JP3685187B2 - プラスチック包装体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリヤー性を有するプラスチック包装体に関し、より詳細には、優れた酸素吸収ガスバリヤー性を有すると共に、透明性にも優れたプラスチック包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、プラスチック容器は、軽量であり、耐衝撃性にもある程度優れているという利点を有しているが、容器壁を透過する酸素による内容物の変質やフレーバー低下が問題となっている。
【0003】
特に、金属缶やガラスビンでは容器壁を通しての酸素透過がゼロであり、容器内に残留する酸素のみが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合には器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容品の保存性の点で問題となっている。
【0004】
これを防止するために、耐酸素透過性を有する樹脂として、20℃及び0%RHでの酸素透過係数が10−12cc・cm・sec・cmHg以下で且つ20℃及び100%RHでの水分吸着量が0.5%以上であるガスバリヤー性熱可塑性樹脂に遷移金属の有機金属錯体を配合した樹脂組成物を中間層とし、該中間層の両側に耐湿性熱可塑性樹脂の層を設けた積層構造物から成るプラスチック多層容器が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、ポリマーから成り酸素捕集特性を有する組成物又は該組成物の層を含有する包装用障壁において、組成物が酸化可能な有機成分の金属触媒酸化により酸素を捕集することを特徴とする包装用障壁が記載されており、酸化可能有機成分としては、ポリアミド、特にキシリレン基含有ポリアミドが使用されることも提案されている(特許文献2)。
【0006】
上記遷移金属系触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物は、実質上透明であり、透明性を要する包装容器にも適用でき、しかもポリアミド樹脂はそれ自体酸素バリヤー性に優れた樹脂であるという利点を有している一方、ポリアミド樹脂は酸化により劣化するため、器壁を通しての酸素透過が経時により大きくなるという欠点がある。
このような問題を解決するものとして、本出願人は、ポリアミド樹脂に、酸化性有機成分と遷移金属系触媒とを配合することにより、樹脂組成物を通しての酸素透過を長期間にわたって低減させることを可能にし、酸素吸収ガスバリヤー性を有する樹脂組成物を提案するに至った(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−278344号公報
【特許文献2】
特許第2991437号
【特許文献3】
特開2002−241608号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記樹脂組成物を中間層とする包装容器は、優れた酸素吸収ガスバリヤー性が長期にわたって発現されるが、酸素は内外層を透過し中間層に達することにより吸収されることから、酸素吸収性の発現までに一定の時間を要する。このため、初期の酸素吸収性においては単層の包装容器に比べると劣っている。
また上記樹脂組成物は、後述するように優れた透明性を呈するものであるが、かかる樹脂組成物をポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂とブレンドして成るブレンド物から成る包装容器においては、そのブレンド状態によっては透明性が低下することが認められた。
【0009】
従って本発明の目的は、ガスバリヤー性などの機能を効率よく発現し得ると共に、透明性にも優れたプラスチック包装体、特に初期酸素吸収バリヤー性に優れた単層のプラスチック包装体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリエステル樹脂から成る海部分と、ガスバリヤー性樹脂、酸化性有機成分及び遷移金属触媒をブレンドして成る酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有していると共に、前記酸化性有機成分が海部分に存在しないことを特徴とするプラスチック包装体が提供される。
【0011】
本発明においては、
1.前記島部分が、下記式(1)及び(2)
Figure 0003685187
但し、rはドメイン径、nはドメイン数を示し、ドメイン径rはドメインの短径a、ドメインの長径bとしてr=(a+b)/2であり、
Figure 0003685187
で表わされる、平均ドメイン径rが3.5μm未満且つ分散パラメータQが0.68より大きいこと、
2.前記酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が、樹脂組成物基準で70重量%以下のポリアミド樹脂を含有すること、
3.前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が50eq/10g以上であること、
4.前記酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が、樹脂組成物基準で10重量%以下の酸化性有機成分を含有すること、
5.前記酸化性有機成分がポリエン類から誘導された重合体、特に酸変性ポリエン系重合体であること、
6.前記遷移金属触媒がコバルトのカルボン酸塩であること、
7.前記酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が、金属換算で1乃至3000ppmの遷移金属触媒を含有すること、
8.前記海島構造が、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を予め調製した後、熱可塑性樹脂とブレンドすることにより形成されること、
が好ましい。
【0012】
本発明においては、ポリエステル樹脂から成る海部分と、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有していると共に、前記酸化性有機成分が海部分に存在しないことが重要な特徴であり、これにより、優れた酸素吸収ガスバリヤー性を発現すると共に、透明性にも優れたプラスチック包装体を提供することが可能となるのである。
本発明のプラスチック包装体においては、ポリエステル樹脂の連続相(海部分)中に酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の分散相(島部分)が存在する、所謂海島構造を有するが、この際、後述するように、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物中の酸化性有機成分が分散相のみならず、ポリエステル樹脂の連続相中にも存在すると、透明性が低下してしまうことが解った。
【0013】
図1は、ポリアミド樹脂、酸化性有機成分、遷移金属触媒を予め2軸混練して成る酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物と、ポリエステル樹脂を50:50重量比でドライブレンドして成形した射出シートの電子顕微鏡写真を模式的に表した図であり、図2は、ポリエステル樹脂と、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を構成するポリアミド樹脂、酸化性有機成分、遷移金属触媒の4種を一緒に2軸混練したブレンド物より成形した射出シートの電子顕微鏡写真を模式的に表した図である。
図1及び図2では、いずれもポリエステル樹脂の海部分(a)の中に酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の島部分(b)から成る海島構造が形成されていることがわかるが、図1では酸化性有機成分(c)が、ポリアミド樹脂から成る分散相中にのみに存在しているのに対し、図2では、酸化性有機成分が分散相中のみならず、連続相のポリエステル樹脂中にも存在していることがわかる。
【0014】
図3は、図1及び図2に示した射出シートを縦・横、3倍×3倍に延伸したシートのヘイズをそれぞれ示す図である。この図3から明らかなように、酸化性有機成分が島部分にのみ存在するシート(図1)では、ヘイズは約12%程度であり、透明性に優れていることが解る。これに対して図2に示した酸化性有機成分が島部分のみならず海部分にも存在しているシートでは、ヘイズは60%を超えており、透明性が顕著に劣っていることが明らかである。酸化性有機成分の状態によりヘイズがこのように上昇するのは、本発明で用いられる酸化性有機成分が、島部分だけでなく海部分にも存在することにより、光の散乱点が増加するためである。さらに、この酸化性有機成分と海部分であるポリエステル樹脂との相溶性が良くないため、海部分に存在する酸化性有機成分が、光の散乱を引き起こす粒径で存在していることもヘイズを上昇させる要因と成る。
尚、本発明において、酸化性有機成分が海部分に存在しない、ということは全く存在しないことが勿論好ましいものであるが、これに限定されるものではなく、可及的に零に近いという意味である。
【0015】
また本発明においては、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分が上記式(1)で表す平均ドメイン径が3.5μm未満であり、且つ上記式(2)で表す分散パラメータQが0.68より大きいこと、すなわち酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分が比較的小さな粒径でしかも狭い粒度分布で海部分に存在することにより、上述した酸化性有機成分の状態と相俟って、ガスバリヤー性等の機能を充分に発揮し得ると共に、優れた透明性を有することが可能になるのである。この分散パラメータQは、Q=1のとき島部分のドメイン径が単分散、すなわちQが1に近いほど島の大きさが均一であることを示している。
【0016】
図4は、ポリエステル樹脂及び酸素吸収バリヤー性樹脂組成物から成る海島分散構造を有するプリフォームの上記式(2)で表す分散パラメータQと、上記プリフォームを2軸延伸ブロー成形したボトルの肩部から切り出したシートのヘイズ(%)との関係を示す図であり、この図4から明らかなように、島部分の粒度分布を示す分散パラメータQが1に近いほど、ヘイズが小さくなり、透明性が向上していることが理解される。一般に透明性の要求される包装体、特にボトルの場合ではヘイズは20%以下であることが望ましく、本発明の包装体では分散パラメータQが0.68付近で20%よりも小さいヘイズになり、満足し得る透明性が確保されることが明らかである。
また、後述するように分散パラメータQだけでなく島部分の平均ドメイン径を3.5μm未満、特に3μm以下になるようにコントロールすることにより、酸素吸収ガスバリヤー性等の機能、透明性、機械的強度等すべてを兼ね備えることができるのである。
【0017】
【発明の実施形態】
本発明の包装体は、酸素吸収性及びガスバリヤー性を有するものであり、ポリエステル樹脂を海部分(すなわちマトリックス)とし、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を島部分とする海島分散構造を有するものである。
【0018】
(ポリエステル樹脂)
本発明の包装体のマトリックスと成るポリエステル樹脂は、特に二軸延伸ブロー成形が可能であり且つ結晶化が可能なものが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステルや、これらのポリエステルとポリカーボネートやアリレート樹脂等のブレンド物を用いることができる。本発明においては、エステル反復単位の大部分(一般に80モル%以上、)がエチレンテレフタレート単位であり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃であり、且つ融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃のポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエステルが好適である。
【0019】
また、PET系ポリエステルとしては、ホモポリエチレンテレフタレートが最適であるが、エチレンテレフタレート単位の含有量が上記範囲内にある共重合ポリエステルも好適に使用することができる。
かかる共重合ポリエステルにおいて、テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;等の1種又は2種以上の組み合わせを例示することができ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0020】
連続相を構成する樹脂は、少なくともフィルムを形成し得るに足る分子量を有しているべきであり、例えば上述したポリエステルにおいては、その固有粘度(I.V)が、0.6乃至1.40dl/g、特に0.63乃至1.30dl/gの範囲にあるのがよい。
【0021】
(酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物)
本発明の包装体において、連続相であるポリエステル樹脂中に分散相として存在する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物は、具体的には、酸化性有機成分、遷移金属触媒及びガスバリヤー性樹脂から成る樹脂組成物である。
すなわち、酸化性有機成分を酸化させることにより、酸素を吸収捕捉し、ガスバリヤー性樹脂の酸素バリヤー機能を高めると共に、ガスバリヤー性樹脂の酸化劣化によるガスバリヤー性の低下を生じることなく、酸素吸収性を発現させることが可能と成る。また遷移金属触媒は、酸化性有機成分の酸化を促進させるために配合される。これらの酸化性有機成分及び遷移金属触媒もガスバリヤー性樹脂と共に島状に分散される。
【0022】
[ガスバリヤー性樹脂]
本発明のガスバリヤー性樹脂組成物に最も好適に用いることができるガスバリヤー性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合体、ポリメタキシリレンジアジパミド(MXD6)、ナイロン6・10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミド樹脂を挙げることができる。
これらのポリアミドの中でも、末端アミノ基量が40eq/10g以上、特に50eq/10gを超えるポリアミド樹脂であることが、ポリアミド樹脂の酸化劣化を抑制する上で好ましい。
また、炭素数100個当りのアミド基の数が5乃至50個、特に6乃至20個の範囲にあるものが好適である。これらのポリアミドもフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、例えば、濃硫酸(濃度1.0g/dl)中、30℃で測定した相対粘度が1.1以上、特に1.5以上であることが望ましい。
【0023】
ポリアミド樹脂以外のガスバリヤー性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体を例示でき、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適である。このエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物)は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール/水の重量比が85/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有することが望ましい。
【0024】
[酸化性有機成分]
ガスバリヤー樹脂に配合される酸化性有機成分としては、エチレン系不飽和基含有重合体を挙げることができる。すなわち、この重合体は、炭素−炭素二重結合を有しており、この二重結合部分が酸素により容易に酸化され、これにより酸素の吸収捕捉が行なわれる。
【0025】
このようなエチレン系不飽和基含有重合体は、例えば、ポリエンを単量体として誘導される。ポリエンの適当な例としては、これに限定されるものではないが、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレンなどを挙げることができる。
【0026】
すなわち、上記ポリエンの単独重合体、或いは上記ポリエンを2種以上組み合わせ若しくは他の単量体と組み合わせてのランダム共重合体、ブロック共重合体等を酸化性有機成分として用いることができる。また、上記ポリエンと共重合させる他の単量体としては、炭素数が2乃至20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等を例示することができ、また、これら以外にも、スチレン、ビニルトリエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどを用いることもできる。
【0027】
本発明においては、上述したポリエンから誘導される重合体の中でも、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等が好適であるが、勿論、これらに限定されない。
【0028】
これらのポリエン系重合体は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、水酸基が導入されていることが好ましい。これらの官能基を導入するのに用いられる単量体としては、上記官能基を有するエチレン系不飽和単量体が挙げられる。
これらの単量体としては、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体を用いるのが好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などの飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。
【0029】
ポリエン系重合体の酸変性は、炭素−炭素二重結合を有する樹脂をベースポリマーとして、このベースポリマーに不飽和カルボン酸又はその誘導体をそれ自体公知の手段でグラフト共重合させることにより製造されるが、前述したポリエンと不飽和カルボン酸又はその誘導体とをランダム共重合させることによっても製造することができる。
本発明に特に好適な酸変性ポリエン系重合体は、不飽和カルボン酸乃至その誘導体を0.01乃至10重量%含有していることが好ましい。不飽和カルボン酸乃至その誘導体の含有量が上記範囲にあると、酸変性ポリエン系重合体のガスバリヤー性樹脂への分散が良好に成ると共に、酸素の吸収も円滑に行われる。
【0030】
また、上述したエチレン系不飽和基含有重合体以外にも、それ自体酸化されやすい重合体、例えばポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体なども酸化性有機成分として使用することができる。
【0031】
本発明においては、成形性等の見地から、上述した酸化性有機成分の40℃での粘度は1乃至200Pa・sの範囲にあることが好適である。
また、これらの酸化性有機成分は、樹脂組成物当たり10重量%以下の量で使用することが好ましい。
【0032】
[遷移金属触媒]
上述した酸化性有機成分と共に使用される遷移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適であるが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸収性(酸化性有機成分の酸化)を著しく促進させ、本発明の目的に特に適している。
【0033】
遷移金属触媒は、一般に、上記遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。
無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、本発明の目的にはカルボン酸塩が好適である。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩を挙げることができる。
【0034】
また、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。β−ジケトンやβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3−シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
【0035】
本発明において、上記の遷移金属触媒は、樹脂組成物基準で金属換算量で1乃至3000ppm、特に50乃至2000ppmの量で配合されているのがよい。
【0036】
[海島分散構造]
本発明において、上記酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物はポリエステル樹脂の連続相中で分散相として存在し、且つ酸化性有機成分はポリエステル樹脂の海部分には存在しない海島構造を有する。
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物により形成される島部分は、下記式(1)
Figure 0003685187
但し、rはドメイン径、nはドメイン数を示し、ドメイン径rはドメイン
の短径a、ドメインの長径bとしてr=(a+b)/2で表す、で表される平均ドメイン径が3.5μm未満、特に3.0μm以下となるように粒径コントロールされていることが、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の特性を十分に発揮し且つ透明性等を確保する上で好ましい。島部分の粒径があまり大きいと、ガスバリヤー性等の機能や透明性、機械的強度が低下するおそれがある。
また、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物は、水との親和性が高いため、接触している外雰囲気及び内容品から水分を吸収しやすい。この吸収した水分によって、成形前の加熱時に樹脂組成物自身の白化等がおこり、成形性が悪くなるという特徴がある。そこで、本発明のように酸素吸収ガスバリヤー性樹脂がそれぞれ独立してポリエステル樹脂中に封じ込められていれば、水分による成形性の悪化等も有効に回避され、良好な成形物を得ることができる。
【0037】
このような海島構造を形成するためには、前述した通り、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を予め調製し、これをポリエステル樹脂とブレンドすることが好ましい。すなわち、ガスバリヤー性樹脂、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を、二軸押出機を用いて脱気しながらストランド状樹脂組成物とし、このストランド状樹脂組成物をペレット状とした後、ポリエステル樹脂とドライブレンドして押出機のホッパーに供給することが好ましい。
【0038】
ポリエステル樹脂と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の2成分ブレンド物の相構造は、溶融粘度、組成、そしてスクリュー形状、回転数、温度、ブレンド方法などの成形条件に依存する。これらの中で特に重要なのは溶融粘度と組成及びブレンド方法である。
【0039】
上記のような海島分散構造において、島部分を高濃度にしたい場合、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物がポリエステル樹脂に対して相対的に高い溶融粘度を有するように、ポリエステル樹脂と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とを組み合わせ、かつ酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の混合比を高めることが好ましい。すなわち、押出機中でポリエステル樹脂とガスバリヤー性樹脂組成物とを溶融混合するが、この際、溶融粘度の高い方が島部分を形成し、溶融粘度の低い方が海部分を形成し易くなるからである。
しかし、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の溶融粘度がとポリエステル樹脂の溶融粘度との差が大きすぎると場合、上記条件で混合しても、島部分の平均ドメイン径が大きくなったり、分散パラメータQが小さくなるなどして、良好な樹脂組成物が得られにくい。このような場合、島部分の平均ドメイン径を3.5μm未満、分散パラメータQを0.68以上とするためには、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とポリエステル樹脂を2軸押し出し機で一度溶融混練し、ペレット化してから成形に用いると良い。両者を成形前に溶融混練することで樹脂の混練がより進み、分散パラメータQ及び平均ドメイン径の両者を満足する樹脂組成物が得られるためである。
【0040】
逆にマトリックス樹脂相を高濃度にしたい場合、島成分である酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の組成を低くすればよい。上記のような溶融混合に際しては、一般に、多量の成分が海部分となり、少量の成分が島部分となる傾向がある。従って、目的とする海島構造を達成するには、上記の溶融粘度と組成及び樹脂のブレンド方法の兼ね合いを考慮する必要があるが、本発明においては、海部分を形成するポリエステル樹脂を30重量%以上使用することが、上述した海島分散構造を形成するために好適である。また、島部分の平均ドメイン径を3.5μm未満とするためには、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を70重量%以下、且つ酸素吸収性能を十分に発揮させるためには、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を20重量%以上使用することが望ましい。
【0041】
このような粒径コントロールは、ポリエステル樹脂と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の混合比率、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物中の酸化性有機成分の配合量等の組成、溶融混合に際しての溶融粘度、混合時間、せん断速度、溶融温度等の混合条件を調整することにより行うことができる。
例えば、ポリエステル樹脂(A)と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物(B)の混合比率は上述したように、重量比率で、A:B=30:70乃至80:20の範囲にあることが好ましく、また酸化有機成分として無水マレイン酸変性ポリブタジエン等のポリエン系重合体を用いる場合には、酸化性有機成分を0.1乃至10重量%の割合で配合することが上述した粒径及び粒度分布を得る上で好適である。
【0042】
上述した海島分散構造を有する本発明の包装体には、その海島分散構造や成形性を損なわない範囲で、種々の配合剤、例えば充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属石鹸やワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム等を配合することもできる。
【0043】
本発明の包装体は、上述した相構造を有する層から成る単層の包装体とすることが可能であり、これにより、酸素吸収ガスバリヤー性を早期に発現することができる。また他の樹脂層を内外層とする多層構造よりも酸素吸収バリヤー性を有する層の厚みが厚いので、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の量が多く、ガスバリヤー性などの機能を長期にわたって持続することもできると共に、層間剥離を生じることがないため、強度にも優れていると言う利点がある。単層の包装体とする場合に厚みの制限は特にないが、一般に、10乃至1000μm、特に100乃至500μmの範囲にあるのがよい。
本発明の包装体においては、上述したように単層の包装体であることが好ましいが、必要により他の層を設けてもよい。
【0044】
[用途]
本発明のプラスチック包装体は、フィルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ形成用プリフォーム等の中間成形物の形を取ることができ、このような中間成形物を介して、最終的に、カップ、トレイ、ボトル、チューブ容器、パウチ、容器蓋等の包装材として使用に供される。
【0045】
例えば、押出機や射出機を用いて、それ自体公知の押出成形や射出成形し、必要により圧縮成形等を行って中間成形物を成形することができる。
中間成形物であるフィルムは、必要により二軸延伸することにより二軸延伸フィルムとして使用される。
パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの成形は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹き込むことにより、容易に行うことができる。
また、パイプ或いはプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
更に、フィルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等に付することにより、カップ形状、トレイ形状等の包装体や、容器蓋が得られる。
また、フィルムは、種々の形態の包装袋(パウチ)として用いることができ、その製袋は、それ自体公知の方法で行うことができる。
【0046】
本発明のプラスチック包装体は、特に酸素による内容物の香味低下を防止する容器として極めて有用である。
例えば、ビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等の飲料や、果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品、その他医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素の存在で劣化を生じる種々の内容物を充填するための容器に適用される。
また、本発明のプラスチック包装体は透明性にも優れているため、透明性の要求される包装体にも好適に使用できる。
【0047】
【実施例】
本発明を次の例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に規制されるものではない。
【0048】
1.[溶融粘度の測定]
キャピログラフ(東洋精機(株)製)を用い、キャピラリーL/D=10/1(mm)、シリンダー温度270℃における酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とポリエチレンテレフタレートの溶融粘度を測定した。得られた溶融粘度曲線から歪み速度182sec-1における溶融粘度比(η(バリヤー)/η(PET))を算出した。
【0049】
2.[平均ドメイン径、ドメイン数の測定]
プリフォームから、幅2mm、長さ30mmの試料片を切り出し、ウルトラミクロトームにて試料片断面を面だし後、真空中にて10mAで60秒、Pt蒸着し、前処理を行った。走査型電子顕微鏡(JMS−6300F:日本電子(株)製)で加速電圧を3kVにして前処理した試験片断面を観察し、倍率3000倍の断面写真を用いて,上記写真内の総ドメイン数を数えた。さらに島部に着目して、各ドメインの最長径と最短径を測定し、(1)、(2)式から平均ドメイン径とドメイン径の分布幅を表すパラメーターQを求めた。
【0050】
3.[ヘイズの測定]
ボトルの肩部から幅40mm、長さ30mmの試料片を切り出した。この試料片をS&M COLOUR COMPUTER MODEL SM−4(スガ試験機(株)製)にてヘイズ(%)を測定した。
【0051】
4.[ボトルの水中溶存酸素濃度測定]
無酸素水製造器(LOW DISSOLVED OXYGEN:三浦工業(株)製)で無酸素水を作成し、準備した単層ボトル内に窒素ガスをフローさせながら、気泡が混入しないよう無酸素水を満注充填し、アルミ製キャップで密封した。22℃60%RHの恒温恒湿室に80日間保管したときのボトル内水中溶存酸素濃度を水中溶存酸素濃度計(oxygen indicater:orbisphere laboratories製)で測定した。
【0052】
[実施例1]
ガスバリヤー性樹脂としてポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)樹脂(T600:東洋紡(株)社製)を用い、酸化性有機成分としてマレイン酸変性ポリブタジエン(M2000―20:日本石油化学(株)社製)を5重量%、および遷移金属触媒としてネオデカン酸コバルト(DICNATE5000:大日本インキ化学工業(株)社製)をコバルト量で350ppm含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を2軸押し出し機により作成し、ペレタイズした。ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(RT543CTHP:日本ユニペット(株)社製)のペレットと上記樹脂組成物を50:50重量比でドライブレンドしたものを、射出成型機により成形してプリフォームを得た。プリフォーム断面の電子顕微鏡観察を行い、平均ドメイン径及びパラメーターQを求めた。さらに上記プリフォームを2軸延伸ブロー成形して単層ボトルを作成し、肩部のヘイズを測定した。また、得られたボトルを用いて無酸素水試験を行った。
【0053】
[実施例2]
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とポリエステル樹脂を30:70重量比でドライブレンドした他は実施例1と同様にプリフォーム成形及び相構造解析を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトル肩部のヘイズ測定及び無酸素水試験を行った。
【0054】
[実施例3]
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物と、溶融粘度の低いPET樹脂(NES2040:ユニチカ(株)社製)を70:30重量比で混合した他は、実施例1と同様にプリフォーム成形及び相構造解析を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトル肩部のヘイズ測定及び無酸素水試験を行った。
【0055】
[実施例4]
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とPET樹脂を50:50重量比で混合した他は、実施例3と同様にプリフォーム成形及び相構造解析を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトル肩部のヘイズ測定及び無酸素水試験を行った。
【0056】
[実施例5]
ガスバリヤー性樹脂として溶融粘度の高いMXD6樹脂(T660:東洋紡(株)社製)を用いる他は実施例1と同様にして得られた酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を用い、ポリエステル樹脂と50:50重量比で混合し、2軸押し出し機で再びペレタイズしたものを射出成形に用いた他は、実施例1と同様にプリフォーム成形及び相構造解析を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトル肩部のヘイズ測定及び無酸素水試験を行った。
【0057】
[比較例1]
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物と、ポリエステル樹脂を90:10重量比でドライブレンドする以外は実施例1と同様にプリフォーム成形を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトルを用いて無酸素水試験を行った。
【0058】
[比較例2]
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物と、ポリエステル樹脂を80:20重量比でドライブレンドする以外は実施例1と同様にプリフォーム成形を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトルを用いて無酸素水試験を行った。
【0059】
[比較例3]
ガスバリヤー性樹脂としてMXD6(T600:東洋紡(株)社製)を47.5重量%、酸化性有機成分としてマレイン酸変性ポリブタジエン(M2000―20:日本石油化学(株)社製)を2.5重量%、ポリエステル樹脂として溶融粘度の低いPET樹脂(NES2040:ユニチカ(株)社製)を50重量%、金属触媒としてネオデカン酸コバルト(DICNATE5000:大日本インキ化学工業(株)社製)をガスバリヤー性樹脂に対してコバルト換算で350ppmを、あらかじめ2軸押し出し機で溶融混練してペレット化し、射出成型機により成形してプリフォームを得た。得られたプリフォームから2軸延伸ブロー成形して単層ボトルを作成し、肩部のヘイズを測定した。
【0060】
[比較例4]
ガスバリヤー性樹脂に溶融粘度の高いMXD6(T660:東洋紡(株)社製)を用い、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とポリエステル樹脂を60:40重量比の割合でドライブレンドする他は、実施例1と同様にプリフォーム成形及び相構造解析を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトル肩部のヘイズ測定及び無酸素水試験を行った。
【0061】
[比較例5]
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とポリエステル樹脂を50:50重量比で用いる他は、比較例4と同様にプリフォーム成形及び相構造解析を行い、さらに2軸延伸ブロー成形ボトル肩部のヘイズ測定及び無酸素水試験を行った。
【0062】
【表1】
Figure 0003685187
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル樹脂から成る海部分と、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有していると共に、前記酸化性有機成分が海部分に存在しないことにより、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が有するガスバリヤー性等の機能性に優れていると共に、透明性に優れたプラスチック包装体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリエステル樹脂と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物のドライブレンド物から成るシートの電子顕微鏡写真を模式的に示した図である。
【図2】 ポリエステル樹脂とポリアミド樹脂、酸化性有機成分、遷移金属触媒の4種を一緒に混合したブレンド物から成るシートの電子顕微鏡写真を模式的に表した図である。
【図3】 図1及び図2のシートを縦・横3倍×3倍に延伸したシートのヘイズを示す図である。
【図4】 分散パラメータQとヘイズとの関係を表す図である。

Claims (10)

  1. ポリエステル樹脂から成る海部分と、ガスバリヤー性樹脂、酸化性有機成分及び遷移金属触媒をブレンドして成る酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有していると共に、前記酸化性有機成分が海部分に存在しないことを特徴とするプラスチック包装体。
  2. 前記島部分が下記式(1)及び(2)
    Figure 0003685187
    但し、rはドメイン径、nはドメイン数を示し、ドメイン径rはドメインの短径a、ドメインの長径bとしてr=(a+b)/2であり、
    Figure 0003685187
    で表わされる、平均ドメイン径rが3.5μm未満且つ分散パラメータQが0.68より大きい請求項1記載のプラスチック包装体。
  3. 前記酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が、樹脂組成物基準で70重量%以下のポリアミド樹脂を含有する請求項1又は2記載のプラスチック包装体。
  4. 前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が40eq/10g以上である請求項3記載のプラスチック包装体。
  5. 前記酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が、樹脂組成物基準で10重量%以下の酸化性有機成分を含有する請求項1乃至4の何れかに記載のプラスチック包装体。
  6. 前記酸化性有機成分がポリエン類から誘導された重合体である請求項1乃至5記載の何れかに記載のプラスチック包装体。
  7. 前記酸化性有機成分が酸変性ポリエン系重合体である請求項6記載のプラスチック包装体。
  8. 前記遷移金属触媒がコバルトのカルボン酸塩である請求項1乃至7の何れかに記載のプラスチック包装体。
  9. 前記酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が、金属換算で1乃至3000ppmの遷移金属触媒を含有する請求項1乃至8の何れかに記載のプラスチック包装体。
  10. 前記海島構造が、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を予め調製した後、熱可塑性樹脂とブレンドすることにより形成される請求項1乃至9の何れかに記載のプラスチック包装体。
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