JP2012130292A - ゲル状加工食品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料として寒天を用いたゲル化物でありながら、加熱殺菌して原形を留め、加熱調理して温食品としても食することのできるゲル状加工食品を提供する。
【解決手段】アルギン酸類、寒天、及び常温の水を混合して加熱するか、あるいは前記アルギン酸類、寒天、及び予め加熱した50℃以上の熱水を混合して粘稠なゾルとする。次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて熱可逆性ゲルとする。その後、前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させ、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させてゲル状加工食品を得る。
【選択図】図1
【解決手段】アルギン酸類、寒天、及び常温の水を混合して加熱するか、あるいは前記アルギン酸類、寒天、及び予め加熱した50℃以上の熱水を混合して粘稠なゾルとする。次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて熱可逆性ゲルとする。その後、前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させ、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させてゲル状加工食品を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルギン酸類と寒天を原料として作られる低カロリーの加工食品に係わり、特に加熱して食することのできるダイエット食品として有用なゲル状加工食品及びその製造方法に関する。
従来、痩身効果のあるダイエット食品として、「ところてん」が知られている。「ところてん」は、テングサ、オゴノリ、又はエゴノリ等の紅藻類から熱水で寒天質を抽出し、これを冷却してゲル化させたものであり、その大部分が水分であるからダイエット食品として有用であるが、寒天それ自体に味は殆どないから、そのまま食して旨くなく、このため酢醤油を付けて食することが一般的である。
一方、寒天を原料とする食品として、寒天とシクロデキストリンとを水に直接溶解させてゲル化させた高糖度ゼリー食品が知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に開示される「高糖度ゼリー食品」も「ところてん」と同じく寒天をゲル化させたものであるから、これを加熱調理して食することができない。
すなわち、寒天ゲルは80〜90℃で可逆的に融解するので、特許文献1の「高糖度ゼリー食品」も加熱調理すると、そのゲルが融解してしまい原形を留めない。加えて、その製造段階で加熱殺菌処理を施すこともできないので、長期の保存が利かず、冷蔵保存しても食用可能期間が極短期間に限られる。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は原料として寒天を用いたゲル化物でありながら、加熱殺菌して原形を留め、加熱調理して温食品としても食することのできるゲル状加工食品を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るゲル状加工食品は、アルギン酸類と寒天とを含むゾルをゲル化させてなることを特徴とする。
又、本発明は、アルギン酸類、寒天、及び常温の水を混合して加熱するか、あるいは前記アルギン酸類、寒天、及び予め加熱した50℃以上の熱水を混合して粘稠なゾルとし、
次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて熱可逆性ゲルとした後、
前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させて、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させることを特徴とするゲル状加工食品の製造方法を提供する。
次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて熱可逆性ゲルとした後、
前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させて、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させることを特徴とするゲル状加工食品の製造方法を提供する。
好ましくは、常温の水に対し、0.1〜5重量%のアルギン酸類と、0.1〜5重量%の寒天とを混合して加熱するか、あるいは予め加熱した50℃以上の熱水に対し、0.1〜5重量%のアルギン酸類と、0.1〜5重量%の寒天とを混合して粘稠なゾルを調製し、
次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて塊状の熱可逆性ゲルとした後、
前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させて、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させることを特徴とする。
次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて塊状の熱可逆性ゲルとした後、
前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させて、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させることを特徴とする。
加えて、前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させる前に、その熱可逆性ゲルを麺線状または小塊状に切り分けることを特徴とする。
又、前記熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させて得たゲル化物を金属イオン水と共にパウチに封入して加熱殺菌処理を施すことを特徴とする。
一方、他の製法として、アルギン酸類、寒天、常温の金属イオン水、及び前記アルギン酸類の凝固を遅延させる反応遅延剤を混合して加熱するか、あるいは前記アルギン酸類、寒天、予め加熱した50℃以上の熱水、及び反応遅延剤を混合して粘稠なゾルを調製した後、
前記ゾルを所定の型枠内に入れて前記アルギン酸類が凝固するまで静置すると共に、前記ゾルを冷却して寒天を凝固させることを特徴とする。
前記ゾルを所定の型枠内に入れて前記アルギン酸類が凝固するまで静置すると共に、前記ゾルを冷却して寒天を凝固させることを特徴とする。
更に、前記アルギン酸類として、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、又はアルギン酸プロピレングリコールエステルを用いること、ならびに前記金属イオンがカルシウムイオンであることを特徴とする。
本発明に係るゲル状加工食品は、アルギン酸類と寒天を原料としてつくられるので、ダイエット食品として有用である。
又、アルギン酸類と寒天とをゲル化させているので、加熱しても融解せず、原形を維持することができる。このため、加熱殺菌処理を施して常温下での長期保存が可能となり、しかも加熱調理した温食品として食することができる。
以下、本発明に係るゲル状加工食品について詳しく説明すれば、係るゲル状加工食品はアルギン酸類と寒天を原料として作られるゲル化物であり、基本的に防腐剤その他の添加物を含まず、その大部分は水分である。このため、低カロリーのダイエット健康食品として有用である。
寒天は、テングサなどの紅藻類に細胞壁成分として存在しているところ、紅藻類から熱水によりヒドロゾルとして抽出し、これを冷却してヒドロゲル(ところてん)とし、そのヒドロゲルから98〜99%の水分を除去することにより得られるものであり、そのゲル化物は80〜90℃で融解する熱可逆性を有している。したがって、寒天のみのゲル化物では、加熱殺菌することはできないし、これを加熱調理して食することもできない。
このため、本発明では寒天のほかアルギン酸類を用いて加熱殺菌や加熱調理が可能なゲル状加工食品とするものである。
アルギン酸類とは、アルギン酸、アルギン酸塩、又はアルギン酸プロピレングリコールエステルであり、アルギン酸塩としてはアルギン酸ナトリウムなどのアルカリ塩、アルギン酸カルシウムなどのアルカリ土類塩が用いられる。市販品は主にアルギン酸のナトリウム塩(アルギン酸ナトリウム)で、食品添加物としては、アルギン酸ナトリウムのほか、アルギン酸プロピレングリコールエステルが使用されている。
ここに、以上のようなアルギン酸類は、金属イオンとの接触により熱不可逆性のゲルをつくることが知られている。
例えば、アルギン酸は、カルシウムと塩をつくってゲル化する。又、アルギン酸ナトリウムなどのアルカリ塩は、冷水にも溶けて粘稠溶液となり、これに他の金属イオンを加えれば、その添加量に応じてゲル化し、アルギン酸カルシウムはカルシウム、ストロンチウムなどの二価陽イオンとグルロン酸がキレート結合することで容易にゲル化する。
そこで、本発明はアルギン酸類と寒天とをコロイドとするゾル(ヒドロゾル)を調製し、そのゾルを冷却して寒天を凝固(ゲル化)させた後、そのゲル化物を金属イオンと接触させてアルギン酸類をゲル化させるようにしている。そして、そのような製法により得られるゲル状加工食品によれば、例えば麺線状にしてフライパンで炒めたり鍋で茹で上げたりして原形を維持し、麺料理や温かいデザートとして食することができる。
以下、図面に基づき係るゲル状加工食品の製造方法を詳しく説明する。図1は本発明に係るゲル状加工食品の製造方法の一例を示すフローチャートである。図1に示されるように、係るゲル状加工食品を製造するには、先ずゾル調製工程として、寒天とアルギン酸類(いずれも粉末状)を図示せぬ混合容器に入れ、これを適量の水と共に撹拌しながら加熱することにより粘稠なゾルを得る。
ここに、寒天とアルギン酸類は、いずれも水に対して0.1〜5重量%混合することが好ましい。それらの割合が0.1重量%以下であれば、ゲル化力が低下して最終製品の強度が弱くなり、逆に5重量%以上混合すると、ゲル化力が過剰に高くなるなどして最終製品の食感が悪くなる。
一方、寒天は40℃前後でゲル化するので、ゾル調製工程での加熱温度は、寒天のゲル化開始温度よりも高くする。具体的には、50℃以上、好ましくは60℃以上とする。尚、寒天とアルギン酸の分散媒となる水には、常温水が用いられるが、これに予め50℃以上、好ましくは60℃以上に加熱した熱水を用いてもよく、この場合には寒天とアルギン酸類を熱水中で撹拌混合するだけで粘稠なゾルを得ることができる。又、寒天とアルギン酸類の分散媒となる水や熱水は、水道水(軟水)、硬水、あるいは蒸留水のいずれでもよいが、カルシウムイオン濃度が高い硬水の使用を避けることが望ましい。但し、後述の反応遅延剤を用いる場合は、この限りでない。
次に、第1のゲル化工程として、上記のようにして得た粘稠なゾルを混合容器から例えば図2(a)に示すような型枠1に移して冷却し、その温度を寒天のゲル化開始温度以下まで下げる。尚、ゾルの冷却は、常温下に放置する自然冷却でも、公知の冷却装置を用いた強制冷却でもよい。しかして、上記ゾルは、これに含まれる寒天およびアルギン酸類のうち、寒天のみが凝固(ゲル化)して塊状の熱可逆性ゲル(以下、ゲルAとする)となる。すなわち、このゲルAは、寒天のみが凝固しているだけなので、これを再加熱すると融解してしまう。
そこで、第2のゲル化工程として、上記ゲルAを金属イオンと接触させてアルギン酸類をゲル化させる。具体的には、食品安全上、人体に害のない金属として塩化カルシウムなどを水に溶いた金属イオン水にゲルAを浸漬するのであり、これによりゲルA中のアルギン酸類をゲル化させて熱不可逆性ゲル(以下、ゲルBとする)を得る。ここに、金属イオン水の金属イオン濃度、例えばカルシウムイオン濃度は1%以上であることが好ましい。
尚、第2のゲル化工程として、ゲルAを塊状のまま金属イオンと接触させるようにしてもよいが、好ましくはゲルAを麺線状または小塊状(一口サイズのブロック)に切り分け、これを金属イオンと接触させてゲルBを得る。又、ゲルAを切断せず、そのゲルAをつくる第1のゲル化工程において、図2(b)のような内部に細分化された成型領域21をもつ方枠2を用い、その各成型領域21によりゾルを凝固、成型して個々に独立した小塊状のゲルAとし、これを金属イオンと接触させてゲルBを得るようにしてもよい。
そして、以上のようなゲルBは、ゲル状加工食品として、そのまま食することができるほか、他の食材と共に加熱調理して食することができる。又、ゲルBを金属イオン水と共にパウチに封入し、これをレトルト釜内などに入れて80℃以上での加熱殺菌処理(20〜30分)を施すことにより、常温下でも長期保存することが可能となる。
以上のように、本発明のゲル状加工食品は、概して寒天のゲル化に続いてアルギン酸類をゲル化することで得られるが、他の実施形態として、寒天とアルギン酸類のゲル化の順番を逆にすることもできる。すなわち、先ずゾル中のアルギン酸類をゲル化させ、次いで寒天をゲル化させるようにしてもよい。これには、アルギン酸類と寒天をコロイドとするゾル(ヒドロゾル)の調製工程において、分散媒となる水に金属塩を含めた金属イオン水を用い、これにアルギン酸類のゲル化を遅延させるための反応遅延剤を混合する。換言すれば、分散媒となる水(又は50℃以上の熱水)に、アルギン酸類と寒天のほか、適量の金属塩と反応遅延剤とを加えて撹拌(常温水の場合は加熱しながら)混合する。そして、得られたゾルを所定の型枠に入れて静置すれば、寒天のゲル化前にアルギン酸類が金属イオンと徐々に反応してゲル化する。
ここに、反応遅延剤としては、リン酸塩、炭酸塩、又はクエン酸塩を用いることができる。尚、金属イオン水を分散媒とするアルギン酸類含有ゾルに対し、上記のような反応遅延剤を混合しないと、アルギン酸類が金属イオンに反応にして瞬時にゲル化し、全体がソボロ状となって麺線状その他の成形が行えなくなる。これに対し、上記ゾル中に反応遅延剤が混合されていれば、ゾルを型枠に流し込むまでの間、これを流動状態に保つことができる。
しかして、アルギン酸類のみがゲル化した寒天未凝固のゲル化物(以下、ゲルCとする)を型枠に入れたまま冷却することにより、ゲルC中の寒天もがゲル化したゲル化物(以下、ゲルDとする)を得る。
尚、ゲルDを得る場合も、ゲルCを麺線状または小塊状に切り分けてから冷却してもよいし、冷却後に切り分けてもよい。又、ゲルCの冷却も常温下に放置する自然冷却、あるいは公知の冷却装置を用いた強制冷却のいずれでもよい。特に、ゲルCの冷却による寒天のゲル化はアルギン酸類のゲル化と同期的に進行させることができる。すなわち、型枠に入れた上記ゾルを急速冷却すれば、アルギン酸類のゲル化と同時もしくはその直後に寒天のゲル化を開始することができる。
<ゾル調製工程>
所定の容量を有する混合容器内に、常温の水道水10リットル、寒天の粉末200グラム、及びアルギン酸ナトリウム200グラムを入れ、これを撹拌混合しながら約70℃まで加熱することにより粘稠なゾルを得た。
<第1ゲル化工程>
上記ゾルを図2(a)に示されるような矩形の型枠1に入れ、これを常温下に放置し、約3時間後にゾル中の寒天が凝固した塊状のゲルAを得た。尚、ゲルAの品温は約30℃であった。
<切断工程>
次に、図3に示すような押出器3を用い、塊状のゲルAを押出器3から押し出して麺線状に成形した。
<第2ゲル化工程>
麺線状にしたゲルAを予め調製したカルシウムイオン水に浸漬し(詳しくは上記押出器2からゲルAをカルシウムイオン水中に押し出し)、ゲルA中の未ゲル化物(アルギン酸ナトリウム)が凝固した麺線状のゲルBを得た。尚、上記カルシウムイオン水には、100リットルの水に発酵乳酸カルシウム3kgを溶いたものを使用した。
<加熱殺菌工程>
最後に、麺線状のゲルBを上記カルシウムイオン水と共にパウチに封入し、そのパウチを沸騰水中に20〜30分間浸漬して加熱殺菌処理を施した。尚、ゲルBは加熱殺菌処理により融解せず、原形を維持した。
所定の容量を有する混合容器内に、常温の水道水10リットル、寒天の粉末200グラム、及びアルギン酸ナトリウム200グラムを入れ、これを撹拌混合しながら約70℃まで加熱することにより粘稠なゾルを得た。
<第1ゲル化工程>
上記ゾルを図2(a)に示されるような矩形の型枠1に入れ、これを常温下に放置し、約3時間後にゾル中の寒天が凝固した塊状のゲルAを得た。尚、ゲルAの品温は約30℃であった。
<切断工程>
次に、図3に示すような押出器3を用い、塊状のゲルAを押出器3から押し出して麺線状に成形した。
<第2ゲル化工程>
麺線状にしたゲルAを予め調製したカルシウムイオン水に浸漬し(詳しくは上記押出器2からゲルAをカルシウムイオン水中に押し出し)、ゲルA中の未ゲル化物(アルギン酸ナトリウム)が凝固した麺線状のゲルBを得た。尚、上記カルシウムイオン水には、100リットルの水に発酵乳酸カルシウム3kgを溶いたものを使用した。
<加熱殺菌工程>
最後に、麺線状のゲルBを上記カルシウムイオン水と共にパウチに封入し、そのパウチを沸騰水中に20〜30分間浸漬して加熱殺菌処理を施した。尚、ゲルBは加熱殺菌処理により融解せず、原形を維持した。
<ゾル調製工程>
所定の容量を有する混合容器内に、90℃の熱水10リットル、寒天の粉末200グラム、及びアルギン酸ナトリウム200グラムを入れ、これを撹拌混合して粘稠なゾルを得た。
<第1ゲル化工程>
上記ゾルを図2(b)に示されるような型枠2に入れ、これを常温下に放置し、約3時間後にゾル中の寒天が凝固した小塊状のゲルAを得た。尚、ゲルAの品温は約30℃であった。
<第2ゲル化工程>
小塊状のゲルAを予め調製したカルシウムイオン水に浸漬し、ゲルA中の未ゲル化物(アルギン酸ナトリウム)が凝固した小塊状のゲルBを得た。尚、上記カルシウムイオン水には、100リットルの水に塩化カルシウム1kgを溶いたものを使用した。
<加熱殺菌工程>
最後に、小塊状のゲルBを上記カルシウムイオン水と共にパウチに封入し、そのパウチを沸騰水中に20〜30分間浸漬して加熱殺菌処理を施した。尚、ゲルBは加熱殺菌処理により融解せず、原形を維持した。
所定の容量を有する混合容器内に、90℃の熱水10リットル、寒天の粉末200グラム、及びアルギン酸ナトリウム200グラムを入れ、これを撹拌混合して粘稠なゾルを得た。
<第1ゲル化工程>
上記ゾルを図2(b)に示されるような型枠2に入れ、これを常温下に放置し、約3時間後にゾル中の寒天が凝固した小塊状のゲルAを得た。尚、ゲルAの品温は約30℃であった。
<第2ゲル化工程>
小塊状のゲルAを予め調製したカルシウムイオン水に浸漬し、ゲルA中の未ゲル化物(アルギン酸ナトリウム)が凝固した小塊状のゲルBを得た。尚、上記カルシウムイオン水には、100リットルの水に塩化カルシウム1kgを溶いたものを使用した。
<加熱殺菌工程>
最後に、小塊状のゲルBを上記カルシウムイオン水と共にパウチに封入し、そのパウチを沸騰水中に20〜30分間浸漬して加熱殺菌処理を施した。尚、ゲルBは加熱殺菌処理により融解せず、原形を維持した。
<ゾル調製工程>
所定の容量を有する混合容器内に、常温の水道水10リットル、寒天の粉末200グラム、アルギン酸ナトリウム200グラム、及び反応遅延剤としてリン酸塩100グラムを入れ、これを撹拌混合しながら約80℃まで加熱し、その後これに水酸化カルシウム100グラムを加えて撹拌混合することにより粘稠なゾルを得た。
<第1ゲル化工程>
上記ゾルを図2(a)に示されるような矩形の型枠1に入れ、これを常温下に放置し、約30分後にゾル中のアルギン酸ナトリウムが凝固した塊状のゲルCを得た。尚、ゲルCの品温は約50℃であった。
<第2ゲル化工程>
上記ゲルCをそのまま放置し続け、約3時間後にゲルC中の寒天がゲル化したゲルDを得た。尚、その品温は約30℃であった。
<切断工程>
次に、図3に示すような押出器3を用い、塊状のゲルDを押出器3から押し出して麺線状に成形した。
<加熱殺菌工程>
最後に、麺線状のゲルDをカルシウムイオン水と共にパウチに封入し、そのパウチを沸騰水中に20〜30分間浸漬して加熱殺菌処理を施した。尚、ゲルDは加熱殺菌処理により融解せず、原形を維持した。
所定の容量を有する混合容器内に、常温の水道水10リットル、寒天の粉末200グラム、アルギン酸ナトリウム200グラム、及び反応遅延剤としてリン酸塩100グラムを入れ、これを撹拌混合しながら約80℃まで加熱し、その後これに水酸化カルシウム100グラムを加えて撹拌混合することにより粘稠なゾルを得た。
<第1ゲル化工程>
上記ゾルを図2(a)に示されるような矩形の型枠1に入れ、これを常温下に放置し、約30分後にゾル中のアルギン酸ナトリウムが凝固した塊状のゲルCを得た。尚、ゲルCの品温は約50℃であった。
<第2ゲル化工程>
上記ゲルCをそのまま放置し続け、約3時間後にゲルC中の寒天がゲル化したゲルDを得た。尚、その品温は約30℃であった。
<切断工程>
次に、図3に示すような押出器3を用い、塊状のゲルDを押出器3から押し出して麺線状に成形した。
<加熱殺菌工程>
最後に、麺線状のゲルDをカルシウムイオン水と共にパウチに封入し、そのパウチを沸騰水中に20〜30分間浸漬して加熱殺菌処理を施した。尚、ゲルDは加熱殺菌処理により融解せず、原形を維持した。
実施例1、3により得られた麺線状のゲル状加工食品(ゲルB,D)にソースを加え、野菜類と共にフライパンで炒め、焼きそば風にして食したところ、食感、味共に上々であった。尚、その麺(ゲル状加工食品)は加熱調理中にも融解せず、原形を維持した。
一方、実施例2により得られた小塊状のゲル状加工食品(ゲルB)にシロップを加え、デザート菓子として食したところ、「こりこり」とした食感で、美味しく食することができた。
1 型枠
2 型枠
3 押出器
A 寒天のみゲル化した熱可逆性ゲル
B 寒天およびアルギン酸類がゲル化した熱不可逆性ゲル
C アルギン酸類のみゲル化したゲル
D 寒天およびアルギン酸類がゲル化したゲル
2 型枠
3 押出器
A 寒天のみゲル化した熱可逆性ゲル
B 寒天およびアルギン酸類がゲル化した熱不可逆性ゲル
C アルギン酸類のみゲル化したゲル
D 寒天およびアルギン酸類がゲル化したゲル
Claims (8)
- アルギン酸類と寒天とを含むゾルをゲル化させてなるゲル状加工食品。
- アルギン酸類、寒天、及び常温の水を混合して加熱するか、あるいは前記アルギン酸類、寒天、及び予め加熱した50℃以上の熱水を混合して粘稠なゾルとし、
次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて熱可逆性ゲルとした後、
前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させて、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させることを特徴とするゲル状加工食品の製造方法。 - 常温の水に対し、0.1〜5重量%のアルギン酸類と、0.1〜5重量%の寒天とを混合して加熱するか、あるいは予め加熱した50℃以上の熱水に対し、0.1〜5重量%のアルギン酸類と、0.1〜5重量%の寒天とを混合して粘稠なゾルを調製し、
次いで、前記ゾルを冷却することにより該ゾルに含まれる寒天を凝固させて塊状の熱可逆性ゲルとした後、
前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させて、その熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させることを特徴とするゲル状加工食品の製造方法。 - 前記熱可逆性ゲルを金属イオンと接触させる前に、その熱可逆性ゲルを麺線状または小塊状に切り分けることを特徴とする請求項2、又は3記載のゲル状加工食品の製造方法。
- 前記熱可逆性ゲルに含まれるアルギン酸類を凝固させて得たゲル化物を金属イオン水と共にパウチに封入して加熱殺菌処理を施すことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のゲル状加工食品の製造方法。
- アルギン酸類、寒天、常温の金属イオン水、及び前記アルギン酸類の凝固を遅延させる反応遅延剤を混合して加熱するか、あるいは前記アルギン酸類、寒天、予め加熱した50℃以上の熱水、及び反応遅延剤を混合して粘稠なゾルを調製した後、
前記ゾルを所定の型枠内に入れて前記アルギン酸類が凝固するまで静置すると共に、前記ゾルを冷却して寒天を凝固させることを特徴とするゲル状加工食品の製造方法。 - 前記アルギン酸類として、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、又はアルギン酸プロピレングリコールエステルを用いることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のゲル状加工食品の製造方法。
- 前記金属イオンがカルシウムイオンであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のゲル状加工食品の製造方法。
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