JP3794958B2 - パスタサラダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存後においても外観及び食感の良好なパスタサラダに関する。
【0002】
【従来の技術】
マヨネーズやドレッシング等の酸性水中油型乳化食品は、日常の食生活で広く親しまれている調味料の一種であり、これを用いた代表的な食品としてサラダがある。サラダは、使用する主な食材により、ポテトサラダ、野菜サラダ、パスタサラダ、タマゴサラダ、フルーツサラダ等に分けられ、酸性水中油型乳化食品を用いたサラダは、一般的に食材と酸性水中油型乳化食品とを和えて製する。
【0003】
これらのサラダの内、パスタサラダは、その主な食材であるスパゲッティやマカロニ等の乾麺を茹でたものであり、吸水性が顕著である。すなわちパスタは、通常、乾麺を10分程度茹でるが、これを用いパスタサラダを製すると、製造直後は、パスタサラダ中の酸性水中油型乳化食品はしっとりとした状態を呈する。しかし経時的に酸性水中油型乳化食品中の水分がパスタに吸収され、僅か半日程度で酸性水中油型乳化食品が、脱水による分離を起こして「おから」のような状態となり、サラダ全体の外観を損なうという問題があった。
そのため、スーパーマーケット、惣菜屋等の小売店で販売されているパスタサラダにおいては、通常より長時間茹処理して過剰に吸水させ、吸水性を低下させたパスタを用いて製している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パスタを飽和状態まで吸水させると、パスタが水っぽく歯応えの無い食感となり、パスタサラダが美味しくなくなるという問題があることから、上述の市販のパスタサラダに用いるパスタは、通常のものより過剰に吸水させてはいるが、未だ吸水性を有した状態にしてある。したがって、このパスタで製した市販のパスタサラダは、製造後半日程度では問題にならないものの、1〜2日後には上述と同様、パスタサラダ中の酸性水中油型乳化食品がパスタの吸水作用による脱水分離を起こしておから状となり、サラダ全体の外観を損ない、また、酸性水中油型乳化食品中の水分を吸収したパスタは、水っぽい食感となりサラダとしての商品価値を失うという問題があった。
そのため、小売店では、売れ残ったのパスタサラダを翌日の販売に廻すことが出来ず、また、数日先の販売予定分をまとめて仕入れることも出来ず不便であった。
【0005】
そこで本発明は、酸性水中油型乳化食品を用いて製したパスタサラダであっても、保存後において外観及び食感の良好なパスタサラダを提供することを目的とする。
【0006】
尚、本出願人は、平成12年6月29日に、上記問題の解決を目的とする発明を別途出願している(特願2000−196997)。本発明は、この先願発明の改良を目的として為されたものであり、保存後においてもより外観及び食感の良好なパスタサラダを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(1) 10%水溶液の粘度(B型粘度計、25℃、30rpm)が1000mPa・s以下であり、かつ食物繊維含量(Prosky法)が50%以上である低粘度水溶性多糖類をパスタサラダ全体に対し0.6%以上含有したパスタサラダ、
(2) 低粘度水溶性多糖類がアラビアガム又はアラビノガラクタンである(1)記載のパスタサラダ、
(3) 10%水溶液の粘度(B型粘度計、25℃、30rpm)が1000mPa・s以下であり、かつ食物繊維含量(Prosky法)が50%以上である水溶性多糖類の部分分解物を含有したパスタサラダ、
(4) 水溶性多糖類がグアーガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、コンニャクマンナン、ローカストビーンガム、タラガム、トラガントガムの一種又は二種以上である(3)記載のパスタサラダ、
(5) パスタサラダ全体に対して水溶性多糖類の部分分解物を0.6%以上含有した(3)又は(4)記載のパスタサラダ、である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。尚、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
まず、本発明においてパスタサラダに含有した「低粘度水溶性多糖類」とは、アラビアガム、アラビノガラクタン等の10%水溶液の粘度が(B型粘度計,25℃,30rpm)1000mPa・s以下、好ましくは500mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以下であり、かつProsky法による定量で食物繊維を50%以上、好ましくは70%以上含有している多糖類をいう。ここでProsky法とは、酵素重量法ともよばれ、食物繊維の定量法としては最も簡単で精度が高く、汎用性のある定量法であり、具体的には、試料をアミラーゼ、アミログルコシダーゼ、プロテアーゼで処理し、エタノールで沈殿させ、非分解部分の重量を食物繊維(水溶性・不溶性)とする。AOAC(Association of Official Agricultural Chemists)公定法であり、本発明において食物繊維含量とはProsky法により定量したものを意味する。
【0009】
また、パスタサラダに含有した「水溶性多糖類の部分分解物」とは、グアーガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、コンニャクマンナン、ローカストビーンガム、タラガム、トラガントガム等の比較的高粘度の水溶性多糖類を原料にして、植物組織崩壊酵素(ガラクトマンナナーゼ、セルラーゼ、ポリガラクチュロナーゼ、ヘミセルラーゼ)などで主鎖を選択的に切断し、部分的に分解することにより得られる分解物をいう。分解されていることにより、元の水溶性多糖類と比べて、その水溶液の粘度が低くなる。その10%水溶液をB型粘度計を用い、25℃で、ローター回転数30rpmで測定したときの粘度は1000mPa・s以下、好ましくは500mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以下であり、かつProsky法による定量で食物繊維含量が50%以上、好ましくは70%以上である。
【0010】
上記低粘度水溶性多糖類の中で「アラビアガム」とは、「アラビアゴム」とも称され、主にマメ科植物アカシア属の樹木から採取することができる水溶性、低粘性の酸性ヘテロ多糖である。一般的には分子量2×105〜3×105程度であり、L−アラビノース、D−ガラクト−ス、D−グルクロンサン、L−ラムノース等から構成されている。このアラビアガムを水等の溶媒に溶解後、濾過・殺菌等の処理を施し乾燥したスプレードライ品(例;商品名「アラビックコールSS」、三栄薬品貿易(株)製)等のアラビアガムの加工品が市販されているので、これを用いると扱い易さの面で好ましい。その性状(分子量、粘度、食物繊維含量)については実施例1で説明する。
【0011】
また、「アラビノガラクタン」とは、カラマツなどの針葉樹、サトウカエデなどの樹液から採取した水溶性で低粘性のヘテロ多糖である。L-アラビノース、D-ガラクトース等から構成されており、平均分子量は7.2×104〜9.2×104である。また、粘度は40%水溶液でも40mPa・sであり、食物繊維含量は85%以上である。
また、上記水溶性多糖類の部分分解物の中で、グアーガム分解物が入手の容易さの点で好ましい。市販品としては、タナファイバー(田辺製薬(株)製)、サンファイバー(太陽化学(株)製)、ファイバロンS(大日本製薬(株)製)などが挙げられる。
【0012】
本発明においてパスタを和えるには、一般的にマヨネーズ、ドレッシングと称される酸性水中油型乳化食品を用いることが好適である。
ここで、低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物の酸性水中油型乳化食品全体に対する含有量は、低粘度水溶性多糖類においては1〜10%が好ましく、より好ましくは3〜10%であり、また水溶性多糖類の部分分解物にあっては2〜12%が好ましく、より好ましくは3〜12%である。含有量を1%以上(水溶性多糖類の分解物にあっては2%以上)とすることにより、これを用いて製した本発明のパスタサラダは、パスタサラダ中に和えられた酸性水中油型乳化食品が、保存2日後あるいはそれ以上おいても製造直後のしっとりとした状態をほぼ維持することが出来る。
尚、上記酸性水中油型乳化食品では低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物の含有量の上限を10%以下(水溶性多糖類の分解物にあっては12%以下)と規定しているが、これは、それより多くしたとしてもさほど効果が向上せず経済的でないからである。
【0013】
上記酸性水中油型乳化食品は、低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物の他に本発明の効果を損なわない範囲で、通常の酸性水中油型乳化食品に用いられている各種原料を適宜選択し含有させることが出来る。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等の食用油脂、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋等の何らかの処理を施した加工澱粉等の澱粉類、食酢、クエン酸、レモン果汁等の酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料、卵黄、ホスホリパーゼA処理卵黄、全卵、卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化材、動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料等が挙げられる。
【0014】
上記酸性水中油型乳化食品の製造方法は、低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物を一原料として含有させる以外は一般のマヨネーズやドレッシング等水中油型乳化食品の常法に則り製造すればよく、例えば、アラビアガムを含有し均一にした水相原料と油相原料とをミキサー等で粗乳化し、次いでコロイドミル、高圧ホモゲナイザー等で仕上げ乳化をした後、ボトル容器やガラス容器等に充填密封する方法が挙げられる。
【0015】
次に、本発明において「パスタサラダ」とは、茹でたスパゲッティ、マカロニ等のパスタを酸性水中油型乳化食品で和えて製したもので、この他に本発明の効果を損なわない範囲で、通常のパスタサラダに用いられる各種原料や具材を適宜選択し含有させることが出来る。例えば、きゅうり、にんじん、玉ねぎ、レタス、とうもろこし、ハム、茹で卵等の具材、食酢、クエン酸、レモン果汁等の酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料、動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料、並びに、酢酸ソーダ、グリシン、ポリリジン、卵白リゾチーム、プロタミン等の保存料あるいは静菌剤等が挙げられる。
【0016】
また、本発明のパスタサラダにおいては、食味を良好にするために、パスタサラダ全体に対する酸性水中油型乳化食品の含有量を、20〜50%程度にすることが好ましい。その際、酸性水中油型乳化食品の脱水分離を防ぐためには、パスタサラダ全体に対する低粘度水溶性多糖類の含有量が0.3%以上となるように、また、水溶性多糖類の部分分解物場合には含有量が0.6%以上となるように、酸性水中油型乳化食品の含有量を調整することが好ましい。すなわち、低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物の含有量を少なくしてある酸性水中油型乳化食品を用いてパスタサラダを製する場合には、酸性水中油型乳化食品の添加量を多めにすることにより、保存後においても外観及び食感の良好なパスタサラダを得ることができる。
【0017】
本発明のパスタサラダの製造方法としては、茹でたパスタと具材、調味料等と上記酸性水中油型乳化食品とを混合する方法が挙げられ、得られたパスタサラダはポリ袋やトレー等に充填する。また袋詰めしたものは、必要に応じ60〜90℃の湯浴等で加熱殺菌してもよい。
尚、本発明のパスタサラダに低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物を含有させるには、必ずしも上記方法をとる必要はなく、後の実施例でも述べるように茹でたパスタに酸性水中油型乳化食品と低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物を別個に加えて和える方法をとってもよい。
【0018】
また、マヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品ではなく、例えばトマト系ソースに低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物を含有させ、これを用いてパスタサラダを製すれば、パスタへの水分の移行がなく弁当用惣菜等に好適なナポリタン風パスタサラダが得られるなど、本発明はあらゆる種類のパスタサラダに広く適用できるものである。
【0019】
本発明のパスタサラダの製造に用いる茹でたパスタとしては、原料に乾燥パスタを用いる場合、乾燥パスタを茹処理してその質量が2.5〜3.5倍程度になるように吸水させたものを用いるのが好ましい。このように適度に吸水し、未だ吸水力を有した状態のパスタを用いることによって、水っぽくなく歯応えのある、食感の良好なパスタサラダを得ることができる。
【0020】
【作用】
本発明のパスタサラダにおいて、如何なる理由により酸性水中油型乳化食品中の水分がパスタに移行し難いかは必ずしも明らかではないが、本発明のパスタサラダに含有する低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物は水に溶かすと低粘度となり、また食物繊維が多いことから、酸性水中油型乳化食品中の水分と水素結合し易く、その結果、酸性水中油型乳化食品中の自由水を減少させ、パスタの吸水力に抗して酸性水中油型乳化食品中に水分を保持するため、脱水分離を起こし難いのではないかと推測される。
【0021】
特に、本発明のパスタサラダは、前記先願発明(特願2000−196997)のパスタサラダに比べてよりパスタへの水分の移行が少ないものであるが、これは低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物が、前記先願発明で用いた特定の糖組成を有するオリゴ糖と比べて分子量が大きく、かつ食物繊維を多く含むため、パスタ中に吸収されてしまうことなく酸性水中油型乳化食品中に止まってパスタの外表面に付着し、パスタの吸水力に抗して水分を保持するためであると考えられる。このような品質改良材を含有させた本発明のパスタサラダはオリゴ糖を含有させた前記先願発明のものに比べて保水力が強いため、パスタサラダを製した場合には、より少ない添加量で効果を発揮するだけでなく、水系原料や水分の滲出し易い具材を多く含有させても、パスタへの水分の移行を防ぎ、良好な食感を保持することができる。
また、オリゴ糖は少糖類であり、ショ糖と比較するとその甘味は少ないものの、若干甘味を有しているが、本発明で用いる低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物は無味無臭に近いため、本発明のパスタサラダは、味付けにおける自由度が大きく、様々な嗜好に対応し易いものである。
【0022】
次に、本発明を実施例及び試験例に基きさらに詳細に説明する。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【実施例1】
[マヨネーズ様食品▲1▼]
殺菌全卵11.5kg、食酢(酸度4%)10kg、アラビアガム[アラビックコールSS(商品名)、三栄薬品貿易(株)製]4kg、砂糖1.5kg、食塩1.8kg、タマリンド種子ガム0.4kg、グルタミン酸ナトリウム0.4kg、からし粉0.4kgをミキサーで均一とした後、菜種油70kgを注加して粗乳化させた。得られた粗乳化物をコロイドミルで仕上げ乳化を行なった後、10kgの樹脂製袋に充填・密封して、マヨネーズ様の酸性水中油型乳化食品(以下「マヨネーズ様食品▲1▼」と称する。)を製した。
尚、得られたマヨネーズ様食品▲1▼中のアラビアガムの含有量は、マヨネーズ様食品▲1▼全体に対して4%である。
また、アラビアガムとして用いた「アラビックコールSS(商品名)」は、スーダン産アラビアガムを濾過・殺菌等の処理を施し乾燥したスプレードライ品であり、その平均分子量は2×105〜2.5×105である。また、10%水溶液の粘度は約10mPa・sであり、食物繊維含量は85%以上である。
【0024】
[パスタサラダ▲1▼]
スパゲッティ[LLスパゲッティ(商品名)、昭和産業(株)製、乾燥品、直径1.8mm]1.8kgを95℃で22分間茹で、流水で2分間冷却した後水切りして、茹でたスパゲッティ5.7kgを得た。次に、この茹でたスパゲッティ全量、マヨネーズ様食品▲1▼3kg、清水0.7kg、茹でたいちょう切りのにんじん0.3kg、水さらしした3mmダイス状の玉ねぎ0.3kgをムラがなくなるまで十分に混合した後、ポリ袋に1kgずつ充填・密封し、65℃で60分間湯浴中で加熱殺菌してスパゲッティサラダ(以下「パスタサラダ▲1▼」と称する。)を製した。
尚、得られたパスタサラダ▲1▼全体に対するマヨネーズ様食品▲1▼の含有量は30%であり、また、パスタサラダ▲1▼全体に対するアラビアガムの含有量は1.2%である。
このパスタサラダ▲1▼は外観及び食感が良好であり、2〜30日間冷蔵保管後においても、マヨネーズ様食品はしっとりとした状態を保っており、また、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0025】
【実施例2】
[マヨネーズ様食品▲2▼]
実施例1のアラビアガム4kgの代わりにグアーガム分解物[タナファイバー(商品名)、田辺製薬(株)製]5kgを使用した以外は、実施例1と同配合、同製法で、マヨネーズ様の酸性水中油型乳化食品(以下「マヨネーズ様食品▲2▼」と称する。)を製した。
尚、得られたマヨネーズ様食品▲2▼中のグアーガム分解物の含有量は、マヨネーズ様食品▲2▼全体に対して5%である。
また、グアーガム分解物として用いた「タナファイバー(商品名)」は、グアーガムの酵素分解物を精製した天然物由来のガラクトマンナンで、平均分子量2000〜4000であり、10%水溶液の粘度は約20mPa・sである。また食物繊維含量は80%以上である。
【0026】
[パスタサラダ▲2▼]
マヨネーズ様食品▲1▼3kgの代わりにマヨネーズ様食品▲2▼3kgを用いた以外は実施例1の[パスタサラダ▲1▼]と同様にして、スパゲッティサラダ(以下「パスタサラダ▲2▼」と称する。)を製した。
尚、得られたパスタサラダ▲2▼全体に対するマヨネーズ様食品▲2▼の含有量は30%であり、また、パスタサラダ▲2▼全体に対するグアーガム分解物の含有量は1.5%である。
このパスタサラダ▲2▼は外観及び食感が良好であり、2〜30日間冷蔵保管後においても、マヨネーズ様食品はしっとりとした状態を保っており、また、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0027】
【実施例3】
[パスタサラダ▲3▼]
市販のマヨネーズ[キユーピー(株)製]3kg、清水0.58kg、アラビアガム(実施例1のものと同じ)0.12kgとした以外は実施例1[パスタサラダ▲1▼]と同様にしてスパゲッティサラダ(以下「パスタサラダ▲3▼」と称する。)を製した。
尚、パスタサラダ▲3▼全体に対するアラビアガムの含有量は1.2%である。
このパスタサラダ▲3▼は外観及び食感が良好であり、2〜30日間冷蔵保管後においても、マヨネーズはしっとりとした状態を保っており、また、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0028】
【実施例4】
[パスタサラダ▲4▼]
実施例1のパスタサラダ▲1▼において、市販のマヨネーズ[キユーピー(株)製]3kg、清水0.55kg、グアーガム分解物(実施例2のものと同じ)0.15kとし、清水にグアーガム分解物を溶解させた水溶液を茹でたスパゲティ5.7kgに均一に噴霧した後、実施例1と同様に、他の原料と混合しスパゲッティサラダ(以下「パスタサラダ▲4▼」と称する。)を製した。
尚、パスタサラダ▲4▼全体に対するグアーガム分解物の含有量は1.5%である。
このパスタサラダ▲4▼は外観及び食感が良好であり、2〜30日間冷蔵保管後においても、マヨネーズはしっとりとした状態を保っており、また、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0029】
【実施例5】
[パスタサラダ▲5▼]
実施例1のパスタサラダ▲1▼において、マヨネーズ様食品▲1▼に代えて市販のマヨネーズ[キユーピー(株)製]2.85kgとアラビアガム(実施例1のものと同じ)0.15kgを予め均一に混合し、これを用いて実施例1と同様な方法でスパゲッティサラダ(以下「パスタサラダ▲5▼」と称する。)を製した。
尚、パスタサラダ▲5▼全体に対するアラビアガムの含有量は1.5%である。
このパスタサラダ▲5▼は外観及び食感が良好であり、2〜30日間冷蔵保管後においても、マヨネーズはしっとりとした状態を保っており、また、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0030】
【比較例1】
[パスタサラダ▲6▼]
前記先願発明(特願2000−196997)の実施例1に基づき、パスタサラダを製した。すなわち、スパゲッティ(乾メン)を95℃で25分間茹で、流水で冷却し、水切りして茹でたスパゲッティを製した。得られた茹でたスパゲッティ5.5kg、市販のマヨネーズ[キユーピー(株)製]2.5kg、茹でた千切りのにんじん0.5kg、水さらしした3mmダイス状の玉ねぎ0.5kg、オリゴ糖[サンオリゴ5・6、参松工業(株)製]0.3kg、食酢(酸度4%)0.1kg、清水0.6kgをムラがなくなるまで十分に混合した後、ポリ袋に1kgずつ充填・密封し、65℃で60分間湯浴中で加熱殺菌して、スパゲッティサラダ(以下「パスタサラダ▲6▼」と称する。)を製した。
尚、得られたパスタサラダ▲6▼全体に対するマヨネーズ様食品▲1▼の含有量は25%であり、また、パスタサラダ▲6▼全体に対するオリゴ糖の含有量は3%である。
尚、オリゴ糖として用いた「サンオリゴ5・6(商品名)、参松工業(株)製」は、2〜7糖類が約92%、4〜7糖類が約90%、6〜7糖類が約56%であり、固形分は約98%である。
【0031】
【比較例2】
[パスタサラダ▲7▼]
実施例3のパスタサラダ▲3▼において、アラビアガムを含有させない以外は同配合、同製法で方法でスパゲッティサラダ(以下「パスタサラダ▲7▼」と称する。)を製した。尚、全体量は清水で調製した。
【0032】
【試験例1】
実施例3で得られたパスタサラダ▲3▼(アラビアガム含有)、実施例4で得られたパスタサラダ▲4▼(グアーガム分解物含有)、比較例1で得られたパスタサラダ▲6▼(オリゴ糖含有)、比較例2で得られたパスタサラダ▲7▼(対照)を各々冷蔵保管(約4℃)し、2,3,30日経過後のものと、製造直後のものとをそれぞれ比較し、外観及び食感を評価した。この際、外観は目視にて、また食感は試食により評価した。評価結果は表1に示すとおりである。
【0033】
【表1】
【0034】
表1中の記号の意義は下記のとおりである。
(1)外観(マヨネーズ様食品の状態)
A:ほぼしっとりとした状態を保っている。
B:おから状となりつつある部分が若干観察される。
C:おから状となりつつある部分が多数観察される。
D:全体がおから状となっている。
(2)食感(スパゲッティの部分)
A:製造直後とほぼ同程度の食感である。
B:若干水っぽい部分がある。
C:全体がやや水っぽい。
D:全体が水っぽい。
【0035】
表1より、アラビアガムを含有した実施例3のパスタサラダ▲3▼のマヨネーズ及びグアーガム分解物を含有した実施例4のパスタサラダ▲4▼のマヨネーズは、製造後30日経過しても、製造直後と同様のほぼしっとりとした状態を保っていることが分かる。また、パスタサラダ▲6▼(オリゴ糖含有品)のマヨネーズは、製造後2,3日ではおから状となりつつある部分が若干観察される程度で、商品として許容できる範囲内のものであったが、製造後30日経過すると、マヨネーズ全体がおから状になっており、好ましくない状態である。さらに、パスタサラダ▲7▼(対照品)は、製造後2日でマヨネーズ全体がおから状になっており、好ましくない状態であることが分かる。
このことから、アラビアガムを含有したパスタサラダ▲3▼、及びグアーガム分解物を含有したパスタサラダ▲4▼は、オリゴ糖を含有したパスタサラダ▲6▼及び、低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物のどちらも含有しないパスタサラダ▲7▼と比較して、外観においてより好ましいことが理解される。
【0036】
また表1より、スパゲッティ(パスタ)の食感については、実施例3のパスタサラダ▲3▼及び実施例4のパスタサラダ▲4▼では、製造後30日経過しても製造直後の食感がほぼ維持されており、パスタが水分を吸収していない好ましい状態であることが分かる。また、比較例1のパスタサラダ▲6▼(オリゴ糖含有品)は、製造後3日までは若干水っぽい部分があるものの、商品として許容できる範囲内のものであったが、製造後30日以上経過すると、スパゲッティがマヨネーズ中の水分を吸収し、全体が水っぽくなっており、好ましくない状態であった。さらに、低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物のどちらも含有しないパスタサラダ▲7▼(対照品)は、製造後2日でパスタ全体が水っぽくなっており、好ましくない状態であった。
【0037】
よって、アラビアガムを含有しているパスタサラダ▲3▼、及びグアーガム分解物を含有しているパスタサラダ▲4▼は、パスタサラダ▲6▼(オリゴ糖含有品)及びパスタサラダ▲7▼(対照品)と比較して、保存後において外観及び食感がより好ましいことは明らかである。
尚、パスタサラダ▲3▼中のアラビアガム含有量は1.2%、パスタサラダ▲4▼中のグアーガム分解物含有量は1.5%と少量であるのに対し、比較例1のパスタサラダ▲3▼のオリゴ糖の含有量は約3%と多くなっている。しかし、表1の試験結果から明らかなように、パスタサラダ▲3▼やパスタサラダ ▲4▼はパスタサラダ▲6▼よりも明らかに高い効果を示している。これは、アラビアガム及びグアーガム分解物はオリゴ糖よりもより少ない含有量で同等以上の効果を奏することを意味しており、低粘度水溶性多糖類又は水溶性多糖類の部分分解物を含有する本発明のパスタサラダは、オリゴ糖を含有する前記先願発明に比べてより経済的で好ましいことが理解される。
【0038】
【試験例2】
実施例3のパスタサラダ▲3▼において、使用原料のアラビアガム0.12kgを、0,0.03,0.06,0.09kgに各々変更し、それ以外は実施例1と同配合、同製法で、アラビアガムの含有量の異なる4種類のパスタサラダa,b,c,dを製した。また、実施例4のパスタサラダ▲4▼において、使用原料のグアーガム分解物0.15kgを、0,0.03,0.06,0.09,0.12kgに各々変更し、それ以外は実施例1と同様の方法で、グアーガム分解物の含有量の異なる5種類のパスタサラダe,f,g,h,iを製した。この際、パスタサラダの全体質量が変わらないように、アラビアガム又はグアーガム分解物を減じた分は清水で補った。
以上のパスタサラダa〜iについて、試験例1と同配合、同製法で外観及び食感を評価した。結果は表2、表3に示すとおりである。
【0039】
【表2】
注1:パスタサラダ全体に対するアラビアガムの含有量。
注2:実施例3のパスタサラダ▲3▼の同配合品。
【0040】
表2より、アラビアガムを含有していないパスタサラダaは、製造後2日もすると、全体がおから状の外観を呈し、歯応えがなく水っぽい食感となっており好ましくないことが分かる。パスタサラダb(アラビアガム含有量0.3%)は、製造後2日では、若干おから状となりつつある部分が観察され、若干水っぽい程度(食感)であるが、製造後3日以降では、おから状となりつつある部分が増え、全体が水っぽくなる傾向にあり、さらに製造後30日では全体がおから状の外観を呈し、歯応えがなく水っぽい食感となっており好ましくない状態であった。パスタサラダc(アラビアガム含有量0.6%)は、製造後2日で、若干おから状となりつつある部分が観察され、若干水っぽい程度(食感)であるが、製造後30日でも、状態に変化はなかった。パスタサラダd(アラビアガム含有量0.9%)及びパスタサラダ▲3▼(アラビアガム含有量1.2%)は、製造後30日経過しても、マヨネーズ様食品はほぼしっとりとした状態を保っており、製造直後とほぼ同程度の食感を維持しており、極めて良好な状態であった。
【0041】
よって、外観及び食感の良好なパスタサラダを得るためには、アラビアガムの含有量はパスタサラダ全体に対し0.3%以上が好ましく、0.9%以上がより好ましいことが理解される。また、30日以上の長期保存を目的とした、所謂ロングライフサラダとして用いる場合には、アラビアガムの含有量をパスタサラダ全体に対して0.6%以上とするのが好ましく、0.9%以上とするのがより好ましいことが理解される。
尚、アラビアガム以外にアラビノガラクタンについても同様の試験をしてみたが、表2とほぼ同じ結果が得られた。
【0042】
【表3】
注3:パスタサラダ全体に対するグアーガム分解物の含有量。
注4:実施例4のパスタサラダ▲4▼の同配合品。
【0043】
表3より、グアーガム分解物を含有していないパスタサラダeは、製造後2日もすると、全体がおから状の外観を呈し、歯応えがなく水っぽい食感となっており好ましくないことが分かる。パスタサラダf(グアーガム分解物含有量0.3%)は、製造後2日で、おから状となりつつある部分が多数観察され、全体が水っぽくなる傾向にあり、製造後30日では全体がおから状の外観を呈し、歯応えがなく水っぽい食感となっており好ましくない状態であった。パスタサラダg(グアーガム分解物含有量0.6%)は、製造後3日程度では、若干おから状となりつつある部分が観察され、若干水っぽい程度(食感)であるが、製造後30日では、おから状となりつつある部分が多数観察され、全体がやや水っぽい食感になっており、好ましくない状態であった。パスタサラダh(グアーガム分解物含有量0.9%)は、製造後3日では、マヨネーズ様食品はほぼしっとりとした状態を保っており、製造直後とほぼ同程度の食感を維持しており、極めて良好な状態であるが、製造後30日ではマヨネーズ様食品が若干おから状になって、若干水っぽい食感にはなるが、しかし商品として十分許容できるものであった。パスタサラダi(グアーガム分解物含有量1.2%)及びパスタサラダ▲4▼(グアーガム分解物含有量1.5%)は、製造後30日経過しても、マヨネーズ様食品はほぼしっとりとした状態を保っており、製造直後とほぼ同程度の食感を維持しており、極めて良好な状態であった。
【0044】
よって、外観及び食感の良好なパスタサラダを得るためには、グアーガム分解物の含有量はパスタサラダ全体に対し0.6%以上が好ましく、0.9%以上がより好ましいことが理解される。
また、ロングライフサラダとして用いる場合には、グアーガム分解物の含有量をパスタサラダ全体に対して0.9%以上とするのが好ましく、1.2%以上とするとより好ましいことが理解される。
尚、グアーガム分解物以外にタマリンドガム,サイリウムシードガム,コンニャクマンナン,ローカストビーンガム,タラガム,トラガントガムの部分分解物についても同様の試験をしてみたが、表3とほぼ同じ結果が得られた。
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、パスタに、酸性水中油型乳化食品中や具材等から滲出する水分が移行し難いため、保存後において製造直後とほぼ同程度の食感を維持し、水っぽくなく歯応えのある、食感の良好なパスタサラダを得ることが可能である。
よって、本発明のパスタサラダは商品価値を数日間以上保持し得るものであるため、小売店等で販売に供される場合には、例えば売れ残ったパスタサラダを翌日の販売に廻すことや数日先の販売予定分をまとめて仕入れること等が可能となり、また、小売店等にサラダを卸しているメーカー等では、賞味期限を数日あるいはそれ以上とすることが出来るようになるため扱い易く、コスト削減を図ることができるものである。
Claims (5)
- 10%水溶液の粘度(B型粘度計、25℃、30rpm)が1000mPa・s以下であり、かつ食物繊維含量(Prosky法)が50%以上である低粘度水溶性多糖類をパスタサラダ全体に対して0.6%以上含有したパスタサラダ。
- 低粘度水溶性多糖類がアラビアガム又はアラビノガラクタンである請求項1記載のパスタサラダ。
- 10%水溶液の粘度(B型粘度計、25℃、30rpm)が1000mPa・s以下であり、かつ食物繊維含量(Prosky法)が50%以上である水溶性多糖類の部分分解物を含有したパスタサラダ。
- 水溶性多糖類がグアーガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、コンニャクマンナン、ローカストビーンガム、タラガム、トラガントガムの一種又は二種以上である請求項3記載のパスタサラダ。
- パスタサラダ全体に対して水溶性多糖類の部分分解物を0.6%以上含有した請求項3又は4記載のパスタサラダ。
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