JP4903673B2 - α化麺用ほぐれ剤 - Google Patents

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Description

本発明は、うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、はるさめ、ビーフン、フォーなどの麺類を茹で或いは蒸煮によってα化したα化麺のほぐれ性を改良するα化麺用ほぐれ剤、及び該α化麺用ほぐれ剤を用いたほぐれの良好なα化麺の製造方法に関する。特に、α化麺本来の風味や食味を損なうことなく、α化麺のほぐれ性を効果的に改良し、また、低コストでの提供が可能なα化麺用ほぐれ剤を提供すること、及び、該α化麺用ほぐれ剤を用いて、ほぐれ性に優れ、味覚の良好なα化麺を製造する方法に関する。
うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、はるさめ、ビーフン、フォーなどの麺類においては、製麺して得られた麺線を、茹でや蒸煮によって加熱して、澱粉をα化し、可食状態にする。このα化された澱粉は、糊状を呈し、粘着性の強い状態となる。更に、時間が経過すると、麺線の表面の水分が減少し、麺線の表面の粘着力がより強くなる。この加熱後の澱粉のα化による麺線の表面の粘着力の増加は、麺線どうしの結着を促進させ、ほぐれを悪くして喫食しにくいという不都合を生じさせたり、また、湯戻しに際しては、ほぐれが悪くなり、加熱ムラを生じるなどして、食味を低下させる等の問題が発生する。
近年、スーパーやコンビニエンスストアー等を介した流通形態では、うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、はるさめ、ビーフン、フォーなどの麺類が、加熱調理され、α化された麺類の形態で、流通、販売されている。このような麺類の販売形態では、麺線の結着が、麺のほぐれを悪くし、商品価値を低下させることになる。また、α化した麺類を冷凍して流通する冷凍麺においては、喫食時にボイル解凍や流水解凍のようになんらかの方法で解凍して喫食する事になるが、ほぐれ性が悪いと解凍時間が遅延され、業務用よりも火力の弱い家庭用でしばしば問題となっている。即席麺においては、ほぐれ性が良いことにより復元性が均一化し、復元時間が短縮される。つまり、ほぐれ性が悪いと復元が不均一になり、復元不良部分ができて即席性を大きく損なう。また、麺類のおいしさは麺類そのものの味や風味以外に、喫食時に麺類をすする行為からも得られる。喫食時に麺線が一本一本ほぐれていることにより、しなやかでつるみのある食感が感じやすくなる為おいしさを感じる事ができる。したがって、α化麺のほぐれ性の改善は、麺の喫食時の味覚の向上の点からも重要な課題となる。
以上のような理由から、従来、α化した麺類のほぐれ性の改善について、すなわち、α化した麺類をいかにして、均一に、ほぐれをよくするかの方法について種々の検討が行われてきた。麺線どうしが結着するのを防止し、麺線をほぐれやすくする従来の方法として、例えば、麺線表面をゼラチンでコーティングする方法(特開昭63−283547号公報)、油脂又は乳化油脂を麺線に付着させる方法(特開平3−247249号公報)、デキストリンを麺線表面に付着させる方法(特開平6−327427号公報)、が開示されている。
また、油脂組成物からなるほぐれ剤としては、構成脂肪酸中のオレイン酸含量が65%以上の高オレイン酸型油脂に水添処理を施した油脂に、乳化剤を添加した麺用ほぐれ油脂組成物(特開2001−352926号公報)が、油脂、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む麺類用油脂組成物(特開2006−6132号公報)が開示されている。更に、コラーゲンペプチド(特開2000−342209号公報)や、コラーゲン、大豆食物繊維、ゼラチンに、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナン、ローカストビーンガムを併用した麺用ほぐれ改良剤(特開2000−139386号公報)が開示されている。また、ポリアクリル酸ナトリウムを含有する麺用ほぐれ向上剤(特開2004−242570号公報)や、油脂、増粘多糖類と、水溶性ヘミセルロースを含む混合物を乳化したほぐれ改良剤(特開2003−265128号公報、特開2005−13135号公報)が開示されている。
炭水化物を用いたほぐれ改良剤としては、例えば、特開2001−238622号公報には、大豆由来の水溶性多糖類とたんぱく質の酵素分解物を有効成分として含有するほぐれ剤が、特開2002−65191号公報には、生澱粉の分解物であるデキストリンを含有したほぐれ剤などが開示されている。また、特開2006−51012号公報には、ポテトパルプを繊維質分解酵素やペクチン分解活性を持つ酵素で分解し、水抽出して乾燥した食品用ほぐれ剤が、特開2006−311849号公報には、ヒドロキシプロピルセルロース或いはヒドロキシプロピルセルロースと水溶性ヘミセルロースからなる麺ほぐれ改良剤が、開示されている。更に、特開2006−333796号公報には、タマリンド種子のようなガラクトキシログルカン又は低粘性ガラクトキシログルカンからなるほぐれ性改良剤が開示されている。
このように各種のほぐれ剤が開示されているが、これらのほぐれ剤は、そのまま麺にふりかけるものや、水に懸濁後麺表面にコーティングする使用法が例示されている。しかしながら、これらの従来のほぐれ剤は、油脂組成物のように、麺類自体の本来の味覚に影響を及ぼすものや、大豆由来の水溶性多糖類とたんぱく質の酵素分解物のように、乾燥により色が褐変したり、アレルゲンを含有しているため、場合によりそのことが問題となるような場合がある。更に、α化麺の風味や食味を劣化させるという問題を抱えている。また、ほぐれ剤の成分として生澱粉を分解したデキストリンを用いたものでは、十分なほぐれ性を示さず、満足のいく品質とはいえないものもある。したがって、従来のほぐれ剤は、α化麺本来の風味や食味を損なうことなく、α化麺のほぐれ性を効果的に改良するという観点からは、必ずしも満足のいくものではなかった。
特開昭63−283547号公報。 特開平3−247249号公報。 特開平6−327427号公報。 特開2000−139386号公報。 特開2000−342209号公報。 特開2001−238622号公報。 特開2001−352926号公報。 特開2002−65191号公報。 特開2003−265128号公報。 特開2004−242570号公報。 特開2005−13135号公報。 特開2006−6132号公報。 特開2006−51012号公報。 特開2006−311849号公報。 特開2006−333796号公報。
本発明の課題は、うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、はるさめ、ビーフン、フォーなどの麺類を茹で或いは蒸煮によってα化したα化麺のほぐれ性を改良するα化麺用ほぐれ剤、及び該α化麺用ほぐれ剤を用いたほぐれの良好なα化麺の製造方法を提供すること、特に、α化麺本来の風味や食味を損なうことなく、α化麺のほぐれ性を効果的に改良し、また、低コストでのα化麺のほぐれ性の改良が可能なα化麺用ほぐれ剤を提供すること、及び該α化麺用ほぐれ剤を用いて、ほぐれ性に優れ、味覚の良好なα化麺を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決し、上記のような従来みられたほぐれ剤の不具合を改良すべく鋭意検討する中で、α化した麺類に対し、特定の粘度を有する加工澱粉の分解物を含有したほぐれ剤を、α化麺の表面にコーティングすることによって、α化麺本来の風味や食味を損なうことなく、α化麺のほぐれ性を効果的に改良することが可能であり、また、該α化麺用ほぐれ剤を低コストで提供することが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、加工澱粉分解物の30重量%水溶液において32mPa・s以上であり、かつ加工澱粉分解物の10重量%水溶液において3000mPa・s以下の粘度の加工澱粉分解物を含有することを特徴とするα化麺用ほぐれ剤からなる。更に、本発明は、本発明のα化麺用ほぐれ剤を、α化麺の表面に塗布するか、或いは、本発明のα化麺用ほぐれ剤を含有する溶液にα化麺を浸漬するかして、α化麺の表面にα化麺用ほぐれ剤をコーティングし、α化麺本来の風味や食味を有し、ほぐれ性に優れたα化麺を製造する方法からなる。
本発明において、粘度は加工澱粉の分解度の度合いを表示し、該粘度の表示において、「30重量%水溶液の粘度」は、「固形分換算で60gの該当試料と添加する水の合計量で200gにしたものを、内容量200mlのビ−カ−に秤取し、試料が冷水可溶の場合はそのまま溶解し、熱水可溶の場合は90℃まで昇温後冷却し、蒸発水分補正後、B型回転粘度計によって30℃の粘度を測定した値」として定義されるものである。また、「10重量%水溶液の粘度」は、「固形分換算で20gの該当試料と添加する水の合計量を200gになるようにし、以下30重量%水溶液の粘度と同様に測定した値」として定義されるものである。
本発明において、加工澱粉分解物の30重量%水溶液における粘度が32mPa・s以上であり、かつ加工澱粉分解物の10重量%水溶液における粘度が3000mPa・s以下の粘度の加工澱粉分解物を含有したほぐれ剤を、α化された麺表面に、α化麺の重量に対し固形分換算で0.01%から3%になるようにコーティングすることにより、麺に効果的にほぐれ性を付与することができる。本発明において、用いられる加工澱粉としては、タピオカ澱粉及び/又は糯種澱粉を加工して得られる加工澱粉が特に好ましく、該加工澱粉としては、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化澱粉、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉のうちの一種類又は二種類以上を用いることが特に好ましい。
本発明において、ほぐれ性に優れたα化麺を製造するには、本発明のほぐれ剤をα化麺の表面に塗布するか、或いは、本発明のほぐれ剤を含有する溶液にα化麺を浸漬するかして、α化麺の表面にα化麺用ほぐれ剤をコーティングすることにより行なうことができる。α化麺への加工澱粉分解物の添加量は、α化麺の麺重量に対して、固形物換算量で0.05〜3.0重量%になるように添加することが、好ましい。
すなわち具体的には本発明は、(1)ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化澱粉、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉から選択される加工澱粉の分解物からなり、該加工澱粉分解物の粘度が、30重量%水溶液において32mPa・s以上であり、かつ加工澱粉分解物の10重量%水溶液において3000mPa・s以下である加工澱粉分解物の一種類又は二種類以上を含有することを特徴とするα化麺の表面にコーティングするα化麺用ほぐれ剤や、(2)加工澱粉分解物を、固形分換算で0.1〜100重量%含有することを特徴とする上記(1)記載のα化麺用ほぐれ剤や、(3)タピオカ澱粉及び/又は糯種澱粉を加工して得られる加工澱粉の分解物を、1種類以上含有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載のα化麺用ほぐれ剤からなる。
また、本発明は、(4)上記(1)〜(3)のいずれか記載のα化麺用ほぐれ剤を、α化麺の表面に塗布するか、或いは、上記(1)〜(3)のいずれか記載のα化麺用ほぐれ剤を含有する溶液にα化麺を浸漬するかして、α化麺の表面にα化麺用ほぐれ剤をコーティングすることを特徴とするほぐれ性の良好なα化麺の製造方法や、()α化麺への加工澱粉分解物の添加量が、α化麺の麺重量に対して、固形物換算量で0.05〜3.0重量%になるように添加することを特徴とする上記()記載のほぐれ性の良好なα化麺の製造方法からなる。
本発明により、うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、はるさめ、ビーフン、フォーなどの麺類を茹で或いは蒸煮によってα化したα化麺のほぐれ性を効果的に改良するα化麺用ほぐれ剤を提供することができる。本発明のα化麺用ほぐれ剤を用い、ほぐれの良好なα化麺を製造することができ、ほぐれ性の改善により、喫食時の味覚や、湯戻しのような調理における復元性を改善して、商品価値の高いα化麺を提供することができる。特に、本発明の加工澱粉分解物からなるほぐれ剤は、加工澱粉分解物の特性から、α化麺本来の風味や食味を損なうことなく麺類にほぐれ性を付与することができ、また、本発明の加工澱粉分解物からなるほぐれ剤は、α化麺のほぐれ性を効果的に改良することができることから、低コストでのα化麺のほぐれ性の改善が可能であり、コストパフォーマンスの観点からも優れたα化麺のほぐれ剤を提供することができる。更に、本発明のα化麺用ほぐれ剤を用いて、α化冷凍麺を作製することにより、冷凍麺の喫食事の解凍を著しく促進することができ、例えば、家庭用等の火力が弱い系でも短時間で十分な解凍ができ、より一層手軽になった冷凍麺を供給する事ができる。
本発明は、加工澱粉分解物の30重量%水溶液において32mPa・s以上であり、かつ加工澱粉分解物の10重量%水溶液において3000mPa・s以下の粘度の加工澱粉分解物を含有することを特徴とするα化麺用ほぐれ剤からなり、更に、本発明は、本発明のα化麺用ほぐれ剤を、α化麺の表面に塗布するか、或いは、本発明のα化麺用ほぐれ剤を含有する溶液にα化麺を浸漬するかして、α化麺の表面にα化麺用ほぐれ剤をコーティングし、α化麺本来の風味や食味を有し、ほぐれ性に優れたα化麺を製造する方法からなる。
(原料澱粉)
本発明において、用いる加工澱粉分解物を調製するための加工澱粉の原料澱粉としては、自然界に見出される天然澱粉、或いは、交雑育種、転座、逆位、形質変換、またはそれらの変形を含むあらゆる他の遺伝子工学又は染色体工学の手法を含む標準的育種技術により得られた植物に由来する澱粉、或いは、人工的突然変異、及び既知の標準的な突然変異育種方法により生産することが可能な植物により得られた澱粉も、本発明に使用する原料澱粉に適している。澱粉への代表的な供給源は、穀類、塊茎、根、豆果及び果物である。天然源の具体例として、トウモロコシ、エンドウ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、オオムギ、コムギ、米、サゴ、アマランス、タピオカ、カンナ、モロコシ、及びそれらの糯種又は高アミロース品種が挙げられるが、特に好ましい原料澱粉としては、タピオカ澱粉及び糯種澱粉を挙げることができる。
(加工澱粉分解物)
本発明で使用する加工澱粉の分解物とは、加工澱粉を何らかの方法で分解し、粘度を低下させたものを指称し、具体的には、加工澱粉を微量の塩酸、硝酸などの酸と共に粉末状で焙焼する焙焼デキストリン、加工澱粉懸濁液に硫酸、塩酸などの酸や次亜塩素酸ソ−ダなどの酸化剤を添加して、粒子状のままで加工澱粉を低分子化した可溶性澱粉、蓚酸、塩酸などの酸を添加して加熱し、澱粉を糊化して低分子化したもの、或いは、αアミラーゼやβアミラーゼ等で加水分解した酵素分解物、及びこれらを水素添加した還元物、などが例示される。形態的には液状でも、要すれば噴霧乾燥、或いはドラム乾燥した粉末状であってもよい。また、可溶性澱粉は乾燥時ドラムドライヤ−を用いてα化し冷水可溶性としたものでもよい。更に、溶解性を向上させるために造粒などの物理的処理等によって溶解しやすい形態に加工されたものでもよい。
(加工澱粉分解物の調製)
本発明で用いられる加工澱粉の分解物は、加工澱粉に酸、酸化剤などの常用薬品を使用して製造する方法、或いは、αアミラーゼやβアミラーゼのような酵素を用いて酵素分解によって分解物を得る方法等のいずれの公知の澱粉の分解方法を用いてもよい。該加工澱粉の分解物を製造するために用いられる加工澱粉としては、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、リン酸架橋澱粉等のいずれの加工澱粉でもよいが、特に好ましくは、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化澱粉、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉のうちの一種類又は二種類以上を含有するものを挙げることができる。
(加工澱粉分解物の粘度)
本発明においては、α化麺の製造に際し、加工澱粉分解物の粘度が、30重量%水溶液において15mPa・s以上、10重量%水溶液において3000mPa・s以下の範囲に属する加工澱粉の分解物を添加する。粘度がこの範囲にない加工澱粉の分解物では本発明の効果が十分に発揮し得ない。すなわち、粘度が30重量%水溶液において15mPa・s以下の加工澱粉分解物を用いた場合には、α化された麺類の表面にコーティングした加工澱粉分解物が麺類内部へと浸透してしまい、コーティング効果が損なわれる事によってほぐれ効果を得る事ができなくなり、また、10重量%水溶液において、3000mPa・s以上の加工澱粉分解物を用いた場合には、α化された麺類の表面にコーティングされても、加工澱粉分解物の粘度が高い為に逆に結着力を増し、ほぐれ効果とは逆の効果を示す傾向となる。
本発明で用いる加工澱粉の分解物は、水溶液の粘度が30重量%において32mPa・s以上であり、かつ10重量%において3000mPa・s以下の範囲であれば、その製造法を特に限定する必要はなく、何れの分解方法も使用できる。焙焼デキストリンの場合、微量に存在する酸のために、そのままでは茹で麺の酸味がやや強くなり、これを防止するためには、麺に使用する前に酸を中和しておくか、予め精製して酸を除去しておく必要があり、手間がかかったり、余分にコストがかかるという難点があり、酸性やアルカリ性に偏らない可溶性澱粉などのごとく元来中性付近にある加工澱粉の分解物を使用することがより好ましい。
(粘度の測定)
本発明において、加工澱粉の分解度の度合いとして用いた粘度は、30重量%水溶液の粘度は、固形分換算で60gの該当試料と添加する水の合計量で200gにしたものを、内容量200mlのビ−カ−に秤取し、試料が冷水可溶の場合はそのまま溶解し、熱水可溶の場合は90℃まで昇温後冷却し、蒸発水分補正後、B型回転粘度計によって30℃の粘度を測定した値として表示される。また、10重量%水溶液の粘度は、固形分換算で20gの該当試料と添加する水の合計量を200gになるようにし、以下30重量%水溶液の粘度の測定の場合と同様に測定した値として表示される。
(α化麺)
本発明でいうα化麺とは、茹で或いは蒸煮処理された麺類を指称し、具体的には、うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、はるさめ、ビーフン、フォーなどの麺類を茹で或いは蒸煮によってα化処理されたものを意味し、常温、チルド、冷凍、或いは即席麺の状態で流通し、何も手を加えないか、水さばきのみをするか、解凍するか或いは湯もどしなどの再加熱後喫食されるものをいう。
(ほぐれ剤調製品)
本発明のほぐれ剤は、水溶液の粘度が30重量%において15mPa・s以上、10重量%において3000mPa・s以下の加工澱粉の分解物を単品で、或いは、これに他の成分を併用して調製することができる。たとえば、本発明の加工澱粉の分解物の成分に、更に、大豆多糖類、デキストリン、デキストラン、サイクロデキストリン、高度分岐環状デキストリン、イソマルトオリゴ糖、卵白粉末、卵黄粉末、全卵粉末、カゼイン、カゼインナトリウム、乳蛋白、コラーゲン、ゼラチン、血漿蛋白、小麦蛋白、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、グルコマンナン、カードラン、アラビアガム、カラヤガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タラガム、プルラン、ペクチン、フコイダン、アガロペクチン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、水溶性大豆多糖類、大豆食物繊維、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、ポリアクリル酸ナトリウム、乳化油脂、油脂、上記以外の乳化剤、及びそれらの酵素分解などの処理によって派生して得られた物質等の中から少なくとも1種又は2種以上を適量併用してもよい。また、本発明のほぐれ剤は、造粒した形態で調製することができる。かかる造粒の際には、加工澱粉の分解物を単品で造粒しただけでなく、該物質を他の物質と混合後造粒してもよい。
(ほぐれ性α化麺の製造)
本発明において、本発明のほぐれ剤成分を適用するα化麺の製造は、従来のα化麺の製造法に従って行うことができる。すなわち、小麦粉又はソバ粉、及び必要に応じて澱粉類を主原料として、水、食塩、かんすい等の副原料、及び必要に応じて重合リン酸塩、色素、卵粉、カゼイン、天然ガム、有機酸などのように通常用いられる添加物を使用して製麺した麺類を、沸騰浴中で茹でてα化、或いは、蒸煮によってα化、或いはその両方を用いてα化し、製造することができる。
ほぐれ剤は、該α化した麺類の表面に塗布するか、或いは、α化麺用ほぐれ剤を含有する溶液に、α化麺を浸漬することにより、麺の表面にコーティングして、添加することができる。この時、麺類の最終形態によっては、麺類を沸騰浴中で茹でてα化し、或いは、蒸煮によってα化した後の冷却中、或いは、冷却後に加工澱粉の分解物を添加してもよい。
α化した麺類をそのまま包装してチルド流通或いは、常温流通される形態において、又は、α化した麺類を冷凍して流通させる形態においては、麺類を茹で或いは蒸煮によってα化した後水洗いし、水切りした麺に加工澱粉の分解物の水溶液を均一に噴霧する方法によって、或いは、加工澱粉の分解物の水溶液に麺を浸漬させて吸着させる方法によって、又は、冷水に溶解する粉末状の加工澱粉の分解物を、水切りした麺にふりかける方法によって、ほぐれ剤をα化麺に適用することができる。更に、蒸煮殺菌前に有機酸処理されるロングライフ麺には、この有機酸溶液に溶解して添加する方法も実施することができる。
また、α化後熱風乾燥或いは油フライ乾燥して流通する即席麺においては、蒸煮或いは茹で或いはその併用によってα化された直後に、加工澱粉の分解物を含有したほぐれ剤を麺線に均一に噴霧する方法、加工澱粉の分解物を含有したほぐれ剤に浸漬させて表面にコーティングする方法によって、ほぐれ剤を麺に適用することができる。
加工澱粉の分解物をα化麺に添加する量としては、麺に使用される原材料、麺線の太さや形状、或いは貯蔵や流通期間の長短などによって、一概には言えないが、一般にはα化した麺重量に対して、加工澱粉の分解物の固形分換算量が0.05から3.0重量%程度の範囲になる様に添加する事が望ましい。固形分換算量が0.05重量%未満では本発明の効果が乏しくなる傾向を示し、3.0重量%を越えて添加しても麺線のほぐれ効果に差は見られずコストパフォーマンスに劣る。
このようにして製造されたα化麺は、常温やチルド・冷凍という従来と全く変わらない形態を取って流通させることができ、保存中或いは流通段階での麺線の付着が改善され、湯もどしする場合にも麺線のほぐれが容易であるα化麺が得られる。
以下に、実施例、参考例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、以下の実施例、参考例に於ける部は、重量部を表す。
(加工澱粉分解物の調製)
(1)タピオカ澱粉固形物100部に対して、大和化成株式会社製のαアミラーゼ(製品名:クライスターゼKD)0.15部を常法によって作用させ、タピオカ澱粉の分解物を得た。これを試料NO.1とし、30重量%粘度は、198mPa・sであった。
(2)タピオカ澱粉固形物100部に対して無水酢酸を5部を添加し常法に従って反応し、アセチル化澱粉を得た。更に、これを試作品NO.1と同法を用いて酵素分解して、アセチル化タピオカ澱粉の分解物を得た。これを試料NO.2とし、30重量%粘度は203mPa・sであった。
(3)タピオカ澱粉固形物100部に対してプロピレンオキシドを5部添加し常法に従って反応し、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を得た。更に、これを試作品NO.1と同法を用いて酵素分解して、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉の分解物を得た。これを試料NO.3とし、30重量%粘度は、225mPa・sであった。
(4)タピオカ澱粉固形物100部に対して、プロピレンオキシド5部及びトリメタリン酸ナトリウム0.05部を添加して常法に従って反応し、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。更に、これを試作品NO.1と同法を用いて酵素分解して、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉の分解物を得た。これを試料NO.4とし、30重量%粘度は、207mPa・sであった。
(5)タピオカ澱粉固形物100部にリン酸二水素一ナトリウム10部を添加し常法によって焙焼して作用させてリン酸モノエステル化タピオカ澱粉を得た。更に、これを試作品NO.1と同法を用いて酵素分解して、リン酸モノエステル化タピオカ澱粉の分解物を得た。これを試料NO.5とし、30重量%粘度は、183mPa・sであった。
(6)ワキシーコーンスターチ固形物100部に対して、プロピレンオキシド5部及びトリメタリン酸ナトリウム0.05部を添加して常法に従って反応し、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋ワキシーコーンスターチを得た。更に、これを試作品NO.1と同法を用いて酵素分解して、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋ワキシーコーンスターチの分解物を得た。これを試料NO.6とし、30重量%粘度は、276mPa・sであった。
(ほぐれの評価方法)
ほぐれの評価には、小麦粉80部、松谷桜2(松谷化学工業製アセチル化澱粉)20部、食塩1部、水38部をミキサーで混練し、複合・圧延して麺帯を1.00mmにした後、切り刃♯10角で切り出し蒸煮した。この蒸煮した後の麺に表1にあるように調製されたほぐれ液に浸漬して枠形成し、熱風乾燥してノンフライ麺のうどんを試作した。このノンフライ麺のうどんをカップに移して熱湯400mlで5分間湯もどしして、11名のパネラーが10点を満点にして箸でほぐして評価を行なった。表1の評価は、11名のパネラーの平均点である。
(評価結果)
ほぐれ液配合及びほぐれ評価の結果を、表1に示す。なお、表中、ソヤファイブは、不二製油株式会社製の水溶性大豆多糖類を、スーパーフレンジーMは、理研ビタミン株式会社製の麺用乳化油脂を示す。加工澱粉の分解物は、生澱粉の分解物よりもほぐれ効果の評価が高く、特にその中でも実験区2、実験区3、実験区4、実験区5でほぐれ効果の評価が高かった。
(加工澱粉分解物の調製)
(1)試料NO.3調製時に調製したヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉に次亜塩素酸ナトリウムを常法にて作用して、粘度の違うヒドロキシプロピルカタピオカ澱粉を得た。これらの試料粘度が、10重量%濃度において4000mPa・s、3000mPa・s、1000mPa・s、30mPa・sのものをそれぞれ試料NO.7、試料NO.8、試料NO.9、試料NO.10とした。
(2)更に、試料NO.3調製時に調製したヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉にクライスターゼKDを常法により作用させて、試料NO.3よりも分解度の進んだ試料を得た。これらの粘度が、30重量%濃度において、100mPa・s、32mPa・s、15mPa・sのものをそれぞれ試料NO.11、試料NO.12、試料NO.13とした。
(ほぐれの評価方法及び評価結果)
実施例1と同様にノンフライ麺うどんを調製してこれらの評価を行った。そのほぐれ液配合及びほぐれ評価結果を表2に示す。なお、試料NO.7、試料NO.8、試料NO.9、試料NO10は、加熱溶解してある。分解度が小さい順に、試料NO.7、試料NO.8、試料NO.9、試料NO.10、試料NO.3、試料NO.11、試料NO.12、試料NO.13である。試料NO.7及び試料NO.13を用いた比較例2及び比較例3では、対照例とほぼ同等の評価しか得られず、10重量%粘度が3000mPa・sよりも高い領域、或いは、30重量%粘度が15mPa・sよりも低い領域ではほぐれ剤としての効果を得る事ができなかった。
(ほぐれ麺の調製)
実施例1と同様のノンフライ麺うどんと同様の配合で、混練し、複合圧延して麺帯圧を2.80mmとしたものを、切り刃♯10角で切り出したうどんを、熱湯で10分茹でて冷水にて冷却した。それらに表3にあるように調製したほぐれ液を茹で麺重100部に対して3部噴霧したものを、ポリエチレン容器に200g量りとり、密閉した状態で冷蔵庫にて1日保存した後、50mlのめんつゆをかけてほぐれ効果を確認した。ほぐれ液配合及びほぐれ評価の結果を表3に示す。
表中、ソヤアップは、不二製油株式会社製水溶性大豆多糖類を含有した麺用ほぐれ製剤を示す。
麺類を冷蔵保存してそのまま喫食するためのほぐれ剤としても効果がある事がわかった。風味及び味の点において、対照区1と実験区2〜5の比較においては差異を感じる事がなかったが、対照区1と比較区1との比較においては、比較区1に比べて対照区1は、風味及び味が損なわれていた。本発明において開発したほぐれ剤成分である加工澱粉の分解物は、その溶液が透明であり、味や風味がほとんどないために麺の概観や食味・風味を損なう事無く麺類をほぐれやすくする。更に、原料が澱粉であり比較的安価に製造できる為、産業的においても非常にメリットのある素材である。
実施例3と同様にうどんを作り、10分茹でた後冷却し、さらに表4にある様に調製したほぐれ液に30秒間浸漬し、200gの麺をトレイに入れて急速冷凍して、冷凍うどんを調整した。この冷凍うどんを、ボイル解凍及び、1Lの30℃の水が入ったポリビーカーに入れて水解凍し、解凍性の速さを評価した。
解凍性の評価は、11名のパネラーが解凍性の速い順番に番号をつけ、その番号をスコア点集計して平均点をもって評価している。すなわち、スコア点が小さいほど解凍性が速い事を示している。また、解凍性の順位に有意差がない場合には、同率の順位を付す事にした。例えば、2位が同率の場合のスコアの羅列は、1、2、2、4である。
表4にみられるように、ほぐれ剤の添加量が増えるにつれて解凍が速くなった結果が得られた。冷凍麺も即席麺と同様に、麺線と麺線との接地ポイントでの解凍性(復元性)が一番遅く、本発明によって発明されたほぐれ剤によって、この接地ポイントがより速く解離して、解凍が速くなったと考えられる。本発明によって開発されたほぐれ剤を使用すれば、家庭用の火力が弱い系でも短時間で十分な解凍ができ、より一層手軽になった冷凍麺を供給する事ができる。

Claims (5)

  1. ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化澱粉、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉から選択される加工澱粉の分解物からなり、該加工澱粉分解物の粘度が、30重量%水溶液において32mPa・s以上であり、かつ加工澱粉分解物の10重量%水溶液において3000mPa・s以下である加工澱粉分解物の一種類又は二種類以上を含有することを特徴とするα化麺の表面にコーティングするα化麺用ほぐれ剤。
  2. 加工澱粉分解物を、固形分換算で0.1〜100重量%含有することを特徴とする請求項1記載のα化麺用ほぐれ剤。
  3. タピオカ澱粉及び/又は糯種澱粉を加工して得られる加工澱粉の分解物を、1種類以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載のα化麺用ほぐれ剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載のα化麺用ほぐれ剤を、α化麺の表面に塗布するか、或いは、請求項1〜3のいずれか記載のα化麺用ほぐれ剤を含有する溶液にα化麺を浸漬するかして、α化麺の表面にα化麺用ほぐれ剤をコーティングすることを特徴とするほぐれ性の良好なα化麺の製造方法。
  5. α化麺への加工澱粉分解物の添加量が、α化麺の麺重量に対して、固形物換算量で0.05〜3.0重量%になるように添加することを特徴とする請求項4記載のほぐれ性の良好なα化麺の製造方法。
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