JP6471374B2 - 等速ジョイント用ブーツの結合部材の成形のための射出装置、等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出方法、及びその結合部材の射出方法により製造された等速ジョイント用ブーツ - Google Patents

Description

本発明は、等速ジョイント用ブーツの結合部材の成形のための射出装置、及び等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出方法に係り、さらに詳しくは、車両のデファレンシャルギヤ（differential gear）からタイヤが装着されるハブへ動力を伝達するドライブシャフト（drive shaft）の円滑な駆動のために使用する等速ジョイント（Constant Velocity universal Joint）をシールするための等速ジョイント用ブーツに結合する優れた性能の結合部材を成形するための射出装置、及び等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出方法に関する。

車両のデファレンシャルギヤ（differential gear）から駆動力を伝達されるドライブシャフト（drive shaft）には、その両端部に等速ジョイント（Constant Velocity universal Joint）が設けられる。該等速ジョイントは、ドライブシャフトが一直線を維持しないとしてもデファレンシャルギヤの駆動力を等速にて伝達するために用いられる手段である。この等速ジョイントは、折れ角が大きい自在継手手段を用いてドライブシャフトの屈折角による速度の変化を相殺する役割を果たす。前記等速ジョイントの駆動部には、等速ジョイント用ブーツを結合して駆動部をシールする。

図１は、等速ジョイントJにブーツ１を適用（結合）した事例を示す参考斜視図である。同図に示すように、等速ジョイントJの駆動部にブーツ１の大径管体２を結合し、大径管体２の外周面をクランプバンドＢ１で加圧して緊密な結合状態を維持できるようにする。また、大径管体２及び小径管体３をベローズ管４により連結し、小径管体３にドライブシャフトＳを結合し、小径管体３の外周面をクランプバンドＢ２で加圧して緊密な結合状態を維持できるようにする。さらに、等速ジョイント用ブーツ１の内部には、潤滑剤としてのグリースを封入して駆動部の駆動機能を向上させられるようにする。加えて、等速ジョイント用ブーツ１により、外部からの塵や水などの異物の等速ジョイントＪの駆動部への浸入を防止できるようにする。

一方、等速ジョイントの種類としては、動力伝達用のボールをボールリテーナに挿入し、一方の軸にハウジングを設け、ボールリテーナとハウジングを結合した方式のツェッパ型等速自在継手（rzeppa constant velocity joint）またはベル型等速自在継手（bell constant velocity joint）、そして、ハウジングの内部に設置する３組のローラーがそれぞれ軸方向に摺動可能に構成したトリポード型等速自在継手 (tripod constant velocity joint)などが挙げられる。上記した等速ジョイントのハウジング外側には、軸方向に窪む複数の凹溝を形成することにより、軽量化及び材料の削減を図ると共に、ブーツとの結合性を向上させられるようにする。

図２乃至図４に示すように、ツェッパ型等速自在継手またはベル型等速自在継手やトリポード型等速自在継手に用いられる等速ジョイント用ブーツ１は、等速ジョイントのハウジングに結合される大径管体２と、ドライブシャフトの外径を収容し得る小径管体３と、大径管体２及び小径管体３を連結するベローズ管４と、を一体に成形して構成される。大径管体２の内側には、等速ジョイントのハウジングに形成された凹溝に結合される肉厚の厚い突起部５ｂと、等速ジョイントのハウジング外径を収容する肉厚の薄い薄肉部５ａとの組み合わせからなる結合部材５が設けられる。

従来では、大径管体２、小径管体３、及びこれらを連結するベローズ管４が一体化されたブーツ１を成形し、等速ジョイントのハウジングに形成された凹溝に結合される肉厚の厚い突起部５ｂと、等速ジョイントのハウジング外径を収容する肉厚の薄い薄肉部５aとの組み合わせからなる結合部材５を成形し、その後、結合部材５をブーツ１の大径管体２の内に係合した状態で接着するなどの方法により結合した。

上記のようにブーツ１と結合部材５とを別々に成形して組み立てた場合では、工程数が多くて煩雑化をもたらすのみならず、工程にかかる時間が長くなり、生産性が低下した。加えて、慎重な作業が行われない場合では、ブーツ１と結合部材５との緊密な結合が得られ難く、このため、使用過程において漏油などの問題を招く虞がある。

したがって、大径管体２、小径管体３、及びこれらを連結するベローズ本体４が一体になるように１次成形した本体の大径管体２の内側において、二重射出（double injection）の方式にて結合部材５を２次成形することにより、製造工程の単純化及び工程時間の短縮を達成し得る、優れた性能のブーツ１を製造することができる方法及び装置などが提案された。

通常の二重射出（double injection）方法による等速ジョイント用ブーツの製造では、１次成形したブーツの大径管体の内側に溶融樹脂材料を射出して所望の形状の結合部材を成形できるようにした。その詳細な手順を説明すると、１次成形されたブーツの大径管体を２次射出金型内に投入する工程と、大径管体の内部にコア金型を位置付けることで、大径管体の内周面とコア金型との間で、結合部材を成形するための成形空間（キャビティ：cavity）を確保する工程と、大径管体の下方に射出ゲートを位置せしめ、射出ゲートを介して上方に溶融樹脂材料を射出する工程と、射出された溶融樹脂材料を冷却した後、コア金型から分離する工程と、などを行い、１次成形されたブーツの大径管体の内側において結合部材の２次射出成形が行われるようにした。

上記の如く結合部材を射出成形すると、１次成形されたブーツの大径管体の内面と、さらに射出成形された結合部材の上端部との間に、コア金型の設計形態による分離線（parting line）Ｇが形成されざるを得ない（図４を参照）。

上記した従来の二重射出方法を用いたブーツの製造方式は、溶融樹脂材料を上方に射出して結合部材を成形する方式であるため、射出圧力の制御に困難があり、溶融樹脂材料を射出する工程において、溶融樹脂材料がブーツの大径管体の内周面とコア金型の成形部外周面とが接する分離線（parting line）Ｇを超えてあふれてしまう（overflow）虞が大きい。二重射出工程において、溶融樹脂材料が大径管体の内面と結合部材との間に形成される分離線を超えてあふれてしまう場合では、分離線の周囲に様々な形状のバリ（burr）が発生する。

溶融樹脂材料がブーツの大径管体の内面と結合部材との間に形成される分離線を越えてあふれてしまうが故に発生するバリ（burr）のサイズが大きくなった場合では、等速ジョイントを構成するドライブシャフトの屈折作動過程において、等速ジョイントの構成品とバリ（burr）の相互干渉現象が発生して等速ジョイントの駆動性能が低下する虞がある。また、等速ジョイントの構成品とバリ（burr）の継続的な干渉に起因してバリ（burr）が分離されて等速ジョイントの駆動系部品間に挟み込まれる場合では、構成品の損傷をもたらす虞がある。さらに、車両が高速で走行する過程において、分離されたバリ（burr）が等速ジョイントの駆動系部品間に挟み込まれる場合では、等速ジョイントの駆動系部品及びドライブシャフトなどの駆動が停止してしまい、このために発生するステアリング不能に起因する致命的な事故が起こる虞がある。

特許第３６５７９４４号公報 大韓民国特許第１０−１４０５１８７号公報

本発明は、上記のような従来の二重射出方式を用いたブーツの製造による問題点を解決するために創出されたもので、その主要な課題とするところは、１次成形されたブーツの大径管体を下方に向かうように支持金型に配置し、ブーツの大径管体の内側にコア金型を位置付けることで、大径管体の内周面とコア金型との間で、結合部材を成形するための成形空間（キャビティ：cavity）を確保できるようにした状態において、コア金型の設計形態に基づいて、コア金型の成形加工部の外周面とブーツの大径管体の内周面との間に設定される分離線（parting line）に最近接した上部領域に複数の射出ゲートを位置せしめ、該複数の射出ゲートを介して下方に溶融樹脂材料を射出する方式にて結合部材を射出成形できるようにすることにより、射出工程において溶融樹脂材料のオーバーフロー（overflow）現象により分離線の周囲にバリ（burr）が発生することを極力抑えることができる、等速ジョイント用ブーツの結合部材の成形のための射出装置、等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出方法、及びその結合部材の射出方法により製造された等速ジョイント用ブーツを提供することである。

本発明が解決しようとする他の課題とするところは、投入されたブーツの上部（小径管体）の方向からコア金型へ接近する射出ブッシングにより供給される溶融樹脂材料が、コア金型に設けられたランナ（runner）及び射出ゲート（injection gate）を経由して、結合部材を成形するための成形空間（cavity）に注入される方式を採用することにより、結合部材の射出成形が完了したブーツを取り出すための取出し装置を簡単かつ容易に構成設置することができる、優れた性能の等速ジョイント用ブーツの二重射出装置を実現することである。

上記技術的課題を達成するための本発明は、1つ以上の昇降シリンダを設け、昇降シリンダのロッドに取出ブロックを設けることにより、昇降シリンダの駆動により取出ブロックを昇降可能に構成した、ベース金型と;前記ベース金型の取出ブロックの内側領域を通って上部に突出する成形加工部が備えられるもので、平らな上面の中央部に溶融樹脂材料が供給される湯口を設け、湯口から成形加工部に至るまで湯口を中心として放射状に伸びていく複数のランナを設け、前記複数のランナの端部に射出ゲートを設けることにより、溶融樹脂材料の射出構造を構成し、前記ランナは、射出ゲートに向かって下向きに傾斜するように形成され、前記射出ゲートは、コア金型の成形加工部の外周面と、コア金型を囲むように配設されるブーツの大径管体の内周面との間に設定される分離線（parting line）に最近接した上部領域に位置付けられるように構成した、コア金型と；前記ベース金型の上部に設けられるもので、油圧シリンダまたは他の駆動手段により水平に前／後進して相互に噛み合ったり分離したりする一組のスライド金型からなり、各スライド金型の内部には、ベローズ管の下端部の外周面及び大径管体の外周面を把持するための支持溝を形成して構成した、支持金型と;前記支持金型の上部に設けられ、油圧シリンダまたは他の駆動手段により垂直に昇降しながら支持金型と接触したり分離したりするもので、中央部に設けられた密閉カバーに上方に窪むカバー溝を形成することで、ブーツの上端構成部である小径管体及びベローズ管を収容できるようにし、密閉カバーのカバー溝の中心部を垂直に貫通する射出ブッシングを設けることで、射出ブッシングの射出孔より溶融樹脂材料を供給できるように構成した、射出金型と；を含むことを技術的特徴とする。

本発明に係る等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出によれば、１次成形されたブーツの大径管体の内面に射出成形される結合部材の上端に設定される分離線に最近接した領域に射出ゲートを位置せしめ、その場合、射出ゲートを等間隔の複数箇所に配置し、各射出ゲートを介して自然に落下する方式で溶融樹脂材料を射出することで、溶融樹脂材料が、結合部材を形成するための成形空間の下方から徐々に充填されることができ、このとき、成形空間に注入される溶融樹脂材料が一定した射出バランスを維持し、射出が下方に行われるようにすることにより、溶融樹脂材料が、ブーツの大径管体の内面と結合部材との間に設定される分離線を超えてあふれてしまう現象を防止し得る結合部材を射出成形することができる。

また、本発明によれば、結合部材を射出成形する工程において、溶融樹脂材料が、ブーツの大径管体の内面と結合部材との間に形成される分離線を超えてあふれてしまうことに起因するバリ（burr）の発生を基本的に遮断することにより、完成済のブーツを装着した等速ジョイントの性能低下を防止することができ、さらに、ブーツに成形された結合部材から分離されたバリが等速ジョイントの駆動系部品間に挟み込まれて駆動が停止してしまい、このために発生するステアリング不能に起因する致命的な事故を未然に防止することができる。

またさらに、本発明によれば、結合部材の射出成形が完了したブーツを正確かつ迅速に取り出すことができる取出装置を簡単かつ容易に構成設置することにより、射出装置を実現することができ、ブーツの結合部材の射出加工を迅速かつ効率的に行うと共に、ブーツを取り出す工程において射出成形された結合部材に対する損傷を防止することができる。

等速ジョイントにブーツを適用（結合）した事例を示す参考斜視図である。 等速ジョイント用ブーツの一つの実施例を示す正面図である。 等速ジョイント用ブーツの底面図である。 等速ジョイント用ブーツの断面図である。 本発明に係る射出装置の好ましい実施例を示す断面図である。 本発明に係るコア金型の構成を説明するための参考断面図である。 本発明に係るコア金型に設けられるランナ及びゲートの設置構成を説明するための参考断面図である。 本発明に係る射出装置による結合部材の射出準備工程を説明するための断面図である。 本発明に係る射出装置による結合部材の第１ステップの射出工程を説明するための断面図である。 本発明に係る射出装置による結合部材の第２ステップの射出工程を説明するための断面図である。 本発明に係る射出装置による結合部材の第３ステップの射出工程を説明するための断面図である。 本発明に係る射出装置による結合部材の第４ステップの射出工程を説明するための断面図である。 本発明に係る射出装置による結合部材の射出仕上げ工程を説明するための断面図である。

図５は、本発明に係る射出装置１０の好ましい実施例を示す断面図である。同図に示すように、射出装置１０は、ベース型２０と、前記ベース金型２０の略中央部に設けられるコア金型３０と、前記ベース金型２０の上部に設けられる支持金型４０と、前記支持金型４０の上部に設けられる射出金型５０と、前記射出金型５０の略中央部に設けられる密閉カバー６０と、を備えて構成される。射出装置１０の構成について以下で詳細に説明する。

ベース金型２０には、1つ以上の昇降シリンダ２１を設け、昇降シリンダ２１のロッドに取出ブロック２２を設けることにより、昇降シリンダ２１の駆動により取出ブロック２２が昇降可能になる。ベース金型２０の中央部に設けられるコア金型の上部に備えられる成形加工部が、取出ブロック２２の内側領域を通って上部に突出される。

前記コア金型３０は、上面を平らに形成し、この平らな上面の中央部に溶融樹脂材料が供給される湯口３１を設け、湯口３１から成形加工部に至るまで湯口３１を中心として放射状に伸びていく複数のランナ３２（runner）を設け、前記複数のランナ３２の端部に射出ゲート３３を設けることにより、溶融樹脂材料の射出構造を構成する。前記ランナ３２は、射出ゲート３３に向かって下向きに傾斜するように形成され、前記射出ゲート３３は、コア金型３０の成形加工部の外周面と、コア金型３０を囲むように配設されるブーツ１の大径管体２の内周面との間に設定される分離線（parting line）に最近接した上部領域に位置せしめる。

このとき、前記コア金型３０に設けられる射出ゲート３３は、前記分離線と一致するか分離線を越える領域に位置させてはならない。すなわち、前記射出ゲート３３は、好ましくは、分離線に一致することなく溶融樹脂材料の射出に影響を受けない範囲で分離線に最近接した上部領域に位置せしめる。

前記ベース金型２０の上部に設けられる支持金型４０は、油圧シリンダまたは他の駆動手段（不図示）により水平に前／後進して相互に噛み合ったり分離したりする一組のスライド金型４１ａ、４１ｂからなり、各スライド金型４１ａ、４１ｂの内部には、ベローズ管４の下端部の外周面及び大径管体２の外周面を把持するための支持溝４２ａ、４２ｂを形成して構成する。

前記支持金型４０の上部に設けられる射出金型５０は、油圧シリンダまたは他の駆動手段（不図示）により垂直に昇降しつつ支持金型４０と接触したり分離したりするもので、射出金型５０の中央部に設けられた密閉カバー６０に上方に窪むカバー溝６１を形成することで、ブーツ１の上端構成部である小径管体３及びベローズ管４を収容できるようにし、射出金型５０には、密閉カバー６０のカバー溝６１の中心部を垂直に貫通する射出ブッシング５１を設けることで、射出ブッシング５１の射出孔５２より溶融樹脂材料を供給できるように構成する。

前記射出金型５０が支持金型４０と接触すると、射出金型５０に設けられた射出ブッシング５１の下端がコア金型３０の湯口３１に接続されるように構成し、射出ブッシング５１の上部には、射出装置７０の射出シリンダ７１が接続されるコネクターを備え、射出シリンダ７１及び射出ブッシング５１と湯口３１などより溶融樹脂材料を上方から供給できるように構成する。

以上の構成からなる射出装置１０を用いた等速ジョイント用ブーツ１の結合部材５の射出方法は、１次成形品投入及び支持ステップと、２次成形の準備ステップと、２次成形部の成形ステップと、２次成形部に対する冷却及び１次成形品に対する支持解除ステップと、２次成形が完了したブーツの取出ステップと、を含んでなる。各ステップの工程については以下で詳細に説明する。

[１次成形品投入及び支持ステップ]
大径管体２と小径管体３をベローズ管４で連結できるように１次成形した成形品である等速ジョイント用ブーツ１の大径管体２を、下方に向かうように、ベース金型２０に設けられた取出ブロック２２の上部に配設し、ブーツ１を、前／後にスライド移動され、内側に支持溝４２ａ、４２bを備える一組のスライド金型４１ａ、４１ｂからなる支持金型４０の内側領域に位置せしめ（図９参照）、支持金型４０のスライド金型４１ａ、４１ｂを前進させることにより、ブーツ１を構成するベローズ管４の下端部の外周面及び大径管体２の外周面が、スライド金型４１ａ、４１ｂによって把持されるようにする（図１０参照）。

[２次成形準備ステップ]
支持金型４０によって支持されたブーツ１の大径管体２の内側中心部にコア金型３０を配置し、ブーツ１の大径管体２の内面とコア金型３０との間の領域に、半円形突起状の肉厚の厚い厚肉部を成形するための第１成形空間Ｃ１と、肉厚の薄い薄肉部を成形するための第２成形空間Ｃ２とを相次いで円形に形成し（図７参照）、ランナ３２を介してコア金型３０の湯口３１と連結される射出ゲート３３を、ブーツ１の大径管体２の内面と以後に成形する結合部材５の上端との間に形成される分離線Ｇに最近接した領域に位置せしめ（図１０参照）、密閉カバー６０及び射出ブッシング５１を備える射出金型５０を支持金型４０の上部に接触するように位置せしめ、ブーツ１の小径管体３及びベローズ管４が密閉カバー６０のカバー溝６１に密閉されるようにし、さらに、カーバ溝６１の上端部がブーツ１を下方に押し下げることで、大径管体２の下端面が取出ブロック２２の上面に緊密に接触するようにし、射出金型５０の射出ブッシング５１の下端が、コア金型３０の湯口３１の上面に緊密に接触するようにする（図１１参照）。

このとき、前記コア金型３０に備えられるランナ３２は、湯口３１を中心として放射状に伸びていく複数のランナ３２により構成されており、各ランナ３２の間隔Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３を等間隔に維持することにより、射出バランスを一定に維持できるように構成したほうが好ましい。

また、前記ランナ３２は、射出ゲート３３に向かって下向きに傾斜しており、傾斜角Ａを２５°以上５０°以下の範囲内に維持することが好ましい。前記ランナ３２の傾斜角Ａを２５°以上５０°以下の範囲内に維持する理由を説明すると、ランナ３２の傾斜角Ａを２５°以下とする場合では、溶融樹脂材料の自然な落下効果を期待しにくいので、溶融樹脂材料に過度の射出圧力をかけることになり、このため、溶融樹脂材料が、大径管体２の内面に成形される結合部材５の上端分割線Ｇを超えてあふれてしまってバリ（burr）が発生する虞がある。一方、ランナ３２の傾斜角Ａを５０°以上とする場合では、溶融樹脂材料の落下が急速に行われるので、弱い射出圧力によっても過剰な量の溶融樹脂材料が注入され、大径管体２の内面に成形される結合部材５の上端の分割線Ｇを超えてあふれてしまってバー（burr）が発生する虞がある。

加えて、前記ランナ３２の傾斜角Ａを２５°以上５０°以下の範囲内に維持する条件下で、射出ゲート３３の直径を０.７ｍｍ以上２.０ｍｍ以下の範囲内に維持するように構成し、ランナ３２及び射出ゲート３３は、半円形の突起状の肉厚の厚い厚肉部を成形するための第１成形空間Ｃ１へ溶融樹脂材料を射出するように構成することが好ましい。

[２次成形ステップ]
射出金型５０の上部に射出装置７０を位置せしめ、射出装置７０の射出シリンダ７１を用いて供給される溶融樹脂材料を、射出ブッシング５１の射出孔５２、湯口３１、ランナ３２、及び射出ゲート３３を経由して、ブーツ１の大径管体２の内面とコア金型３０との間に設けられた第１成形空間Ｃ１に射出することにより、相互に連通する第１成形空間Ｃ１及び第２成形空間Ｃ２の下方から徐々に溶融樹脂材料が充填される（図１２参照）。

このとき、前記ランナ３２の傾斜角Ａを考慮すると、射出ゲート３２より射出される溶融樹脂材料に対する射出圧力を２０〜４０ｋｇｆに維持することにより、溶融樹脂材料の射出速度を３０〜５０ｍｍ／ｓｅｃに維持し、ランナ３２及び射出ゲート３３の構成の設定条件に応じた最大の射出効果が得られるようにする。

[冷却と支持を解除ステップ]
コア金型３０の内側に設けられる冷却手段を駆動して、大径管体２の内面とコア金型３０との間の第１成形空間Ｃ１及び第２成形空間Ｃ２に射出成形された結合部材５を冷却した後、射出装置７０を分離するとともに射出金型５０を支持金型４０から分離することにより、ブーツ１の小径管体３及びベローズ管４の密閉状態を解除し、スライドブロック４１ａ、４１ｂを後進させることにより、ベローズ管４の下端部及び大径管体２の外周面に対するスライドブロック４１ａ、４１ｂの支持状態を解除する（図１３参照）。

一方、上記のように射出金型５０を昇降分離する工程において、射出ブッシング５１の射出孔５２と湯口３１及びランナ３２内に充填された下端部の残余樹脂材料Ｍ１が、上部に引っ張られると共に、成形された結合部材５と射出ゲート３３の境界部位が切断されて、下端部の残余樹脂材料Ｍ１がブーツ１の結合部材５から離脱し、また、射出装置７０を昇降分離する工程において、射出シリンダ７１内に残っている上端部の残余樹脂材料Ｍ２と下端部の残留樹脂材料Ｍ１とが分離される（図１３参照）。ブーツ１内側に存在する下端部の残余樹脂材料Ｍ１は、ブーツ１を取り出してから除去し、射出シリンダ７１に残っている上端部の残余樹脂材料Ｍ２は、別の除去手段を用いて除去し、その後、成形を準備する。

［取出ステップ］
ベース金型２０に設けられた昇降シリンダ２１の駆動により昇降する取出ブロック２２によって結合部材５に対する二重射出が行われたブーツ１を、コア金型３０から垂直に分離し（取り出し）（図１３参照）、以後に専用化された排出ローダー（loader）または手作業により、ブーツ１を外部に排出する。

上述したそれぞれの工程を経て１次成形された等速ジョイント用ブーツ１の大径管体２の内部に、等速ジョイントのハウジングの外径を収容する肉厚の薄い薄肉部５ａと肉厚の厚い突起部５bとの組み合わせからなる結合部材５を射出成形することができ、本発明によれば、１次成形されたブーツ１の大径管体２の内面と結合部材５との間に設定される分割線に最近接した領域に位置せしめたランナ３２の射出ゲート３３より自然に落下する方式で溶融樹脂材料を射出し、これにより結合部材５の成形のための第１成形空間Ｃ１及び第２成形空間Ｃ２の下方から溶融樹脂材料が徐々に充填されるようにすることにより、溶融樹脂材料が過度の射出圧力によって大径管体２の内面と結合部材５との間に設定される分離線Ｇを超えてしまう現象を防止することができる。

本発明は、上記の如く上部から溶融樹脂材料を供給する二重射出の方式を提供することにより、１次成形されたブーツ１の下方にシンプルな構造の取出装置を取り付けることができるので、結合部材５に対する二重射出が行われたブーツ１を損傷なく迅速にコア金型３０から取り出すことができる。

１ 等速ジョイント用ブーツ
２ 大径管体
３ 小径管体
４ ベローズ管
５ 結合部材
J 等速ジョイント
１０ 射出装置
２０ ベース金型
２１ 昇降シリンダ
２２ 取出ブロック
３０ コア金型
３１ 湯口
３２ ランナ
３３ 射出ゲート
４０ 支持金型
４１ａ、４１ｂ スライドブロック
４２ａ、４２b：支持溝
５０ 射出金型
５１ 射出ブッシング
５２ 射出孔
６０ 密閉カバー
６１ カバー溝
７０ 射出装置
７１ 射出シリンダ

Claims (4)

1つ以上の昇降シリンダ（２１）を設け、昇降シリンダ（２１）のロッドに取出ブロック（２２）を設けることにより、昇降シリンダ（２１）の駆動により取出ブロック（２２）を昇降可能に構成した、ベース金型（２０）と;
前記ベース金型（２０）の取出ブロック（２２）の内側領域を通って上部に突出する成形加工部が備えられるもので、平らな上面の中央部に溶融樹脂材料が供給される湯口（３１）を設け、湯口（３１）から成形加工部に至るまで湯口（３１）を中心として放射状に伸びていく複数のランナ（３２）（runner）を設け、前記複数のランナ（３２）の端部に射出ゲート（３３）を設けることにより、溶融樹脂材料の射出構造を構成し、前記ランナ（３２）は、射出ゲート（３３）に向かって下向きに傾斜するように形成され、前記射出ゲート（３３）は、コア金型（３０）の成形加工部の外周面と、コア金型（３０）を囲むように配設されるブーツ（１）の大径管体（２）の内周面との間に設定される分離線Ｇ（parting line）に最近接した上部領域に位置付けられるように構成した、コア金型（３０）と；
前記ベース金型（２０）の上部に設けられるもので、油圧シリンダまたは他の駆動手段により水平に前／後進して相互に噛み合ったり分離したりする一組のスライド金型（４１ａ、４１ｂ）からなり、各スライド金型（４１ａ、 ４１ｂ）の内部には、ベローズ管（４）の下端部の外周面及び大径管体（２）の外周面を把持するための支持溝（４２ａ、４２b）を形成して構成した、支持金型（４０）と;
前記支持金型（４０）の上部に設けられ、油圧シリンダまたは他の駆動手段により垂直に昇降しながら支持金型（４０）と接触したり分離したりするもので、中央部に設けられた密閉カバー（６０）に上方に窪むカバー溝（６１）を形成することで、ブーツ（１）の上端構成部である小径管体（３）及びベローズ管（４）を収容できるようにし、密閉カバー（６０）のカバー溝（６１）の中心部を垂直に貫通する射出ブッシング（５１）を設けることで、射出ブッシング（５１）の射出孔（５２）より溶融樹脂材料を供給できるように構成した、射出金型（５０）と；を含むことを特徴とする等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出装置。

大径管体（２）と小径管体（３）をベローズ管（４）で連結できるように１次成形した等速ジョイント用ブーツ（１）の大径管体（２）を、下方に向かうように、ベース金型（２０）に設けられた取出ブロック（２２）の上部に配設した状態において、支持金型（４０）のスライド金型（４１ａ、４１ｂ）を前進させることにより、ブーツ（１）を構成するベローズ管（４）の下端部の外周面及び大径管体（２）の外周面がスライド金型（４１ａ、４１ｂ）によって把持されるようにする、１次成形品の投入及び支持ステップと；
支持金型（４０）によって支持されたブーツ（１）の大径管体（２）の内側中心部にコア金型（３０）を配置し、ブーツ（１）の大径管体（２）の内面とコア金型（３０）との間の領域に、半円形突起状の肉厚の厚い厚肉部を成形するための第１成形空間（Ｃ１）と、肉厚の薄い薄肉部を成形するための第２成形空間（Ｃ２）とを円形に連続形成し、ランナ（３２）を介してコア金型（３０）の湯口（３１）と連結される射出ゲート（３３）を、ブーツ（１）の大径管体（２）の内面と以後に成形する結合部材（５）の上端との間に形成される分離線（parting line）（Ｇ）に最近接した領域に位置せしめ、射出金型（５０）に備えられる密閉カバー（６０）をもってブーツ（１）の小径管体（３）及びベローズ管（４）を密閉するとともに、ブーツ（１）を下方に押し下げて大径管体（２）の下端面が取出ブロック（２２）の上面に緊密に接触するようにし、射出金型（５０）に備えられる射出ブッシング（５１）の下端が、コア金型（３０）の湯口（ ３１）の上面に緊密に接触するようにする、２次成形の準備ステップと；
射出金型（５０）の上部に射出装置（７０）を位置せしめ、射出装置（７０）の射出シリンダ（７１）を用いて供給される溶融樹脂材料を、射出ブッシング（５１）の射出孔（５２）、湯口（３１）、ランナ（３２）、及び射出ゲート（３３）を経由して、ブーツ（１）の大径管体（２）の内面とコア金型（３０）との間に設けられた第１成形空間（Ｃ１）に射出することにより、相互に連通する第１成形空間（Ｃ１）及び第２成形空間（Ｃ２）の下方から徐々に溶融樹脂材料が充填される、２次成形ステップと；
コア金型（３０）の内側に設けられる冷却手段を駆動して、大径管体（２）の内面とコア金型（３０）との間の第１成形空間（Ｃ１）及び第２成形空間（Ｃ２）に射出成形された結合部材（５）を冷却した後、射出装置（７０）を分離するとともに射出金型（５０）を支持金型（４０）から分離することで、ブーツ（１）の小径管体（３）及びベローズ管（４）の密閉状態を解除し、スライドブロック（４１ａ、４１ｂ）を後進させることで、ベローズ管（４）の下端部及び大径管体（２）の外周面に対するスライドブロック（４１ａ、４１ｂ）の支持状態を解除する、冷却及び支持解除ステップと；
昇降シリンダ（２１）の駆動により昇降する取出ブロック（２２）によって結合部材（５）に対する二重射出が行われたブーツ（１）を、コア金型（３０）から垂直に分離（取出）し、以後に専用化された排出ローダー（loader）または手作業により、ブーツ（１）を外部に排出する、取出ステップと；を含むことを特徴とする等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出方法。

前記２次成形の準備ステップにおいて、溶融樹脂材料の射出のためのランナ（３２）を、湯口（３１）を中心として放射状に伸びていく複数のランナ（３２）で構成し、前記ランナ（３２）の端部に射出ゲート（３３）を設け、各ランナ（３２）の間隔（Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３）を等間隔に維持し、各ランナ（３２）の射出ゲート（３３）を、肉厚の厚い厚肉部を成形するための第１成形空間（Ｃ１）に連通せしめ、各ランナ（３２）は、射出ゲート（３３）に向かうにつれて下向きに傾斜しており、前記ランナ（３２）の傾斜角（Ａ）を２５°以上５０°以下の範囲内に維持し、前記ランナ（３２）の端部に設けられる射出ゲート（３３）の直径を０.７ｍｍ以上２.０ｍｍ以下の範囲に維持するように構成したことを特徴とする請求項２に記載の等速ジョイント用ブーツの製造方法。

前記２次成形ステップにおいて、ランナ（３２）及び射出ゲート（３３）を介して注入される溶融樹脂材料の射出圧力を２０〜４０ｋｇｆに維持することにより、溶融樹脂材料の射出速度を３０〜５０ｍｍ／ｓｅｃに維持するように構成したことを特徴とする請求項２に記載の等速ジョイント用ブーツの結合部材の射出方法。

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