JP2011093280A - 近赤外線遮蔽性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明、着色透明、着色半透明、着色不透明等、色相面の自由度が高く、可視光領域の光線透過性が高く、優れた近赤外線遮蔽性、及び遮熱性を有する、近赤外線遮蔽性シート、及びその製造方法の提供。
【解決手段】本発明の近赤外線遮蔽性シートは、合成樹脂ブレンドによる非相溶混合物からなる海島構造を有し、さらに前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含有する近赤外線遮蔽層を含む可撓性シートである。前記海島構造は、合成樹脂非相溶対により構成し、この合成樹脂非相溶対を成す一方をタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子含有合成樹脂として、このタングステン微粒子含有合成樹脂と、前記合成樹脂非相溶対を成すもう一方の合成樹脂とを混合して、海成分または島成分のいずれか一方にタングステン微粒子を含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は近赤外線遮蔽性を有するシート及びその製造方法に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、可視光領域の光線透過性が高く、透明、着色透明、半透明、着色半透明、着色不透明等、透視性および色相面の自由度が高く、しかも優れた近赤外線遮蔽性を有することで、遮熱性及び赤外線ノイズ遮蔽性に優れ、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、農園芸用シート、ブラインド、シートシャッター、間仕切り、照明シェード、光天井用膜材、内照式看板用膜材等に好適に用いられる、近赤外線遮蔽性シート及びその製造方法に関するものである。
可撓性樹脂性のシート、あるいは繊維基布に可撓性樹脂を被覆したシートは、日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、農園芸用シート、ブラインド、シートシャッター、間仕切り、照明シェード、内照式看板用膜材等広い分野で利用されている。しかしながら、従来のシートは、太陽光線に含まれる近赤外線を遮蔽する能力が低く、これらのシートを例えばテント倉庫に用いた場合、夏場の強い太陽光線の下では内部の温度が極度に高くなって、人が長時間作業することが困難であり、またそれを日除けテントに用いた場合は、まぶしさを防ぎ、紫外線を減少させる効果はあるけれども、冷涼効果に関してはほとんど認められないのが実情であった。また、近赤外線の弊害は上記の様な温度上昇に関するものばかりではなく、近年では近赤外線を利用したリモコンやセンサーの誤動作や、データ通信のノイズの原因としても注目されている。近赤外線は、例えば、テレビ、エアコンなど電気・電子機器を制御するためのリモコン、自動扉、自動改札、防犯装置、カメラなどに付属するセンサー類、携帯電話、パソコン、音響機器などの光無線データ通信、などに広く利用されているが、太陽輻射線に含まれる近赤外線や、インバーター蛍光灯から放出される近赤外線によって、上述したリモコン、センサーの誤動作や、データ通信速度の低下を引き起こすことがある。この様ないわゆる赤外線ノイズが問題となるのは主に屋内である。ノイズは窓から侵入する日光や、天井に設置された照明装置から発生するだけでなく、最近では駅構内、地下商店街、それらに付随する通路、その他公共施設内に設置された内照式の看板や案内板も、ノイズ発生源となっており、それらを遮蔽し、且つ、可視光領域の光線透過性の高いシートが求められている。
温度上昇の対策としては、例えば酸化チタン等の白色顔料を可撓性樹脂層に練り込んだ白色のシートを用いれば、太陽輻射に含まれる近赤外線を散乱させ、遮熱性を示すことが知られている。このような白色シートの実用化において、特別な附帯加工を必要としないので安価に遮熱性を得ることができるが、白色顔料を多量に必要とすることにより、光線透過率が低くなり、例えばこの様なシートを用いたテント倉庫内部では、日中でも照明が必要となるという問題があった。この他の遮熱性シートとしては、可撓性樹脂層に金属粉末を練り込む方法(例えば、特許文献1および2参照)も行われているが、これらも前記白色顔料を用いたシートと同様に、採光性及び色相選択の自由度が低いものであった。しかも、白色顔料や金属粉末を練りこんだシートは、屋外で用いられた場合は反射がまぶしく景観上の問題も有していた。顔料を用いる遮熱技術として、例えば、白色顔料を、近赤外線反射性および/または近赤外線透過性色素により被覆した有彩色及び黒色の複合顔料(例えば、特許文献3参照)が知られている。この顔料は、近赤外線に対して反射性を有する白色顔料を、近赤外線に対して吸収のない有機色素で被覆する事により、可視光線領域における着色と近赤外線領域の反射とを両立させたものである。これによれば、シートの色相をある程度自由に選択でき、さらに所望の遮熱性も得ることができ、しかも着色により屋外使用における眩しさを軽減できるが、これらの顔料をシートの可撓性樹脂にそのまま練りこむのでは、白色顔料を用いた場合同様遮光性が大きいため、所望の採光性を得ることができないという問題点があった。この他、平均粒子径300nm〜2000nm、屈折率1.3〜3.0の白色顔料に、有機の赤外線反射性顔料、又はSi、Zr、Mg、Ca、Fe、Mn等の元素の酸化物、複酸化物、炭化物及び窒化物等を被覆した、遮熱性顔料を含む遮熱塗料(例えば、特許文献4参照)も提案されている。この遮熱塗料に含まれる顔料は300nm〜2000nmの粒子径を有することで、可視光線の散乱が低下し近赤外線が効果的に散乱され、塗料に用いた場合色相にあまり影響を与えずに遮熱性が得られるものであるが、少量の添加では遮熱性が不充分であり、大量に加えると遮光性が大きくなるため、テント等のシートに用いたとき、遮熱性と採光性を共に得ることは困難であった。
また、断熱性を付与するために、シートの構成の中に発泡層を設けることも知られているが、これは発泡セルによりシートの熱伝導を抑えるものであり、近赤外線がシートを透過してしまうと充分な遮熱効果が得られないので、遮熱効果を高めるためには、膜材中に顔料、充填剤などを多量に添加したり、或は発泡層を厚くする必要があり、このようにすると採光性が低くなるという問題があった。その発泡層を部分的に圧縮して、この圧縮部分で採光性を高めるという方法も提案されているが(例えば、特許文献5参照)、圧縮部分の面積が多すぎれば結果的に遮熱効果が低下してしまい、少なければ透光性が不足するという問題があった。さらに、発泡層を有する膜材は、その厚さが厚いために取り扱い性が悪く、また、機械的強度も不充分となるため、テントなどの膜構造物には不適切な材料であった。金属薄膜や金属酸化物薄膜の赤外線反射性を応用する検討もなされており、例えば、粗目編織物に金属箔を転写させることにより、金属充実部(粗目編織物の糸部分)と金属欠如部(粗目編織物の目あき部分)を設け、この粗目編織物の金属転写側に透明フィルム層を貼り、その反対側に基体シートを形成することにより、遮熱効果と採光効果の両方を高めることが知られている(例えば、特許文献6参照)。この構成の膜材においては、透明フィルム層及び/又は基体シートに着色することにより色相をある程度自由に設定する事が可能となるが、金属を転写した側では金属光沢を伴う光輝性の高い色調しか選択する事ができず、色相の自由度としては不充分なものであり、それに加えて、耐候性が不充分であるという問題があった。その他の遮熱膜材として、真空蒸着又はスパッタリング法等によりインジウム/スズ酸化物(ITO)やアンチモン/スズ酸化物(ATO)等金属酸化物薄膜、金属薄膜、もしくは金属薄膜を透明高屈折率物質薄膜で挟んで形成された遮熱層を有する透明遮熱薄膜(例えば、特許文献7〜9参照)が知られており、この遮熱層は、可視光線を透過し赤外線は反射するという機能を持っているため、これらをシート表面に形成すれば、シートの色相を自由に選択でき、可視光線透過率にもさほど影響を与えることなく遮熱性を付与する事が可能となる。さらに、金属薄膜または金属酸化物薄膜と、金属酸化物の微細粒子または近赤外線吸収性色素を含む可撓性樹脂層を組み合わせた採光性遮熱シート(例えば、特許文献10参照)も提案されており、この構成によれば、それぞれの遮熱性を合わせた効果が期待される。しかし、真空蒸着又はスパッタリング法を用いる遮熱層の形成には、大がかりな減圧設備を必要とするので汎用性に乏しく、しかも可塑剤や添加物を多量に含む肉厚のシートに、前記遮熱層を含ませるという技術応用は困難なものであった。タングステン酸化物の微粒子をアクリル樹脂溶液中に分散し、乾燥により溶媒を除去して得たタングステン酸化物微粒子分散体を、アクリル樹脂と相溶性の高い塩ビ樹脂に練りこむことで、タングステン酸化物微粒子が塩ビ樹脂中に均一に分散した塩ビフイルムを得る試みも行われている。(例えば特許文献11参照)。この方法によれば、アクリル樹脂が塩ビ樹脂に溶け込む様に混ざり合い、タングステン酸化物微粒子が塩ビ樹脂中に均一分散した近赤外線吸収フィルムを得ることが可能となる。しかしこの場合、均一分散により、得られるフィルムの物理的強度の向上は図れるが、近赤外線遮蔽性や採光性については大きな改善は得られず、タングステン酸化物微粒子が実質的に塩ビ樹脂中に直接分散しているのと同等であった。
一方、赤外線ノイズ対策としては、赤外線を利用する機器の側のノイズ耐性を向上する試み(例えば、特許文献12参照)が開示されているが、ノイズ対策を完璧にした場合、逆に本来必要な信号に対する感度が低くなる場合があり、機器の感度を上げるとノイズの影響を受けやすくなるなど、機器の側への対策では根本的に問題を解決することが困難であった。窓から侵入する太陽光に含まれる近赤外線に対しては、カーテンやブラインドで遮蔽することが可能であるが、近赤外線を遮蔽すれば可視光線も遮蔽されてしまうため、十分な遮蔽効果を得るためには昼間でも別途照明が必要となる問題があった。可視光の量を調節するためにレース地のカーテンや薄手のロールブラインドを用いる場合には、透過する可視光線の量に応じて近赤外線も透過する問題があり、縦型(バーティカル)ブラインドや横型ブラインドで、ハネの角度によって太陽光が直接侵入しないように調節しても、やはりハネの表面で反射して侵入する近赤外線の量は可視光線の量に応じて増減し、レース地のカーテンや薄手のロールブラインドと同様の問題を有していた。近赤外線吸収粒子を含有した塗料を用いて、近赤外線を吸収し、かつ可視光線を透過する試みも提案されている。(例えば特許文献13および14参照)この塗料を塗布したシートをブラインドや照明カバーなどに用いれば、屋内における赤外線ノイズの影響を低減することが可能である。しかし、この様な塗膜は、一般に非常に薄く、十分な効果が得られないことがあり、また、溶剤や水に可溶な樹脂をバインダーとする溶液を塗布乾燥した塗膜では、その薄さにより耐久性が不足するため、通常は紫外線、電子線などで硬化した塗膜が求められるが、その様な塗膜を形成するためには特別な設備が必要であり、製造面で汎用性に乏しいものであった。以上の様に現在までのところ、近赤外線遮蔽性、遮熱性、および採光性に優れ、しかも彩色の自由度が高いシートはまだ提供されていない。
特開平8−49171号公報 特開平6−146166号公報 特開2002−249676号公報 特開2005−97462号公報 特公昭57−55066号公報 特公平4−60428号公報 特開昭51−66841号公報 特公昭63−5263号公報 特公平6−28938号公報 特開2003−251728号公報 特開2009−144037号公報 特開2002−99932号公報 特開2006−154516号公報 特開2006−201463号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、透明、着色透明、着色半透明、着色不透明等、色相面の自由度が高く、可視光領域の光線透過性が高く、優れた近赤外線遮蔽性を有し、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、農園芸用シート、ブラインド、シートシャッター、間仕切り、照明シェード、光天井用膜材、内照式看板用膜材等に好適に用いられる、近赤外線遮蔽性シート、及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討の結果、近赤外線遮蔽層を含む可撓性シートにおいて、前記近赤外線遮蔽層を合成樹脂ブレンドによる非相溶混合物からなる海島構造とし、前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方にタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含有させる事により、近赤外線遮蔽層全体にこれらの微粒子を含ませるのと同等以上の遮熱性及び近赤外線遮蔽性を有しながら光線透過性が高く、しかも色相の自由度が高い、近赤外線遮蔽性シートが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の近赤外線遮蔽性シートは、近赤外線遮蔽層を含む可撓性シートであって、前記近赤外線遮蔽層が、合成樹脂ブレンドによる非相溶混合物からなる海島構造を有し、さらに前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含有するものである。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、前記海島構造において、海成分を構成する合成樹脂の屈折率と島成分を構成する合成樹脂の屈折率に差を有し、その屈折率差が0.04以上であり、かつ、前記海成分中に分散する前記島成分の平均粒子径が0.4〜20.0μmである、事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方の相がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含み、かつ、もう一方の相が非タングステン無機金属酸化物粒子を含む、事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートにおいて、前記非タングステン無機金属酸化物粒子が、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、ジルコニウム酸化物、インジウム酸化物、三酸化アンチモン、クロム酸化物、鉄酸化物、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ及び、金属複合酸化物から選ばれた1種以上を含む事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、前記可撓性シートが、繊維基布を含む積層体である事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、前記繊維基布がガラス繊維、シリカ繊維およびアルミナ繊維から選ばれた少なくとも1種の無機繊維から構成され、前記積層体において、コーンカロリーメーター試験法(ASTM−E1354)において前記光拡散透過性シートに対して輻射電気ヒ−タ−による輻射熱を、50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない不燃特性を有することが好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、前記近赤外線遮蔽層上に防汚層が設けられ、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)による、1000時間後の光沢度(JIS K7105.5.2)保持率が、80〜100%である事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、前記近赤外線遮蔽層上に防汚層が設けられ、屋外曝露前と1年後との色差ΔE(JISK7105.5.4)が、0.1〜5.0である事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、前記防汚層が、光触媒性物質を含む事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートの製造方法は、近赤外線遮蔽層が海島構造を有する可撓性シートにおいて、前記海島構造を合成樹脂非相溶対により構成し、この合成樹脂非相溶対を成す一方をタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子含有合成樹脂として、このタングステン微粒子含有合成樹脂と、前記合成樹脂非相溶対を成すもう一方の合成樹脂とを混合して、前記海成分中に分散する前記島成分の平均粒子径を0.4〜20.0μmとし、さらに海成分または島成分のいずれか一方にタングステン微粒子を含有させる事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートの製造方法は、前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方の相がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含み、かつ、もう一方の相が非タングステン無機金属酸化物粒子を含む事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートの製造方法は、前記可撓性シートが、繊維基布を含む積層体であって、前記繊維基布の少なくとも1面以上に前記近赤外線遮蔽層が積層されている事が好ましい。本発明の近赤外線遮蔽性シートの製造方法は、前記繊維基布が、ガラス繊維、シリカ繊維およびアルミナ繊維から選ばれた少なくとも1種の無機繊維かななる不燃性繊維基布であり、かつ、前記可撓性シートが(ASTM−E1354)不燃性を有する事が好ましい。
本発明によれば、可視光領域の光線透過性が高く、透明、着色透明、半透明、着色半透明、着色不透明等、透視性および色相面の自由度が高く、しかも優れた近赤外線遮蔽性を有するシートを、特別な生産設備を必要とせず、生産性良く、製造して提供することが可能となる。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、明るくて涼しい環境を提供したり、赤外線ノイズを低減する事が可能であるため、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、テント倉庫、イベント向けテント、トラック幌、農園芸用シート、ブラインド、シートシャッター、間仕切り、照明シェード、光天井用膜材、内照式看板用膜材等に好適に用いることができる。
本発明の近赤外線遮蔽性シートの一例を示す図 本発明の近赤外線遮蔽性シートの一例を示す図 島成分がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化 物微粒子を含む近赤外線遮蔽層を示す図 海成分がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化 物微粒子を含む近赤外線遮蔽層を示す図 島成分がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化 物微粒子を含み、海成分が非タングステン無機金属酸化物粒子を含む近赤外線 遮蔽層を示す図 海成分がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化 物微粒子を含み、島成分が非タングステン無機金属酸化物粒子を含む近赤外線 遮蔽層を示す図
本発明の近赤外線遮蔽性シートは、近赤外線遮蔽層を含む可撓性シートであって、前記近赤外線遮蔽層が、合成樹脂ブレンドによる非相溶混合物からなる海島構造を有し、さらに前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子(以下これらを併せてタングステン微粒子と記すことがある)を含有するものである。また、本発明の近赤外線遮蔽性シートの製造方法は、近赤外線遮蔽層が海島構造を有する可撓性シートにおいて、前記海島構造を合成樹脂非相溶対により構成し、この合成樹脂非相溶対を成す一方をタングステン微粒子含有合成樹脂として、このタングステン微粒子含有合成樹脂と、前記合成樹脂非相溶対を成すもう一方の合成樹脂とを混合して、前記海成分中に分散する前記島成分の平均粒子径を0.4〜20.0μmとし、さらに海成分または島成分のいずれか一方にタングステン微粒子を含有させるものである。
本発明の近赤外線遮蔽性シートは少なくとも1層の近赤外線遮蔽層を含む可撓性シートであって、その形態は、樹脂シート(樹脂フィルム)、ターポリン、帆布等の防水性シート、またはメッシュシートである。このうち樹脂シートは、カレンダー成型法、Tダイス押出法、あるいはキャスティング法により製造することができ、近赤外線遮蔽層単層であっても良く、近赤外線遮蔽層を含む複数の樹脂シートを積層した積層体であっても良い。また、ターポリン、帆布等の防水性シート、およびメッシュシートは、近赤外線遮蔽層と繊維基布を積層した積層体である。帆布やメッシュシートは、有機溶剤に可溶化した可撓性樹脂、水中で乳化重合された可撓性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは可撓性樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、等を用いるディッピング加工(繊維布帛への両面加工)、及びコーティング加工(繊維布帛への片面加工、または両面加工)等によって製造することができ、これらのディッピング加工層、コーティング加工層の少なくとも1層が近赤外線遮蔽層であれば良い。ターポリンはカレンダー成型法、Tダイス押出法またはキャスティング法により成型されたフィルム又はシートを、繊維基布の片面または両面に接着層を介在して積層する方法、あるいは繊維布帛の両面に目抜け空隙部を介して熱ラミネート積層する方法により製造することが好ましく、さらにディッピング加工、またはコーティング加工と、フィルム積層の組み合わせ方法によっても実施可能であり、これらのフィルム又はシート、ディッピング加工層、コーティング加工層の少なくとも1層が近赤外線遮蔽層であれば良い。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、不透明着色もしくは透明着色樹脂シート、不透明着色もしくは透明着色ターポリン、および帆布の場合、その光線透過率(JISZ8722.5.4(条件g))は3〜35%、透明樹脂シート、透明ターポリン、およびメッシュシートの場合10〜80%であることが好ましい。
本発明の近赤外線遮蔽性シートは、強度、耐久性、寸法安定性などを付与するために、繊維基布を含む積層体、具体的には上述のターポリン、帆布、およびメッシュシートである事が好ましい。繊維基布に用いられる繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維、木綿、麻などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維が挙げられ、これらは単独または2種以上からなる混用繊維によって構成されていてもよい。その形状はマルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条などいずれであってもよい。本発明に使用される繊維基布は、織布、編布、不織布のいずれでもよい。織布を用いる場合、平織、綾織、繻子織、模紗織などいずれの構造をとるものでもよいが、平織織物は、得られる近赤外線遮蔽性シートの縦緯物性バランスに優れているため好ましく用いられる。編布を用いるときはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく用いられる。これら編織物は、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物(空隙率は最大80%、好ましくは5〜50%)、及び非粗目状編織物(糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。不織布としてはスパンボンド不織布などが使用できる。繊維基布には必要に応じて撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理などが施されていても良い。
上記の内特にガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる非粗目状の編織物を繊維基布として用いることで、建築基準法に規定される不燃性を有する近赤外線遮蔽性シートを得ることが可能となる。具体的には、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことを満足する不燃性を有する近赤外線遮蔽性シートであり、例えばガラス繊維織布(目付質量200〜300g/m 、空隙率1%以下の非目抜け平織)を繊維基布として、この1面以上に近赤外線遮蔽層を設けることで得られる。この不燃性を有する近赤外線遮蔽性シートは、特に高層ホテル、インテリジェントビル、ステーションビル、エアポート、駅舎構内、地下街通路、大型商業施設、アミューズメント施設、冠婚葬祭式場、総合病院、及び各種公共施設などにおける大面積の天井、エレベーターかご内の天井、及び鉄道車両の天井などに設置された照明用シェードや、光天井用膜材に用いることができ、また、屋内外に設置され、不燃性を要求される内照式看板用の膜材にも用いることができる。
本発明において、近赤外線遮蔽層は、合成樹脂ブレンドの溶融、または合成樹脂ブレンドの液状合成樹脂の攪拌混合物により公知の加工方法によって成型される。本発明で好ましく用いられる合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂(PE,PPなど)、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂(PET,PEN,PBTなど)、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など、光線透過率が高く可撓性のある熱可塑性樹脂および硬化性樹脂が挙げられる。
本発明の近赤外線遮蔽層は、合成樹脂ブレンドによる非相溶混合物からなる海島構造を有し、この合成樹脂ブレンドの組み合わせについて、非相溶であれば特に制限はない。非相溶の組合せ例としては、塩化ビニル樹脂とポリエチレン、塩化ビニル樹脂とポリプロピレン、塩化ビニル樹脂とスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂とスチレン系共重合樹脂、塩化ビニル樹脂とシリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂とフッ素含有共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂とビニルエステル樹脂、ポリスチレンとポリエチレン、ポリスチレンとポリプロピレン、ウレタン樹脂とポリエチレン、ウレタン樹脂とポリプロピレン、ポリエステル樹脂とポリエチレン、ポリエステル樹脂とポリプロピレン、ポリアミドとポリカーボネート、アクリル樹脂とポリスチレン、アクリル樹脂とポリカーボネート、ポリアミドとスチレン樹脂、ポリアミドとポリプロピレンなど2種類の合成樹脂のブレンドが好ましい。これらの非相溶の可撓性樹脂対に対して、さらに別種の可撓性樹脂を含有することもできる。
これらの非相溶混合物は相分離構造を示す白濁概観の海島構造であることが好ましい。この海島構造において海成分と島成分は種類の異なる樹脂で構成され、例えば合成樹脂Aと合成樹脂Bからなる非相溶混合物において、合成樹脂Aと合成樹脂Bとの比率設定により、海成分を合成樹脂Aで構成し、島成分を合成樹脂Bで構成することができ、また海成分を合成樹脂Bで構成し、島成分を合成樹脂Aで構成することもできる。海島構造を有し、海成分または島成分のいずれか一方がタングステン微粒子を含んでいることで、樹脂全体が均一にタングステン微粒子を含むシートに比べて高い光線透過率を得る事ができる。島成分を構成する合成樹脂の比率は、海成分を構成する合成樹脂の体積に対して3〜50体積%が好ましく、5〜40体積%がより好ましい。海島構造を有する近赤外線遮蔽層全体に対する島成分含有率は2.9〜33.3体積%が好ましく、4.7〜28.6体積%がより好ましい。海島構造を有する近赤外線遮蔽層全体に対する島成分含有率が2.9体積%未満では、島成分にタングステン微粒子が島成分に含まれる場合の近赤外線遮蔽効果が不十分になる事があり、海成分にタングステン微粒子が含まれる場合には、海島構造を有さない場合と光線透過率に差が無くなる。一方33.3体積%を超えると、近赤外線遮蔽層の樹脂強度が低下し、得られるシートの強度や耐久性が低くなるので好ましくない。また非相溶の可撓性樹脂対A−Bに対して、さらに別種の可撓性樹脂Cを含有する場合、海島構造において島成分が可撓性樹脂Bによる島成分と可撓性樹脂Cによる島成分で構成されてもよく、同様に島成分が可撓性樹脂Aによる島成分と可撓性樹脂Cによる島成分で構成されてもよい。本発明において海島構造を有する近赤外線遮蔽層の厚さは、0.05〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。
本発明の海島構造を有する近赤外線遮蔽層において、海成分または島成分のいずれか一方がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含んでいる。海成分または島成分のいずれか一方にこれらのタングステン微粒子を含む近赤外線遮蔽層を形成するには、例えば、非相溶混合物を構成する2種類の合成樹脂を含むゾル、溶液、分散液、未硬化液等の樹脂混合液のいずれか一方に微粒子を分散し、この微粒子分散樹脂混合液と微粒子非分散樹脂混合液を合わせて撹拌混合して、島成分の平均粒子径を0.4〜20.0μmに調製した非相溶樹脂混合物液を、繊維基布に対してディッピング加工あるいはコーティング加工により被覆する方法や、非相溶混合物を構成する2種類の合成樹脂のいずれか一方にあらかじめ微粒子を分散し、微粒子非分散合成樹脂と微粒子分散合成樹脂とを溶融混合して、島成分の平均粒子径を0.4〜20.0μmに調製した非相溶樹脂混合物を、カレンダー成型法、またはTダイス押出法によりシートに成型したり、得られたシートを繊維基布に積層する方法などを採ることができる。これらの方法により、微粒子分散海成分と微粒子非分散島成分による構成、または微粒子非分散海成分と微粒子分散島成分による構成の近赤外線遮蔽層を得ることができる。本発明の混合物では微粒子分散合成樹脂成分は非相溶対の微粒子非分散合成樹脂成分と交じり合うことは無いから、微粒子分散合成樹脂成分に含まれる微粒子が、微粒子非分散合成樹脂成分側に混入する事は無い。また本発明の近赤外線遮蔽性シートにおいて近赤外線遮蔽層は、海成分または島成分のいずれか一方がタングステン微粒子を含んでいることで、良好な赤外線遮蔽性を得ながら、近赤外線遮蔽層全体に含むのに比べて光線透過性を向上させることができ、更に、高価なタングステン微粒子の使用量を減らすことでコスト面でも有利である。また、これらタングステン微粒子を含む樹脂層は通常青みの色調を帯び、また、可視領域の光線透過率も下がるため、その影響を抑えるには、島成分にタングステン微粒子を含むことが好ましい。島成分にタングステン微粒子を含むことで、海成分に着色しなければ可視領域の光線透過率の高い近赤外線遮蔽性シートを得ることができ、海成分に着色を施せば所望の色調の近赤外線遮蔽性シートを得ることができる。
本発明の海島構造を有する近赤外線遮蔽層において、可視光領域の光380〜780nmをあまり散乱させず、780nmを超える近赤外線をより多く散乱させることができれば、光線透過率が向上し、近赤外線遮性も向上する効果が期待できる。その様な効果を得るためには、島成分の平均粒子径が0.4〜20μmであり、かつ、海成分と島成分の屈折率差が0.04以上であることが好ましい。海成分と島成分の屈折率が異なることで、界面における屈折散乱現象により光が散乱される。海成分と島成分の屈折率は、いずれの側が高くてもかまわないが、海成分よりも島成分の屈折率が高いことが好ましい。海成分と島成分の屈折率差が0.04未満であると、界面における屈折散乱現象が充分に起こらず、充分な近赤外線散乱効果が得られず、近赤外線遮蔽性が向上しないことがある。島成分の好ましい平均粒子径は、海成分と島成分の屈折率差によって異なり、例えば屈折率差が0.05であれば、島成分の平均粒子径は5〜19μmである事が好ましく、屈折率差が0.2であれば、島成分の平均粒子径は1〜5μmであることが好ましい。島成分の平均粒子径が0.4μm未満であると、界面における屈折散乱現象により可視光領域の一部で光の散乱が大きくなり、光線透過率が低下したり、可視領域の光を部分的に散乱することにより、近赤外線遮蔽層が着色されているように見えることがある。島成分の平均粒子径が20μmを超えると、可視光線全域に亘る散乱を起こし、光線透過率が低下することがある。島成分の形状は球状、歪んだ球状、碁石状、ラグビーボール状などである。なお、屈折率はD線を光源とするアッベ屈折率計により求めることができる。また、島成分の平均粒子径は、顕微鏡拡大写真から一定面積中に分布する島成分の径を測定し、平均する事で求められる。
本発明に用いられるタングステン酸化物は、WyOzで表記したとき(ただしW:タングステン、O:酸素)、2.2≦z/y<3.0である事が好ましい。三酸化タングステン(WO)中には有効な自由電子が存在しないため近赤外線領域の吸収反射特性が少なく、近赤外線遮蔽材料としてはあまり有効ではない。z/yが2.2以上であれば、タングステン酸化物中にWOの結晶相が現れるのを回避することが出来ると伴に、材料としての化学的安定性を得ることが出来る。本発明に用いられる複合タングステン酸化物微粒子は、式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Csの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素)で表され、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3であることが好ましい。タングステン酸化物へ、元素Mを添加して複合タングステン酸化物とすることで、複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効となる。ここで、元素Mの添加量を示すx/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることが出来る。元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、近赤外線遮蔽効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該赤外線遮蔽材料中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。一方酸素量の制御を示すz/yの値については、上述したタングステン酸化物同様2.2≦z/y<3.0である事が好ましいが、複合タングステン酸化物の場合、z/y=3.0であっても、元素Mが加えられた事による自由電子の供給があるため、近赤外線遮蔽材料として有効である。
本発明においてタングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子の粒子径は、1〜1000nmである事が好ましく、2〜200nmであることがより好ましい。1000nmを越えると粒子を含む樹脂の隠蔽性が高くなり、可視領域の光線透過率が低下することがある。粒子径が小さいほど隠蔽性が低くなり、200nm以下であれば透視性(透明性)のある樹脂層を得ることができるが、1nm未満の粒子は入手が困難であり、また樹脂中への分散が困難である。海成分及び島成分に含まれるタングステン微粒子は、海成分または島成分を構成する合成樹脂に対して0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%である。0.001質量%未満では添加による近赤外線遮蔽効果が不充分となって、充分な遮熱性が得られないことがある。5質量%を超えて添加しても近赤外線遮蔽効果の向上はわずかであり、添加量が多くなることで光線透過率が低下し、経済的にも不利となる。
本発明の近赤外線遮蔽性シートにおいて、海成分と島成分は、それぞれ独立して非タングステン無機金属酸化物粒子を含んでいてもよい。非タングステン無機金属酸化物粒子としては、赤外線反射特性あるいは赤外線吸収特性を有し、タングステンを含まない金属酸化物粒子、及び金属複合酸化物粒子から選択して用いることができ、これらの粒子を加えることで、近赤外線遮蔽効果が更に向上したり、近赤外線遮蔽効果を下げる事無く所望の彩色を加えることが可能となる。金属酸化物粒子としてはチタン酸化物、亜鉛酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、マンガン酸化物、バリウム酸化物、スズ酸化物、ジルコニウム酸化物、インジウム酸化物、三酸化アンチモン、クロム酸化物、鉄酸化物、銅酸化物、モリブデン酸化物、コバルト酸化物、イットリウム酸化物、セリウム酸化物、ビスマス酸化物、ケイ素酸化物、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、及びアンチモンドープ酸化スズなどが例示され、これらの内特にチタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、ジルコニウム酸化物、インジウム酸化物、三酸化アンチモン、クロム酸化物、鉄酸化物、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ及びアンチモンドープ酸化スズの赤外線散乱効果が高く、好ましく用いられる。金属複合酸化物粒子としては、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、及びケイ素(Si)の内2種以上の成分を含む金属複合酸化物、から選択して用いることができ、また、これらを2種以上含むものであれば、上記以外の成分を更に含む金属複合酸化物粒子を用いることもできる。具体的には、例えばCo−Al、Co−Al−Cr、Co−Al−Cr−Ti、Co−Mg−Sn、Co−Ni−Ti、Co−Zn−Ni−Ti、Co−Zn−Cr−Ti、Co−Sb−Ni−Ti、Co−Nb−Ni−Ti、Nb−Ni−Ti、Co−Si、Sn−Cr−Ti、Zn−Cr−Ti、Zn−Cr−Fe、Co−Zn−Cr−Fe、Co−Ni−Cr−Fe−Si、Co−Cr−Mg−Zn−Al、Co−Mn−Cr−Fe、Co−Fe−Cr、Co−Cr−Ni、Co−Cr、Cu−Mn−Cr、Cu−Mn−Fe、Cu−Cr、Mn−Fe、Zn−Fe、Cr−Fe、Cr−Fe−Zn−Ti、Pb−Sb−Fe、Pb−Sb−Al、Ni−Sb、Fe−Zn−Ti、Fe−Al−Ti、Fe−Ti、Fe−Mo、Cr−Sb、Cr−Sb−Ti、Mn−Sb−Ti、Ti−Sb−Ni、Cr−Sn、Fe−Co−Mn−Ni、Ti−Sb−CrおよびZr−Feなどの成分からなる複合酸化物を例示することができる。これらの金属複合酸化物は赤外線反射性の顔料として市販されており、所望の色相を有する粒子を単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。これら非タングステン無機金属酸化物粒子の内、金属酸化物粒子は特に高い遮熱性を求められる用途向けに好ましく用いられ、金属複合酸化物粒子は、有彩色でかつ遮熱性を求められる用途に好ましく用いられる。
非タングステン無機金属酸化物粒子の粒径について特に制限は無く、通常入手可能な平均粒子径1〜10000nmの粒子から適宜選択して用いることができるが、平均粒子径2〜5000nmの粒子がより好ましく用いられる。特に可視光線の透過性を高めて高い光線透過率を得、かつ近赤外線を選択的に散乱させて高い近赤外線遮蔽性を得るためには、粒子の屈折率にもよるが、平均粒子径350〜2000nmの粒子が好ましく、また、光線透過率を高め、かつ透視性(透明性)のある近赤外線遮蔽層を得るには、平均粒子径10〜200nmの粒子が好ましく用いられる。海成分及び島成分に含む非タングステン無機金属酸化物粒子は、海成分または島成分を構成する合成樹脂に対して0.05〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。添加量が0.05質量%未満では、添加による近赤外線遮蔽性向上効果が充分に得られないことがある。また添加量が30質量部を超えると光線透過率が低下して、充分な採光性が得られなくなり、また、非タングステン無機金属酸化物粒子を含む樹脂の強度が低下して、得られるシートの耐久性が劣ることがある。
非タングステン無機金属酸化物粒子は、海成分、島成分のどちらか一方、あるいは両方に含まれていても良いが、近赤外線遮蔽層の海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方の相がタングステン微粒子を含み、かつ、もう一方の相が非タングステン無機金属酸化物粒子を含む事が好ましい。特に、島成分にタングステン微粒子を含み、海成分に非タングステン無機金属酸化物粒子を含む構成は、非タングステン無機金属酸化物粒子の種類や量を調整することで所望の彩色性や光線透過率を得ることができるため好ましい。
本発明に用いられるタングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子、及び非タングステン無機金属酸化物粒子の内、光触媒活性を有する粒子については、光触媒活性を抑制するために、表面がSi、Ti、Zr、Alの一種類以上の金属を含有する酸化物で被覆されていてもよい。
本発明の近赤外線遮蔽性シートにおいて、近赤外線遮蔽層は、この他に必要に応じて公知の添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、可撓性付与剤、充填剤、接着剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、レベリング剤、消泡剤、抗菌剤、防黴剤、蛍光増白剤、蛍光顔料、有機顔料、蓄光顔料などが例示される。
本発明の近赤外線遮蔽性シートにおいて、経時的な汚れの付着による光線透過性の低下を防止し、且つ美観を維持するために、近赤外線遮蔽性層上に少なくとも1層の防汚層が設けられていることが好ましい。防汚層は近赤外線遮蔽性シートの光線透過性を損なわず、極度の隠蔽性を伴わないものである限り、その形成方法及び素材に特に限定はない。このような防汚層は例えば、溶剤に可溶化されたアクリル系樹脂もしくはフッ素系樹脂の少なくとも1種以上からなる樹脂溶液あるいは樹脂分散液を塗布して形成した塗膜、これらにシリカ微粒子、またはコロイダルシリカを含む塗膜、オルガノシリケート及び/又はその縮合体を含む塗布剤で塗布し親水性被膜層を形成したもの、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン)と結着剤とを含む塗布剤を塗布し光触媒層を形成したもの、少なくとも最外表面がフッ素系樹脂により形成されたフィルムを接着剤もしくは熱溶融加工により積層したもの、等から適宜選択することができる。
前記防汚層上に汚れが堆積したり、防汚層が劣化して着色を生じたりすると、汚れ及び/又は着色により、可視光線の吸収が増大し、それによって採光性が低下することがある。このため防汚層は、初期の光沢と色相を維持可能なことが好ましい。具体的には、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)1000時間後の光沢度(JIS K7105.5.2)保持率が、80〜100%、特に90〜100%であることが好ましく、屋外曝露1年後の色差ΔE(JIS K7105.5.4)が、0.1〜5.0であることが好ましい。防汚層と可撓性樹脂被覆層との間には、必要に応じて、防汚層と可撓性樹脂被覆層との接着性を向上させるための接着層、光触媒による樹脂の分解を妨げるための保護層、樹脂被覆層に含まれる添加剤が防汚層に移行するのを妨げるための添加剤移行防止層、等が形成されていてもよい。また、本発明の近赤外線遮蔽性シートの、防汚層が形成された面とは反対の面に、防汚層との高周波加熱融着性及び熱風融着性を付与するための裏面接着層が形成されていてもよい。あるいは、近赤外線遮蔽性シートをロール状に巻き取って保管している間に、裏面側の接着層もしくは可撓性樹脂被覆層に含まれる添加剤が、防汚層上に移行して防汚性が低下するのを防ぐために、裏面側(防汚層とは反対の面)に添加剤移行防止層が形成されていても良い。
本発明の防汚層は、特に光触媒性物質を含む事が好ましい。本発明に用いる光触媒性物質としては、(1).酸化チタン(特にアナターゼ型)、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化ビスマス、鉄−タングステン酸化物等の光触媒性金属酸化物、(2).(1)の金属酸化物に銀、プラチナ、金、銅、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウムなどの金属およびそれらの金属の化合物を助触媒として添加(担持)した助触媒添加(担持)型光触媒、(3).(1)の光触媒性金属酸化物に窒素、炭素、硫黄、リン、ホウ素、フッ素等をドープしたアニオンドープ型光触媒、(4).(1)の光触媒性金属酸化物にクロム、ニオブ、マンガン、コバルト、バナジウム、鉄、ニッケル等の遷移金属イオンをドープしたカチオンドープ型光触媒、(5).(1)の光触媒性金属酸化物にアニオンとカチオンの両方をドープした共ドープ型光触媒、(6).(1)の光触媒性金属酸化物に白金、パラジウム、ロジウムなど貴金属のハロゲン化物を担持させた金属ハロゲン化物担持型光触媒、(7).(1)の光触媒性金属酸化物から部分的に酸素を引き抜いた酸素欠損型光触媒、等を好ましく用いることができる。光触媒は、上記から1種、または2種以上を組み合わせて選択して用いることができる。
光触媒性物質を含有する防汚層の形成方法としては、例えば光触媒の粒子またはゾルと結着剤とを含む塗布剤を塗布して光触媒性物質を含有する防汚層を形成する方法、光触媒性物質の溶液からゾルゲル法により光触媒性物質を含有する防汚層を形成する方法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などにより光触媒性物質を含有する防汚層を形成する方法、等従来公知の方法で形成することができる。結着剤としては、光触媒によって分解され難く、かつ皮膜形成能を有する、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリルフッ素共重合樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂、などの有機系バインダーや、ポリシラザン、有機シリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)の何れか1種以上によるケイ素化合物縮合層であることが好ましく、これらに更にシリカゾル、アルミナゾル、チタンゾルの何れか1種以上を含んでいてもよい。光触媒性物質を含有する防汚層には、光触媒性物質の粒子またはゾルを10〜70質量%、特に20〜60質量%含有することが好ましい。
本発明を下記実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記実施例において、光線透過率、近赤外線遮蔽性、遮熱率、光沢保持率、屋外曝露1年後の色差評価、燃焼性試験のための試験方法は下記の通りである。
(I)光線透過率
JIS Z8722.5.4(条件g)に従いミノルタ分光測色計CM−3600dを用いて測定した。
(II)近赤外線遮蔽性
島津製作所UV−3600を用いて波長1100nmの赤外線の透過率を測定した。
透過率が低いほど近赤外線遮蔽性が高いものと判断した。
(III)遮熱率
試験環境:内径が、高さ45cm×幅35cm×長さ35cmの外気温遮断性と気密性とを有する箱型構造体の天井部中央に白熱ランプ(100V,500Wのフォトリフレクタランプ:デイライトカラー用:東芝(株))を取り付けて、遮熱性評価の試験環境を構成した。次に、たて・よこともに0.5cmの正方形の断面積を有するアクリル樹脂製角材棒を梁として、外径が、高さ5cm×幅10cm×長さ15cmの箱型フレームを瞬間接着剤で組み立て、箱型フレームの4側面、上面部、及び底面部に、試験膜材を、その表面が外向きとなるように、両面テープで貼り付けて固定し、気密性の試験箱を準備した。また、この試験箱内部の底面部の中央には熱流量計(Shothrm HFM熱流量計:昭和電工(株)製)のセンサーを取り付けて固定した。試験膜材で被覆した試験箱(比較時には試験膜材の装着がないものを使用)を、箱型構造体の底面部の中央に取り付けて、ランプの中心点と試験箱の中心点とを結ぶ直線の方向が鉛直方向に重なるように固定した。この箱型構造体内部におけるランプ先端から試験箱の天井部までの距離は35cmであった。尚、箱形構造体は20℃の恒温室内に設置した。
試験:試験膜材を装着しない試験箱を箱型構造体に入れて密閉状態に置き、ランプを点灯し、熱流量(kcal/m2h)を1分ごとに測定し、30分後の熱流量qn(kcal/m2h)を測定した。箱型構造体内の温度を恒温室内と同じ20℃まで戻した後、試験膜材を装着した試験箱を箱型構造体に入れて密閉状態に置き、ランプを点灯し、熱流量(kcal/m2h)を1分ごとに測定し、30分後の熱流量qc(kcal/m2h)を測定し、下記式により遮熱率を求めた。遮熱率は、数値が大きい程、遮熱性が高いものと判断した。
遮熱率(%)=〔(qn−qc)/qn〕×100
(IV )光沢保持率
JIS K7105.5.2の光沢度試験方法により、試験膜材の表面側の初期の光沢度GSb(60°)と、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)1000時間後の光沢度GSa(60°)とを測定し、下記式より光沢保持率を求めた。
光沢保持率(%)=〔GSa(60°)/GSb(60°)〕×100
(V)屋外曝露1年後の色差
屋外曝露台上に、試験膜材の表面を上にして南向きに傾斜角30度に設置して屋外曝露試験を行い、初期の試験膜材表面の色を基準とし、曝露12ケ月後の試験膜材表面の色との色差ΔE(JIS K7105.5.4)を測定した。
(V1)燃焼試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)
輻射電気ヒーターによる50kW/mの輻射熱を光天井用膜材に20分間照射し、こ の発熱性試験において、20分間の総発熱量と発熱速度を測定し、試験後の膜材外観を観察した。
(a)総発熱量:8MJ/m以下のものを適合とした。
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/mを超えないものを適合とした。
(c)外観観察:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がないものを適合と
した。
[実施例1]
下記配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、下記配合2のスチレンブタジエンブロックコポリマー(SBS)の熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物1を得た。タングステン酸化物微粒子として平均粒子径80nmのWO2.72を用いた。この非相溶樹脂混合物1を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.3mmの近赤外線遮蔽性シートを成型した。この近赤外線遮蔽性シートを顕微鏡観察すると、タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.2μmであった。この近赤外線遮蔽性シートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合1>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 120質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部

<配合2>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
タングステン酸化物微粒子(WO2.72:平均粒子径80nm) 2質量部
[実施例2]
下記配合3のタングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、下記配合4のスチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物2を得た。タングステン酸化物微粒子として平均粒子径80nmのWO2.72を用いた。この非相溶樹脂混合物2を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.3mmの近赤外線遮蔽性シートを成型した。この近赤外線遮蔽性シートを顕微鏡観察すると、スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、タングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.2μmであった。この近赤外線遮蔽性シートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合3>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 120質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
タングステン酸化物微粒子(WO2.72:平均粒子径80nm) 0.5質量部

<配合4>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
[実施例3]
下記配合5のスチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物に、下記配合6のタングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を、スチレンブタジエンブロックコポリマー樹脂単体の質量に対して8質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、タングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂を均一分散させた非相溶樹脂混合物3を得た。この非相溶樹脂混合物3を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.3mmの近赤外線遮蔽性シートを成型した。この近赤外線遮蔽性シートを顕微鏡観察すると、タングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が島成分を構成しており、スチレンブタジエンブロックコポリマーが海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.2μmであった。この近赤外線遮蔽性シートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合5>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部

<配合6>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 120質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
タングステン酸化物微粒子(WO2.72:平均粒子径80nm) 1質量部
[比較例1]
配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を、180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて、厚さ0.3mmのシートを成型した。このシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
配合3のタングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を、180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて、厚さ0.3mmのシートを成型した。このシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、配合4のスチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物比−3を得た。この非相溶樹脂混合物比−3を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.3mmのシートを成型した。このシートを顕微鏡観察すると、スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.2μmであった。このシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、下記配合7のタングステン酸化物微粒子含有アクリル樹脂の熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、軟質塩化ビニル樹脂とアクリル樹脂とタングステン酸化物粒子が均一に分散した相溶樹脂混合物比―4を得た。この相溶樹脂混合物比−4を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.3mmのシートを成型した。このシートを顕微鏡観察すると、軟質塩化ビニル樹脂とアクリル樹脂が相溶して混合され、その樹脂混合物中にタングステン酸化物微粒子が分散し、海島構造は確認されなかった。このシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
<配合7>
アクリル樹脂(熱分解温度265℃、酸価6.5mgKOH/g) 100質量部
タングステン酸化物微粒子(WO2.72:平均粒子径80nm) 2質量部
実施例1〜3は海島構造の島成分または海成分のいずれか一方にのみタングステン酸化物微粒子を含有し、それぞれ光線透過率、遮熱性、近赤外線遮蔽性の優れた近赤外遮蔽性シートであった。実施例2と比較例2(全体にタングステン酸化物微粒子を含有する)との比較において、光線透過率、遮熱率、及び近赤外線遮蔽性の全てにおいて実施例2が優れていた。これは、実施例2の近赤外線遮蔽性シートが海島構造を有しており、海成分と島成分の屈折率に0.4以上の差を有し、島成分の粒子径が適度な値であったため、海成分と島成分の界面での屈折散乱現象により近赤外線が散乱され、遮熱性および近赤外線遮蔽性が向上したことによる。また、実施例1および2は光線透過率も比較例2より優れていたが、これは、実施例1および2が部分的にしかタングステン酸化物微粒子を含有しないためである。光線透過率に関して実施例1と2を比較すると、海成分にタングステン酸化物微粒子を含有している実施例2の方が低い値となっているが、これは近赤外線遮蔽層に占める体積比の大きな海成分にタングステン酸化物微粒子を含有したため、可視光線が多く吸収・散乱されたためであると考えられる。実施例1は海成分の屈折率よりも島成分の屈折率が高い構成であるが、実施例3はその逆に海成分の屈折率よりも島成分の屈折率が低い構成としたところ、光線透過率に関しては実施例1と3は同等であったが、遮熱率に関しては海成分の屈折率よりも島成分の屈折率が高い実施例1の方が僅かに優れた結果であった。この結果より、海成分の屈折率よりも島成分の屈折率が高い方が、海成分と島成分の界面での屈折散乱現象による遮熱性向上効果が高いことがわかる。タングステン酸化物微粒子を含有せず、海島構造も有さない比較例1について、光線透過率は高いものの、近赤外線遮蔽性および遮熱率は非常に低かった。比較例3のシートは、タングステン酸化物微粒子を含まないため、光線透過率は比較例1と同程度に高く、海島構造を有しているため、海成分と島成分の界面での屈折散乱現象により、比較例1よりは高い近赤外線遮蔽性と遮熱性を示したが、海成分、島成分共にタングステン酸化物微粒子を含有しないため、効果は不充分であった。比較例4はタングステン酸化物微粒子を含む樹脂と含まない樹脂を溶融混合したが、両者の相溶性が高く、海島構造を形成しなかったため、軟質塩ビ樹脂にタングステン酸化物を直接分散した比較例2と同等の結果となった。
[実施例4]
下記配合8の軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物に、下記配合9の複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂攪拌混合物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えて撹拌し、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂を均一分散させ非相溶樹脂混合物液4を得た。配合8において、複合タングステン酸化物微粒子としては平均粒子径80nmの銅・タングステン複合酸化物(Cu0.2WO2.72)を用いた。この樹脂混合物液4の液バス中に下記基布1を浸漬し、これを引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行い、さらにその片面に鏡面エンボス処理を施した。これにより基布1の両面への付着、および内部含浸した状態で、非相溶樹脂混合物液4が320g/m付着して、海島構造を有する近赤外線遮蔽層が形成された帆布状の可撓性シートを得た。この近赤外線遮蔽層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂が島成分を構成しており、軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は8.5μmであった。この可撓性シートの、鏡面エンボス処理を施した平滑な側の近赤外線遮蔽層上に、下記配合10の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で3分間乾燥した。これによって片面に塗布量:5g/mの防汚層が形成された近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、防汚層が形成された側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
<配合8>
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 46質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部

<配合9>
ビニルエステル樹脂 100質量部
(商標:ネオポール8319:日本ユピカ(株) )
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
複合タングステン酸化物微粒子 1質量部
(Cu0.2WO2.72:平均粒子径80nm)

<配合10>
フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂 100質量部
(商標:フロロトップ1053:旭硝子(株):固形分50質量%)
イソホロン系イソシアネート硬化剤 10質量部
(商標:タケネートD−140N:武田薬品工業(株):固形分75質量%)
シリカ(商標:ファインシールX37:(株)トクヤマ) 5質量部
メチルエチルケトン 100質量部
(基布1)
ポリエステル295.3dtex(20番手)短繊維紡績糸を用いた非粗目状平織布
密度 たて(経糸) 55本/インチ よこ(緯糸) 48本/インチ
[実施例5]
下記配合11の非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物に、配合9の複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂攪拌混合物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えて撹拌し、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂を均一分散させた非相溶樹脂混合物液5を用いて、実施例4と同様にして、基布1の両面への付着、および内部含浸した状態で、非相溶樹脂混合物液5が320g/m付着して、海島構造を有する近赤外線遮蔽層が形成された帆布状の可撓性シートを得た。配合11において、非タングステン無機金属酸化物粒子としては平均粒子径1000nmのチタン酸化物粒子(白色)を用いた。この近赤外線遮蔽層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物酸化含有ビニルエステル樹脂が島成分を構成しており、非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が白色の海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は8.5μmであった。次いで、実施例4と同様にして、鏡面エンボス処理を施した平滑な側の近赤外線遮蔽層上に塗布量:5g/mの防汚層を形成し、近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、防汚層が形成された側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
<配合11>
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 46質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
非タングステン無機金属酸化物粒子 2質量部
(チタン酸化物:平均粒子径1000nm)
[実施例6]
下記配合12の非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物に、配合9の複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂攪拌混合物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えて撹拌し、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂を均一分散させた非相溶樹脂混合物液6を用いて、実施例4と同様にして、海島構造を有する近赤外線遮蔽層を形成した。配合12の非タングステン無機金属酸化物粒子として平均粒子径600nmのCr−Sb−Tiの複合酸化物(黄色)を用いた。基布1に対する非相溶樹脂混合物液6の付着は320g/mであった。この近赤外線遮蔽層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂が島成分を構成しており、非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が黄色の海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は8.5μmであった。次いで、近赤外線遮蔽層上に下記配合13の組成物液をグラビアコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/mの樹脂中間層を両面に形成した。さらに前記樹脂中間層の上に、配合13の樹脂組成物からシリカを除いた溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却して追加樹脂層を形成し、それによって、樹脂中間層と追加樹脂層とからなる、合計10g/mの添加剤移行防止層を両面に形成した。次に、下記配合14の接着・保護層形成用塗布液を鏡面エンボス処理を施した平滑な側の添加剤移行防止層上にグラビアコーターで塗布し、100℃×1分乾燥後冷却して、1.5g/mの接着・保護層を形成し、さらに、その接着・保護層上に下記配合15の防汚層形成用塗布液をグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥後冷却して1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層が平滑面側に形成された近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、防汚層が形成された側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
<配合12>
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 46質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
非タングステン無機金属酸化物粒子 2質量部
(Cr−Sb−Ti複合酸化物:平均粒子径600nm)

<配合13>
ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂 20質量部
(商標:カイナー7201:エルフ・アトケム・ジャパン(株))
シリカ:(商標:ニップシールE−75:東ソー・シリカ(株)) 5質量部
MEK(溶剤) 80質量部
<配合14>
シリコン含有量3mol%のアクリルシリコン樹脂を8質量%(固形分)含有する
エタノール−酢酸エチル(50/50質量比)溶液 100質量部
メチルシリケートMS51(コルコート(株))の
20%エタノール溶液(ポリシロキサン) 8質量部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤) 1質量部
<配合15>
酸化チタン含有量10質量%に相当する硝酸酸性酸化チタンゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
酸化珪素含有量10質量%に相当する硝酸酸性シリカゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
[実施例7]
防汚層を設けなかった以外は実施例4と同様にして帆布状の近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、鏡面エンボスにより平滑にした側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例5と同じ非相溶樹脂混合物液5の液バス中に下記基布2を浸漬し、これを引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行った。これにより非相溶樹脂混合物液5が250g/m2含浸付着して、海島構造を有する近赤外線遮蔽層が形成されたメッシュ状の可撓性シートを得た。この近赤外線遮蔽層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂が島成分を構成しており、非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が白色の海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は8.5μmであった。次いで、このメッシュ状可撓性シートを、配合14の接着・保護層処理液に浸漬後、マングルロールで圧搾し、100℃で1分間乾燥した後冷却して、1.0g/mの接着保護層を形成した。更に接着保護層付メッシュ状膜材を配合15の防汚層形成用塗布液に浸漬後、マングルロールで圧搾し、100℃で1分間乾燥した後冷却して、1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成し、メッシュ状の近赤外線遮蔽性シートを形成した。このメッシュ状近赤外線遮蔽性シートについては、表裏の構造上の差が無いため、防汚層形成後に一方の面にしるしをつけ、しるしのある側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
(基布2)
ポリエステル833dtexマルチフィラメントを用いた下記組織の粗目状織物
833dtex(750d)/3×833dtex(750d)/3
───────────────────────
11 × 11(本/25.4mm)
[比較例5]
配合9の代わりに下記配合16を用いた以外は実施例4と同様にして帆布状のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側を表面として各種評価を行った。結果を表3に示す。
<配合16>
ビニルエステル樹脂 100質量部
(商標:ネオポール8319:日本ユピカ(株) )
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
非タングステン無機金属酸化物粒子 1質量部
(チタン酸化物:平均粒子径1000nm)
[比較例6]
配合9から複合タングステン酸化物微粒子を省略した以外は、実施例5と同様にして帆布状のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例7]
非相溶樹脂混合物液5の代わりに、配合11の非タングステン無機金属酸化物粒子(チタン酸化物)含有軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物を用いた以外は、実施例5と同様にして帆布状のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側を表面として各種評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例8]
非相溶樹脂混合物液6の代わりに、配合12の非タングステン無機金属酸化物粒子(Cr−Sb−Tiの複合酸化物)含有含有軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物を用いた以外は、実施例6と同様にして帆布状のシートを得た。このシートについて、防汚層が形成された側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例9]
非相溶樹脂混合物液5の代わりに、配合11の非タングステン無機金属酸化物粒子(チタン酸化物)含有軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物を用いた以外は、実施例8と同様にしてメッシュ状のシートを得た。このシートについて、実施例8と同様に、防汚層形成後に一方の面にしるしをつけ、しるしのある側を表面として各種評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示されるとおり、実施例4〜7の帆布状の近赤外線遮蔽性シートは、近赤外線遮蔽層が合成樹脂ブレンドによる非相溶混合物からなる海島構造を有し、かつ、島成分が複合タングステン酸化物を含んでおり、初期の近赤外線遮蔽性、遮熱率、及び光線透過率が高い値を示していた。また、実施例4〜6については近赤外線遮蔽層上に防汚層が設けられおり、防汚層のサンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)1000時間後の光沢保持率が80%以上で、屋外曝露1年後の防汚層色差が5以下を満たしており、屋外曝露1年後にも近赤外線遮蔽性、遮熱率、及び光線透過率が高く維持されていた。特に防汚層が光触媒性物質を含む実施例6については、屋外曝露1年後でも色相および光沢度の変化はほとんどみられず、近赤外線遮蔽性、遮熱率、及び光線透過率にもほとんど変化が見られなかった。比較例5は、実施例4の島成分の複合タングステン酸化物微粒子の代わりに、非タングステン無機金属酸化物(チタン酸化物)粒子を含む構成であり、光線透過率及び遮熱率については実施例4と同程度の値を示しているものの、近赤外線遮蔽性については劣る結果であった。比較例6は実施例5の島成分から複合タングステン酸化物微粒子を省略した構成であり、実施例5と比較して光線透過率は同等であったが、近赤外線遮蔽性及び遮熱率において劣っていた。比較例7は実施例5の樹脂層から複合タングステン酸化物微粒子を含有した島成分を省略した構成であり、海島構造を有さないため実施例5と比較して近赤外線遮蔽性、遮熱率、及び光線透過率全てにおいて劣っていた。比較例8は実施例6の樹脂層から複合タングステン酸化物微粒子を含有した島成分を省略した構成であり、実施例6と比較して近赤外線遮蔽性、遮熱率、及び光線透過率全てにおいて劣っていた。実施例8は実施例5と同じ非相溶樹脂混合物液を含浸付着したメッシュ状の近赤外線遮蔽性シートであり、メッシュの目を通して赤外線が透過するため、実施例4〜7に比べて近赤外線遮蔽性及び遮熱率は低いが、光線透過率では大きく上回っており、更に、メッシュの目を通してシートの向こう側を透視できる近赤外線遮蔽性シートであった。また、比較例9(可撓性樹脂被覆層が海島構造を有さずチタン酸化物粒子を含有)との比較においては、表2、表3に示したとおり、実施例8が近赤外線遮蔽性、遮熱率、及び光線透過率全て優れていた。
[実施例9]
下記配合17の軟質フッ素樹脂の熱溶融混練物に、下記配合18の複合タングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を軟質フッ素樹脂単体の質量に対して10質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、複合タングステン酸化物微粒子含有塩化ビニル樹脂を均一分散させ非相溶樹脂混合物9を得た。配合18において、複合タングステン酸化物微粒子としては平均粒子径80nmのセシウム・タングステン複合酸化物(Cs0.33WO)を用いた。この樹脂混合物9を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム9−1を成型した。一方、下記配合17の軟質フッ素樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmの透明なフィルム9−2を成型した。次いで、得られたフィルム9−1とフィルム9−2の中間に下記基布3を挿入し、熱圧着により積層してターポリン状の近赤外線遮蔽性シートを得た。フィルム9−1からなる可撓性樹脂被覆層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が島成分を構成しており、軟質フッ素樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は2.1μmであった。この近赤外線遮蔽性シートについて、フィルム9−1を積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表4に示す。
<配合17>
軟質フッ素樹脂 100質量部
(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂)

<配合18>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 46質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
複合タングステン酸化物微粒子(Cs0.33WO:平均粒子径80nm)1質量部

(基布3)
ポリエステル833dtexマルチフィラメントを用いた平織り布
密度 たて(経糸) 19本/インチ よこ(緯糸) 20本/インチ
[実施例10]
下記配合19の非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、下記配合20の複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物10を得た。配合19の非タングステン無機金属酸化物粒子として平均粒子径1000nmのチタン酸化物(白色)を用いた。この非相溶樹脂混合物10を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム10−1を成型した。一方、配合19から非タングステン無機金属酸化物粒子を省略した軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム10−2を成型した。次いで、得られたフィルム10−1とフィルム10−2の中間に基布3を挿入し、熱圧着により積層してターポリン状のシートを得た。フィルム10−1からなる層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が白色の海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.1μmであった。次に、実施例6と同様にしてシート両面に添加剤移行防止層を形成し、フィルム10−1側の添加剤移行防止層上に接着・保護層を形成し、さらに接着・保護層上に1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成して近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、フィルム10−1を積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表4に示す。
<配合19>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 120質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
非タングステン無機金属酸化物粒子 2質量部
(チタン酸化物:平均粒子径1000nm)
<配合20>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
複合タングステン酸化物微粒子(Cs0.33WO:平均粒子径80nm)1質量部
[実施例11]
下記配合21の非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、配合20の複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物11を得た。配合21の非タングステン無機金属酸化物粒子として平均粒子径50nmのCr−Sb−Tiの複合酸化物(黄色)を用いた。この非相溶樹脂混合物11を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム11−1を成型した。一方、配合21から非タングステン無機金属酸化物粒子を省略した軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム11−2を成型した。次いで、得られたフィルム11−1とフィルム11−2の中間に基布3を挿入し、熱圧着により積層してターポリン状のシートを得た。フィルム11−1からなる層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂が黄色の海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.1μmであった。次に、実施例6と同様にしてシート両面に添加剤移行防止層を形成し、フィルム11−1側の添加剤移行防止層上に接着・保護層を形成し、さらに接着・保護層上に1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成して近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、フィルム11−1を積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表4に示す。
<配合21>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 120質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
非タングステン無機金属酸化物粒子 2質量部
(Cr−Sb−Ti複合酸化物:平均粒子径50nm)
[実施例12]
下記配合22の非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、配合20の複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物12を得た。配合22の非タングステン無機金属酸化物粒子として平均粒子径50nmのCo−Alの複合酸化物(青色)を用いた。この非相溶樹脂混合物12を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム12−1を成型した。一方、配合22から非タングステン無機金属酸化物粒子を省略した軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム12−2を成型した。次いで、得られたフィルム12−1とフィルム12−2の中間に基布3を挿入し、熱圧着により積層してターポリン状のシートを得た。フィルム12−1からなる層を顕微鏡観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、非タングステン無機金属酸化粒子物含有軟質塩化ビニル樹脂が青色の海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.1μmであった。次に、実施例6と同様にしてシート両面に添加剤移行防止層を形成し、フィルム11−1側の添加剤移行防止層上に接着・保護層を形成し、さらに接着・保護層上に1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成して近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、フィルム12−1を積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表4に示す。
<配合22>
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 120質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
非タングステン無機金属酸化物粒子 2質量部
(Co−Al複合酸化物:平均粒子径50nm)
[比較例10]
配合21の非タングステン無機金属酸化物粒子含有軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比10−1を成型した。一方、配合21から非タングステン無機金属酸化物粒子を省略した軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmのフィルム比10−2を成型した。次いで、得られたフィルム比10−1とフィルム比10−2の中間に基布3を挿入し、熱圧着により積層してターポリン状のシートを得た。次に、実施例6と同様にしてシート両面に添加剤移行防止層を形成し、フィルム比10−1側の添加剤移行防止層上に接着・保護層を形成し、さらに接着・保護層上に1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成して近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、フィルム比10−1を積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表4に示す。
実施例9は、カレンダーフィルムを繊維基布の両面に積層したターポリン状の近赤外線遮蔽性シートである。一方の面に、島成分に複合タングステン酸化物微粒子を含むカレンダーフィルムが積層され、高い近赤外線遮蔽性、遮熱率、及び光線透過率を示していた。実施例10〜12も同じくカレンダーフィルムを繊維基布の両面に積層したターポリン状の近赤外線遮蔽性シートで、近赤外線遮蔽層の海成分に更に非タングステン無機金属酸化物粒子を加えた構成であり、ある程度の光線透過率を維持しつつ、高い近赤外線遮蔽性及び遮熱性を示す、白色および有彩色の近赤外線遮蔽性シートが得られた。実施例11と比較例10(カレンダーフィルムがCr−Sb−Ti複合酸化物粒子により黄色に着色されており、海島構造を有さない)との比較によれば、実施例11は一方のカレンダーフィルムが海島構造を有し、島成分に複合タングステン酸化物微粒子を含有することで、遮熱率が高く、近赤外線遮蔽性については大幅に高い値を示していた。
[実施例13]
下記配合23の軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物に、下記配合24の複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂攪拌混合物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えて撹拌し、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂を均一分散させ非相溶樹脂混合物液13を得た。配合24において、複合タングステン酸化物微粒子としては平均粒子径80nmのタリウム・タングステン複合酸化物(Tl0.33WO)を用いた。この非相溶樹脂混合物液13を充満させた浴槽に下記基布4を浸漬し、基布4に非相溶樹脂混合物液13を完全に含浸させた。次いで、ドクターブレードで基布4両面の余分な非相溶樹脂混合物液13を掻き落とし、180℃×5分間電気炉加熱して、基布4の両面に非相溶樹脂混合物液13を合わせて70g/m被覆した樹脂含浸被覆基布を得た。この被覆層を顕微鏡で観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂が島成分を構成しており、軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は8.5μmであった。次に配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.15mmのカレンダーフィルムを成型し、得られたカレンダーフィルムを先に作成した樹脂含浸被覆基布の一方の面に熱圧着により積層してシートを得た。次いで、実施例6と同様にしてシート両面に添加剤移行防止層を形成し、カレンダーフィルムを積層した側の添加剤移行防止層上に接着・保護層を形成し、さらに接着・保護層上に1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成して近赤外線遮蔽性シートを得た。この近赤外線遮蔽性シートについて、光触媒性物質含有防汚層を形成した側を表面として各種評価を行った。結果を表5に示す。
<配合23>
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 46質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部

<配合24>
ビニルエステル樹脂 100質量部
(日本ユピカ(株)製 商品名:ネオポール8319)
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
複合タングステン酸化物微粒子(Tl0.33WO:平均粒子径80nm)2質量部

(基布4)
フィラメント直径9μm/750dtexのガラス繊維を用いた非粗目状平織り布
織密度 たて(経糸) 40本/インチ よこ(緯糸) 30本/インチ
精練(ヒートクリーニング)
シランカップリング処理 メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウ
コーニング社製Z6030)
[実施例14]
配合23の軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物を充満させた浴槽に基布4を浸漬し、基布4に軟質塩化ビニル樹脂ペーストを完全に含浸させた。次いで、ドクターブレードで基布4両面の余分な軟質塩化ビニル樹脂ペーストを掻き落とし、180℃×5分間電気炉加熱して、基布4の両面に配合23の軟質塩化ビニル樹脂ペーストを合わせて70g/m被覆した樹脂含浸被覆基布を得た。次いで配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、下記配合25の複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して20質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物14を得た。この非相溶樹脂混合物14を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.15mmのカレンダーフィルムを成型し、得られたフィルムを先に作成した樹脂含浸被覆基布の一方の面に熱圧着により積層してシートを得た。次いで、実施例6と同様にしてシート両面に添加剤移行防止層を形成し、カレンダーフィルムを積層した側の添加剤移行防止層上に接着・保護層を形成し、さらに接着・保護層上に1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成して近赤外線遮蔽性シートを得た。積層されたカレンダーフィルム層を顕微鏡で観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.1μmであった。この近赤外線遮蔽性シートについて、光触媒性物質含有防汚層を形成した側を表面として各種評価を行った。結果を表5に示す。
<配合25>
スチレン・ブタジエンブロックコポリマー 100質量部
(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名:アサフレックス830)
複合タングステン酸化物微粒子(Tl0.33WO:平均粒子径80nm)2質量部
[実施例15]
配合23の軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物に、配合24の複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂攪拌混合物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して15質量%加えて撹拌し、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂を均一分散させ非相溶樹脂混合物液15を得た。この非相溶樹脂混合物液15を充満させた浴槽に下記基布4を浸漬し、基布4に非相溶樹脂混合物液15を完全に含浸させた。次いで、ドクターブレードで基布4両面の余分な軟質塩化ビニル樹脂ペーストを掻き落とし、180℃×5分間電気炉加熱して、基布4の両面に非相溶樹脂混合物液15を合わせて70g/m被覆した樹脂含浸被覆基布を得た。この被覆層を顕微鏡で観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有ビニルエステル樹脂が島成分を構成しており、軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は8.5μmであった。次に、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物に、配合24の複合タングステン酸化物含有スチレンブタジエンブロックコポリマーの熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して17質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーを均一分散させた非相溶樹脂混合物15を得た。この非相溶樹脂混合物15を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.15mmのカレンダーフィルムを成型し、得られたフィルムを先に作成した樹脂含浸被覆基布の一方の面に熱圧着により積層してシートを得た。次いで、実施例6と同様にしてシート両面に添加剤移行防止層を形成し、カレンダーフィルムを積層した側の添加剤移行防止層上に接着・保護層を形成し、さらに接着・保護層上に1.5g/mの光触媒性物質含有防汚層を形成して近赤外線遮蔽性シートを得た。積層されたカレンダーフィルム層を顕微鏡で観察すると、複合タングステン酸化物微粒子含有スチレンブタジエンブロックコポリマーが島成分を構成しており、軟質塩化ビニル樹脂が海成分を構成していた。島成分の平均粒子径は7.1μmであった。この近赤外線遮蔽性シートについて、光触媒性物質含有防汚層を形成した側を表面として各種評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例11]
非相溶樹脂混合物液13の代わりに配合23の軟質塩化ビニル樹脂ペーストの攪拌混合物配合を用いた以外は、実施例13と同様にして、シートを得た。このシートについて、カレンダーフィルムを積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例12]
非相溶樹脂混合物液13の代わりに、下記配合26の複合タングステン酸化物微粒子含有軟質塩化ビニル樹脂ペーストを用いた以外は、実施例13と同様にしてシートを作成した。このシートについて、カレンダーフィルムを積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表5に示す。
<配合26>
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 46質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
複合タングステン酸化物微粒子 0.5質量部
(Tl0.33WO:平均粒子径80nm)
[比較例13]
非相溶樹脂混合物14の代わりに、下記配合27の非タングステン無機金属酸化物粒子含有(チタン酸化物)軟質塩化ビニル樹脂を用いた以外は実施例14と同様にしてシートを作成した。このシートについて、カレンダーフィルムを積層した側を表面として各種評価を行った。結果を表5に示す。
<配合27>
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 46質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
非タングステン無機金属酸化物粒子 0.5質量部
(チタン酸化物:平均粒子径1000nm)
実施例13は基布に含浸付着した被覆層が海島構造を有し(島成分が複合タングステン酸化物微粒子を含む)、可撓性樹脂が含浸付着した非粗目状のガラス基布の片面に透明なカレンダーフィルムが積層され、得られたシートの両面に防汚層が形成された構成であり、光線透過率が非常に高く、しかも近赤外線遮蔽性および遮熱性を有する近赤外線遮蔽性シートであった。この実施例13と、比較例11(含浸付着した樹脂被覆層が海島構造を有さず、非タングステン無機金属酸化物粒子も含まない)との比較において、近赤外線遮蔽性、及び遮熱率が大きく上回っていることから、実施例13の基布に含浸付着した樹脂被覆層は僅か70g/mであるが、近赤外線遮蔽性及び遮熱性向上に大きく寄与していることが確認できた。更に、比較例12(複合タングステン酸化物微粒子を含み、海島構造を有さない樹脂を基布に含浸付着し、片面に透明なカレンダーフィルムを積層)との比較においては、光線透過率、近赤外線遮蔽性、及び遮熱率の全てが上回っており、基布に含浸付着した樹脂被覆層が海島構造を有し、島成分が複合タングステン酸化物微粒子を含んでいることにより、光線透過率が向上し、かつ、近赤外線遮蔽性及び遮熱性も向上することが確認された。また、比較例13(非タングステン無機金属酸化物粒子としてチタン酸化物を含み、海島構造を有さない樹脂を基布に含浸付着し、片面に透明なカレンダーフィルムを積層)との比較においては、遮熱性は同程度であったが、光線透過率、及び近赤外線遮蔽性では上回っており、本発明の構成により、単に赤外線反射性の粒子を加えるよりも、光線透過率と近赤外線遮蔽性向上効果が高いことがわかる。実施例14は、透明な可撓性樹脂を含浸被覆した基布の一方の側に海島構造を有するカレンダーフィルムを積層した構成である。実施例13に比べて光線透過率は低いが、近赤外線遮蔽性、及び遮熱率は向上している。実施例15は基布に含浸付着した可撓性樹脂被覆層とカレンダーフィルムの両方が海島構造を有し、島成分が複合タングステン酸化物微粒子を含む構成であるが、それぞれの島成分の体積比を実施例13および14よりも低くすることで、実施例14に比べて光線透過率を低下させずに、近赤外線遮蔽性、及び遮熱率を向上することができた。
本発明によれば、可視光領域の光線透過性が高く、透明、着色透明、半透明、着色半透明、着色不透明等、透視性および色相面の自由度が高く、しかも優れた近赤外線遮蔽性および遮熱性を有する近赤外線遮蔽性シートを提供することが可能となる。本発明の近赤外線遮蔽性シートは、特に日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、イベント向けテントに用いる場合、カラフルな色彩を選択することが可能であり、しかも、明るく、涼しい環境を提供することができる。また、テント倉庫、トラック幌においても、明るさを損なう事無く高温期の作業環境を改善することができ、農園芸用シートに用いれば、植物の育成を損なわずに、ハウス内の温度調整が可能となる。更に、ブラインド、シートシャッター、間仕切り、照明シェード、光天井用膜材、内照式看板用膜材等に用いることで、太陽光線や照明装置から発する赤外線ノイズをカットし、近赤外線を利用した機器のコントロールやセンサー類の誤動作を防ぐことが可能となる。
1:近赤外線遮蔽性シート
2:海島構造を有する近赤外線遮蔽層
3:島成分
3−1:タングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子
を含有する島成分
3−2:タングステン酸化物微粒子及び複合タングステン酸化物微粒子を含有せず、
非タングステン無機金属酸化物粒子を含有する島成分
3−3:タングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子、及び、
非タングステン無機金属酸化物粒子を含有しない島成分
4:海成分
4−1:タングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子
を含有する海成分
4−2:タングステン酸化物微粒子及び複合タングステン酸化物微粒子を含有せず、
非タングステン無機金属酸化物粒子を含有する海成分
4−3:タングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子、及び、
非タングステン無機金属酸化物粒子を含有しない海成分
5:繊維基布
6:海島構造を有さない樹脂層

Claims (13)

  1. 近赤外線遮蔽層を含む可撓性シートであって、前記近赤外線遮蔽層が、合成樹脂ブレンドによる非相溶混合物からなる海島構造を有し、さらに前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含有することを特徴とする、近赤外線遮蔽性シート。
  2. 前記海島構造において、海成分を構成する合成樹脂の屈折率と島成分を構成する合成樹脂の屈折率に差を有し、その屈折率差が0.04以上であり、かつ、前記海成分中に分散する前記島成分の平均粒子径が0.4〜20.0μmである、請求項1に記載の近赤外線遮蔽性シート。
  3. 前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方の相がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含み、かつ、もう一方の相が非タングステン無機金属酸化物粒子を含む、請求項1または2に記載の近赤外線遮蔽性シート。
  4. 前記非タングステン無機金属酸化物粒子が、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、ジルコニウム酸化物、インジウム酸化物、三酸化アンチモン、クロム酸化物、鉄酸化物、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ及び、金属複合酸化物から選ばれた1種以上を含む、請求項3に記載の近赤外線遮蔽性シート。
  5. 前記可撓性シートが、繊維基布を含む積層体である、請求項1〜4いずれか1項に記載の近赤外線遮蔽性シート。
  6. 前記繊維基布がガラス繊維、シリカ繊維およびアルミナ繊維から選ばれた少なくとも1種の無機繊維から構成され、前記積層体において、コーンカロリーメーター試験法(ASTM−E1354)において前記光拡散透過性シートに対して輻射電気ヒ−タ−による輻射熱を、50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない不燃特性を有することを特徴とする、請求項5に記載の近赤外線遮蔽性シート。
  7. 前記近赤外線遮蔽層上に防汚層が設けられ、サンシャインウエザオメーター耐候促進試験(JIS K7350-4)による、1000時間後の光沢度(JIS K7105.5.2)保持率が、80〜100%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱線遮蔽性シート。
  8. 前記近赤外線遮蔽層上に防汚層が設けられ、屋外曝露前と1年後との色差ΔE(JIS K7105.5.4)が、0.1〜5.0である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱線遮蔽性シート。
  9. 前記防汚層が、光触媒性物質を含む、請求項7または8に記載の熱線遮蔽性シート。
  10. 近赤外線遮蔽層が海島構造を有する可撓性シートにおいて、前記海島構造を合成樹脂非相溶対により構成し、この合成樹脂非相溶対を成す一方をタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子含有合成樹脂として、このタングステン微粒子含有合成樹脂と、前記合成樹脂非相溶対を成すもう一方の合成樹脂とを混合して、前記海成分中に分散する前記島成分の平均粒子径を0.4〜20.0μmとし、さらに海成分または島成分のいずれか一方にタングステン微粒子を含有させることを特徴とする近赤外線遮蔽性シートの製造方法。
  11. 前記海島構造において、海成分または島成分のいずれか一方の相がタングステン酸化物微粒子、及び/または、複合タングステン酸化物微粒子を含み、かつ、もう一方の相が非タングステン無機金属酸化物粒子を含む、請求項10に記載の近赤外線遮蔽性シートの製造方法。
  12. 前記可撓性シートが、繊維基布を含む積層体であって、前記繊維基布の少なくとも1面以上に前記近赤外線遮蔽層が積層されている、請求項10または11に記載の近赤外線遮蔽性シートの製造方法。
  13. 前記繊維基布が、ガラス繊維、シリカ繊維およびアルミナ繊維から選ばれた少なくとも1種の無機繊維かななる不燃性繊維基布であり、かつ、前記可撓性シートが(ASTM−E1354)不燃性を有する、請求項12に記載の近赤外線遮蔽性シートの製造方法。
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