JP2008196085A - 遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシート - Google Patents

遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシート Download PDF

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Abstract

【課題】天然繊維調の和み(おだやかな)外観を有し、しかも遮熱効果・耐久性・外界透視性に優れた日除け材、ブラインド材用遮熱性メッシュシートを提供すること。
【解決手段】遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートは、表面毛羽を有する短繊維紡績糸を含む繊維糸条からなる粗目編織物を基布として用い、この基布に熱可塑性樹脂と、粒子径分布範囲:0.3〜3.0μm、アスペクト比:1.0〜3.0の、不定形金属酸化物粒子を1〜30質量%含む遮熱層を、基布と遮熱層との合計質量に対し、20〜60質量%の割合で含浸、被覆したものであり、必要により遮熱層上に防汚層が設けられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、屋内外で使用する日除け、ブラインドなどの用途に用いる遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートに関するものであり、更に詳しく述べるなら、和み感をもたらす天然繊維調の外観を有し、透視性、通気性が有り、しかも優れた赤外線遮熱性を持ち、特に日除けやブラインドなどの用途に好適な、遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートに関するものである。
ブラインドは外部からの目隠し、あるいは陽射し調節器具として使用され、特に店舗やオフィスなどにおいては、内部から外界が透視可能なシート状材料が多用されている。中でも特に床等の天然繊維織物(フェッシャンクロス等)、葦等による簾は、天然素材の有する和み感が万人に好まれている。しかし、これらのシート状材料は、冬場の保温性には優れているけれども、夏場の遮熱性が低く、そのためエアコン消費電力の削減には寄与度の低い素材であった。またこれらの天然繊維素材では耐候性・耐久性に乏しく、経時的に変色するなど耐用年数が短かく、また汚れ易いなどの不満があるものであった。(特許文献1及び2)
一方、日除けやブラインドとして用いられる合成樹脂製膜材は、太陽光のまぶしさの軽減、及び太陽光に含まれる紫外線や赤外線を遮る目的で使用される。特に繊維基布を樹脂で全面被覆したターポリン調シートは赤外線の透過性や吸収性が高く、その赤外線により膜材の温度が上昇し輻射熱として膜材の裏面から放出することにより室温を上昇させてしまうので、エアコン消費電力削減の観点からも室温を上昇させ難いブラインド材、日除け材の提供が望まれていた。このような要望に対し、遮熱効果を得るために酸化チタン等の白色顔料を大量に配合して赤外線を散乱させる提案があるが、これでは、意匠性が重視されるインテリア商品において、白色以外の色彩を得ることが困難であるので、その上に更に表面華飾を施すことを必要としていた。また、金属粉末を配合する方法では完全遮光となり、仄かな光を取り込むための採光機能を得ることができなくなる。またこれらの日除けやブラインド材は、外界透視性が全く無いため生活空間用途には融通性に劣るものであった。(特許文献3及び4)
そこで昨今では、天然繊維調の和み外観を有し、しかも遮熱効果・耐久性・外界透視性に優れた日除け材、ブラインド材が望まれている。
特開平9−105078 特開2006−152496 特開平8−49171 特開平6−146166
本発明は天然繊維調の和み外観を有し、しかも遮熱効果・耐久性・外界透視性に優れ、日除け材、ブラインド材に有用な遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートを提供しようとするものである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討の結果、表面毛羽を有する短繊維紡績糸を含む基布に、特定範囲の粒子径分布を有する不定形金属酸化物粒子の特定量を含む熱可塑性樹脂遮熱層を含浸・被覆することにより、遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートは、表面毛羽を有する短繊維紡績糸を含む繊維糸条からなる粗目編織物を基布とし、この基布に含浸被覆する遮熱層を有し、前記遮熱層が、i)熱可塑性樹脂と、ii)粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0の、不定形金属酸化物粒子とを含み、その含浸・被覆量が、前記基布及び遮熱層の合計質量の20〜60質量%であり、かつ、前記不定形金属酸化物粒子の含有量が前記遮熱層の質量に対し、1〜30質量%であることを特徴とするものである。
本発明の遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートにおいて、前記不定形金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化スズ、及び酸化インジウムの粒子から選ばれた1種以上であることが好ましい。
本発明の遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートにおいて、前記遮熱層上に防汚層が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、耐候耐久性、遮熱効果持続性に優れており、通気性、透視性を持ち、天然繊維様の和み感をもたらすクロス調外観のメッシュシートを容易に得ることができ、これらは特に屋外で使用される日除け等のエクステリア用途、あるいは室内で用いるブラインド等のインテリア用途などに好適である。
本発明の遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシート(以下遮熱性メッシュシートと表記する)に用いられる基布は、天然繊維、半合成繊維、合成繊維などの織編物から選ばれる。但し、前記基布用の繊維織編物は、短繊維紡績糸を含み、表面に毛羽を有しているものである。前記基布用の繊維編織物中の短繊維紡績糸の含有量は15〜100質量%であることが好ましい。短繊維紡績糸の質量比率が15%未満では、短繊維紡績糸に起因する繊維糸条の表面の毛羽立ちが不十分になり、樹脂被覆を施したときに、得られる遮光性メッシュシートの光沢度が過度に高いものになってしまい、和み感に乏しく天然繊維調とは似つかない外観になってしまう。前記基布用の繊維糸条は、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどの繊維糸条との混撚糸であってもよく、メッシュシート基布の経糸及び緯糸のいずれか一方に長繊維糸条を用い、他方に短繊維紡績糸を用いた編織組織でもよい。また繊維糸条が長繊維糸条の芯と短繊維紡績糸の鞘からなる芯鞘構造複合糸であってもよい。短繊維紡績糸の製造方法には制限はなく、例えばポリエステル糸の場合、ポリエステル樹脂を溶融紡糸で得られたマルチフィラメント原糸を切断して得られたステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながらスライバを引き伸ばしてロービング(粗糸)を製造し、このロービングに撚りとドラフトを掛けて得られたポリエステル短繊維紡績糸を用いてもよい。短繊維紡績糸を含むことにより表面の毛羽が天然繊維調の和み感を有する外観が形成される。また基布用メッシュシートの組織は織物、編物、いずれであってもよい。更に基布の編織組織にも格別の制限はないが、例えば、それぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目布状の編織物を用いることができる。前記粗目編織物の目付は50〜700g/m2であることが好ましい。日除け用途としては、前記粗目編織物の空隙率は5〜60%であることが好ましく、より好ましくは10〜50%であり、更に好ましくは15〜30%である。透視性及び通気性が高いことを優先させるならば、空隙率を高めに設定し、また、遮熱性が高いことを優先させるならば、空隙率を低めに設定することが好ましい。空隙率とは粗目編織物の全表面積に対する合計空隙面積の比(%)である。繊維基布には必要に応じて撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理、着色処理などが施されていても良い。
本発明のメッシュシートの遮熱層に用いられる熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質塩化ビニル樹脂)、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、及びフッ素含有共重合体樹脂などを単独で用いてもよく、或はその2種以上を併用してもよい。本発明において、遮熱層は前記樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂と、不定形金属酸化物粒子とを含有し、この遮熱層と基布との複合化方法は、有機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂、水中で乳化重合された熱可塑性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは熱可塑性樹脂を水中に強制分散させて安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、或は軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、等を用いるディッピング加工(繊維布帛への両面加工)、及びコーティング加工(繊維布帛への両面加工、または片面加工)等を包含する。
本発明において、遮熱層が示す遮熱効果は、熱可塑性樹脂中に分散した不定形金属酸化物粒子が太陽光に含まれる赤外線を散乱させ、膜材を透過する赤外線量を減少させることにより得られる。つまり、可視領域を超えた0.8μm以上の波長の光を効果的に散乱させることにより遮熱効果が得られるのである。遮熱層に含まれる不定形金属酸化物粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化スズ、酸化インジウムの粒子から選ばれた1種以上を用いることが好ましい。これらの平均粒子径の分布範囲が0.3〜3.0μmであり、アスペクト比が1.0〜3.0であることが好ましい。太陽光のエネルギー分布には、0.48μm付近にピークが存在し、赤外領域では、波長が大きくなるに従ってエネルギーが小さくなるため、不定形金属酸化物粒子の遠赤外線の遮熱効果に及ぼす影響は近赤外線にくらべると僅かである。従って、遮熱層においては0.4〜0.78μmの波長を有する可視光線の散乱を少なくし、0.8〜2.1μmの波長を有する近赤外線領域を効果的に散乱させることができれば、遮熱層の色相への影響を少なくして、色彩の多様化を可能にし、太陽光に対する遮熱効果を高めることができる。光の散乱は光線が通過する媒質(熱可塑性樹脂)の屈折率とその媒質に添加された不定形金属酸化物粒子の屈折率に影響を受ける。一般に熱可塑性樹脂の屈折率は1.3〜1.6程度であるため、光を多く散乱させるためには、用いる不定形金属酸化物粒子の屈折率が1.8以上であることが好ましく、2.0以上であることが更に好ましい。また、光の散乱は熱可塑性樹脂に添加される不定形金属酸化物粒子の粒子径にも影響される。そこで遮熱層の色彩を多様化するためには、可視光領域の散乱を少なく抑制しなければならず、このためには不定形金属酸化物粒子の粒子径は0.3μm以上であることが好ましい。不定形金属酸化物粒子の粒子径が0.3μm未満では、可視光を散乱してしまうため遮熱層の色彩の多様性が失われてしまう。不定形金属酸化物粒子の粒子径が大きくなればなるほど長波長の赤外線を散乱させることができるが、ある程度以上の大きな粒子を用いると、可視光全域に亘る散乱を起こし、遮熱層が白濁し、やはり色彩の多様性が失われてしまう。従って、可視光領域の光の散乱を抑えるためには、不定形金属酸化物粒子の粒子径は3.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、1.6μm以下であることが更に好ましい。
本来、不定形金属酸化物の粒径分布が0.3〜3.0μmの範囲内で均一であれば、不定形金属酸化物粒子の形状は真球形もしくはそれに近い形状であってもよいが、通常の方法により製造された粒子は、その粒子径分布に1個以上のピークが存在し、そのピークの前後に、その頻度を減ずる粒子径分布曲線が形成されるため、この粒子によって効果的に散乱される光の波長にもピークがあり、近赤外線の領域全てに亘って効果的に散乱させることはできない。本発明においては、樹脂に分散させる粒子が不定形粒子であり、そのアスペクト比が1.0〜3.0、特に1.1〜2.5であるときに、遮熱性に優れ、かつ色彩に影響を与えない遮熱層が得られる事が見出された。ここで、アスペクト比とは一般に物体の縦横比を指し、粒子の場合その最大縦径とそれに直交する最大の横幅との比を表す。なお、不定形金属酸化物粒子の粒子径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば(株)堀場製作所製LA300等)で測定することができ、不定形粒子の粒子径は粒度分布測定装置で測定した球相当径を意味する。不定形の粒子を用いることにより、遮熱効果に優れた遮熱層が得られる原因については、未だ十分に定かではないが、粒子が光を散乱させるとき、光の入射方向に対して垂直な最大断面の面積が散乱に影響を与えることが知られており、このことから下記の様に推察することができる。
1.粒子の形状が真球の場合、いずれの方向から光が入射しても、その入射方向に対して垂直な、最大粒子断面積は一定であるが、不定形な粒子の場合、入射の角度によって最大粒子断面積は変動する。したがって、同一粒子であっても光の入射する方向によって、散乱効率の高い光の波長が変動する。
2.粒子は樹脂中にランダムに分散しており、同じ粒子径の粒子であっても光線の入射方向によって、散乱効率の高い光の波長が変動する。
上記1,2より、粒子の形状不定形になることにより、真球状の粒子に較べて、同じ粒径分布であっても、近赤外線領域における光の散乱比が高くなる。
この様な不定形金属酸化物粒子は、石ころ及び玉砂利の様な紡錘形、回転楕円形、立方体、円筒形などの形の崩れたもの、あるいは大きな粒子の粉砕により形成された不規則な形状、微細な一次粒子がランダムに焼結し形成された不規則な二次粒子形状等、のいずれの形状であってもよく、これらの2種類以上の混合であっても良く、混合の場合、アスペクト比が1.0の粒子を含んでいてもよいが、粒子の70%以上をアスペクト比1.1〜3.0の粒子が占めることが好ましい。アスペクト比3.0を超える粒子、例えば太さに対して長さが3倍を超える針状粒子や、厚さに対して長径が3倍を超える様な鱗片状粒子などを用いた場合、赤外線の散乱が不十分であったり、可視光線を散乱させて色相に影響を与えることがある。アスペクト比3.0を超える粒子が混入している場合には、その混入量は不定形金属酸化物粒子全体の5質量%以下であることが好ましい。なお、表面がコーティングされている金属酸化物粒子を用いる場合には、コーティング後の粒子のアスペクト比が1.0〜3.0であればよい。
本発明に用いる不定形金属酸化物粒子としては、屈折率2.5以上、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0のシリカおよび/又はアルミナでコーティングされた酸化チタンを用いることが特に好ましい。
不定形金属酸化物粒子の配合量は、遮熱層の合計質量に対して1〜30質量%であり、特に5〜20質量%であることが好ましく、このようにすると、得られる遮熱性メッシュシートに高い遮熱性を付与することができる。不定形金属酸化物粒子の含有量が30質量%を超えると、得られるメッシュシートの遮熱層の強度を低下させて耐候耐久性が不十分になり、また遮熱層の風合いが硬くなり日除けとして展張する際の作業性や巻上げ耐久性が不十分になる。またその含有量が1質量%未満では、所望の遮熱性を、メッシュシートに与えることができない。
本発明において、遮熱性メッシュシートにおける遮熱層の遮熱性メッシュシートの質量に対する含浸被覆率は、20〜60質量%であることが好ましく、更に好ましくは30〜50質量%である。含浸被覆率とは本発明の遮熱性メッシュシートの質量に対する遮熱層の質量比率(%)である。遮熱層の含浸被覆率が20%未満では、繊維基布中の繊維糸条の集束性が不十分となり日除け用途として展張する場合や使用時に不都合が生じ、また耐候耐久性が低いものとなる。また遮熱層の含浸被覆率が60%を超えると、樹脂の過付着により短繊維紡績糸のバルキー性が不十分になり、表面毛羽立ちが少なくなり、光沢度が高くなってしまい、天然繊維調和み感に乏しい外観を呈するようになる。遮熱層用配合組成物中には、難燃剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、増粘剤、接着剤、防黴剤及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
本発明の遮熱性メッシュシートは、屋外使用時に、その遮熱層表面に汚れが付着蓄積すると、経時的に、本来の遮熱効果が失われてしまうことがあるので、本発明の遮熱性メッシュシートの遮熱層表面には防汚層を形成することが好ましい。防汚層の組成については、防汚性を有する被膜を形成するものであれば特に制限はないが、例えば、溶剤に溶解されたアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上からなる溶液樹脂を塗布して形成した塗膜、これらにシリカ微粒子、またはコロイダルシリカを含む塗膜、オルガノシリケート及び/又はその縮合体を含む塗布剤を塗布して形成された親水性被膜、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン)と、接着剤とを含む塗布剤を塗布して形成された光触媒被膜等から適宜選択することができる。前記防汚層には、本発明の遮熱層に用いた不定形金属酸化物粒子(屈折率1.8以上、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0)が0.3〜30質量%の含有量で、好ましくは1.0〜10質量%の含有量で含まれていてもよい。
前記防汚層に用いられるアクリル系樹脂は、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、アクリル−シリコーン系共重合体樹脂、スチレン−アクリル系共重合体樹脂などであり、これらは、紫外線吸収性モノマーなどを共重合成分に含んでいてもよい。またウレタン系樹脂は特に、ポリオール成分としてポリカーボネート系ポリオール、ポリイソシアネート成分として脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートを用いたウレタン系樹脂が、紫外線曝露によって黄変することがなく耐候性が良好なので好適に用いられる。またこれらのウレタン系樹脂には、更に架橋成分として官能基を2個以上有するアジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、及びイソシアネート系化合物を併用してもよく、上記架橋剤の添加により防汚層の硬度が向上し、より高度な防汚性効果を得ることができる。また、フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体などを用いることができ、特に水酸基を含有するフッ素系樹脂に対しては、イソシアネート系化合物による架橋を施すと、より高度な防汚性効果を得ることができる。
前記防汚層は、1層であってもよく2層以上であってもよい。防汚層を形成する方法には、格別な制限はなく公知の加工方法、例えば、ディッピング法、ディップコート法、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、スプレーコート法などによる含浸及び/または塗布する方法が用いられる。防汚層の厚さには特に制限はないが、例えば、0.5〜100μmとすることが好ましい。防汚層には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、架橋剤、抗菌剤、防かび剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明を下記実施例により更に具体的に説明する。製品の性能評価に用いられた測定方法は下記の通りである。
動的耐久性評価
サンシャインカーボンアーク燈式促進暴露試験(JIS規格A−1415)で500時間耐候促進後又は屋外曝露12カ月後の試験片、或は、初期試験片に、JIS L−1096のスコット法に従って、つかみ間隔2cm、押圧荷重1kgfの条件下に、回数1,000回の屈曲試験を施し、その結果を目視で評価し、動的耐久性の評価とした。
剪断強度
初期の試験片、或はサンシャインカーボンアーク燈式促進暴露試験(JIS規格A−1415)で500時間促進試験後、及び屋外曝露12カ月後の試験片のJIS L−1096のA法による剪断強度を測定した。剪断強度が491N/3cm未満のものは、日除け、ブラインドとして屋外で使用した場合に1年以内で破損の可能性が高く、また施工及びメンテナンスの作業時にメッシュシートが破ける等の問題が起こる可能性が高い。
天然繊維調和み感の評価のための光沢度の測定
JIS Z−8741に準じて、デジタル変角光沢計VG−1D(日本電色工業(株)製)を用いて、入射角度80°にて試験片の裏面を、黒色艶消し標準版によって覆い、初期及び、サンシャインカーボンアーク燈式促進暴露試験(JIS規格A−1415)で500時間耐候促進後及び屋外曝露12カ月後の光沢度を測定した。光沢度10以下のものは、紡績糸を使用した毛羽立った外観と相まって天然繊維のように和み感を有する外観を示した。
遮熱性評価
(試験方法)
高さ5cm×幅10cm×長さ15cmの箱型フレームの4側面と上面部及び底面部とに試験片を貼り付けて固定し、試験箱を準備した。試験箱内部の底面部の中央に熱流量計(Shothrm HFM熱流量計:昭和電工(株)製)のセンサーを取り付けた。次に試験環境として、外気温遮断性と気密性を有する外箱構造体(内径が、高さ45cm×幅35cm×長さ35cm)準備し、外箱構造体の天井中央に白熱ランプ(100V、500Wのフォトリフレクタランプ:デイライトカラー用:東芝(株)製)を取り付けた。試験膜材で被覆した試験箱(比較時には試験膜材の装着がないものを使用)を、この外箱構造体の底面部中央に取り付けて、ランプの中心部と試験箱の中心部を垂直方向に重なるように固定した。箱型構造体内部のランプ先端から試験箱の天井部までの距離は35cmであった。
(評価方法)
試験片を装着していない試験箱を外箱構造体内に入れて密閉状態を形成し、ランプを点灯し、試験箱内部の温度と熱流量(kcal/m2h)とを1分ごとに測定し、30分後の温度と熱流量qn(kcal/m2h)を測定した。外箱構造体内の温度を外気温度まで戻した後、試験片を装着した試験箱を外箱構造体に入れて密閉状態に置き、ランプを点灯し、試験箱内部温度と熱流量(kcal/m2h)を1分ごとに測定し、30分後の温度と熱流量qc(kcal/m2h)を測定し、下記式により遮熱率を求めた。尚、外気温度は20℃の恒温とした。
遮熱率pfは、数値が大きい程、遮熱性が高いものと判断する。
遮熱率pf(%)=〔(qn−qc)/qn〕×100
屋外曝露後の遮熱性評価
幅20cm×長さ2mの試験膜材を、遮熱層側を表側にして、陽当たりの良い南向きに設置した曝露台の傾斜30°方向に展張し、屋外曝露試験を12ヶ月間行った。展張12ヶ月後にサンプル小片を採取し、遮熱性評価を行い、遮熱率pf12を求め、未展張膜材の遮熱率pf0との比較(遮熱率差)を行った。
※屋外展張は、埼玉県草加市内において、3月に開始し、12ヶ月間継続した。
※12ヶ月遮熱率差=pf0−pf12
3:遮熱率の低下が5%未満である。
2:遮熱率の低下が5〜10%未満である。
1:遮熱率の低下が10%以上である。
実施例1
粗目編織物からなる基布として、表面毛羽を有するポリエステル短繊維紡績糸(1182dtex)の3本模紗織り組織を有する粗目状織物:
1182dtex/3×1182dtex/3
───────────────────
7×7(本/25.4mm)
を使用した。下記組成の軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾルを調製した。
<配合1.軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾル組成>
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2.0質量部
Ba−Zn系安定剤 1.5質量部
紫外線吸収剤 0.3質量部
不定形金属酸化物粒子:シリカ被覆不定形ルチル型酸化チタン 20質量部
前記軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾル中に前記粗目編織物からなる基布を浸漬し、マングルで絞った後、180℃で熱処理して遮熱層を形成した。遮熱層の付着量は180g/m2であった。なお、配合1で使用した不定形金属酸化物粒子としては、不定形なルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン94質量%、シリカ6質量%)したものを用いた。その粒子径の分布範囲は0.3〜1.0μm、屈折率は2.75であり、アスペクト比は1.2〜2.5であった。得られた遮熱性メッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める短繊維紡績糸の質量比率は100%であった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
実施例2
実施例1と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、遮熱層上に下記組成の防汚層用樹脂分散液を、60メッシュのグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で2分間乾燥することにより防汚層を設けた。
<配合2.防汚層用樹脂分散液の組成>
アクリル系樹脂(セイコー化成(株)製、商標:ラックスキン
Z−594−2 固形分25%) 100質量部
トルエン(溶剤) 100質量部
得られた遮熱性メッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める表面毛羽を有する短繊維紡績糸の質量比率は100%であった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
実施例3
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、遮熱層を形成する軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾル組成中の不定形金属酸化物粒子の配合量を3質量部とした。得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める表面毛羽を有する短繊維紡績糸の質量比率は100%であった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
実施例4
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、粗目編織物からなる基布として、経糸がポリエステルフィラメント糸(1111dtex)、緯糸が表面毛羽を有するポリエステル短繊維紡績糸(1182dtex)の3本模紗織り組織を有する粗目状織物:
1111dtex/3×1182dtex/3
───────────────────
7×7(本/25.4mm)
を用いた。また、遮熱層上に下記組成の防汚層用樹脂分散液を60メッシュのグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で2分間乾燥することにより防汚層を設けた。
<配合3.防汚層用樹脂分散液の組成>
アクリル系樹脂(セイコー化成(株)製、商標:ラックスキン
Z−594−2 固形分25%) 100質量部
シリカ((株)トクヤマ製、商標:ファインシールX37) 3質量部
トルエン(溶剤) 100質量部
得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める短繊維紡績糸の質量比率は36%であった。得られたメッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
実施例5
粗目編織物からなる基布として、経糸がポリエステルフィラメント糸(1111dtex)、緯糸が表面毛羽を有するポリエステル短繊維紡績糸(1182dtex)の1本とポリエステルフィラメント糸(1111dtex)2本で構成された紗織り組織を有する粗目状織物:
1111dtex/3×1182dtex1111dtex/2
─────────────────────────
7×7(本/25.4mm)
を使用し、ウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の遮熱層用エマルジョンを調製した。なお、配合4で使用した不定形金属酸化物粒子としては、不定形なルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン94質量%、シリカ6質量%)した物を用いた。その粒子径分布は0.3〜1.0μm、屈折率は2.75であり、アスペクト比は1.2〜2.5であった。
<配合4.遮熱層用エマルジョン組成>
ウレタン系樹脂エマルジョン(固形分:30質量%) 100質量部
不定形金属酸化物粒子:シリカ被覆不定形ルチル型酸化チタン 5質量部
紫外線吸収剤 0.5質量部
前記遮熱層用エマルジョン中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して遮熱層を形成した。遮熱層付着量は100g/m2であった。更に遮熱層上に下記組成の防汚層用樹脂分散液を60メッシュのグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で2分間乾燥することにより防汚層を設けた。
<配合5.防汚層用樹脂分散液の組成>
ウレタン系樹脂(セイコー化成(株)製、商標:ラックスキン
U−1475 固形分25%) 100質量部
トルエン(溶剤) 100質量部
得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ36%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める短繊維紡績糸の質量比率はおよそ17.5%であった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
実施例6
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、遮熱層上に下記組成の防汚層用樹脂分散液を60メッシュのグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で2分間乾燥することにより防汚層を設けた。
<配合6.防汚層用樹脂分散液の組成>
フッ素系樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商標:ディフェンサー
TR−230K 固形分16%) 100質量部
トルエン(溶剤) 100質量部
得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める短繊維紡績糸の質量比率は100%であった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
実施例7
粗目編織物からなる基布として、予め緑色に原着され、表面毛羽を有するポリエステル短繊維紡績糸(1182dtex)の3本と模紗織り組織を有する粗目状織物:
1182dtex/3×1182dtex/3
───────────────────
7×7(本/25.4mm)
を使用し、下記組成の遮熱層用エマルジョンを調製した。なお、配合7で使用した不定形金属酸化物粒子としては、不定形なルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン94質量%、シリカ6質量%)した物を用いた。その粒子径分布は0.3〜1.0μm、屈折率は2.75であり、アスペクト比は1.2〜2.5であった。
<配合7.遮熱層用エマルジョン組成>
アクリル系樹脂エマルジョン(固形分:45質量%) 100質量部
不定形金属酸化物粒子:シリカ被覆不定形ルチル型酸化チタン 10質量部
紫外線吸収剤 0.5質量部
前記遮熱用エマルジョン中に、前記着色粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して遮熱層を形成した。遮熱層付着量は100g/m2であった。更に遮熱層上に下記組成の接着層用樹脂分散液を60メッシュのグラビアコーターによりコーティング加工し、100℃で2分間乾燥することにより接着層を設けた。その上に更に、下記組成の光触媒防汚層形成用塗布液を60メッシュのグラビアコーターによりコーティング加工し、100℃で2分間乾燥することにより光触媒防汚層を形成した。
<配合8.接着層用樹脂分散液の組成>
シリコン含有量3mol%のアクリルシリコン樹脂を8質量%(固形分)
含有するエタノール−酢酸エチル(50/50質量比)溶液 100質量部
メチルシリケートMS51
(コルコート(株)製)の20%エタノール溶液(ポリシロキサン) 8質量部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤) 1質量部
<配合9.光触媒防汚層形成用塗布液>
酸化チタン含有量10質量%に相当する硝酸酸性酸化チタンゾルが
分散している水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
酸化珪素含有量10質量%に相当する硝酸酸性シリカゾルが
分散している水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ36%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める短繊維紡績糸の質量比率は100%であった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
実施例8
実施例2と同様にメッシュシートを作製した。但し、粗目編織物からなる基布として、278dtexのポリエステルフィラメント糸を芯成分として、鞘成分に1.6dtexでステープル長100mmの、表面毛羽を有するポリエステル短繊維紡績糸を質量比65/35になるように絡ませた芯鞘構造の複合糸を2本撚りあわせた撚糸(855dtex)の3本模紗織り組織を有する粗目状織物:
855dtex/3×855dtex/3
─────────────────
11×11(本/25.4mm)
を用いた。遮熱層付着量は180g/m2であった。更に、遮熱層上に下記組成の添加剤移行防止層形成用塗布液を60メッシュのグラビアコーターによりコーティング加工し、100℃で2分間乾燥することにより添加剤移行防止層を形成した。更に前記添加剤移行防止層の上に、実施例7と同様の配合8の接着層と配合9の光触媒防汚層とを順次に積層した。
<配合10.添加剤移行防止層形成用塗布液>
ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂
(商標:カイナー7201:エルフ・アトケム・ジャパン(株)製) 20質量部
シリカ(商標:ニップシールE−75:東ソ・シリカ(株)製) 5質量部
MEK(溶剤) 80質量部
得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ44%であった。前記粗目編織物からなる基布に占める短繊維紡績糸の質量比率は35%であった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
比較例1
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、粗目編織物からなる基布として、ポリエステルマルチフィラメント糸(1182dtex)の3本模紗織りからなり、表面毛羽のない粗目状織物:
1182dtex/3×1182dtex/3
───────────────────
7×7(本/25.4mm)
を用いた。
遮熱層付着量は180g/m2で、得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であった。ポリエステルフィラメント糸基布が用いられているため、繊維糸条のバルキー性が不十分であり、表面の毛羽立ちが悪く樹脂被覆を施した時に光沢度が高く、天然繊維調とは似つかない外観を有し、和み感に乏しいメッシュシートであった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
比較例2
実施例2と同様にしてメッシュシートを作製した。但し、遮熱層を形成せず、防汚層のみを基布上に形成した。得られたメッシュシートは僅かな樹脂被覆で遮熱効果も無く、屋外使用での耐候耐久性や巻上げ使用による動的耐久性に劣るものであった。得られたメッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
比較例3
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾル組成に不定形金属酸化物粒子である酸化チタンを配合しなかった。得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であったが、遮熱層中に不定形金属酸化物粒子が配合されていないため、遮熱効果が低いものであった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
比較例4
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾル組成に配合した不定形金属酸化物粒子である酸化チタンを、ルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン92質量%、シリカ8質量%)した粒子(顔料用酸化チタン粒子)に変更した。その粒子径分布は0.1〜0.5μm、屈折率は2.75であり、アスペクト比は1.0〜1.5であった。得られた遮熱性メッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であったが、用いた酸化チタンの粒子径分布が0.3未満の粒子を多く含む顔料用酸化チタンを用いたため、近赤外線に対する散乱効果が低く、遮熱効果の低いものであった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
比較例5
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾル組成に配合した不定形金属酸化物粒子である酸化チタンを、不定形なルチル型酸化チタンをシリカでコーティング(酸化チタン95質量%、シリカ5質量%)して得られ、粒子径分布は0.5〜2.0μm、屈折率は2.75であり、アスペクト比は1.0〜8.0の不定形金属酸化物粒子に変更した。得られたメッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ50%であったが、用いた不定形金属酸化物粒子のアスペクト比が1.0〜8.0であり、アスペクト比が3を超える粒子を多く含んでいるため赤外線の散乱効果が不十分であって、遮熱効果の低いものであった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
比較例6
実施例2と同様にして遮熱性メッシュシートを作製した。但し、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂ゾル組成に添加する不定形金属酸化物粒子の配合量を100質量部とした。得られた遮熱性メッシュシートにおける遮熱層付着量は250g/m2で、遮熱層の質量比率は、およそ58%であり、得られたメッシュシートの遮熱性は格段に向上したが有彩色の着色が困難で、無機材料の含有量が多いことによる熱可塑樹脂の強度低下により動的耐久性に劣るものとなった。得られたメッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
比較例7
実施例2と同様にして遮光性メッシュシートを作製した。但し、遮熱層付着量を300g/m2に変更し、遮熱層の上に施す防汚層を下記の防汚層用樹脂分散液の組成に変更した。
<配合11.防汚層用樹脂分散液の組成>
アクリル系樹脂(セイコー化成(株)製、商標:ラックスキン
Z−594−2 固形分25%) 100質量部
シリカ(商標:ニップシールE−75:東ソ・シリカ(株)製) 5質量部
トルエン(溶剤) 100質量部
得られた遮熱性メッシュシートにおける遮熱層の質量比率は、およそ63%であり、熱可塑性組成樹脂から成る遮熱層の付着量が増えたため、得られたメッシュシートの遮熱性、耐候耐久性は良好なものであったが、基布を被覆する被覆層樹脂付着が多いため、短繊維紡績糸の毛羽立ちが無くなりフラットな外観になり、天然繊維調とはかけ離れた外観となり、艶消し防汚層を施したにも係わらず、光沢度が高く、和み感に乏しい製品となった。得られた遮熱性メッシュシートの評価結果を表1〜4に示す。
Figure 2008196085
Figure 2008196085
Figure 2008196085
Figure 2008196085
実施例1〜8で得た遮熱性メッシュシートはいずれも高い透視性を有しながら、初期遮熱率が20以上の良好な遮熱性を示し、さらに遮熱層上に防汚層を設けることにより遮熱効果の持続性が飛躍的に向上した。
実施例3と比較例3を比較すると、不定形金属酸化物粒子の添加量が僅かでも、それを配合されることにより、初期遮熱率20を超え良好な遮熱性を示すことが明らかである。
比較例1,7に示されている様に、短繊維紡績糸の表面毛羽立ちが失われると、遮熱性や耐候耐久性は良好でも、光沢度が高く、天然繊維調には程遠く、和み感の無いものとなることが確認された。
比較例4,5に示されている様に、不定形金属酸化物粒子の粒子径分布に0.3μm未満の粒子を多く含むものであったり、不定形金属酸化物粒子のアスペクト比において3.0を超える粒子を多く含むものであると、近赤外線の散乱効果が不十分になり、遮熱率が低くなることが確認された。
比較例6に示されている様に、遮熱層中の不定形金属酸化物粒子の配合量が過多であると、熱可塑性樹脂の強度が低下して動的耐久性に劣るものとなってしまうことが確認された。
本発明の天然繊維調メッシュシートにおいて、表面毛羽を有する短繊維紡績糸を含むメッシュシート基布を用いることと、熱可塑性樹脂と粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0の不定形金属酸化物粒子からなる遮熱層を、メッシュシートに対して20〜60質量%の付着比率に調整することにより、短繊維紡績糸の毛羽立ちを活かして樹脂被覆層を備えながらも光沢度を低く抑えることができ、天然繊維外観に近いクロス調の和み感を付与することができ、生なりの外観で使われる日除け用シートと同等な外観を持ちながら屋外使用で高い耐候耐久性を付与することが可能になった。また、熱可塑性樹脂層に添加した不定形金属酸化物粒子の効果により遮熱性が向上し、更にその遮熱層上に防汚層を積層することにより屋外使用で汚れに曝されても高い遮熱効果が持続するようになった。本発明の遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシートは特に屋外で使用される日除け等のエクステリア用途、あるいは室内で用いるブラインド等のインテリア用途の材料として実用性に優れたものである。

Claims (3)

  1. 表面毛羽を有する短繊維紡績糸を含む繊維糸条からなる粗目編織物を基布とし、この基布を含浸・被覆する遮熱層を有し、
    前記遮熱層が、i)熱可塑性樹脂と、ii)粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0の、不定形金属酸化物粒子とを含み、その含浸被覆量が、前記基布と遮熱層との合計質量に対し、20〜60質量%であり、かつ、前記不定形金属酸化物粒子の含有量が前記遮熱層の質量に対し、1〜30質量%であることを特徴とする、遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシート。
  2. 前記不定形金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化スズ、及び酸化インジウムの粒子から選ばれた1種以上である、請求項1に記載の遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシート。
  3. 前記遮熱層上に防汚層が形成されている、請求項1又は2に記載の遮熱性に優れた天然繊維調メッシュシート。
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