本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る射出成形方法および射出成形金型は、例えば等速ジョイント用ブーツのような、蛇腹部を有する樹脂製ブーツなどを、熱可塑性エラストマー樹脂の射出成形により成形する場合に用いられる。
本発明の射出成形金型は、例えば、図1に示すように、開閉可能に2分割された、分割型10A、10Bからなるキャビティ金型10と、該キャビティ金型10の一つの分割型10A、10Bに挟まれたコア金型20とからなり、両者の間に形成される筒状の成形空間30内に、熱可塑性エラストマー樹脂が射出、充填され、ジョイント用ブーツなどの筒状の中空成形品が成形される。キャビティ金型10の分割型10Aと10Bは、それらの背面側に位置する、図示しないベース板に固定され、ベース板とともに左右に移動して開閉自在に設けられており、またコア型20は、その上部側に位置する図示しないベース板に固定されている。
図例の射出成形金型は、例えば、図10に示すようにアウターケースに取り付けられる環状の大径側取付部3と、シャフトに取り付けられる環状の小径側取付部2と、両者を一体に連結する蛇腹部4とを備える等速ジョイント用ブーツ1を射出成形するために用いられるものである。キャビティ金型10を構成する一対の分割型10Aと10Bは、図2、図3に示すように、ほぼ左右対称の形状で、それぞれの相対向する分割面11A、11Bに、成形されるブーツ1の形状に応じて、成形空間30の外周面を構成する成形凹部30A、30Bが形成されている。凹部30A、30Bは、ブーツ1の小径側取付部2が分割面11A、11Bの下方に位置し、上方に向かって蛇腹状に拡がった形状に形成されている。また、各凹所30A、30Bの下部には、ブーツ1の小径側取付部2の開口端からドーム状の蓋となる部分を形成するため、約1/4球状のゲート用凹部31A、31Bが形成され、分割型10A、10Bを閉じた合わされたときに、前記一対のゲート用凹部31A、31Bによりドーム状ゲートの外周面が構成されるようになっている。さらに各ゲート用凹部31A、31Bの下端中央部から下方へ、成形空間30(成形凹部30A、30B)内で成形されるブーツ1の軸方向にのびる樹脂注入口41を形成する一対の溝41A、41Bが設けられており、溝41A、41Bの下端部は、図示しない射出成形機の樹脂注入ノズルに連結されるノズル装着部(分割型10Bにおける符号43)に連通する樹脂注入路42を形成する溝42A、42Bに連通させている。このように、樹脂注入用のドーム状ゲート40は、成形後のブーツ形状の歪性を小さくさせるため、小径側取付部2側に設けることが好ましい。
一方、図1に示すように、コア金型20は、ブーツ1の内面形状に応じて成形空間30の内周面を形成する中空の外型20Aと、外型20A内に嵌合される下向きのほぼ円錐台形の中型20Bとが基板20C下面に図示しないボルトなどで固定されている。外型20Aの下端部には、ドーム状ゲートの内周面を形成するドーム状凸部23が形成され、ドーム状凸部23の中央部先端から、コア金型20の外型20A、20Bおよび基板20Cを貫通するように通気孔24が形成され、通気孔24の下端開口部はドーム状ゲート40に開口し、成形品Pの内側に向かって空気を噴出する空気穴21となっており、また通気孔24内には、ソレノイドなどにより瞬間的にスライド可能に設けた開閉軸22を備え、注入口41から射出される溶融した熱可塑性樹脂が入らないように空気穴21を閉じるとともに、脱型時には、キャビティ金型10の一対の分割型10A、10Bが開くと同時に、開閉軸22が通気孔24内をスライドして上昇し、図示しないエアコンプレッサーなどからの高圧空気が空気穴21から成形品の内面に向けて吹き付けられ、コア金型20から成形品が脱型される構造となっている。
前記ドーム状ゲート40の形状は図例のものに限定されず、射出される樹脂の流れに乱れが発生せず、また空気孔21から成形品の内部、具体的には、ブーツ状ゲート40部分に成形される成形品の蓋となる部分の内面に向けて吹き付けられる高圧空気が成形品内面に均一に作用する形状であればよいが、図7に示すように、ドーム状ゲート40の縦断面形状を略半球状とし、該略半球状ゲートの頂点部分に設けた注入孔41から溶融した熱可塑性樹脂Mを射出することで、射出される樹脂Mの流れ(図中、矢印で示す)に乱流(乱れ)が発生することを効果的に抑えることができ、流れムラやウエルドラインなどが発生せず、外観および機械的特性に優れた成形品を得ることができる。
さらに、ドーム状ゲート40における成形空間30への開口端縁40aを、成形空間30内で成形されるブーツ1の軸方向と同方向となるようにほぼ円筒状に形成し、溶融した熱可塑性樹脂を、ドーム状ゲート40から成形空間30内で成形されるブーツの軸方向に向かって成形空間30内へ射出、充填することにより、ドーム状ゲート40から直線的に成形空間30内へ樹脂が射出されるので、樹脂の流れに発生する乱流(乱れ)をさらに効果的に抑えることができる。
また、図例のごとく、コア金型20の軸心部分に、その軸方向に貫通し、図示しない、コンプレッサーなどの高圧空気供給手段に連結される通気孔24を設け、通気孔24の先端部をドーム状ゲート40に開口する空気穴21とし、通気孔24内に、先端22aをドーム状ゲート40に臨ませて、コア金型20の軸方向に摺動する開閉軸22を設け、開閉軸22により空気穴21を開閉可能とすることで、成形空間30内への溶融した熱可塑性樹脂の射出時における空気穴30内への樹脂の侵入を確実に防止することができるとともに、成形後のコア金型20からのブーツ成形品Pの離型時には、キャビティ金型10の開放と同時に速やかに成形されたブーツ成形品P内部に高圧空気を吹き付けてコア金型20から成形されたブーツ1を脱型することができ、高い生産性の成形が可能となる。
さらに、図4に示すように、コア金型20の通気孔24の先端に近い部分24aを縮径するとともに、その内周面に、軸方向に伸びる単または複数の通気溝、図例のものでは、4条の通気溝25・・・を設け、図8に示すように、開閉軸22を、その22a先端が通気溝25を設けた位置にくるまで後退させて空気穴21を開口するとともに、通気孔24から通気溝25および空気穴21を介して高圧空気を成形されたブーツ成形品Pの内部に吹き付け可能とすることで、成形空間30内への溶融した熱可塑性樹脂の射出時に空気穴21内への樹脂の侵入を確実に防止することができる。
上記のような射出成形金型により、中空成形品、例えば等速ジョイント用ブーツを熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂から射出成形するには、図1に示すように、開閉可能に分割されたキャビティ金型10の分割型10A、10Bをとじ合わせ、該キャビティ金型10内にコア金型20が配置されてキャビティ金型10とコア金型20との間に所定のブーツ形状に応じた成形空間30が形成する。次いで、金型のノズル装着部43に連結した図示しない射出成形機から、図5、図6に示すように、金型の樹脂注入路42、注入口41、ドーム状ゲート40さらに成形空間30内へと、溶融した熱可塑性樹脂を射出、充填し、ドーム状ゲート40部分に成形される蓋となる部分cにより、一端が閉止された中空成形品、例えばブーツの成形品Pを成形する。
前記のように成形した後、図8に示すように、キャビティ金型10の分割型10A、10Bを左右に開くとともに、図9に示すように、コア金型20に外嵌されている中空成形品Pの内部に、コア金型20におけるドーム状ゲート40の頂点部分から高圧空気を成形品Pの蓋となる部分cの内面に対して軸方向に吹き付けることにより、コア金型20に密着している成形品Pの内面に均一に圧力を作用させてコア金型20外周面と成形品P内周面との間に隙間を形成して成形品Pを瞬間的に膨張させるとともに、コア金型20から下方へ成形品Pを押し出すようにして取り出す。
コア金型20から脱型された成形品Pは、図9に示すように蓋となる部分cから先のランナー部分やスプルー部分などの余分な樹脂部分が、図中、Lで示す部位から切除され、図10に示すような樹脂製ブーツ1などの製品となる。
次ぎに、本発明の射出成形方法に使用されるについて説明する。使用される樹脂としては特に限定はないが、熱可塑性樹脂が好ましく、さらにジョイント用ブーツなどの樹脂製ブーツを成形する場合には、熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
熱可塑性エラストマー樹脂は特に限定されるものではないが、成形性、耐熱性、耐油性、圧縮永久歪性が優れ、引張永久歪が小さいアクリル系ブロック共重合体であることが好ましい。特に、オレフィン/アクリル複合の熱可塑性エラストマー樹脂が好適に使用される。
また、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、塩素含有ポリマー、例えばポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリエチレン(CPE)、フッ素含有ポリマー、例えば、ポリ弗化ビニリデン(PDVF)、ポリエステル類、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、スチレン−無水マレイン酸コポリマー(SMA)、ポリアセタール類、ポリカーボネート類、ポリフェニレンオキシドなどの熱可塑性ポリマーを使用することもできる。
前記アクリル系ブロック共重合体としては、例えば、特開2004−300164号公報、特開2004−315803号公報に記載されたものなどが挙げられる。また、前記オレフィン/アクリル複合の熱可塑性エラストマー樹脂としては、(A)アクリル系ブロック共重合体と、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーを含み、更には(C)相溶化剤とを含むものが好適に使用される。
上記オレフィン/アクリル複合の熱可塑性エラストマー樹脂について説明する。本発明で好適に使用されるオレフィン/アクリル複合の熱可塑性エラストマー樹脂は、(A)アクリル系ブロック共重合体と(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーとを含む熱可塑性エラストマー組成物であり、さらには前記(A)、(B)にくわえて(C)相溶化剤を含む熱可塑性エラストマー組成物が好適である。
本発明で熱可塑性エラストマーとして好適に使用されるアクリル系ブロック共重合体(A)について、さらに詳細に説明する。
アクリル系ブロック共重合体(A)としては、アクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)が好ましい。このアクリル系ブロック共重合体(A)の構造は、線状ブロック共重合体であってもよく、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。アクリル系ブロック共重合体(A)の構造は、加工特性や機械特性などに応じて使いわければよいが、コスト面や重合容易性の点から、線状ブロック共重合体であるのが好ましい。
前記線状ブロック共重合体は、いずれの構造であってもよいが、その物性または組成物にした場合の物性の点から、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)が、一般式:(a−b)n、一般式:b−(a−b)n、一般式:(a−b)n−a(nは1〜3の整数)で表わされるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物にした場合の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体またはこれらの混合物が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)には、前記ブロック(a)および(b)の少なくとも一方の重合体ブロックに反応性官能基(c)を有することが好ましい。
さらに、前記反応性官能基(c)として、一般式(1):
(式中、R1は水素原子またはメチル基で、互いに同一でも異なっていてもよい、pは0または1の整数、qは0〜3の整数)で表わされる酸無水物基を含有する単位(c1)および/またはカルボキシル基を含有する単位(c2)からなる単位(c)が、アクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)の少なくとも一方の重合体ブロックあたりに1個以上含まれているのがよく、その数が2個以上の場合には、その単位(c)が重合されている様式はランダム共重合であってもよくブロック共重合であってもよい。
ブロック共重合への単位(c)の含有の仕方を、b−a−b型のトリブロック共重合体を例にとって表わすと、(b/c)−a−b型、(b/c)−a−(b/c)型、c−b−a−b型、c−b−a−b−c型、b−(a/c)−b型、b−a−c−b型、b−c−a−b型などで表わされ、これらのいずれであってもよい。ここで(a/c)とは、ブロック(a)に単位(c)が含有されていることを表わし、(b/c)とは、ブロック(b)に単位(c)が含有されていることを表わし、c−a−、a−c−とは、ブロック(a)の端部に単位(c)が結合していることを表わす。表現は、(a/c)、(b/c)、c−a−、a−c−などであるが、これらはいずれもブロック(a)またはブロック(b)に属する。
アクリル系ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、30000〜500000が好ましく、40000〜400000がより好ましく、50000〜300000がさらに好ましい。分子量が30000未満であるとエラストマーとして充分な機械特性を発現することができない場合があり、500000を超えると加工特性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)としては、1〜2であるのが好ましく、1〜1.8であるのがさらに好ましい。Mw/Mnが2をこえるとアクリル系ブロック共重合体(A)の圧縮永久歪性が悪化する場合がある。なお、本発明における、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いてクロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算の分子量を求めたものである。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)との組成比は、要求される物性、組成物の加工時に要求される成形性、およびアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)にそれぞれ必要とされる分子量などから決めればよい。好ましいアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)の組成比の範囲を例示すると、アクリル系重合体ブロック(a)が50〜90重量%、さらには50〜80重量%、特には50〜70重量%、メタアクリル系重合体ブロック(b)が50〜10重量%、さらには50〜20重量%、特には50〜30重量%である。アクリル系重合体ブロック(a)の割合が50重量%より少ない場合には、エラストマーとしての機械特性、特に破断伸びが低下したり、柔軟性が低下する場合があり、90重量%より多い場合には、高温でのゴム弾性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)とのガラス転移温度の関係は、アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度をTga、メタアクリル系重合体ブロック(b)のそれをTgbとした場合、下式の関係を満たすことが好ましい。
Tga<Tgb
前記アクリル系重合体ブロック(a)やメタアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)は、概略、下記Foxの式にしたがい、各重合体ブロックにおける単量体の重量比率を用いて求めることができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
(式中、Tgは重合体ブロックのガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmはそれぞれ重合した単量体(ホモポリマー)のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmはそれぞれ重合した単量体の重量比率を表わす。
前記Foxの式における重合した単量体それぞれのガラス転移温度は、例えば、ポリマー ハンドブック 3版(Polymer Handbook Third Edition)(ウイレィ インターサイエンス(Wiley−Interscience),1989)に記載されており、本明細書ではこの値を用いる。
アクリル系重合体ブロック(a)は、好ましくは、メタアクリル系重合体ブロック(b)とのガラス転移温度の関係、Tga<Tgbを満たすものである。アクリル系重合体ブロック(a)は、その全体中、アクリル酸エステルを含有する単位を50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%含有し、単位(c)の前駆体となる官能基を有する単量体を0〜50重量%、好ましくは0〜40重量%含有し、且つこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を0〜50重量%、好ましくは0〜25重量%を含有するのが好ましい。前記アクリル酸エステルを含有する単位の割合が50重量%未満であると、アクリル酸エステルを用いる場合の特徴である物性、特に引張特性の伸びが小さくなる場合がある。
アクリル系重合体ブロック(a)の分子量は、必要とされる弾性率とゴム弾性、その重合に必要な時間などから決めればよい。アクリル系重合体ブロック(a)の数平均分子量をMAとしてその範囲を例示すると、好ましくはMA>3000、より好ましくはMA>5000、さらに好ましくはMA>10000、とくに好ましくはMA>20000、最も好ましくはMA>40000であるアクリル系重合体ブロック(a)の数平均分子量MAが前記の範囲より小さいと引張伸びが低くなる。ただし、数平均分子量が大きいと重合時間が長くなる傾向があるため、必要とする生産性に応じて設定すればよいが、好ましくは500000以下であり、さらに好ましくは300000以下である。
アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(例えば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのアクリル酸エステルの中でも、低温特性、圧縮永久歪、コストおよび入手しやすさの点から、アクリル酸n−ブチルが好ましい。耐油性と機械特性が必要な場合には、アクリル酸エチルが好ましい。低温特性と機械特性と圧縮永久歪が必要な場合には、アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。機械特性と耐油性および低温特性の点から、アクリル系重合体ブロック(a)全体中、アクリル酸2−メトキシエチル10〜90重量%、アクリル酸n−ブチル10〜90重量%、アクリル酸エチル0〜80重量%の混合物が好ましく、さらにはアクリル酸2−メトキシエチル15〜85重量%、アクリル酸n−ブチル15〜85重量%、アクリル酸n−エチル0〜70重量%の混合物が好ましい。
また、単位(c)の前駆体となる官能基としては、例えば、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、アクリル酸α−メチルベンジル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸α,α−ジメチルベンジル、メタアクリル酸α−メチルベンジルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アクリル系ブロック共重合体(A)に、単位(c)を導入する方法は後述する。
さらに、アクリル系重合体ブロック(a)を構成する前記アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、例えばメタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロンゲン含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などが挙げられる。
前記メタアクリル酸エステルとしては、例えばメタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(例えば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどが挙げられる。
前記芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどが挙げられる。
前記シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
前記共役ジエン系化合物としては、例えばブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
前記ハロゲン含有不飽和化合物としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
前記不飽和ジカルボン酸化合物としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどが挙げられる。
前記ビニルエステル化合物としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどが挙げられる。
前記マレイミド系化合物としては、例えばマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。
前記共重合可能なビニル系単量体は、単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記ビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(a)に要求されるガラス転移温度、弾性率、極性、また、アクリル系ブロック共重合体(A)が組成物として使用される場合に要求される物性、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)やポリオルガノシロキサン系グラフト重合体(D)との相溶性などによって好ましいものを選択することができる。例えば、耐油性の向上を目的としてアクリロニトリルを共重合させることができる。
アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、好ましくは50℃以下、より好ましくは0℃以下である。ガラス転移温度が50℃より高いと、アクリル系ブロック共重合体(A)のゴム弾性が低下する場合がある。アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度(Tga)の設定は、重合体ブロックを構成する各単量体のホモポリマーのガラス転移温度として前述のポリマー ハンドブック 3版 に記載の値を用い、各単量体の重合比率から、前記Foxの式にしたがい、重合体ブロックを構成する単量体の重量割合を調節することにより行なうことができる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)は、好ましくは、アクリル系重合体ブロック(a)とのガラス転移温度の関係、Tga<Tgbを満たすものである。所望する物性のアクリル系ブロック共重合体(A)を得やすい点、コストおよび入手のしやすさの点から、メタアクリル系重合体ブロック(b)全体中、メタアクリル酸エステルを含有する単位を50〜100重量%、好ましくは50〜85重量%を含有し、単位(c)の前駆体となる官能基を有する単量体を10〜99.5重量%、好ましくは20〜99.5重量%含有し、且つこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜25重量%含有することが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(b)の分子量は、必要とされる凝集力と、その重合に必要な時間などから決めればよい。
前記凝集力は、分子間の相互作用(いい換えれば極性)と絡み合いの度合いに依存するとされており、数平均分子量を増やすほど絡み合い点が増加して凝集力が増加する。即ち、メタアクリル系重合体ブロック(b)に必要とされる数平均分子量をMBとし、メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成する重合体の絡み合い点間分子量をMcBとしてMBの範囲を例示すると、凝集力が必要な場合には、好ましくはMB>McBである。さらに例をあげると、さらなる凝集力が必要とされる場合には、好ましくはMB>2×McBであり、逆に、ある程度の凝集力とクリープ性を両立させたいときには、McB<MB<2×McBであるのが好ましい。絡み合い点間分子量は、ウ(Wu)らの文献(ポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polym.Eng.and Sci.)、1990年、30巻、753頁)などを参照すればよい。例えば、メタアクリル系重合体ブロック(b)がすべてメタアクリル酸メチルから構成されているとして、凝集力が必要とされる場合のメタアクリル系重合体ブロック(b)の数平均分子量の範囲を例示すると、9200以上であることが好ましい。ただし、単位(c)がメタアクリル系重合体ブロック(b)に含有される場合には、単位(c)による凝集力が付与されるので、数平均分子量はこれより低く設定することができる。数平均分子量が大きくなると、重合時間が長くなる傾向にあるため、必要とする生産性に応じて設定すればよいが、好ましくは200000以下、さらに好ましくは100000以下である。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、前記アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体として例示したものが挙げられる。これらメタアクリル酸エステルは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、コストおよび入手しやすさの点から、メタアクリル酸メチルが好ましい。
単位(c)の前駆体となる官能基を有する単量体としては、前記アクリル系重合体ブロック(a)の説明で例示した構成単量体と同様の単量体が挙げられる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、例えばアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などが挙げられる。
前記アクリル酸エステルとしては、前記アクリル系重合体ブロック(a)の説明で例示した構成単量体と同様の単量体が挙げられる。
前記芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物としては前記アクリル系重合体ブロック(a)の説明で共重合可能なビニル系単量体として例示した構成単量体と同様の単量体が挙げられる。上記の共重合可能なビニル系単量体は上記構成単量体を少なくとも1種使用される。
メタアクリル酸メチルの重合体は熱分解によりほぼ定量的に解重合するが、それを抑えるために、メタアクリル系重合体ブロック(b)がメタアクリル酸メチルの重合体の重合体からなる場合には、アクリル酸エステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルもしくはそれらの混合物またはスチレンなどを共重合させることができる。さらに、メタアクリル系重合体ブロック(b)には、耐油性の向上を目的として、アクリロニトリルを共重合することができる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tgb)は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。ガラス転移温度が100℃未満の場合、高温でのゴム弾性が所望の値より低下する場合がある。メタアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tgb)の設定は、重合体ブロックを構成する各単量体のホモポリマーのガラス転移温度として前述のポリマー ハンドブック 3版 に記載の値を用い、各単量体の重合比率から、前記Foxの式にしたがい、重合体ブロックを構成する単量体の重量割合を調節することにより行なうことができる。
アクリル系重合体ブロック(a)および/またはメタアクリル系重合体ブロック(b)における反応性官能基(単位(c))は、アミノ基、水酸基、エポキシ基などを有する化合物との反応性を有することから、アクリル系ブロック共重合体(A)を熱可塑性エラストマー(B)とブレンドする場合の相溶化剤(C)との架橋部位などとして用いることができる特徴を有する。また、単位(c)はガラス転移温度(Tg)が高いことから、ハードセグメントであるメタアクリル系重合体ブロック(b)に導入した場合には、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性を向上させることができる。単位(c)を含有する重合体のガラス転移温度は、例えばポリメタアクリル酸無水物の場合で159℃と高く、単位(c)を導入することで、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性を向上させることができ、好ましい。
単位(c)は、一般式(1):
(式中、R1は水素原子またはメチル基で、互いに同一でも異なっていてもよい、pは0または1の整数、qは0〜3の整数)で表わされる酸無水物基を含有する単位(c1)とカルボキシル基を含有する単位(c2)からなる。
一般式(1)中のqは0〜3の整数、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。qが3をこえる場合には、重合が煩雑になったり、酸無水物基への環化が困難になる場合がある。
一般式(1)中のpは0または1の整数であって、qが0の場合にはpも0であり、qが1〜3の場合には、pは1であることが好ましい。
単位(c)は、アクリル系重合体ブロック(a)および/またはメタアクリル系重合体ブロック(b)に含有される。単位(c)の導入部位は、アクリル系ブロック共重合体(A)の反応点や、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロックの凝集力やガラス転移温度、さらには必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性などに応じて使いわけることができる。また、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性や耐熱分解性の向上の点からは、単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(b)に導入すればよく、アクリル系ブロック共重合体(A)にゴム弾性を付与する観点からは、単位(c)をアクリル系重合体ブロック(a)に架橋性の反応部位(架橋点)として導入すればよい。反応点の制御や、耐熱性、ゴム弾性などの点からは、単位(c)をアクリル系重合体ブロック(a)またはメタアクリル系重合体ブロック(b)のどちらか一方に有することが好ましい。また、単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(b)に含む場合には、一般式(1)のR1は共にメチル基であることが好ましく、アクリル系重合体ブロック(a)に含む場合には、一般式(1)のR1が水素原子であることが好ましい。単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(b)に含む場合にR1が水素原子である場合や、アクリル系重合体ブロック(a)に含む場合にR1がメチル基である場合には、アクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)とのガラス転移温度の差が小さくなり、アクリル系ブロック共重合体(A)のゴム弾性が低下する傾向にある。
単位(c)の含有量の好ましい範囲は、単位(c)の凝集力、相溶化剤(C)との反応性、アクリル系ブロック共重合体(A)の構造および組成、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロックの数、ガラス転移温度ならびに酸無水物基含有単位(c1)やカルボキシル基含有単位(c2)の含有される部位および様式によって変化する。アクリル系ブロック共重合体(A)全体中、0.1〜99.9重量%が好ましく、0.1〜80重量%がより好ましく、0.1〜50重量%がさらに好ましい。単位(c)の含有量が0.1重量%より少ないと、アクリル系ブロック共重合体(A)と相溶化剤(C)との相溶性が不充分になる場合がある。また、メタアクリル系重合体ブロック(b)の耐熱性向上を目的に、Tgの高い単位(c)をハードセグメントであるメタアクリル系重合体ブロック(b)に導入する場合、0.1重量%より少ないと、耐熱性の向上が不充分であり、高温におけるゴム弾性の発現が低下する場合がある。一方、99.9重量%を越えると、凝集力が強くなりすぎるため生産性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)がカルボキシル基を含有する単位(c2)を含んでいると、耐熱性や凝集力が向上する。カルボキシル基を含有する単位(c2)は強い凝集力をもち、カルボキシル基を含有する単量体の重合体はガラス転移温度(Tg)が高く、例えばポリメタアクリル酸のガラス転移温度(Tg)は228℃と高く、ブロック共重合体の耐熱性を向上させる。ヒドロキシル基などの官能基も水素結合能を有すが、カルボキシル基を含有する単位(c2)と比較すると、Tgが低く、耐熱性を向上させる効果は小さい。従って、カルボキシル基を含有する単位(c2)を含有していれば、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性や凝集力をさらに向上させることができ、好ましい。
カルボキシル基を含有する単位(c2)の含有量は、重合体ブロック1個あたり1個または2個以上であることができ、その数が2個以上である場合には、その単位(c2)が重合されている様式は、ランダム共重合であってもよくブロック共重合であってもよい。
カルボキシル基を含有する単位(c2)の含有量の好ましい範囲は、カルボキシル基を含有する単位(c2)の凝集力、ブロック共重合体の構造および組成、ブロック共重合体を構成するブロックの数、ならびに、カルボキシル基を含有する単位(c2)の含有される部位および様式によって変化する。
カルボキシル基を有する単位(c2)の含有量は、アクリル系ブロック共重合体(A)全体中、0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜50重量%がより好ましく、1〜40重量%がさらに好ましい。該量が50重量%を越えると、カルボキシル基を含有する単位(c2)は高温下で隣接するエステルユニットと環化しやすい傾向があることから、成形加工後の物性が変化し、安定した物性の製品を作ることが困難になる場合がある。なお、カルボキシル基を含有する単位(c2)を単位(c)の導入過程で生成させる場合、通常、0.1重量%以上生成する。該生成量が0.1重量%未満の場合、カルボキシル基を含有する単位(c2)をハードセグメントであるメタアクリル系重合体ブロック(b)に導入しても、耐熱性や凝集力の向上が不充分となる場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法としては、特に限定されないが、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合をあげることができる。リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに架橋性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。さらに制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される(例えば、Matyjaszewskiら, Journal of American Chemical Society,1995,117,5614、Macromolecules,1995,28,7901、Science,1996,272,866、またはSawamotoら, Macromolecules,1995,28,1721)。
これらの方法によると一般的に非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.1〜1.5程度の重合体が得られ、分子量はモノマーと開始剤の仕込み時の比率によって自由にコントロールすることができる。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、一官能性、二官能性、または、多官能性の化合物を使用できる。これらは目的に応じて使い分けることができる。ジブロック共重合体を製造する場合は、一官能性化合物が好ましい。a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体を製造する場合は二官能性化合物を使用することが好ましい。分岐状ブロック共重合体を製造する場合は多官能性化合物を使用することが好ましい。
一官能性化合物としては、例えば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
C6H5−CH2X
C6H5−CHX−CH3
C6H5−C(CH3)2X
R1−CHX−COOR2
R1−C(CH3)X−COOR2
R1−CHX−CO−R2
R1−C(CH3)X−CO−R2
R1−C6H4−SO2X
(式中、C6H4はフェニレン基を表わす。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。R1は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表わす。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表わす。R2は炭素数1〜20の一価の有機基を表わす。)
二官能性化合物としては、例えば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
X−CH2−C6H4−CH2−X
X−CH(CH3)−C6H4−CH(CH3)−X
X−C(CH3)2−C6H4−C(CH3)2−X
X−CH(COOR3)−(CH2)n−CH(COOR3)−X
X−C(CH3)(COOR3)−(CH2)n−C(CH3)(COOR3)−X
X−CH(COR3)−(CH2)n−CH(COR3)−X
X−C(CH3)(COR3)−(CH2)n−C(CH3)(COR3)−X
X−CH2−CO−CH2−X
X−CH(CH3)−CO−CH(CH3)−X
X−C(CH3)2−CO−C(CH3)2X
X−CH(C6H5)−CO−CH(C6H5)−X
X−CH2−COO−(CH2)n−OCO−CH2−X
X−CH(CH3)−COO−(CH2)n−OCO−CH(CH3)−X
X−C(CH3)2−COO−(CH2)n−OCO−C(CH3)2−X
X−CH2−CO−CO−CH2−X
X−CH(CH3)−CO−CO−CH(CH3)−X
X−C(CH3)2−CO−CO−C(CH3)2−X
X−CH2−COO−C6H4−OCO−CH2−X
X−CH(CH3)−COO−C6H4−OCO−CH(CH3)−X
X−C(CH3)2−COO−C6H4−OCO−C(CH3)2−X
X−SO2−C6H4−SO2−X
(式中、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20アリール基または炭素数7〜20アラルキル基を表わす。C6H4はフェニレン基を表わす。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。C6H5はフェニル基を表わす。nは0〜20の整数を表わす。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表わす。)
多官能性化合物としては、例えば、以下の化学式で示される化合物などを挙げることができる。
C6H3(CH2X)3
C6H3(CH(CH3)−X)3
C6H3(C(CH3)2−X)3
C6H3(OCO−CH2X)3
C6H3(OCO−CH(CH3)−X)3
C6H3(OCO−C(CH3)2−X)3
C6H3(SO2X)3
(式中、C6H3は三置換フェニル基を表わす。三置換フェニル基は、置換基の位置は1位〜6位のいずれでもよい。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表わす。)
これらの開始剤として用いられうる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基、フェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするブロック共重合体の分子量に合わせて、単量体との比から決定すればよい。即ち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、ブロック共重合体の分子量を制御することができる。
前記原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としてはとくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケルの錯体をあげることができる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
1価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などを挙げることができる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、2,2′−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加することもできる。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として使用することができる。
ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加することもできる。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、および、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も触媒として使用できる。使用する触媒、配位子および活性化剤の量は、特に限定されないが、使用する開始剤、単量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から適宜決定することができる。
前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒(塊状重合)または各種溶媒中で行なうことができる。前記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒などをあげることができ、これらは少なくとも1種を混合して用いることができる。また、溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度と必要とする反応速度(即ち、撹拌効率)の関係から適宜決定することができる。
また、前記原子移動ラジカル重合は、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは50〜150℃の範囲で行なわせることができる。前記原子移動ラジカル重合温度が室温より低いと粘度が高くなり過ぎて反応速度が遅くなる場合があるし、200℃を超えると安価な重合溶媒を使用できない場合がある。
前記原子移動ラジカル重合により、アクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤としてつぎのブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などをあげることができる。これらの方法は、目的に応じて使い分けることができる。製造工程の簡便性の点から、単量体の逐次添加による方法が好ましい。
さらに、アクリル系ブロック共重合体(A)に、酸無水物基を含有する単位(c1)および/またはカルボキシル基を含有する単位(c2)からなる単位(c)を導入する方法を以下に示す。
酸無水物基を含有する単位(c1)の導入方法としては、特に限定はしないが、酸無水物基の前駆体となる基を含有する単位をブロック共重合体に導入し、そののち、環化させることが好ましい。以下に、その方法の詳細を説明する。
一般式(2):
(式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は水素原子、メチル基またはフェニル基を表わし、少なくとも1個のメチル基を含むこと以外は互いに同一でも異なっていてもよい)で表わされる単位を少なくとも1個有するブロック共重合体、即ちアクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとして下記に例示した単量体を用いたブロック共重合体組成物を、好ましくは180〜300℃の温度で、溶融混練して環化させることにより導入することができる。180℃より低いと、酸無水物基の生成が不充分となる場合があり、300℃より高くなると、アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとして下記に例示した単量体を用いたアクリル系ブロック共重合体自体が分解する場合がある。
一般式(2)で表わされる単位は、高温下で隣接するエステルユニットと脱離、環化し、例えば6員環酸無水物基を生成する(例えば、畑田(Hatada)ら、ジェイ エム エス ピユア アプライド ケミストリィ(J.M.S.PURE APPL.CHEM.),A30(9&10),PP.645−667(1993)参照)。これらによると、一般的に、エステルユニットが嵩高く、β−水素を有する重合体は、高温下でエステルユニットが分解してカルボキシル基を生成し、引き続き環化が起こり、例えば6員環などの酸無水物基が生成する。これらの方法を利用することにより、アクリル系ブロック共重合体(A)中に、容易に酸無水物基を導入することができる。一般式(2)で表わされる単位を構成する単量体の具体的な例としては、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、アクリル酸α−メチルベンジル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸α,α−ジメチルベンジル、メタアクリル酸α−メチルベンジルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、入手のしやすさや重合容易性、酸無水物基の生成容易性などの点から、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸t−ブチルが好ましい。
カルボキシル基を含有する単位(c2)の導入には、いろいろな方法が適用でき特に限定しないが、上記アクリル系ブロック共重合体への酸無水物基を含有する単位(c1)の導入の過程で一般式(2)で表わされる単位の種類や含有量に応じて、加熱温度や時間を適宜調整することにより、カルボキシル基を含有する単位(c2)生成させることが好ましい。アクリル系ブロック共重合体(B)の反応点の制御や、アクリル系ブロック共重合体(A)へのカルボキシル基を含有する単位(c2)の導入が容易だからである。
従って、上記導入方法の観点からは、カルボキシル基を含有する単位(c2)は、酸無水物基を含有する単位(c1)を含有するブロックと同じブロックに含有されることが好ましく、耐熱性や凝集力の点からは、メタアクリル系重合体ブロック(b)に含有されることがより好ましい。それは、Tgや凝集力の高いカルボキシル基を有する単位(c2)をハードセグメントであるメタアクリル系重合体ブロック(b)に導入することで、高温においてよりゴム弾性を発現することが可能となるためである。また、アクリル系重合体ブロック(a)にカルボキシル基を有する単位(c2)が含有される場合には、相溶化剤(C)との相溶性の点から好ましい。
次に、熱可塑性エラストマー組成物中の(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーについて説明する。オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)としては、特に限定されないが、熱可塑性ポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーからなるポリオレフィン類と、完全に架橋されているか、部分的に架橋されているオレフィン系ゴムまたはアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)との組合せからなるものが好ましく使用できる。
前記ポリオレフィン類としては、熱可塑性で、結晶質ポリオレフィンホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。中でもポリプロピレンを主成分とするものが好ましく、低温特性を良くする為、ポリプロピレンにエチレンが含まれるコポリマーがさらに好ましい。
前記オレフィン系ゴムとしては、低温特性が優れるエチレン・プロピレンゴムおよび非共役ジエンのターポリマーであるEPDMゴムが好ましく、オレフィン樹脂中EPDMゴムを動的に架橋したものが特に好ましい。オレフィン系樹脂中でEPDMゴムを動的に架橋させることにより少量のオレフィン系樹脂にEPDMゴムを均一分散させることができるため、熱可塑性を有しながら非常に優れた圧縮耐久歪などのゴム特性を発現することができる。
また、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)としては、23℃のショアA硬度が50〜90、特に65〜85のものを用いるのが好ましい。このようなオレフィン系熱可塑性エラストマーは、例えばサントプレン、GEOLAST(いずれもアドバンスドエラストマーズ社製)などの商品名で市販されており、市場から容易に入手することができる。
さらに、熱可塑性エラストマー組成物中の相溶化剤(C)としては、特に限定されないが、アクリル系ブロック共重合体(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)をより良好に相溶化させるため、アクリル系ブロック共重合体(A)のポリメタアクリル酸無水物などの単位(c)と反応するエポキシ基を含有するオレフィン系熱可塑性樹脂(変性ポリオレフィン)が好ましい。例えば、市販で入手可能なエチレンとグリシジルメタアクリレートとの共重合体、あるいはメチルアクリレートを有するエチレンとグリシジルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレートをグラフトしたポリプロピレンなどが例示される。これらの変性ポリオレフィン樹脂中のグリシジルメタクリレートの含有量は、好ましくは0.05重量%〜50重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜20重量%である。グリシジルメタクリレートの含有量が0.05重量%より少ない場合、アクリル系ブロック共重合体(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の相溶性が充分でなくなり、引張強度などが悪化する場合がある。グリシジルメタクリレートの含有量が50重量%より多い場合、アクリル系ブロック共重合体(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の凝集性が強くなりすぎて、引張伸びが低下する場合がある。これらの変性ポリオレフィン樹脂は、例えば市販されている商品名のボンドファースト(住友化学工業(株)製)、モディパー(日本油脂(株)製)などであり、市場から容易に入手することができる。
本発明で使用する熱可塑性エラストマー組成物としては、(A)アクリル系ブロック共重合体と(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーを含むもの、さらには前記(A)と(B)に加えて(C)相溶化剤とを含むものが好適であるが、例えば、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)50〜600重量部、より好ましくは200〜600重量部、さらに好ましくは400重量部、(C)相溶化剤5〜50重量部からなることが好ましい。それぞれの含有量が、上記範囲内にあることで、耐熱性、耐油性、射出成形で寸法性の良い成形体を得ることができ、自動車用等速ジョイント用ブーツなどの場合に特に好ましい。
この熱可塑性エラストマー組成物は、実際に成形加工する前にアクリル系ブロック共重合体(A)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、相溶化剤(C)をそれぞれ計量し、成形加工機に投入しても良いが、ハンドリング、混練の均一性などの観点から、成形加工前にペレット化しておくことが好ましい。以下に、そのペレット化について説明する。
熱可塑性エラストマー組成物をペレット化する方法は、特に限定はないが、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー、単軸または多軸の押出機などの公知の装置を用い、適当な温度で加熱しながら機械的に混練することで、ペレット状に賦形することができる。混練時の温度は、使用するアクリル系ブロック共重合体(A)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、相溶化剤(C)の溶融温度などに応じて調整すればよく、例えば180〜300℃で溶融混練することによりペレット化することができる。
また、本発明に使用される熱可塑性エラストマー樹脂として、低温特性が要求される場合は、アクリル系ブロック共重合体(A)とポリオルガノシロキサン系グラフト重合体(D)からなる組成物であることが好ましい。さらに高温での弾性率が要求される場合、アクリル系ブロック共重合体、ポリオルガノシロキサン系グラフト重合体(D)、熱可塑性樹脂、滑剤および無機充填剤からなる組成物であることが好ましい。
前記熱可塑性エラストマー樹脂中のポリオルガノシロキサン系グラフト重合体(D)は、その組成などに特に限定はないが、ポリオルガノシロキサン(d1)40〜95重量%の存在下に、単量体(d2)を0〜10重量%重合し、さらにビニル系単量体(d3)を5〜60重量%[(d1)、(d2)および(d3)合わせて100重量%]を重合してなる共重合体であることが好ましい。単量体(d2)は、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(x)50〜100重量%、および、その他の共重合可能なビニル系単量体(y)0〜50重量%からなる単量体である。さらには、単量体(d2)とビニル系単量体(d3)をあわせたグラフト成分の含有量5〜40重量%と、ポリオルガノシロキサン含有量95〜60重量%であることが好ましい。
前記熱可塑性エラストマー樹脂には、高温時の弾性率を高めるために滑剤、無機充填剤、および熱可塑性樹脂を配合することができる。配合量に関しては、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、ポリオルガノシロキサン系グラフト重合体(D)10〜100重量部、滑剤0.1〜10重量部、無機充填剤0.1〜100重量部、熱可塑性樹脂0.1〜100重量部が好ましい範囲として例示できる。
また、本発明で使用される熱可塑性エラストマー樹脂には、必要特性に応じて、安定剤(老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、柔軟性付与剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤などを添加してもよい。これらの添加剤は、必要とされる物性や、加工性などに応じて、適宜適したものを選択して使用すればよい。
本発明の中空成形品は、前記のような熱可塑性エラストマー樹脂などの熱可塑性樹脂を射出成形することによって製造される。例えば、熱可塑性エラストマー樹脂から中空成形品を本発明方法により射出成形する際の条件としては、一般にシリンダー温度:150〜230℃、ノズル温度:180〜240℃、射出速度:低速、冷却時間:30秒、金型温度:30〜80℃のごとき成形条件が挙げられる。
以上のような本発明方法により製造された中空成形品は、優れた低温特性、耐油性、耐熱性、耐候性、機械特性さらには疲労強度などを有するものであり、自動車用等速ジョイント用ブーツなどに好適に使用することができ、しかも、従来の加硫ゴム系と比較して、成形工程の簡素化やリサイクル性に優れる。