JP5768253B2 - 可変遮熱性採光シート - Google Patents
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Description
(1)二酸化バナジウム。
(2)二酸化バナジウム結晶のバナジウム原子の一部が、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、スズ、レニウム、ゲルマニウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト、マンガン、ニッケル、銅、クロム、鉄、ガリウム、亜鉛、アルミニウム、インジウム、およびチタンから選ばれた1種または2種以上の原子により置換率0.3〜10原子%で置換された二酸化バナジウム。
(3)TiOx(1.8≦x<2)で表される不定比酸化チタン。
本発明の可変遮熱性採光シートは、前記赤外線散乱着色剤が、以下の(1)、(2)の金属酸化物から選ばれた1種または2種以上を含むことが好ましい。
(1)チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、ジルコニウム酸化物、インジウム酸化物、三酸化アンチモン、クロム酸化物、鉄酸化物、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズから選ばれた金属酸化物。
(2)チタン、亜鉛、アンチモン、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、銅、マンガン、アルミニウム、ニオブ、及びケイ素の内2種乃至4種の成分を含む、ルチル型、またはヘマタイト型、またはスピネル型構造を有する金属複合酸化物。本発明の可変遮熱性採光シートにおいて、前記可撓性シートが、繊維基布を含む積層体であることが好ましい。
(1)二酸化バナジウム(VO2)。
(2)二酸化バナジウム結晶のバナジウム原子の一部が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、ゲルマニウム(Ge)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、およびチタン(Ti)から選ばれた1種または2種以上の原子により置換率0.3〜10原子%で置換された二酸化バナジウム。
(3)TiOx(1.8≦x<2)で表される不定比酸化チタン。
なお、上記(2)において原子%とは、バナジウムに対する置換成分の置換率を原子の個数のパーセンテージで表したものである。例えばバナジウムの一部をモリブデンで置換した化合物V0.95Mo0.05O2であれば、バナジウムとモリブデンを合わせて1であり、その内モリブデンが0.05であるから、バナジウムに対するモリブデンの置換率は5原子%となる。また、バナジウムの一部をタングステンとクロムで置換した化合物V0.965W0.030Cr0.005O2の場合、置き換えたタングステン原子が3原子%、クロム原子が0.5原子%となり、合わせて3.5原子%の置換率となる。バナジウムの一部をこれらの元素で置換することで、サーモクロミック材料の転移温度を自在に調整することが可能となる。また、上記(2)において、バナジウムの一部が上記元素で置換されるとともに、酸素の一部がフッ素で置換されていてもよく、その場合酸素に対するフッ素の置換割合は0.01〜2%である事が好ましい。酸素の一部をフッ素で置換することで、サーモクロミック材料の可視光透過性が向上し、得られるシートの採光性が向上する。
(1)チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、ジルコニウム酸化物、インジウム酸化物、三酸化アンチモン、クロム酸化物、鉄酸化物、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズから選ばれた金属酸化物。
(2)チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、及びケイ素(Si)の内2種乃至4種の成分を含む、ルチル型、またはヘマタイト型、またはスピネル型構造を有する金属複合酸化物。
(I)採光性(光線透過率)
実施例および比較例で作成したシートそれぞれについてJIS Z8722.5.4(条件g)に従
い、可視光領域の光線透過率を、ミノルタ分光測色計CM−3600dを用いて測定し
た。光線透過率が高いものが、採光性に優れるものと判断した。
(II)可視光および近赤外線透過の温度依存性
実施例および比較例で作成したシートそれぞれについて、温度コントロール装置付きの
分光光度計(日本分光(株)製V−670)を用いて、シート温度10℃と70℃の時
の、可視光(550nm)と、近赤外線(1500nm)の透過率を測定した。
(III)遮熱性および昇温性
試験環境:実施例および比較例で作成したシート(11)について、おもて面を外側と
して、屋根部および側壁部を覆った小型テント(10:図5参照)を作成し、周辺に
高い建物の無い3階建てのビル屋上(コンクリート床面)にテント屋根部の傾斜面の
一方を真南に向けて、外部との空気の流通が無い状態に設置し、冬季(1月)および
夏季(8月)のテント内温度変化を継続的に測定した。得られた測定データから、快
晴が二日続いた二日目の日の出前(5時)、日中(12時)、日没後(20時)の温
度を抽出して冬季の昇温性(太陽熱を取り入れて内部を暖める効果)と夏季の遮熱性
を評価した。なお、テント設置と同じビルの屋上において、床面から1.2mの高さ
に百葉箱を設置し、上記測定時の外気温も継続的に測定した。
テントサイズ:
床面から軒先までの高さ 50cm
底面 たて×よこ 50cm×50cm
屋根部 傾斜角20° 床面から主棟までの高さ 59cm
温度測定位置 テント内中央部床面から、高さ30cmの位置で測定
下記配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、下記配合2のサーモクロミック材料含有スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBS)の熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物1を得た。配合2のサーモクロミック材料として、バナジウムの一部をタングステンで置き換え、表面を酸化ケイ素で被覆(サーモクロミック材料94質量%、酸化ケイ素6質量%)した、平均粒子径100nmのV0.99W0.01O2粒子(置換割合:1原子%、転移温度:41℃)を用いた。この非相溶樹脂混合物1を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmの近赤外線遮蔽層用フィルム1−1を成型した。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム1−2を成型した。次いで、得られたフィルム1−1とフィルム1−2の中間に下記基布1を挿入し、熱圧着により積層して、一方の面が近赤外線遮蔽層であるターポリン状のシートを得た。フィルム1−1からなる近赤外線遮蔽層を顕微鏡観察すると、サーモクロミック材料含有スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。海島分散構造における島成分の平均粒子径は6.2μmであった。次いで、フィルム1−1を積層した側に、下記配合3の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で1分間乾燥した。これによって近赤外線遮蔽層に塗布量:5g/m2の防汚層が形成された、実施例1のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合1>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
<配合2>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
V0.99W0.01O2:平均粒子径100nm 5質量部
<配合3>
商標:アクリプレン ペレットHBS001(三菱レイヨン(株)製) 20質量部
トルエン−MEK(50/50重量比)(溶剤) 80質量部
(基布1)
ポリエステル833dtexマルチフィラメントを用いた粗目状平織布
密度 たて(経糸) 19本/インチ よこ(緯糸) 20本/インチ
下記配合4のサーモクロミック材料含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、下記配合5のスチレンブタジエンブロックコポリマー(SBS)の熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物2を得た。配合4のサーモクロミック材料として、バナジウムの一部をタングステンで置き換え、表面を酸化ケイ素で被覆(サーモクロミック材料94質量%、酸化ケイ素6質量%)した、平均粒子径100nmのV0.99W0.01O2粒子(置換割合:1原子%、転移温度:41℃)を用いた。この非相溶樹脂混合物2を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmの近赤外線遮蔽層用フィルム2−1を成型した。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム2−2を成型した。次いで、得られたフィルム2−1とフィルム2−2の中間に基布1を挿入し、熱圧着により積層して、一方の面が近赤外線遮蔽層であるターポリン状のシートを得た。フィルム2−1からなる近赤外線遮蔽層を顕微鏡観察すると、スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、サーモクロミック材料含有塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。海島分散構造における島成分の平均粒子径は6.1μmであった。次いで、フィルム2−1を積層した側に、実施例1と同様にして防汚層を形成して、実施例2のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合4>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
V0.99W0.01O2:平均粒子径100nm 1.5質量部
<配合5>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
配合5の代りに下記配合6を用いた以外は、実施例2と同様にして、近赤外線遮蔽層上に防汚層を有する実施例3のターポリン状のシートを得た。配合6には赤外線散乱着色剤として、平均粒子径1000nmの酸化チタン粒子(表面を酸化ケイ素で被覆:酸化チタン92質量%、酸化ケイ素8質量%)を用いた。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合6>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
酸化チタン:平均粒子径1000nm 3質量部
配合5の代りに下記配合7を用いた以外は、実施例2と同様にして、近赤外線遮蔽層上に防汚層を有する実施例4のターポリン状のシートを得た。配合7には赤外線散乱着色剤として、平均粒子径20nmのスズドープ酸化インジウム(ITO)粒子を用いた。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合7>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
ITO:平均粒子径20nm 3質量部
配合2の代わりに下記配合8を用いた以外は実施例1と同様にして、近赤外線遮蔽層上に防汚層を有する実施例5のターポリン状のシートを得た。配合8にはサーモクロミック材料として、バナジウムの一部をモリブデンで置き換え、表面を酸化ケイ素で被覆(サーモクロミック材料94質量%、酸化ケイ素6質量%)した、平均粒子径100nmのV0.965Mo0.035O2粒子(置換割合:3.5原子%、転移温度:30℃)を用いた。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合8>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
V0.965Mo0.035O2:平均粒子径100nm 5質量部
下記配合9のサーモクロミック材料含有軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物に、下記配合10の赤外線散乱着色剤含有ビニルエステル樹脂攪拌混合物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えて撹拌し、赤外線散乱着色剤含有ビニルエステル樹脂を均一分散させた非相溶樹脂混合物液6を得た。配合9において、サーモクロミック材料として、バナジウムの一部をタングステンで置き換え、表面を酸化ケイ素で被覆(サーモクロミック材料94質量%、酸化ケイ素6質量%)した、平均粒子径100nmのV0.99W0.01O2粒子(置換割合:1原子%、転移温度:41℃)を用い、配合10には赤外線散乱着色剤として平均粒子径600nmのCr−Sb−Tiの複合酸化物(黄色:ルチル型)粒子を用いた。この樹脂混合物液6の液バス中に下記基布2を浸漬し、これを引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行い、さらにその片面に鏡面エンボス処理を施した。これにより基布2の両面への付着、および内部含浸した状態で、非相溶樹脂混合物液6が320g/m2付着して、海島構造を有する近赤外線遮蔽層が形成された帆布状のシートを得た。この近赤外線遮蔽層を顕微鏡観察すると、赤外線散乱着色剤含有ビニルエステル樹脂が黄色の島成分を構成しており、サーモクロミック材料含有軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。海島分散構造における島成分の平均粒子径は8.5μmであった。このシートの、鏡面エンボス処理を施した平滑な側の近赤外線遮蔽層上に、配合3の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で1分間乾燥した。これによって片面に塗布量:5g/m2の防汚層が形成された実施例6のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合9>
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1600) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 70質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
V0.99W0.01O2:平均粒子径100nm 1.5質量部
<配合10>
ビニルエステル樹脂 100質量部
(商標:ネオポール8319:日本ユピカ(株) )
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
Cr−Sb−Tiの複合酸化物:平均粒子径600nm 3質量部
(基布2)
ポリエステル295.3dtex(20番手)短繊維紡績糸を用いた非粗目状平織布
密度 たて(経糸) 55本/インチ よこ(緯糸) 48本/インチ
配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比1を成型し、基布1の両面に熱圧着により積層して、ターポリン状のシートを得た。次に、シートの一方の側に、実施例1と同様にして防汚層を形成して、比較例1のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
配合4のサーモクロミック材料含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比2−1を成型した。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比2−2を成型した。次いで、得られたフィルム比2−1とフィルム比2−2の中間に基布1を挿入し、熱圧着により積層して、ターポリン状のシートを得た。次に、フィルム比2−1を積層した側に、実施例1と同様にして防汚層を形成して、比較例2のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、配合7の赤外線散乱着色剤含有スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBS)の熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量部加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、赤外線散乱着色剤含有スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物比3を得た。この非相溶樹脂混合物比3を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比3−1を成型した。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比3−2を成型した。次いで、得られたフィルム比3−1とフィルム比3−2の中間に基布1を挿入し、熱圧着により積層して、ターポリン状のシートを得た。フィルム3−1を顕微鏡観察すると、赤外線散乱着色剤スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。海島分散構造における島成分の平均粒子径は6.1μmであった。次いで、フィルム比3−1を積層した側に、実施例1と同様にして防汚層を形成して、比較例3のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
下記配合11の赤外線散乱着色剤含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比4−1を成型した。配合11には赤外線散乱着色剤として、平均粒子径1000nmの酸化チタン粒子(表面を酸化ケイ素で被覆:酸化チタン92質量%、酸化ケイ素8質量%)を用いた。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比4−2を成型した。次いで、得られたフィルム比4−1とフィルム比4−2の中間に基布1を挿入し、熱圧着により積層して、ターポリン状のシートを得た。次に、フィルム比4−1を積層した側に、実施例1と同様にして防汚層を形成して、比較例4のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
<配合11>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
酸化チタン:平均粒子径1000nm 0.5質量部
下記配合12の赤外線散乱着色剤含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比5−1を成型した。配合12には赤外線散乱着色剤として、平均粒子径1000nmの酸化チタン粒子(表面を酸化ケイ素で被覆:酸化チタン92質量%、酸化ケイ素8質量%)を用いた。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比5−2を成型した。次いで、得られたフィルム比5−1とフィルム比5−2の中間に基布1を挿入し、熱圧着により積層して、ターポリン状のシートを得た。次に、フィルム比5−1を積層した側に、実施例1と同様にして防汚層を形成して、比較例5のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側をおもて面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
<配合12>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
酸化チタン:平均粒子径1000nm 10質量部
2:海島構造を有する近赤外線遮蔽層
3:島成分
3−1:サーモクロミック材料を含む島成分
3−2:サーモクロミックを含まない島成分
3−3:サーモクロミックを含まず赤外線散乱着色剤を含む島成分
4:海成分
4−1:サーモクロミック材料を含む海成分
4−2:サーモクロミックを含まない海成分
4−3:サーモクロミックを含まず赤外線散乱着色剤を含む海成分
5:防汚層
6:繊維基布
7:海島構造を有さない樹脂層
8:サーモクロミック材料
9:赤外線散乱着色剤
10:小型テント
11:実施例・比較例で作成したシート
Claims (7)
- 近赤外線遮蔽層を含む可撓性シートであって、前記近赤外線遮蔽層が、サーモクロミック材料を含む合成樹脂と、前記サーモクロミック材料を含まない合成樹脂との非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成され、前記海島分散構造において、島成分あるいは海成分の一方の側がサーモクロミック材料を含み、もう一方の側がサーモクロミック材料を含まず、前記サーモクロミック材料が、25〜70℃の範囲に転移温度を有し、780〜2500nmの波長領域の近赤外線に対して、前記転移温度を境に可逆的に、低温側では遮蔽率が低く、高温側では遮蔽率が高くなるサーモクロミック特性を有し、かつ、熱で近赤外線遮蔽効果が変化する樹脂層であることを特徴とする、可変遮熱性採光シート。
- 前記近赤外線遮蔽層が、前記サーモクロミック材料を含む合成樹脂と、赤外線散乱着色剤を含む合成樹脂との非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の可変遮熱性採光シート。
- 前記海島分散構造において、島成分が前記サーモクロミック材料を含んでいる、請求項1または2に記載の可変遮熱性採光シート。
- 前記海島分散構造において、海成分が前記サーモクロミック材料を含んでいる、請求項1または2に記載の可変遮熱性採光シート。
- 前記サーモクロミック材料が、以下の(1)〜(3)の金属酸化物から選ばれた1種または2種以上を含む、請求項1から4いずれか1項に記載の可変遮熱性採光シート。
(1)二酸化バナジウム。
(2)二酸化バナジウム結晶のバナジウム原子の一部が、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、スズ、レニウム、ゲルマニウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト、マンガン、ニッケル、銅、クロム、鉄、ガリウム、亜鉛、アルミニウム、インジウム、およびチタンから選ばれた1種または2種以上の原子により置換率0.3〜10原子%で置換された二酸化バナジウム。
(3)TiOx(1.8≦x<2)で表される不定比酸化チタン。 - 前記赤外線散乱着色剤が、以下の(1)、(2)の金属酸化物から選ばれた1種または2種以上を含む、請求項2から5いずれか1項に記載の可変遮熱性採光シート。
(1)チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、ジルコニウム酸化物、インジウム酸化物、三酸化アンチモン、クロム酸化物、鉄酸化物、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズから選ばれた金属酸化物。
(2)チタン、亜鉛、アンチモン、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、銅、マンガン、アルミニウム、ニオブ、及びケイ素の内2種乃至4種の成分を含む、ルチル型、またはヘマタイト型、またはスピネル型構造を有する金属複合酸化物。 - 前記可撓性シートが、繊維基布を含む積層体である、請求項1から6いずれか1項に記載の可変遮熱性採光シート。
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