、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、又は60質量%以上含有することができる。前記複合型食物繊維は、好適に、水溶性食物繊維を、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上含有することができる。前記複合型食物繊維が含有する水不溶性食物繊維及び水溶性食物繊維の質量比は、好ましくは1:0.2〜1:15、より好ましくは1:0.3〜1:10、及び更に好ましくは1:0.4〜1:5の範囲内であることができる。本発明に関し、食物繊維含有量、水溶性食物繊維含有量、及び不溶性食物繊維含有量は、プロスキー変法によって、測定される。当業者が通常理解する通り、複合型食物繊維の、プロスキー変法によって測定された食物繊維含有量は、必ずしも100質量%、又はこれに近い値ではない。
本発明で使用される果実由来食物繊維の例は、シトラス由来食物繊維、リンゴ由来食物繊維、及びトマト由来食物繊維等を包含する。なかでも、シトラス由来食物繊維(シトラスファイバー)が好ましい。シトラスファイバーは、例えば、シトラスの圧搾後の残渣を粉末化し、及びこれに高衝撃を与えて得られたものであることができる。シトラスファイバーは、例えば、細胞のミセル構造が壊れポーラスな構造を有しているものであることができる。このような食物繊維は、公知の方法で製造すること、及び/又は商業的に入手することが可能である。
本発明において、果実由来食物繊維は、澱粉の改質剤として機能でき、従って、湿熱処理澱粉の製造に用いることができる。当該果実由来食物繊維は、他の澱粉改質剤を包含する1種以上の食品若しくは食品添加物との組み合わせ(例:添加、又は混合)において用いてもよい。当該「他の澱粉改質剤」の例としては、(a)水溶性ヘミセルロース、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、カラギナン、アラビアガム、ガティガム、及びセルロース、並びにそれらの誘導体等の多糖類;及び(b)その他の食物繊維が挙げられる。当該「食品若しくは食品添加物」の例は、タンパク質、油脂、糖類、塩類(ミネラル)、ビタミン類、調味料、香料、酸味料、色素、保存料、糊料、pH調整剤、及び甘味料を包含する。
本製造例における澱粉の物理処理は、澱粉粒が水への曝露、加熱及び/若しくは撹拌等の物理的な刺激によって膨潤及び/又は崩壊する性質を低減することを意味する。
本製造例における澱粉の物理処理は、澱粉、及び果実由来食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理することを含む。当該「水の存在下」とは、前記混合物が、前記加熱処理中に、水に曝露され得る環境内にあることを意味する。当該水の形態は、例えば、気体、又は液体、或いはこれらの組合せであることができる。当該「加熱処理」とは、前記混合物が、処理前の品温より高い温度に曝露されることを意味する。水の存在下での熱処理は、好適に、[1]水分含量が20%未満の前記混合物を湿熱処理すること、又は[2]前記混合物として、水分含量が20〜50質量%である混合物を用意し、及び当該混合物を100〜200℃で加熱することにより、実施できる。当該混合物は、澱粉、及び果実由来食物繊維を含有し、且つこれらが混合されている組成物であることできる。ここで、これらが「混合されている」状態は、通常理解される通り、澱粉、及び果実由来食物繊維の大部分(好ましくは、全て)が、相互作用(好ましくは接触)し得る程度に十分に近接している状態を意味する。本製造例における澱粉の物理処理において、澱粉、及び果実由来食物繊維は、これら以外の成分と共存していてもよい。当該組成物は、澱粉、及び果実由来食物繊維以外の成分を含有していてもよい。このような成分の例は、塩基性物質を包含する。
本製造例(なかでも、好適には、前記澱粉にタピオカ澱粉、もち種のコメ澱粉、及びもち種のコーン澱粉(以後、ワキシーコーンスターチとも表記する)並びにこれらの組合せを使用する態様)において前記澱粉、及び果実由来食物繊維との組み合わせにおいて、アルカリ性の化合物を使用できる。当該塩基性物質としては、水に溶かすとアルカリ性(例えば、8以上のpH)を示す物質が例示できる。その具体例は、周期表1族の金属(例:ナトリウム、カリウム)の水酸化物、炭酸塩、又は炭酸水素塩、有機酸塩;及び周期表2族の金属(例:カルシウム、マグネシウム)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、又は有機酸塩を包含する。当該有機酸の例は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、フマル酸、酢酸、及びシュウ酸を包含する。なかでも、周期表第1族の金属の炭酸塩又は炭酸水素塩が好ましく、及び周期表第1族の炭酸塩がより好ましい。
当該塩基性物質を使用する場合、その量は、前記澱粉の100質量部に対して、0.01〜0.5質量部の範囲内、好ましくは0.02〜0.2質量部の範囲内、及びより好ましくは0.1〜0.2質量部であることができる。
このような塩基性物質の使用により、本発明の方法による改質の効果をより増強し得る。
前記塩基性物質の使用時期は任意であり、例えば、澱粉、及び果実由来食物繊維を混合した後に、塩基性物質を添加及び混合してもよく、或いは澱粉、及び塩基性物質を混合した後に、果実由来食物繊維を混合してもよい。
(1.4.1)態様1(湿熱処理)
当業者が容易に理解できる通り、本発明の前記物理処理の一側面は、澱粉を、果実由来食物繊維との共存下で、湿熱処理することを含む方法であることができる。
澱粉、及び果実由来食物繊維の混合物は、両者を混合することにより用意できる。当該混合は、両者の少なくとも一部が接触できるように実施すればよい。本発明の一態様においては、粉末の澱粉と、粉末の果実由来食物繊維とが、混合される。本発明の別の一態様において、粉末の澱粉と、果実由来食物繊維の水溶液又は懸濁液とが、混合される。当該混合は、撹拌等の公知の方法で実施すればよい。
前記混合物における、前記澱粉及び前記果実由来食物繊維の質量比は、好ましくは99:1〜50:50、より好ましくは99:1〜80:20の範囲内、更に好ましくは98:2〜80:20の範囲内、より更に好ましくは98:2〜88:12の範囲内、特に好ましくは97:3〜90:10の範囲内、及び最も好ましくは約95:5である。果実由来食物繊維の割合が少なすぎる場合、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊を抑制する効果が小さくなる傾向があり、また、レトルト殺菌を包含する加熱殺菌の後の澱粉含有溶液のゲル化を十分に抑制できない傾向がある。一方、果実由来食物繊維の割合が多すぎる場合、粘度を上昇させる主成分である澱粉の含有量が少なくなりすぎる。
本態様の方法で物理処理された澱粉は、改質処理前の当該混合物と同様の質量比で、澱粉、及び果実由来食物繊維を含有し得る。
本態様における湿熱処理は、前記(1.2)の方法を参照できる。本態様により物理処理された澱粉は、好適に、元の澱粉に比べて、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊が抑制されている。
本態様によれば、好ましくは、前記物理処理澱粉が、試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリー調製し、
当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、
試料の温度を、0〜 60秒まで、50℃で保持し、
60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
282〜432秒まで、95℃で保持し、
432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
パドルの回転数を、
0〜10秒まで960rpm、及び
10秒以降は160rpmとする条件で、
当該60〜780秒の間、測定したときに、
この間の当該粘度の最大値が、
原料澱粉(未物理処理)の当該粘度の最大値より低い性質を有する物理処理澱粉;好ましくは、単独物理処理した原料澱粉の当該粘度の最大値より低い性質を有する物理処理澱粉;具体的には、例えば、好ましくは600mPa・s以下、より好ましくは550mPa・s以下、更に好ましくは、500mPa・s以下、及びより更に好ましくは450mPa・s以下である性質を有する物理処理澱粉へと改質される。
この間の当該粘度の最大値は、好ましくは、10mPa・s以上、より好ましくは30mPa・s以上、及び更に好ましくは50mPa・s以上である。本発明において好ましくは、この間の当該粘度の最大値は、780秒の時点(すなわち、前記測定の終了時)での粘度であることができる。
(1.4.2)態様2(水分量を調整した混合物の加熱処理)
当業者が容易に理解できる通り、本発明の前記物理処理の一側面は、前記混合物として、水分含量が20〜50質量%である混合物を用意し、及び当該混合物を100〜200℃で加熱することを含む方法であることができる。当該方法は、適宜、前記態様1における条件等の説明を参照して理解される。冗長な記載を避けるため、以下、前記態様1における条件等の説明を参照して理解される事項については記載を省略する。
当該方法では、前記混合物として、水分含量が20〜50質量%である混合物を用意する。当該混合物の用意は、澱粉及び果実由来食物繊維の混合物を調湿することによって実施できる。
調湿の方法としては、最終的に組成物の水分含量を20〜50質量%にできる方法ならば、特に限定されないが、澱粉及び果実由来食物繊維の混合物に、前記の水分含量になるように、秤量された水を、混合しながら滴下する方法、又はスプレー等で噴霧する方法を採用すればよい。
本態様における物理処理澱粉の製造方法は、大きく分けて、澱粉、果実由来食物繊維、及び水を均一に混合する混合工程と、加熱工程に分けられる。当該加熱は、湿熱処理、又は乾熱処理であることができる。当該湿熱処理は、前記で説明した処理であることができる。当該乾熱処理は、加熱工程中に外部から水分を加えずに加熱する処理であることができ、これを実現できる方法であれば、具体的な方法は、特に限定されない。その例は、対流伝熱乾燥装置、又は伝導伝熱乾燥装置等を使用する方法を含む。特に、混合、及び加熱を同時に行うことができ、滞留時間を長くすることが可能な、周囲を加熱可能なジャケットを備えた混合機形の加熱装置等を用いると、より効率がよい。加熱処理の際の温度の設定は、好ましくは100〜200℃の範囲内、及びより好ましくは120〜150℃の範囲内である。このような温度であることにより、長時間の加熱を必要とせず、且つ澱粉の望まざる変質(例:分解、転移、再会合、着色)が抑制される。
加熱処理の時間は、処理温度に応じて適宜選択することができる。加熱温度がより高い場合は、より短時間にでき、一方、加熱温度がより低い場合はより長時間にできる。具体的には、例えば、好ましくは10分〜5時間、及びより好ましくは1〜3時間であることができる。このような条件を採用することにより、果実由来食物繊維の改質効果が十分になり、且つ澱粉の望まざる変質を抑制できる。このようにして得られた澱粉は、その後、必要に応じて、解砕、調湿、篩分等の工程を通すことも可能である。
前記のようにして物理処理された澱粉は、所望により、解砕、調湿、及び篩分等からなる群より選択される1種以上の後処理を施されてもよい。
(2)飲食品
本発明に係る飲食品は、前記(1)の物理処理澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又は以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有することを特徴とする;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。
(2.1)果実由来食物繊維
本発明に係る飲食品は、前記(1)の物理処理澱粉に加え、果実由来食物繊維を含有し得る。当該果実由来食物繊維は、前記(1)を参酌できる。
(2.2)デキストリン
本発明に係る飲食品は、前記(i)の改質澱粉に加え、さらに以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有し得る。
(a)馬鈴薯を原料とする。
本発明が対象とするデキストリンは、馬鈴薯由来のデキストリンである。例えば、馬鈴薯澱粉を分解して得られるデキストリンである。デキストリンの原料としては、馬鈴薯の他、とうもろこし、甘藷、小麦、米、サゴ、及びタピオカなどの各種澱粉が存在するが、馬鈴薯以外を原料とするデキストリンを用いた場合は、本発明の効果を得ることができない。本原理は明らかではないが、原料により澱粉構造が異なるため、結果として得られるデキストリンの構造に影響が及ぶことに起因すると推測される。
(b)DEが2以上6以下である。
DE(Dextrose Equivalent:デキストロース当量)とは、澱粉の分解程度を還元糖の割合で示すものであり、すべての還元糖をブドウ糖(Dextrose)の量に換算し、その割合を全体の乾燥固形分に対する質量%で表したものである。DEの値が大きい程、還元糖の含有量が多く、DEの値が小さいほど、還元糖の含有量が少ないことを意味する。本発明ではDEが2以上6以下、好ましくは3以上5以下、より好ましくは3.5以上5未満であるデキストリンが使用される。
本発明では、DEが2以上6以下と低い値を示しながらも、粘度が低いデキストリンを用いることを特徴とする。具体的には、更に以下の性質(c)を有することを特徴とする;
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置
した時の粘度が150mPa・s以下である。
粘度(c)は、25℃の蒸留水で調製したデキストリンの30質量%水溶液を25℃で5分間静置した後、25℃条件下で、BL型回転粘度計(ローターNo.1)を用いて、回転数12rpmで1分間測定することによって求めることができる。
当該粘度の下限は制限されないが、通常、10mPa・sを挙げることができる。本発明において、好ましい粘度(c)は20〜150mPa・sであり、より好ましくは20〜100mPa・s、更に好ましくは30〜80mPa・sである。
本発明で用いるデキストリンは、好ましくは、更に以下の性質(d)を有することが好ましい;
(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10質量%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が15μm以下である。
平均粒子径は、レーザー回折粒度分布計を用いて測定される。本発明では、レーザー回折粒度分布計として、「レーザー回折粒度分布計SALD−2100((株)島津製作所製)」を用いた。
本発明で用いるデキストリンの好ましい平均粒子径(d)は、15μm以下であり、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。平均粒子径(d)の下限は特に制限されないが、例えば、0.1μm、好ましくは0.5μm、より好ましくは1μmが挙げられる。
本発明で用いられるデキストリンは、上記性質(a)〜(c)、好ましくは(a)〜(d)を満たすものであれば、分子量などは特に制限されない。
上記のような性質を備えるデキストリンは、原料となる澱粉を分解することで調製できる。澱粉の分解方法は、特に制限なく、例えば酵素処理による分解、酸処理による分解などが挙げられる。好ましくは酵素処理による分解(酵素分解)である。
デキストリンの調製方法として、具体的には、馬鈴薯澱粉を含有する水溶液に耐熱性α−アミラーゼを添加し、70〜95℃、好ましくは85〜95℃の範囲で加熱した後、その酵素分解の進行度を、(b)DE、及び(c)粘度を指標として追跡し、所望の範囲になったときに塩酸等の酸を添加し、煮沸することによって酵素処理を終了する方法を挙げることができる。
本発明に係る飲食品の製造方法は、前記(1)の物理処理澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又は上記の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有させる工程を含めば、特に制限されない。
本発明に係る飲食品は、通常、澱粉が使用される食品、又は澱粉を含有する食品であることができ、なかでも、好適に、澱粉が水中(又は自由水の存在下)で撹拌される工程、澱粉が水中(又は自由水の存在下)で糊化される工程、及び澱粉が水中で加熱される工程を含む製造方法で製造される食品であることができ、及びその具体例は、バッター;ソース、たれ類、甘酢あん、;スープ;ドレッシング(例:分離液状ドレッシング、半固形状ドレッシング、マヨネーズタイプドレッシング);ヨーグルト(例:無脂肪ヨーグルト、低脂肪ヨーグルト)、チーズ、及びサワークリーム等のデイリープロダクト;うどん、そば、スパゲティ、マカロニ、及び中華麺等の麺類(当該麺類は、例えば、生麺、半生麺、冷凍麺、乾燥麺、フライ麺、又はノンフライ麺等であることができる);パン類(例:食パン、全粒粉パン);ケーキ、及びクッキー等の焼き菓子類;アイスクリーム、アイスミルク、及びラクトアイス等の冷菓類;フラワーペースト(小麦粉含有ペースト)、及びカスタード風クリーム;団子、練りあん、及びようかん等の和菓子類;お好み焼き、たこ焼き、チヂミ、及びブリトー;餃子、春巻き、及び中華饅;ハム、及びソーセージ等の魚畜加工肉製品;煮しめ、甘露煮、湯煮、うま煮、及び煮豆等の煮物類;いため物、串焼、網焼、ホイル焼、及びかば焼等の焼物類;から揚げ、天ぷら、及びフライ等の揚げ物類;しゅうまい、及び茶わん蒸し等の蒸し物類;胡麻あえ等の和えもの類;並びにサラダ等を包含する。
本発明に係る飲食品における、前記(1)の物理処理澱粉の含有量は、これらの食品の種類、及びその使用目的に応じて、適宜、異なり得る。その好適な含有量は、適宜、その食品についての通常の澱粉の使用量を基準にして、これを増減させて製造試験をすることにより、決定すればよい。本発明に係る飲食品には、前記(1)の物理処理澱粉の含有量が、通常の澱粉の含有量と同じ、又は近似する量、及び同様の方法で用いられ得る。当該物理処理澱粉の当該好適な使用量を以下に例示する。
(1)ソース、たれ類、スープ、ドレッシング、又はヨーグルト等の、液状又は半固形状食品への、粘度付与、又はとろみ付けの目的で使用する場合:0.1〜20質量%
(2)ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、フラワーペースト、和菓子類、魚畜加工肉製品、及び蒸し物類等の、ゲル状又は固形状食品への、保形性付与、又は食感改良の目的で使用する場合:0.1〜20質量%
(3)低脂肪又は無脂肪のデイリープロダクトへの、保形性付与、又は食感改良の目的で使用する場合:0.1〜50質量%
(4)小麦粉含有食品(例:バッター、麺類、焼き菓子類、麺類、及び揚げ物類)において、小麦粉代替物として用いて、食感改良する目的(当該食感改良は、小麦粉の使用量を低減した食品、又は小麦粉を不使用にした食品に対して、小麦粉を通常通り使用した食品場合と同様の食感を付与することを含む)で使用する場合:小麦粉の0.5〜100質量%を代替
特に、本発明に係る飲食品がドレッシングである場合、前記(1)の物理処理澱粉の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.2〜9質量%であり、さらに好ましくは0.3〜8質量%である。
本発明に係る飲食品における、前記(1)の物理処理澱粉に加え、さらに含有させる果実由来食物繊維の含有量は、好ましくは0.01〜100質量%であり、より好ましくは0.05〜50質量%であり、さらに好ましくは0.1〜20質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。当該含有量に調整することにより、前記(1)の物理処理澱粉を含有する飲食品の物性及び食感をより改良することができる。具体的には、物理処理澱粉を含有する飲食品の粘度発現性、乳化安定性、固形分の分散安定性、及び保形性を向上させることができる。また、物理処理澱粉を含有する飲食品の継時的な粘度の減少が抑制することができる。
本発明に係る飲食品における、上記の性質(a)〜(c)を有するデキストリンの含有量は、好ましくは0.01〜100質量%であり、より好ましくは0.05〜50質量%であり、さらに好ましくは0.1〜20質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。当該含有量に調整することにより、前記(1)の物理処理澱粉を含有する飲食品の物性及び食感をより改良することができる。具体的には、改質澱粉を含有する飲食品の粘度発現性、ボディー感、口溶け、及び保形性を向上させることができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に記載のない限り、「部」は「質量部」を、また「%」は「質量%」を意味する。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
実験例1
[1]物理処理澱粉の調製
後記のものを原材料として用いた。実施例中、食物繊維含有率、及び水溶性食物繊維は、プロスキー変法によって決定された数値である。水溶性食物繊維の比率(%)は、副原料であるファイバー製品の製品質量を基準とする比率(「水溶性食物繊維含有量」/「シトラスファイバー製品の総質量」×100(%))である。
主原料(澱粉):馬鈴薯澱粉
副原料:シトラスファイバー:果実由来食物繊維(複合型食物繊維)[食物繊維含有率85%(水溶性食物繊維率19%)]
主原料と副原料の混合比率[95:5]で、粉体の主原料、及び粉体の副原料を混合し、及び得られた混合物を湿熱処理した。湿熱処理は、以下の装置を使用して、以下の条件で実施した。
装置:オートクレーブSX-500(株式会社トミー精工製)
処理温度:120℃
処理時間:10分
処理後の試料をステンレス製のバットに取り出し、室温で一晩乾燥させた。乳鉢で粉砕し、均一な粉末にした。
前記で調製した試料について、New Port Scientific社製Rapid Visco Analyzer(RVA)を用いて、次の条件で経時的に粘度を測定したところ、最大粘度579mPa・s、最終粘度579mPaであった。RVAはプログラムされた温度と攪拌(回転数)で被験試料を加熱及び冷却しながら連続してその粘度を測定することができる装置である。
<RVA測定条件>
(a)試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリーを調製し、及び
(b)当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、
試料の温度を、
0〜 60秒まで、50℃で保持し、
60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
282〜432秒まで、95℃で保持し、
432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
パドルの回転数を、
0〜10秒まで960rpm、及び
10秒以降は160rpmとする
条件で、当該60〜780秒の間、粘度を測定した。
[2]評価試験
(1)各試料溶液の物性評価
フルイドレオメーター ARES−LS1(TAインスツルメント社製)を用いて、各試料を含有する試料溶液の物性を調べた。各試料は以下のとおりである。
対照例1−1:キサンタンガム(「サンエース」三栄源エフ・エフ・アイ株式会社社製)
対照例1−2:前記[1]で調製した湿熱処理澱粉
実施例1:前記[1]で調製した湿熱処理澱粉、及びシトラスファイバー(混合比率[65:35])
比較例1−1:非処理馬鈴薯澱粉
比較例1−2:非処理ワキシーコーン澱粉
<測定条件>
機器:フルイドレオメーター ARES−LS1(TAインスツルメント社製)
冶具:φ50mm コーンプレート
ギャップ:0.056mm
温度:20℃
ずり速度:0.1−100 s−1
試料溶液は、イオン交換水に各試料を添加し、85℃で10分間撹拌溶解した後、8℃の水槽で20℃まで冷却後、20℃の水槽に1時間つけて20℃に調温することにより調製した。なお、試料溶液における各試料の濃度は、B型回転粘度計(東機産業社製、型式VISCOMETER TVB−10)を用いて、20℃、60rpmの条件で測定した粘度が400mPa・sとなるように調整した。
分散液が顕著にシュードプラスチック性を示す多糖類として、キサンタンガムが挙げられ、分散液に低ずり速度(低シェア 例えば0.1s−1)で変形が印加されるときには粘度が高く、高ずり速度(高シェア 例えば100s−1)で変形が印加されると粘度が非常に低くなる。当該性質を有すると、静置状態での保管中は高い粘度を示すので、乳化状態の安定化や、懸濁させている固形分を分散したままで安定化し、保形性の向上に効果を発揮する。本試験では、キサンタンガムを含有する対照例1−1と近い物性を有するほど、シュードプラスチック性が強く、乳化安定性、固形分の分散安定性、及び保形性が優れることがわかる。
結果を表1及び図1に示した。
高シェア(100s−1)に対する低シェア(0.1s−1)の粘度比は、湿熱処理澱粉を含有する対照例1−2において21.7倍であり、非処理澱粉を含有する比較例1−1(6.6倍)及び比較例1−2(8.6倍)に比べ、シュードプラスチック性が高かった。また、湿熱処理澱粉及びシトラスファイバーを含有する実施例1は、湿熱処理澱粉を含有する対照例1−2と比べても低シェア(0.1s−1)における粘度が高く、高シェア(100s−1)に対する低シェア(0.1s−1)の粘度比が41.9倍であり、シトラスファイバーの添加によりシュードプラスチック性が向上し、キサンタンガムを含有する対照例1−1に近づいた。本試験により、物理処理澱粉は非処理澱粉に比べて乳化安定性、固形分の分散安定性、及び保形性が優れることが示唆された。さらに、物理処理澱粉と果実由来食物繊維を併用することより、物理処理澱粉が有する乳化安定性、固形分の分散安定性、及び保形性をより向上できることが示唆された。
実験例2
次の製法で、表2及び3の処方に従い、分離液状ドレッシングを製造した。
<製法>
1.イオン交換水に試料を添加し、85℃で10分間加熱した。
2.サラダ油以外の残りの原料を添加し、1分間撹拌した。
3.サラダ油を添加した。
各試料は、以下のものを使用した。
物理処理澱粉A:実験例1で使用した湿熱処理澱粉と同じ
物理処理澱粉B:NOVATION 2500(熱抑制処理澱粉、イングレディオン社製、RVAを用いて実験例1と同一条件で測定した最大粘度242mPa・s、最終粘度242mPa)
物理処理澱粉C:ナチュラスター HP−H(湿熱処理澱粉、三和澱粉工業株式会社製、RVAを用いて実験例1と同一条件で測定した最大粘度519mPa・s、最終粘度519mPa)
シトラスファイバー:実験例1で使用したものと同じ
また、各試料の添加量は、B型回転粘度計(東機産業社製、型式VISCOMETER TVB−10)を用いて、20℃、60rpmの条件で測定したサラダ油添加前の水相部のみのドレッシングの粘度が、約100mPa・sとなるように調整した。
20℃に調温したサラダ油添加前の水相部のみのドレッシング、及びサラダ油を添加して手で3秒間振とうした直後のドレッシングを、B型回転粘度計(東機産業社製、型式VISCOMETER TVB−10)を用いて、60℃、60rpm及び6rpmの粘度を測定した。6rpm/60rpm(高ずり速度の粘度に対する低ずり速度での粘度の比)が大きくなるほど、シュードプラスチック性が強く、乳化安定性、固形分の分散安定性、及び保形性が優れることを意味する。
また、サラダ油添加後のドレッシングが充填された容器を手で3秒間振とうし、10分静置後の外観を観察した。「×」は油相部と水相部が分離したことを意味し、「○」は油相部と水相部が分離せず均一であったことを意味する。
結果を表4及び図2に示した。
物理処理澱粉及びシトラスファイバーを含有する実施例2−1〜2−3は、物理処理澱粉のみを含有する対照例2−1〜2−3に比べて、シュードプラスチック性が強く、10分静置後も油が分離しなかった。したがって、物理処理澱粉及びシトラスファイバーを併用することで、乳化安定性、固形分の分散安定性、及び保形性が向上し得ることが示された。
実験例3
次の製法で、表5の処方に従い、マヨネーズタイプの半固形状ドレッシングを製造した。なお、物理処理澱粉は実験例1及び2と同じものを使用した。
<製法>
1.イオン交換水に醸造酢及び食塩を添加し、物理処理澱粉、デキストリンを加えて90℃で10分間加熱した。
2.20℃まで冷却し、砂糖及びL−グルタミン酸ナトリウムを添加して3分間撹拌した。
3.卵黄を添加し、3分間撹拌した。
4.サラダ油を添加し、5分間撹拌した。
5.クリアランスを200μmに設定したコロイドミルで乳化を行なった。
6.脱気後、容器に充填した。

各試料は、以下のものを使用した。
物理処理澱粉A:実験例1で使用したものと同じ
物理処理澱粉B:実験例2で使用したものと同じ
(注)(a)馬鈴薯由来、(b)DE=3.8、(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が58(mPa・s)、(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が3μmのデキストリン。
前記半固形状ドレッシングを、ブルックフィールド回転粘時計(日本S.T.ジョンソンDV−II+)を用いて、20℃、6rpm、測定時間1分後の条件で粘度を測定した。また、前記半固形状ドレッシングを喫食し、「ボディー感」及び「口溶け」の官能評価を行なった。なお本明細書において、「ボディー感」とは、濃厚感、厚み感を感じることを意味する。また「口溶け」とは、口の中で溶けるような口当たりのことを意味する。さらに、容器から絞り出して5分経過後の前記半固形状ドレッシングの外観の様子を目視で確認し、「保形性」を評価した。絞り口の形状を維持しているほど、保形性が高いことを意味する。
なお、評価は対照例3を基準「+++」とし、+が多いほど高評価とした。
結果を表6及び図3に示した。
物理処理澱粉と(a)〜(d)の性質を有するデキストリンを含有する実施例3−1〜3−5は、物理処理澱粉のみを含有する対照例3に比べ、粘度発現が良好であり、優れた保形性を有していた。また物理処理澱粉と(a)〜(d)の性質を有するデキストリンを含有する実施例3−1〜3−5は、物理処理澱粉のみを含有する対照例3に比べ、ボディー感が強く、かつ口溶けが良好であり、優れた食感を有していた。したがって、物理処理澱粉及び(a)〜(d)の性質を有するデキストリンを併用することで、物理処理澱粉を含有する飲食品の保形性及び食感を改良できることが示された。

Claims (8)

  1. 物理処理澱粉、並びに
    果実由来食物繊維及び/又は以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有する飲食品;
    (a)馬鈴薯を原料とする、
    (b)DEが2以上6以下である、
    (c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置
    した時の粘度が150mPa・s以下である。
  2. 前記物理処理澱粉が、
    試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリー調製し、
    当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、
    (1)試料の温度を、
    0〜 60秒まで、50℃で保持し、
    60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
    282〜432秒まで、95℃で保持し、
    432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
    660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
    (2)パドルの回転数を、
    0〜10秒まで960rpm、及び
    10秒以降は160rpmとする
    条件で、当該60〜780秒の間、測定したときに、
    この間の当該粘度の最大値が1000mPa・s以下である性質を有する、
    請求項1に記載の飲食品。
  3. 前記物理処理澱粉が、湿熱処理澱粉又は熱抑制処理澱粉である、請求項1又は2に記載の飲食品。
  4. 前記物理処理澱粉が、澱粉、及び果実由来食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理することにより得られる澱粉である、請求項1又は2に記載の飲食品。
  5. 物理処理澱粉、並びに
    果実由来食物繊維及び/又は以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有させることを特徴とする、飲食品の製造方法;
    (a)馬鈴薯を原料とする、
    (b)DEが2以上6以下である、
    (c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置
    した時の粘度が150mPa・s以下である。
  6. 前記物理処理澱粉が、
    試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリー調製し、
    当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、
    (1)試料の温度を、
    0〜 60秒まで、50℃で保持し、
    60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
    282〜432秒まで、95℃で保持し、
    432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
    660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
    (2)パドルの回転数を、
    0〜10秒まで960rpm、及び
    10秒以降は160rpmとする
    条件で、当該60〜780秒の間、測定したときに、
    この間の当該粘度の最大値が1000mPa・s以下である性質を有する、
    請求項5に記載の飲食品の製造方法。
  7. 前記物理処理澱粉が、湿熱処理澱粉又は熱抑制処理澱粉である、請求項5又は6に記載の飲食品の製造方法。
  8. 前記物理処理澱粉が、澱粉、及び果実由来食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理することにより得られる澱粉である、請求項5又は6に記載の飲食品の製造方法。
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