JP6383560B2 - 乾燥組成物、吸水膨潤剤及びそれを含有する食品 - Google Patents

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本発明は、吸水膨潤することにより保水効果、保形効果、安定効果、増粘効果などを付与する目的として使用される水不溶性の乾燥組成物、食品に添加される吸水膨潤剤及びそれを含有する食品に関する。
寒天とアルギン酸塩とを含む食品は、様々な研究がなされている。例えば、特許文献1には、寒天とアルギン酸又はその塩とを主成分とし、米状に形成された乾燥状態の米状食品が記載され、寒天とアルギン酸又はその塩との比率が、9:1〜1:9であることが記載されている。また、例えば、特許文献2には、陽イオンと反応してゲル化する性質を有するゲル化剤と冷却ゲル化性のゲル化剤とを、陽イオンと反応させることなく加熱して溶解させ、次いで冷却してゲル化させ、得られたゲル化物を必要に応じて適宜の大きさに成形し、陽イオンを含む溶液に浸漬してさらにゲル化を進行させることを特徴とする耐熱性ゲル化食品の製造方法が記載されている。また、特許文献3にはアルギン酸塩類と寒天とを含むゾルをゲル化させてなるゲル状加工食品が記載されている。
なお、特許文献4には、大豆調整物にアルギン酸ナトリウムを添加して麺状に成形し、カルシウム溶液中に吐出して凝固させた後、食塩を含有する溶液中で処理することを特徴とする、麺状食品が記載され、アルギン酸ナトリウムとカルシウム塩(塩化カルシウムなど)との反応の結果として調整されたゲルは、塩分を含んだ水溶液に接触するとゲルが軟質化し、強度が低下するという特徴を有することが記載されている。
さらに、特許文献5には、寒天を主剤としてアルギン酸等から選択される少なくとも一種の副剤とを含む乾物とその製造方法であって、具体例として、寒天とアルギン酸ナトリウムの重量比が90/10、すなわち1:0.11の乾物が記載されている(実施例6)。また、特許文献6には、水戻し又は湯戻しによって食される寒天乾物及びその製造方法であって、耐熱性を高める目的でアルギン酸等の副剤を溶解させ、Mg等の塩類を添加して反応させて寒天濾過液に混合してもよいことが記載されている。
一方、冷水や熱水に不溶性で、保水、保形、安定、増粘などの効果を目的として使用される食品添加物としては、微小繊維状セルロース、微結晶セルロース、小麦ファイバー、大麦ファイバー、ライ麦ファイバー、オート麦ファイバー、サトウキビファイバー、ポテトファイバー、アップルファイバー、ビートファイバー、エンドウマメファイバー、シトラスファイバー、大豆ファイバーなどが従来知られている。これらの水不溶性食物繊維は、水分を吸水し、重量比で1〜10倍程度の保水力を有し、畜肉製品や製パン、菓子、ジャム類、麺、惣菜、卵加工品などに利用されている。
さらに、冷水や熱水に可溶性で、保水、保形、安定、増粘などの効果を目的として使用される食品添加物としては、カラギナン、寒天、ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、蒟蒻マンナンなどの天然多糖類やゼラチンなどが知られている。
特開2012−80806号公報 特開2003−180265号公報 特開2012−130292号公報 特開2011−110024号公報 特開平4−207174号公報 特開平10−136949号公報
しかしながら、特許文献1乃至6に記載の組成物は、例えば米のように食材形状としての食品そのものであり、多様な食品に添加して物性を補助する、例えば、保水、保形、安定、増粘などの機能に関しては何ら記載されていない。
また、特許文献1に記載の食品は、炊飯時における(沸騰水中における)復元(吸水膨潤)性は良好であるが、冷水中における復元(吸水膨潤)性が悪いという問題がある。また、特許文献2及び3は、耐熱性のゲルを作製することが目的であり、このゲルを乾燥物にして水やお湯に入れて復元させることに関しては記されていない。また、特許文献4において、食塩はアルギン酸カルシウムのゲル強度を低下させるために使用されているだけであり、乾燥物にして水やお湯に入れて復元させることに関しては記されておらず、さらに寒天とアルギン酸塩を併用することについても記載されていない。また、特許文献5では、寒天が主剤であり、副剤よりも相対的に含有量が多いため、お湯に戻したときの溶け出し率が高いという問題がある。さらに、特許文献5には、Ca、Mgを添加することや、クエン酸ナトリウム等の反応遅延剤を加えることが好ましいと記載されているが、各イオンの具体的な添加量は記載されていない。また、特許文献6では、寒天と副剤と、各イオンの添加量などは一切記載されていない。
また、従来使用されている冷水や熱水に不溶性で、保水、保形、安定、増粘などの効果を目的として使用される食品添加物は、パルプや穀物、豆類、果物などの外皮であるセルロース成分を組織化し、粉末状、粒子状、繊維状などにしたものであり、例えばレトルト殺菌に耐えうるような耐熱性は有しているが、保水力としては、重量比で1〜10倍程度しか水を抱えることができないという問題がある。また、水溶性の保水剤、保形剤、安定剤、増粘剤などに比べて食感にザラツキ感があり、必ずしも好ましくない。
さらに、従来使用されている冷水や熱水に可溶性で、保水、保形、安定、増粘などの効果を目的として使用されるカラギナン、寒天、ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、蒟蒻マンナン、アルギン酸ナトリウムなどの天然多糖類やゼラチンは、水和して凝固や増粘などの機能を発揮するが、温度変化によりその機能が著しく低下してしまうという問題がある。
具体的には、ゼラチン、カラギナン、寒天、キサンタンガムとローカストビーンガムの併用は、加熱沸騰するとゲルからゾルに変化してしまう。また、ジェランガムは、加熱された高温時のゲルが冷却されたゲルに対して著しく強度低下を引き起こす。さらに、蒟蒻マンナンは、アセチル基をはずして蒟蒻ゲルを作り、アルギン酸ナトリウムやペクチンは、カルシウムイオンと反応させゲルを作るなど、製造上の煩雑さがあり、一度できた不可逆性の蒟蒻ゲルやアルギン酸カルシウムゲルを保水、保形、安定、増粘などの効果を目的として他の食材に加えて機能を発揮させるような使い方は容易でない。さらに、蒟蒻やアルギン酸カルシウムの不溶性ゲルを作ってから水分を除き、乾燥物として粉末状、粒子状、繊維状などにすると、吸水性、保水性がない疎水化した繊維状になってしまう。
このようなことから、従来、加熱状態、例えば蒸したり、煮たり、焼いたり、さらにはレトルト殺菌した状態で、吸水膨潤して、保水、保形、安定、及び増粘いずれかの目的で利用できる粉末状、粒子状、繊維状の乾燥物を作り出すことは容易でない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、吸水膨潤して保水、保形、安定、増粘などの機能を発揮し、さらに、加熱しても溶け出さない耐熱性が付与された乾燥組成物、吸水膨潤剤及びそれを含有する食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の重量比を有する寒天とアルギン酸塩の混合溶液を、ゲル化させた後乾燥させて得られた乾燥組成物であって、いずれかの段階で1価カチオンを添加しアルギン酸塩中の1価カチオンと2価カチオンのモル比を調整すること、及び乾燥組成物の平均粒子径を調整することで、吸水膨潤して保水、保形、安定、増粘などの機能を発揮し、さらに、加熱しても溶け出さない耐熱性が付与された乾燥組成物、吸水膨潤剤及びそれを含有する食品を実現できた。
すなわち、本発明は、寒天及びアルギン酸塩を含む混合溶液をゲル化させ、その後乾燥させて得られる平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物であって、前記寒天及びアルギン酸塩を重量比率1:1〜1:20で含み、前記アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、2価カチオンと1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であって、20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水に吸水膨潤し、平均粒子径が300μmの場合において、いずれの吸水膨潤でも乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになることを特徴とする乾燥組成物に関する。
また、本発明は、上記乾燥組成物を有効成分として含有することを特徴とする吸水膨潤剤及びそれを含有する食品に関する。
以上のように、本発明によれば、吸水膨潤して保水、保形、安定、増粘などの機能を発揮し、さらに、加熱しても溶け出さない耐熱性が付与された乾燥組成物、吸水膨潤剤及びそれを含有する食品を提供することができる。
本発明に係る乾燥組成物は、寒天及びアルギン酸塩をゲル化成分として含む平均粒子径が5μm〜2mmの好ましくは粉末状、粒子状、繊維状の乾燥物であって、寒天とアルギン酸塩の重量比率が1:1〜1:20であり、アルギン酸塩が1価カチオン及び2価カチオンの両方を含み、2価カチオンがアルギン酸塩のモノマー単位に対し0.04〜0.30倍モル含まれ、さらに1価カチオンがアルギン酸塩のモノマーに対し0.10〜0.70倍モル含まれ、且つ2価カチオンと1価カチオンのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70である。
本発明に係る乾燥組成物は、乾物として、微生物増殖や環境による物性変化が起こりにくい一般食材としての範疇に入る状態をいい、例えば水分含量では0.1〜20%、好ましくは2〜10%の乾燥状態をいう。本発明に係る乾燥組成物は、寒天とアルギン酸1価カチオンの塩とアルギン酸2価カチオンの塩との3成分のゲルマトリックスが絡み合い、均一な状態で存在していることが好ましい。
本発明において、寒天とアルギン酸塩の重量比率は、1:1〜1:20の範囲であるが、1:1〜1:10の範囲であることがより好ましい。寒天とアルギン酸塩の重量比率は、乾燥組成物の重量比率であるが、製造の際に仕込む原料の乾燥物で換算した重量比率と同等であるため、原料の乾燥重量比率で算出することもできる。寒天とアルギン酸塩の重量比率で寒天が1:1より大きいと、アルギン酸塩と2価カチオンとの反応を行っても耐熱性が上がらず、乾燥組成物を煮戻したときに溶け出してしまうため好ましくない。また、寒天が1:20より小さいと寒天のゲル構造を留めることができず、アルギン酸塩と2価カチオンとの反応で組織が壊れてしまうことになるため好ましくない。なお、本発明において、耐熱性を有するとは、例えば蒸したり、煮たり、焼いたり、又は100℃以上のレトルト殺菌において形状を保持可能な状態にあることをいう。
また、本発明において、アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれる。1価カチオンの塩としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムなどが挙げられる。1価カチオンの塩は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。また、2価カチオンの塩としては、例えば、アルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸亜鉛、アルギン酸銅などが挙げられる。2価カチオンの塩は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。2価カチオンの塩は、反応性が良く、摂取量が多くても安全性が高い点から、特にカルシウム塩が好ましい。以下、本明細書においては、2価カチオンとしてカルシウムイオン、2価カチオンの塩としてアルギン酸カルシウムを用いた例で説明する場合もある。
本発明に係る乾燥組成物において、2価カチオンは、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、0.04〜0.30倍モル含まれる。アルギン酸塩のモノマー単位とは、アルギン酸を構成するβ−D−マンヌロン酸又はα−L−グルロン酸(すなわち、Cで表すことができる単糖)1モルのことであり、例えば2価カチオンがカルシウムイオンである場合、乾燥組成物中のCaがC1モルに対して0.04〜0.30倍モル含まれていることを意味する。2価カチオンが0.04倍モルより少ないとゲルが弱く耐熱性がなく煮熟により溶け出してしまい、0.30倍モルより多いとゲルの吸水膨潤性が得られないため好ましくない。2価カチオンは、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、0.10〜0.26倍モルがより好ましい。
また、本発明に係る乾燥組成物において、1価カチオンは、上記と同様に、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、0.10〜0.70倍モル含まれる。1価カチオンが0.10倍モルより少ないと、吸水が少なくゲルの吸水膨潤性が得られにくいため好ましくない。0.70倍モルより多いとゲルが弱く耐熱性がなく煮熟により溶け出しやすくなるため好ましくない。
また、2価カチオンと1価カチオンとのモル比は1.0:0.35〜1.0:8.70であり、1.0:0.4〜1.0:4.0がより好ましい。2価カチオンと1価カチオンのモル比において1.0:0.35より1価カチオンが少なくなると吸水膨潤性の悪い乾燥組成物となるため好ましくない。また、2価カチオンと1価カチオンのモル比において1.0:8.70より1価カチオンが多くなると吸水膨潤性はよいがゲルの耐熱性と硬さの乏しいゲルとなり好ましくない。例えば、上記特許文献1には寒天・アルギン酸塩組成物が示されているが、1価カチオンを上記範囲で含有していないため、水に添加した場合の吸水膨潤性がよくない。しかしながら、本発明の乾燥組成物は、乾燥組成物中の2価カチオンと1価カチオンのモル比を上記範囲に固定することによって、はじめて吸水して際立って吸水膨潤性がよく耐熱性のあるゲルとなり、耐熱性と吸水膨潤性を併せ持つ優れた性質を有する。
本発明におけるアルギン酸塩中の1価カチオン及び2価カチオンのモル数は、ICP(誘電結合プラズマ)発光分析装置を使用して測定することができ、その具体的な測定方法は後述する実施例に記載の方法を採用することができる。
なお、本発明におけるアルギン酸塩中の1価カチオン及び2価カチオンのモル数は、乾燥組成物中のモル数であって、製造工程中に添加する1価カチオン及び2価カチオンのモル数や、製造工程中に作製されるゲル中の1価カチオン及び2価カチオンのモル数とは異なる。製造工程中に未反応であった1価カチオン及び2価カチオンは、ゲルを乾燥させる工程でゲルの離水による流出、乾燥中の析出による分離、冷凍変性による離水による流出等により変化してしまうためである。
本発明に係る乾燥組成物の平均粒子径は、5μm〜2mmが好ましく、50μm〜1.5mmがさらに好ましい。5μmより小さいものは凝集が激しく作製が困難であり、2mmより大きいものは保水、保形、安定、増粘としての効果が劣る。また、本発明に係る乾燥組成物は、粉末状、粒子状、繊維状などが好ましい。
上記のように、寒天とアルギン酸塩を組み合わせ、平均粒子径を5μm〜2mmに加工することにより、乾燥組成物を含水させたときに、吸水膨潤性を保持し、加熱により溶けださない耐熱性を付与し、食品に保水剤、保形剤(ボディ剤)、安定剤(懸濁安定など)及び増粘剤として加えることが可能な吸水膨潤剤として利用することができる。すなわち、本発明の吸水膨潤剤は、食品に添加され、冷水や熱水を吸水することにより、添加された食品に保水性、保形性、安定性、増粘性を付与したり、錠剤に添加された場合には崩壊性を付与するものである。
結晶セルロースや素材ごとの不溶性食物繊維等は、多くの水を抱えることができないのに対し、本発明の吸水膨潤剤は、耐熱性と容易に多くの水を抱えて吸水膨潤する性質が付与されている。さらに、本発明の吸水膨潤剤は、不溶性食物繊維の食感とは異なり、寒天のような瑞々しい食感を維持することが可能となる。
本発明の乾燥組成物は、寒天及びアルギン酸塩を含む混合溶液(ゾル)をゲル化させ、その後乾燥工程を経て得られることが好ましい。すなわち、具体的には、寒天及びアルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程と、前記混合溶液を冷却して寒天ゲルを得る工程と、前記アルギン酸塩に2価カチオンを反応させてアルギン酸塩ゲルを得る工程と、前記寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルを乾燥する工程と、前記各工程中、前記各工程間又は前記脱水乾燥する工程後に、1価カチオンを添加する工程とを備えた製造方法を経て得られることが好ましい。
従来、アルギン酸塩の不溶性ゲルを作ってから水分を除くと、乾燥物が、吸水性、保水性がない疎水化した繊維状態になってしまうが、本発明では、寒天とアルギン酸塩(1価カチオンを含む)を混合し加熱して水溶液とし、さらに冷却により寒天ゲルを形成させること、及びアルギン酸塩(1価カチオンを含む)と2価カチオン(カルシウム等)とを反応させてアルギン酸塩の不溶性ゲルを形成させることで、寒天ゲルがアルギン酸塩の2価カチオンとのゲル反応を構造上制御することになる。
寒天及びアルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程において、使用される寒天は、テングサ科(Gelideaceae)やオゴノリ科(Gracilariaceae)、オキツノリ科(Phyllophoraceae)などの紅藻類を熱水抽出した、若しくは熱水抽出して乾燥させた多糖類である。寒天の種類は特に限定されないが、出来るだけゲル融点が高く、粘性のあるものが好ましく、強度の高いものがより好ましい。ゲル融点は、90℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがさらに好ましい。ゲル強度は、400g/cm以上であることが好ましく、700g/cm以上であることがより好ましく、1000g/cm以上であることがさらに好ましい。このような寒天を選択することにより、熱水中での溶け出しを可及的に少なくすることができる。このような寒天は、「高融点寒天」として、例えば、特開昭63−267245号公報などによって得ることができ、上市されているものとして具体的には、伊那寒天カリコリカン、伊那寒天M−13、伊那寒天EM−15などが挙げられる。
また、寒天及びアルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程において、使用されるアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウムなどのアルギン酸塩、並びにアルギン酸プロピレングリコールなどのアルギン酸エステルは、LessoniaやAscophyllum、Laminaria、Macrocystisなど褐藻類に含まれる多糖類を抽出し、必要により加工することにより製造されたものである。アルギン酸自体は水不溶性の成分であるが、構成糖中のカルボキシル基がイオン化してナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの1価金属塩と結合したアルギン酸塩は、溶解度が増し、冷水可溶性に変化する。
従って、上記工程において、アルギン酸塩が溶解した溶液は、アルギン酸塩、例えばアルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩を水に溶解させることにより、好ましく得ることができる。また、アルギン酸塩が溶解した溶液は、アルギン酸を苛性ソーダ等のアルカリ水溶液で可溶化して製造することもできる。一般的には、より多く生産されているアルギン酸ナトリウムを使うことが特に好ましい。アルギン酸塩は、マンニュロン酸(M)とグルクロン酸(G)の比率であるM/G比が0.5〜2.0の範囲であることが好ましいが、M/G比の高いアルギン酸塩を用いるとゲルが柔らかく、M/G比の低いアルギン酸塩を用いるとより剛直なゲルとなるため、目的に応じて最適な範囲のM/G比を選択することができる。
上記寒天やアルギン酸塩は、海藻から抽出された溶液を用いてもよく、あるいは抽出液から脱水された乾燥物としての寒天やアルギン酸塩を用いて熱水で溶解した溶液を用いてもよく、乾燥物としての寒天やアルギン酸塩を水に分散させ、温度を上げることにより溶解させた溶液を用いてもよい。
寒天は、通常、熱水に溶解し冷却により均一にゲル化するが、熱可逆性の性質を有し、ゲルを90〜100℃に加熱するとゾルに戻って溶液となる。また、耐熱性の寒天(特開昭63−267245号公報など)もあるが、溶け出しがないという訳ではなく、また冷水や温水での吸水膨潤性が十分でなく、保水、保形、安定、及び増粘の機能を果さない。
一方、アルギン酸塩溶液は、カルシウムイオンなどの2価カチオンと反応してゲル化を生じる特性があり、axial−axialに結合したGブロックが構造的に2価カチオンを取り込んでゲル化を生じさせる(Egg Box Junction)。2価カチオンがカルシウムイオンの場合で説明すると、アルギン酸カルシウムゲルは、熱不可逆性で耐熱性の性質を有しているが、アルギン酸塩溶液にカルシウムイオンを均等に反応させて均一なゲルを作ることは難しい。そこで、通常は、アルギン酸塩溶液に難溶性カルシウム塩と溶解促進剤を組み合わせることや、水溶性カルシウムに反応遅延剤を加えることにより、ゲル化反応をコントロールしてアルギン酸カルシウムゲルが作製されている。しかし、難溶性カルシウム塩と溶解促進剤の組み合わせでは、やはり不均一の反応でゲルになり、水溶性カルシウムと反応遅延剤の組み合わせでは、ゲル形成が十分でなく糊状感が強い柔らかいゲルとなり好ましくない。また、この方法では、水以外の他の水溶液(例えばコーヒーや果汁など)への溶解では天然物特有の含有イオンのバラツキによりさらに目的とするゲルが得られなくなるため好ましくない。
また、アルギン酸カルシウムゲルを乾燥させた乾燥物、例えばアルギン酸カルシウムゲルを冷凍変性させ脱水乾燥させたものは、アルギン酸カルシウムの分子鎖の網目構造の中に自由水として保持していた水を分離させてしまうので、不溶性繊維がより疎水化してしまいほとんど復元しない乾燥物になってしまう。
以上のように、寒天のみ、又はアルギン酸塩のみでは、耐熱性と吸水膨潤性を両立したゲルの乾燥組成物を製造することは困難である。しかし、本発明のように寒天とアルギン酸塩の重量比率を1:1〜1:20とし、アルギン酸塩に1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とを含ませ、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、2価カチオンと1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70とすることで、耐熱性と吸水膨潤性と両立することが可能となる。
アルギン酸塩に2価カチオンを反応させてアルギン酸塩ゲルを得る工程において、使用される2価カチオンとしては、カルシウムイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンなどが挙げられる。カルシウムイオンとしては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウムなどを用いることが好ましい。
寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルを乾燥する工程において、乾燥方法については特に限定はなく、熱風乾燥、冷凍脱水後に熱風乾燥、フリーズドライ、真空乾燥、圧力脱水後に熱風乾燥などで行うことができる。
1価カチオンを添加する工程は、他のいずれの工程中、工程間、又は工程後でもよい。すなわち、1価カチオンは、前記混合溶液を作るときに加えるか、前記アルギン酸塩と2価カチオンを反応させるときに加えるか、あるいは前記アルギン酸2価カチオンの不溶性ゲルを形成させた後に加えるか、さらに乾燥する工程で加えるか、あるいはこれらの工程の間で加えるかなどいずれかの方法により行われる。これらの中でも、混合溶液を冷却して寒天ゲルを得る工程よりも後で加えることがより好ましい。
一例として、寒天やアルギン酸塩の粉末を用いた場合のより具体的な製造方法としては、寒天とアルギン酸塩を水に分散させた後、加熱溶解し、寒天の凝固温度以下まで冷却しゲル化させる。これを一定形状に成形した後、カルシウムのような2価カチオン溶液に入れる。2価カチオン溶液を除去後、さらにナトリウム溶液のような1価カチオン溶液に浸漬し、1価カチオン溶液を除去したものを乾燥することにより行うことができる。
また、1価カチオンは、上記のように溶液として浸漬せずに乾燥物に噴霧等により添加してもよく、最終製品(乾燥組成物)に規定量含有する方法であれば特に限定はない。
1価カチオンとして、ナトリウムイオンを用いる場合には、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを好ましく用いることができる。1価カチオンとして、ナトリウムイオンの外にカリウムイオン、アンモニウムイオンなども使用できるが、味に影響が少ないナトリウムイオン好ましい。カリウムイオンとしては塩化カリウム、リン酸カリウム(1水素、2水素)などが挙げられ、アンモニウムイオンとしては塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
特に、1価カチオンをアルギン酸カルシウム(アルギン酸2価カチオン)の不溶性ゲルを作る前に添加する場合には、ゲル形成反応を妨げないカルシウムキレート作用のない塩を使用することが好ましく、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウムが好ましい。中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウムがより好ましい。なお、アルギン酸ナトリウム比率が、寒天に対して特に高い場合には、アルギン酸カルシウムの耐熱性の影響が強くなるため、これらの好ましい塩以外にも、カルシウムキレート作用のある1価カチオンを少量であれば加えることも可能である。
一般に、反応遅延剤として用いられるアルギン酸カルシウムのゲル化反応をコントロールするリン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどは、そのキレート作用によりカルシウムをマスキングして、カルシウムとしての性質を無くし、アルギン酸ナトリウムとカルシウム置換が起きないようにしている。これにより、カルシウム存在下でも反応遅延剤の添加量が多いと、アルギン酸ナトリウムがカルシウム塩とならずにゲル化が生じない。
通常、アルギン酸ナトリウムやジェランガムなどのカルシウム反応性のゲル化剤はカルシウム反応性が強く、カルシウムイオンと接触した瞬間にゲル化する現象(プリセット)が生じる。プリセットがおこると、ゲルを一定形状に成形することが難しく、さらに成形されたゲルが不均一になってしまうという問題が生じる。この問題を解決する方法として、アルギン酸ナトリウム溶液に塩化カルシウムなどの水溶性カルシウムとリン酸塩などの反応遅延剤(カルシウムをキレートする作用のある物質)を同時に加え、カルシウムをマスキングすることによりプリセットを防ぎ、徐々にアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩としてゲル化させる方法が採用されている。なお、上記のとおりであるため、リン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどの1価カチオンを反応遅延剤として使用する場合は、アルギン酸ナトリウムやジェランガムがカルシウムと反応する前の溶液の状態で添加されなければ意味がない。
これに対し、本発明の場合は、反応遅延効果を必要としない。反応遅延剤を使用してゲル化させたものは、カルシウム反応性が弱く耐熱性に欠けてしまうからである。塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム等に由来するキレート作用のない1価カチオンは、溶液中のカルシウムイオンと平衡状態となり拮抗することによりカルシウム反応を調節している。よって、反応遅延剤の場合とは異なり、過剰に添加してもカルシウムイオンと反応し、アルギン酸カルシウムとしてゲル化が生じる。
しかしながら、本発明において、一旦アルギン酸カルシウムのゲルを形成したものにリン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどを作用させた場合などには、反応遅延剤として作用しないため、耐熱性が得られる場合がある。すなわち、本発明の場合には、一般に反応遅延剤として知られるリン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどの1価カチオンを、通常どおり反応遅延効果を奏するように使用すると、耐熱性が得られず好ましくない。しかし、添加する工程によっては、反応遅延効果を奏さない状態となり、使用できる場合がある。
本発明において、1価カチオンの添加が吸水膨潤性を向上させるのは、次のような理由によると考えられる。例えば、アルギン酸塩溶液に用いられるアルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを用い、2価カチオンとしてカルシウムイオンを用いた場合、溶液状態のアルギン酸ナトリウムにカルシウムイオンを添加すると、ナトリウムとカルシウムの置換により水に不溶のアルギン酸カルシウムが生成する。アルギン酸カルシウムは水に不溶であるため、水への戻りが極端に悪い。ここにナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの1価カチオンの塩、例えば塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(1水素、2水素)などのナトリウム塩などが存在すると、アルギン酸カルシウムとアルギン酸ナトリウムの平衡状態となり、部分的に偏在した強固なカルシウムの疎水繊維ができず、吸水しやすく且つ耐熱性も有するという両者の長所を合わせ持つようになる。すなわち上述したように、本発明において、1価カチオンは、反応遅延剤として機能しているわけではない。1価カチオンの添加は、乾燥組成物の吸水膨潤性を期待しているものであり、あくまで耐熱性とのバランスの上に立つものである。
また、本発明において、乾燥組成物の粉砕は、一般的に使用される粉砕機を使用すればよく、例えばハンマー式、ボールミル、ジェット(衝撃式)ミル、臼式、ナイフハンマー式、ピンミル、ターボ式、冷凍粉砕などを使用することで、上記5μm〜2mmの平均粒子径の乾燥組成物を得ることができ、特に限定されるものではない。また、粉砕は、乾燥後に行われるのが作業上の面からは好ましいが、乾燥前に適当な大きさに粉砕後、乾燥してもかまわない。
以上のようにして得られた本発明に係る乾燥組成物は、20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水(熱水)いずれの場合にも吸水膨潤し、いずれの吸水膨潤の場合にも乾燥物の15〜200倍の重量を有するゲルになることが好ましく、20〜170倍がより好ましい。また、少なくとも平均粒子径が300μmのときに、いずれの吸水膨潤の場合にも乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになり、50〜150倍が好ましい。ここで、吸水膨潤して乾燥物の15〜200倍の重量を有するゲルになるというのは、乾燥組成物をその300倍以上の20℃の蒸留水に30分間浸漬させることによって吸水膨潤によりゲル化させ、そのゲルの重量が乾燥物の15〜200倍であることを意味する。また、90℃の熱水を用いた場合には、乾燥組成物をその300倍以上の90℃の熱水に3分間浸漬させることによって吸水膨潤してゲル化させる。
本発明に係る乾燥組成物は、水や湯(例えば20℃の蒸留水及び90℃の熱水)で吸水膨潤させる場合、以下の理由により優れた吸水性と耐熱性が得られる。本発明の乾燥組成物は、アルギン酸カルシウムと寒天と1価カチオンとが一定の割合で複合体を形成している。この組成物を水や湯に添加すると、まず、アルギン酸カルシウムのエッグボックス構造が1価カチオンにより弱くなっていて容易に吸水して膨潤する。この膨潤状態は、多量の水分が含まれるため、水溶性の高い1価カチオンが流出しやすくなる。1価カチオンが流出すると、膨潤した組成物中のアルギン酸と結合したカルシウム含量が高まり耐熱性が向上する。このため吸水膨潤性が高く、しかも耐熱性の高い組成物ができるのである。なお、反応遅延剤を使用した場合は、水や湯で膨潤した場合、1価カチオンとカルシウムイオンの流出が起こるため、耐熱性は、反応遅延効果のない塩よりも劣ることになる。
このような本発明の特徴を得るためには、乾燥物中あるいは吸水膨潤させたゲル中で、ゲルを形成させるための2価カチオンを、均一に分散されたアルギン酸塩と反応させることが好ましい。以下、2価カチオンとしてカルシウムイオンを用いた場合で説明する。
アルギン酸塩を均一に分散させるためには、上記のように、まず所定の配合で寒天とアルギン酸塩とを寒天が溶解する温度まで加熱溶解し、均一な混合液とし、この溶液を冷却して寒天をゾル・ゲル転移によりゲル化させる。このゲルにおいては、イオン基をほとんど持たないほぼ中性多糖類である寒天とアルギン酸塩は反応しておらず、寒天ゲル中にアルギン酸塩溶液が均一に分散されている状態となる。その後、ゲルに熱不可逆性の耐熱性を持たせるために、カルシウムイオンを反応させて、アルギン酸カルシウムの不溶性ゲルを形成させることが好ましい。
寒天ゲルをまず形成させるのは、アルギン酸塩の分子をゲル中に均一に配置させるためであり、その後のカルシウム反応で繊維が疎水化して水を離し結束してしまうのを防ぐためである。この方法によりアルギン酸塩とカルシウムによって形成されるエッグボックス高次構造マトリックス中に均一に寒天の高次構造マトリックスが均一に入り込む。この状態は、乾燥物にした場合でも同様に維持される。したがって、水に入れた場合に寒天分子の復元作用によりアルギン酸カルシウムのエッグボックス高次構造が押し広げられ、ここにさらに水が入り込むことにより分子間のゼータ電位が強まり、より高次構造が押し広げられることになる。そして、寒天分子はアルギン酸カルシウムのエッグボックス高次構造マトリックス中に均一に分散しているため、沸騰水中でも溶け出すことはない。
さらに、吸水膨潤性がよく耐熱性のあるゲルとなるアルギン酸カルシウムの乾燥組成物を製造する方法としては、寒天分子の網目構造にアルギン酸塩分子が均一に分散していることに加えて、カルシウムを均一に反応させて耐熱性を上げることが重要である。このための方法として最も好ましいのは、カルシウム反応後、さらにナトリウム溶液のような1価カチオン溶液に浸漬する方法である。1価カチオン溶液に浸漬すると、上述したとおり、アルギン酸カルシウムと1価カチオンの平衡状態となり、部分的に偏在した強固なカルシウムの疎水繊維ができず、吸水しやすく且つ耐熱性も有するようになる。
また、本発明では、寒天とアルギン酸塩の効果を妨げない範囲でその他の添加物を加えることができる。添加物としては、多糖類、乳化剤、色素、香料、調味料、糖類、塩類、ビタミン、ミネラル機能性素材などが挙げられる。多糖類としては、カラギナン、澱粉、乳化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸化澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉などの加工澱粉、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガム、キサンタンガム、加熱処理され改質されたキサンタンガム、サクシノグリカン、ゼラチン、水溶性ゼラチン、タマリンドガム、ペクチン、セルロース、CMC−Na、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアガム、大豆多糖類、プルラン、カードラン、ジェランガム、ネーティブジェランガムなどが挙げられる。
本発明の乾燥組成物の用途としては、惣菜やスープ類等のレトルト食品や缶詰、蒸し饅頭や焼饅頭、油揚げ物類などに、保水、保形、安定、及び増粘のいずれか一以上の機能を有する吸水膨潤剤として含有させることで、様々な新しい可能性が挙げられる。
具体的には、餡に保形剤や安定剤、増量剤として使用することにより低カロリー化、離水防止;羊羹や水羊羹に離水(なき)防止や安定剤として使用することにより安定化(沈殿防止、離水防止、低カロリー化);ジャムやスプレッドに保形剤や安定剤として使用することにより低カロリー化、離水防止;ディップソースに保形剤や安定剤として使用することにより低カロリー化、離水防止;生クリームに保形剤や安定剤として使用することにより低カロリー化、離水防止;メレンゲに保形剤や安定剤として使用することにより安定化、離水防止;まぶし粉に安定剤として使用することにより和菓子等の離水防止;パンに保形剤や安定剤として使用することにより経時安定化と保水性の向上;飲料・スープに安定剤として使用することにより固形分の沈殿防止、粘度付与;ゼリーに保形剤や安定剤として使用することにより離水防止や固形分の沈殿防止;フィリングに保形剤や安定剤として使用することによりボディー感付与、低カロリー化、離水防止、保形性向上;惣菜に安定剤として使用することにより離水防止;米飯に保形剤(ボディー剤)として使用することにより低カロリー化;低カロリーマヨネーズに保形剤や安定剤として使用することにより離水防止;アイスクリームに保形剤や安定剤として使用することにより低カロリー化、溶け出し防止;ホットプリンやホットゼリーに保形剤や安定剤として使用することにより高温時での型崩れや離水を防止;錠剤に崩壊剤として使用することにより崩壊安定化;蒸し饅頭や焼き饅頭に保形剤や安定剤として使用することにより離水防止、保水性、保形性付与;レトルト食品に保形剤や安定剤として使用することにより物性の安定化;缶詰に保形剤や安定剤、増粘剤として使用することにより離水防止、物性の安定化;など様々な場面に応用できる。また、油で揚げる製品に保形剤や安定剤として使用することによる型崩れ防止;ギョーザ、シュウマイ、小籠包、春巻き、ハンバーグ、魚肉、畜肉加工品に保形剤(ボディー剤)として使用するなど様々な場面に応用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
まず、実施例で使用した資材は下記の通りである。
アルギン酸ナトリウム(1):イナゲルGS−20 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw200000)
アルギン酸ナトリウム(2):イナゲルGS−30 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw250000)
アルギン酸ナトリウム(3):イナゲルGS−50 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw500000)
アルギン酸カリウム(1):イナゲルGP−20 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw200000)
アルギン酸アンモニウム(1):イナゲルGA−20 伊那食品工業社製
(重量平均分子量Mw200000)
寒天(1):伊那寒天M−13(高融点寒天) 伊那食品工業社製
寒天(2):伊那寒天UM−11(高融点寒天) 伊那食品工業社製
寒天(3):伊那寒天S−10 伊那食品工業社製
寒天(4):伊那寒天カリコリカン(高融点寒天) 伊那食品工業社製
塩化ナトリウム:食卓塩 JT製
塩化カルシウム:富田製薬社製
塩化カリウム:富田製薬社製
塩化アンモニウム:赤穂化成社製
ヘキサメタリン酸ナトリウム:エフシー化学社製
リン酸1水素カルシウム:太平化学社製
クエン酸ナトリウム:磐田化学社製
また、特に指定がない限り%は重量%を示すものとする。
以下、実施例における物性の測定は下記の通りである。
(1)アルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウム(2価カチオン)及びナトリウム(1価カチオン)のモル比
ICP(ICPE−9000島津製作所社製)を使用して、乾燥物中のカルシウム量(2価カチオン量)(重量%)とナトリウム量(1価カチオン量)(重量%)を測定した。アルギン酸塩の重量平均分子量(Mw)は、HPLCを使用してGPC用により測定した。下記に示すとおり、アルギン酸塩を含まない寒天のみの乾燥物を同様に作製し、カルシウム量(2価カチオン量)(重量%)とナトリウム量(1価カチオン量)(重量%)を測定し、乾燥物中のアルギン酸塩に含まれるカルシウム量(2価カチオン量)とナトリウム量(1価カチオン量)を算出した。アルギン酸塩中に含まれる1価カチオン量、2価カチオン量、アルギン酸塩の重量平均分子量(Mw)を使用して乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウム及びナトリウムのモル比を算出した。
Figure 0006383560
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A:寒天・アルギン酸塩乾燥物中のカルシウム含量(2価カチオン量)(重量%)
B:Aに含まれる寒天と同重量の寒天のみで作製した乾燥物中のカルシウム含量(2価カチオン量)(重量%)
C:寒天・アルギン酸塩乾燥物中のナトリウム含量(1価カチオン量)(重量%)
D:Cに含まれる寒天と同重量の寒天のみで作製した乾燥物中のナトリウム含量(1価カチオン量)(重量%)
(2)吸水量
乾燥物各2.0gについて、20℃の蒸留水600gに30分間浸漬し吸水膨潤させ、150μm篩を使用しよく水切りを行った後、この膨潤物の重量を測定し、以下の式により吸水量を算出した。
同様に乾燥物各2.0gについて、90℃の蒸留水600gに3分間浸漬し吸水膨潤させ、150μm篩を使用しよく水切りを行った後、この膨潤物の重量を測定し、以下の式により吸水量を算出した。
Figure 0006383560
(3)形状の維持
乾燥物の平均粒子径を300μmに粉砕し調整した粒子状組成物1gを300mLのビーカーに入れ、これに90℃の蒸留水300gを加え吸水膨潤させ、更にビーカーを沸騰水中に3分間浸し、膨潤粒子が溶液とならず形状が維持されているかを確認した。
○:形状を維持
△:形状は維持しているが、膨潤が悪い
×:形状を維持せず溶解またはほとんど溶解
(4)平均粒子径
粒度分布測定機(MICROTRAC MT3000、日機装社製)を使用し、99.5%エタノールを分散液として測定した。
(5)溶け出し率(%)
実施例または比較例で作製した平均粒子径300μmの乾燥物各2.0gを95℃の蒸留水600g中に5分間浸漬した後、150μm篩を使用して固形物のみを取り除いた。固形物を取り除いた蒸留水を蒸発乾固し、乾燥物から溶け出した固形物の重量(g)を測定した。この固形物重量から、1価カチオン量(Na)(g)と2価カチオン量(Ca)(g)を差し引いて、下記の式により、溶け出した寒天またはアルギン酸Naの量を測定した。なお、1価カチオン量(Na)と2価カチオン量(Ca)は上記(1)と同様にICPを使用して測定した。
Figure 0006383560
(実験例1:カルシウム含量による変化(1))
表1に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(1)とアルギン酸ナトリウム(1)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し110℃に加温し溶解した後、更に表2に示した塩化ナトリウムを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×20cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表2に示した濃度の塩化カルシウム溶液に5時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例1〜5及び比較例2〜3の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。塩化ナトリウムを使用しなかったものも同様に作製した(比較例1)。得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表2に記載し、各粒子径における吸水量、形状の維持について結果を表3に示した。
なお、下記全ての表中に示した注釈は、以下に示すとおりである。
*1:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比
*2:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するナトリウムのモル比
*3:膨潤粒子がほとんど溶解し測定不能
(注):極わずか溶け出しが観察されたが外観には問題のない程度であった。
*4:乾燥物中Ca:Na(モル比)
*5:膨潤粒子が溶解し測定不能
*6:寒天が少なすぎて冷却後の成形ができない
*7:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカリウムのモル比
*8:乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するアンモニウムのモル比
*9:乾燥物中Ca:K又はNH(モル比)
実施例20及び比較例11はCa:K
実施例21及び比較例12はCa:NH
Figure 0006383560
Figure 0006383560
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以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対して2価カチオンが0.04〜0.30倍モルもので且つカルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70のものは吸水倍率が高く、良好であった。
(実験例2:カルシウム含量による変化(2) 塩化ナトリウム含量一定の場合)
表4に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(2)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×20cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表5に示した濃度の塩化カルシウム及び塩化ナトリウムの混合溶液に5時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥し乾燥物とし、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例6〜9、比較例5〜7の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。また、塩化ナトリウムを使用しなったもの(比較例4)も同様に作製した。実験例1と同様に物性を測定し表6に記載した。
Figure 0006383560
Figure 0006383560
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以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルの範囲のものは吸水倍率が高く、良好であった。
(実験例3:寒天とアルギン酸塩の重量比率による変化)
表7に示した配合(重量%)にて寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(3)を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×10cm)に切断した。この麺状ゲル化物500gを0.20重量%濃度の塩化カルシウム溶液1000gに5時間浸漬した。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥し乾燥物とした。この乾燥物に食塩0.5gを水10gに溶解し噴霧しさらに乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例10〜14及び比較例8〜9の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表8に記載した。
Figure 0006383560
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以上のように、寒天とアルギン酸ナトリウムの重量比率が1:1〜1:20のものは吸水倍率が高く、良好であった。
(実験例4:寒天とアルギン酸塩の使用濃度による変化)
表9に示した配合(重量%)にて寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(4)とアルギン酸ナトリウム(3)を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、キューブ状(10mm角×10mm角)に切断した。このキューブ状ゲル化物500gを0.18重量%濃度の塩化カルシウム溶液1000gに5時間浸漬した。浸漬後、キューブ状ゲルを取り出し0.2%塩化ナトリウム溶液1000gに5時間浸漬した。その後、キューブ状ゲルを取り出し40℃にて真空凍結乾燥し乾燥物とし、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例15〜18の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表10に記載した。
Figure 0006383560
Figure 0006383560
(実験例5:食塩浸漬した場合)
寒天(3)及びアルギン酸ナトリウム(2)よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(3)6gとアルギン酸ナトリウム(3)14gを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、板状(15mm×30mm×H5mm)に切断した。この板状ゲル化物500gを0.15重量%濃度の塩化カルシウム溶液1000gに5時間浸漬した。浸漬後、板状ゲルを取り出し、0.2%食塩水1000gに5時間浸漬した。その後、板状ゲルを取り出し50℃にて真空乾燥を行い、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例19の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表11に記載した。食塩水に浸漬しなかったものも同様にして作製し比較例10とした。
Figure 0006383560
以上のように、食塩水に浸漬せずCa:NaのNaが1.0:0.35以下のものは吸水が悪かった。
(実験例6:アルギン酸カリウム又はアルギン酸アンモニウムを使用した場合)
表12に示した配合(重量%)にて寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(3)と表12に示すアルギン酸塩を水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量各1000g)。これを高さ10mmの容器に充填し冷却凝固させた後に、0.8%濃度の乳酸カルシウム溶液1000gに10時間浸漬した。浸漬後、ゲル化物を取り出し、キューブ状(10mm角×10mm角)に切断した。このキューブ状ゲルを実施例20においては0.6%塩化カリウム溶液1000gに5時間浸漬し、実施例21においては0.5%塩化アンモニウム溶液1000gに5時間浸漬した。その後、キューブ状ゲルを取り出し、ゲルを冷凍後50℃にて乾燥を行い、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例20、21の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表12に記載した。塩化カリウム溶液または塩化アンモニウム溶液に浸漬しなかったものも同様にして作製し比較例11、12とした。
Figure 0006383560
Figure 0006383560
以上のように、Ca:KのKまたはCa:NHのNHが1.0:0.35以下のものは吸水が悪かった。
(実験例7:ゲルを不定形粒子状に製造した場合)
寒天(2)及びアルギン酸ナトリウム(1)よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(2)10gとアルギン酸ナトリウム(1)10gを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。この溶液500gを60℃に冷却後、10℃に冷却した金属板に、直径4mmの穴から滴下し不定形粒子状に冷却凝固させた。この不定形粒子状ゲル化物を20℃の0.2%塩化カルシウム溶液1000gに1時間浸漬した後、不定形粒子状ゲルを取り出し、さらに0.5%食塩水1000gに0.5時間浸漬した。その後、取り出した粒子状ゲルを80℃にて送風乾燥を行い、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例22の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表14に記載した。食塩水に浸漬しなかったものも同様にして作製し比較例13とした。
Figure 0006383560
以上のように、Ca:NaのNaが1.0:0.35以下のものは吸水が悪かった。
(実験例8:レトルト耐性)
実施例1〜22、及び比較例1〜12(比較例9は除く)で得られた平均粒子径300μmの粒子状組成物1gに水300gを加え密封し、121℃、20分のレトルト処理を行った。処理後の20℃における粒子状組成物の粒子形状の維持と外観を調べ表15に記載した。
Figure 0006383560
以上のように、実施例の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物はレトルト処理後も形状を維持し充分に膨潤していた。
(実験例9:アルギン酸塩のみの場合)
表16に示す配合(重量%)にてアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、アルギン酸ナトリウムを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。この溶液500gを0.2%塩化カルシウム溶液1000gに直径5mmのオリフィスから押し出し5時間浸漬した。浸漬後、麺状ゲルを取り出し0.2%塩化ナトリウム溶液1000gに5時間浸漬した。その後、麺状ゲルを取り出し40℃にて真空凍結乾燥し乾燥物とし、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整し、比較例13〜16のアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。実験例1と同様に物性を測定し表17に記載した。
Figure 0006383560
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以上のように、寒天を含まずアルギン酸塩のみの場合、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、2価カチオンと1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であっても吸水膨潤が悪かった。
(実験例10:2価カチオンと1価カチオンのモル比を変えた場合(1))
表18に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(3)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に表19及び20に示した塩化ナトリウムを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(10mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表19及び20に示した濃度の塩化カルシウム溶液に表19及び20に示した時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例37〜43及び比較例17〜23の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表19及び20に記載し、各粒子径における吸水量、形状の維持について結果を表21に示した。
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以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対して2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、且つカルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70のものは吸水倍率が高く良好であったが、カルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70以外のものは良好な結果が得られなかった。
(実験例11:2価カチオンと1価カチオンのモル比を変えた場合(2))
表22に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(4)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し110℃に加温し溶解した後、更に表23に示した塩化ナトリウムを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表23に示した濃度の塩化カルシウム溶液に表23に示した時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製およびジェット粉砕機、アイシン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径10μm、300μm、1mm及び2mmの粒子状に調整し、実施例44〜45、比較例24〜29の寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表23に記載し、各粒子径における吸水量、形状の維持について結果を表24に示した。
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以上のように、アルギン酸塩のモノマー単位に対して2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、且つカルシウムとナトリウムのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70のものは吸水倍率が高く、良好であった。アルギン酸塩のモノマー単位に対する1価カチオンが0.10〜0.70倍モル以外のものは良好な結果が得られなかった。
(実験例12:溶け出し率の測定)
寒天(1)または寒天(3)のみを使用して表25の配合で実験例3と同様な形態のゲルを作製した(作製量1000g)。具体的には、水に寒天を入れ、寒天(1)は110℃で、寒天(3)は97℃で溶解し、冷却してゲル化させた。これを所定の大きさに切断し、60℃にて乾燥させ、これらの乾燥物について、さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整した粒子状組成物を得た(比較例30、31)。また、寒天(3)及びアルギン酸ナトリウム(3)を使用して表25の配合で実験例3と同様に、比較例33、34の寒天及びアルギン酸塩よりなる平均粒子径300μmの粒子状組成物を作製した。比較例33、34の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物の物性を測定し表25に記載した。また、実施例1〜45、比較例1〜34について、溶け出し率(%)を測定した。溶け出し率の結果を表26に示した。
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以上のように、比較例31、32は、寒天のみであるため、お湯(95℃)へ溶け出してしまい、比較例33、34は、使用している寒天量が多いため、寒天のお湯(95℃)への溶け出しが多い結果となった。溶け出しが多いと水漬けや加熱において溶け出し率が多くなり、製品が固まったり、ぬるつき感が生じたりして好ましくない食感となってしまう問題があるが、本発明の組成物はこのような弊害が生じることがないことが示された。
(実験例13:反応遅延剤を使用した場合との比較)
表27に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に塩化ナトリウム60gを加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を0.15%濃度の塩化カルシウム溶液に3時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、実施例46の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。
これとは別に、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に塩化ナトリウム60g、塩化カルシウム30g、ヘキサメタリン酸ナトリウム54gを加えた。この溶液を容器に流し10時間放置しゲル化させた。このゲルを麺状(4mm角×15cm)に切断し60℃にて乾燥させ、比較例35の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。さらに比較例35において塩化ナトリウム60gを添加しないものも同様にして作製し比較例36とした。実施例46、比較例35、36について、粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整して粒子状組成物を作製した。
得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表28に記載し、粒子状組成物の吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表29に示した。
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以上のように、寒天とアルギン酸ナトリウムと塩化ナトリウムを含む混合溶液について、冷却により寒天ゲルを形成させたものを、Ca溶液に浸漬し乾燥した実施例46は良好な結果が得られたが、寒天とアルギン酸ナトリウムと塩化ナトリウムを含む混合溶液について、反応遅延剤を使用して寒天が完全にゲル化する前にアルギン酸がゲル化を始めて形成されたゲルを乾燥した比較例35、36は、90℃の湯で粒子が溶解してしまった。
(実験例14:1価カチオンの種類及び添加時機を変えた場合)
表30に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(3)とアルギン酸ナトリウム(2)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し105℃に加温し溶解した後、更に表31に示した塩類を加えた。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を0.15%濃度の塩化カルシウム溶液に3時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000g、ゲル量は500gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した(実施例47、比較例37〜45)。さらに粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径を300μmに調整して粒子状組成物を作製した。
得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表32、33に記載し、吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表34に示した。
これとは別に、表31に示した実施例48〜50の塩類を、寒天とアルギン酸ナトリウムが溶液状態のときに加えず、塩化カルシウム溶液に浸漬しゲルとした後に、浸漬することにより添加した。具体的には、塩類溶液(0.6%溶液、1000mL)にゲル500gを1時間浸漬した後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径300μmの粒子状に調整して寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した。得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表35に記載し、粒子状組成物の吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表36に示した。
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以上のように、塩化ナトリウムの変わりにリン酸塩やクエン酸ナトリウムなどのカルシウム封鎖作用のある塩をアルギン酸ナトリウムが溶液の状態の時に使用すると、水での吸水は良好であるが90℃での耐熱性がなく溶解してしまった。これに対し、アルギン酸カルシウムとしてゲルの状態で使用したものは、塩化ナトリウムを使用した時より若干の溶解が確認されたが、問題のない程度であった。
(実験例15:1価カチオンの添加時機を変えた場合)
表37に示した配合の寒天及びアルギン酸塩よりなる乾燥物を作製した。具体的には、寒天(4)とアルギン酸ナトリウム(1)を水に分散溶解後、高圧釜を使用し110℃に加温し溶解した。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、麺状(4mm角×15cm)に切断した。この麺状ゲル化物を表38に示した1価カチオン溶液に1時間浸漬した。この時の1価カチオン溶液の液量は1000g、ゲル量は500gとした。このゲルを取り出した後に0.20%濃度の塩化カルシウム溶液に3時間浸漬した。この時の塩化カルシウム液量は1000gとした。浸漬後、麺状ゲルを取り出し60℃にて乾燥させ、粉砕機(ハンマーミル、ホソカワミクロン社製)を使用して粉砕し、平均粒子径を300μmに調整して寒天及びアルギン酸塩よりなる粒子状組成物を作製した(実施例51〜54)。
得られた乾燥物中に含まれるアルギン酸塩のモノマー単位に対するカルシウムのモル比とナトリウムのモル比、およびそれらの比を表39に記載し、粒子状組成物の吸水量、溶け出し率、形状の維持について結果を表40に示した。
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以上のように、寒天をゲル化後に1価カチオンを反応させ、その後2価カチオンを反応させることにより良好な結果が得られたが、1価のカチオンとして塩化ナトリウムを使用した実施例は、ヘキサメタリン酸ナトリウムを使用したものより溶け出し率が少なく良好な結果が得られた。
(実験例16:餡に保水効果として添加)
上記実施例1〜9、比較例3,6で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、50μm、300μm、1000μm(1mm)、1500μm(1.5mm)、2000μm(2mm)、2500μm(2.5mm)の粒子状組成物を作製した。なお、5μmより小さいものは凝集等により作製することができなかった。これらの各粒子状組成物5gを水500gに添加して室温で1時間放置し膨潤させた。余分な水を除去後、これを練り餡(糖度70)2000gに添加して低カロリー餡を作製した。この餡を110℃、40分レトルト殺菌を行い、状態を観察(離水、食感)した。結果を表41〜51に示した。なお、比較として粒子状組成物を添加しない以外は同様にして作製した餡のみ(対照例1)の物性を表41に記載した。
なお、表41〜51中、食感の表示は以下のとおりである。
A:対照例1の餡と同様である。
B:硬い粒子がありざらつき感がある。
C:糊状感がある。
D:粒子状組成物が大きく違和感がある。
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(実験例17:飲料に増粘効果として添加)
上記実施例12〜18、比較例8〜10,12〜16で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、300μm、1000μm(1mm)、2000μm(2mm)、2500μm(2.5mm)の粒子状組成物を作製した。なお、5μmより小さいものは凝集等により作製することができなかった。これらの各粒子状組成物1gを市販のピーチ飲料水250gに添加して85℃、30分殺菌を行い、状態を観察(食感)した。結果を表52〜66に示した。
なお、表52〜66中、食感の表示は以下のとおりである。
A:膨潤粒子により糊状感のない適度なとろみが付与されネクター風になる。
B:粒子状組成物が一部溶解し下部でゲル化した。
C:粒子状組成物が下部に沈殿し、且つざらつきを感ずる。
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(実験例18:蒸し饅頭に保水効果として添加)
上記実施例19〜22、比較例17〜23で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、300μm、1000μm(1mm)、2000μm(2mm)、2500μm(2.5mm)の粒子状組成物を作製した。なお、5μmより小さいものは凝集等により作製することができなかった。これらの各粒子状組成物を蒸し饅頭の素に対粉0.5%添加して、通常の方法により蒸し饅頭を作製した。比較として、粒子状組成物を添加しないものも作製した。ポリエチレン製の袋に保管し、作製後1週間経過した時点で蒸し饅頭の状態を観察(食感)した。結果を表67〜77に示した。
なお、表67〜77中、食感の表示は以下のとおりである。
A:粒子状組成物を添加しないものに比べ、しっとり感があり老化も少なく美味しいものであった。
B:粒子状組成物を添加しないものと同様であった。
C:粒子状組成物を添加しないものに比べ、べとつき感があり美味しくなかった。
D:粒子状組成物が大きく違和感があり、しっとり感もない。
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(実験例19:しるこに安定効果として添加)
上記実施例37〜42、比較例24〜29で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、300μm、1000μm(1mm)、2000μm(2mm)、2500μm(2.5mm)の粒子状組成物を作製した。なお、5μmより小さいものは凝集等により作製することができなかった。これらの各粒子状組成物1.5gを市販のしるこ250gに添加して110℃、40分殺菌を行い、状態を観察(沈殿、食感)した。結果を表78〜89に示した。
なお、表78〜89中、沈殿、食感の表示は以下のとおりである。
A:粒子状組成物を添加しないものに比べ、膨潤粒子により糊状感のない適度なとろみが付与され濃厚感があり、餡粒子の沈殿がない。
B:粒子状組成物が一部溶解し下部でゲル化している。
C:粒子状組成物が膨潤せず下部に餡粒子が沈殿し、且つざらつきを感ずる。
D:粒子状組成物が大きく違和感があり、下部に餡粒子が沈殿している。
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(実験例20:ギョーザに保水効果として添加)
上記実施例44〜50、比較例30〜36で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、300μm、1000μm(1mm)、2000μm(2mm)、2500μm(2.5mm)の粒子状組成物を作製した。なお、5μmより小さいものは凝集等により作製することができなかった。これらの各粒子状組成物5gを水500gに添加して室温で1時間放置膨潤させた。余分な水を除去後、ギョーザの具材2000gに加えよく混合した。この具材を使用して、通常の方法により焼きギョーザを作製した。状態(食感)を、粒子状組成物を加えないものと比較し表90〜103に記載した。
なお、表90〜103中、食感の表示は以下のとおりである。
A:粒子状組成物を添加しないものと同様な食感であり、且つ離水がないにもかかわらずジューシー感がある。
B:極わずか離水があったが気にならない程度であり、粒子状組成物を添加しないものと同様な食感であり、且つ離水がないにもかかわらずジューシー感がある。
C:粒子状組成物が溶解し離水となり味が薄いものになってしまう。
D:粒子状組成物が大きく違和感があり、且つ離水も少し観察される。
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(実験例21:ひじきの惣菜に保水効果として添加)
上記実施例51〜54、比較例37〜45で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、300μm、1000μm(1mm)、2000μm(2mm)、2500μm(2.5mm)の粒子状組成物を作製した。なお、5μmより小さいものは凝集等により作製することができなかった。これらの各粒子状組成物5gを水500gに添加して室温で1時間放置膨潤させた。余分な水を除去後、ひじきの惣菜の作製時に加え、通常の方法によりひじきの惣菜を1kg作製した。状態(食感)を、粒子状組成物を加えないものと比較し、表104〜116に記載した。
なお、表104〜116中、食感の表示は以下のとおりである。
A:粒子状組成物を添加しないものと同様な食感であり、且つ離水少ないものができた。
B:粒子状組成物を添加しないものと同様な食感であり、若干離水があったが気にならない程度であった。
C:粒子状組成物が溶解し離水となり一部ゲル化していた。
D:粒子状組成物が大きく違和感があり、且つ離水も少し観察される。
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(実験例22:ハンバーグに保水効果として添加)
実施例3で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、50μm、300μm、1000μm(1mm)、1500μm(1.5mm)、2000μm(2mm)、2500μm(2.5mm)の粒子状組成物を作製した。なお、5μmより小さいものは凝集等により作製することができなかった。これらの各粒子状組成物1gをハンバーグの具材500gに添加し、通常の方法によりハンバークを作製した。粒子状組成物を加えないものも比較として作製した。作製したハンバーグの状態、食感を調べ表117に記載した。
なお、表117中、状態、食感の表示は以下のとおりである。
A:粒子状組成物を添加しないものに比べ食感、ジューシー感は向上し良好であり且つ離水は極めて少なかった。
B:粒子状組成物を添加しないものに比べ食感、ジューシー感は変わらず良好であり且つ離水が少なかった。
C:粒子状組成物を添加しないものに比べ食感、ジューシー感は向上し良好であった。離水は若干見られたが問題はない程度だった。
D:粒子状組成物を添加しないものとほぼ同一であり効果がなかった。
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(実験例23:ジャムに保形効果及び保水効果として添加)
実施例15で作製した乾燥物を実験例1で使用した粉砕機を使用して粉砕し、篩を使用して篩い分けを行い、平均粒子径5μm、300μm、1mm、2mm、2.5mmの粒子状組成物を作製した。粒子状組成物10gを水200gに加え1時間膨潤させた。過剰な水を除去後、ジャム作製時に加え、加熱して500gのいちごジャム(糖度40)を作製した。その結果、平均粒子径5μm、300μm、1mm、2mmの粒子状組成物を使用したものは、低糖度にもかかわらず、保形性があり、離水もなく且つ味立ちの優れたものが得られた。しかし、平均粒子径2.5mmの粒子状組成物を使用したものは、粒子状組成物が大きく違和感があり、且つ離水も少し観察された。

Claims (5)

  1. 寒天及びアルギン酸塩を含む混合溶液をゲル化させ、その後乾燥させて得られる平均粒子径が5μm〜2mmの乾燥組成物であって、
    寒天及びアルギン酸塩が溶解した混合溶液を得る工程と、
    前記混合溶液を冷却して寒天ゲルを得る工程と、
    前記アルギン酸塩に2価カチオンを反応させてアルギン酸塩ゲルを得る工程と、
    前記寒天ゲル及びアルギン酸塩ゲルを脱水乾燥する工程と、
    前記各工程中、前記各工程間又は前記脱水乾燥する工程後に、1価カチオンを添加する工程と、
    を備えた製造方法により得られ、
    前記寒天及びアルギン酸塩を重量比率1:1〜1:20で含み、
    前記アルギン酸塩には、1価カチオンの塩と2価カチオンの塩とが含まれ、
    アルギン酸塩のモノマー単位に対し、2価カチオンが0.04〜0.30倍モルであり、さらに1価カチオンが0.10〜0.70倍モルであり、2価カチオンと1価カチオンとのモル比が1.0:0.35〜1.0:8.70であって、
    20℃の蒸留水及び90℃の蒸留水に吸水膨潤し、平均粒子径が300μmの場合において、いずれの吸水膨潤でも乾燥組成物の30〜200倍の重量を有するゲルになることを特徴とする乾燥組成物。
  2. 前記1価カチオンの塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムのうちいずれか一以上であり、前記2価カチオンの塩が、アルギン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載の乾燥組成物。
  3. 乾燥組成物を吸水膨潤させたゲルが、100℃以上のレトルト殺菌において形状を保持可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の乾燥組成物。
  4. 請求項1乃至いずれか記載の乾燥組成物を有効成分として含有することを特徴とする吸水膨潤剤。
  5. 請求項記載の吸水膨潤剤を含有することを特徴とする食品。
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