JP5415014B2 - コーティング組成物 - Google Patents
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Description
太陽電池の受光面は通常、ガラスや耐候性樹脂フィルムなどからなる保護カバーによって保護されている。ここで、当該保護カバーは長期間の使用中に煤塵で汚れるため、光透過率が低下し、太陽電池のエネルギー変換効率が低下する。特に、近年の環境汚染に伴い、カバーの汚れが早く、太陽電池の変換効率が早期に減少しやすい。太陽電池カバーを定期的に又は必要に応じて清掃するのが望ましいが、太陽電池カバーは一般に屋根や建物の外壁に設置されるのでカバーの清掃は容易でない。
また、特許文献2(特開平10−270732号公報)には、電池表面に、順次、保護カバーフィルム層、フッ素系樹脂フィルム層、及び光触媒含有表層部を設けて、表面に付着した汚染物質を分解させることを特徴とする太陽電池カバーが提案されている。
一方、特許文献3(特開2003−3030号公報)には、一般の塗料用途に使用される特定組成の水分散体をミニエマルジョン重合で得る方法が開示されている。
また、特許文献2に記載の方法では、表層部中の光触媒の有機物分解作用によって保護カバーフィルム層が劣化するのを防ぐため、フッ素系樹脂フィルム層を設けており、製造工程が煩雑になりやすい。また、各層の間に界面が存在するため、光触媒層の剥離等の問題が懸念される。従って、層構成がより単純な太陽電池カバーが求められていた。
さらに、特許文献3には、特定組成の水分散体をミニエマルジョン重合で得る方法が開示されているが、水分散体の疎水性が高く、当該組成の水分散体だけでは太陽電池に求められる防汚染や透明性を発現することはできない。
従って、防汚染性と耐候性、基材密着性のバランスに優れ、低コストで環境負荷の少ない水系の太陽電池用コーティング剤が望まれていた。
本発明の課題は、耐候性と密着性バランスに優れ、防汚染性、透明性が良好なコーティング組成物等を提供することにある。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 以下の(A)と(B)の各成分、
(A)成分:粒子径が1nm〜400nmの金属化合物粒子、
(B)成分:粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子、
を含み、
前記(B)成分が、以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:ジエチルアクリルアミド、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を混合してエマルジョン化するとともに、(b1)成分の加水分解・縮合を進めたのち、エマルジョンの粒子径を500nm以下に微細化し、次いで(C)成分のラジカル重合開始剤を加えて、前記(b2)成分をラジカル重合することにより得られる重合体エマルジョン粒子であり、
前記エマルジョン化に際し、(D)成分の実質的に水に不溶の光安定剤を含有することを特徴とするコーティング組成物。
[2] (b3)成分がポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤を含むことを特徴とする上記[1]に記載のコーティング組成。
[3] (b2)成分と、(B)成分との比(b2)/(B)(質量比)が、0.1/1〜0.8/1である上記[1]又は[2]に記載のコーティング組成物。
[4] (b2)成分と(b1)成分との比(b2)/(b1)(質量比)が0.1/1〜5/1である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のコーティング組成物。
[5] (b1)成分が、以下の(b1−1)成分、
(b1−1)成分:ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物、
を含み、
前記(b1−1)成分と、(B)成分との比(b1−1)/(B)(質量比)が、0.01/100〜20/100である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のコーティング組成物。
[6] (b1−1)成分と、(b2)成分との比(b1−1)/(b2)(質量比)が、0.1/100〜100/100である上記[5]に記載のコーティング組成物。
[7] (A)成分が、二酸化珪素、光触媒活性を有する金属酸化物、又は導電性を有する金属酸化物のいずれかを用いて形成される上記[1]〜[6]のいずれかに記載のコーティング組成物。
[8] (A)成分の粒子長(l)と粒子直径(d)との比(l/d)が、1/1〜20/1である上記[1]〜[7]のいずれかに記載のコーティング組成物。
[9] (A)成分が、以下の(A’)成分、
(A’)成分:式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、式(4)で表されるトリオキシシラン単位、及びジフルオロメチレン単位よりなる群から選択される少なくとも1種の構造単位を有する変性剤化合物を用いて、前記(A)成分の金属化合物粒子を変性処理して形成される変性金属化合物粒子、
を含む上記[1]〜[8]のいずれかに記載のコーティング組成物。
R3Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R2SiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
[10] (A’)成分が、光触媒活性を有する上記[9]に記載のコーティング組成物。
[11] (A’)成分の粒子長(l)と粒子直径(d)の比(l/d)が、1/1から20/1である上記[9]又は[10]に記載のコーティング組成物。
[12] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載のコーティング組成物にて形成される塗膜と、樹脂基材とを含む積層体。
[13] 塗膜のヘイズが20以下である上記[12]に記載の積層体。
[14] 上記[12]又は[13]に記載の積層体を用いてなる太陽電池用カバー材。
[15] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載のコーティング組成物を含んでなる太陽電池。
[16] 以下の(A)と(B)の各成分を含むコーティング組成物の製造方法であって、
(A)成分:粒子径が1nm〜400nmの金属化合物粒子、
(B)成分:以下の(b1)〜(b4)の各成分を含む、10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:ジエチルアクリルアミド、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
前記(b1)〜(b4)の各成分を混合してエマルジョン化するとともに、(b1)成分の加水分解・縮合を進めたのち、エマルジョンの粒子径を500nm以下に微細化し、
次いで(C)成分のラジカル重合開始剤を加えて、
前記(b2)成分をラジカル重合することにより得られ、
前記エマルジョン化に際し、(D)成分の実質的に水に不溶の光安定剤を含有することを特徴とするコーティング組成物の製造方法。
本実施の形態のコーティング組成物は、以下の(A)と(B)の各成分,
(A)成分:粒子径が1nm〜400nmの金属化合物粒子、
(B)成分:粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子、
を含み、
前記(B)成分が、以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:重合体のガラス転移点が−20℃〜80℃であるビニル単量体
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を混合してエマルジョン化するとともに、(b1)成分の加水分解・縮合を進めたのち、エマルジョンの粒子径を500nm以下に微細化し、次いで(C)成分のラジカル重合開始剤を加えて、前記(b2)成分をラジカル重合することにより得られる重合体エマルジョン粒子であることを特徴とする。
中でも、表面水酸基の多い二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物等が好ましく2種以上を併用することについては差し支えない。
なお、可視光(例えば約400nm〜800nmの波長)の照射により光触媒活性及び/又は親水性を発現する光触媒(可視光応答型光触媒)を選択すると、得られるコーティング組成物の表面は、紫外線が十分に照射されない場所(室内等)における環境浄化効果や防汚効果が非常に大きなものとなるため好ましい。
前記可視光応答型光触媒としては、例えば、TaON、LaTiO2N、CaNbO2N、LaTaON2、CaTaO2N等のオキシナイトライド化合物(例えば特開2002−66333号公報参照)、Sm2Ti2S2O7等のオキシサルファイド化合物(例えば特開2002−233770号公報参照)、CaIn2O4、SrIn2O4、ZnGa2O4、Na2Sb2O6等のd10電子状態の金属イオンを含む酸化物(例えば特開2002−59008号公報参照)、アンモニアや尿素等の窒素含有化合物存在下でチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)や高表面酸化チタンを焼成して得られる窒素ドープ酸化チタン(例えば特開2002−29750号公報、特開2002−87818号公報、特開2002−154823号公報、特開2001−207082号公報参照)、チオ尿素等の硫黄化合物存在下にチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)を焼成して得られる硫黄ドープ酸化チタン、酸化チタンを水素プラズマ処理したり真空下で加熱処理したりすることによって得られる酸素欠陥型の酸化チタン(例えば特開2001−98219号公報参照)、さらには光触媒粒子をハロゲン化白金化合物で処理したり(例えば特開2002−239353号公報参照)、タングステンアルコキシドで処理(特開2001−286755号公報参照)したりすることによって得られる表面処理光触媒、等を好適に挙げることができる。
上記可視光応答型光触媒の中でオキシナイトライド化合物、オキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、特に好適に使用することができる。
このような導電性を有する金属酸化物としては、例えば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛等を挙げることができる。
なお、前記(A)成分は、上述した種々の金属化合物を用いて(好ましくは主成分として用いて)形成することができる。ここで、本実施の形態において「主成分」とは、特定成分(2種以上の特定成分を併用する場合には、それらの総量)がマトリックス成分中に占める割合が好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよいことを意味する。
前記(A)成分を用いる際の形態としては、例えば、粉体、分散液、ゾル等が挙げられる。
ここでいう分散液、またはゾルとは、前記(A)成分が水及び/又は親水性有機溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%の濃度で、一次粒子及び/又は二次粒子として分散された状態を意味する。
上記分散液又はゾル中に観察される前記(A)成分の数平均粒子径(1次粒子と2次粒子との混合物であっても良いし、1次粒子、2次粒子何れかのみであってもよい)としては、好ましくは1nm〜400nm、より好ましくは1nm〜100nm、更に好ましくは3nm〜80nm、特に好ましくは5nm〜50nmである。前記(A)成分の数平均粒子径は、得られるコーティング組成物を用いて形成される積層体(太陽電池用カバー材等)の光学特性等に寄与し得る。特に、100nm以下とすることは、得られる太陽電池用カバー材の透明性を大きく向上させ得る。
なお、本実施の形態における数平均粒子径(単に、「粒子径」と略記することがある)とは、後述する実施例の方法に準じて測定された値である。
(A’)成分:式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、式(4)で表されるトリオキシシラン単位、及びジフルオロメチレン単位よりなる群から選択される少なくとも1種の構造単位を有する変性剤化合物を用いて、前記(A)成分の金属化合物粒子を変性処理して形成される変性金属化合物粒子を含むことが好ましい。なお、「変性処理」とは、上記変性剤化合物を前記金属化合物粒子の表面に固定化することを意味する。上記変性剤化合物の前記金属化合物粒子表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)または化学結合によるものと考えられる。
R3Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R2SiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
CF3(CF2)g−Y−(V)w (5)
{式中、gは0〜29の整数を表す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。wは1〜20の整数である。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、リン酸基、及び下式(6)で表される基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。
−SiWxRy (6)
(式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上3以下の整数であり、yは0以上2以下の整数である。また、x+y=3である。)}
前記(A’)成分として、表面エネルギーの小さな化合物で変性された光触媒を用い、表面親水性の大きな基材を用いて太陽電池用カバー材を形成する場合、前記(A’)成分は空気と接する側に偏在して前記基材表面付近の存在量が少なくなる傾向となる。このような場合、高い光触媒活性を期待し得ると共に、基材が分解され難くなる(基材の耐久性が向上する)ため好ましい。
前記(A’)成分が、前記(A)成分中に占める割合としては、好ましくは0.01〜100質量%、より好ましくは0.01〜99.99質量%、更に好ましくは0.1〜95質量%、特に好ましくは1〜90質量%である。当該割合を0.01質量%以上とすることは、自己傾斜性を付与する観点から好適である。なお、当該割合を99.99質量%以下とすることは、光触媒性能を比較的短時間で発現させる観点から好適である。
なお、上記粒子長や粒子直径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡観察する方法を用いることができる。
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:重合体のガラス転移点が−20℃〜80℃であるビニル単量体
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を混合してエマルジョン化するとともに、(b1)成分の加水分解・縮合を進めたのち、エマルジョンの粒子径を500nm以下に微細化し、次いで(C)成分のラジカル重合開始剤を加えて、前記(b2)成分をラジカル重合することにより得られる重合体エマルジョン粒子である。
SiWxRy (7)
(式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
なお、シランカップリング剤とは、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在する化合物を意味する。
(b1−1)成分:ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物
を含んでもよい。これらを用いた場合、得られる太陽電池用カバー材の耐候性、防汚染性が良好となり好適である。
また、前記(b1−1)成分としては、例えば、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤、等を挙げることができる。
これらシランカップリング剤は、後述する(b2)成分との共重合又は連鎖移動反応により化学結合を生成し得る。このため、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を上述した前記(b1)成分と混合若しくは複合化させて用いた場合、前記(b1)の重合生成物と後述する(b2)成分の重合生成物とを化学結合により複合化し得る。
なお、(b1−1)成分にいう「ビニル重合性基」としては、例えば、ビニル基、アリル基等を挙げることができ、中でも3(メタ)アクリルオキシプロピル基が好ましい。
(b1−2)成分:環状シロキサンオリゴマー
を含んでいてもよい。
当該(b1−2)成分を用いた場合、塗膜軟性がより良好となり好適である。
(R’2SiO)m (8)
(式中、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種を表す。mは整数であり、2≦m≦20である。)
中でも、反応性等の点からオクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンオリゴマーが好ましい。
なお、前記(b1)成分は、オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種であればよい。
オルガノシランの縮合物は、オルガノシランを予め加水分解・縮合させて、オルガノシランの縮合物として使用する。この際、縮合物を調製する際に、オルガノシランに適量の水、および必要に応じて、有機溶剤を添加することにより、オルガノシランを加水分解・縮合させることが好ましい。ここで、水の使用量は、オルガノシラン1モルに対して、通常、1.2〜3.0モル、好ましくは1.3〜2.0モル程度である。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。なお、上記縮合物中に有機溶媒を含む場合には、後記する縮合・重合反応の前に、この有機溶媒を水系分散体から除去しておくこともできる。
なお、前記(b1)成分が縮合物として用いられる場合にはポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは、800〜100,000、さらに好ましくは、1,000〜50,000である。
前記(b1)成分と、後述する(B)成分との比(b1)/(B)(質量比)としては、耐候性の観点から、好ましくは10/100〜99/100、より好ましくは30/100〜95/100である。
他方、前記(b1−2)成分と、前記(B)成分との比(b1−2)/(B)(質量比)としては、親水性の観点から、好ましくは0.01/100〜20/100、より好ましくは0.5/100〜5/100である。
カルボキシル基含有ビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルの如き、不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と前掲した各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含有単量体類とラクトン類を付加反応せしめて得られるような単量体類などである。
より具体的には、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−n−プロピルメタアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド等を挙げることができる。
前記(b2−1)成分としては、前記(b1)成分、または前記(A)との水素結合形成性の観点から、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基よりなる群から選ばれる官能基を有する少なくとも1種のビニル単量体であることが好ましい。中でも他成分との水素結合性をより向上させる観点から、2級及び/または3級アミド基を有するビニル単量体を用いることが好ましく、エマルジョンを形成する際に均一に(b1)成分と(b2)成分が水素結合することができる。
前記(b2)成分と、前記(B)成分との比(b2)/(B)(質量比)としては、重合安定性の観点から、好ましくは0.01/1〜0.5/1である。
また、前記(b2)成分と、前記(A)成分との比(b2)/(A)(質量比)としては、(A)成分との水素結合性や配合安定性の観点から、好ましくは0.01/1〜1/1である。
上記反応性乳化剤としては、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤が特に好ましい。ここで、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤とは、1分子中に炭素数8以上のアルキル基などの疎水基と、ポリオキシエチレン鎖を含む親水基と、ラジカル重合性不飽和2重結合を有する乳化剤をいう。ポリオキシエチレン鎖は、末端がスルホネートなどでエステル化されていてもよい。
ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤のうち、末端がエステル化されていないものとしては、例えば、アデカリアソープNE−20,NE−30,NE−40〔製品名、旭電化工業(株)製〕などのα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、またはアクアロンRN−10,RN−20,RN−30,RN−50〔製品名、第一工業製薬(株)製〕などのポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルなどの反応性ノニオン型界面活性剤といわれる、エチレン性不飽和単量体と共重合可能なノニオン型界面活性剤が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤のうち、末端がエステル化されているものとしては、例えば、エレミノールJS−2、JS−5〔製品名、三洋化成(株)製〕、ラテムルS−120、S−180A、S−180〔製品名、花王(株)製〕、アクアロンHS−10〔製品名、第一工業製薬(株)製〕、アデカリアソープSE−1025N〔製品名、旭電化工業(株)製〕などが挙げられる。特に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの非反応性の乳化剤と、上記反応性乳化剤とを併用することにより、重合安定性と耐候性をバランスさせることができる。以上の乳化剤は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
なお、本実施の形態におけるTgは示差走査熱量測定装置(DSC)にて測定することができる。
このような連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタンのような芳香族メルカプタン類;チオリンゴ酸のようなチオカルボン酸又はそれらの塩若しくはそれらのアルキルエステル類、又はポリチオール類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジ(メチレントリメチロールプロパン)キサントゲンジスルフィド及びチオグリコール、さらにはα−メチルスチレンのダイマー等のアリル化合物等を挙げることができる。
これら連鎖移動剤の使用量としては、全ビニル単量体合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜30質量部、より好ましくは0.05〜10質量部である。このような使用量とすることは、重合安定性の観点から好適である。
更に、前記重合原液には分散安定剤を混合することができる。
このような分散安定剤としては、例えば、ポリカルボン酸及びスルホン酸塩からなる群から選ばれる各種の水溶性オリゴマー類や、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水溶性又は水分散性アクリル樹脂などの合成又は天然の水溶性又は水分散性の各種の水溶性高分子物質が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。
これらの分散安定剤の使用量としては、重合体エマルジョン粒子(B)100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.001〜5質量部である。
前記(b1)成分の重合触媒としては、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類、硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類、酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等を挙げることができる。
中でも、加水分解性珪素化合物(b1)の重合触媒としては、重合触媒のみならず乳化剤としての作用を有する酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸等)が非常に好ましい。
前記(b2)成分の重合触媒としては、熱又は還元性物質などによってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせる(C)成分のラジカル重合開始剤が好適である。
前記(C)成分としては、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が好ましく使用される。より具体的には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
なお、前記(C)成分の使用量としては、全ビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を望むときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を組み合わせて用いると有利である。
また、前記(D)成分であるヒンダードアミン系光安定剤としては、塩基性が低いものが好ましく、具体的には塩基定数(pKb)が8以上のものが好ましい。具体的には、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート〔TINUVIN123(製品名、日本チバガイギー(株)製)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
これらの(D)成分の光安定剤のうち、好ましくは、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品名、日本チバガイギー(株)製)のほか、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオンが挙げられる。
前記(B)成分を得る方法としては、
以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:重合体のガラス転移点が−20℃〜80℃であるビニル単量体
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を混合してエマルジョン化するとともに、(b1)成分の加水分解・縮合を進めたのち(「エマルジョン化」ともいう)、エマルジョンの粒子径を500nm以下に微細化し、次いで(C)成分のラジカル重合開始剤を加えて、前記(b2)成分をラジカル重合(ミニエマルジョン重合)することにより得られる。
また、この際のラジカル重合反応の反応条件は、温度が、通常、25〜100℃、好ましくは40〜90℃、反応時間は、通常、0.5〜15時間、好ましくは1〜8時間である。
なお、ラジカル重合反応において、(b1)成分や(b2)成分がカルボキシル基やカルボン酸無水物基などの酸性基を有する場合には、縮合・重合反応後に、少なくとも1種の塩基性化合物を添加してpHを調節することが好ましい。一方、上記各成分が、アミノ基やアミンイミド基などの塩基性を有する場合には、縮合・重合反応後に、少なくとも1種の酸性化合物を添加してpHを調節することが好ましい。さらに、上記各成分が酸性基と塩基性基とを有する場合には、縮合・重合反応後に、これらの基の割合に応じて、少なくとも1種の塩基性化合物あるいは酸性化合物を添加して、pHを調節することにより、いずれも、得られる水系分散体の親水性を高めて、分散性を向上させることができるとともに、保存時に複合粒子中のシラノール基の縮合反応を防止することができる。
重合体エマルジョン粒子を製造する場合、多くは乳化重合で製造される。乳化重合は、通常数μm〜数mmの大きな単量体の油滴から、単量体分子が水性溶媒中を通じて、数nmの乳化剤ミセルへ移動しつつ重合が進行し、最終的に数百nmの粒径の重合体粒子が生成する。これに対し、本発明におけるミニエマルジョン重合は、所望の粒径に予め単量体油滴を微細乳化しておき、その粒径のまま重合を進行・完了させる方法であり、単量体分子の移動が必要ないことから、特に疎水性のモノマーを重合させる場合に用いられる重合法である。本発明の重合体エマルジョン粒子は、ミニエマルジョン重合でラジカル重合することで、より多くのポリオルガノシロキサンを含むエマルジョン粒子を重合安定性よく重合することができる。
前記(A)成分と前記(B)成分の比(A)/(B)(質量比)としては、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは5/95〜90/10、さらに好ましくは9/91〜83/17である。この範囲で配合されたコーティング組成物からは、耐候性、防汚染性に優れた太陽電池用カバー材を実現し得るため好ましい。
また、前記(A)成分の表面積(SA)と前記(B)成分の表面積(SB)との比(SA)/(SB)としては、好ましくは0.001〜1000の範囲である。なお表面積は、前記(A)成分及び前記(B)成分の各々の粒子径、及び各々の配合質量数から算出することができる。
本実施の形態のコーティング組成物には、その用途及び使用方法などに応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分、例えば、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等をそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせたりして配合することができる。
また、前記紫外線吸収剤としては、例えば有機系紫外線吸収剤を挙げることができる。このような有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性紫外線吸収剤を用いることが好ましい。また、紫外線吸収能の高いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
また、本実施の形態の太陽電池用カバー材は、当該積層体を用いて形成され、好ましくは樹脂基材と、上述したコーティング組成物からなる塗膜とからなる積層体として形成される。
更に、本実施の形態の太陽電池は、当該太陽電池用カバー材を含む。
ここで、前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)などのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリアクリル;ABS樹脂、AES樹脂、ポリ塩化ビフェニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素系樹脂、あるいはこれらの複合物などのうち透明性の高い合成樹脂基材、天然樹脂基材や、ガラス等の無機基材や、それらの組み合わせ等を挙げることができる。
また、前記塗膜は、例えば、水等の溶媒等に分散させた前記コーティング組成物(「水分散体」と略記することがある)を前記基材上に塗工し、乾燥して形成される。ここで、水分散体の固形分濃度としては、好ましくは0.01〜60質量%、より好ましくは1〜40質量%である。また、水分散体の粘度としては、好ましくは20℃において0.1〜100000mPa・s、好ましくは1〜10000mPa・sである。更に、前記塗工方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フロー太陽電池用コーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップ太陽電池用コーティング法、スピン太陽電池用コーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。なお、前記積層体は、例えば、前記塗膜を前記基材上で乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃での熱処理や紫外線照射等を行い、形成することも可能である。
前記塗膜の厚みとしては、好ましくは0.05〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmである。透明性の面から、100μm以下の厚みであることが好ましく、耐候性、防汚染性等の機能を発現するためには0.05μm以上の厚みであることが好ましい。
なお、本実施の形態に言う「塗膜」は、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
前記塗膜のヘイズとしては、塗膜の強度や耐久性、太陽電池の変換効率の観点から総合的に選定すれば良いが、太陽電池の変換効率の観点から好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
なお、ここでいう「ヘイズ」とは、後述する実施例に準じて測定することができ、前記(A)、(B)成分の粒子径の大小により調節することが可能である。
1.数平均粒子径
試料中の固形分含有量が0.01〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日本国日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
2.接触角(CA)
太陽電池用カバー材の表面(コーティング組成物の塗工面)に脱イオン水の水滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、接触角測定装置(日本国協和界面科学製 CA−X150型接触角計)を用いて測定した。
3.ヘイズ
濁度計(日本国日本電色工業製NDH2000)を用い、コーティング組成物の塗膜について、JIS−K7105に準じてヘイズ値を測定した(初期ヘイズ値)。
4.耐汚染性
コーティング組成物を市販の太陽電池モジュールに塗布した後一般道路に面した曝露台(南面、曝露角度30度)に1ヶ月貼り付けた後、変換効率をI−Vカーブトレーサー(英弘精機(株)製、型式MP−160)で測定し、曝露前の変換効率と比較し、低下度合いを以下の基準で評価した。
○:効率低下5%以下
△:効率低下5〜10%
×:効率低下20%以下
5.耐候性
サンシャインウェザーメーター(スガ試験器製)を使用して曝露試験(ブラックパネル温度63℃、降雨18分/2時間)を行った。曝露2000時間後のヘイズ値を3.記載の方法に準じて評価し、耐候性後ヘイズ値とした。
6.基材密着性
太陽電池用カバー材をサンシャインウェザーメーター(スガ試験器製)を使用して曝露試験(ブラックパネル温度63℃、降雨18分/2時間)を行った後に、塗工面にセロテープ(登録商標)(1cm×5cm)を貼り付け、180℃の角度でセロテープ(登録商標)を剥がし、セロテープ(登録商標)への太陽電池用コーティング組成物の塗膜の付着状況を目視で判定した。
○:付着なし
△:わずかに付着あり
×:付着あり
7.基材保護性
太陽電池用カバー材に対し、UV照射機(オーク製作所製 UV300)を使用して照度10mWで6時間、紫外光を照射した。その後、基材(PETフィルム)の黄変度を色差計(BYK Gardner製 カラーガイド45/0)を用いて評価した。UV光照射前のPETフィルムに対するΔb値を測定し、以下の基準で評価した。
○:1未満
△:1以上5未満
×:5以上
表1に示す各成分を室温条件下で10分間撹拌乳化し、ここにドデシルベンゼンスルホン酸を加え、攪拌を続けながら40℃で2時間加水分解・縮合反応を行ったのち、70MPaの圧力で高圧ホモジナイザー〔みずほ工業(株)製、マイクロフルイダイザーM110Y〕で乳化した。この乳化物をセパラブルフラスコに投入し、撹拌しながら、窒素置換後に、ラジカル開始剤(過硫酸アンモニウム水溶液)を加え、75℃で4時間重合した後、室温まで冷却した。その後、アンモニア水溶液を用いて系のpH=7.0に調整し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を10質量%に調整してエマルジョン粒子(B−1,2,3)水分散体を得た。
さらに、表1に示す配合にてコーティング組成物を得た。
10cm×10cmのPETフィルム上に、得られたコーティング組成物を膜厚が0.5μmとなるようにバーコートした後、70℃、10分間乾燥して、太陽電池用カバー材を得た。これらの評価結果を表1に記載した。
表1に示す各成分を混合し、この混合物の30質量%を還流冷却器、滴下槽、温度計および撹拌装置を有する反応器に投入し、撹拌下で温度を80℃に加温し、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。引き続き残りの混合物をさらに3時間かけて撹拌を続行しながら投入した後、80℃で1時間保持し室温まで冷却した。さらに100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、重合体エマルジョン粒子(B−4)水分散体を得た。
さらに、表1に示す配合にてコーティング組成物を得た。
10cm×10cmのPETフィルム上に、得られたコーティング組成物を膜厚が0.5μmとなるようにバーコートした後、70℃、10分間乾燥して、太陽電池用カバー材を得た。これらの評価結果を表1に記載した。
Claims (16)
- 以下の(A)と(B)の各成分、
(A)成分:粒子径が1nm〜400nmの金属化合物粒子、
(B)成分:粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子、
を含み、
前記(B)成分が、以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:ジエチルアクリルアミド、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を混合してエマルジョン化するとともに、(b1)成分の加水分解・縮合を進めたのち、エマルジョンの粒子径を500nm以下に微細化し、次いで(C)成分のラジカル重合開始剤を加えて、前記(b2)成分をラジカル重合することにより得られる重合体エマルジョン粒子であり、
前記エマルジョン化に際し、(D)成分の実質的に水に不溶の光安定剤を含有することを特徴とするコーティング組成物。 - (b3)成分がポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成。
- (b2)成分と、(B)成分との比(b2)/(B)(質量比)が、0.1/1〜0.8/1である請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
- (b2)成分と(b1)成分との比(b2)/(b1)(質量比)が0.1/1〜5/1である請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
- (b1)成分が、以下の(b1−1)成分、
(b1−1)成分:ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物、
を含み、
(b1−1)成分と、(B)成分との比(b1−1)/(B)(質量比)が、0.01/100〜20/100である請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。 - (b1−1)成分と、(b2)成分との比(b1−1)/(b2)(質量比)が、0.1/100〜100/100である請求項5に記載のコーティング組成物。
- (A)成分が、二酸化珪素、光触媒活性を有する金属酸化物、又は導電性を有する金属酸化物のいずれかを用いて形成される請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
- (A)成分の粒子長(l)と粒子直径(d)との比(l/d)が、1/1〜20/1である請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
- (A)成分が、以下の(A’)成分、
(A’)成分:式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、式(4)で表されるトリオキシシラン単位、及びジフルオロメチレン単位よりなる群から選択される少なくとも1種の構造単位を有する変性剤化合物を用いて、前記(A)成分の金属化合物粒子を変性処理して形成される変性金属化合物粒子、
を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
R 3 Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R 2 SiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
- (A’)成分が、光触媒活性を有する請求項9に記載のコーティング組成物。
- (A’)成分の粒子長(l)と粒子直径(d)の比(l/d)が、1/1から20/1である請求項9又は10に記載のコーティング組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のコーティング組成物を用いて形成される塗膜と、樹脂基材とを含む積層体。
- 塗膜のヘイズが20以下である請求項12に記載の積層体。
- 請求項12又は13に記載の積層体を用いてなる太陽電池用カバー材。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のコーティング組成物を含んでなる太陽電池。
- 以下の(A)と(B)の各成分を含むコーティング組成物の製造方法であって,
(A)成分:粒子径が1nm〜400nmの金属化合物粒子、
(B)成分:以下の(b1)〜(b4)の各成分を含む、10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:ジエチルアクリルアミド、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
前記(b1)〜(b4)の各成分を混合してエマルジョン化するとともに、(b1)成分の加水分解・縮合を進めたのち、エマルジョンの粒子径を500nm以下に微細化し、
次いで(C)成分のラジカル重合開始剤を加えて、
前記(b2)成分をラジカル重合することにより得られ、
前記エマルジョン化に際し、(D)成分の実質的に水に不溶の光安定剤を含有することを特徴とするコーティング組成物の製造方法。
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