JP4517178B2 - 遮熱効果持続性に優れた採光膜材 - Google Patents

遮熱効果持続性に優れた採光膜材 Download PDF

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本発明は遮熱性が長期に亘って持続する採光膜材に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、光線透過性があり、透明、着色透明、着色半透明、着色不透明等、色相面の自由度が高く、しかも優れた赤外線遮蔽性が長期間持続し、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、ブラインド等に好適に用いられる、遮熱効果持続性に優れた採光膜材に関するものである。
繊維基布に熱可塑性樹脂をコーティング法、ディッピング法、カレンダー法やTダイ押出し法などの方法により被覆した膜材は、組立及び施工が容易であり、色相及び構造等のデザインの自由度が高い等の理由から、日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、ブラインド等広い分野で利用されている。しかしながら、従来の膜材は、太陽輻射線に含まれる近赤外線に対する透過性又は吸収性が高く、このため膜材の表面側から透過又は吸収された赤外線が膜材の裏面側の空間を直接暖め、また吸収された赤外線は膜材の温度を上昇させて輻射熱として膜材裏面側からも放出される。このため、例えば上記膜材をテント倉庫に用いた場合、夏場の強い太陽光線の下では内部の温度が極度に高くなるため、人が長時間作業することが困難であり、またそれを日除けテントに用いた場合は、まぶしさを防ぎ、紫外線を減少させる効果はあるけれども、冷涼効果に関してはほとんど認められないのが実情であった。テント倉庫の場合、通常の建築物同様冷房を用いれば内部の温度を下げることも可能であるが、冷房の効率が非常に低く、エネルギーコストやそれに伴う環境面への負担を考えると、従来のテント倉庫は、実用上好ましいものではなかった。
上記の問題に対して、白色の膜材、例えば酸化チタン等の白色顔料を熱可塑性樹脂層に練り込んだ膜材を用いた場合、太陽輻射に含まれる近赤外線を散乱させ、遮熱性を示すことが知られている。このような白色膜材の実用化において、特別な附帯加工を必要としないので安価に遮熱性を得ることができるが、白色顔料を多量に必要とすることにより、光線透過率が低くなり、例えばこの様な膜材を用いたテント倉庫内部では、日中でも照明が必要となるという問題があった。さらに白色系の膜材は屋外使用の過程で膜材が煤塵で汚れ、その結果、経時的に採光性と遮熱性が低下するという問題を有していた。この他の遮熱性膜材としては、熱可塑性樹脂層に金属粉末を練り込む方法(例えば、特許文献1および2参照)も行われているが、これらも前記白色顔料を用いた膜材と同様に、採光性及び色相選択の自由度が低いものであり、汚れに対しても、白色顔料含有膜材と同様の問題を有していた。また顔料を用いる遮熱技術は、例えば、白色顔料を、近赤外線反射性および/または近赤外線透過性色素により被覆した有彩色及び黒色の複合顔料(例えば、特許文献3参照)が知られている。この顔料は、近赤外線に対して反射性を有する白色顔料を、近赤外線に対して吸収のない有機色素で被覆する事により、可視光線領域における着色と近赤外線領域の反射とを両立させたものである。これによれば、膜材の色相をある程度自由に選択でき、さらに所望の遮熱性も得ることができるが、使用する色素は近赤外線反射性および/または近赤外線透過性の有機色素に限られるため、無機顔料と比較すると耐候性の面でも問題があり、また、遮光性が大きいため所望の採光性を得ることがでないという問題点があった。また、白色顔料に、有機の赤外線反射性顔料、又はSi、Zr、Mg、Ca、Fe、Mn等の元素の酸化物、複酸化物、炭化物及び窒化物等の無機化合物により被覆されており、かつ300nm〜2000nmの平均粒子径及び1.3〜3.0の屈折率を有する顔料を含む遮熱塗料(例えば、特許文献4参照)も提案されている。この遮熱顔料は、顔料の平均粒子径を、通常の白色顔料の平均粒子径:200nm〜400nmよりも大きな300nm〜2000nmとし、それにより可視光線の散乱が低下し近赤外線が効果的に散乱されるため、塗料に用いた場合色相にあまり影響を与えずに遮熱性が得られるものである。しかしながらこの顔料は、少量の添加では遮熱性が不十分であり、大量に加えると遮光性が大きくなるため、テント等の膜材に用いたとき、遮熱性と採光性を共に得ることは困難であった。
また、遮熱性を向上させるために、膜材の構成の中に発泡層を設けることも知られているが、このような膜材は太陽輻射線に含まれる近赤外線を、膜材がその表面側で吸収し、それにより上昇した膜材表面側の熱の裏面側への伝播を発泡層によって防止するというものである。この場合、若し赤外線が透過してしまうと十分な遮熱効果が得られないので、遮熱効果を高めるためには、膜材中に顔料、充填剤などを多量に添加したり、或は発泡層を厚くする必要があり、このようにすると採光性が低くなるという問題があった。また発泡層を部分的に圧縮して、この圧縮部分で透光性を高めるという方法も提案されているが(例えば、特許文献5参照)、圧縮部分の面積が多すぎれば結果的に遮熱効果が低下してしまい、少なければ透光性が不足するという問題があった。さらに、発泡層を有する膜材は、その厚さが厚いために取り扱い性が悪く、また、機械的強度も不充分となるため、テントなどの膜構造物には不適切な材料であった。また、金属薄膜や金属酸化物の赤外線反射性を応用することなどについても検討もなされており、例えば、粗目編織物に金属箔を転写させることにより、金属充実部(粗目編織物の糸部分)と金属欠如部(粗目編織物の目あき部分)を設け、この粗目編織物の金属転写側に透明フィルム層を貼り、その反対側に基体シートを形成することにより、遮熱効果と採光効果の両方を高めることが知られている(例えば、特許文献6参照)。この構成の膜材においては、透明フィルム層及び/又は基体シートに着色することにより色相をある程度自由に設定する事が可能となるが、金属を転写した側では金属光沢を伴う光輝性の高い色調しか選択する事ができず、色相の自由度としては不十分なものであり、それに加えて、耐候性が不十分であるという問題があった。その他の遮熱膜材として、真空蒸着又はスパッタリング法等によりインジウム/スズ酸化物 (ITO)やアンチモン/スズ酸化物(ATO)等金属酸化物薄膜、金属薄膜、もしくは金属薄膜を、透明高屈折率物質薄膜で挟んで形成された遮熱層を有する、透明遮熱薄膜(例えば、特許文献7〜9参照)が知られているが、この遮熱層は、可視光線を透過し赤外線は反射するという機能を持っているため、これらを膜材表面に形成すれば、膜材の色相を自由に選択でき、可視光線透過率にもさほど影響を与えることなく遮熱性を付与する事が可能となる。しかし、このような遮熱層の形成には、大がかりな減圧設備を必要とするので汎用性に乏しく、しかも可塑剤や添加物を多量に含む肉厚の膜材に、前記遮熱層を含ませるという技術応用は困難なものであった。よって現在までのところ、遮熱効果と採光性とを兼ね備え、しかも彩色の自由度が高く、さらに遮熱効果と採光性とを長期間持続させることを可能にする実用的テント構造物用の膜材はまだ提供されていない。
特開平8−49171号公報 特開平6−146166号公報 特開2002−249676号公報 特開2005−97462号公報 特公昭57−55066号公報 特公平4−60428号公報 特開昭51−66841号公報 特公昭63−5263号公報 特公平6−28938号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、透明、着色透明、着色半透明、着色不透明等、色相面の自由度が高く、透光性があり、優れた近赤外線遮蔽性が長期間持続し、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、ブラインド等に好適に用いられる、遮熱効果持続性に優れた採光膜材を、提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討の結果、特定範囲の粒子径分布を有し、屈折率が熱可塑性樹脂に比べて充分に高い不定形の無機化合物粒子の特定量を熱可塑性樹脂被覆層中に配合し、さらに最外層に防汚層を形成する事により、透光性があり、色相の自由度が高く、遮熱性とその持続性に優れた採光膜材が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明の遮熱効果持続性に優れた採光膜材は繊維基布及びその少なくとも1面上に形成された熱可塑性樹脂被覆層を含み、光線透過率(JIS Z8722.5.4(条件g)により測定)が3〜50%の可撓性膜材であって、
前記熱可塑性樹脂被覆層の少なくとも1層が、
アナターゼ型又はルチル型酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子から選ばれた少なくとも1種の不定形粒子と、前記粒子を表面コーティングしている、シリカ及びアルミナから選ばれた少なくとも1種からなるコーティング剤とを含む不定形無機化合物粒子を0.3〜30質量%の含有量で含み
前記不定形無機化合物粒子が、屈折率1.8〜2.75、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0を有し、
それによって、前記熱可塑性樹脂被覆層が、遮熱効果を有し、
前記熱可塑性樹脂被覆層上に、防汚層が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の遮熱効果持続性に優れた採光膜材において、前記防汚層が、屈折率1.8以上、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0の、不定形無機化合物粒子を0.3〜30質量%の含有量で含むことが好ましい。
本発明の遮熱効果持続性に優れた採光膜材において、前記防汚層の、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)による、1000時間後の光沢度(JIS K7105.5.2)保持率が、80〜100%であることが好ましい。
本発明の遮熱効果持続性に優れた採光膜材において、前記防汚層の、屋外曝露前と1年後との色差ΔE(JIS K7105.5.4)が、0.1〜5.0であることが好ましい。
本発明によれば、透光性があり、透明、着色透明、着色半透明、着色不透明等、色相面の自由度が高く、優れた近赤外線遮蔽性が長期間持続し、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、ブラインド等に好適に実用可能な、遮熱効果持続性に優れた採光膜材を、特別な生産設備を必要とせず、生産性良く、製造して提供することが可能となる。
本発明の遮熱効果持続性に優れた採光膜材(以下採光膜材と表記する。)は、繊維基布と、その少なくとも1面上に形成された熱可塑性樹脂被覆層とを有する可撓性膜材であって、前記熱可塑性樹脂被覆層の少なくとも1層が、屈折率1.8〜2.75、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0の、不定形無機化合物粒子を、0.3〜30質量%の含有量で含み、それによって熱可塑性樹脂被覆層が高い遮熱効果を有し、さらに前記熱可塑性樹脂層上に防汚層が設けられたものである。
本発明の熱可塑性樹脂被覆層に含まれる無機化合物粒子としては、屈折率、粒子径分布、形状及びアスペクト比が下記のように規定された不定形無機化合物粒子が用いられる。
無機化合物粒子の屈折率
本発明において、遮熱層が示す遮熱効果は、熱可塑性樹脂中に分散した無機化合物粒子が太陽輻射線に含まれる赤外線を散乱させ、膜材を透過する赤外線量を減少させることにより得られる。つまり、可視領域を超えた0.8μm以上の波長の光を効果的に散乱させることにより遮熱効果が得られるのである。
一般に、媒質中の粒子による光の散乱比Sは、下記式(1)により近似的に表される。
Figure 0004517178
但し、上記式(1)において、npは、粒子の屈折率を表し、nmは媒質の屈折率を表す。
つまり、熱可塑性樹脂被覆層中に無機化合物粒子を分散させる場合、粒子の屈折率npが、粒子の分散媒である熱可塑性樹脂の屈折率nmよりも大きく、しかもその比np/nmが大きい程、光は多く散乱されるのである。一般に熱可塑性樹脂の屈折率は1.3〜1.6程度であるから、用いる無機化合物粒子の屈折率は1.8以上であることが好ましく、2以上であることがさらに好ましい。用いる無機化合物粒子の屈折率が1.8未満であると、赤外線の散乱が不十分となり、膜材の遮熱効果が十分に得られないことがある。この様な高い屈折率を有する無機化合物粒子としては、酸化チタン(TiO2:アナターゼ型、及びルチル型)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化スズ(SnO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、三酸化アンチモン(Sb23)、酸化インジウム(In23)、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、及びアンチモンドープ酸化スズ等があげられ、これらは単独で用いられてもよく、或いはこれらの2種以上を混合して、または、これらの1種以上とその他の無機化合物粒子を混合して用いてもよい。また、これらの無機化合物粒子はシランカップリング剤で処理されたものであってもよく、特に光触媒活性を示す酸化チタン、酸化亜鉛等の物質については、光触媒活性を抑制するために、表面が無機或いは有機物質でコーティングされていることが好ましく、このコーティング用物質については、その種類に特に制限はなく、例えば、前記被覆層用熱可塑性樹脂の屈折率に近い屈折率を有する無機物質として、二酸化珪素(シリカ)及び酸化アルミニウム(アルミナ)などが好適に用いられる。シランカップリング処理、あるいは、光触媒活性を抑制するためのコーティングを施された無機化合物粒子を用いる場合は、シランカップリング処理あるいはコーティング後の質量に対して、シランカップリング剤あるいはコーティング剤の質量が10%以下である事が好ましい。前記無機化合物粒子の配合量は、0.3〜30質量%であり、それが0.3質量%未満であると、得られる樹脂被覆層の遮熱効果が不充分になることがあり、またそれが30質量%を超えると、得られる樹脂被覆層の隠蔽効果が増大し、採光効果が不十分になることがある。本発明の採光膜材において、遮熱効果と採光効果とをバランス良く得るには、無機化合物粒子の配合量が3.0〜15質量%の範囲内にあることが特に好ましい。
無機化合物粒子の粒子径
無機化合物粒子の形状を真球とした場合の、最大の散乱を示す粒子径dは、下記式(2)により近似的に表すことができる。
Figure 0004517178
上記式(2)中、λは光の波長を表し、πは円周率を表す。
太陽輻射線のエネルギー分布には、0.48μm付近にピークが存在し、赤外領域では波長が大きくなるに従ってエネルギーが小さくなるため、近赤外線に較べると遠赤外線の遮熱効果に及ぼす影響は僅かである。したがって、膜材において0.4〜0.78μmの波長を有する可視光線の散乱を少なくし、0.8〜2.1μmの波長を有する近赤外線領域を効果的に散乱させることができれば、膜材の透光効果及び色相への影響を小さくし、太陽輻射線に対する遮熱効果を高めることができる。まず、可視領域の散乱を少なくするためには、無機化合物粒子の粒子径は0.3μm以上であることが好ましい。この散乱防止効果は、樹脂被覆層中に使用される樹脂と無機化合物粒子の組み合わせによって変動する。無機化合物粒子の粒子径が0.3μm未満であると可視領域の光を散乱してしまい、膜材を着色していなくても、散乱により着色されているように見えてしまうことがあり、透光効果も低下してしまう。一方、無機化合物粒子の粒子径は大きくなればなるほど長い波長の赤外線を散乱させることができるが、ある程度をこえて大きな粒子を用いると、可視光線全域に亘る散乱を起こし、膜材が白く濁って見えるようになることがある。これは、ある波長に対して充分に大きな粒子径を有する粒子は、粒子径と屈折率に依存する散乱ではなく、粒子と樹脂の界面における屈折および反射による散乱を引き起こすからである。この様な可視領域の光の散乱を抑えるためには、無機化合物粒子の粒子径は3.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、1.6μm以下であることが更に好ましい。樹脂被覆層中に、粒子径が3.0μmを超える粒子が混入している場合、より長い波長の遠赤外線を効果的に散乱することはできるが、遠赤外線を散乱しても太陽輻射線に対する遮熱性にはあまり効果が無く、しかも可視領域を散乱するため、樹脂被覆層が白く濁り、透光性も低下することがある。
なお、無機化合物粒子の粒子径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば(株)堀場製作所製LA300等)で測定することができる。
無機化合物粒子の形状およびアスペクト比
本来、0.3〜3.0μmの範囲内で粒子径の分布が均一であれば、無機化合物粒子の形状は真球形もしくはそれに近い形状であってもよいが、通常粒子を製造する際には、粒子径分布に1以上のピークが存在し、そのピークの前後に、その頻度を減じる粒子径分布曲線が形成されるため、効果的に散乱される波長にもピークがあり、近赤外線の領域全てに亘って効果的に散乱させることはできない。例えば、0.3〜1.0μmの粒子径分布で、50%径(粒子径が小さな方から粒子を積算し、その粒子の積算質量が全体の50%になったときの粒子径)が0.7μm、10%径(粒子径が小さな方から粒子を積算し、その粒子の積算質量が全体の10%になったときの粒子径)が0.45μmの酸化チタン(屈折率2.75)を、軟質塩化ビニル樹脂(屈折率1.5)中に分散させた場合、真球形の粒子では、上記式(2)から、波長2.0μm付近を中心とした赤外線を良く散乱する事ができるが、太陽輻射線に多く含まれる0.8〜1.3μmの近赤外線を散乱する、粒子径0.3〜0.45μmの粒子は全体の10質量%しか含まれていないため、遮熱効果を充分に得るためにはその添加量を増大させる必要があるので、その結果、得られる膜材の透光性及び色相に影響をあたえることになる。
粒子径分布範囲を小粒子径側にシフトさせれば、0.8〜1.3μmの近赤外線の散乱性は向上するが、このような分布を有する粒子を製造する際に、0.3μm未満の粒子の混入が多くなり、それらが可視光線を散乱させるため、透光性及び色相に影響を与えてしまう。0.3μm未満の粒子を取り除くことができれば可視光線の散乱を抑えることができるが、機械的なふるいなどによって分離できるのは、通常数ミクロンの粒子径までであり、0.3μm未満の粒子を分離するのは特殊な方法を必要とするため工業的には汎用性がない。
本発明においては、樹脂に分散させる粒子が不定形粒子であり、そのアスペクト比が1.0〜3.0、特に1.1〜2.5であるときに、遮熱性に優れ、かつ透光性に優れた膜材が得られる事を見出した。ここで、アスペクト比とは一般に物体の縦横比を指し、粒子の場合その最大縦径とそれに直交する最大の横幅の比を表す。また、下記に述べる不定形粒子の粒子径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した球相当径を意味する。不定形の粒子を用いることにより、遮熱効果に優れ、かつ透光性に優れた膜材が得られる原因については、未だ十分に定かではないが、粒子が光を散乱させるとき、光の入射方向に対して垂直な最大断面の面積が散乱に影響を与えることが知られており、このことから下記の様に推察することができる。
1、粒子が真球の場合、どのような方向から光が入射しても、その入射方向に対して垂 直な、最大粒子断面積は一定であるが、不定形な粒子の場合、入射の角度によって 最大粒子断面積は変動する。したがって、同じ粒子であっても光の入射する方向に よって、効果的に散乱される光の波長が変動する。
2、粒子は樹脂中にランダムに分散しており、同じ粒子径の粒子であっても光線に対す る向きによって、効果的に散乱する光の波長が変動する。
3、先に示した例と同様に、0.3〜1.0μmの粒子径分布範囲内において、50% 径が0.7μm、10%径が0.45μmの酸化チタン粒子を軟質塩化ビニル樹脂 に添加したとき、この粒子が真球形である場合、粒子径が0.45〜0.7μmの 範囲内の粒子は、0.8〜1.3μmの波長の光を効果的に散乱することができな いが、不定形の粒子では、その一部粒子が、0.8〜1.3μmの波長の光を効果 的に散乱する。一方、粒子径0.3〜0.45μmの不定形粒子による0.8〜1 .3μmの波長光の散乱比は、真球形粒子による散乱比よりも低いが、もともと不 定形粒子中の粒子径0.45〜0.7μmの粒子の含有量の方が粒子径0.3〜0 .45μmの粒子よりも多く、粒子径0.45〜0.7μmの不定形粒子の一部が 散乱する事により、全体的には0.8〜1.3μmの波長光の散乱比は同じ粒子径 分布を有する真球形粒子による散乱比よりも高くなる。
この様な不定形無機化合物粒子は、石ころ及び玉砂利の様な紡錘型、回転楕円形、立方体、円筒形などの形の崩れたもの、あるいは大きな粒子の粉砕により形成された不規則な形状、微細な一次粒子がランダムに焼結し形成された不規則な二次粒子形状等、いずれの形状であってもよく、これらの2種類以上の混合であってもよく、混合の場合、アスペクト比が1.0の粒子を含んでいてもよいが、粒子の70%以上をアスペクト比1.1〜3.0の粒子で占めることが好ましい。アスペクト比が3.0を超える粒子、例えば太さに対して長さが3倍を超える針状粒子や、厚みに対して長径が3倍を超える様な鱗片状粒子などを用いた場合、赤外線の散乱が不十分であったり、可視光線を散乱させて透光性や色相に影響を与えることがある。アスペクト比が3.0を超える粒子が混入する場合には、その混入量は不定形無機化合物粒子全体の5質量%以下であることが好ましい。なお、表面がコーティングされた無機化合物粒子を用いる場合には、コーティング後の粒子のアスペクト比が1〜3.0であればよい。
本発明に用いる不定形無機化合物粒子としては、屈折率2.5以上、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0のシリカおよび/又はアルミナでコーティングされた酸化チタンを用いることが特に好ましい。
本発明の採光膜材に使用する繊維基布に用いられる繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維、木綿、麻などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維が挙げられ、これらは単独または2種以上からなる混用繊維によって構成されていてもよく、その形状はマルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条などいずれであってもよい。本発明に使用される繊維基布は、織布、編布、不織布のいずれでもよい、織布を用いる場合、平織、綾織、繻子織、模紗織などいずれの構造をとるものでもよいが、平織織物は、得られる採光膜材の縦緯物性バランスに優れているため好ましく用いられる。編布を用いるときはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく用いられる。これら編織物は、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物(空隙率は最大80%、好ましくは5〜50%)、及び非粗目状編織物(糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。不織布としてはスパンボンド不織布などが使用できる。繊維基布には必要に応じて撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理などが施されていても良い。
本発明の採光膜材の熱可塑性樹脂被覆層に用いられる熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを包含する)としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、およびフッ素含有共重合体樹脂などを、単独で用いてもよくもしくは、2種以上併用してもよい。これらの熱可塑性樹脂のなかでは、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質〜半硬質塩化ビニル樹脂を包含する)、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、及びフッ素含有共重合体樹脂等を用いることが好ましい。上記の塩化ビニル樹脂及び、塩化ビニル系共重合体樹脂とは、具体的に、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル酸共重合体樹脂、及び塩化ビニル−ウレタン共重合体樹脂などを包含する。また上記のオレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂は、具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(EPRゴム)とのリアクター重合樹脂、これらのポリマーアロイ体であるPP−EPR樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴム(EPDMゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPDM樹脂などを包含する。本発明の採光膜材の熱可塑性樹脂被覆層は有機顔料、無機顔料による着色が可能であり、必要に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、紫外線吸収剤、接着剤、防炎剤、防黴剤、滑剤等を含むことができる。
本発明の採光膜材は、繊維基布の少なくとも1面上に熱可塑性樹脂被覆層を有する可撓性膜材であって、その形態は、ターポリン、帆布等の防水性膜材、またはメッシュシートであることが好ましい。このうち帆布やメッシュシートは、有機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂、水中で乳化重合された熱可塑性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは熱可塑性樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、等を用いるディッピング加工(繊維布帛への両面加工)、及びコーティング加工(繊維布帛への片面加工、または両面加工)等によって製造することができる。ターポリンはカレンダー成形法、またはTダイス押出法により成形されたフィルム又はシートを、繊維基布の片面または両面に接着層を介在して積層する方法、あるいは繊維布帛の両面に目抜け空隙部を介して熱ラミネート積層する方法により製造することが好ましく、さらにディッピング加工、またはコーティング加工と、フィルム積層の組み合わせ方法によっても実施可能である。
本発明の採光膜材は着色半透明、着色不透明もしくは着色透明ターポリン、および帆布の場合、その光線透過率(JIS Z8722.5.4(条件g))は3〜35%、メッシュシート、透明ターポリンの場合10〜50%であることが好ましい。
本発明の採光膜材において、経時的な汚れの付着による遮熱効果及び、透光性の低下を防止し、且つ美観を維持するために、樹脂被覆層上に少なくとも1層の防汚層が設けられている。防汚層は採光膜材の遮熱性及び透光性を損なわず極度の隠蔽性を伴わないものである限り、その形成方法及び素材に特に限定はない。このような防汚層は例えば、溶剤に可溶化されたアクリル系樹脂もしくはフッ素系樹脂の少なくとも1種以上からなる樹脂溶液を塗布して形成した塗膜、これらにシリカ微粒子、またはコロイダルシリカを含む塗膜、オルガノシリケート及び/又はその縮合体を含む塗布剤で塗布し親水性被膜層を形成したもの、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン)と結着剤とを含む塗布剤を塗布し光触媒層を形成したもの、少なくとも最外表面がフッ素系樹脂により形成されたフィルムを接着剤もしくは熱溶融加工により積層したもの等から適宜選択することができる。前記防汚層には、本発明の遮熱層に用いた不定形無機化合物粒子(屈折率1.8以上、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0)を0.3〜30質量%の含有量で、好ましくは1.0〜10質量%の含有量で含まれていてもよい。
前記防汚層上に汚れが堆積したり、防汚層が劣化して着色を生じたりすると、汚れ及び/又は着色により、可視光線および赤外線の吸収が増大し、それによって採光性と遮熱効果が低下することがある。このため防汚層は、初期の光沢と色相を維持可能なことが好ましい。具体的には、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)1000時間後の光沢度(JIS K7105.5.2)保持率が、80〜100%、特に90〜100%であることが好ましく、屋外曝露1年後の色差ΔE(JIS K7105.5.4)が、0.1〜5.0、特に0.1〜3.0であることが好ましい。前記防汚層と前記樹脂被覆層との間には、必要に応じて、防汚層と樹脂被覆層との接着性を向上させるための接着層、光触媒による樹脂の分解を妨げるための保護層、樹脂被覆層に含まれる添加剤が防汚層に移行するのを妨げるための添加剤移行防止層、等が形成されていてもよい。また、本発明の採光膜材の、前記防汚層が形成された面とは反対の面に、防汚層との高周波加熱融着性及び熱風融着性を付与するための裏面接着層が形成されていてもよい。あるいは、採光膜材をロール状に巻き取って保管している間に、裏面側の接着層もしくは熱可塑性樹脂層に含まれる添加剤が、前記防汚層上に移行して防汚性が低下するのを防ぐために、裏面側(防汚層とは反対の面)に添加剤移行防止層が形成されていても良い。
本発明を下記実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記実施例において、光線透過率、遮熱率、光沢保持率、屋外曝露1年後の色差評価のための試験方法は下記の通りである。
(I)光線透過率
JIS Z8722.5.4(条件g)に従いミノルタ分光測色計CM−3600dを用いて測定した。
(II)遮熱率
試験環境:内径が、高さ45cm×幅35cm×長さ35cmの外気温遮断性と気密性とを有する箱型構造体の天井部中央に白熱ランプ(100V,500Wのフォトリフレクタランプ:デイライトカラー用:東芝(株))を取り付けて、遮熱性評価の試験環境を構成した。次に、たて・よこともに0.5cmの正方形の断面積を有するアクリル樹脂製角材棒を梁として、外径が、高さ5cm×幅10cm×長さ15cmの箱型フレームを瞬間接着剤で組み立て、箱型フレームの4側面、上面部、及び底面部に、試験膜材を、その表面が外向きとなるように、両面テープで貼り付けて固定し、気密性の試験箱を準備した。また、この試験箱内部の底面部の中央には熱流量計(Shothrm HFM熱流量計:昭和電工(株)製)のセンサーを取り付けて固定した。試験膜材で被覆した試験箱(比較時には試験膜材の装着がないものを使用)を、箱型構造体の底面部の中央に取り付けて、ランプの中心点と試験箱の中心点とを結ぶ直線の方向が鉛直方向に重なるように固定した。この箱型構造体内部におけるランプ先端から試験箱の天井部までの距離は35cmであった。尚、箱形構造体は20℃の恒温室内に設置した。
試験:試験膜材を装着しない試験箱を箱型構造体に入れて密閉状態に置き、ランプを点灯し、熱流量(kcal/m2h)を1分ごとに測定し、30分後の熱流量qn(kcal/m2h )を測定した。箱型構造体内の温度を恒温室内と同じ20℃まで戻した後、試験膜材を装着した試験箱を箱型構造体に入れて密閉状態に置き、ランプを点灯し、熱流量(kcal/m2h )を1分ごとに測定し、30分後の熱流量qc(kcal/m2h )を測定し、下記式により遮熱率を求めた。遮熱率は、数値が大きい程、遮熱性が高いものと判断した。
遮熱率(%)=〔(qn−qc)/qn〕×100
(III )光沢保持率
JIS K7105.5.2の光沢度試験方法により、試験膜材の表面側の初期の光沢度GSb(60°)と、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)1000時間後の光沢度GSa(60°)とを測定し、下記式より光沢保持率を求めた。
光沢保持率(%)=〔GSa(60°)/GSb(60°)〕×100
(IV)屋外曝露1年後の色差
屋外曝露台上に、試験膜材の表面を上にして南向きに傾斜角30度に設置して屋外曝露試験を行い、初期の試験膜材表面の色を基準とし、曝露12ケ月後の試験膜材表面の色との色差ΔE(JIS K7105.5.4)を測定した。
実施例1
(1)繊維基布
繊維基布として、経糸、緯糸ともにポリエステル短繊維紡績糸、295.3dtex(20番手)双糸からなり、経糸打ち込み密度が55本/25.4mmであり、緯糸打ち込み密度が48本/25.4mmであり、目付け230g/m2の非粗目状平織物を使用した。
(2)熱可塑性樹脂被覆層の形成
上記繊維基布を、下記配合1のポリ塩化ビニル樹脂組成物ペーストゾルの溶剤希釈液バス中に浸漬し、これを引き上げ、直ちにマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行い、さらにその一方の面に鏡面エンボス処理を施した。これにより軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物が繊維基布の両面に付着し、および内部含浸した状態で、不定形無機化合物粒子を含んだ樹脂被覆層が320g/m2の付着量で形成された。
なお、配合1では、無機化合物粒子として、不定型なルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン94質量%、シリカ6質量%)した不定形無機化合物粒子を用いた。その粒子径分布は0.3〜1.0μm、10%径0.45μm、50%径0.7μmであり、屈折率は2.75であり、アスペクト比は1〜2.5であった。また、難燃剤として用いられた粒子状三酸化アンチモンの粒子径分布は0.3〜0.7μm、10%径0.35μm、50%径0.5μmであり、アスペクト比は1〜4であり、屈折率は2.1であった。
配合1ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル配合
ポリ塩化ビニル樹脂:P21(重合度1600、新第一塩ビ(株)製) 100質量部
DOP 70質量部
エポキシ系可塑剤:エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
安定剤:Ba−Zn系安定剤 2質量部
無機化合物粒子:TiO2 20質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
(3)防汚層の形成
鏡面エンボス処理を施した樹脂被覆層上に、下記配合2の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で3分間乾燥した。これによって塗布量:5g/m2の防汚層が形成され、採光膜材が得られた。得られた採光膜材の評価結果を表1に示す。
配合2防汚層塗工液組成
フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂 100質量部
(商標:フロロトップ1053:旭硝子(株):固形分50質量%)
イソホロン系イソシアネート硬化剤 10質量部
(商標:タケネートD−140N:武田薬品工業(株):固形分75質量%)
シリカ(商標:ファインシールX37:(株)トクヤマ) 5質量部
メチルエチルケトン 100質量部
比較例3
実施例1と同様にして膜材を製造した。但し、無機化合物粒子は、ルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン92質量%、シリカ8質量%)した粒子(顔料用酸化チタン粒子)であって、その粒子径分布0.1〜0.5μm、10%径0.15μm、50%径0.25μmであり、アスペクト比は1〜1.5であり、屈折率2.75であった。また無機化合物粒子の添加量を5質量部に変更した。得られた膜材の評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様にして膜材を製造した。ただし、無機化合物粒子として、粒子径分布0.3〜1.0μm、10%径0.45μm、50%径0.7μm、屈折率2.75、およびアスペクト比1〜2.5の不定型なルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン94質量%、シリカ6質量%)した不定形無機化合物粒子15質量部と、粒子径分布0.1〜0.5μm、10%径0.15μm、50%径0.25μm、屈折率2.75、アスペクト比1〜1.5のルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン92質量%、シリカ8質量%)した粒子(顔料用酸化チタン粒子)5質量部を用いた。得られた膜材の評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1と同じ繊維基布を、下記配合3のポリ塩化ビニル樹脂組成物ペーストゾルの溶剤希釈液バス中に浸漬し、これを引き上げ、直ちにマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行い、繊維基布に軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物を200g/m2の付着量で付着させた。さらに、その一方の面上に、下記配合4の軟質ポリ塩化ビニル樹脂配合物をカレンダー加工に供して厚さ0.12mmに成形されたフィルム(150g/m2)を熱ラミネートして樹脂被覆層を形成した。配合4で使用された不定形無機化合物粒子は、実施例1と同じものであった。また、配合3および配合4で使用された難燃剤も実施例1と同じ三酸化アンチモンを使用した。この遮熱層上に、実施例1と同様にして防汚層を形成し、本発明の採光膜材が得られた。得られた採光膜材の評価結果を表1に示す。
配合3ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成
ポリ塩化ビニル樹脂:P21(重合度1600、新第一塩ビ(株)製) 100質量部
DOP 70質量部
エポキシ系可塑剤:エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
安定剤:Ba−Zn系安定剤 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
配合4カレンダー用ポリ塩化ビニル樹脂組成
ポリ塩化ビニル樹脂:S−1001(重合度1050、(株)カネカ製)
100質量部
DOP 60質量部
エポキシ系可塑剤:エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
安定剤:Ba−Zn系安定剤 2質量部
無機化合物粒子:TiO2 19質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
Figure 0004517178
表1には、本発明の無機化合物粒子を用いると、通常の顔料用粒子を用いたよりも光線透過率が高く、且つ遮熱率も高く、また、樹脂被覆層上に防汚層が形成されたことにより、その遮熱効果が長期間維持されることが示されている。
実施例1と比較例1の比較において、初期的には同じ遮熱率を示すが、防汚層の有無により、比較例1では屋外曝露1年後の光線透過率および遮熱率が大きく低下している。これは汚れが遮熱層表層に付着、或いは内部に浸透したことにより、可視光線および赤外線の吸収が増大したためであると思われる。比較例2では、粒子径分布が0.3未満の粒子を多く含む顔料用酸化チタンを用いたため、可視光線の散乱が多くなり、一方で近赤外線の散乱が効果的になされないために、実施例1に較べて光線透過率および遮熱性が低くなったものである。比較例3では顔料用酸化チタンの量を減らして、光線透過率を実施例1と同等にしたが、遮熱率の差は更に大きくなった。実施例2は、実施例1の無機化合物粒子の一部を、比較例2および3において用いられたものと同じ顔料用酸化チタンに変更したものである。顔料用酸化チタンを不定形無機化合物粒子の一部分に代えて用いた事によって、光線透過率及び遮熱性は実施例1に比べてやや劣るが、無機化合物粒子の全てを顔料用酸化チタンとした比較例2との比較では、光線透過率及び遮熱性とも優っている。また、顔料用酸化チタンの含有量が等しい比較例3との比較では、不定形無機化合物粒子を加えることにより、光線透過率を大幅に低下させることなく、遮熱率を大きく向上させ得る事が確認された。実施例3でも、比較例2および3に比べて高い光線透過率および遮熱率を示している。実施例3では、無機化合物粒子含有樹脂組成物は繊維基布内部に含浸していないが、熱ラミネートされた樹脂被覆層のみで、実施例1と同等以上の遮熱率を示した。これは、近赤外線が繊維基布に到達する前に樹脂被覆層において散乱され、膜材全体での近赤外線吸収が少なかったためであると思われる。
実施例7
(1)繊維基布および樹脂被覆層(a)の形成
繊維基布として、経糸、緯糸ともに1111dtex(1000デニール)のポリエステルマルチフィラメント糸を配置し、経糸打ち込み密度が10本/25.4mm、緯糸打ち込み密度が10本/25.4mmで質量85g/m2の粗目状長尺平織物を用い、これを下記配合9のペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル配合に浸漬し、引き上げ、直ちにマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行った。これにより無機化合物粒子を含むペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル配合が70g/m2含浸付着したメッシュ状の繊維基布が形成された。なお、無機化合物粒子としては、実施例1と同じ不定形酸化チタンを用いた。また、難燃剤として粒子径分布0.3〜0.7μm、10%径0.35μm、50%径0.5μm、アスペクト比1〜4、屈折率2.1の粒子状三酸化アンチモンを使用した。
配合9ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成
ポリ塩化ビニル樹脂:P21(重合度1600、新第一塩ビ(株)製) 100質量部
DOP 50質量部
燐系防炎可塑剤:トリクレジルフォスフェート 20質量部
エポキシ系可塑剤:エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
無機化合物粒子:TiO2 10質量部
安定剤:Ba−Zn系安定剤 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
(2)樹脂被覆層(b)の形成
前記樹脂被覆層(a)が形成された繊維基布に、下記配合10の組成からカレンダー加工により厚さ0.25mmに成形したフィルム(310g/m2)を、表裏両面に熱ラミネートして樹脂被覆層(b)が形成された。なお、配合10では、無機化合物粒子として、配合9と同じ不定形酸化チタンを用いた。
配合10カレンダー用透明ポリ塩化ビニル樹脂組成
ポリ塩化ビニル樹脂:S−1001(重合度1050、(株)カネカ製)
100質量部
DOP 25質量部
燐系防炎可塑剤:トリクレジルフォスフェート 25質量部
エポキシ系可塑剤:エポキシ化大豆油 4質量部
安定剤:Ba−Zn系安定剤 2質量部
無機化合物粒子:TiO2 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
(3)添加剤移行防止層の形成
表面側の樹脂被覆層上に、合成シリカ(吸油量120ml/100g)20質量%を含有するビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂塗布液として、下記配合11の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2の樹脂中間層を形成した。さらに前記樹脂中間層の上に、配合11の樹脂組成物からシリカを除いた溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却して追加樹脂層を形成し、それによって、前記樹脂中間層と追加樹脂層とからなる、合計10g/m2の添加剤移行防止層を形成した。
配合11添加剤移行防止層組成
ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂 20質量部
(商標:カイナー7201:エルフ・アトケム・ジャパン(株))
シリカ:(商標:ニップシールE−75:東ソー・シリカ(株)) 5質量部
MEK(溶剤) 80質量部
(4)接着・保護層および光触媒防汚層の形成
前記可塑剤移行防止層の上に、下記配合12に示された組成の接着・保護層処理液をグラビヤコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、1.5g/m2の接着・保護層を形成し、その上に、更に下記配合13に示された組成の光触媒防汚層形成用塗布液をグラビヤコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、1.5g/m2の光触媒防汚層を形成して、透視性のある採光膜材を作製した。得られた採光性膜材の評価結果を表3に示す。
配合12接着・保護層処理液組成
シリコン含有量3mol%のアクリルシリコン樹脂を8質量%(固形分)含有する
エタノール−酢酸エチル(50/50質量比)溶液 100質量部
メチルシリケートMS51 8質量部
(コルコート(株))の20%エタノール溶液(ポリシロキサン)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤) 1質量部
配合13光触媒防汚層処理液組成
酸化チタン含有量10質量%に相当する硝酸酸性酸化チタンゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
酸化珪素含有量10質量%に相当する硝酸酸性シリカゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
実施例8
実施例7と同様にして透視性のある採光膜材を製造した。但し、ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成の難燃剤として、粒子径分布0.3〜0.7μm、10%径0.35μm、50%径0.5μm、アスペクト比1〜4、屈折率2.1の三酸化アンチモンの代わりに、粒子径分布0.5〜1.6μm、10%径0.65μm、50%径0.95μm、アスペクト比1〜3、屈折率2.1の不定形三酸化アンチモン粒子を使用した。この採光膜材を評価した結果を表3に示す。
実施例9
実施例7と同様に透視性のある採光膜材を製造した。但し、ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成に無機化合物粒子を添加しなかった。この採光膜材の評価結果を表3に示す。
比較例7
実施例7と同様に透視性のある膜材を製造した。但し、ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成およびカレンダー用ポリ塩化ビニル樹脂透明配合に無機化合物粒子を添加しなかった。この膜材の評価結果を表3に示す。
比較例8
実施例7と同様にして透視性のある膜材を製造した。但し、ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成およびカレンダー用ポリ塩化ビニル樹脂透明組成の無機化合物粒子を、不定形なルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン95質量%、シリカ5質量%)して得られ、粒子径分布0.5〜2.0μm、10%径0.8μm、50%径0.13μm、アスペクト比1〜8の不定形無機化合物粒子に変更した。この膜材の評価結果を表3に示す。
実施例7は繊維基布に含浸したペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル配合と、その両面にラミネートしたカレンダー用透明ポリ塩化ビニル樹脂層に、それぞれシリカコーティングされた不定形無機化合物粒子を加えたものである。得られた膜材は、透視性のある膜材であるため、実施例1〜3と比較すると遮熱効果は劣るが、まったくシリカコーティングされた不定形無機化合物粒子を加えない比較例7と比較すれば、光線透過率をさほど下げることなく、遮熱率を著しく向上させていることが確認された。実施例8では、繊維基布に含浸したペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成中の三酸化アンチモンの粒子径分布を0.5〜1.6μm、アスペクト比を1〜3とする事により、更に、光線透過率と遮熱率とを向上させている。これは、使用した三酸化アンチモンの屈折率が2.1であり、上記の粒子径分布、アスペクト比を満たすことにより、可視光線を透過し、赤外線を効果的に散乱させる作用を示したからである。また、実施例9では、カレンダー用透明ポリ塩化ビニル樹脂層にのみ不定形無機化合物粒子を加えたものであるが、これだけでも、比較例7に比べて著しい遮熱率の向上がみられた。比較例8は、実施例7と比較して光線透過率、遮熱率共に劣っているが、これは、用いた不定形無機化合物粒子のアスペクト比が1〜8であり、アスペクト比が3を超える粒子を多く含んでいたため、可視光線の散乱を生じ、一方で赤外線の散乱が効果的に行われなかったためであると思われる。
実施例10
(1)繊維基布および遮熱層の形成
繊維基布として、下記組織のポリエステルマルチフィラメント粗目状長尺平織物を用い、これを下記配合14のペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成に浸漬し、引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行った。
833dtex(750d)/3 × 833dtex(750d)/3
───────────────────────
11 × 11(本/25.4mm)
これにより無機化合物粒子を含むペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成が250g/m2付着した合計質量460g/m2のメッシュ状の膜材が形成された。なお、配合14には実施例1と同じ不定形酸化チタンと三酸化アンチモンを用いた。
配合14ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成
ポリ塩化ビニル樹脂:P21(重合度1600、新第一塩ビ(株)製) 100質量部
DOP 60質量部
エポキシ系可塑剤:エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 15質量部
無機化合物粒子:TiO2 10質量部
安定剤:Ba−Zn系安定剤 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
(2)光触媒防汚層の形成
前記メッシュ状膜材を、下記配合15に示された組成の接着・保護層処理液に浸漬後、マングルロールで圧搾し、100℃で1分間乾燥した後冷却した。これにより1.0g/m2の接着保護層を形成した。更に接着保護層付メッシュ状膜材を下記配合16に示された組成の光触媒層形成用塗布液に浸漬後、マングルロールで圧搾し、100℃で1分間乾燥した後冷却した。これにより1.5g/m2の光触媒層を形成し、メッシュ状の採光性膜材が得られた。得られたメッシュ状の採光性膜材を評価した結果を表4に示す。
配合15接着・保護層処理液組成
シリコン含有量3mol %のアクリルシリコン樹脂8質量%(固形分)を含有する
エタノール−酢酸エチル(50/50質量比)溶液 100質量部
ポリシロキサンとしてメチルシリケートMS51(コルコート(株))の
20%エタノール溶液 8質量部
シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 1質量部
配合16光触媒層処理液組成
酸化チタン含有量10質量%に相当する硝酸酸性酸化チタンゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
酸化珪素含有量10質量%に相当する硝酸酸性シリカゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
実施例11
実施例10と同様にしてメッシュ状の採光膜材を製造した。但し、ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成の難燃剤として、実施例8と同じ粒子径分布0.5〜1.6μm、10%径0.65μm、50%径0.95μm、アスペクト比1〜3、屈折率2.1の不定形三酸化アンチモンを使用した。このメッシュ状の採光膜材を評価した結果を表4に示す。
比較例9
実施例10と同様にして、メッシュ状膜材を製造した。但し、無機化合物粒子として、比較例2と同じ酸化チタン粒子を用いた。得られたメッシュ状膜材を評価した結果を表4に示す。
Figure 0004517178
実施例10は、メッシュ状の採光膜材であり、メッシュの目を通して可視光線、赤外線とも一部はそのまま透過するが、ペーストポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成に本発明の不定形無機化合物粒子を添加することにより、遮熱層部分では近赤外線の散乱が起こり、且つ可視光線は透過するために、顔料用酸化チタンを用いた比較例9に比べて光線透過率、遮熱率共に向上している。実施例11は、実施例8と同じ不定型な三酸化アンチモンを用いたものだが、実施例10と比較して光線透過率、遮熱率共に更に向上している。これは実施例8同様、粒子径分布0.5〜1.6μm、アスペクト比1〜3、屈折率が2.1と本発明の要件を満たす三酸化アンチモンを用いたため、本発明の要件を満さない三酸化アンチモンを用いた実施例10に比べて更に、可視光線を透過し、赤外線を効果的に散乱させる作用が増したためである。
本発明によって得られる遮熱効果持続性に優れた採光膜材は、透光性があり、透明、着色透明、着色半透明、着色不透明等、色相面の自由度が高く、優れた近赤外線遮蔽性が長期間持続するため、明るく、且つ涼しい、という従来両立が困難であった環境を長期間に亘って提供することができ、しかもデザイン面においてもカラフルな色彩を選択することができるものである。そのため、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、ブラインド等に使用した場合、カラフルな色彩はそのままに、夏場の作業環境を改善し、照明、冷房などに費やすエネルギーを削減する事が可能となる。

Claims (4)

  1. 繊維基布及びその少なくとも1面上に形成された熱可塑性樹脂被覆層を含み、光線透過率(JIS Z8722.5.4(条件g)により測定)が3〜50%の可撓性膜材であって、
    前記熱可塑性樹脂被覆層の少なくとも1層が、
    アナターゼ型又はルチル型酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子から選ばれた少なくとも1種の不定形粒子と、前記粒子を表面コーティングしている、シリカ及びアルミナから選ばれた少なくとも1種からなるコーティング剤とを含む不定形無機化合物粒子を0.3〜30質量%の含有量で含み
    前記不定形無機化合物粒子が、屈折率1.8〜2.75、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0を有し、
    それによって、前記熱可塑性樹脂被覆層が、遮熱効果を有し、
    前記熱可塑性樹脂被覆層上に、防汚層が設けられていることを特徴とする遮熱効果持続性に優れた採光膜材。
  2. 前記防汚層が、屈折率1.8以上、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0の、不定形無機化合物粒子を0.3〜30質量%の含有量で含む、請求項1に記載の遮熱効果持続性に優れた採光膜材。
  3. 前記防汚層の、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)による、1000時間後の光沢度(JIS K7105.5.2)保持率が、80〜100%である、請求項1または2に記載の遮熱効果持続性に優れた採光膜材。
  4. 前記防汚層の、屋外曝露前と1年後との色差ΔE(JIS K7105.5.4)が、0.1〜5.0である、請求項1または2に記載の遮熱効果持続性に優れた採光膜材。
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