JP2011098260A - 複層塗膜 - Google Patents

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Tatsuro Hitokuma
達郎 仁熊
Naohisa Aoyanagi
尚久 青柳
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淳一 小熊
Setsuo Yamamatsu
節男 山松
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Abstract

【課題】耐候性、耐薬品性、耐汚染性に優れ、光触媒活性を有する光触媒塗膜の上からクリアー塗膜を重ね塗りした複層塗膜を、特殊な装置を用いずに、少ない環境負荷で、かつ簡便な方法により提供する。
【解決手段】光触媒粒子とバインダーとを含有する光触媒塗膜と、クリアー塗料を前記光触媒塗膜上に重ね塗りして形成されたクリアー塗膜とを有し、サンシャインカーボンアーク灯式(JIS K5400)促進耐候性試験において、2000時間後の光沢保持率が70%以上である複層塗膜を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、複層塗膜に関する。
近年、建物外装に被覆される材料であって、太陽光の照射により親水化して降雨によるセルフクリーニング機能を有する材料として、光触媒材料が注目されている。
また、光触媒材料は、NOx等の有害ガスを除去する環境上好ましい材料としても注目されている。
特に、作業環境、周辺への影響、臭い等の観点から、最近では、溶剤系塗料よりも水系塗料(水性塗料)を用いる傾向が高まりつつある。そのため、上記建物外装等に塗布するための光触媒の水性コート剤も提案されている。
従来においては、光触媒とパーフルオロコポリマーとをエマルジョンの状態で配合する塗料組成物が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、また光触媒とフルオロ基が含有されているシリコーンエマルジョンとのコーティング組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されている水性塗料は、屋外での使用を想定した場合、塗装直後の水との接触角が大きく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することができず、特に、太陽光が当たり難い部分は十分なセルフクリーニング性が得られないという問題がある。
そこで、塗装直後から水との接触角が小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することができる光触媒を含有する塗料組成物の例が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献3に開示されている塗料組成物に含有されている光触媒は、紫外線が当たると汚れ以外の有機物も分解してしまう。そのため、プラスチックなどの有機基材や、有機塗料を塗装した基材の表面にこの光触媒含有の塗料組成物を塗装した場合、有機基材や基材表面の有機塗料を分解してしまい、商品の寿命が非常に短くなるという問題がある。
このような問題に鑑みて、光触媒含有塗料を塗装する前に、予め光触媒によって分解されない成分で構成される保護層を被塗布面上に形成しておき、その上に光触媒塗料を塗装する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
このように、予め保護層を形成しておく方法においては、保護層及び光触媒塗膜として透明なものを使用するため、基材の意匠を損なうことなく、光触媒機能を基材に付与できるという利点を有しているが、保護層形成作業及びその材料に多くのコストと時間を必要とする。また、保護層の硬化の程度によって、光触媒含有塗料の塗膜の性能(密着性、分解性等)が大きく左右されてしまう場合があり、塗装が難しいという問題点もある。特に、既存の建築物に現場で塗装しようとする場合においては、保護層を塗装した後に、光触媒含有塗料を塗装するまでに必要とする時間間隔が、気温や湿度によって影響を受け易く、作業性が低下するおそれがあるという実用上の問題がある。
これに対し、保護層を不要とした技術の開示もなされている(例えば、特許文献5参照。)。
特開平10−195369号公報 特開平10−279886号公報 特開2003−170516号公報 特許第2756474号公報 国際公開2007/069596号公報
しかしながら、特許文献1〜5に開示されている技術はいずれも光触媒含有塗膜において経年により美観に劣化が生じた場合には、結局のところ上から光を透過しない塗料を塗り重ねて外観の改善を図ることが必要である。
光を透過しない塗料を上から塗装することは外観の改善効果において一応有効ではあるが、従来技術はいずれにおいても、光を透過する、いわゆるクリアー塗料を塗り重ねることによって外観の改善効果を得ることはできない。
そこで本発明においては、光触媒含有塗膜の上からクリアー塗膜を重ね塗りした構成の、優れた耐候性を有する複層塗膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、光触媒含有塗布膜上からクリアー塗膜を重ね塗りした複層塗膜において、促進耐候性試験における所定の時間経過後の光沢保持率を特定することにより、上記課題の解決が図られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
光触媒粒子とバインダーとを含有する光触媒塗膜と、
クリアー塗料を前記光触媒塗膜上に重ね塗りして形成されたクリアー塗膜と、
を、有し、
サンシャインカーボンアーク灯式(JIS K5400)促進耐候性試験において、2000時間後の光沢保持率が70%以上である複層塗膜。
〔2〕
前記光触媒塗膜の光触媒活性が、湿式分解法(JIS R1703−2)による測定値として5以上20以下である前記〔1〕に記載の複層塗膜。
〔3〕
前記光触媒塗膜が、前記光触媒粒子としてシリカ被覆酸化チタンをさらに含有している前記〔1〕又は〔2〕に記載の複層塗膜。
〔4〕
前記クリアー塗膜上に、さらに前記光触媒塗膜が積層形成されている前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の複層塗膜。
本発明によれば、光触媒活性を有する光触媒塗膜の上からクリアー塗膜を重ね塗りした構成の、優れた耐候性を有する複層塗膜が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、説明する。
本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔複層塗膜〕
本実施形態の複層塗膜は、光触媒粒子とバインダーとを含有する光触媒塗膜と、クリアー塗料を前記光触媒塗膜上に重ね塗りすることにより形成されたクリアー塗膜とを有する。
(光触媒塗膜)
光触媒塗膜は、光触媒粒子とバインダーとを含有する。
<光触媒粒子>
光触媒粒子としては、例えば、TiO2、ZnO、SrTiO3、BaTiO3、BaTiO4、BaTi49、K2NbO3、Nb25、Fe23、Ta25、K3Ta3Si23、WO3、SnO2、Bi23、BiVO4、NiO、Cu2O、RuO2、CeO2等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照。)が挙げられる。
上記光触媒粒子の中で、TiO2(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。
酸化チタンとしては、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用できる。
光触媒粒子は、表面を被覆処理することにより、光触媒活性を制御できる。
被覆処理に用いる材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、アモルファスチタン、ジルコニア、カルシウム、マグネシウム等の光触媒活性を持たない無機物を、好適に用いることができる。
この中でも、シリカ被覆光触媒粒子は、安定性、安全性の面から好ましい。
上記所定の材料を被覆した光触媒粒子は、被覆材料の被覆量により光触媒活性の制御することが可能である。
実用的には、光触媒粒子に対して、被覆量を0.1質量%とすることが好ましい。
光触媒粒子の配合量は、要求される光触媒活性の強さにより任意に調整することができるが、光触媒塗膜全体に対し、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、1質量%〜30質量%であることがより好ましい。
光触媒粒子の配合量が多い光触媒塗膜は、より高い光触媒活性を発現し、光触媒配合量を少なくすると、より高い耐候性を発現する。
光触媒粒子の被覆処理による活性制御と、配合量の調整とを行うことにより、光触媒塗膜の活性を任意に制御することが可能である。
<バインダー>
バインダーとしては、種々公知のものを用いることが可能であるが、重合体エマルジョン粒子の分散体が好ましい。
重合体エマルジョン粒子の分散体としては、種々公知のものを用いることが可能である。
例えば、アクリルエマルジョン、スチレン−ブタジエンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン、シリコーンエマルジョン、PTFEエマルジョン等の重合体エマルジョン粒子の分散体が挙げられる。
上記重合体エマルジョン粒子は、所定の単量体の乳化重合等の方法により得られる。
重合体エマルジョン粒子を構成するポリマーとしては、水性媒体中でのラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などによって得られる従来公知のポリ(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセテート系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン酢酸ビニル系、シリコーン系、ポリブタジエン系、スチレンブタジエン系、NBR系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、塩化ビニリデン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系、スチレン−無水マレイン酸系に代表される単重合体又は共重合体、シリコーン変性アクリル系、フッ素−アクリル系、アクリル−シリコーン系、エポキシ−アクリル系に代表される変性共重合体が挙げられる。
これらは、水分散体の状態にあり、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
その好ましい例としては、アクリル樹脂エマルジョン、アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン等がある。
上記重合体エマルジョン粒子として、特に、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物及びビニル単量体を重合して得られる、粒子径が10〜800nmである重合体エマルジョン粒子を用いると、得られる光触媒塗膜は、耐候性、透明性、柔軟性が高くなり好ましい。
また、重合体エマルジョン粒子中の、加水分解性珪素化合物の配合量が、加水分解縮重合化合物として10質量%以上であると、光触媒塗膜の耐候性が向上し好ましく、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記加水分解性珪素化合物としては、下記式(1)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤を例示することができる。
SiWxRy ・・・(1)
(式(1)中、Wは、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。
Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。
xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
上記シランカップリング剤とは、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在する、加水分解性珪素化合物を表す。
上記加水分解性珪素化合物のうち、上記珪素アルコキシド及びシランカップリング剤の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等が挙げられる。
これらの珪素アルコキシドやシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記珪素アルコキシドやシランカップリング剤が縮合生成物として使用されるとき、この縮合生成物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは200〜5000、さらに好ましくは300〜1000である。
ポリスチレン換算重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定できる。
上記珪素アルコキシドの中では、フェニル基を有する珪素アルコキシド、例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等が、水及び乳化剤の存在下における重合安定性に優れているため好ましい。
上記加水分解性珪素化合物の中で、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤や、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤は、ビニル単量体との共重合又は連鎖移動反応により化学結合を生成することが可能である。
このため、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を、単独で又は上述した珪素アルコキシド、上記以外のシランカップリング剤、及びそれらの縮合生成物と混合若しくは複合化させて用い、さらにビニル単量体の重合生成物を用いると、加水分解性珪素化合物の重合生成物とビニル単量体との重合生成物を化学結合により複合化できる。
このような重合体エマルジョン粒子を含有する光触媒塗膜は、耐候性、耐薬品性、光学特性、強度等に優れているため、非常に好ましい。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記ビニル単量体としては、下記のようなものが挙げられる。
例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル類の他、カルボキシル基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル系単量体、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体、アニオン型ビニル単量体、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体のような官能基を含有する単量体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル部の炭素数が1〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
なお、本明細書中で、(メタ)アクリルとは、メタアクリル又はアクリルを簡便に表記したものである。
上記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸、又はイタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の2塩基酸のハーフエステル等が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニル単量体を用いることによって、重合体エマルジョン粒子にカルボキシル基を導入することができ、エマルジョンとしての安定性を向上させ、外部からの分散破壊作用に抵抗力を持たせることが可能となる。この際、導入したカルボキシル基は、一部又は全部を、アンモニアやトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン類や、NaOH、KOH等の塩基で中和することもできる。
カルボキシル基含有ビニル単量体の使用量は、1種又は2種以上の混合物として、全ビニル単量体中において0〜50質量%であることが、光触媒塗膜の耐水性の観点から好ましい。
上記水酸基含有ビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピリ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルや、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレート、アリルアルコールやエチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、さらには、「プラクセルFM、FAモノマー」(ダイセル化学(株)製の、カプロラクトン付加モノマーの商品名)や、その他のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類等が挙げられる。
上記(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
また、(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
上述した水酸基含有ビニル単量体の使用量は、1種又は2種以上の混合物として、全ビニル単量体中において、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0.1〜50質量%である。
また、上記エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルジメチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル単量体や、カルボニル基含有ビニル単量体を使用すると、重合体エマルジョン粒子が反応性を有し、ヒドラジン誘導体やカルボン酸誘導体、イソシアネート誘導体等により架橋させて耐溶剤性等の優れた光触媒塗膜の形成が可能となる。
エポキシ基含有ビニル単量体や、カルボニル基含有ビニル単量体の使用量は、全ビニル単量体中において好ましくは0〜50質量%である。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記ビニル単量体としては、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を、少なくとも1種用いることが好ましい。
2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体としては、例えば、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
具体的には、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−n−プロピルメタアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド等が挙げられる。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記ビニル単量体のうち、上述した各種ビニル単量体以外のビニル単量体としては、下記のものが挙げられる。
例えば、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;ブタジエン等のジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデンフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等のハロオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類;アリルエチルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類;さらに4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記ビニル単量体の重合生成物の分子量を制御する目的で、連鎖移動剤を使用してもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタンのような芳香族メルカプタン類;チオリンゴ酸のようなチオカルボン酸又はそれらの塩若しくはそれらのアルキルエステル類、又はポリチオール類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジ(メチレントリメチロールプロパン)キサントゲンジスルフィド及びチオグリコール、さらにはα−メチルスチレンのダイマー等のアリル化合物等が挙げられる。
これら連鎖移動剤の使用量は、全ビニル単量体に対して、好ましくは0.001〜30質量%、さらに好ましくは0.05〜10質量%の範囲で用いることができる。
上記重合体エマルジョン粒子を、水及び乳化剤の存在下で、上述した加水分解性珪素化合物及び上述したビニル単量体を重合して作製する際、加水分解性珪素化合物に対するビニル単量体の質量比は、5/95〜95/5であることが好ましく、より好ましくは10/90〜90/10である。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記加水分解性珪素化合物としては、ビニル重合性基を有するシランカップリング剤を用いることが耐候性の面から特に好ましい。
その配合量は、全加水分解性珪素化合物及びビニル単量体を100質量部としたとき、0.01質量部以上20質量部以下であることが重合安定性の面から好ましい。さらに好ましくは、0.1質量部以上10質量部以下である。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記加水分解性珪素化合物としては、上述した各種材料に加えて、環状シロキサンオリゴマーを併用することができる。 環状シロキサンオリゴマーを併用することにより、柔軟性に優れた光触媒塗膜が得られる。
上記環状シロキサンオリゴマーとしては、下記式(2)で表される化合物を例示することができる。
(R’2SiO)m ・・・(2)
(式(2)中、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。mは整数であり、2≦m≦20である。)
上記環状シロキサンオリゴマーの中で、反応性等の点からオクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンオリゴマーが好ましい。
上記重合体エマルジョン粒子を製造するために用いる上記加水分解性珪素化合物には、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、及びそれらの縮合生成物、または、それらのキレート化物を併用することができる。
これらの化合物を併用することにより、耐水性、硬度等に優れた光触媒塗膜が得られる。
上記チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等が挙げられる。
上記チタンアルコキシドが縮合生成物として使用されるとき、この縮合生成物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは200〜5000、さらに好ましくは300〜1000である。
上記ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
上記ジルコニウムアルコキシドが縮合生成物として使用されるとき、この縮合生成物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは200〜5000、さらに好ましくは300〜1000である。
また、上述したチタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドに、遊離の金属化合物に配位させて、キレート化物を形成するのに好ましいキレート化剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;アセチルアセトン;アセト酢酸エチルなどであって、分子量1万以下のものが挙げられる。
これらのキレート化剤を用いることにより、加水分解性珪素化合物の重合速度を制御することができ、水及び乳化剤の存在下における重合安定性を優れたものにするため非常に好ましい。
この際、キレート化剤は、これを配位させる遊離の金属化合物の金属原子1モル当たり、0.1モル〜2モルの割合で用いると効果が大きく好ましい。
<重合体エマルジョン粒子の製造方法>
重合体エマルジョン粒子の製造方法としては、水及び乳化剤の存在下で、上述した加水分解性珪素化合物及び上述したビニル単量体を乳化重合して作製することが好ましい方法として挙げられる。
重合体エマルジョン粒子の合成に用いることができる乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;例えばアルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩;ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤やラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤等が挙げられる。
上記乳化剤の中で、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を選択すると、重合体エマルジョン粒子の水分散安定性が非常に良好になると共に、該重合体エマルジョン粒子を含有する光触媒塗膜は、耐水性、耐薬品性、光学特性、強度等に優れるため、非常に好ましい。
上記ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体やそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体、4級アンモニウム塩を有するビニル単量体等が挙げられる。
上記反応性乳化剤の具体例として、上記スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体の塩を例にとると、これは、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6又は10のアリール基及びコハク酸基、からなる群から選ばれる置換基を有する化合物であるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物を使用できる。
硫酸エステル基を有するビニル単量体としては、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基及び炭素数6又は10のアリール基からなる群から選ばれる置換基を有する化合物を使用できる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物としては、アリルスルホコハク酸塩が挙げられる。これらの具体例として、例えば、エレミノールJS−2(商品名)(三洋化成(株)製)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(商品名)(花王(株)製)等が挙げられる。
また、上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の具体例としては、アクアロンHS−10又はKH−1025(商品名)(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−1025N又はSR−1025(商品名)(旭電化工業(株)製)等が挙げられる。
その他、スルホネート基により一部が置換されたアリール基を有する化合物も使用でき、具体例としては、p−スチレンスルホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等が挙げられる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物としては、例えば、2−スルホエチルアクリレート等のアルキルスルホン酸(メタ)アクリレートやメチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、アリルスルホン酸等のアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。
また、上記硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキエーテル基を有する化合物としては、例えばスルホネート基により一部が置換されたアルキルエーテル基を有する化合物等が挙げられる。
また、ノニオン基を有するビニル単量体の具体例としては、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)製)等が挙げられる。
上述した各種乳化剤の使用量としては、重合体エマルジョン粒子100質量部に対して、10質量部以下となる範囲内が適切であり、0.001〜5質量部となる範囲内が好ましい。
また、上記乳化剤以外に、重合体エマルジョン粒子の水分散安定性を向上させる目的で分散安定剤を使用することもできる。
分散安定剤としては、ポリカルボン酸及びスルホン酸塩からなる群から選ばれる各種の水溶性オリゴマー類や、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水溶性又は水分散性アクリル樹脂などの合成又は天然の水溶性又は水分散性の各種の水溶性高分子物質が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。
上記分散安定剤を使用する場合、加水分解性珪素化合物及びビニル単量体を100質量部としたとき、分散安定剤の配合量は、10質量部以下が好ましく、0.001〜5質量部の範囲がより好ましい。
加水分解性珪素化合物及びビニル単量体の重合は、重合触媒存在下で実施するのが好ましい。
ここで、加水分解性珪素化合物の重合触媒としては、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等が挙げられる。
上記の中で、加水分解性珪素化合物の重合触媒としては、重合触媒のみならず乳化剤としての作用を有する酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸等)が好ましい。
一方、ビニル単量体の重合触媒としては、熱又は還元性物質などによってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好適であり、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が使用される。
例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等があり、その量としては全ビニル単量体100質量部に対して、0.001〜5質量部の配合が好ましい。
なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を望むときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
加水分解性珪素化合物及びビニル単量体の重合は、別々に実施することも可能であるが、同時に実施することにより、確実に有機・無機複合化が達成できるので好ましい。
重合体エマルジョン粒子の粒子径は、10〜800nmであることが好ましい。
粒子径を上記数値範囲に調整し、粒子径が100nm以下のコロイダルシリカ、光触媒粒子と組み合わせた光触媒塗膜は、耐候性、耐薬品性、光学特性、更には防汚性、防曇性、帯電防止性等に特に優れていて好ましい。
また、重合体エマルジョン粒子の粒子径は、20〜300nmであると、得られる塗膜の透明性が向上し、より好ましい。
このような粒子径の重合体エマルジョン粒子を得る方法として、乳化剤がミセルを形成するのに十分な量の水の存在下に加水分解性金属化合物及びビニル単量体を重合する、いわゆる乳化重合が最も適した方法である。
なお、重合体エマルジョン粒子の粒子径は、後述する実施例における〔1.数平均粒子径〕に記載の方法により測定できる。
重合体エマルジョン粒子を製造する乳化重合の具体的な方法としては、例えば、加水分解性珪素化合物及びビニル単量体をそのまま、又は乳化した状態で、一括若しくは分割して、又は連続的に、所定の反応容器中に滴下し、前記重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させればよい。場合によっては、10MPa以上の圧力で、又は150℃以下の温度条件で重合を行ってもよい。
加水分解性珪素化合物及び全ビニル単量体量の総量と、水との比率は、最終固形分量が0.1〜70質量%、好ましくは1〜55質量%の範囲になるように設定するのが好ましい。
また、乳化重合をするにあたり粒子径を成長又は制御させるために、予め水相中にエマルジョン粒子を存在させて重合させるシード重合法によってもよい。
重合反応は、系中のpHが、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜6.0の範囲で進行させればよい。
pHは、燐酸二ナトリウムやボラックス、又は、炭酸水素ナトリウム、アンモニアなどのpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
また、重合体エマルジョン粒子を得る方法として、加水分解性珪素化合物を重合させるのに必要な水及び乳化剤の存在下で、加水分解性金属化合物及びビニル単量体を、必要により溶剤存在下で重合した後、重合生成物がエマルジョンとなるまで水を添加する手法も適用できる。
重合体エマルジョン粒子が2層以上の層から形成されるコア/シェル構造であると、該重合体エマルジョン粒子を含有する光触媒塗膜は、機械的物性(強度と柔軟性のバランス等)に優れて好ましい。
上記コア/シェル構造の重合体エマルジョン粒子を製造する方法として、多段乳化重合が有用である。
ここで、多段乳化重合とは、2種類以上の異なった組成の加水分解性珪素化合物やビニル単量体を調製し、これらを別々の段階に分けて重合することを意味する。
以下に、多段乳化重合の中で最も単純で有用な2段乳化重合による重合体エマルジョン粒子の合成を例に、多段乳化重合による重合体エマルジョン粒子の合成について説明する。
2段乳化重合による重合体エマルジョン粒子の合成方法としては、例えば、水及び乳化剤の存在下で、ビニル単量体及び/又は加水分解性珪素化合物を重合して得られるシード粒子の存在下に、加水分解性珪素化合物ビニル単量体を重合する方法を例示できる。
上記2段乳化重合による重合体エマルジョン粒子の合成は、第1系列(ビニル単量体及び/又は加水分解性金属化合物)を供給して乳化重合する第1段の重合と、当該第1段の重合に引き続き、第2系列(ビニル単量体及び/又は加水分解性金属化合物)を供給し、水性媒体中において乳化重合する第2段の重合とからなる、2段階の重合行程により行われる。
この際、第1系列中の固形分質量(M1)と第2系列中の固形分質量(M2)との質量比は、好ましくは(M1)/(M2)=9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8である。
コア/シェル構造の重合体の好ましい特徴としては、第1段の重合で得られたシード粒子の粒子径が、粒径分布(体積平均粒子径/数平均粒子径)の大きな変化なしに(好ましくは単分散の状態で)、第2段の重合によって大きくなる(粒子径の増大)ことが挙げられる。
また、コア/シェル構造の確認、及び粒径分布の測定は、例えば、透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により行うことができる。
なお、3段以上の多段乳化重合を実施する場合は、上述した2段重合による重合体エマルジョン粒子の合成例を参考に、重合する系列の数を増加させればよい。
重合体エマルジョン粒子の配合量は、成膜性、透明性等の要求物性により任意に変更できるが、光触媒塗膜全体に対する質量%として、0超〜70%であることが好ましく、より好ましくは1〜60%であり、よりさらに好ましくは5〜50%である。
<コロイダルシリカ>
光触媒塗膜を形成する光触媒塗料には、コロイダルシリカを配合することが好ましい。
コロイダルシリカとしては、特に制限はないが、透明性の面から、粒子径が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは20nmである。
特に粒子径が10nm以下のコロイダルシリカを用いると、得られる光触媒塗膜の透明性を非常に高くすることができ、最も好ましい。
コロイダルシリカの粒子径は、透過型電子顕微鏡による観察により測定できる。
コロイダルシリカは、通常水に分散している形態となっているが、親水性有機溶媒に分散しているものも用いることができる。
親水性有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
コロイダルシリカとしては、酸性、中性、アルカリ性のいずれのものでもよいが、特に、pH5以下の酸性タイプのものが、配合安定性の観点から好ましい。
コロイダルシリカの配合量は、光触媒塗膜全体に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜90質量%であることが、得られる光触媒塗膜の成膜性、透明性が良好になり、さらに好ましい。
コロイダルシリカの具体例としては、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、OS、OL、OXS、S、N、20、30、20L、OL、C等が挙げられる。
コロイダルシリカを配合することにより塗膜中に空隙ができ、塗膜の比表面積が大きくなるため、光触媒活性を高めることができ、好ましい。
<その他の材料>
また、光触媒塗膜には、その用途及び使用方法等に応じて、通常、塗料に添加配合される成分を配合することができる。
例えば、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、成膜助剤、防錆剤、染料、色素、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等をそれぞれの目的に応じて選択し、組み合わせて配合することができる。
また、光触媒塗膜の屈折率を制御する目的で、屈折率が1.8以上2.8以下の金属酸化物を配合することができる。このような金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化鉄、酸化銅等が挙げられる。
特に、酸化ジルコニウムが好ましく、上記金属酸化物は、取り扱い上の観点から、水分散体であることが好ましい。
上記金属酸化物の粒子径は、光触媒塗膜の透明性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
酸化ジルコニウムとしては、日産化学工業(株)製のナノユースZR−30BF、ZR−30BS、ZR−30BH、ZR−30AH、ZR−30AL、第一希土化学(株)製のZSL−10A、ZSL−10T、ZSL−20N等が挙げられる。特に、ZR−30BF、ZR−30BSは、光触媒塗膜の透明性、配合安定性の観点から好ましい。
(光触媒塗料及び光触媒塗膜の形成方法)
光触媒塗布膜を形成ために用いる光触媒塗料は、上述した光触媒粒子、バインダーである重合体エマルジョン粒子分散体、及び必要に応じてコロイダルシリカを混合することにより得られる。
このようにして得られた光触媒塗料を塗布することにより光触媒塗膜が得られる。光触媒塗膜は、下地の意匠性を阻害することなく、優れた耐候性、耐薬品性、耐汚染性、光触媒活性を発現する。
特に光触媒活性は、湿式分解法(JIS R1703−2)による評価値として、5以上20以下であることが好ましい。
活性値5以上であることが、光触媒工業会の認定条件の1つであり、20以下であると良好な塗膜耐候性を発現するため好ましい。
(複層塗膜の形成方法)
本実施形態の複層塗膜は、上述した光触媒塗膜上に、後述するクリアー塗料を塗り重ね、光触媒塗膜とクリアー塗膜との積層構造とすることにより得られる。
本実施形態の複層塗膜を構成するクリアー塗料、クリアー塗膜における透明の意味は、下記のように規定される。
すなわち、クリアー塗料から得られるクリアー塗膜の膜厚が100μmであるとき、JIS−K7105に定める濁度計により測定した濁度が20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは3%以下であることである。
塗装方法としては特に制限はないが、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
重ね塗りに用いるクリアー塗料としては、種々公知のものを用いることができる。
具体的には、シリコーン塗料、アクリル塗料、アクリルシリコーン塗料、フッ素系塗料、ウレタン塗料、アクリルウレタン塗料、エポキシ塗料、塩化ビニル塗料、酢酸ビニル塗料、フタル酸塗料、アルキド塗料、シリコンアルキド塗料等が挙げられる。特にシリコーン塗料、アクリルシリコーン塗料、フッ素塗料は高耐候性であり好ましい。
これらの塗料は、水系、溶剤系、粉体塗料等、特に制限はないが、臭気、環境負荷、取り扱い性の面から、水系塗料とすることが好ましい。
〔複層塗膜の物性〕
本実施形態の複層塗膜は、促進耐候性試験(サンシャインカーボンアーク灯式、JIS K5400)における2000時間後の光沢保持率が70%以上であるものとする。光沢保持率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
一般的に経年により塗膜に外観不良が生じた場合、上から塗料を塗り重ねることで外観を改善することが行われてきた。
従来の光触媒塗料を用いた場合、光を透過しない塗料を上から塗装し、外観不良の改善を図ることは可能だが、光を透過するクリアー塗料を塗り重ねると、光触媒活性による劣化が起こるため塗装不可能であった。
本実施形態の複層塗膜においては、光触媒活性の制御により、光を透過するクリアー塗料を重ね塗りした場合でも、その重ね塗り塗膜を傷めることがなく、経時による外観不良をクリアー塗料の重ね塗りにより改善することができる。
本実施形態の複層塗膜は、上述したように重ね塗りしたクリアー塗膜上に、さらに光触媒塗料を重ねて塗布した構成としてもよい。これにより表層にさらに光触媒活性を付加することができる。
塗装方法としては、特に制限はないが、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
以下、実施例、製造例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、後述する実施例により制限されるものではない。
後述する実施例、製造例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
〔1.数平均粒子径〕
試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日本国日機装製マイクロトラック 商品名 UPA−9230)を用いて測定した。
〔2.光沢〕
60°光沢値をBYK Gardrer製マイクログロスを用いて測定した。
〔3.耐候性〕
スガ試験器製サンシャインウェザーメーターを使用して、サンシャインカーボンアーク灯式(JIS K5400)促進耐候性試験(ブラックパネル温度63℃、降雨18分/2時間)を行った。
曝露2000時間後の光沢値を上記〔2.光沢〕に記載の方法で、曝露試験を行う前後における値を比較し、試験前の値に対する保持率(光沢保持率)として評価した。
〔4.光触媒活性〕
JIS R1703−2に従って光触媒活性を求めた。
〔製造例〕重合体エマルジョン粒子水分散体の合成
(製造例1)重合体エマルジョン粒子の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水500g、ドデシルベンゼンスルホン酸0.5gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。
上記反応器に、アクリル酸ブチル45g、メタクリル酸メチル45g、メチルトリメトキシシラン105g、フェニルトリメトキシシラン85g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3gの混合液と、イオン交換水200g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25%水溶液)2g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液80g、ジエチルアクリルアミド10gの混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。
さらに、反応器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、数平均粒子径130nmの重合体エマルジョン粒子の水分散体を得た。
(製造例2)リコート剤(クリアー塗料)の調合
シリコーン変性アクリルラテックス(商品名G633(旭化成ケミカルズ(株)製))250質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル20質量部、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル40質量部、を配合し、1時間攪拌し、リコート剤を得た。
〔実施例1〕
固形分10.0%に調整したルチル型酸化チタンゾル50gに、上記〔製造例1〕で合成した重合体エマルジョン粒子水分散体100g、数平均粒子径12nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスO」、日産化学工業(株)製、固形分20%)60gを、混合して光触媒塗料を得た。
この光触媒塗料を、黒色ガラス板上に膜厚1μmになるようにスプレー塗装し、70℃で10分間焼き付けることにより光触媒塗膜を得た。
この光触媒塗膜の光触媒活性を、上記〔4.光触媒活性〕により測定したところ、活性は5.4であった。
この光触媒塗膜の上から、上記〔製造例2〕で調合したリコート剤を、膜厚100μmになるようにスプレー塗装し、70℃で10分間焼き付け、複層塗膜を得た。
この複層塗膜の耐候性を、上記〔3.耐候性〕により評価したところ、2000時間後の光沢保持率は91%であり、実用上極めて良好であった。
〔実施例2〕
固形分10.0%に調整したアルミナ被覆酸化チタンゾル(アルミン酸を用いることで粒子表面をアルミナで被覆したニ酸化チタン粒子であり、質量比が二酸化チタン100質量部に対してアルミナ12質量部、数平均粒子径10nm)50gに、上記〔製造例1〕で合成した重合体エマルジョン粒子水分散体100g、数平均粒子径12nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスO」、日産化学工業(株)製、固形分20%)60gを、混合して光触媒塗料を得た。
この光触媒塗料を、黒色ガラス板上に膜厚1μmになるようにスプレー塗装し、70℃で10分間焼き付けることにより光触媒塗膜を得た。
この光触媒塗膜の光触媒活性を、上記〔4.光触媒活性〕により測定したところ、活性は5.5であった。
この光触媒塗膜の上から、上記〔製造例2〕で調合したリコート剤を、膜厚100μmになるようにスプレー塗装し、70℃で10分間焼き付け、複層塗膜を得た。
この複層塗膜の耐候性を、上記〔3.耐候性〕により評価したところ、2000時間後の光沢保持率は92%で、実用上極めて良好であった。
〔実施例3〕
上記〔実施例2〕で用いたアルミナ被覆酸化チタンゾルを、シリカ被覆酸化チタンゾル(珪酸ナトリウムを用いることで粒子表面をシリカで被覆したニ酸化チタン粒子であり、質量比が二酸化チタン100質量部に対してシリカ12質量部、数平均粒子径10nm)に変更した。
その他の条件は〔実施例2〕と同様にして、光触媒塗料及び光触媒塗膜を得た。
この光触媒塗膜の光触媒活性を、上記〔4.光触媒活性〕により測定したところ、活性は5.5であった。
この光触媒塗膜の上から、上記〔製造例2〕で調合したリコート剤を、膜厚100μmになるようにスプレー塗装し、70℃で10分間焼き付け、複層塗膜を得た。
この複層塗膜の耐候性を、上記〔3.耐候性〕により評価したところ、2000時間後の光沢保持率は96%で、実用上極めて良好であった。
〔実施例4〕
上記〔実施例3〕で得られた複層塗膜の上層として、上記〔実施例3〕において作製した光触媒塗料を、膜厚1μmになるようにスプレー塗装し、70℃で10分間焼き付け、三層構造の複層塗膜を得た。
この複層塗膜を構成する光触媒塗膜のうち、前記のように上層として塗装した光触媒塗膜の光触媒活性を、上記〔4.光触媒活性〕により測定したところ活性は5.5であった。
この複層塗膜の耐候性を、上記〔3.耐候性〕により評価したところ、2000時間後の光沢保持率は93%で、実用上極めて良好であった。
〔比較例〕
上記〔実施例1〕で用いたルチル型酸化チタンゾルを、アナターゼ型酸化チタンゾルに変更した。
その他の条件は〔実施例1〕と同様にして光触媒塗料及び光触媒塗膜を得た。
この光触媒塗膜の光触媒活性を、上記〔4.光触媒活性〕により測定したところ、活性は20.2と非常に高かった。
この光触媒塗膜の上から、上記〔製造例2〕で調合したリコート剤を、膜厚100μmになるようにスプレー塗装し、70℃で10分間焼き付け、複層塗膜を得た。
この複層塗膜の耐候性を、上記〔3.耐候性〕により評価したところ、2000時間後の光沢保持率は55%で、つや退けが見られた。
本発明の複層塗膜は、建築外装、外装表示用途、自動車、ディスプレイ、レンズ等のコーティング剤として、産業上の利用可能性がある。

Claims (4)

  1. 光触媒粒子とバインダーとを含有する光触媒塗膜と、
    クリアー塗料を前記光触媒塗膜上に重ね塗りして形成されたクリアー塗膜と、
    を、有し、
    サンシャインカーボンアーク灯式(JIS K5400)促進耐候性試験において、2000時間後の光沢保持率が70%以上である複層塗膜。
  2. 前記光触媒塗膜の光触媒活性が、湿式分解法(JIS R1703−2)による測定値として5以上20以下である請求項1に記載の複層塗膜。
  3. 前記光触媒塗膜が、前記光触媒粒子としてシリカ被覆酸化チタンをさらに含有している請求項1又は2に記載の複層塗膜。
  4. 前記クリアー塗膜上に、さらに前記光触媒塗膜が積層形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複層塗膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007055177A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Hiraoka & Co Ltd 遮熱効果持続性に優れた採光膜材
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