JP6901268B2 - 容器入り豆腐及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、豆腐本来の大豆の豊かな味わいと口の中でとろける食感を両立した豆腐に関する。
日本古来の伝統食として広く食されてきた豆腐は、昨今の健康ブーム等の影響も受け、様々な味や食感の製品や新しい食シーンが提案されている。
従来の木綿豆腐や絹ごし豆腐は、ゲル状に固まってカットできる状態に仕上がるものであり、カット豆腐ともいわれる。これらの豆腐は大豆を大量に使用して製造されるため、大豆本来の豊かな味わいが十分に感じられる。また、木綿豆腐はざらっとした食感、絹ごし豆腐はきめの細かいなめらかな食感という食感の違いはあるものの、いずれも舌の上に豆腐が残る濃厚さを有することがおいしさにつながっている。
充填豆腐は、容器に充填してから凝固させて製造するものであり、機械化による大量生産に適している。
容器に充填してから凝固させるため食感を様々に変えやすいというメリットもあり、近年では非常に柔らかい食感の製品やもっちりとした食感の製品等も増えつつある。
本発明者等は、豆腐に新しいおいしさを付与して食シーンを広げるべく、口の中でとろけるような新食感の豆腐の開発を試みた。
豆腐の食感は大豆固形分によって左右され、大豆固形分が少ない豆乳を原料に用いればやわらかく口の中でとろけるような食感に近づけることができるが、豆腐本来の大豆の豊かな味わいに欠けるものとなる。大豆固形分の多い豆乳は大豆本来の豊かな味わいを有する一方で、舌の上に豆腐が残る濃厚な食感となり、口の中でとろけるような食感の豆腐は得難い。
豆腐の食感改良技術としては、例えば、特定濃度の豆乳に特定濃度の寒天を添加して凝固させる方法(特許文献1)、低濃度の豆乳を使用するとともに卵白及びオリゴ糖を加える方法(特許文献2)が従来技術として開示されている。
特許文献1の方法では、寒天そのものがゲル化する性質を有し、ゲル化時には硬さのあるさっくりとした食感となるものであるため、やわらかくみずみずしい食感とはなっても口の中でとろける食感とすることは困難である。
また、特許文献2では低濃度の豆乳を使用するため、口当たりはなめらかであっても豆腐本来の大豆の豊かな味わいが損なわれてしまう。
特開平08−070808号公報 特開2001−161301号公報
本発明の目的は、豆腐本来の大豆の豊かな味わいと口の中でとろける食感を両立した豆腐を提供するものである。
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、
豆腐にトレハロースを含有させることによりはじめて、意外にも豆腐本来の大豆の豊かな味わいと口の中でとろける食感が両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)容器入り豆腐であって、
トレハロース、
大豆固形分9%以上の豆乳、
及び、豆乳全量に対して豆腐凝固剤を0.5%以上1.5%以下含有する、
容器入り豆腐。
(2)(1)の容器入り豆腐において、
豆乳全量に対してトレハロースを0.1%以上5%以下含有する、
容器入り豆腐、
(3)請求項1又は2に記載の容器入り豆腐の製造方法であって、
トレハロース、豆乳、豆腐凝固剤、及びその他原料を混合し、
該混合物を容器に充填し、
加熱して凝固させる、
容器入り豆腐の製造方法、
である。
本発明によれば、豆腐本来の大豆の豊かな味わいと口の中でとろける食感とを両立した豆腐が得られる。したがって、豆腐の新しいおいしさを提供し、豆腐の需要拡大と市場の活性化に貢献できる。
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
<本発明の特徴>
本発明は、トレハロースを含有させることにより、豆腐本来の大豆の豊かな味わいと口の中でとろける食感とを両立できることに特徴を有する。
<容器入り豆腐>
本発明の容器入り豆腐は1〜10℃の温度帯で流通・保存されるものであり、瓶、カップ、トレイ等の自立性の成形容器に充填されてなる。提供形態に応じてトップシールを施し密閉してもよい。
本発明の豆腐は、保形性はあるがカットしたり箸でつかんだりすることが難しいやわらかさであり、口の中でとろける食感を有している。
<トレハロース>
トレハロースとは、グルコースが1,1−グリコシド結合してなる非還元性二糖であり、種々の動植物中に存在する。本発明に使用するトレハロースは、食用に適するものであれば由来や製造方法は特に限定されず、本発明の効果を奏するものであれば純度も特に限定されない。
トレハロースの形態としては、他の原料と均一に混合できる状態で用いればよく、例えば、液状、シロップ状、粉末状、固形状等が挙げられる。
なお、水和水を有するトレハロースを用いる場合には、結晶水はトレハロースの含有量から除外する。
<トレハロースの含有量>
本発明の容器入り豆腐に含まれるトレハロースの量は、豆乳全量に対して0.1%以上5%以下であり、0.1%以上3%以下であるのが好ましく、さらに0.5%以上2%以下であるとより好ましい。
トレハロースの含有量が前記範囲より少ないと、しっかりと凝固した従来の豆腐となり、口の中でとろける食感とはならない。
トレハロースの含有量が前記範囲より多いと、豆乳の凝固が妨げられて液状またはゾル状となり、豆腐とならない。加えて、トレハロースの味が感じられやすくなり、豆腐としての食味が損なわれる。
<豆乳類>
豆乳類とは、大豆を水に浸した後にすり潰し、加熱、ろ過を行って得られる乳状物であり、豆乳(無調整豆乳)の他、例えば、無調整豆乳を飲みやすい味や香りに調製したもの(調製豆乳)、豆乳クリーム、低脂肪豆乳、等の調製豆乳、無調整豆乳に果汁やその他成分を添加した豆乳飲料等が挙げられる。
本発明の容器入り豆腐には1種の豆乳を使用してもよく、2種以上の豆乳を併用してもよい。
<豆乳の大豆固形分>
本発明の豆腐に使用する豆乳の大豆固形分は、9%以上であり、10%以上であるのが好ましく、さらに11%以上であるとより好ましい。
大豆固形分が前記範囲より少ないと豆腐本来の大豆の豊かな風味が損なわれる。
大豆固形分の上限は特に限定されないが、口の中でとろける食感を得やすい観点から、20%以下であるのが好ましく、さらに16%以下であるのが好ましい。
なお、2種以上の豆乳を併用する場合は、使用する豆乳の合計量中の大豆固形分が上記範囲を満たせばよい。
<豆腐凝固剤>
豆腐凝固剤としては、豆腐の製造に使用されているものであれば特に限定されず、例えば、にがり(粗製海水塩化マグネシウム)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、グルコノデルタラクトン等が挙げられる。これらの凝固剤は精製されたものを用いてもよく、海水などの混合物として用いてもよい。
<豆腐凝固剤の含有量>
豆腐凝固剤の含有量は、豆乳全量に対して0.5%以上1.5%以下であり、0.6%以上1.2%以下であることが好ましく、さらに0.7%以上1.0%以下であるとより好ましい。
豆腐凝固剤の含有量が前記範囲より少ないと凝固できずにゾル状態となり、前記範囲より多いと口の中でとろける食感が得難い。
<その他の原料>
本発明においては、本発明の必須原料であるトレハロース、豆乳、豆腐凝固剤以外の原料を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、配合することができる。
具体的には、例えば、枝豆、小豆、練り胡麻、卵、チーズ、くるみ、魚介類等の食品素材、食塩、醤油、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、その他の調味料、各種アミノ酸、各種ビタミン、各種ペプチド、アスパルテーム、フェニルアラニン等の甘味料、クエン酸、酢酸、乳酸、リン酸、柑橘果汁等の酸味料、着色料、香料、保存料等が挙げられる。
<容器入り豆腐の製造方法>
本発明の容器入り豆腐は、トレハロース、豆乳、豆腐凝固剤、およびその他原料を混合撹拌し溶解させ、成形容器に充填した後、豆乳が凝固する温度まで加熱する。その後、流通・保管温度に応じて1〜10℃まで冷却を行う。なお、0℃以下まで冷却を行うと豆腐にすが入ってゲル様の食感となり、口の中でとろける食感が得難く好ましくない。
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[実施例1]
豆乳(大豆固形分11%)1000g、トレハロース20g及びにがりを7g添加して均一に撹拌混合したのち、耐熱性のプラスチック容器に充填し、75℃で30分間加熱して凝固させた後、10℃以下まで冷却し、本発明の容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は2%、にがりの含有量は0.7%であった。
[実施例2]
トレハロースを5gに変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は0.5%、にがりの含有量は0.7%であった。
[実施例3]
トレハロース30gに変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は3%、にがりの含有量は0.7%であった。
[実施例4]
にがりの量を10gに変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は2%、にがりの含有量は1.1%であった。
[実施例5]
豆乳を大豆固形分22%のものに変更した以外は実施例1と同様にして、容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は2%、にがりの含有量は0.7%であった。
[比較例1]
豆乳を大豆固形分8%のものに変更した以外は実施例1と同様にして、容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は2%、にがりの含有量は0.7%であった。
[比較例2]
にがりの量を4gに変更した以外は実施例1と同様にして、容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は2%、にがりの含有量は0.4%であった。
[比較例3]
にがりの量を18gに変更した以外は実施例1と同様にして、容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するトレハロースの含有量は2%、にがりの含有量は1.8%であった。
[比較例4]
豆乳(大豆固形分11%)1000g及びにがりを7g添加して均一に撹拌混合したのち、耐熱性のプラスチック容器に充填し、75℃で30分間加熱して凝固させた後、10℃以下まで冷却し、本発明の容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するにがりの含有量は0.7%であった。
[比較例5]
豆乳(大豆固形分10%)1000gを加熱後、にがりを9g添加した箱型に流し込み、凝固させた後、水槽にて冷却した。冷却した豆腐をカットして容器に充填し、容器入り豆腐を得た。
豆乳全量に対するにがりの含有量は0.9%であった。
[試験例1]官能評価
専門パネル5名が実施例1〜5及び比較例1〜5の容器入り豆腐を喫食し、以下の評価基準で評価した。
<風味の評価>
◎:豆腐本来の大豆の豊かな風味が十分に感じられる
○:豆腐本来の大豆の豊かな風味が感じられる
△:豆腐本来の大豆の豊かな風味がやや感じられる
×:豆腐本来の大豆の豊かな風味が感じられない
<食感の評価>
◎:口の中でとろける食感に優れる
○:口の中でとろける食感を有する
△:舌の上にやや残るが、問題のない程度である
×:舌の上に残り、口の中でとろける食感に乏しい
Figure 0006901268
表1より、トレハロースを含有し、豆乳の大豆固形分が9%以上、豆腐凝固剤が0.5%以上1.5%以下である容器入り豆腐(実施例1〜4)は、豆腐本来の大豆の豊かな風味と口の中でとろける食感が両立したものであり、特にトレハロースが0.5%以上2%以下、豆乳の大豆固形分が11%以上、豆腐凝固剤が0.7%以上1.0%以下である容器入り豆腐(実施例1、2)は、風味及び食感に優れるものであった。
豆乳の大豆固形分が20%を超える容器入り豆腐(実施例5)は、大豆固形分が20%以下の豆乳を使用した場合と比べると豆腐が舌の上にやや残りやすくなっていたものの、口の中でとろける食感への影響は問題のない程度であった。
一方、豆乳の大豆固形分が9%未満である容器入り豆腐(比較例1)は、豆腐本来の大豆の豊かな風味に乏しいものであった。
豆腐凝固剤が0.5%未満である容器入り豆腐(比較例2)は、加熱後も十分に凝固せずゾル状であり、豆腐凝固剤が1.5%を超える容器入り豆腐(比較例3)は、凝固剤の味が出て大豆の豊かな風味が損なわれており、口の中でとろける食感も得られなかった。
トレハロースを含有しない容器入り豆腐(比較例4、5)は、豆腐本来の大豆の豊かな風味は有するものの、いずれも口の中でとろける食感は得られなかった。

Claims (2)

  1. 容器入り豆腐の製造方法(但し、冷凍工程又は凍結乾燥工程を含むものを除く)であって、
    前記容器入り豆腐が、
    トレハロース、
    大豆固形分9%以上の豆乳を含有し、
    豆乳全量に対して豆腐凝固剤を0.5%以上1.5%以下含有し、
    豆乳全量に対してトレハロースを0.1%以上5%以下含有し、
    トレハロース、豆乳、豆腐凝固剤、及びその他原料を混合し、
    該混合物を容器に充填し、
    加熱して凝固させる、
    容器入り豆腐の製造方法(但し、卵白を0.1%以上10%以下含有するものを除く)。
  2. 容器入り豆腐の製造方法(但し、冷凍工程又は凍結乾燥工程を含むものを除く)であって、
    前記容器入り豆腐が、
    トレハロース、
    大豆固形分11%以上の豆乳を含有し、
    豆乳全量に対して豆腐凝固剤を0.5%以上1.5%以下含有し、
    豆乳全量に対してトレハロースを0.1%以上5%以下含有し、
    トレハロース、豆乳、豆腐凝固剤、及びその他原料を混合し、
    該混合物を容器に充填し、
    加熱して凝固させる、
    容器入り豆腐の製造方法。
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