JP2009138058A - 多機能汚染防止塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた親水性により汚染防止機能を備えるとともに、防カビ・消臭・抗菌・大気浄化等の環境に関連する諸機能を有する多機能汚染防止塗料を提供する。
【解決手段】 必須の樹脂成分としてメチルシリケート、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリ(メタ)アクリル酸、スルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の群より選ばれた耐候性を有する親水性ポリマーを採用しそれに、光触媒として一定濃度範囲のチタニアゾルあるいは/およびゼオライトやアパタイト等の無機質で表面を修飾させた酸化チタンを必須の顔料成分として含有させる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、例えば建材や車両等の外装材用塗料に関するもので、こうした外装材の代表例として窯業材、金属板、プラスチック材等があり、ビルなどの建物の外壁や車両のボディ等に最も多用されている。ここで、多機能汚染防止塗料における多機能とは、優れた親水性を表面に備えることで発揮する汚染防止効果のほか、防カビ・消臭・抗菌・大気浄化等の環境に関連する種々の機能をいう。
この種の塗料が表面に塗布される外装材では、降雨時などに雨水等が付着した際にその被膜表面に拡がって、付着している汚れ等が流れ落ちるようにして環境汚染に対する汚染防止効果を付与するために表面を親水性にすることは公知の技術である(例えば、特許文献1参照)。
ところで、外装材に対し汚染防止効果を付与するために、近年、各種の親水性ポリマーを含む塗料を塗布する試みがなされている。ただし、その製造上あるいは材料上の特性から由来する諸条件のために、親水性を付与すべき材料の選択肢はあまり多くない。例えば、建材は建物の寿命と同等の耐候性を前提にしつつも大量生産が常識であり、塗料は数十秒ないしは数分以内に完全に乾燥固化しなければならず、しかも保管時や運搬時など積み重ねられる機会が多い。そこで、塗料の塗布後に、塗料が比較的容易に乾燥し、ベタツキが残らないという条件に加えて、外装材としての長期の耐候性が求められる。現在のところ、これらの諸条件を満足し得る親水性ポリマーとして、メチルシリケート、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリ(メタ)アクリル酸、スルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる。
しかし、そのような親水性ポリマーを外装材の表面に塗布しても得られる機能は、汚染防止効果のみであり、上記のような他の機能(防カビ効果、消臭・抗菌・大気浄化効果等)を得ることはできない。
特許3847048号公報
昨今の市場における環境改善意識の高まりから、例えば外装材や内装材には汚染防止効果以外に、防カビ・消臭・抗菌・大気浄化等の環境に関連する諸機能が求められている。そこで、それらの機能を発揮させうる物質を親水性ポリマーに含有させることが考えられるが、その物質としては、現在のところ光触媒がもっとも好適と言える。しかしながら、公知の光触媒を使用する方法では、下記のような致命的な問題点がある。すなわち、
1.裏反応が生じるため光触媒を含む塗料の塗布作業に先立って、裏反応から下地を保護すべきバリアーコート用塗料を更に塗布しなければならず、その付加工程のための設備を新設しなければならない。
なお、光触媒塗膜は光触媒反応を塗膜表面で効率的に進行させるため光触媒を極めて高濃度で含むことを、一般的には前提にしている。これは、表面に露出した光触媒のみが反応に関与しうるためその露出分を増やすために考えられたことであり、表面に光触媒が露出するということは裏面にも露出するということにもつながる。したがって、表面で生じるべき激烈な酸化反応である光触媒反応が裏面でも生じることになり、その裏面と接する下地の基材表面がその酸化反応で劣化し、光触媒塗膜の剥離、基材表面のチョーキング等の劣化現象が生じることがあるが、このような現象を光触媒塗膜の裏反応と称している。
2.光照射によりはじめて親水性が発現するため、製造および出荷時に親水性の出荷検査が行いにくい。
3.特に窯業系外装材は重量があるため、その取り扱い時に傷がつくなどの不具合が発生する可能性があるうえに、外装材の表面で光触媒反応が生じるため、補修塗りが困難である。
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、上記のような問題点を解決して優れた親水性を備え汚染防止機能を発揮するとともに、防カビ・消臭・抗菌・大気浄化等の環境に関連する諸機能を備えた、主に建物の内外装材用の多機能汚染防止塗料を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明者は以下の手法に基づき解決することを考え付くに至った。つまり、
1.従来の一般的な光触媒クリヤーは光触媒とポリマーの混合物で構成されているが、親水性は光触媒に因らず、ポリマーを親水性ポリマーとすることで得られるようにすること。
2.防カビ・消臭・抗菌・大気浄化効果は光触媒から得ることにするが、裏反応を惹起させないように、光触媒は反応性の非常に高いもの(チタニアゾル)を一定量以下添加するか、あるいは表面に吸着層を形成することにより表面で光触媒反応が生じないようにした光触媒を使用すること。
なお、一般的な光触媒はアナターゼ型酸化チタンの微粒子であり、いわば光触媒が表面に露出した状態である。ここでは光触媒反応は当然ながら露出した表面で生じるため反応性に富んだ酸化物が発生すると、近傍の有機物を分解・劣化させてゆく。したがって、例えば汎用塗料に顔料を分散させるように光触媒を分散させた状態では、バインダーの有機ポリマーが光触媒によって分解されてしまう。そこで、光触媒の表面を、微細シリカ、ゼオライト、アパタイト等の不活性物質でコーティングすることによって、表面の不活性物質が緩衝材となり、有機ポリマーは光触媒と隔てられるので、有機ポリマーは分解されなくなる。そして、この緩衝材が膜状ではなく、針状(ウィスカー)や格子状を呈していると、表面積が大きくなって単なる緩衝材という役目に止まらず、消臭や大気浄化効果でとくに必要な吸着機能を併せ持つようになり、一層この効果へ寄与することとなる。すなわち、光触媒の表面を吸着作用を持つ不活性物質が覆い、そこに吸着された有害物質はその近傍にある光触媒で徐々に分解されてゆくというプロセスが可能となり、有機ポリマーを分解することなく、消臭、抗菌、大気浄化等の光触媒効果を奏するようになる。また同時に、近傍の有機物を分解しなくなることから、汚染防止効果についてはほとんどあるいは全く生じないと考えられる。これに関した特許は数多く存在しているが、例えば特許3975270号や特許3488496号などを挙げることができる。
上記の手法を取り入れた本発明に係る多機能汚染防止塗料は、下記A群の1〜5種の何れかの親水性ポリマーを必須の樹脂成分とし、更に下記B群の1〜4種のうち何れか1種あるいは2種以上の光触媒を必須の顔料成分として含有することを特徴とする。
A群:メチルシリケート、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリ(メタ)アクリル酸、スルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレン
B群:チタニアゾル、ゼオライトで表面被覆された酸化チタン、シリカで表面被覆された酸化チタン、アパタイトで表面被覆された酸化チタン
請求項1に記載のように、上記親水性ポリマーは、メチルシリケート、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリ(メタ)アクリル酸、スルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂(PTFE))の何れかの親水性ポリマーを必須の樹脂成分としており、また、顔料成分である上記光触媒は、チタニアゾル、ゼオライトで表面被覆された酸化チタン、シリカで表面被覆された酸化チタン、およびアパタイトで表面被覆された酸化チタンから選ばれる1〜4種のうち何れか1種あるいは2種以上の光触媒を必須の顔料成分としているが、本塗料を例えば外装材の表面に塗布することにより、その外装材は非光励起作用状態において静的接触角あるいは動的後退接触角のいずれかが30°以下となる親水性作用を発揮する。
上記請求項2に記載のように、上記塗料中の含有量が前記親水性ポリマー100重量部に対して酸化チタン分換算で10〜50重量部であって、上記塗料により形成される塗膜のメチレンブルー分解活性指数が3.0以上(つまり塗膜の光触媒活性がJIS R 1703−2に定義されている分解活性指数を3.0以上)であることが好ましい。そして、上記請求項2に記載の多機能汚染防止塗料は、この塗料を塗布することにより形成される塗膜のメチレンブルー分解活性指数を3.0以上としたが、その理由は以下のとおりである。すなわち、消臭・抗菌・大気浄化等の光触媒効果を再現性のある数値として表記しうる代表的な尺度が、メチレンブルーを用いた分解活性指数であるからで、このメチレンブルーは光照射による劣化が極めて少なく、逆にラジカル(遊離基)と選択的に反応するため、光触媒反応でラジカルが生じると急速に脱色するという特性を有している。光触媒反応の効果と目される消臭・抗菌・大気浄化作用は、すべて発生するラジカルにより惹起されるものであるから、メチレンブルーの分解とこれらの効果の間には密接な相関関係が存在する。したがって、再現性の良好な光触媒効果を評価する指標として、ここではメチレンブルー分解活性指数を採用して光触媒効果の有無を表すようにしている。現状では光触媒としての効果の有無を評価する限界値(数値)は規定されていないが、本願発明者等の知見によれば3.0以上で十分な効果が発現し得ていたことから、本願発明ではこの数値を限界値としている。
請求項3に記載のように、上記塗膜を構成する上記塗料には、界面活性剤またはアルコールの少なくとも一方を含有させることが好ましい。なお、界面活性剤とアルコールの具体的な配合割合については、界面活性剤は有効成分として0.01〜5%、アルコールは80%までとする。
このようにすることにより、塗膜を構成する塗料の表面張力を低下させ、下層の塗膜(着色用塗料層)との親和性を高めることができる。
本発明に係る多機能汚染防止塗料は、上記のような構成からなるから、次のような優れた効果を奏する。すなわち、
製造が容易で大量生産が可能で、製造コストの低減が図れるほか、親水性に富み、汚れが付着しても雨水で流れ落ちるセルフクリーニング効果や汚染防止効果に優れるうえに、防カビ・消臭・抗菌・大気浄化効果にも優れている。しかも、塗料中の光触媒により裏反応が生じないため、保護層であるバリアコート用塗料を下地として塗布する必要がなく、また本塗料を塗布することで基材表面に形成される塗膜は光を照射しなくても親水性を発揮するので、製造時や出荷時などに親水性の有無についての検査が容易に行えるとともに、表面塗膜の一部が損傷するなどの不具合が生じても、簡単に本塗料を塗布して補修が行える。
以下に、本発明の多機能汚染防止塗料に関する実施の形態を説明する。
本発明に係る多機能窯業材へ適用するのに好適な親水性ポリマーは、請求項1に記載のように、メチルシリケート、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリ(メタ)アクリル酸、スルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる。また、これらの親水性ポリマーについては、相溶性の許す範囲で接着適性や柔軟性等の他の特性をも付与するために相互に混合して使用することが可能である。さらに、これらの親水性ポリマーは、親水性を阻害しない範囲において、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン変成アクリル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などの公知で、外装材用に採用されている撥水性の皮膜を本来形成する樹脂とも混合して使用することができる。
また、光触媒によるセルフクリーニング(汚染防止および汚濁防止)効果ではなく、防カビ、消臭、抗菌、大気浄化効果を得るためには、光触媒反応を効率よく惹起させるにとどまらず、光触媒の表面に有害物質を吸着する機能も併せ持たねばならないことが明らかになった。それらの効果は、光触媒は分散性が悪いことから、比表面積の小さな汎用光触媒を分散する方法では得られない。
そこで、請求項1に記載の、極端に分散性が良好なチタニアゾルを裏反応を起こさない濃度範囲で含ませるか、あるいは、ゼオライトで表面被覆(修飾)した酸化チタン、シリカで表面被覆(修飾)した酸化チタン、アパタイトで表面被覆(修飾)した酸化チタン等の吸着層を表面に備えた酸化チタンを採用することで解決できる。
本発明で用いられる多機能汚染防止塗料には、アルコールまたは/および界面活性剤を添加することが望ましい。この添加を推奨すべき界面活性剤としては、通常のアニオン性、ノニオン性、カチオン性の界面活性剤のいずれも用いられ、例えばアニオン性界面活性剤としては、高級アルコールサルフェート(Na塩またはアミン塩)、アルキルアリルスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルナフタレンスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルナフタレンスルフォン酸塩縮合物、アルキルフォスフェート、ジアルキルスルフォサクシネート、ロジン石鹸、脂肪酸塩(Na塩またはアミン塩)等がある。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキロールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等がある。カチオン性界面活性剤としては、オクタデシルアミンアセテート、イミダゾリン誘導体アセテート、ポリアルキレンポリアミン誘導体またはその塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアミノエチルアルキルアミドハロゲニド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲニド等がある。また、界面活性剤は2種以上を混合して使用してもよい。上記の界面活性剤は例示であって、本発明に係る多機能汚染防止塗料に使用される界面活性剤を限定するものではない。
上記のような界面活性剤は、アルコールと同じく本発明の多機能汚染防止塗料の表面張力を低下させ、下層の塗膜(着色用塗料層)との親和性を高める。
親水性を有する塗料は撥水性表面では弾かれて一様に塗布できない傾向が強く、その撥水性表面での表面張力を低下させなければ均一な塗膜が形成されにくいことにより親水性の発現が著しく阻害され、ひいては本発明においては有効表面積の低下により光触媒効果も大いに損なわれる。したがって、アルコールおよび/または界面活性剤は撥水性が高い基材での均一な塗膜形成と親水性、光触媒効果の発現には有効である。
以下に、本発明に係る多機能汚染防止塗料のうち窯業材に塗布されたものの実施例について詳細に説明する。
実施例1
親水性ポリマー(成分)にメチルシリケートを、光触媒にチタニアゾルをそれぞれ採用し、親水性ポリマー:光触媒の重量比が100:10になるように、親水性ポリマー中に光触媒を含有させて本発明の多機能汚染防止塗料を調製した。
具体的な配合割合(重量%)は以下のとおりである。
メチルシリケート(三菱化学(株)製の商品名「MS57」) 3
チタニアゾル(石原産業(株)製の商品名「STS−100」) 1.8
硬化促進触媒 「ジブチル錫ジアセテート1%溶液」 0.2
水 94
添加剤「ポリフローKL600」(共栄社化学(株)製品) 1
「MS57」は乾燥に従い脱アルコール反応で重量がほぼ60%になると想定でき、また「STS−100」の不揮発分は10%であるから、上記の配合割合で重量比は100:10になる。
着色まで終了した窯業材の一例として、50mm×40mmの長方形状からなる木繊維混合ケイ酸カルシウム板の表面に、水性スチレン・アクリル系塗料(着色用)を塗布して、本発明の塗料における防汚効果を確認するための基材としての窯業系サイディングを作成した。色調は日本塗料工業会発行の「塗料用標準色(ポケット版)」に定めるCN−95に調色した。
上記のように調製した基材(窯業系サイディング)に、上記配合の本発明による塗料を50g/m2になるように塗布し、温度60℃・時間20分の条件の下に乾燥させ試験片を作製した。

実施例2
親水性ポリマー(成分)にスルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレンを、光触媒にアパタイト表面被覆(修飾)の酸化チタンをそれぞれ採用し、本発明の多機能汚染防止塗料を調製した。
具体的な配合割合(重量%)は以下のとおりである。
スルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレン「米国デュポン社製の20%ナフィオン(登録商標)DE2020」 8
アパタイト修飾酸化チタン(昭和電工(株)製の商品名「NTB−100」) 2
水 15
メタノール 75
塩ビラミネート鋼板「ユニボンド」(日鉄住金鋼板(株)製品)に上記配合の本発
明の上記実施例2による塗料を80g/m2になるように塗布し、温度100℃・時間150秒の条件の下に乾燥させ試験片を作製した。


比較例1
光触媒を水に代替して除いた以外は、上記実施例1と同一の配合割合とした。試料の作製手順も上記実施例1と共通にした。

比較例2
光触媒を水に代替して除いた以外は、上記実施例2と同一の配合割合とした。試料の作製手順も上記実施例1と共通にした。

比較例3
従来の光触媒を用いた例示で、ポリマー成分にエチルシリケートを、光触媒に光触媒粉末を採用し、前者の後者に対する重量比が100:60になるようにした一般的な光触媒塗料を調製した。
具体的な配合割合(重量%)は以下のとおりである。
エチルシリケート(コルコート(株)製の商品名「エチルシリケート48」) 4
光触媒粉末 (石原産業(株)製の商品名「ST−01」) 1.2
硬化促進触媒 「ジブチル錫ジラウレート1%溶液」 0.1
イソプロパノール 96
「エチルシリケート48」は乾燥に従い脱アルコール反応で重量がほぼ48%になると想定でき、また「ST−01」の不揮発分は100%であるから、上記配合で重量比はほぼ100:60になる。
試料作製の手順は上記実施例1と共通にした。

比較例4
実施例1の界面活性剤を水に代替した以外は実施例1と同様に試料を調整した。これは成分中にアルコール系溶剤と界面活性剤を全く含まない例となる。
試料作製の手順は上記実施例1と共通にした。


試験結果を下記の表1に示す。
Figure 2009138058
1)水との接触角の測定
実施例1、比較例1、比較例3では静的接触角として水平に静置した試料表面に水滴を2μl滴下して直ちにその界面の接触角を測定した。
一方、実施例2、比較例2、比較例4では動的後退接触角を測定した。手順としてはまず水平に静置した試料表面に水滴を2μl滴下し、1分経過後に更に4μl滴下して追加した。1分経過後にその追加分の4μlを吸引して、更に1分経過後にその界面の接触角を測定した。この測定法による結果は上記表中に※で示した。

2)分解活性指数
メチレンブルー分解活性指数すなわちJIS R 1703−2に定義されている分解活性指数を求めた。

3)裏反応の有無の確認
各試料表面に7mW/cm2のブラックライトを168時間照射して、まずその表面を黒色布で拭ってチョーキングが生じていないことを確認し、更に碁盤目セロテープ(登録商標)剥離で100/100の良好な接着性を確認して「なし」と判定した。逆にチョーキングあるいは塗膜の白濁がありその面での碁盤目セロテープ(登録商標)剥離が100/100より悪い場合を「あり」と判定した。

4)セルフクリーニング効果の測定
大阪府堺泉北工業地域内での南面傾斜10°の条件で実際に2ヶ月の間、屋外に曝露した状態で、試験片と非曝露片とのLab色差ΔEを測定した。ΔE0.5以内では通常の肉視では汚染は認識されないがΔE3.0を上回ると通常、汚染は明白に認識される。上記条件下の2ヶ月の曝露でΔE3.0を超えるものについてはセルフクリーニング効果がないと断ぜざるをえない。

5)抗菌試験
光触媒製品の抗菌性能を比較評価するための試験はJIS R1702に定められている。ここではこれに従い黄色ブドウ球菌を採用して8時間光照射の前後における生菌数の変化から光触媒抗菌加工製品の光照射における効果ΔRを求めた。一般に2.0以上の数値が好ましいとされている。

6)NOX除去
光触媒製品のNOX除去性能を比較評価するための試験はJIS R1701−1に定められている。ここではこれにほぼ従いNOx分解量を求めた。ただし、上記JISに厳密に従うと実験でのNOXガスの流量は3.0l/分であるが、この試験では流量0.5l/分に設定して実施した。測定結果の分解量はμmolを単位として表記される。この値が大きいほどNOX除去性能が良好であるとされている。

7)実験結果(実施例と比較例との差異)
非励起作用状態での塗膜表面の親水性については実施例1、2および比較例1、2で確認されたが比較例3、比較例4では確認されなかった。また、裏反応については比較例3のみで確認され、実施例1、2、比較例1および比較例4では確認されなかった。更にセルフクリーニング効果つまり汚染防止効果は実施例1、2および比較例1、2で確認されたが比較例3では明白には、比較例4では全く確認されなかった。比較例3は初期親水性の欠如による初期汚染の影響が光触媒塗料塗膜とはいえ見られることにより若干その効果が劣る結果となり、比較例4では高い撥水性の基材上に親水性塗膜が正常に形成されていないことに由来する撥水性がセルフクリーニング効果を阻害しているものと考えられる。分解活性指数、抗菌試験、NOx除去については、実施例1、2、比較例3では確認されたが比較例1、2、比較例4では確認されなかった。よって、実施例1、2は非励起作用状態で塗膜表面が親水性であるとともに防カビ・消臭・抗菌・大気浄化効果等の光触媒特有の効果(親水性を除く)も有する。尚、比較例3は従来の一般的な難分解性バインダーと光触媒を用いた光触媒塗料であるため、セルフクリーニング機能につながる親水性でもとりわけ初期親水性(光照射を行わない状態)がなく、裏反応が生じるという欠点がある。本発明の塗料が上記全ての性能を具備しうることにおいて卓越していることを明白に示している。

Claims (3)

  1. 下記A群の1〜5種の何れかの親水性ポリマーを必須の樹脂成分とし、更に下記B群の1〜4種のうち何れか1種あるいは2種以上の光触媒を必須の顔料成分として含有することを特徴とする多機能汚染防止塗料。
    A群:メチルシリケート、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリ(メタ)アクリル酸、スルホン酸をグラフト重合したポリテトラフルオロエチレン
    B群:チタニアゾル、ゼオライトで表面被覆された酸化チタン、シリカで表面被覆された酸化チタン、アパタイトで表面被覆された酸化チタン
  2. 上記B群の含有量が上記A群の親水性ポリマー100重量部に対して酸化チタン分換算で10〜50重量部であって、上記塗料により形成される塗膜のメチレンブルー分解活性指数が3.0以上であることを特徴とする請求項1記載の多機能汚染防止塗料。
  3. 上記塗料中に、界面活性剤またはアルコールの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1または2記載の多機能汚染防止塗料。
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