JP2004035637A - キーパッド用熱可塑性エラストマー組成物及びこれを用いたキーパッド - Google Patents

キーパッド用熱可塑性エラストマー組成物及びこれを用いたキーパッド Download PDF

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methacrylate
acrylate
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Yasuhiro Mishima
三島 育宏
Takeshi Chiba
千葉 健
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】架橋ゴムであるシリコーンゴムが使用されているキーパッドに、リサイクル性からポリエステル系熱可塑性エラストマーが使用されるようになった。しかし、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは柔軟性に限界があり、より小さい動作荷重が要求される用途には使用できない。そこで、更に柔軟性(クリック感)、耐熱性、接着性(表面加飾性)を併せ持つ熱可塑性材料が求められている。
【解決手段】本発明は、上記問題点を解決するため、(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を含有するブロック共重合体(A)((a)と(b)は異なる)を必須成分とする組成物を用いることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピューター、計算機、事務機器、情報端末機器、自動車、家電、OA機器等の種々の電子・電気機器に搭載されるスイッチを構成するキーパッドに使用される熱可塑性エラストマー組成物及びこれを成形してなる柔軟性、リサイクル性、表面加飾性に優れるキーパッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューター用キーボード、リモコン、(携帯)電話等の各種機器操作盤のオン/オフスイッチのキーパッド用素材には、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴム等が使われている。特に、加硫ゴムの1種であるシリコーンゴムは、寸法安定性、耐熱性に優れており、最も多く使用されている。しかし、近年、環境問題から各分野にてリサイクルの重要性が高まり、各種部品のリサイクル性も重要な課題となってきている。シリコーンゴムは、架橋ゴム組成物であり、リサイクル回収しても再度溶融成形加工して使用することはできず、リサイクル性に大きな課題があり、シリコーンゴムに代替できるリサイクルが可能な熱可塑性エラストマー材料が求められている。またシリコ−ンゴムは他素材との接着性が悪いため、表面への印刷に特殊なインキを使用する必要がある等の表面加飾性や他樹脂との2色成形に課題があった。更に、シリコーンゴムは、押出成形、射出成形等の高温の熱溶融成形が不可能であるために、キーパッド製造過程ではプレス成形により加熱硬化を施す方法がとられており、その結果、成形に要長時間を要する等、生産性に問題がある。一方、熱可塑性エラストマーは、押出成形、射出成形等の高温の熱溶融成形が可能であり、加硫工程を必要としないので、キーパッドの素材としては有望である。近年、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が、テレビ、ビデオ等のリモコン、電話機、ファクシミリ等の操作部のキーパッドに、シリコーンゴムの代替として用いられるようになっている。通常、キーパッドに従来使用されているシリコーンゴムはJIS規格のA硬度40〜70である。それに対しポリエステル系熱可塑性エラストマーは、市販材料で最も柔軟なものでもJIS規格のA硬度75〜80であり、キーパッドの設計を変えてもその柔軟性には限界がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
より小さい動作荷重が要求される用途、例えば、リモコン装置、電話機等の押釦、パソコン、電卓等の操作キー等のより軽いタッチが求められる用途に従来のポリエステル系熱可塑性ラストマーを採用するには、上記のように素材の柔軟性が不足(JIS規格のA硬度が高い)しており、その改善が望まれている。更には、耐熱性、接着性(表面加飾性)、クリック感、リサイクル性を併せ持つことが求められる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、柔軟性、耐熱性、接着性、クリック感、リサイクル性に優れるキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物及びキーパッドを提供すべく鋭意研究を行った結果、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明の第一は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を含有するブロック共重合体(A)((a)と(b)は異なる)を必須成分とすることを特徴とするキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物に関する。好ましい実施態様としては、(1)−150℃〜25℃のガラス転移温度を有し、かつ50℃〜300℃のガラス転移温度を有する、(2)ブロック共重合体(A)が原子移動ラジカル重合により製造されてなる、(3)ブロック共重合体(A)がトリブロック共重合体及び/又はジブロック共重合体である、ことを特徴とする上記記載のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0006】
本発明の第二は、上記記載のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物が成形されてなるキーパッドに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)((a)と(b)は異なる)を含有するブロック共重合体(A)を必須成分とすることを特徴とする。
【0008】
軟質性(柔軟性)の点から、キーパッド用熱可塑性エラストマー組成物中のブロック共重合体(A)の含有量は、好ましくは20重量%〜100重量%、更に好ましくは30重量%〜100重量%、特に好ましくは40重量%〜100重量%である。ブロック共重合体(A)以外の重合体としては、公知の重合体があげられる。例えば、アクリルゴム、シリコーン変性のアクリルゴム、ブチルゴム、シリコーン変性のブチルゴム等の架橋ゴム、アクリルゴム−g−メチルメタクリレート、MAS(アクリルゴム−g−メチルメタクリレート/スチレン)、MBS(ブタジエンゴム−g−メチルメタクリレート/スチレン)等のグラフト共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、PBT、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、MS、ABS、AS、PC、PPO、PVC等の重合体があげられる。アクリルブロック体の組成変更により相溶性を制御できるが、軟質性(柔軟性)、リサイクル性の点から、ブロック共重合体(A)と相溶性に優れる重合体、特にアクリルゴム、アクリルゴム−g−メチルメタクリレート、MAS、MBS、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、PBT、PET、、ポリメチルメタクリレート、MS、ABS、AS、PC等の極性樹脂が好ましい。
【0009】
ブロック共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)は、機械的強度、耐熱性の点から、メタアクリル酸エステル及び又はメタクリル酸が好ましくは20重量%〜100重量%、更に好ましくは40重量%〜100重量%、特に好ましくは60重量%〜100重量%、およびこれと共重合可能なビニル系単量体が好ましくは80重量%〜0重量%、更に好ましくは60重量%〜0重量%、特に好ましくは40重量%〜0重量%とからなる。
【0010】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタクリル酸エステルとしては、たとえば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ペンチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸−2−メトキシエチル、メタクリル酸−3−メトキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどがあげられる。これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、経済性の点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0011】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸などのアクリル酸類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系化合物などがあげられる。これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いられる。これらのビニル系単量体は、成形性や必要とされる機械特性に応じて、好ましいものを選択することができる。
【0012】
本発明に使用されるブロック共重合体(A)は、a−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体、(a−b)n型のマルチブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体である。これらの中でも、成形性や柔軟性の点から、a−b−a型のトリブロック共重合体、(a−b)n型のマルチブロック共重合体、または、これらの混合物が好ましく、a−b−a型のトリブロック共重合体がより好ましい。
【0013】
前記ブロック共重合体(A)の構造は、線状ブロック共重合体または分岐状(星状を含む)ブロック共重合体であり、これらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、成形性や機械特性などの必要特性に応じて使い分けられる。
【0014】
ブロック共重合体(A)の数平均分子量は特に限定されないが、必要とする加工特性に応じて設定され、好ましくは10,000〜600,000、より好ましくは30,000〜500,000、更に好ましくは、50,000〜400,000である。数平均分子量が10,000より小さいと粘度が低すぎ、また、数平均分子量が600,000より大きいと粘度が高すぎて、必要とする加工特性が得られない場合がある。分子量はクロロホルムを移動相とし、ポリスチレンゲルカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いてポリスチレン換算により求められる。
【0015】
前記ブロック共重合体(A)のGPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も特に限定はないが、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下である。Mw/Mnが2.5を越えると引張強度等の機械的強度が低下する場合がある。
【0016】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、50℃〜300℃、好ましくは80℃〜280℃、更に好ましくは100℃〜260℃、特に好ましくは110℃〜250℃である。ガラス転移温度が50℃より低いと、耐熱性が低くなる場合があり、300℃より高いと、加工性が低くなる場合がある。
【0017】
前記ブロック共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、軟質性、成形性の点から、(メタ)アクリル酸エステルが好ましくは50重量%〜100重量%、更に好ましくは70重量%〜100重量%、特に好ましくは80重量%〜100重量%、およびこれと共重合可能なビニル系単量体が好ましくは50重量%〜0重量%、更に好ましくは30重量%〜0重量%、特に好ましくは20重量%〜0重量%である。
【0018】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ペンチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルなどがあげられる。これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、組成物の柔軟性及び経済性の点から、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メトキシエチルが好ましい。
【0019】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタクリル酸、アクリル酸などのアクリル酸類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−n−ペンチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸−2−メトキシエチル、メタクリル酸−3−メトキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系化合物などの各種ビニル系単量体があげられる。これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いられる。これらのビニル系単量体は、ブロック(b)に要求されるガラス転移温度によって好ましいものを選択することができる。(b)のガラス転移温度は、好ましくは25℃〜−150℃であり、より好ましくは0℃〜−130℃であり、さらに好ましくは−10℃〜−120℃である。ガラス転移温度が25℃より高いと、軟質性が低下する傾向があり、−150℃より低いとモノマーの価格が高く経済性が低下する場合がある。
【0020】
ブロック共重合体(A)を製造する方法としては特に限定されないが、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いるラジカル重合、近年開発されたリビングラジカル重合があげられ、リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量、構造の制御、及び経済性の点から好ましい。
【0021】
リビングラジカル重合は、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合である。リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。リビングラジカル重合は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(J.Am.Chem.Soc.1994、116、7943)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules、1994、27、7228)、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom  Transfer  Radical  Polymerization:ATRP)などがあげられる。本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
【0022】
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される。(例えば、Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614,Macromolecules 1995,28,7901,Science 1996,272,866、あるいはSawamotoら、Macromolecules 1995,28,1721)。これらの方法によると一般的に非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、Mw/Mn=1.1〜1.5程度の分子量分布の狭い重合体が得られ、分子量はモノマーと開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができる。
【0023】
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、一官能性、二官能性、または、多官能性の化合物が使用できる。これらは目的に応じて使い分ければよいが、ジブロック共重合体を製造する場合は、一官能性化合物が好ましく、a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体を製造する場合は二官能性化合物を使用するのが好ましく、分岐状ブロック共重合体を製造する場合は多官能性化合物を使用するのが好ましい。
【0024】
一官能性化合物としては、たとえば、次式で示される化合物などがあげられる。
−CHX、
−C(H)(X)−CH
−C(X)(CH
−C(H)(X)−COOR
−C(CH)(X)−COOR
−C(H)(X)−CO−R
−C(CH)(X)−CO−R
−C−SOX、
式中、Cはフェニレン基(オルト置換、メタ置換、パラ置換のいずれでもよい)を表す。Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す。Rは炭素数1〜20の一価の有機基を表す。
【0025】
二官能性化合物としては、たとえば、次式で示される化合物などがあげられる。
X−CH−C−CH−X、
X−CH(CH)−C−CH(CH)−X、
X−C(CH−C−C(CH−X、
X−CH(COOR)−(CH−CH(COOR)−X、
X−C(CH)(COOR)−(CH−C(CH)(COOR)−X、
X−CH(COR)−(CH−CH(COR)−X、
X−C(CH)(COR)−(CH−C(CH)(COR)−X、
X−CH−CO−CH−X、
X−CH(CH)−CO−CH(CH)−X、
X−C(CH−CO−C(CH−X、
X−CH(C)−CO−CH(C)−X、
X−CH−COO−(CH−OCO−CH−X、
X−CH(CH)−COO−(CH−OCO−CH(CH)−X、
X−C(CH−COO−(CH−OCO−C(CH−X、
X−CH−CO−CO−CH−X、
X−CH(CH)−CO−CO−CH(CH)−X、
X−C(CH−CO−CO−C(CH−X、
X−CH−COO−C−OCO−CH−X、
X−CH(CH)−COO−C−OCO−CH(CH)−X、
X−C(CH−COO−C−OCO−C(CH−X、
X−SO−C−SO−X、
上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、または炭素数7〜20アラルキル基を表す。Cはフェニレン基(オルト置換、メタ置換、パラ置換のいずれでもよい)を表す。Cはフェニル基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す。
【0026】
多官能性化合物としては、たとえば、次式で示される化合物などがあげられる。
−(CH−X)
−(CH(CH)−X)
−(C(CH−X)
−(OCO−CH−X)
−(OCO−CH(CH)−X)
−(OCO−C(CH−X)
−(SO−X)
上記式中、Cは三置換フェニル基(置換基の位置は1位〜6位のいずれでもよい)を表す。Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す。
【0027】
また、重合を開始するもの以外に官能基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を用いると、容易に末端に官能基が導入された重合体が得られる。このような官能基としては、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基などがあげられる。
【0028】
これらの開始剤として用いられうる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基あるいはフェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするブロック共重合体の分子量に合わせて、単量体とのモル比から決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、ブロック共重合体の分子量を制御できる。
【0029】
前記原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケルの錯体があげられる。これらの中でも、経済性や反応制御の点から銅の錯体がより好ましい。
【0030】
1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などがあげられる。銅化合物をもちいる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレントリアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加してもよい。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好ましい。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加してもよい。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も、触媒として好ましい。使用する触媒、配位子および活性化剤の量は、特に限定されないが、使用する開始剤、単量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から適宜決定すればよい。
【0031】
前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒(塊状重合)または各種溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒などがあげられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。前述したように、無溶媒で実施する場合は塊状重合となる。一方、溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度及び必要とする撹拌効率(すなわち、反応速度)の関係から適宜決定すればよい。また、前記重合は、室温〜200℃の範囲で行うことができ、経済性、重合安定性の点から、好ましくは、50〜150℃の範囲である。
【0032】
前記重合により、ブロック共重合体(A)を製造するには、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などがあげられる。これらの方法は目的に応じて使い分ければよいが、製造工程の簡便性の点から、単量体の逐次添加による方法が好ましい。
【0033】
本発明に使用されるブロック共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の組成比は特に制限はないが、柔軟性、熱伝導性、機械特性等のバランスの点から、好ましくは(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)5〜80重量%、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)95〜20重量%であり、より好ましくは(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)10〜70重量%、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)90〜30重量%であり、さらに好ましくは、(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)15〜60重量%、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)85〜40重量%である。(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)の割合が5重量%未満では耐熱性が低下する場合があり、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の割合が20重量%未満では柔軟性が低下する場合がある。
【0034】
本発明に使用されるブロック共重合体(A)は、強度、伸びなどの機械特性を改善する目的で、種々の官能基を有していてもよい。このような官能基は官能性基を有するモノマーを共重合したり、エステル基などの保護された官能基を加水分解、熱分解に代表される方法で脱保護したり、さらには、エステル交換反応などを用いて導入することが可能である。このような官能基は特に制限されるものではなく、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、メルカプト基、イソシアネート基、エポキシ基などが挙げられる。さらに、これら官能基と反応する成分を作用させることも可能である。
【0035】
本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは−150℃〜25℃、更に好ましくは−130℃〜0℃、特に好ましくは−120℃〜−10℃のガラス転移温度を有する。25℃以下のガラス転移温度を有しない場合は軟質性(柔軟性)が低下する場合がある。また、本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは50℃〜300℃、更に好ましくは80℃〜280℃、特に好ましくは100℃〜260℃、特に好ましくは110℃〜250℃のガラス転移温度を有する。50℃〜300℃のガラス転移温度を有しない場合は、耐熱性が低下する場合がある。本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、融点を有していてもかまわない。融点を有する場合は、耐熱性の点から好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは140℃以上の融点である。
【0036】
本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物に用いるブロック共重合体の好ましい製造法は、以下の通りである。所定の重合容器内を窒素置換した後、原子移動ラジカル重合用触媒と重合溶媒を所定量加えて、加熱昇温後、所定の温度で撹拌する。冷却後、開始剤、1段目の重合用モノマーを加え、所定の温度に加熱昇温してから、重合助剤を加えて重合を開始する。モノマーの転化率が所定の値になったら、2段目の重合用モノマー、開始剤、触媒、重合助剤、溶媒を所定量加えていき、2段目重合用モノマーの転化率が所定の値になった時点で更に溶媒を所定量加え、室温に冷却して反応を終了させる。その後、反応溶液を加温下で希塩酸で処理し、銅錯体を除去すると共に加水分解し、得られた濾液を多量の貧溶媒に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を乾燥する事により、ブロック共重合体を得る事ができる。
【0037】
本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、クリック感といった点からJIS K6251規格のA硬度が好ましくは90以下、更に好ましくは80以下、特に好ましくは70以下である。キーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、耐久性の点から好ましくはJIS K6253規格の引張伸びが150%以上、更に好ましくは200%以上、特に好ましくは250%以上である。
【0038】
本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、抗酸化剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、充填剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤、顔料等公知の配合剤を配合できる。
【0039】
安定剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系、スズ系、亜鉛系、金属石鹸系等の熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケル系等の光安定剤が挙げられる。滑剤としては、オレフィンワックス系、炭化水素系、エステル系、アミド系等の滑剤が挙げられる。難燃剤としては、リン系、ハロゲン系、アンチモン系、アルミ系、シリコーン系等の難燃剤が挙げられる。可塑剤としては、エステル系オリゴマー、フタル酸エステル類、非芳香族2塩基酸エステル類、芳香族系エステル類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類、エポキシ系等の可塑剤が挙げられる。充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、亜鉛華、硫酸バリウム、クレイ、タルク等の無機化合物が挙げられる。これらの配合剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0040】
本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、バンバリミキサー、ニーダー、ヘンシェルミキサー、スーパーフローター等を用いた公知の方法にて均一に混合したのち、Tダイ、カレンダー等を用いた押出成形、圧縮成形、射出成形等の公知の成形法にて成形できる。
【0041】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例中の略号MMAはメタクリル酸メチルを、TBMAはメタクリル酸t−ブチルを、MAAはメタクリル酸を、BAはアクリル酸ブチルを、EAはアクリル酸エチルを、MEAはアクリル酸2−メトキシエチルをあらわす。
【0042】
(実施例1)
(1)ブロック共重合体(A1)の製造
5Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、臭化銅11.3g(78.5mモル)、アセトニトリル180mLを加えた。加熱昇温後、70℃で5分間攪拌した。室温に冷却し、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.7g(15.7mモル)、1段目単量体としてアクリル酸ブチル115g(0.90モル)、アクリル酸エチル690g(6.90モル)を加えた。加熱昇温し、80℃で攪拌しながら、配位子ジエチレントリアミン1.6mL(7.9mモル)を加えて重合を開始した。重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約0.2mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析により転化率を決定した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルの転化率が95%以上の時点で、2段目単量体としてメタクリル酸メチル129g(1.29モル)、メタクリル酸t−ブチル424g(2.99モル)、塩化銅7.8g(78.5mモル)、ジエチレントリアミン1.6mL(7.9mモル)、トルエン1107.9mLを加えた。ガスクロマトグラム分析により転化率を決定し、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチルの転化率が85%の時点で、トルエン1500mLを加え、室温に冷却して反応を終了させた。反応中、常に重合溶液は緑色であった。
【0043】
反応溶液を加温下で希塩酸で処理し、銅錯体を除去するとともに加水分解し、メタクリル酸t−ブチル単位をメタクリル酸に変換した。得られた濾液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより、ブロック共重合体(A1)得た。得られた重合体の分析方法および結果は以下のとおりである。
【0044】
(分子量・分子量分布)
クロロホルムを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを使用したGPC測定を行い、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
【0045】
(ブロック体の組成比(wt%))
NMRにより、ブロック共重合体中の重量分率を確認した。
【0046】
以上より、数平均分子量=115,000、重量平均分子量/数平均分子量=1.50、BA/EA/MMA/MAA=10/60/10/20(表1)であった。
【0047】
【表1】
Figure 2004035637
【0048】
(2)キーパッド用熱可塑性エラストマー組成物の製造
熱可塑性エラストマー(A1)2000g、安定剤のMARK AO−50(アデカアーガス(株)製)20g、滑剤のアルフローH50F(日本油脂(株)製)20gをスーパーフローターにて混合した。混合物を異方向2軸押出機(日本製鋼(株)製TEX)にて190℃で押出混練し、本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。本ペレットから210℃で射出成形にて((株)ファナック製FANAUC100B)各特性評価に必要なテストピースを得た。表面硬度は、厚み3mmのカラープレートを、引張強度、引張伸びはダンベルを使用し、JIS規格にもとづき測定した。耐熱性は、120℃のオーブン中でのテストピースの変形状況を目視で確認した。変形しなかった場合を○、変形した場合を×とした。接着性は、ポリメチルメタクリレートと熱可塑性エラストマーを2色成形した2点ゲートダンベルのウエルド部の破断状況を判定した。容易に破断した場合を×、破断しない場合を○とした。
【0049】
クリック感は、凹凸形状の成形品を成形し、クリック時の感触をシリコーンゴムと比較した。同等の場合を○、明らかに劣る場合を×とした。リサイクル性は、テストピ−スを粉砕し、再度射出成形した後の引張破断強度と引張伸びの保持率で判断した。90%以上の保持率を○、80〜90%の保持率を△、80%未満の保持率を×とした。
【0050】
(実施例2〜実施例5)
(1)ブロック共重合体(A2)〜(A3)の製造
ブロック共重合体(A2)は、1段目単量体をアクリル酸エチル403g、アクリル酸メトキシエチル345g、2段目単量体をメタクリル酸メチル258g、メタクリル酸t−ブチル318gとして、ブロック共重合体(A3)は、1段目単量体をアクリル酸ブチル230g、アクリル酸エチル230g、アクリル酸メトキシエチル230g、2段目単量体をメタクリル酸メチル258g、メタクリル酸t−ブチル424gとして、臭化銅、開始剤量を調整し、ブロック共重合体(A1)と同様の方法で合成した。ブロック共重合体(A2)は、数平均分子量=105,000、重量平均分子量/数平均分子量=1.55、EA/MEA/MMA/MAA=35/30/20/15(wt%)(表1)、ブロック共重合体(A3)は、数平均分子量=95,000、重量平均分子量/数平均分子量=1.60、BA/EA/MEA/MMA/MAA=20/20/20/20/20(表1)であった。
(2)キーパッド用熱可塑性エラストマー組成物の製造
ブロック共重合体(A1)、(A2)、(A3)、グラフト共重合体(鐘淵化学工業(株)製カネエースFM10)、ポリブチレンテレフタレート重合体(PBT)を表2に示す比率に従って調整し、実施例1と同様の方法で、キーパッド用熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体を製造し、試験に供した。
【0051】
【表2】
Figure 2004035637
【0052】
(比較例1〜3)
ポリエステル系エラストマー(市販品、東洋紡績(株)製ペルプレン)、スチレン系エラストマー(市販品、クラレ(株)製SEBS)は、実施例1と同様の方法でその成形体を成形し試験に供した。シリコーンゴム(市販品、東芝−GEシリコーン(株)製)は、成形後に加硫し、試験に供した。
【0053】
試験に供された実施例1〜5、比較例1〜3の成形体の試験結果を表2にまとめた。実施例の成形体は柔軟性に加え、耐熱性、接着性(表面加飾性)、クリック感、リサイクル性を併せ持つことがわかった。
【0054】
【発明の効果】
本発明のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物は、リサイクル性に優れ、かつ良好な柔軟性、耐熱性、接着性、機械的特性を有するものであり、種々の電子・電気機器に搭載されるスイッチを構成するキーパッドに有効に利用できるものである。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を含有するブロック共重合体(A)((a)と(b)は異なる)を必須成分とすることを特徴とするキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. −150℃〜25℃のガラス転移温度を有し、かつ50℃〜300℃のガラス転移温度を有する請求項1記載のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. ブロック共重合体(A)が原子移動ラジカル重合により製造されてなる請求項1〜2何れかに記載のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物。
  4. ブロック共重合体(A)がトリブロック共重合体及び/又はジブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜3記載のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のキーパッド用熱可塑性エラストマー組成物が成形されてなるキーパッド。
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