JP6435483B2 - 接着性ペーストゾル組成物及びそれを用いた産業資材用帆布及びメッシュシートの製造方法 - Google Patents
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Description
〈ペーストゾル組成物の粘度の評価〉
ブルックフィールド型回転粘度計(BM型)4号ローター(6rpm→30rpm→6rpm)の粘度測定(各10秒後)を各々のペーストゾル組成物に対し、25℃の室温条件で3日間、24時間ごとに実施し、ペーストゾル組成物のチキソ性と粘度変化(初期粘度に対する増粘率%)を評価した。チキソ性は6rpm(1)→30rpm→6rpm(2)のずり速度変更において、6rpm(1)の粘度に対する6rpm(2)の粘度の変化率を求めた。
粘度の経時変化(率)の評価
1(良好):3日後の増粘率が100%未満
2(やや不良):3日後の増粘率が100〜200%未満
3(不良):3日後の増粘率が200%を越える
チキソ性の評価
1(チキソトロピー):変化率10%を越える減粘
2(ダイラタント):変化率10%を越える増粘
3:上記1,2以外
〈可塑剤ブリードの抑止効果:濡れ性評価〉
10cm×10cmサイズの試料を2枚のガラス板(10cm×10cmサイズ×5mm厚)で挟み、これを23℃で平置した状態で2400時間静置し、取り出し直後のガラス板面の曇り(フォギング)や濡れ(ブリード)の有無の目視及び指触判断を以って可塑剤のブリードの抑止性(防止性)を判断した。
1(良好):ガラス板面に曇りを認めないレベル
2(やや不良):ガラス板面に曇りを認め、触ると滑るレベル
3(不良):ガラス板面に顕著な濡れを認め、試料表面にも濡れを認めるレベル
〈可塑剤ブリードの抑止効果:揮発減量評価〉
質量の明らかな10cm×10cmサイズの試料を85℃に設定したギアーオーブン中に吊した状態で72時間静置し、取り出し後の試料の質量より可塑剤の揮発量を求め、この揮発減量の「多い」「少ない」を以って可塑剤のブリードの抑止性(防止性)を判断した。
1:(ブリード防止効果を認める):10mg未満
2:(ややブリード抑止効果を認める):10〜30mg未満
3:(ブリード防止効果が認められない):30mgを越える
〈可塑剤ブリードの抑止効果:防汚性評価〉
南向き傾斜角30度に設置し屋外曝露60日(5月〜6月)の試料について、試料の色差ΔE値(ブランクとの対比)を測定し防汚性を下記基準で判定した。(埼玉県草加市内にて曝露)
1:60日の防汚性として良好 :ΔE= 5未満
2:60日の防汚性としてやや劣る:ΔE=5 〜8未満
3:60日の防汚性として劣る :ΔE=8以上
〈接合体による耐熱クリープ性の評価〉
2枚のシートの端部同士を4cm幅で直線状に平行に重ね合わせ、4cm幅×30cm長のウエルドバー(平刃)を装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター社製YF−7000型:出力7KW)を用い、陽極電流1.0Aでシート同士の融着接合を行い接合体シートを得た。これより融着接合部を重ね合わせ幅4cmを含む、3cm幅×30cm長の試験片を9片採取し、クリープ試験機(東洋精機製作所社製:100LDR型)により65℃×25kgf荷重の条件でのクリープ性を24時間評価した。
評価の基準
1 :24時間経過後、接合部に異変や異常なく良好
2 :24時間未満で接合部が破壊し、試験片が分断した
〈破壊した時間を記録〉
3 :1時間以内に接合部が破壊し、試験片が分断した
〈破壊した時間を記録〉
破壊状態の判断:接合部糸抜け破壊(糸の断裂なし),本体破壊等(糸の断裂あり)
ポリエステル(PET)短繊維紡績糸条からなる平織スパン布を基布1として用いた。
〈繊維織物:基布1〉
〔糸密度:経糸20番手双糸(590dtex)44本/インチ×緯糸20番手双糸(590dtex)40本/インチ:空隙率4.2%:質量228g/m2〕
下記〔配合1〕の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を適度な粘度に調製し、この〔配合1〕の接着性ペーストゾル組成物を充填した液浴中に、基布1を浸漬(ディッピング)し、基布1に完全に〔配合1〕の接着性ペーストゾル組成物を含浸し、基布1を引き上げると同時にゴムロールで圧搾して180℃の熱風炉で3分間、〔配合1〕の接着性ペーストゾル組成物のゲル化と、トリイソシアネート化合物の付加反応を進行させ、〔配合1〕の接着性ペーストゾル組成物で含浸し、かつ被覆されることで基布1の両面に軟質塩化ビニル樹脂層が形成された厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化1〕:MW390) 60質量部
エチレングリコール(ポリオール) 3.5質量部
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
表面水酸基修飾シリカ粒子(75nm) 5質量部
ルチル型酸化チタン(白色顔料) 5質量部
トリイソシアネート化合物 3質量部
※キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるイソシアヌレート
変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化11〕系:有効成分100%)
※イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)とトリイソシアネート化合物との質量比は
60:3(20:1)である。
実施例1において〔配合1〕に用いたイソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化1〕:MW390)60質量部を、テレフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化2〕:MW390)60質量部に置換し、さらにトリイソシアネート化合物:イソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化9〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例1と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。
実施例1において〔配合1〕に用いたイソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化1〕:MW390)60質量部を、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシル(別名1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル)(〔化3〕:MW393)60質量部に置換し、さらにトリイソシアネート化合物:イソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化11〕系有効成分100%)3質量部を、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(mTMXDI)〔化16〕の3量体であるトリメチロールアルキル変性トリイソシアネート(〔化8〕−〔化12〕系有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例1と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。
実施例1において〔配合1〕に用いたトリイソシアネート化合物:イソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるトリメチロールアルキル変性トリイソシアネート(〔化8〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例1と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。
実施例2の配合に用いたトリイソシアネート化合物:トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化9〕系:有効成分100%)3質量部を、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(mTMXDI)〔化16〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化12〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例2と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。
実施例3の配合に用いたトリイソシアネート化合物:テトラメチルキシリレンジイソシアネート(mTMXDI)〔化16〕の3量体であるトリメチロールアルキル変性トリイソシアネート(〔化8〕−〔化12〕系:有効成分100%)3質量部を、トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の3量体であるイソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化9〕系有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例3と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。
ポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条からなる目抜け平織物を基布2として用いた。
〈繊維織物:基布2〉
〔糸密度:750d/3本模紗(833dtex/3本模紗)を経緯糸条として、経糸条11本/インチ、緯糸条11本/インチの打ち込みで製織した粗目模紗織物(質量225g/m2:空隙率11%)
下記〔配合2〕の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を適度な粘度に調製し、この〔配合2〕の接着性ペーストゾル組成物を充填した液浴中に、基布2を浸漬(ディッピング)し、基布2に完全に〔配合2〕の接着性ペーストゾル組成物を含浸し、基布2を引き上げると同時にゴムロールで圧搾して180℃の熱風炉で3分間、〔配合2〕の接着性ペーストゾル組成物のゲル化と、トリイソシアネート化合物の付加反応を進行させ、〔配合2〕の接着性ペーストゾル組成物で含浸し、かつ被覆されることで基布2の全面に軟質塩化ビニル樹脂層が形成された厚さ0.53mm、質量470g/m2、空隙率10%のメッシュシートを得た。
〔配合2〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化1〕:MW390) 60質量部
エチレングリコール(ポリオール) 3.5質量部
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
表面水酸基修飾シリカ粒子(75nm) 5質量部
ルチル型酸化チタン(白色顔料) 5質量部
トリイソシアネート化合物 3質量部
※キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるビュレット変性
トリイソシアネート(〔化7〕−〔化11〕系:有効成分100%)
※イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)とトリイソシアネート化合物との質量比は
60:3(20:1)である。
実施例7において〔配合2〕に用いたイソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化1〕:MW390)60質量部を、テレフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化2〕:MW390)60質量部に置換し、さらにトリイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の3量体であるトリメチロールアルキル変性トリイソシアネート(〔化8〕−〔化9〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例7と同様として、厚さ0.53mm、質量470g/m2、空隙率10%のメッシュシートを得た。
実施例7において〔配合2〕に用いたイソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(〔化1〕:MW390)60質量部を、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシル(別名1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル)(〔化3〕:MW393)60質量部に置換し、さらにトリイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の3量体であるイソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化9〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例7と同様として、厚さ0.53mm、質量470g/m2、空隙率10%のメッシュシートを得た。
実施例7において〔配合2〕に用いたトリイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の3量体であるトリメチロールアルキル変性トリイソシアネート(〔化8〕−〔化9〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例7と同様として、厚さ0.53mm、質量470g/m2、空隙率10%のメッシュシートを得た。
実施例8の配合に用いたトリイソシアネート化合物:トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の3量体であるトリメチロールアルキル変性トリイソシアネート(〔化8〕−〔化9〕系:有効成分100%)3質量部を、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(mTMXDI)〔化16〕の3量体であるイソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化12〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例8と同様として、厚さ0.53mm、質量470g/m2、空隙率10%のメッシュシートを得た。
実施例9の配合に用いたトリイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるビュレット変性トリイソシアネート(〔化7〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部に置換した以外は実施例9と同様として、厚さ0.53mm、質量470g/m2、空隙率10%のメッシュシートを得た。
実施例1〜6で得た各々の帆布の表面に下記〔配合3〕による接着層を形成し、接着層を介在して厚さ50μmのポリビニリデンフルオライド(PVdF)透明フィルムを180℃で熱ラミネートして、フッ素樹脂層が設けられた厚さが0.52mm、質量が615g/m2の帆布を得た。実施例1をベースとする実施例13、実施例2をベースとする実施例14、以下同様に実施例6をベースとするのが実施例18である。
〈接着層〉
実施例1〜6の基材を80メッシュグラビアロール塗工条件の塗工機に掛け、軟質塩化ビニル樹脂層上に〔配合3〕の接着組成物による塗工を行い、120℃の熱風炉で3分間乾燥した。
〔配合3〕接着組成物
ポリエチレンイミンが反応性基としてグラフトされたアクリル樹脂
(固形分濃度30質量%、アミン当量:1400g/eq) 100質量部
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:200g/eq) 7重量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.5質量部
メチルエチルケトン 100質量部
実施例7〜12で得た各々のメッシュシートの両面に下記〔配合4〕による防汚層を形成し、厚さが0.53mm、質量が476g/m2のメッシュシートを得た。実施例7をベースとする実施例19、実施例8をベースとする実施例20、以下同様に実施例12をベースとするのが実施例24である。
〈防汚層〉
実施例7〜12の基材を80メッシュグラビアロール塗工条件の塗工機に掛け、軟質塩化ビニル樹脂層上に〔配合4〕の防汚組成物による塗工を1パス両面塗工で行い、120℃の熱風炉で3分間乾燥した。
〔配合4〕防汚組成物
シリカゾル(粒子径20〜30nm:固形分48質量%) 100質量部
ビニルトリエトキシシラン(シランカップリング剤) 50質量部
酸化亜鉛粒子(粒子径15nm)(紫外線吸収剤) 0.5質量部
ポリエチレングリコール型非イオン活性剤(帯電防止剤) 1質量部
希釈剤(水) 100質量部
実施例1において、〔配合1〕に用いたトリイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるイソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を省略した以外は実施例1と同様として、厚さ0.53mm、質量560g/m2の帆布を得た。得られた帆布はトリイソシアネート化合物を含有しないことで、基布1の表面に対する結合を含む架橋構造を軟質塩化ビニル樹脂層に形成しないため、帆布の接合部耐熱性が不足し、高温使用環境において接合部が破壊し易いものとなった。また軟質塩化ビニル樹脂層内に立体架橋構造を生成しないことで可塑剤のブリード抑止効果にも劣り、煤塵が付着して汚れやすいものであった。
実施例1において、〔配合1〕に用いたトリイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるイソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、メタキシリレンジイソシアネート(mXDI)〔化15〕:有効成分100%、3質量部に置換した以外は実施例1と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。この配合によるペーストゾル組成物の粘度は、メタキシリレンジイソシアネート(mXDI)〔化15〕の反応がペーストゾル組成物内部で進行し、不安定な増粘を生じたことでデッピィング加工時の流動性及び含浸性を悪くして、得られた帆布の外観や耐久性能を悪くしただけでなく、失活したイソシアネート基が基布と反応しないことで、接合部の耐熱クリープ性に劣っていた。
実施例1において、〔配合1〕に用いたトリイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕の3量体であるイソシアヌレート変性トリイソシアネート(〔化6〕−〔化11〕系:有効成分100%)3質量部を、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕:有効成分100%、3質量部に置換した以外は実施例1と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。この配合によるペーストゾル組成物の粘度は、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕の反応がペーストゾル組成物内部で進行し、不安定な増粘を生じたことでデッピィング加工時の流動性及び含浸性を悪くして、得られた帆布の外観や耐久性能を悪くしただけでなく、失活したイソシアネート基が基布と反応しないことで屈曲性などの耐久性にも劣るものとなった。
実施例1において、〔配合1〕に用いた、イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(MW390:〔化1〕)60質量部を、ジ−2−エチルヘキシル−フタレート(別名:フタル酸ジオクチル:DOP)60質量部に置換した以外は実施例1と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。この配合によるペーストゾル組成物の粘度は、トリイソシアネート化合物とジ−2−エチルヘキシル−フタレート(DOP)との初期相溶性が良くないことで、経時的な増粘傾向が観察され、特に初期状態のペーストゾル組成物を用いた加工による帆布では、ゾルに剪断力を掛けても粘性低下が低い(チキソトロピーを示さない)ため、ペーストゾル組成物中に基布をディッピングしても、基布への含浸効果が不十分のため、軟質塩化ビニル樹脂被膜が表面付きとなって基布から剥離し易く、また、軟質塩化ビニル樹脂層の架橋生成が不均一となることで、ジ−2−エチルヘキシル−フタレート(DOP)のブリードを促し、煤塵が付着して汚れやすいものとなった。
実施例2の配合に用いた、テレフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(MW390:〔化2〕)60質量部を、ジヘプチルフタレート(別名:フタル酸ジヘプチル:DHP)60質量部に置換した以外は実施例2と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。この配合によるペーストゾル組成物の粘度は、トリイソシアネート化合物とジヘプチルフタレート(別名:フタル酸ジヘプチル:DHP)との初期相溶性が良くないことで、経時的な増粘傾向が観察され、特に初期状態のペーストゾル組成物を用いた加工による帆布では、ゾルに剪断力を掛けても粘性低下が低い(チキソトロピーを示さない)ため、ペーストゾル組成物中に基布をディッピングしても、基布への含浸効果が不十分のため、軟質塩化ビニル樹脂被膜が表面付きとなって基布から剥離し易く、また、軟質塩化ビニル樹脂層の架橋生成が不均一となることで、ジヘプチルフタレート(別名:フタル酸ジヘプチル:DHP)のブリードを促し、煤塵が付着して汚れやすいものとなった。
実施例3の配合に用いた、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシル(別名:1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル)(MW393:〔化3〕)60質量部を、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(別名:アジピン酸ジオクチル:DOA)60質量部に置換した以外は実施例3と同様として、厚さ0.47mm、質量560g/m2の帆布を得た。この配合によるペーストゾル組成物の粘度は、トリイソシアネート化合物とアジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(別名:アジピン酸ジオクチル:DOA)との初期相溶性が良くないことで、経時的な増粘傾向が観察され、特に初期状態のペーストゾル組成物を用いた加工による帆布では、ゾルに剪断力を掛けても粘性低下が低い(チキソトロピーを示さない)ため、ペーストゾル組成物中に基布をディッピングしても、基布への含浸効果が不十分のため、軟質塩化ビニル樹脂被膜が表面付きとなって基布から剥離し易く、また、軟質塩化ビニル樹脂層の架橋生成が不均一となることで、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(別名:アジピン酸ジオクチル:DOA)のブリードを促し、煤塵が付着して汚れやすいものとなった。
Claims (6)
- 塩化ビニル系樹脂及び可塑剤を主体に含み、さらにトリイソシアネート化合物、及び表面水酸基修飾ナノシリカ粒子を含むペーストゾル組成物であって、前記可塑剤が、イソフタル酸ジアルキルエステル(〔化1〕の群),テレフタル酸ジアルキルエステル(〔化2〕の群)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル(〔化3〕の群)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル(〔化4〕の群)、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル(〔化5〕の群)から選ばれた1種以上の化合物であり、また前記トリイソシアネート化合物が、イソシアヌレート変性トリイソシアネート〔化6〕の群(R=〔化9〕〜〔化12〕)、ビュレット変性トリイソシアネート〔化7〕の群(R=〔化9〕〜〔化12〕)、トリメチロールアルキル変性トリイソシアネート〔化8〕の群(R=〔化9〕〜〔化12〕)から選ばれた1種以上であり、前記可塑剤及びトリイソシアネート化合物との質量比が10:0.1〜10:1の範囲、かつ前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対する前記表面水酸基修飾ナノシリカ粒子の配合が5〜20質量部であることを特徴とする接着性ペーストゾル組成物。
- 前記トリイソシアネート化合物において、前記イソシアヌレート変性トリイソシアネート〔化6〕の群、前記ビュレット変性トリイソシアネート〔化7〕の群及び、前記トリメチロールアルキル変性トリイソシアネート〔化8〕の群が各々、トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)〔化14〕、キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(mTMXDI)〔化16〕の4種から選ばれた何れか1種の化合物を基礎とする3量体である請求項1に記載の接着性ペーストゾル組成物。
- 繊維織物を基材として、その少なくとも1面上に軟質塩化ビニル樹脂層が設けられた可撓性積層体による産業資材用帆布及びメッシュシートの製造方法であって、前記軟質塩化ビニル樹脂層が、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤を主体に含み、さらにトリイソシアネート化合物、及び表面水酸基修飾ナノシリカ粒子を含む接着性ペーストゾル組成物を熱処理してゲル化させたものであって、前記可塑剤が、イソフタル酸ジアルキルエステル(〔化1〕の群),テレフタル酸ジアルキルエステル(〔化2〕の群)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル(〔化3〕の群)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル(〔化4〕の群)、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル(〔化5〕の群)から選ばれた1種以上の化合物であり、また前記トリイソシアネート化合物が、イソシアヌレート変性トリイソシアネート〔化6〕の群(R=〔化9〕〜〔化12〕)、ビュレット変性トリイソシアネート〔化7〕の群(R=〔化9〕〜〔化12〕)、トリメチロールアルキル変性トリイソシアネート〔化8〕の群(R=〔化9〕〜〔化12〕)から選ばれた1種以上であり、前記可塑剤及びトリイソシアネート化合物との質量比が10:0.1〜10:1の範囲であり、前記可撓性積層体において前記トリイソシアネート化合物が、少なくとも前記繊維織物の表面、及び前記表面水酸基修飾ナノシリカ粒子に対する結合を含む架橋構造を前記軟質塩化ビニル樹脂層に加熱形成させることを特徴とする産業資材用帆布及びメッシュシートの製造方法。
- 前記トリイソシアネート化合物において、前記イソシアヌレート変性トリイソシアネート〔化6〕の群、前記ビュレット変性トリイソシアネート〔化7〕の群及び、前記トリメチロールアルキル変性トリイソシアネート〔化8〕の群が各々、トリレンジイソシアネート(TDI)〔化13〕、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)〔化14〕、キシリレンジイソシアネート(XDI)〔化15〕、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(mTMXDI)〔化16〕の4種から選ばれた何れか1種の化合物を基礎とする3量体である請求項3に記載の産業資材用帆布及びメッシュシートの製造方法。
- 前記軟質塩化ビニル樹脂層上にフッ素樹脂層が形成され、このフッ素樹脂層を成すフッ素樹脂が、フッ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド(VdF)、トリフルオロエチレン(TrEE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)から選ばれた1種のモノマーを単独重合してなるポリマー、またはこれらの2種以上のモノマーを共重合してなるコポリマー、またはこれらの1種以上のモノマーをビニルモノマーと共重合してなるコポリマーから選ばれた1種以上である請求項3または4に記載の産業資材用帆布及びメッシュシートの製造方法。
- 前記軟質塩化ビニル樹脂層上に、1次粒子径3〜150nmの無機コロイド物質が、シランカップリング剤の加水分解縮合物を含むバインダー成分に担持されてなる防汚層が設けられていて、前記無機コロイド物質が、光触媒性酸化チタンゾル、光触媒性酸化亜鉛ゾル、光触媒性酸化錫ゾル、酸化チタンゾル、酸化亜鉛ゾル、酸化錫ゾル、シリカゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化セリウムゾル、及び複合酸化物(酸化亜鉛−五酸化アンチモン複合または酸化スズ−五酸化アンチモン複合)ゾルから選ばれた1種以上の金属酸化物である請求項3または4に記載の産業資材用帆布及びメッシュシートの製造方法。
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