JP3826311B2 - 防汚性防水シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚性に優れた防水シートに関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は中・大型テント、テント倉庫、軒出しテント、トラック用の幌、看板用バックリットなどの産業資材用途に極めて有用な、防汚性防水シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、中・大型テント、テント倉庫、軒出しテント、トラック用の幌、看板用バックリットなどの産業資材用途のシートとしては、例えば、繊維性基布の片面又は両面に合成ゴムや合成樹脂からなる防水樹脂層を積層したものが広く使用されている。とくに防水樹脂層を形成するためにポリ塩化ビニル系樹脂を用いたものは、加工性、経済性、防炎性、柔軟性等のバランスが良く、最も普及している。このような防水シートは、ほとんどの場合、屋外で使用されているが、使用期間が長くなるにつれて工場や自動車などから排出される排煙や煤煙、花粉、樹液、あるいは鳥や昆虫の糞などの汚染物質によりシートの表面が汚染され、初期の美観が損なわれてしまうという問題が指摘されている。
【0003】
とくにポリ塩化ビニル系樹脂により防水樹脂層を形成した防水シートは、組成中に可塑剤や安定剤等を多く含むため、組成について十分な吟味がなされたとしても、屋外で長期間使用していると、紫外線や雨(酸性雨)の影響により次第に樹脂が分解し、及び/又は可塑剤が表面移行して次第に表面が粘着性を帯びるため、塵や埃が付着し易くシート表面が汚れ易いという欠点がある。このようなシートを用いて建造したテント倉庫などの膜構造物では、天井部のシートに付着した汚れの一部が、降雨によって側面部のシートに流れ落ち、側面部に筋状の顕著な汚れ(雨筋汚れ)を生じる。中・大型テントやテント倉庫などのように展張面積が著しく大きい用途においては、汚染がひどくなっても洗浄することは困難であり、美観が損なわれた状態のまま使用を続けたり、短期間のうちに新しいシートへ張り替えたりしなければならない。このため、当業界においては、長期間に渡ってシート表面が汚れにくいシートの開発が求められている。
【0004】
防汚性を改善する方法としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂の表面に有機溶剤に溶かしたアクリル系樹脂をコーティングする方法が一般的であるが、この場合、コーティング用樹脂の有機溶剤中に可塑剤が溶け出したり、ポリ塩化ビニル系樹脂に配合される液状可塑剤や液状安定剤がコーティング樹脂層へ移行したりするため効果が十分でない。またアクリル系樹脂のかわりにフッ素含有樹脂を表面にコーティングする方法(例えば特開昭60−260333号公報など)は、アクリル系樹脂をコーティングした場合と比較して可塑剤などの移行を抑える効果が高く、さらに紫外線や雨に対するバリア性も高いという特徴を有しているが、雨筋汚れ防止性は十分でない。一方、防水樹脂層にフッ素含有樹脂(例えば、特開平8−259638号公報など)、ウレタン系樹脂(例えば、特開平11−32376号公報など)、エチレン−酢酸ビニル系樹脂などのオレフィン系樹脂(例えば、特開2000−8276号公報など)などのように、可塑剤を使わずに成形できる合成樹脂を用いたシートも知られているが、これらのシートの汚染物質に対する防汚性、雨筋汚れ防止性は十分でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の上記問題点を解消し、シートの塵埃汚れ防止性と雨筋汚れ防止性との両方に優れた防汚性防水シートを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる上記の問題点について鋭意検討した結果、少なくともヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸エステルを含む重合体からなる主鎖セグメントと、少なくともN−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む重合体からなる枝鎖セグメントとにより構成されている櫛型共重合体を含む防汚樹脂層を形成することによって、シートの防汚性と雨筋汚れ防止性が向上することを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の防汚性防水シートは、繊維布帛を含む基布と、この基布の少なくとも1面上に形成され、かつ、防水性樹脂を含む防水樹脂層とを含むシート状基材、並びに、このシート状基材の前記防水樹脂層上に形成され、かつ、防汚性アクリル樹脂を含む防汚樹脂層とを含み、
前記防汚樹脂層の防汚性アクリル樹脂が、1分子当たり1個の重合体主鎖セグメントと、この重合体主鎖セグメントに枝状に結合している複数個の重合体枝鎖セグメントとにより構成される櫛型共重合体を含み、
前記重合体主鎖セグメントが、その主成分として、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸エステルの共重合体残基を含み、
前記重合体枝鎖セグメントが、その主成分として、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの共重合体残基を含む、
ことを特徴とするものである。
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記防汚樹脂層が、前記櫛型アクリル共重合体100質量部に対し、10〜200質量部のコロイダルシリカをさらに含むことが好ましい。
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記防汚樹脂層が、(1)0.1μm以下の平均粒子径を有する酸化亜鉛超微粒子、並びに(2)ベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収性モノマーから形成された共重合単位を含む共重合体から選ばれた少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記防水樹脂層が、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素含有樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記防水樹脂層が、さらに添加剤を含むとき、この添加剤含有防水樹脂層と前記防汚樹脂層との間に、添加剤移行防止層が形成されていることが好ましい。
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記基布の裏面上に形成された裏面防水樹脂層がさらに添加剤を含むとき、この添加剤含有裏面防水樹脂層上に添加剤移行防止層が形成されていることが好ましい。
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記添加剤移行防止層が、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、フッ素含有樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれた1種以上の合成樹脂を含むことが好ましい。本発明の防汚性防水シートにおいて、前記防水樹脂層が、(1)ポリ塩化ビニル系樹脂と、(2)分子量400以上のフタル酸エステル系可塑剤、分子量420以上の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、ジペンタエリスリトールエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、分子量600以上のポリエステル系可塑剤、エステル系ウレタン重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合体から選ばれた1種以上を含む可塑剤とを含むことが好ましい。
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記シート状基材の、JIS K−6732−1981による100℃±2℃、6時間の加熱減量が1.0%以下であることが好ましい。
本発明の防汚性防水シートにおいて、ロール状に巻き上げられているものであってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の防汚性防水シートの基布に用いられる繊維布帛は、天然繊維、例えば木綿、麻など、無機繊維、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維など、再生繊維、例えばビスコースレーヨン、キュプラなど、半合成繊維、例えば、ジ−及びトリアセテート繊維など、及び合成繊維、例えば、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド繊維、ケブラーなどのアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル繊維(飽和ポリエステル繊維)及びポリ乳酸繊維などの脂肪酸ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、芳香族ポリエーテル繊維、ポリイミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維及びポリ塩化ビニル繊維、などから選ばれた少なくとも1種からなるものから選ぶことができる。
【0009】
基布中の繊維布帛を形成している繊維材料は、短繊維紡績糸、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなど、いずれの形状でもよい。また基布用繊維布帛の組織は織物、編物、不織布又はこれらの複合体のいずれであってもよい。繊維布帛の編織組織にも格別の制限はないが、例えば少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物、及び非粗目状編織物(糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。粗目織物の目付は30〜700g/m2 であることが好ましく、また粗目編織物の透孔面積率は、粗目編織物の全表面面積に対して10〜95%程度であることが好ましい。また繊維布帛が非粗目編織物である場合、その組織、目付、厚さなどに制限はないが、使用目的に応じて、平織、綾織、丸編、緯編、及び経編などの編織物を選ぶことができ、またその目付は50〜1000g/m2 程度とすることが好ましい。
【0010】
基布の強度については格別の制限はないが、張力下に固定されるような展張膜材として使用される用途については、392N/3cm(40kgf /3cm)以上の引張強さを有することが好ましい。これらの基布は、予め、フッ素系化合物やシリコーン系化合物などの撥水剤を用いて撥水処理されたものであってもよくアミノ変性シリコーン化合物などの柔軟剤加工剤を用いて柔軟加工されたものであってもよい。
【0011】
本発明の防汚性防水シートにおいて、基布の少なくとも1面上に形成される防水樹脂層には、防水性樹脂が含まれ、この防水性樹脂はポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、アイオノマー系樹脂(エチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の塩など)、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル系樹脂を含む)、アクリル系樹脂、フッ素含有樹脂、スチレン系共重合体樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びこれらの水素添加物など)、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、シリコーン系樹脂、及び、その他の合成樹脂(熱可塑性エラストマーを包含する)などから選ぶことができる。これらの防水性合成樹脂は、単独、あるいは2種以上の混合物として用いてもよい。とくに、防水樹脂層は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素含有樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましく、さらに、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体樹脂から選ばれた1種以上を含むことがより好ましい。これらの樹脂を含む防水樹脂層は、高周波ウェルダー加工によるシートの溶着加工性が良好であり、本発明の防汚性防水シートに好適に用いることができる。
【0012】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に用いられるポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体、及び塩化ビニルと他のモノマーとの共重合体から選ばれた1種以上を用いることができる。塩化ビニルと共重合可能なモノマーとして、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル類などを用いることができる。また、ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化した塩素ポリ塩化ビニル系樹脂であってもよい。
【0013】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、及びC3 〜C18のα−オレフィン類から選ばれた1種以上のエチレン性不飽和モノマーを用いて、ラジカル重合法、イオン重合法などにより製造されたものを用いることができる。これらのポリオレフィン系樹脂は、重合時に使用する触媒によって様々な物性のものが得られるが、例えば、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒などの触媒を用いて製造されたものを用いることができる。ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。また、これらの樹脂にEPRやEPDMを溶融混練又は動的架橋したポリオレフィン系エラストマーを用いることもできる。
【0014】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に用いられる塩素化ポリオレフィン系樹脂としては、低塩素化ポリエチレン系樹脂、高塩素化ポリエチレン系樹脂、低塩素化ポリプロピレン、高塩素化ポリプロピレン系樹脂を用いることができる。これらは、ポリエチレン又はポリプロピレン粉末を水性懸濁とし、原料樹脂の結晶融点近傍の温度で塩素ガスを系内に吹き込む方法などによって得ることができる。
【0015】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に用いられるエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、高圧法のラジカル重合法により製造された、酢酸ビニル成分含有率が比較的低い共重合体樹脂、及び低圧溶液重合法で製造された、酢酸ビニル成分含有率の比較的高い共重合体樹脂のいずれを用いてもよい。エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂中に占める酢酸ビニル成分含有率は、10質量%〜95質量%であることが好ましい。酢酸ビニル成分含有量が多いものは、高周波ウェルダー加工時の溶着性が高く、好適である。これらのエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂は、酢酸ビニル成分含有率が前記範囲内にあるものを、単独に、あるいは酢酸ビニル成分含有率の異なる共重合体の2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に用いられるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂としては、ラジカル重合法により製造された共重合体樹脂が使用でき、エチレンモノマーにメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどから選ばれた少なくとも1種のアクリル系コモノマーを重合させることによって得ることができる。また、これらとともにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマーやその他のエチレン性コモノマーを併用してもよい。
【0017】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に用いられるポリウレタン系樹脂としては、高分子ポリオールとポリイソシアネート、及び必要により鎖延長剤を反応させて得られた樹脂を用いることができる。このようなウレタン系樹脂に用いられる高分子ポリオールとしては、分子鎖の両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、あるいはアクリレート系ポリオールなどを用いることができる。ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートを用いることができる。鎖延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどの低分子ポリオール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、ピペラジン、1,4−ジアミノピペラジン、1,3−シクロヘキシレンジアミンなどの脂環式ポリアミン、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン、エタノールアミン、プロパノールアミンなどのアルカノールアミンなどを用いることができる。とくにポリイソシアネート成分として脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートを用いたウレタン系樹脂は、紫外線曝露によって黄変することがなく耐候性が良好なので好適である。
【0018】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に好適に用いられるポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化、重縮合させることによって得られる樹脂を用いることができる。また、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状エステルやラクチドの開環重合によって得られる脂肪族ポリエステル系樹脂であってもよい。
ポリエステル系樹脂製造用ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等のヒドロキシカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれた1種以上を用いることができる。一方、ポリエステル系樹脂製造用ジオール成分としては、脂肪族、芳香族並びに脂環式のいずれであってもよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどから選ばれた1種以上を用いることができる。
【0019】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層に用いられるアクリル系樹脂としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1 〜C4 アルコールのエステルを主構成モノマーとする重合体もしくは共重合体を主成分とする樹脂を用いることが好ましい。このようなアクリル系樹脂の主構成モノマーとしては、具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートを用いることができ、とくにメチルアクリレート及びメチルメタクリレートが好ましい。また、これらの主構成モノマーと共重合させるモノマーとしては、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸のC1 〜C12アルコールのエステル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、メチルビニルエーテル、ビニルエトキシシラン、α−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエンなどのエチレン性不飽和モノマーを挙げることができる。これらの共重合体は、ランダム共重合体に限定されるものではなく、グラフト共重合体であってもよい。また、エチレンイミン残基、アルキレンジアミン残基などを含むアクリル系樹脂を用いることもできる。
【0020】
本発明の防汚性防水シートにおいて、その防水樹脂層には、可塑剤、軟化剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、充填剤、難燃剤、着色剤、防藻剤、防黴剤、抗菌剤、帯電防止剤、硬化剤などから選ばれた1種以上の添加剤を必要に応じて混合して用いることができる。これらの添加剤としては、当該技術分野において公知の添加剤を制限なく使用することができる。
可塑剤としては、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、フマル酸エステル系、マレイン酸エステル系、アゼライン酸エステル系、セバシン酸エステル系、クエン酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系などの可塑剤を例示できる。
軟化剤としては、パラフィン系、石油留分系、芳香族炭化水素系、植物油系などの軟化剤を例示できる。
安定剤としては、有機錫系、ホスファイト系、金属石鹸系などの安定剤を例示できる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、アミン系、ホスファイト系、有機硫黄系などの酸化防止剤を例示できる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系などの紫外線吸収剤を例示できる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系などの光安定剤を例示できる。
滑剤としては、パラフィン系、脂肪酸系、エステル系、アミド系、リン酸エステル系、金属石鹸系などの滑剤を例示できる。
【0021】
充填剤としては、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、カオリンクレー、タルク、珪藻土、マイカ、ガラスビーズなどの無機系充填剤、スチレンビーズ、アクリルビーズ、セルロースビーズ、ナイロンビーズ、尿素ビーズ、コラーゲン粉などの有機系充填剤などを例示できる。
難燃剤としては、赤リン系、リン酸エステル系、含ハロゲンリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、ポリリン酸塩系、塩素系、臭素系、トリアジン誘導体系、ヒンダードアミン系、シリコーン系樹脂などの有機系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アンチモン系、ジルコニウム系、ホウ酸亜鉛などの無機系難燃剤を例示できる。
着色剤としては、酸化チタン系、酸化鉄系、クロム酸系、カドミウム系、複合酸化物系、パール、マイカ、アルミ、カーボンブラックなどの無機系着色剤、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソシンドリノン系、ペリレン系、ペリノン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ピロール系などの有機系着色剤を例示できる。
防藻剤としては、ピリチオン系の防藻剤を例示できる。
防黴剤としては、有機窒素系、有機窒素硫黄系、ハロゲン化有機窒素系、有機窒素硫黄ハロゲン系、ハロゲン化有機酸エステル系、ベンズイミダゾール系、ピリチオン系、第4級アンモニウム系の防黴剤を例示できる。
抗菌剤としては、有機酸金属塩系、銀系、亜鉛系、銅系などの抗菌剤を例示できる。
帯電防止剤としては、界面活性剤、カチオン性ポリマー系、アニオン性ポリマー系、酸化錫一酸化アンチモン系などの帯電防止剤を例示できる。
硬化剤としては、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、アジリジン系、メラミン系、エポキシ系、カップリング剤などの硬化剤を例示できる。
【0022】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層にポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合には、分子量400以上のフタル酸エステル系可塑剤、分子量420以上の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ジペンタエリスリトールエステル系可塑剤、分子量600以上のポリエステル系可塑剤、から選ばれた少なくとも1種の液状可塑剤、及びエステル系ウレタン重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合体から選ばれた少なくとも1種の高分子可塑剤、から選ばれた少なくとも1種の可塑剤を主可塑剤として使用することが好ましい。これらの可塑剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂の可塑剤として従来使用されているフタル酸ジブチルやフタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジn−オクチル、アジピン酸ジオクチルなどと比較して揮発性が非常に低く、移行性も低いので好適である。とくに、ポリエステル系可塑剤、及び上記の高分子可塑剤を使用することが好ましい。
【0023】
防水樹脂層用ポリ塩化ビニル系樹脂において、分子量400以上のフタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジルなどを用いることができる。
分子量420以上の脂肪族二塩素酸エステル系可塑剤としては、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ドデカン酸ジ−2−エチルヘキシルなどを用いることができる。脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤は、同等の分子量を有するフタル酸エステル系可塑剤と比較するとやや揮発し易いので、より分子量の高いものを選択することが好ましい。トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤としては、トリメリット酸と1価アルコール、及びピロメリット酸と1価のアルコールを縮合反応させたものを使用することができる。トリメリット酸エステル系可塑剤としては、トリメリット酸トリス2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリスイソデシルなど、ピロメリット酸エステル系可塑剤としては、ピロメリット酸テトラ2−エチルヘキシルなどを用いることができる。
エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などを用いることができる。
ポリエステル系可塑剤としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸などのジカルボン酸と、エチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオールとを任意に縮重合することによりポリエステル化したものを使用することができる。ポリエステル系可塑剤の分子量は、600以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは1500〜4000である。分子量が小さすぎると、揮発性が高くなり、移行性が高くなるので好ましくない。逆に分子量が大きすぎると、ポリ塩化ビニル系樹脂に混練配合したときの溶融粘度が高くなるなど、加工性が低下する場合がある。
【0024】
エステル系ウレタン重合体としては、ポリエステル系高分子ポリオールとポリイソシアネート、及び必要により鎖延長剤を反応させて得られた樹脂を用いることができる。ウレタン系重合体としては、エステル系ウレタン重合体のほかに、エーテル系ウレタン重合体、カーボネート系ウレタン重合体などがあるが、エステル系ウレタン重合体は、ポリ塩化ビニル系樹脂に対する可塑化効率が高く、最も好適である。とくに、ポリイソシアネートとして、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートを使用することによって得られるエステル系ウレタン重合体は、紫外線曝露によって黄変することがないだけでなく、芳香族ジイソシアネートを使用したときよりもポリ塩化ビニル系樹脂の可塑化効率が高く、好適である。
エステル系ウレタン重合体、及びエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合体から選ばれる高分子可塑剤は、従来の可塑剤に比べ格段に大きい分子量を有しているので、不揮発性、かつ非抽出性であり、その成形品はすぐれた耐久性を示す。
【0025】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層にアクリル系樹脂を用いる場合、柔軟性を付与する目的でアクリル系樹脂に好適に添加できる可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ミリスチルベンジル、アセチルクエン酸トリブチル、ジフェニルデシルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートなどの可塑剤を例示することができる。これらの可塑剤は、極性が高く、アクリル系樹脂との相溶性が良いので、可塑剤が表面に移行し難い。
【0026】
本発明の防汚性防水シートにおいて、シート状基材の防水樹脂層が添加剤を含む場合、シート状基材のJIS K−6732−1981に従って測定された加熱減量が、1.0%以下であることが好ましい。シート状基材の加熱減量が1.0%を超えると、長期間に渡って良好な防汚性を維持することができないことがある。加熱減量が1.0%を超えた場合に防汚性低下が起こる理由は定かではないが、シートを屋外で使用したときにおいて、日中の日射の影響によって防水樹脂層温度が上昇することによって内部に含まれる添加剤が徐々に揮発し、これが防汚層の防汚性を低下させるものと推定される。したがって、合成樹脂と混用する可塑剤、軟化剤としては、揮発性の低いものを使用することが好ましく、揮発性の高いものを使用せざるを得ない場合においては、その添加量を少量に留め、加熱減量を1.0%以下にすることが好ましい。加熱減量は0.50%以下であることがより好ましい。
【0027】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層の厚さは、基布の目付け、及び用途に合わせて適宜に設定することができるが、得られるシートに所望の防水性や機械的強度を与えるのに十分な厚さ、例えば、0.01〜2.0mmに調整することが好ましく、0.05〜1.5mmに調整することがより好ましい。また、防水樹脂層は、基布上に、同一樹脂からなる1層以上、あるいは、異なる樹脂からなる2層以上から構成されていてもよく、基布の表裏に異なる樹脂からなる防水樹脂層を形成してもよい。
【0028】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防水樹脂層は、上記合成樹脂、或いは上記合成樹脂と可塑剤及び/又は軟化剤を含むフィルム、溶液、エマルジョン、ペーストゾルなどを用い、公知の方法、例えば、トッピング、カレンダリング、コーティング、ディッピングなどの方法によって、基布上に形成することができる。
【0029】
本発明の防汚性防水シートにおいて、シート状基材の前記防水樹脂層に、防汚性アクリル樹脂を含む防汚樹脂層が形成されており、この防汚樹脂層の防汚性アクリル樹脂が、1分子当たり1個の重合体主鎖セグメントと、この重合体主鎖セグメントに枝状に結合している複数個の重合体枝鎖セグメントとにより構成される櫛型共重合体を含み、前記重合体主鎖セグメントが、その主成分として、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸エステルの共重合体残基を含むものであり、かつ前記重合体枝鎖セグメントが、その主成分として、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの共重合体残基を含むものである。
【0030】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂は、その主鎖セグメントはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体残基を主成分として含んでいる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどから選ばれた1種以上を用いることができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、側鎖にヒドロキシル基を有しているので、それを含む重合体は親水性を示し、防汚層の防汚性、雨筋汚れ防止性に寄与する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートから選ばれた1種以上を用いることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルをヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに共重合することによって、得られる防汚性アクリル樹脂の耐水性と耐候性を向上させることができる。とくにメチルメタクリレートを用いることが好ましい。
【0031】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂の主鎖セグメントに用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸エステルは、主鎖セグメント用モノマーの総量に対して、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを40質量%以上、(メタ)アクリル酸エステルを5質量%以上含み、その合計量が70質量%以上であることが好ましい。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの含有量が30質量%未満では、得られる防汚性アクリル樹脂の親水性が不十分になることがある。一方、(メタ)アクリル酸エステルの含有量が5質量%未満では、得られる防汚性アクリル樹脂の耐候性が不十分になることがある。
【0032】
また、本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂の主鎖セグメントを形成する共重合体には、前記主成分モノマー以外に、30質量%未満(主成分モノマーの合計質量に対して30質量%未満)の範囲で、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸エステルとは異なるモノマーが共重合されていてもよい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な異種モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマーを用いることができる。主鎖重合体セグメントに用いることができるエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのα−オレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類及びその塩、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC5 〜C12アルコールのエステル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メチルトリグリコールメタクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外のヒドロキシル基含有モノマー、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリルアミド、マレイン酸アミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ブトキシメチロールアクリルアミド、ブトキシメチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどアミド基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジンなどのアミノ基含有モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリルなどのシアノ基含有モノマー、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルアセトアミドなどのビニルアミド類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの含ハロゲンα,β−不飽和モノマー、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピレンメタクリレートなどのフッ素変性モノマー、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類などを用いることができる。
【0033】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂の側鎖セグメントを形成する共重合体の主成分モノマーは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。
N−メチロール(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドを用いることができる。本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂の枝鎖重合体セグメントに用いられるN−メチロール(メタ)アクリルアミドは、枝鎖重合体セグメント用モノマーの総量に対して10質量%以上含んでいることが好ましく、20質量%以上含んでいることがより好ましい。N−メチロール(メタ)アクリルアミドは、それ自身が親水性を有していることに加え、メチロール基が有する高い反応性により、メチロール基同士、或いは、ヒドロキシル基、エポキシ基などと架橋することによって、本発明の防汚性アクリル樹脂の耐水性が向上する。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどから選ばれた1種以上を用いることができる。本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂の枝鎖重合体セグメントに用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、枝鎖重合体セグメント用モノマーの総量に対して10質量%以上含んでいることが好ましく、20質量%以上含んでいることがより好ましい。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、側鎖にヒドロキシル基を有しているので、それを含む重合体は親水性を示し、防汚層の防汚性、雨筋汚れ防止性に寄与する。また、枝鎖セグメント用共重合体の主成分モノマー、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの合計含有量は70質量%以上であることが好ましい。
【0034】
また、本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂の枝鎖セグメントを形成する重合体の形成には、前記主成分モノマー以外に、30質量%未満(主成分モノマーの合計量に対して30質量%未満)の範囲で、それとは異種のモノマーが共重合されていてもよい。
N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な異種モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマーを用いることができる。枝鎖重合体セグメント用モノマーとして用いることができるエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのα−オレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類及びその塩、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1 〜C12アルコールのエステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メチルトリグリコールメタクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリルアミド、マレイン酸アミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ブトキシメチロールアクリルアミド、ブトキシメチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどアミド基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジンなどのアミノ基含有モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリルなどのシアノ基含有モノマー、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルアセトアミドなどのビニルアミド類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの含ハロゲンα,β−不飽和モノマー、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピレンメタクリレートなどのフッ素変性モノマー、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類などを用いることができる。
【0035】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚性アクリル樹脂を製造する方法には格別の制限はないが、マクロモノマー法により得る方法が好適である。マクロモノマー法は、予め片末端にビニル基などの重合性官能基を有する重合体を合成し、これと通常のエチレン性不飽和モノマーとを重合して櫛型共重合体を得る方法である。片末端にビニル基を有するマクロモノマーを得る方法としては、例えば、メタクリル酸メチル等のアニオンリビング重合を行い、次いでハロゲン含有ビニル化合物と反応させる方法、メルカプト酢酸の存在下でエチレン性不飽和モノマーのラジカル重合を行い、次いで得られたポリマー又はオリゴマーをグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマーと反応させる方法などがある。本発明の防汚性アクリル樹脂用マクロモノマーは、例えば、特公平6−80088号公報に記載された方法によって得ることができる。
【0036】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚樹脂層に用いられる防汚性アクリル樹脂の分子量は、50,000〜1,000,000であることが好ましく、100,000〜500,000であることがより好ましい。その分子量が50,000未満では、得られる防汚樹脂層に十分な機械的強度が得られないことがあり、またそれが1,000,000を超えると、溶液粘度が高くなって塗工性が不十分になることがある。尚、枝鎖重合体セグメントの分子量は、枝鎖にマクロモノマーを用いる場合、マクロモノマーの分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましい。分子量が1,000以下では、得られる櫛型共重合体の特性(特に親水性)が不十分になることがあり、またそれが100,000を超えると、マクロモノマーの反応性が不十分になることがある。
【0037】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚樹脂層には、前記防汚性アクリル樹脂とは異種の合成樹脂が含まれていてもよい。防汚性アクリル樹脂と混合可能な異種合成樹脂としては、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができ、これらの中でも、アクリル系樹脂及びフッ素系樹脂を用いることが好ましい。これら異種合成樹脂の防汚層への添加量は、防汚性アクリル樹脂100質量部に対して、50質量部以下とすることが好ましい。それが50質量部を超えて添加すると、得られる防汚樹脂層の親水性が不十分になり、このため防汚性が不十分になることがある。
【0038】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚樹脂層中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、防藻剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、充填剤、着色剤、硬化剤などから選ばれた1種以上の添加剤を必要に応じて混用して用いることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系などの紫外線吸収剤を例示できる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、アミン系、ホスファイト系、有機硫黄系などの酸化防止剤を例示できる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系などの光安定剤を例示できる。防藻剤としては、ピリチオン系などの防藻剤を例示できる。防黴剤としては、有機窒素系、有機窒素硫黄系、ハロゲン化有機窒素系、有機窒素硫黄ハロゲン系、ハロゲン化有機酸エステル系、ベンズイミダゾール系、ピリチオン系、第4級アンモニウム系などの防黴剤を例示できる。抗菌剤としては、有機酸金属塩系、銀系、亜鉛系、銅系などの抗菌剤を例示できる。難燃剤としては、赤リン系、リン酸エステル系、含ハロゲンリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、ポリリン酸塩系、塩素系、臭素系、トリアジン誘導体系、ヒンダードアミン系、シリコーン系樹脂などの有機系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アンチモン系、ジルコニウム系、ホウ酸亜鉛などの無機系難燃剤を例示できる。充填剤としては、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、カオリンクレー、タルク、珪藻土、マイカ、ガラスビーズなどの無機系充填剤、スチレンビーズ、アクリルビーズ、キトサンビーズ、セルロースビーズ、ナイロンビーズ、尿素ビーズ、コラーゲン粉などの有機系充填剤を例示できる。着色剤としては、酸化チタン系、酸化鉄系、クロム酸系、カドミウム系、複合酸化物系、パール、マイカ、アルミ、カーボンブラックなどの無機系着色剤、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソシンドリノン系、ペリレン系、ペリノン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ピロール系などの有機系着色剤を例示できる。硬化剤としては、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、アジリジン系、メラミン系、エポキシ系、カップリング剤などの硬化剤を例示できる。
【0039】
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記防汚樹脂層にはコロイダルシリカが添加されることが好ましい。コロイダルシリカを添加することによって、防汚樹脂層の防汚性を更に向上させることができる。コロイダルシリカとしては、珪酸ナトリウム水溶液を原料としてイオン交換法を用いる方法などによって得られるものを用いることができ、例えば、スノーテックス(日産化学工業)、カタロイド−S(触媒化成工業)、オスカル(触媒化成工業)などの商品名で市販されているものを使用することができる。また、エチルシリケートなどのオルガノシリケートをアルカリ存在化で加水分解することによって得られるコロイダルシリカであってもよい。オルガノシリケートとしては、例えば、MKCシリケート(三菱化学)などの商品名で市販されているものを用いることができる。
【0040】
本発明の防汚性防水シートにおいて、防汚樹脂層には、(1)平均粒子径0.1μm以下の酸化亜鉛超微粒子、並びに(2)ベンゾトリアゾール系化合物及び/又はベンゾフェノン系化合物から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収性モノマーから形成された共重合単位を含む共重合体から選ばれた少なくとも1種が含まれていてもよい。これらの化合物は紫外線吸収性が高く、これらを添加することによって防汚樹脂層に使用される防汚性アクリル樹脂及び防水樹脂層の紫外線劣化を抑制することができる。これらの化合物は、防汚樹脂層に添加しても移行することがないので防汚樹脂層の防汚性を低下させることがない。また、防汚樹脂層が透明な場合であっても、防汚樹脂層の透明性変化を最小限に抑えることができる。
【0041】
防汚樹脂層用酸化亜鉛超微粒子は、シリコン系樹脂等によって表面処理されたものであってもよい。このような酸化亜鉛超微粒子としては、例えば、ZnO−100、ZnO−200(以上、住友大阪セメント製)、TZO(エレメンティス・ジャパン製)などの市販品を使用することができる。酸化亜鉛超微粒子の防汚層への添加量は、防汚層に含まれる防汚性アクリル樹脂100質量部に対して0.05〜10質量部であることが好ましい。0.1〜5質量部であることがより好ましい。0.05質量部以下では、防汚層の紫外線劣化を抑制する効果が十分でなく、10質量部を超えて添加しても効果に変わりはなく、コスト高となる。
【0042】
ベンゾトリアゾール系化合物及び/又はベンゾフェノン系化合物を共重合してなる共重合体は、例えば、メタクリロイル基を有するベンゾトリアゾール系化合物、及び/又はベンゾフェノン系化合物を、メタクリル酸メチル及び/又はスチレンなどとともにラジカル共重合することによって得ることができる。あるいは、ヒドロキシエチル基を有するベンゾトリアゾール系化合物又はベンゾフェノン系化合物を、アクリル系重合体、ウレタン系重合体、ポリエステル系重合体などの重合体にグラフト共重合させることによって得ることができる。具体的には、ベンゾトリアゾール系化合物を側鎖に有するアクリル系共重合体として、サンライフUS(日華化学製)、ULS−933LP(一方社油脂工業製)、PUVA−30M(大塚化学製)など、ベンゾフェノン系化合物を側鎖に有するアクリル系共重合体として、UCI−635L(一方社油脂工業製)など、ベンゾトリアゾール系化合物を有するスチレン系共重合体としてPUVA−30S(大塚化学製)などの市販品を用いることができる。これらは、防汚樹脂層に用いられる樹脂との相溶性に配慮して任意に選ぶことができる。防汚樹脂層におけるこれらの共重合体の添加量は、防汚層中の防汚性アクリル樹脂100質量部に対して、5〜50質量部とすることが好ましい。5質量部未満では、防汚層の紫外線劣化を抑制する効果が十分でないことがあり、50質量部を超えて添加すると防水層の親水性が不十分になり、防汚性が不十分になることがある。
【0043】
本発明の防汚性防水シートにおいて、前記防汚樹脂層と防水樹脂層との間に、接着層が形成されていてもよい。接着層を形成することによって、防汚樹脂層の防水樹脂層に対する接着性を向上させることができる。接着層に用いることができる樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素含有樹脂、フッ素変性樹脂などの合成樹脂から選ばれた少なくとも1種の合成樹脂を使用することができる。また、天然ゴム系、合成ゴム系、再生ゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着剤を介して防汚樹脂層が形成されてもよい。接着層には、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、抗菌剤、充填剤、着色剤、硬化剤などから選ばれた1種以上の添加剤を必要に応じて混用して用いることができる。
【0044】
本発明の防汚性防水シートにおいて、接着層を形成する方法としては、上記の接着層用合成樹脂又は接着剤等を含むフィルム、溶液、エマルジョンなどを用い、公知の方法、例えば、トッピング、ラミネーティング、コーティングなどの方法によって、シート上に形成することができる。接着層の厚さには特に制限はないが、例えば、0.3〜200μmの厚さとすることが好ましい。接着層の厚さを0.3μm未満とするには、特殊な加工機が必要になるなど、製造上の困難を伴うことがある。200μmを超える厚さとした場合、シートの風合いが硬くなるなど弊害を生じることがある。
【0045】
本発明の防汚性防水シートにおいて、シート状基材の防水樹脂層が添加剤を含む場合、防水樹脂層と防汚樹脂層の間に、防水樹脂層中の添加剤が、防汚樹脂層に移行することを防止するための添加剤移行防止層が形成されていてもよい。
添加剤移行防止層に用いられる合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロースエーテル、ポリウレタン系樹脂(脂肪族ポリエステル系樹脂を含む)、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素含有樹脂などから選ばれた少なくとも1種の合成樹脂を用いることができる。特にフッ素含有樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれた1種以上を用いることが好ましい。添加剤移行防止層には、防汚層、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、抗菌剤、充填剤、着色剤、硬化剤などから選ばれた1種以上の添加剤を必要に応じて混用して用いることができる。
【0046】
本発明の防汚性防水シートにおいて、基布の両面に添加剤を含む防水樹脂層が形成され、その一面(表面)にのみに防汚樹脂層が形成される場合、その他方の面(裏面)に添加剤移行防止層を形成することが好ましい。添加剤移行防止層を形成することによって、シートがロール状に巻かれて保管されている状態において、表面の防汚樹脂層に裏面の防水樹脂層中に含まれる添加剤などの移行性成分が付着することを防止することができる。本発明の防汚性防水シートのように、親水化された防汚樹脂層を有する場合には、それに添加剤が付着することによって起こる防汚性低下は、親水化されていない防汚樹脂層よりも顕著であるので、裏面に添加剤移行防止層を設けることによって、シートが実際に使用されたときに、防汚樹脂層が有する本来の防汚性を発揮することができる。また、本発明のシートをロール状巻き上げ体とする場合にあたり、巻き上げ方法に特に制限はないが、例えば、防汚樹脂層が片面のみ形成されている防水シートを巻き上げる際には、防汚層を内側にして巻き上げることが好ましい。このようにすると、ロール状巻き上げ体の最外周にシート裏面が露出する形態になり、ロール状巻き上げ体の移動作業等に伴う防汚樹脂層への汚れ付着や傷つきを未燃に防ぐことができる。
【0047】
本発明の防汚性防水シートにおいて、添加剤移行防止層を形成する方法としては、上記の添加剤移行防止層用重合体を含むフィルム、溶液、エマルジョンなどを用い、公知の方法、例えば、トッピング、ラミネーティング、コーティングなどの方法によって、シート上に形成することができる。添加剤移行防止層の厚みは、0.3〜200μmの厚さとすることがより好ましい。1〜100μmとすることがより好ましい。0.3μm未満では、防水樹脂層からの添加剤の移行を防止する効果が低く、200μmを超えても効果に変わりはなく、風合いが硬くなるなどの弊害を生じるので好ましくない。
【0048】
【実施例】
本発明を、下記実施例によりさらに説明する。
【0049】
〔評価方法〕
本発明の防汚性シートの性能評価を下記に示す試験方法によって行った。
1.防汚性評価
供試シートについて、シートを南向きに、傾斜角30度及び垂直に配置してこれを屋外曝露試験に供し、シートの防汚性と雨筋汚れの発生状態を評価した。
(1)防汚性
傾斜角30度に設置したシートについて、曝露前の試料を基準として曝露後1年間の試料表面の明度差(ΔL)を測定した。明度差測定には、ミノルタ社製カラーリーダーCR−10(測定径8mm)を使用し、サンプリング時期に降雨があった日の翌日に測定を行った。評価は、下記の基準に基づいて行った。
○:ΔL= −5以上(汚れが少ない)
△:ΔL=−10以上−5未満(汚れている)
×:ΔL=−10以下(顕著に汚れている)
(2)雨筋汚れ防止性
垂直に設置したシートについて、雨筋汚れの発生状態を目視により観察し下記の基準に基づいて評価した。
○:雨筋汚れがほとんど認められない。
△:薄い雨筋汚れが認められる。
×:濃い雨筋汚れが認められる。
【0050】
2.耐候性
供試シートをスガ試験機社製サンシャインウェザーメーターを使用し、ブラックパネル温度63℃、降雨設定18分/2時間の条件で耐候促進試験に供し、防汚層の外観変化を目視により観察した。評価は、下記の基準に基づいて行った。
○:異常なし
△:防汚層にわずかに亀裂が生じている
×:防汚層に顕著な亀裂又は脱落が生じている
【0051】
3.加熱減量測定
供試シートについて、JIS−K6732−1981に準じ、ギヤー式空気乾燥機中に100℃で6時間つるしたときの加熱減量を下式により算出した。尚、加熱減量測定は、防汚層を形成していないシート状基材に対して実施した。試験片は、JIS−K6732に記載されている通りの形状(1号ダンベル)に切り抜いたものを使用した。試験前後の試験片は、塩化カルシウムを乾燥剤としたデシケーター中に室温で72時間放置し乾燥してから、研精工業株式会社製EU−198A型製精密電子天秤を用いて質量を測定した。算出された数値は、JIS
Z−8401−1961に記載された方法で小数点以下2桁に丸めた。
【数1】
Figure 0003826311
【0052】
〔防汚樹脂層用ポリマーの合成〕
合成例1(防汚性アクリル樹脂1の合成)
N−メチロールアクリルアミド50質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50質量部、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸10質量部、28%アンモニア水3.4質量部、水200質量部からなる溶液を、窒素下で、95℃の水300質量部中に5時間で滴下し、さらに4時間反応を続けた後、エチレングリコールモノエチルエーテル500質量部加え、還流温度が130〜140℃になるまで水を留去した。この溶液にグリシジルメタクリレート10.1質量部、ハイドロキノン0.01質量部、N,N′−ジメチルドデシルアミン0.05質量部を加え、130℃で4時間反応を行いビニル基末端マクロモノマーの2−エトキシエタノール溶液(不揮発分25質量%)を得た。このマクロモノマーの25質量%2−エトキシエタノール溶液120質量部(マクロモノマー固形分として30質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50質量部、メタクリル酸メチル20質量部、トルエン40質量部、エチレングリコールモノメチルエーテル20質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部からなる溶液を窒素下で、70℃で12時間重合反応を行った。得られた組成物は不揮発分41質量%、Mw11万の均一な透明液体であった。
【0053】
合成例2(防汚性アクリル樹脂2の合成)
N−メチロールアクリルアミド30質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70質量部、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸10質量部、28%アンモニア水3.4質量部、水200質量部からなる溶液を、窒素下で、95℃の水300質量部中に5時間で滴下し、さらに4時間反応を続けた後、エチレングリコールモノエチルエーテル500質量部加え、還流温度が130〜140℃になるまで水を留去した。この溶液にグリシジルメタクリレート10.1質量部、ハイドロキノン0.01質量部、N,N′−ジメチルドデシルアミン0.05質量部を加え、130℃で4時間反応を行いビニル基末端マクロモノマーの2−エトキシエタノール溶液(不揮発分25質量%)を得た。このマクロモノマーの25質量%2−エトキシエタノール溶液120質量部(マクロモノマー固形分として30質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50質量部、メタクリル酸メチル20質量部、トルエン40質量部、エチレングリコールモノメチルエーテル20質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部からなる溶液を窒素下で、70℃で12時間重合反応を行った。得られた組成物は不揮発分41質量%、Mw10万の均一な透明液体であった。
【0054】
合成例3(防汚性アクリル樹脂3の合成)
N−メチロールアクリルアミド50質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50質量部、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸10質量部、28%アンモニア水3.4質量部、水200質量部からなる溶液を、窒素下で、95℃の水300質量部中に5時間で滴下し、さらに4時間反応を続けた後、エチレングリコールモノエチルエーテル500質量部加え、還流温度が130〜140℃になるまで水を留去した。この溶液にグリシジルメタクリレート10.1質量部、ハイドロキノン0.01質量部、N,N′−ジメチルドデシルアミン0.05質量部を加え、130℃で4時間反応を行いビニル基末端マクロモノマーの2−エトキシエタノール溶液(不揮発分25質量%)を得た。このマクロモノマーの25質量%2−エトキシエタノール溶液120質量部(マクロモノマー固形分として30質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30質量部、メタクリル酸メチル40質量部、トルエン40質量部、エチレングリコールモノメチルエーテル20質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部からなる溶液を窒素下で、70℃で12時間重合反応を行った。得られた組成物は不揮発分41質量%、Mw12.5万の均一な透明液体であった。
【0055】
合成例4
N−メチロールアクリルアミド50質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50質量部、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸10質量部、28%アンモニア水3.4質量部、水200質量部からなる溶液を、窒素下で、95℃の水300質量部中に5時間で滴下し、さらに4時間反応を続けた後、エチレングリコールモノエチルエーテル500質量部加え、還流温度が130〜140℃になるまで水を留去した。この溶液にグリシジルメタクリレート10.1質量部、ハイドロキノン0.01質量部、N,N′−ジメチルドデシルアミン0.05質量部を加え、130℃で4時間反応を行いビニル基末端マクロモノマーの2−エトキシエタノール溶液(不揮発分25質量%)を得た。このマクロモノマーの25質量%2−エトキシエタノール溶液120質量部(マクロモノマー固形分として30質量部)、メタクリル酸メチル70質量部、トルエン40質量部、エチレングリコールモノメチルエーテル20質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部からなる溶液を窒素下で、70℃で12時間重合反応を行った。得られた組成物は不揮発分41質量%、Mw7.5万の均一な透明液体であった。
【0056】
合成例5
2−ヒドロキシエチルメタクリレート70質量部、メタクリル酸2−メトキシエチル30質量部、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸10質量部、メタノール80質量部、エチレングリコールモノメチルエーテル120質量部からなる溶液を、窒素下で、80℃のメタノール40質量部、2−ジエチレングリコール260質量部中に5時間で滴下し、さらに4時間反応を続けた後、還流温度が140〜150℃になるまで溶媒を留去した。この溶液にグリシジルメタクリレート10.1質量部、ハイドロキノン0.015質量部、N,N′−ジメチルドデシルアミン0.15質量部を加え、140℃で4時間反応を行いビニル基末端マクロモノマーのエチレングリコールモノメチルエーテル/ジエチレングリコール溶液(不揮発分20質量%)を得た。このマクロモノマーの20質量%エチレングリコールモノメチルエーテル/ジエチレングリコール溶液150部(マクロモノマー固形分として30部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50部、メタクリル酸メチル20部、トルエン30部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部からなる溶液を窒素下で、70℃で12時間重合反応を行った。得られた組成物は不揮発分41%、Mw13万の均一な透明液体であった。
【0057】
合成例6
N−メチロールアクリルアミド50質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート50質量部をイオン交換水2700質量部に溶解し、窒素置換により溶存している酸素を除いたのち、開始剤として水溶性の2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド0.2gを加え、50℃で15時間反応させた。得られた組成物は不揮発分4.0質量%、Mw13.5万の均一な透明液であった。
【0058】
実施例1
基布として、下記の織り組織を有するポリエステル長繊維糸条からなる非粗目状織物を使用した。
〈ポリエステル非粗目状織物〉
Figure 0003826311
この基布の両面に、下記配合1の防水樹脂層用ポリウレタン樹脂分散液をコンマコーターによりコーティング加工し、120℃で5分間乾燥することにより乾燥質量の合計で150g/m2 の防水樹脂層を形成した。
〈配合1〉
水性ポリウレタン樹脂 100質量部
(商標:アデカボンタイター HUX−386、
固形分濃度:31質量%、旭電化製)
メラミンイソシアヌレート 20質量部
(商標:MC−640、平均粒子径:1〜5μm、日産化学工業製)
ルチル型酸化チタン 5質量部
炭酸カルシウム 10質量部
増粘剤 0.5質量部
※全て固形分換算の質量部にて表示。
次いで、上記防水樹脂層の片面に、合成例1で得た組成物(防汚性アクリル樹脂1)をグラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例2
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した合成例1の組成物を、合成例2の組成物(防汚性アクリル樹脂2)に変更した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0060】
実施例3
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した合成例1の組成物を、合成例3(防汚性アクリル樹脂3)の組成物に変更した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0061】
実施例4
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した合成例1の組成物を、市販品の防汚性アクリル樹脂(商標:ケミトリーLH−448、主鎖セグメント/側鎖セグメント:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、固形分濃度:25質量%、綜研化学製)に変更した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0062】
実施例5
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した防汚性アクリル樹脂1の固形分100質量部に対して、コロイダルシリカ(商標:スノーテックスIPA−ST、固形分濃度:30質量%、日産化学工業製)を固形分換算で100質量部添加した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0063】
実施例6
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した防汚性アクリル樹脂1の固形分100質量部に対して、シリカ(商標:アエロジル200、BET比表面積:200g/m2 、日本アエロジル製)を30質量部添加した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0064】
実施例7
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した防汚性アクリル樹脂1の固形分100質量部に対して、ベンゾトリアゾール系化合物が共重合されたアクリル系共重合体(商標:PUVA−30M、メチルメタクリレート共重合率:70質量%、大塚化学製)を20質量部添加した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例8
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した防汚性アクリル樹脂1の固形分100質量部に対して、酸化亜鉛超微粒子(商標:ZnO−100、平均粒子径:0.015μm、住友大阪セメント製)を2質量部添加した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0066】
実施例9
実施例1と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した防汚性アクリル樹脂1の固形分100質量部に対して、フッ素系化合物が共重合されたアクリル系共重合体(商標:ケミトリーLF−700、主鎖セグメント/側鎖セグメント:メチルメタクリレート、パーフルオロアルキルメタクリレート/メチルメタクリレート、固形分濃度:7.5質量%、綜研化学製)を固形分換算で10質量部添加した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0067】
比較例1
実施例1と同様にして比較シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した合成例1の組成物を、合成例4の組成物に変更した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
実施例1と同様にして比較シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した合成例1の組成物を、合成例5の組成物に変更した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0069】
比較例3
実施例1と同様にして比較シートを作製した。但し、防汚樹脂層に使用した合成例1の組成物を、合成例6の組成物(固形分濃度4質量%の原液を、固形分濃度10質量%に濃縮してから使用した)に変更した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
Figure 0003826311
【0071】
表1より明らかなように、実施例1〜9のシートは、良好な防汚性を有していた。実施例5及び6のシートは、それぞれコロイダルシリカ及びシリカが添加されていたので、優れた防汚性を示した。また、実施例7及び8のシートは、それぞれ紫外線吸収性を有するアクリル系共重合体及び酸化亜鉛超微粒子が添加されていたので、耐候性が優れていた。一方、比較例1のシートは、主鎖セグメントにヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系化合部が共重合されていなかったので、防汚性が十分でなかった。比較例2のシートは、枝鎖セグメントにN−メチロール(メタ)アクリルアミド系化合物が共重合されていなかったので、耐候性が十分でなかった。比較例3のシートは、櫛型共重合体でなかったので、防汚性が十分でなかった。
【0072】
実施例10
基布として、下記の織り組織を有するプロピレン短繊維基布糸条からなる非粗目状織物を使用した。
〈ポリプロピレン非粗目状織物〉
Figure 0003826311
この基布の両面に、カレンダー加工によって成形した下記配合2の防水樹脂層用エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂フィルム(厚さ0.15mm)をラミネート加工して防水樹脂層(1)を形成した。
〈配合2〉
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 100質量部
(酢酸ビニル共重合率:19質量%)
赤リン 20質量部
水酸化アルミニウム 10質量部
ルチル型酸化チタン 5質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
リン酸エステル系滑剤 0.5質量部
次いで、前記防水樹脂層(1)の一方の面に、カレンダー加工により厚さ0.5mmに成形した下記配合3の防水樹脂層用フィルムを熱ラミネートして防水樹脂層(2)を形成し、シート状基材を作製した。
〈配合3〉
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 80質量部
(酢酸ビニル共重合率:19質量%)
無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂 20質量部
水酸化マグネシウム 50質量部
ルチル型酸化チタン 5質量部
ヒンダードアミン系光安定剤 0.5質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
リン酸エステル系滑剤 0.5質量部
このシート状基材の防水樹脂層(2)の表面を空気中でコロナ放電処理したのち、合成例1で得た組成物(防汚性アクリル樹脂1)をグラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0073】
実施例11
基布として実施例10で使用したポリプロピレン非粗目状織物を使用し、この基布のこの織物の両面に、カレンダー加工によって成形した下記配合4の防水樹脂層用塩素化ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ0.20mm)をラミネート加工して防水樹脂層を形成し、シート状基材を作製した。
〈配合4〉
塩素化ポリエチレン系樹脂 100質量部
(商標:ALCRYN 2080NC、三井デュポン・ポリケミカル製)
ルチル型酸化チタン 5質量部
有機錫系安定剤 2質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
リン酸エステル系滑剤 0.2質量部
このシート状基材の防水樹脂層の片面に、合成例1で得た組成物(防汚性アクリル樹脂1)をグラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0074】
実施例12
基布として実施例1で用いたポリエステル非粗目状織物を使用し、この基布の両面に下記配合5の接着層用フッ素含有樹脂分散液をディッピング加工し、120℃で5分間乾燥することにより乾燥質量の合計で20g/m2 の接着層を形成した。
〈配合5〉
4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン−フッ化 100質量部
ビニリデン共重合体樹脂
(商標:THV−350C、固形分濃度:5質量%、住友3M製)
シランカップリング剤 5質量部
※全て固形分換算の質量部にて表示。
次いで、この接着層の両面に、カレンダー加工により厚さ0.2mmに成形した下記配合6の防水樹脂層用フィルムを熱ラミネートして防水樹脂層を形成し、シート状基材を作製した。
〈配合6〉
4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン−フッ化 100質量部
ビニリデン共重合体樹脂
(商標:THV−400G、住友3M製)
リン酸エステル系滑剤 0.5質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
このシート状基材の片面に、合成例3で得た組成物(防汚性アクリル樹脂3)をグラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0075】
実施例13
基布として実施例1で用いたポリエステル非粗目状織物を使用し、この接着層の両面に、押出成形機(Tダイス)により厚さ0.2mmに成形した下記配合7の防水樹脂層用ポリエステルフィルムをラミネートして防水樹脂層を形成し、シート状基材を作製した。
〈配合7〉
ポリエステル樹脂 100質量部
(商標:ペルプレン P−40B、東洋紡製)
レゾルシノールビスジフェニルホスフェート縮合物 15質量部
(商標:ファイロールフレックス RDP、アクゾ・カシマ製)
ルチル型酸化チタン 5質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
カルボジイミド(加水分解防止剤) 0.5質量部
(商標:スタバクゾール P−100、住友バイエルウレタン製)
ポリオレフィン系滑剤 0.2質量部
このシート状基材の片面に、合成例1で得た組成物(防汚性アクリル樹脂1)をグラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0076】
実施例14
基布として、下記の織り組織を有する脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸系)繊維糸条からなる非粗目状織物を使用した。
〈脂肪族ポリエステル非粗目状織物〉
Figure 0003826311
この基布の両面に、下記配合8の防水樹脂層用脂肪族ポリエステル樹脂分散液をコンマコーターによりコーティング加工し、120℃で5分間乾燥することにより乾燥質量の合計で150g/m2 の防水樹脂層を形成し、シート状基材を作製した。
〈配合8〉
水性脂肪族ポリエステル樹脂 70質量部
(商標:ランディ CP−05A、固形分濃度:
40質量%、ミヨシ油脂製)
水性酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂 30質量部
(商標:スミカフレックス 752、固形分濃度:
50質量%、住友化学製)
メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム 10質量部
(商標:テラージュ C−60、
平均粒子径:7.5μm、チッソ製)
ベンゾグアナミン 10質量部
(商標:エポスター GP−50、
平均粒子径:5μm、日本触媒製)
オキサゾリン系硬化剤 2質量部
ルチル型酸化チタン 5質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
増粘剤 1質量部
※全て固形分換算の質量部にて表示。
このシート状基材の片面に、合成例1で得た組成物(防汚性アクリル樹脂1)をグラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0077】
実施例15
基布として実施例1で用いたポリエステル非粗目状織物を使用し、この基布の両面に、カレンダー加工により厚さ0.2mmに成形した下記配合9の防水樹脂層用塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂フィルムをラミネートして防水樹脂層を形成し、シート状基材を作製した。
〈配合9〉
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 100質量部
三酸化アンチモン 10質量部
ルチル型酸化チタン 5質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
このシート状基材の片面に、合成例1で得た組成物(防汚性アクリル樹脂1)をグラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
Figure 0003826311
【0079】
表2より明らかなように、実施例10〜15のシートは、防水樹脂層の種類によらず良好な防汚性を示した。
【0080】
実施例16
基布として実施例1で用いたポリエステル非粗目状織物を使用し、この基布の両面に下記配合10の接着層用ポリ塩化ビニル樹脂分散液をコーティング加工し、180℃で2分間熱処理することにより乾燥質量の合計で80g/m2 の接着層を形成した。
〈配合10〉
ペースト加工用ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
トリメリット酸トリス−2−エチルヘキシル 80質量部
(分子量:547)
エポキシ化大豆油 3質量部
有機錫系安定剤 2質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
三酸化アンチモン 10質量部
次いで、この接着層の両面に、カレンダー加工により厚さ0.2mmに成形した下記配合11の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムを熱ラミネートして防水樹脂層を形成し、シート状基材を作製した。
〈配合11〉
カレンダー加工用ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
フタル酸ジイソデシル(DIDP) 60質量部
(分子量:446)
Ba−Zn系安定剤 2質量部
ホスファイト系安定剤 1質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
三酸化アンチモン 10質量部
ルチル型酸化チタン 5質量部
このシート状基材の片面に、実施例1で使用した防汚性アクリル樹脂1の固形分100質量部に対して、コロイダルシリカ(商標:スノーテックスIPA−ST、固形分濃度:30質量%、日産化学工業製)を固形分換算で100質量部添加した塗工液を、グラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0081】
実施例17
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、アジピン酸ジイソデシル(DIDA、分子量:427)60質量部に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0082】
実施例18
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、エポキシ化大豆油(70質量部)に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0083】
実施例19
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、トリメリット酸トリス2−エチルヘキシル(70質量部)に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0084】
実施例20
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、ピロメリット酸テトラ2−エチルヘキシル(70質量部)に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0085】
実施例21
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、ペンタエリスリトールエステル系可塑剤(商標:UL−6、旭電化製)70質量部に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0086】
実施例22
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、アジピン酸系ポリエステル可塑剤(商標:PN−400、分子量:2000、旭電化製)70質量部に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0087】
実施例23
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、ウレタン系重合体(商標:パンデックスT−5275N、大日本インキ化学工業製)70質量部に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0088】
実施例24
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体(商標:エルバロイ 742、三井デュポン・ポリケミカル製)100質量部に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0089】
実施例25
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、エチレン−アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合体(商標:エルバロイHP553、三井デュポン・ポリケミカル製)100質量に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0090】
実施例26
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、フタル酸ジイソノニル(DINP、分子量:418)60質量に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0091】
実施例27
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、フタル酸ジオクチル(DOP、分子量:390)60質量部に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0092】
実施例28
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを作製した。但し、前記配合10の防水樹脂層用ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに可塑剤として用いたフタル酸ジイソデシル(60質量部)を、フタル酸ジヘプチル(DHP、分子量:362)60質量部に変更した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0093】
実施例29
実施例16と同様にして本発明の防汚性防水シートを得た。但し、防水樹脂層上に下記配合11の添加剤移行防止層用塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の添加剤移行防止層を形成してから防汚樹脂層を形成した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
〈配合11〉
1級アミノ基含有アクリル樹脂 100質量部
(商標:ポリメント NK−380、
固形分濃度:30質量%、日本触媒製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10質量部
(商標:エピコート 828、油化シェル製)
※全て固形分換算の質量部にて表示。
【0094】
実施例30
基布として実施例1で使用したポリエステル非粗目状織物を使用し、この基布の両面に下記組成12の防水樹脂層用アクリル樹脂分散液をコーティング加工し、180℃で5分間熱処理することにより乾燥質量の合計で200g/m2 の防水樹脂層を形成し、シート状基材を作製した。
〈組成12〉
ペースト加工用アクリル樹脂 100質量部
(商標:ゼオンアクリルレジン F320、日本ゼオン製)
トリクレジルホスフェート(TCP) 60質量部
アセチルクエン酸トリブチル(ATBC) 20質量部
ルチル型酸化チタン 5質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.2質量部
シアノアクリレート系紫外線吸収剤 0.2質量部
この防水樹脂層上に、前記組成11の添加剤移行防止層をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の添加剤移行防止層を形成した。次いで、添加剤移行防止層上に実施例1で使用した防汚性アクリル樹脂1の固形分100質量部に対して、コロイダルシリカ(商標:スノーテックスIPA−ST、固形分濃度:30質量%、日産化学工業製)を固形分換算で100質量部添加した塗工液を、グラビアコーターによりコーティング加工し、130℃で2分間乾燥することによって乾燥質量が4g/m2 の防汚樹脂層を形成し、本発明の防汚性防水シートを得た。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0095】
比較例4
実施例16と同様にして比較シートを作製した。但し、防汚樹脂層にフッ化ビニリデン重合体とメタクリル酸メチル重合体の6:4の混合物(商標:ハイコープAF−471、固形分濃度:10質量%、特殊色料工業製)を使用した。得られたシートの評価結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
Figure 0003826311
【0097】
表3より明らかなように、実施例16〜29のシートは、防汚樹脂層に防汚性アクリル樹脂を使用していたので、防水樹脂層に軟質ポリ塩化ビニル樹脂を使用しているにも関わらず、防汚性が優れていた。とくに、実施例23〜25のシートは、高分子可塑剤を使用していたので、防汚性が非常に優れていた。また、実施例29のシートは、添加剤移行防止層が形成されていたので、添加剤移行防止層が形成されていない実施例16のシートよりもさらに優れた防汚性を示した。実施例30のシートは、防水樹脂層に可塑剤を含むアクリル系樹脂を使用していたが、添加剤移行防止層が形成されていたので、防汚性が良好であった。一方、比較例4のシートは、可塑剤移行防止性に優れたフッ素含有樹脂を防汚樹脂層に使用していたが、防汚性は劣っていた。
【0098】
実施例31
実施例1の防汚性防水シートを直径5.08cmの紙管に防汚樹脂層が内側になるようにして巻き取り(シート長:40cm)、本発明の防汚性防水シートのロール状巻き上げ体を得た。このロール状巻き上げ体を50℃−相対湿度90%に設定されたオーブン中に2週間放置し、促進試験を行った。促進試験後のシートの防汚性評価結果を表4に示す。
【0099】
実施例32
実施例16の防汚性防水シートを実施例31と同様にロール状巻き上げ体とした。その評価結果を表4に示す。
【0100】
実施例33
実施例25の防汚性防水シートを実施例31と同様にロール状巻き上げ体とした。その評価結果を表4に示す。
【0101】
実施例34
実施例29と同様にして本発明の防汚性防水シートを得た。但し、配合11の添加剤移行防止層を防水樹脂層の両面に形成した(防汚樹脂層は片面のみ)。得られたシートを実施例31と同様にしてロール状巻き上げ体とした。その評価結果を表4に示す。
【0102】
【表4】
Figure 0003826311
【0103】
実施例31のロール状巻き上げ体は、防水樹脂層中に可塑剤及び軟化剤を含んでいないので、促進後の防汚性は良好であった。実施例32のロール状巻き上げ体は、防水樹脂層に可塑剤を含んでいたので、促進時間が短いときは良好な防汚性を示したが、促進時間が長くなったときに防汚性、雨筋汚れ防止性の低下が認められた。実施例33のロール状巻き上げ体は、防水樹脂層に高分子可塑剤を使用していたので、防汚性低下が僅かだった。実施例34のロール状巻き上げ体は、シートの裏面にも添加剤移行防止層を形成していたので、促進による防汚性低下を抑制されていた。
【0104】
【発明の効果】
本発明の防汚性防水シートは、防汚性アクリル樹脂を含む防汚樹脂層を形成したことによって優れた防汚性を有しており、とくに雨筋汚れ防止性が良好である。本発明の防汚性防水シートは、中・大型テント、テント倉庫、軒出しテント、トラック用の幌、看板用バックリットなどの産業資材用途に使用しても長期間に渡って雨筋汚れのない美麗な外観を維持できるので、実用上極めて有用なものである。

Claims (10)

  1. 繊維布帛を含む基布と、この基布の少なくとも1面上に形成され、かつ、防水性樹脂を含む防水樹脂層とを含むシート状基材、並びに、このシート状基材の前記防水樹脂層上に形成され、かつ、防汚性アクリル樹脂を含む防汚樹脂層とを含み、
    前記防汚樹脂層の防汚性アクリル樹脂が、1分子当たり1個の重合体主鎖セグメントと、この重合体主鎖セグメントに枝状に結合している複数個の重合体枝鎖セグメントとにより構成される櫛型共重合体を含み、
    前記重合体主鎖セグメントが、その主成分として、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸エステルの共重合体残基を含み、
    前記重合体枝鎖セグメントが、その主成分として、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの共重合体残基を含む、
    ことを特徴とする防汚性防水シート。
  2. 前記防汚樹脂層が、前記防汚性アクリル樹脂100質量部に対し、10〜200質量部のコロイダルシリカをさらに含む、請求項1に記載の防汚性防水シート。
  3. 前記防汚樹脂層が、(1)0.1μm以下の平均粒子径を有する酸化亜鉛超微粒子、並びに(2)ベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収性モノマーから形成された共重合単位を含む共重合体から選ばれた少なくとも1種をさらに含む、請求項1又は2に記載の防汚性防水シート。
  4. 前記防水樹脂層が、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素含有樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚性防水シート材。
  5. 前記防水樹脂層が、さらに添加剤を含み、この添加剤含有防水樹脂層と前記防汚樹脂層との間に、添加剤移行防止層が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚性防水シート。
  6. 前記基布の裏面上に形成された裏面防水樹脂層がさらに添加剤を含み、この添加剤含有裏面防水樹脂層上に添加剤移行防止層が形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防汚性防水シート。
  7. 前記添加剤移行防止層が、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、フッ素含有樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれた1種以上の合成樹脂を含む、請求項5又は6に記載の防汚性防水シート。
  8. 前記防水樹脂層が、(1)ポリ塩化ビニル系樹脂と、(2)分子量400以上のフタル酸エステル系可塑剤、分子量420以上の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、ジペンタエリスリトールエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、分子量600以上のポリエステル系可塑剤、エステル系ウレタン重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合体から選ばれた1種以上を含む可塑剤とを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の防汚性防水シート。
  9. 前記シート状基材の、JIS K−6732−1981による100℃±2℃、6時間の加熱減量が1.0%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の防汚性防水シート。
  10. ロール状に巻き上げられている、前記請求項1〜9のいずれか1項に記載の防汚性防水シート。
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