JP5158661B2 - 熱可塑性樹脂組成物および該組成物を用いた多層容器 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および該組成物を用いた多層容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素吸収性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明は、さらに、酸素吸収性に加えて、酸素、炭酸ガスなどに対するガスバリア性、防湿性、保香性、フレーバーバリア性に優れた樹脂組成物に関する。本発明はさらに、このような組成物を用いた多層構造体であって、外観、特に透明性の良好な構造体、例えば、飲料、食品、医薬品、化粧品などの包装容器などに関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略すことがある)などのガスバリア性樹脂は、一般に溶融成形が可能で、酸素あるいは炭酸ガスバリア性に優れた材料として、包装用のフィルム、シート、ボトル、容器等に広く用いられている。このような樹脂と、耐湿性、機械的特性等に優れた熱可塑性樹脂、なかでもポリオレフィン系樹脂とを積層した多層プラスチック包装材は、バッグ、ボトル、カップ、パウチ等の形で酸素バリア性に優れた容器として食品、化粧品、医化学薬品、トイレタリー等の種々の分野で広く使用されている。
【0003】
このような樹脂を用いた包装材料は、酸素、炭酸ガスなどのバリア性に優れるものの、缶詰等の用途に使用される金属素材や、瓶詰め等の用途に使用されるガラスのように、酸素等の気体に対する透過性はゼロに限りなく近いというわけではなく、未だ無視し得ない量の気体を透過する。特に食品用途における包装材料においては、長期間保存した場合の内容物の酸化による品質の低下が懸念される。
【0004】
食品などの包装内容物、特に酸化されやすい内容物を酸素などから保護する場合に、上記のように、酸素や炭酸ガスを遮断するという手段を用いることの他、内容物包装時や充填時に内容物とともに包装容器内に混入する酸素を吸収することにより、内容物の劣化を防ぐことが望まれている。そのため、酸素吸収剤を同封したり、包装材料の樹脂に酸素吸収剤を混入させて該樹脂に酸素吸収機能を付与することが提案されている。
【0005】
例えば、包装材料であるEVOHに酸素吸収機能を付与する方法としては、次のような方法が提案されている:▲1▼EVOHに遷移金属等の酸化触媒を加えることにより、該EVOHを酸化されやすくし、透過しようとする酸素と該EVOHとを反応させ、そのことによりEVOHに酸素吸収機能を付与する方法(特開平04−211444号);▲2▼ポリオレフィンと酸化触媒からなる樹脂組成物をEVOH中に分散させて、透過しようとする酸素とEVOH中のポリオレフィンとを反応させることにより、酸素吸収機能を有する樹脂組成物を得る方法(特開平05−156095号);および▲3▼EVOH、ポリオレフィンおよび酸化触媒を配合し、透過しようとする酸素とポリオレフィンおよびEVOHとを反応させることにより、酸素吸収機能を有する樹脂組成物を得る方法(特開平05−170980号)。
【0006】
しかしながら、上記した▲1▼の方法は酸素吸収機能が十分でなく、かつ酸化触媒を多量に添加するため透明性が十分でないという問題がある。▲2▼および▲3▼の方法でも、EVOH樹脂にポリオレフィンを加えることにより著しく透明性が損なわれるという問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上記従来の問題点を解決することにあり、その目的とするところは、飲料、食品、医薬品、化粧品などの包装材料をはじめ多くの分野で使用され得る、優れた酸素吸収機能を有する熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、上記優れた酸素吸収機能に加えて、ガスバリア性、特に酸素ガスに対するバリア性に優れた樹脂組成物を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、および上記優れた酸素吸収機能およびガスバリア機能に加え、良好な透明性を有する樹脂組成物を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、該組成物を用いた多層構造体、例えば多層容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を含有し、該多層構造重合体粒子(B)は酸素吸収層を少なくとも一層有しており、該酸素吸収層は共役ジエン系単量体を重合成分として含有するジエン系重合体(B1)を含み、そして、この組成物は該遷移金属塩(C)を金属元素換算で1〜5000ppmの割合で含有する。
【0009】
本発明の第2の熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂(A)および多層構造重合体粒子(B)を含有し、該多層構造重合体粒子(B)は酸素吸収層を少なくとも一層有しており、該酸素吸収層は共役ジエン系単量体を重合成分として含有するジエン系重合体(B1)を含み、かつ該組成物の酸素吸収速度は0.01ml/m・day以上である。
【0010】
好適な実施態様においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂(A)を10〜99.9重量%の割合で、そして上記多層構造重合体粒子(B)を0.1〜90重量%の割合で含有する。
【0011】
好適な実施態様においては、上記熱可塑性樹脂(A)は、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、ポリアミド系樹脂(A2)、およびポリエステル系樹脂(A3)でなる群から選択される少なくとも1種である。
【0012】
好適な実施態様においては、上記ジエン系重合体(B1)は、共役ジエン系単量体のみを重合成分とする重合体、および共役ジエン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを重合成分とする重合体のうちの少なくとも1種である。
【0013】
好適な実施態様においては、上記遷移金属塩(C)は、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、およびコバルト塩から選ばれる少なくとも1種である。
【0014】
好適な実施態様においては、上記熱可塑性樹脂(A)はポリビニルアルコール系樹脂(A1)であって、該ポリビニルアルコール系樹脂(A1)は、エチレン含有量3〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
【0015】
好適な実施態様においては、上記多層構造重合体粒子(B)を構成する重合体は、炭素−炭素二重結合を0.0001eq/g以上の割合で含有する。
【0016】
好適な実施態様においては、上記熱可塑性樹脂(A)と多層構造重合体粒子(B)との屈折率の差は0.01以下である。
【0017】
好適な実施態様においては、上記多層構造重合体粒子(B)は、上記熱可塑性樹脂(A)のマトリックス中に分散している。
【0018】
本発明の第3の熱可塑性樹脂は、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を含有する。この組成物においては、多層構造重合体粒子(B)が熱可塑性樹脂層を少なくとも2層有しており、該2層のうちの1層が、共役ジエン系単量体を重合成分として含有するジエン系重合体(B1)を含有する樹脂でなる酸素吸収層であり、該ジエン系重合体(B1)には、該共役ジエン系単量体が共重合成分として、該酸素吸収層を構成する樹脂全体の量を基準として10モル%以上の割合となるように含有され、他の層が、該ジエン系重合体(B1)を実質的に含有せず、該層が多層構造重合体粒子(B)の最外層を形成する。組成物中には、遷移金属塩(C)が金属元素換算で1〜5000ppmの割合で含有される。
【0019】
本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物からなる層を含む多層構造体および多層容器を包含する。
【0020】
本発明はまた、上記熱可塑性樹脂組成物からなる層を含み、全層厚みが300μm以下である多層フィルムおよび該多層フィルムを成形してなる多層容器を包含する。
【0021】
本発明はまた、上記熱可塑性樹脂組成物からなる層および熱可塑性ポリエステルでなる層を有する多層容器を包含する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本明細書において、酸素を“吸収する”とは、与えられた環境から酸素を吸収・消費し、あるいはその量を減少させることを言う。
【0023】
本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂(A)の種類は特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマーを包含する。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、ポリアミド系樹脂(A2)、およびポリエステル系樹脂(A3)が好ましい。これらはガスバリア性に優れたるため、このような樹脂を利用すると、酸素吸収機能に加えて良好なガスバリア機能が得られる。
【0024】
上記ポリビニルアルコール系樹脂(A1)は、ビニルエステルの単独重合体、またはビニルエステルと他の単量体との共重合体(特にビニルエステルとエチレンとの共重合体)を、アルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。
【0025】
上記ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的な化合物としてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0026】
上記ポリビニルアルコール系樹脂(A1)のビニルエステル成分のケン化度は、好適には90%以上であり、より好適には95%以上であり、更に好適には97%以上である。ケン化度が90モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下するおそれがある。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)の場合には熱安定性が悪化し、得られる成形品にゲル・ブツが発生しやすくなる。
【0027】
ポリビニルアルコール系樹脂がケン化度の異なる2種類以上のポリビニルアルコール系樹脂の混合物である場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。かかるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0028】
本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A1)としては、溶融成形が可能で、高湿度下でのガスバリア性が良好な点から、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)が好適である。
【0029】
EVOHのエチレン含有量は5〜60モル%であるのが好ましい。エチレン含有量が5モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も悪化することがある。EVOHのエチレン含有量は、好適には10モル%以上であり、より好適には15モル%以上、最適には20モル%以上である。エチレン含有量が60モル%を超えると十分なガスバリア性が得られにくい。エチレン含有量は、好適には55モル%以下であり、より好適には50モル%以下である。EVOHのエチレン含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0030】
好適に利用されるEVOHは、エチレン含有量が5〜60モル%、ケン化度が90%以上である。
【0031】
EVOHがエチレン含有量あるいはケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含有量あるいはケン化度とする。
【0032】
ただし、2種類のEVOHを配合する際には、両者のエチレン含有量の差が15モル%以下であり、かつケン化度の差が10%以下であることが好ましい。これらの条件から外れる場合には、樹脂組成物層の透明性が損なわれるおそれがある。良好な透明性を得る観点からはエチレン含有量の差はより好適には10モル%以下であり、さらに好適には5モル%以下である。また、同様に良好な透明性を得る観点からケン化度の差はより好適には7%以下であり、さらに好適には5%以下である。
【0033】
また、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、特にEVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の単量体を共重合成分として少量含有することもできる。共重合成分となり得る単量体の例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのアミド、その無水物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類などが挙げられる。
【0034】
なかでも、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合は、共押出成形あるいは共射出成形する際の基材樹脂との溶融粘度の整合性が改善され、均質な成形品の製造が可能である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0035】
さらに、EVOHにホウ素化合物が添加されている場合にも、共押出成形あるいは共射出成形する際の基材樹脂との溶融粘度の整合性および熱安定性が改善され、長時間の運転時においても均質な共押出あるいは共射出成形品が得られる点で有効である。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物うちでもホウ酸、オルトホウ酸、NaBHが好ましい。
【0036】
ホウ素化合物が添加される場合に、その含有量はホウ素元素換算で20〜2000ppm、望ましくは50〜1000ppmである。この範囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOHを得ることができる。20ppm未満ではそのような効果が小さく、2000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
【0037】
EVOHに、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5〜5000ppm添加しておくことも層間接着性や相容性の改善のために効果的である。
【0038】
アルカリ金属塩のより好適な添加量はアルカリ金属元素換算で20〜1000ppm、好ましくは、30〜500ppmである。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげられ、アルカリ金属塩としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、燐酸塩、金属錯体等が挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリウムが好適である。
【0039】
EVOHに対し、リン化合物をリン元素換算で2〜200ppm、より好適には3〜150ppm、最適には5〜100ppmの割合で添加することも好ましい。EVOH中のリン濃度が2ppmより少ない場合や200ppmより多い場合には、溶融成形性や熱安定性に問題を生じることがある。特に、長時間にわたる溶融成形を行なう際にゲル状ブツや着色が発生しやすくなる。
【0040】
EVOHに添加するリン化合物の種類は特に限定されるものではない。リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩としては第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよく、リン酸塩のカチオン種も特に限定されない。リン酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムの形でリン化合物を添加することが好ましい。
【0041】
本発明に用いられ得るEVOHの好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下、JIS K7210に基づく)は0.1〜100g/10分、より好適には0.5〜50g/10分、さらに好適には1〜30g/10分である。
【0042】
この他、必要に応じて、EVOHにあらかじめ熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィンなど)をブレンドしておくことも可能である。上記ホウ素化合物、アルカリ金属塩、リン化合物などが添加されたEVOHは、市販されている。
【0043】
上記ポリアミド樹脂(A2)の種類は特に限定されない。例えば、次のポリアミド樹脂が利用される:ポリカプロラクタム(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウロラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,6)、ポリドデカメチレンセバカミド(ナイロン−12,10)、カプロラクタム/ラウロラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/へキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウロラクタム/へキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン−12/6,6)、ヘキサメチレンアジパミド/へキサメチレンセバカミド共重合体(ナイロン−6,6/6,10)、エチレンアジパミド/へキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/へキサメチレンアジパミド/へキサメチレンセバカミド共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10),ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、およびヘキサメチレンイソフタルアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0044】
上記ポリエステル系樹脂(A3)の種類も特に限定されない。ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)などがその代表として挙げられる。さらにこれらの重合体に、共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類;あるいはイソフタル酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有させた共重合ポリエステルも用いられ得る。
【0045】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有される多層構造重合体粒子(B)は、主として熱可塑性樹脂でなる多層構造(2層構造以上)の粒子であり、該粒子は酸素吸収層を少なくとも一層有する。この酸素吸収層は、共役ジエン系単量体を重合成分として含有するジエン系重合体(B1)を含む。ジエン系重合体(B1)は、後述のように酸素吸収機能を有する。多層構造重合体粒子(B)は、コア/シェルと称されている層構造、すなわち外層により内層が覆われている内層/外層構造を一般的に有し、2層または3層で構成されていても4層以上で構成されていてもよい。ここで層とは、多層構造粒子の核部分をも包含していう(この核部分をコア層という)。上記内層および外層は、相対的な用語であり、例えば、コア層、中間層および最外層でなる3層の多層構造粒子の場合、中間層はコア層に対して外層であり、最外層に対して内層である。
【0046】
多層構造重合体粒子(B)は、通常、上記酸素吸収層以外に硬質層を含有する。この硬質層は、酸素吸収層よりも高硬度を有する樹脂の層であり、該粒子の形状維持、ハンドリング性を高めるなどの目的で設けられる。
【0047】
本発明の多層構造重合体粒子が2層構造の場合は、通常、酸素吸収層(コア層)/硬質層(最外層)の構成であり、3層構造の場合は、硬質層(コア層)/酸素吸収層(中間層)/硬質層(最外層)、酸素吸収層(コア層)/硬質層(中間層)/硬質層(最外層)または酸素吸収層(コア層)/酸素吸収層(中間層)/硬質層(最外層)の構成である。4層構造の場合は、例えば、酸素吸収層(コア層)/硬質層(中間層)/酸素吸収層(中間層)/硬質層(最外層)の構成である。3層以上の層構造を有する多層構造重合体粒子中においては、重合体粒子は酸素吸収層を2層以上有していてもよい。
【0048】
多層構造重合体粒子(B)においては、粒子に柔軟性を付与して耐衝撃性等の力学物性を改善すること、または耐候性を改善することを目的として、酸素吸収層および硬質層以外に、任意の部位にゴム層を設けることもできる。さらに、酸素吸収機能を実用的に阻害しない範囲で、酸素吸収層もしくは硬質層自体を改質してゴム弾性をもたせることも可能である(いずれも後述)。
【0049】
上記種々の多層構造は、例えば、内層が部分的に外層に包まれている態様であてもよい。さらに、多層構造重合体粒子中のいずれか1層またはそれ以上の層に微小空隙(マイクロボイド、ボイド、キャビティーを包含する)を有する(少なくとも1個有する)ような態様、およびこのような態様であって、該空隙が粒子の外側の空間と連結する通路を1つ以上有する態様なども包含する。
【0050】
本発明の多層構造重合体粒子の最外層は、後述のように、ジエン系重合体(B1)を実質的に含有しない層であることが望ましい。
【0051】
なお、本明細書において用いられる「粒子」は、高分子化学において用いられるポリマー粒子が一般的に有する性質を有している。このようなポリマー粒子の概説は、例えば、次の文献に記載されている:機能性材料としての微粒子ポリマーの新展開(東レリサーチセンター);超微粒子ポリマーの最先端技術(シーエムシー、1991);微粒子設計(工業調査会、1987)。
【0052】
多層構造重合体粒子の構成は、上記に限定されず、種々に改変され得る。
【0053】
上記酸素吸収層に用いられるジエン系重合体(B1)は、共役ジエン系単量体を重合成分として含有する重合体である。このような重合体は、共役ジエン系単量体のみを重合成分とする重合体、および共役ジエン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを重合成分とする重合体のうちの少なくとも1種である。
【0054】
このような化合物は分子内に反応性の二重結合を有するため、酸素と反応することが可能であり、そのことにより酸素吸収機能を有する。
【0055】
上記共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレンなどがある。このような単量体のみを重合成分とする重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体などが好ましい。
【0056】
共役ジエン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを重合成分とする重合体に含まれるビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルなどがある。これらのうち(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどがある。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンなどがある。上記用語「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル」と「メタクリル酸エステル」との総称を意味する。
【0057】
共役ジエン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを重合成分とする重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体などがあり、これらが好適に用いられる。
【0058】
ジエン系重合体(B1)として、共役ジエン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを重合成分とする重合体を採用することにより、熱可塑性樹脂(A)と多層構造重合体粒子(B)との屈折率の差を制御することが容易となる。さらに、粒子の重合体層を調製する際の反応時間の制御が容易となる。例えば、熱可塑性樹脂(A)としてポリビニルアルコール系樹脂(A1)を使用する場合に、該樹脂との屈折率の差の制御という観点からは、スチレンを共重合成分として含有する重合体が好ましく、重合反応の時間の短縮という観点からは、アクリル酸エステルを共重合成分として含有する重合体が好ましい。屈折率差の制御と、重合反応時間短縮という双方の観点からは、スチレン−ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体、およびスチレン−イソプレン−アクリル酸エステル共重合体が特に好適である。
【0059】
充分な酸素吸収機能を得る観点からは、上記ジエン系重合体(B1)に重合成分として含まれる共役ジエン系単量体は、酸素吸収層全体の重合体の重量を基準として、10重量%以上、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上の割合で含有される。重合成分としての共役ジエン系単量体の含有量の上限は特に限定されず、共役ジエン系単量体の量が100%であってもよい。つまり酸素吸収層が共役ジエン系単量体のみを重合成分とする重合体のみで構成されていてもよい。しかし、熱可塑性樹脂(A)と多層構造重合体粒子(B)の屈折率の差を小さくすること、および重合体層を調製する際の反応時間の制御を考慮すると、該共役ジエン系単量体は、好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下の割合で含有される。従って、該重合体に重合成分として含有される共役ジエン系単量体の含有量は、酸素吸収層全体の重量を基準として10〜90重量%であることが好ましい。
【0060】
上記多層構造重合体粒子(B)における硬質層を構成する重合体としては、25℃より高いガラス転移温度(Tg)を有する重合体が使用され、その種類は特に限定されない。硬質層は、好適には最外層として設けられる。硬質層を最外層として有する多層構造重合体粒子(B)を用いることにより、該粒子のハンドリング性、および熱可塑性樹脂(A)と溶融混練するときの分散性が良好になる。硬質層を形成させるために使用され得る重合性単量体として一般的なものは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等である。これらの中でも、メタクリル酸メチルもしくはスチレンを単独で使用して硬質層を形成すること、あるいはその一方を主成分として2種以上の上記単量体の組み合わせで硬質層を形成するのが好ましい。
【0061】
上記ゴム層を構成する重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系ゴム;オルガノポリシロキサン;熱可塑性エラストマー;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、これらの中でもポリアクリル酸エステルからなるアクリル系ゴムが特に好ましい。アクリル系ゴムを形成し得るアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。このゴム層は、上記多層構造重合体粒子(B)中の任意の部位に設けることが可能である。
【0062】
さらに、上記のように、酸素吸収機能を実用的に阻害しない範囲で酸素吸収層自体を改質してゴム弾性をもたせることも可能である。より詳細には、酸素吸収層が、ゴム弾性を発現させるために架橋した分子鎖構造を有していること、および/または酸素吸収層の分子鎖とそれに隣接する層中の分子鎖が化学結合によりグラフトされていることも好適である。そのためには例えば、酸素吸収層を形成させるための単量体の重合において、少量の多官能性の重合性単量体を架橋剤またはグラフト剤として併用することが望ましい。多官能性の重合性単量体は、分子内に炭素−炭素間二重結合を2個以上有するラジカル重合性の単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸と、アリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコールまたはエチレングリコール、ブタンジオール等のグリコールとのエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコールとのエステルなどが包含される。多官能性の重合性単量体としては、具体的にはアクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が例示される。なお、前記の用語「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジアクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味する。
【0063】
多官能性の重合性単量体は、単独でも、複数種を組み合わせても用いることができる。これらの中でも、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、メタクリル酸アリルなどが好ましく用いられる。ただし、多官能性の重合性単量体を使用する場合、その量が多すぎると、多層構造重合体粒子におけるゴムとしての性能を低下させる。その結果、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および酸素吸収性が低下する。多官能性の重合性単量体の量は、酸素吸収層を形成する重合性単量体全体の10重量%以下とすることが好ましい。なお、共役ジエン系化合物を主成分とする重合性単量体を用いる場合には、それ自体が架橋点あるいはグラフト点として機能するため、必ずしも多官能性の重合性単量体を併用しなくてもゴム弾性を有する酸素吸収層が形成される。
【0064】
多層構造重合体粒子(B)全体に占める酸素吸収層の割合は、必ずしも限定されるものではないが、20〜95重量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは50〜90重量%の範囲内である。酸素吸収層を形成する重合体部分の量が少なすぎると本発明の樹脂組成物の酸素吸収能が不充分であるおそれがある。
【0065】
多層構造重合体粒子(B)の最外層は、該ジエン系重合体(B1)を実質的に含有していないことが好ましい。多層構造重合体粒子(B)のハンドリング性および熱可塑性樹脂(A)と溶融混練するときの粒子の分散性に優れるためである。具体的には、該ジエン系重合体(B1)が5モル%以下であることが好ましい。最外層は、好ましくは硬質層である。
【0066】
多層構造重合体粒子(B)を構成する樹脂全体の中には、該樹脂全体の重量を基準として、炭素−炭素二重結合を0.0001eq/g以上の割合で含有することが好ましい。この炭素−炭素二重結合は、上記ジエン系重合体(B1)由来であり得る。炭素−炭素二重結合の含有量が0.0001eq/g未満である場合、酸素吸収速度が充分とならず、本発明の組成物の酸素吸収効果が不充分である場合がある。充分な酸素吸収効果を得る観点からは、炭素−炭素二重結合の含有量は0.0005eq/g以上であるのがより好ましく、0.001eq/g以上であるのが更に好ましい。
【0067】
なお、ここでいう炭素−炭素二重結合とは脂肪族化合物および芳香環側鎖の二重結合を指し、共役二重結合をも含むが、芳香環に含まれる多重結合は含まない。
【0068】
多層構造重合体粒子(B)は、場合によっては酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤の例としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等を挙げることができる。
【0069】
酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物中の成分の種類、含有割合、使用目的、保存条件などを考慮して最適量が決定される。一般に酸化防止剤を多く含む場合には、樹脂組成物中を透過しようとする酸素と、多層構造重合体粒子(B)中のジエン系重合体(B1)との反応が妨げられる。そのため、本発明の組成物の酸素吸収機能が十分に発揮されない場合がある。一方、酸化防止剤を含まない場合あるいはその含有量が少なすぎる場合には、熱可塑性樹脂組成物の保存時あるいは溶融加工時に酸素との反応が進行してしまい、実使用時には酸素吸収性能が低下してしまっている場合がある。
【0070】
多層構造重合体粒子(B)を不活性ガス雰囲気下で保存する場合や、比較的低温であるいは窒素シールした状態で溶融配合して樹脂組成物を製造する場合などは、酸化防止剤の量は少なくてもよい。
【0071】
本発明の樹脂組成物が、後述のように遷移金属塩(C)からなる酸化触媒を含む場合には、多層構造重合体粒子(B)がある程度の量の酸化防止剤を含んでいても、良好な酸素吸収能力を有する樹脂組成物を得ることができる。このような場合の酸化防止剤の含有量は、0.01〜1重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がより好ましい。この酸化防止剤は、上記のように、多層構造重合体粒子(B)調製時に添加されていてもよく、あるいは樹脂組成物の各成分を混合するときに加えられてもよい。
【0072】
多層構造重合体粒子(B)の製造法は特に限定されない。例えば、通常の乳化重合法を採用して、球状の多層構造重合体粒子(B)を容易に得ることができる。例えば、コア層として酸素吸収層、そして最外層として硬質層を有する2層構造の粒子を得る場合には、まず、酸素吸収層を形成し得る単量体を用いて乳化重合を行ない、次いで、硬質層を形成し得る単量体を反応系に投入して乳化重合を行なうことにより、目的とする2層構造の粒子が得られる。乳化重合法においては、公知の手段に従って、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等の連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。なお、乳化重合後、ポリマーラテックスからの多層構造重合体粒子(B)の分離取得は公知の方法に従って、例えば凝固乾燥によって行うことができる。
【0073】
多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径については、特に制限されないが、0.02〜2μmの範囲内とすることが好ましく、0.05〜1.0μmの範囲内とすることがより好ましい。平均粒子径が小さすぎると多層構造重合体粒子(B)の製造コストが増大する。逆に大きすぎると本発明の樹脂組成物の透明性が失われるおそれがある。
【0074】
製造される多層構造重合体粒子(B)の形態については、特に限定されない。例えば、相互に最外層部分で融着した状態のペレット状でもよく、パウダー状またはグラニュール状でもよく、いずれの場合であっても本発明の樹脂組成物の製造に使用可能である。
【0075】
上記多層構造重合体粒子(B)の屈折率は、熱可塑性樹脂(A)との屈折率の差が0.01以下であることが、樹脂組成物の透明性の観点から特に好ましい。熱可塑性樹脂(A)と多層構造重合体粒子(B)との屈折率の差が0.01を超える場合、本発明の樹脂組成物の透明性に劣るおそれがある。良好な透明性を得るためには、熱可塑性樹脂(A)と多層構造重合体粒子(B)との屈折率の差は0.007以下であることが好ましく、0.005以下であることがより好ましい。ここで多層構造重合体粒子(B)の屈折率とは、多層構造重合体粒子(B)を金型温度210℃にてプレス成形し、得られた厚さ20μmの無延伸フィルムの屈折率を測定した値を指す。
【0076】
この多層構造重合体粒子(B)自体も、透明性に優れていることが好ましい。この多層構造重合体粒子(B)を金型温度210℃にてプレス成形し、得られた厚さ20μmの無延伸フィルムの内部ヘイズ値が10%以下であることが好ましい。
【0077】
本発明の樹脂組成物における熱可塑性樹脂(A)および多層構造重合体粒子(B)の含有割合は特に限定されないが、通常、熱可塑性樹脂(A)が10〜99.9重量%、多層構造重合体粒子(B)が0.1〜90重量%の割合で含有される。好ましくは、熱可塑性樹脂(A)が70〜99重量%、多層構造重合体粒子(B)が1〜30重量%の割合で、さらに好ましくは熱可塑性樹脂(A)が80〜98重量%、多層構造重合体粒子(B)が2〜20重量%の割合で含有される。多層構造重合体粒子(B)の含有割合が0.1重量%未満である場合、酸素吸収機能が充分に発揮されない場合がある。ガスバリア性を目的として、熱可塑性樹脂(A)としてEVOHなどのガスバリア性樹脂を用いる場合には、該ガスバリア性樹脂の量が少ないと、樹脂組成物全体としてガスバリア性に劣る。
【0078】
本発明の樹脂組成物においては、好ましくは遷移金属塩(C)を含有する。遷移金属塩(C)が含有される場合、その含有量は、金属元素換算で1〜5000ppm、好ましくは5〜1000ppm、さらに好ましくは10〜500ppmである。
【0079】
これにより、多層構造重合体粒子(B)中のジエン系重合体(B1)の酸素酸化反応を促進することができる。例えば、本発明の組成物から得られる包装材料内部に存在する酸素並びに包装材料中を透過しようとする酸素とジエン系重合体(B1)とが効率よく反応し得るようになる。その結果、本発明の樹脂組成物における酸素吸収作用が向上する。ただし、遷移金属塩(C)の含有量が金属元素換算で5000ppmを超える範囲で使用すると本発明の樹脂組成物の熱安定性が低下し、分解ガスの発生やゲル・ブツの発生が著しくなる。このような観点から、遷移金属塩(C)の含有量は上記範囲が好ましい。
【0080】
このような遷移金属塩(C)に用いられる金属は、周期表の第1、第2または第3遷移系列から選択されるのが好ましい。適当な金属にはマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ロジウム、チタン、クロム、バナジウムおよびルテニウムが含まれるが、これらに限定されない。これらの金属の中で好ましいのは、鉄、ニッケル、銅、マンガンおよびコバルトであり、より好ましくは、マンガンおよびコバルトであり、更に好ましくはコバルトである。
【0081】
遷移金属塩(C)に用いられる金属の対イオンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸およびナフテン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。特に好ましい塩としては、2−エチルへキサン酸コバルト、ネオデカン酸コバルトおよびステアリン酸コバルトが挙げられる。金属塩は重合体性対イオンを有する、いわゆるアイオノマーであってもよい。
【0082】
本発明の第1の熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂(A)、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を含有する。
【0083】
本発明の第2の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)および多層構造重合体粒子(B)を含有し、酸素吸収速度が0.01ml/m・day以上であるという特徴を有する。
【0084】
本発明の第3の熱可塑性樹脂組成物は、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を含有し、該多層構造重合体粒子(B)が後述の特定の構成を有する。
【0085】
上記いずれの樹脂組成物においても、必要に応じて各種の添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、乾燥剤あるいは他の高分子化合物を挙げることができ、これらを本発明の作用効果が阻害されない範囲でブレンドすることができる。
【0086】
さらに、他の高分子化合物の1種以上を本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
【0087】
本発明の樹脂組成物には、溶融安定性等を改善するためにハイドロタルサイト化合物、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)の一種または二種以上を本発明の作用効果が阻害されない程度に添加することができる。これらを使用する場合、樹脂組成物に対し0.01〜1重量%添加することが好適である。
【0088】
本発明の樹脂組成物に、ハイドロタルサイト化合物を配合した場合、樹脂組成物からなる層においてゲルやフィッシュアイの発生を防止することができ、長時間の運転安定性をさらに改善することができる。
【0089】
また、樹脂組成物に、高級脂肪族カルボン酸の金属塩を配合した場合、ゲルやフィッシュアイの発生を防止することができ、長時間の運転安定性をさらに改善することができる。
【0090】
ここで、高級脂肪族カルボン酸の金属塩としては炭素数8〜22の高級脂肪酸の金属塩が好適に用いられる。炭素数8〜22の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等が挙げられ、金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム等が挙げられる。このうちマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属が好適である。
【0091】
本発明の樹脂組成物、例えば、上記第1および第2の組成物においては、多層構造重合体粒子(B)および必要に応じて遷移金属塩(C)の粒子が熱可塑性樹脂(A)、特にガスバリア性を有する熱可塑性樹脂のマトリックス中に分散していることが好ましい。このような樹脂組成物および該樹脂組成物を使用した多層容器等の成形品は、酸素吸収性および透明性が良好である。ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂を用いた場合には、成形品のガスバリア性および酸素吸収性が極めて良好となる。本発明の樹脂組成物中における多層構造重合体粒子(B)の分散状態は必ずしも限定されない。個々の粒子が完全に独立した形態で均一に分散している状態、複数個の粒子が相互に凝集してなる凝集粒子の形態で均一に分散している状態、これらの状態が共存している状態などのいずれでもよい。しかし、多層構造重合体粒子(B)の分散粒径(単一の粒子、もしくは複数の粒子でなる集合体の粒径)は10μm以下であることが好ましい。分散粒径が10μmを超える場合、熱可塑性樹脂(A)と多層構造重合体粒子(B)との界面の面積が小さくなり、酸素吸収性能が低下する。熱可塑性樹脂(A)のマトリックス中に分散している多層構造重合体粒子(B)粒子の平均粒径は5μm以下がより好ましく、2μm以下が更に好ましい。0.03〜1μmの範囲内の粒子径を有する粒子の状態で熱可塑性樹脂相中に均一に分散していることが特に好ましい。
【0092】
上記のように、本発明の第3の熱可塑性樹脂組成物は、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を含有し、該多層構造重合体粒子(B)が特定の構成を有する。この多層構造重合体粒子(B)に含まれる少なくとも2層の熱可塑性樹脂層のうちの1層は、酸素吸収層(共役ジエン系単量体を重合成分として含有するジエン系重合体(B1)を含有する層)である。この酸素吸収層には該共役ジエン系単量体でなる共重合成分が10モル%以上の割合で含有される。他の1層は最外層を形成する層であり、この層は、該ジエン系重合体(B1)を実質的に含有しない。ここで、「ジエン系重合体(B1)を実質的に含有しない」とは、ジエン系重合体(B1)の含有量が5モル%以下であることを言う。
【0093】
このように最外層がジエン系重合体(B1)を実質的に含有しない層、通常硬質層であるため、該粒子のハンドリング性は良好である。このような組成物は、例えば、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)のみを混合して溶融成形し、多層構造重合体粒子(B)の最外層同士が連結した状態で各種の成形品とすることができる。このような成形品は、例えば、フィルムの用途などに好適に使用される。この組成物はさらに熱可塑性樹脂(A)を含むことも可能である。
【0094】
上記本発明の第2の組成物の酸素吸収速度は、0.01ml/m・day以上であり、その他の組成物においても酸素吸収速度が、0.01ml/m・day以上であることが好ましい。樹脂組成物の酸素吸収速度は0.05ml/m・day以上であることがより好ましく、0.1ml/m・day以上であることが更に好ましい。酸素吸収速度が0.01ml/m・day未満である場合、本発明の樹脂組成物を用いて成形される多層容器等の成形品の酸素吸収効果が不充分なものとなるおそれがある。
【0095】
上記酸素吸収速度は、樹脂組成物のフィルムを一定容量の空気中に放置した場合に、単位表面積当たりで、単位時間内にそのフィルムが吸収した酸素の体積である。具体的な測定方法は、後述の実施例に示す。
【0096】
本発明の樹脂組成物の好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下、JIS K7210に基づく)は0.1〜100g/10min.、より好適には0.5〜50g/10min.、さらに好適には1〜30g/10min.である。本発明の樹脂組成物のメルトフローレートが0.1〜100g/10min.の範囲から外れる場合、溶融成形を行うときの加工性が悪くなるおそれがある。
【0097】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、目的に応じて種々の成形品に成形される。
例えば後述のように、この熱可塑性樹脂組成物からなる層を含む多層構造体、例えば多層フィルム、多層容器が製造される。多層容器は例えば、該多層フィルムを成形することにより好適に製造される。
【0098】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の各成分を混合・成形する方法は特に限定されない。各成分を混合する際の順序も特に限定されない。
【0099】
例えば、熱可塑性樹脂樹脂(A)、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)の3成分を配合して成形品を製造する場合に、その配合順序は特に限定されない。熱可塑性樹脂(A)、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を同時に混合してもよいし、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を混合した後熱可塑性樹脂(A)と混合してもよい。また、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を混合した後多層構造重合体粒子(B)と混合してもよいし、熱可塑性樹脂(A)および多層構造重合体粒子(B)を混合した後遷移金属塩(C)と混合してもよい。更に、熱可塑性樹脂(A)および多層構造重合体粒子(B)を混合して得た混合物と、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を混合して得た混合物とを混合してもよい。
【0100】
本発明の樹脂組成物の各成分を混合するための手段としては、リボンブレンダー、高速ミキサー、コニーダー、ミキシングロール、押出機、インテンシブミキサー等が例示される。
【0101】
本発明の樹脂組成物の各成分は、ドライブレンドしてそのまま溶融成形に供することもできる。より好適には例えば、バンバリーミキサー、単軸又は二軸スクリュー押出し機などで混練し、ペレット化してから溶融成形に供される。ブレンド操作時に多層構造重合体粒子(B)の酸化が進行するのを防止する観点から、ホッパー口を窒素シールし、低温で押出すことが好ましい。混練機能の高い押出機を使用し、分散状態を細かく均一なものとすることが、酸素吸収性能、透明性を良好にすると共に、ゲル、ブツの発生や混入を防止できる点で好ましい。
【0102】
樹脂組成物中の各成分が良好に分散されるために、混練操作は重要である。高度な分散を有する組成物を得るための混練機としては、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向、あるいは異方向)などの連続型混練機が最適であるが、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機を用いることもできる。また別の連続混練装置としては石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用した装置、たとえば(株)KCK製のKCK混練押出機を用いることもできる。混練機として通常に使用されるもののなかには、一軸押出機に混練部(ダルメージ、CTM等)を設けたもの、あるいはブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機も挙げることができる。
【0103】
この中で、本発明の目的に最も好ましいものとしては、連続式インテンシブミキサーを挙げることができる。市販されている機種としては、Farrel社製FCM、(株)日本製鋼所製CIMあるいは(株)神戸製鋼所製KCM、LCMあるいはACM等がある。実際にはこれらの混練機の下に一軸押出機を有する、混練と押出ペレット化を同時に実施する装置を採用するのが好ましい。また、ニーディングディスクあるいは混練用ロータを有する二軸混練押出機、例えば(株)日本製鋼所製のTEX、Werner&Pfleiderer社のZSK、東芝機械(株)製のTEM、池貝鉄工(株)製のPCM等も本発明の混練の目的に用いられる。
【0104】
これらの連続型混練機を用いるにあたっては、ローター、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特にミキシングチャンバとローターチップあるいはディスクチップとの隙間(チップクリアランス)は重要で、狭すぎても広すぎても良好な分散性を有する組成物は得られない。チップクリアランスとしては1〜5mmが最適である。
【0105】
混練機のローターの回転数は100〜1200rpm、望ましくは150〜1000rpm、さらに望ましくは200〜800rpmの範囲が採用される。混練機チャンバー内径(D)は30mm以上、望ましくは50〜400mmの範囲のものが挙げられる。混練機のチャンバー長さ(L)との比L/Dは4〜30が好適である。また混練機はひとつでもよいし、また2以上を連結して用いることもできる。
【0106】
混練時間は長い方が良い結果を得られるが、熱可塑性樹脂(A)の酸化防止および経済性の点から10〜600秒、好適には15〜200秒の範囲であり、最適には15〜150秒である。
【0107】
本発明の樹脂組成物は、種々の成形方法を用いて、フィルム、シート、容器その他の包装材料等に成形することができる。
【0108】
例えば、溶融押出成形によりフィルム、シート、パイプ等に、射出成形により容器形状に、また中空成形によりボトル状等の中空容器に成形できる。中空成形には、押出成形によりパリソンを成形し、これをブローして成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォームを成形してこれをブローして成形を行う射出中空成形がある。
【0109】
本発明においては、上記成形により得られる成形品は単層であってもよいが、他の色々な樹脂から構成される層との積層体(多層構造体)として用いることが、多機能を付与できる点からより好ましい。本発明の樹脂組成物を単層で用いた場合、内容物あるいは外気の水分によって酸素吸収性が低下することがある上、機械的強度が充分でないことがある。それを補う上で、水分の多く存在する側に水蒸気バリア性のある層を積層したり、或いは機械的強度の高い層を積層したりすることが好ましい。
【0110】
また、本発明においては、樹脂組成物層の外側を他の樹脂層で覆うことによって、外部からの酸素の浸入速度を抑制することができ、樹脂組成物の酸素吸収機能を長時間維持することができる点からも、多層構成とすることが好ましい。
【0111】
なお、容器の最内層が樹脂組成物である場合には、容器内の酸素吸収機能が速やかに発揮されて有効な場合がある。
【0112】
多層構造体の具体的な層構成としては、他の樹脂からなる層をX層、樹脂組成物層をY層、接着性樹脂層をZ層とすると、X/Y、X/Y/X、X/Z/Y、X/Z/Y/Z/X、X/Y/X/Y/X、X/Z/Y/Z/X/Z/Y/Z/Xなどの層構成が例示されるが、これらに他の層を適宜付加することは何ら差しつかえなく上記の例に限定されるものではない。複数の他の樹脂からなる層を設ける場合は、異なった種類のものでもよいし、同じものでもよい。さらに、成形時に発生するトリムなどのスクラップからなる回収樹脂層を別途設けてもよいし、回収樹脂を他の樹脂からなる層にブレンドしてもよい。多層構造体の厚み構成に関しても特に限定されるものではないが、成形性およびコスト等を考慮した場合、全層厚みに対する樹脂組成物層の厚み比は2〜20%が好適である。
【0113】
本発明の樹脂組成物と積層する他の樹脂層の材料としては、加工性等の点から、熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エチレンホモポリマーおよびエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマーおよびプロピレンコポリマー、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド;ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレートなどが例示される。かかる熱可塑性樹脂層は無延伸のものであってもよいし、一軸あるいは二軸に延伸あるいは圧延されているものであっても構わない。
【0114】
これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィンは耐湿性、力学特性、経済性、ヒートシール性等にも優れる点からも好適である。また、ポリエステルは透明性が良好で、力学特性にも優れるため、透明性の良好な本発明の樹脂組成物と積層する有用性が大きい。
【0115】
本発明においては、本発明の樹脂組成物層と他の樹脂層とを接着するために、接着性樹脂を使用することができる。接着性樹脂は各層間を接着できるものであれば特に限定されるものではないが、ポリウレタン系、ポリエステル系一液型あるいは二液型硬化性接着剤、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂などが好適に用いられる。カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)を共重合成分として含むオレフィン系重合体または共重合体;あるいは不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体または共重合体にグラフトさせて得られるグラフト共重合体である。
【0116】
これらのうちでも、接着性樹脂がカルボン酸変性ポリオレフィン樹脂であることが、ポリオレフィンなどの表面層と樹脂組成物層との接着性の観点からより好ましい。かかるカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂の例としては、ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)}、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合体等をカルボン酸変性したものが挙げられる。
【0117】
多層構造体を得る方法としては、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出成形法などがあげられ、特に限定されるものではない。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法などを挙げることができる。
【0118】
このようにして得られた多層構造体のシート、フィルム、パリソンなどを、含まれる樹脂の融点以下の範囲で再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、あるいはインフレーション延伸法、ブロー成形法などにより一軸、あるいは二軸延伸することによって延伸された成形品を得ることもできる。
【0119】
本発明の樹脂組成物は含有される熱可塑性樹脂(A)および多層構造重合体粒子(B)を構成する樹脂の種類を、屈折率を考慮して適宜選択することにより、透明性が良好となる。従って、積層する他の樹脂として透明性に優れた樹脂を選択することにより、内容物を視認しやすい包装容器が得られる。透明性に優れた多層構造体を得たい場合には、内部ヘイズが10%以下、より好適には5%以下、さらに好適には3%以下となるようにする。
【0120】
本発明の樹脂組成物を用いた容器等の成形品、特に多層構造体は各種用途に用いられる。なかでも、酸素吸収性に優れ、かつ熱可塑性樹脂(A)を適切に選択することによりガスバリア性にも極めて優れるという本発明の樹脂組成物を用いることの優位性は、各種包装容器として用いられたときに大きく発揮される。特に、食品、医薬品、農薬等、酸素の存在によって品質が悪化しやすいものの包装容器として好適である。
【0121】
さらに、本発明の樹脂組成物は、樹脂を適宜選択することにより良好な透明性を有することが可能であるから、内容物を視認しやすい包装容器としての用途にも適している。かかる包装容器の内でも透明性に対する要求性能が厳しく、本願発明の樹脂組成物を使用することの有用性が大きい態様として、例えば、以下の2種の実施態様が挙げられる。
【0122】
すなわち、一つは本願発明の樹脂組成物からなる層を含み、全層厚みが300μm以下である多層フィルムからなる容器であり、他の一つは本願発明の樹脂組成物からなる層および熱可塑性ポリエステル層からなる多層容器である。以下、それらの実施態様について順次説明する。
【0123】
本願発明の樹脂組成物からなる層を含み、全層厚みが300μm以下である多層フィルムからなる容器は、全体層厚みが比較的薄い多層構造体からなるフレキシブルな容器であり、通常パウチ等の形態に加工されているものである。
【0124】
一般に良好な透明性が要求される容器としては、多層構造体を構成する各樹脂層の厚みが薄く、全体としての厚みの薄い容器が製造される。例えばポリオレフィン等の結晶性の樹脂を用いる場合に、厚みが大きい場合には、結晶による散乱に由来して透明性が悪化する場合が多いのに対し、厚みの薄い容器であれば、良好な透明性が得られる。また一般に、無延伸で結晶化している樹脂は透明性が不良であっても、延伸配向して結晶化した樹脂は透明性が良好となる。かかる一軸あるいは二軸に延伸されたフィルムは通常厚みが薄く、この点からも厚みの薄い多層構造体が良好な透明性を与える場合が多い。
【0125】
本発明の樹脂組成物は、適切な樹脂を選択することにより透明性が非常に良好となる。従って、透明性が要求されることの多い、厚みの薄い多層フィルムからなる容器に好適に使用することが可能である。このような薄いフィルムにおいては経時的に透明性が悪化してもその程度は小さい。
【0126】
かかる多層フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、300μm以下であることが良好な透明性を維持しやすく好適である。より好適には250μm以下であり、さらに好適には200μm以下である。一方、厚みの下限値も特に限定されるものではないが、容器としての力学的な強度を考慮すると、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。
【0127】
層構成は特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物層と他の熱可塑性樹脂層とをドライラミネート、共押出ラミネートなどの手法で多層化することによって多層フィルムを得ることができる。
【0128】
ドライラミネートする場合には、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フィルムが使用可能である。これらの内で、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリε−カプロラクタムフィルムが、強度、透明性等の点から好ましいものとして挙げられる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは防湿性が良好であり特に好ましい。
【0129】
包装容器を密封するために、この包装容器を構成する多層フィルムの少なくとも片面の最表面にヒートシール可能な樹脂からなる層を設けることも好ましい。かかる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。
【0130】
また、積層した後に再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、あるいはインフレーション延伸法などにより一軸、あるいは二軸延伸することによって延伸された多層フィルムを得ることもできる。
【0131】
こうして得られた多層フィルムは、袋状に加工され、内容物を充填するための包装容器とすることができる。フレキシブルで簡便であり、かつ透明性および酸素吸収性に優れるので、酸素の存在により劣化しやすい内容物、特に食品等の包装に極めて有用である。
【0132】
本願発明の樹脂組成物からなる層および熱可塑性ポリエステル層からなる多層容器は、樹脂を適切に選択することにより良好な透明性が得られ、かつガスバリア性、酸素吸収性に優れる。
【0133】
一般にポリエステル樹脂は透明性が良好であり、本発明の樹脂組成物と積層することで、透明性の良好な多層構造体を得ることができる。
【0134】
本願発明の樹脂組成物からなる層および熱可塑性ポリエステル層からなる多層容器の形態は特に限定されるものではなく、袋状容器、カップ状容器、中空成形容器等が挙げられるが、中でも重要なのが中空成形容器である。中空成形容器の製法は特に限定されず、ブロー成形、射出成形等が挙げられるが、実用的にはブロー成形が重要であり、中でもボトル形状のものが重要である。
【0135】
熱可塑性ポリエステル樹脂からなるブロー成形ボトルは、現在広く飲料容器として使用されている。かかる用途においては内容物の劣化を防ぐ必要があるとともに、内容物である飲料を消費者が充分に視認できることが要求されている。しかも、例えばビールのような酸素による風味の劣化を極めて受けやすい内容物を包装する場合には、極めて高度なガスバリア性と酸素吸収性能を有することが望まれるが、そのような要求に応えるのは容易ではない。
【0136】
本願発明の樹脂組成物からなる層および熱可塑性ポリエステル層からなる多層ブローボトルは、透明性を維持しながら、内容物の品質の保持性能が極めて優れているので、かかる用途に最適である。
【0137】
上記熱可塑性樹脂組成物からなる層および熱可塑性ポリエステル層からなる本願発明の多層容器に用いられるポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸またはそれらのアルキルエステルとジオールとから形成される縮合重合体が用いられる。特に本発明の目的を達成するには、エチレンテレフタレート成分を主成分とするポリエステル樹脂が好ましい。本発明に使用されるポリエステル樹脂では、一般に、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位との合計割合(モル%)が、ポリエステルを構成する全構造単位の合計モル数に対して、70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましい。ポリエステルにおけるテレフタル酸単位とエチレングリコール単位の合計割合が70モル%未満であると得られるポリエステルが非晶性になるため、延伸容器に加熱充填(ホットフィル)した場合の収縮が大きく耐熱性に劣る上、強度も低下してしまう。さらに、樹脂内に含有されるオリゴマーを低減するために行われる固相重合時に、樹脂の軟化による膠着が生じやすく、生産も困難になる。
【0138】
上記ポリエステル樹脂は、必要に応じてテレフタル酸単位およびエチレングリコール単位以外の二官能化合物単位を、加工性、強度、耐熱性などを大幅に損なわない範囲で含有することができる。その割合(モル%)としては、ポリエステルを構成する全構造単位の合計モル数に対して、30モル%以下であるのが好ましく、20モル%以下であるのがより好ましく、10モル%以下であるのがさらに好ましい。
【0139】
含有させることのできる好ましい二官能化合物単位としてはジカルボン酸単位、ジオール単位およびヒドロキシカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の二官能化合物単位が挙げられる。これらは脂肪族の二官能化合物単位、脂環式の二官能化合物単位、芳香族の二官能化合物単位のうちのいずれでもよい。
【0140】
また成形性および透明性の観点からは、熱可塑性ポリエステルが、エチレンテレフタレート成分を主成分とし、かつその融点が240〜250℃であることが好ましい場合もある。
【0141】
融点が250℃を超える場合には、ポリエステル樹脂の結晶化速度が速いため、射出成形時あるいはブロー成形時に加熱による結晶化が進行しやすく、結果として得られたボトルに白化が生じたりしやすくなり、透明性が損なわれる場合がある。また、延伸配向性が低下して賦形性も悪化する場合がある。そのため良好な製品を得ることのできる製造条件の範囲が狭くなり、不良品率が高くなりやすい。融点はより好適には248℃以下である。
【0142】
一方、融点が240℃未満の場合には、多層容器の耐熱性が低下する。またポリエステル樹脂の結晶性も必要以上に低下するため、延伸配向性が低下して強度も低下する。さらに、融点が低下することで固相重合温度も低くせざるを得ず、反応速度の低下に由来する生産性の低下の問題も生じる。融点はより好適には242℃以上であり、最適には244℃以上である。
【0143】
かかる融点を有するポリエステル樹脂を得るには、エチレンテレフタレート成分を主成分とするポリエステル樹脂に適当な量の共重合成分を含有させればよい。具体的にはポリエステルを構成する全構成単位の合計モル数に対して、1〜6モル%の共重合成分を含んでいることが好ましい。より好適には1.5〜5モル%であり、最適には2〜4モル%である。
【0144】
製造時に副生するジエチレングリコールの共重合量を考慮した上で、共重合単量体をポリエチレンテレフタレートの製造系に加えることにより上記範囲の共重合量の樹脂を得ることができる。共重合単量体としては、特に限定されるものではなく、前述の二官能性化合物単位として挙げられた各種の単量体を用いることができるが、中でもネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が好適なものとして挙げられる。
【0145】
特にイソフタル酸は、得られた共重合ポリエステルを用いた場合、良好な製品を得ることのできる製造条件が広く、その結果、不良品率が低いという利点を有する。さらに、結晶化速度の抑制による成形品の白化を防止できる点からも好ましい。
【0146】
1,4−シクロヘキサンジメタノール単位または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、それから得られる成形品の落下強度が優れるという点からも好ましい。
【0147】
また、ナフタレンジカルボン酸は、得られるポリエステルのガラス転移温度が高く、その結果、最終的に得られる容器の耐熱性が向上する点から好ましい。さらに、ナフタレンジカルボン酸を共重合成分として含有するポリエステルは紫外線を吸収することができるので、内容物が紫外線による劣化を生じやすい場合に特に有用である。例えば、ビールのように内容物が酸化によっても、紫外線によっても劣化しやすいものである場合に有用である。
【0148】
共射出延伸ブロー成形容器において、内容物を紫外線から保護することを目的とする場合、熱可塑性ポリエステルが、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を、全ジカルボン酸成分に対して0.5〜15モル%の範囲内で含有することが好ましく、1.0〜10モル%の範囲内で含有することが更に好ましい。
【0149】
ポリエステル樹脂の製造に際して重縮合触媒を使用する場合は、ポリエステルの製造に通常用いられているものを使用することができ、例えば、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物;二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラn−ブトキシドなどのゲルマニウム化合物;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどのチタン化合物;ジn−ブチル錫ジラウレート、ジn−ブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテートなどの錫化合物などを挙げることができ、これらの触媒化合物は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒のうち、得られるポリエステルの色調が良好となるという面からはゲルマニウム化合物が好ましく、触媒コストの面からはアンチモン化合物が好ましい。ゲルマニウム化合物としては二酸化ゲルマニウムが特に好ましく、アンチモン化合物としては三酸化アンチモンが特に好ましい。重縮合触媒は、ジカルボン酸100重量部に対して0.002〜0.8重量部添加されるのが好ましい。
【0150】
成形性の観点からはアンチモン化合物よりもゲルマニウム化合物を採用することが好ましい。すなわち、一般にアンチモン化合物を用いて重合したポリエステルの結晶化速度はゲルマニウム化合物を用いて重合したポリエステルよりも速いため、射出成形時あるいはブロー成形時に加熱による結晶化が進行しやすく、結果として得られたボトルに白化が生じやすくなり、透明性が損なわれる。また、延伸配向性が低下して賦形性も悪化する場合がある。そのため良好な製品を得ることのできる製造条件の範囲が狭くなり、不良品率が上昇しやすくなる。
【0151】
したがって、副生するジエチレングリコール以外の共重合成分を含まないポリエチレンテレフタレートを用いる場合には、他の共重合成分で少量変性されたポリエチレンテレフタレートを用いるときに比べて結晶化速度が速いため、特に触媒の選択が重要であり、ゲルマニウム化合物を用いることが好ましい。
【0152】
本発明の多層ブローボトルの熱可塑性ポリエステル層に使用されるポリエステル樹脂の製造方法は特に限定されない。上記ジオール、ジカルボン酸、重合触媒などを用いて、通常の方法により調製される。
【0153】
上記熱可塑性ポリエステル層を有する多層容器のうち、ボトル形状の容器の製造について説明する。
【0154】
このような容器の製造方法は特に限定されないが、共射出ブロー成形法を用いることが、生産性等の点から好適である。共射出ブロー成形法では、多層構造を有する容器前駆体(パリソン)は通常2台の射出シリンダーを有する成形機を用い単一の金型に1回の型締め操作を行い、溶融したポリエステル樹脂(PES)および本願発明の酸素吸収性樹脂組成物をそれぞれの射出シリンダーよりタイミングをずらして交互に射出するか、同心円状のノズルより同時に射出するか、その両者を併用することにより得られる。例えば、(1)先に内外層用のPESを射出し、次いで、中間層となる樹脂組成物を内外層と同時に射出して、PES/樹脂組成物/PESの3層構成の容器を作る方法;あるいは(2)先に内外層用のPESを射出し、次いで樹脂組成物を内外層と同時に射出して、さらにそれと同時にあるいはその後、中心層となるPESを前記各層と同時に射出し、PES/樹脂組成物/PES/樹脂組成物/PESの5層構成の容器を作る方法;などの方法により、内層がPES層に完全に封入された有底パリソンが得られる。これらの方法は、一般的な有底パリソンの製造方法であり、特に設備上限定を受けるものではない。また、上記層構成においてPES層と樹脂組成物層の間に、必要に応じて接着性樹脂層を配置してもよい。
【0155】
有底パリソンの射出成形時の条件として、PESは250℃〜330℃の温度範囲内で射出するのが好ましく、270℃〜320℃の温度範囲内で射出するのがより好ましく、280℃〜310℃の温度範囲内で射出するのがさらに好ましい。PESの射出温度が250℃未満である場合、PESペレットが十分に溶融しきらないために成形品に未溶融物(フィッシュアイ)が混入し外観不良を生じる。また、それにより成形品の強度が低下する。さらに、極端な場合はスクリュートルクが上昇し成形機の故障を引き起こす。一方、PESの射出温度が330℃を越える場合、PESの分解が著しくなり、分子量低下による成形品の強度低下を引き起こす。また、分解時に生じるアセトアルデヒドなどのガスにより成形品に充填する物質の性質を損なうだけでなく、分解時に生じるオリゴマーにより金型の汚れが激しくなり成形品の外観を損なう。
【0156】
上記成形においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、170〜250℃の温度範囲内で射出するのが好ましく、180〜240℃の温度範囲内で射出するのがより好ましく、190〜230℃の温度範囲内で射出するのがさらに好ましい。
【0157】
樹脂組成物の射出温度が170℃未満である場合、樹脂組成物ペレットが充分に溶融しきらないために成形品に未溶融物(フィッシュアイ)が混入し外観不良を生じる。さらに、極端な場合はスクリュートルクが上昇し成形機の故障を引き起こす。一方、樹脂組成物の射出温度が250℃を越える場合、多層構造重合体粒子(B)中のジエン系重合体(B1)の酸化が進行する。その結果、樹脂組成物の酸素吸収能力が低下して、酸素吸収性の低下を引き起こしやすい。同時に、着色やゲル化物による成形品の外観不良、あるいは分解ガスやゲル化物により流動性が不均一となりあるいは阻害されて、樹脂組成物層の欠落部分を生じることもある。また、極端な場合、ゲル化物の発生により、射出成形が不可能となる。溶融時の酸化の進行を抑制するためには、原料供給ホッパーを窒素でシールすることも好ましい。
【0158】
なお樹脂組成物は前もって熱可塑性樹脂(A)と多層構造重合体粒子(B)および必要に応じて遷移金属塩(C)を溶融配合したペレットの形で成形機に供給してもよいし、ドライブレンドした材料を成形機に供給してもよい。
【0159】
PESおよび樹脂組成物が流入するホットランナー部分の温度は220℃〜300℃の範囲内で射出するのが好ましく、240℃〜280℃の範囲内で射出するのがより好ましく、250℃〜270℃の範囲内で射出するのがさらに好ましい。
【0160】
ホットランナー部分の温度が220℃未満である場合、PESの結晶化が進行し、ホットランナー部分で固化してしまうため、成形が困難となる。一方、ホットランナー部分の温度が300℃を越える場合、多層構造重合体粒子(B)の酸化が進行し、樹脂組成物の酸素吸収能力が低下して酸素吸収性の低下を引き起こしやすい。同時に、着色やゲル化物による成形品の外観不良、あるいは分解ガスやゲル化物により流動性が不均一となるか、あるいは流動性が阻害されて樹脂組成物層の欠落部分を生じることもある。極端な場合には、ゲル化物の発生により、射出成形が不可能となる。
【0161】
上記有底パリソンを延伸ブロー成形して得られる多層容器の良好な耐デラミ(耐層間剥離)性、透明性を得るためには、上記の射出成形時に、パリソンのPESおよび熱可塑性樹脂(A)の結晶化をできる限り抑制することが重要である。それにより、均一な延伸性が得られ、耐デラミ性、透明性および形状に優れた成形品を得ることができる。パリソンのPESおよび熱可塑性樹脂(A)の結晶化を抑制するためには、金型温度を0℃〜70℃の範囲内にするのが好ましく、5℃〜50℃の範囲内にするのがより好ましく、10〜30℃の範囲内にするのがさらに好ましい。金型温度が0℃未満であると、金型の結露によりパリソンの外観が損なわれ、良好な成形品が得られない。また、金型温度が70℃を越える場合、パリソンのPESおよび熱可塑性樹脂(A)の結晶化が進行し、均一な延伸性が得られず、延伸ブロー成形して得られる成形品の耐デラミ性が低下する上、意図した形に賦形された成形品を得ることが困難となる。さらに、PESの結晶化により、透明性が損なわれる。
【0162】
パリソンの厚みに関しては、総厚みで2〜5mm、熱可塑性樹脂組成物層は合計で10〜500μmであるのが好ましい。
【0163】
こうして得られた多層パリソンは、高温の状態で直接、あるいはブロックヒーター、赤外線ヒーターなどの発熱体で75〜150℃に再加熱された後、延伸ブロー工程に送られる。延伸ブロー工程では、多層パリソンは縦方向に1〜5倍に延伸された後、圧縮空気などで1〜4倍にブロー成形され、PES樹脂層および酸素吸収性樹脂組成物層が一軸あるいは二軸延伸された多層ポリエステル延伸ブロー容器が得られる。
【0164】
この場合、多層パリソン加熱時の温度が高すぎると、ポリエステルが結晶化し易くなるため、延伸ブロー容器が白化し外観が損なわれる。また、延伸ブロー容器のデラミの発生が増加するため、好ましくない。一方、多層パリソン加熱時の温度が低すぎると、ポリエステルにクレーズが生じ、パール調になるため透明性が損なわれる。このため、加熱時の多層パリソンの温度は、85〜140℃が好ましく、90℃〜130℃がより好ましく、95〜120℃がさらに好ましい。
【0165】
本発明におけるブロー容器の容器胴部の総厚みは一般的には100〜2000μm、好適には150〜1000μmであり、用途に応じて使い分けられる。このときの酸素吸収性樹脂組成物層の合計厚みは2〜200μmの範囲内であるのが好ましく、5〜100μmの範囲内であるのがより好ましい。
【0166】
このようにして本願発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層および熱可塑性ポリエステル層からなる多層容器が得られる。この容器は良好な透明性およびガスバリア性を有するように製造することが可能であり、かつ酸素吸収性に極めて優れる。従って、酸素の存在により劣化しやすい内容物、例えば、食品、医薬品等の包装に有用である。特にビール等の飲料の容器として極めて有用である。さらに、全層厚みが300μm以下である多層フィルムからなる容器、あるいは熱可塑性ポリエステル層と積層してなる多層容器を、ガスバリア性および酸素吸収性を有しかつ透明性に優れた容器として調製することが可能であり、本発明の樹脂組成物を用いる実益は大きい。
【0167】
【実施例】
以下に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。本実施例において分析、評価は次のようにして行った。
【0168】
(1)ポリビニルアルコール系樹脂(A1)のエチレン含有量およびケン化度:
ポリビニルアルコール系樹脂(A1)のエチレン含有量およびケン化度は、重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒として測定した1H−NMR(核磁気共鳴)のスペクトル(日本電子社製「JNM−GX−500型」により測定)により算出した。
【0169】
(2)多層構造重合体粒子(B)の炭素−炭素二重結合含有量:
多層構造重合体粒子(B)の炭素−炭素二重結合含有量は、重クロロホルムを溶媒として測定した1H−NMR(核磁気共鳴)のスペクトル(日本電子社製「JNM−GX−500型」により測定)により算出した。ここで、炭素−炭素二重結合の含有量は多層構造重合体粒子(B)1g中に含まれる二重結合のモル数(eq/g)を計算により求めたものである。
【0170】
(3)ポリエステルにおける各構造単位の含有率:
ポリエステルにおける各構造単位の含有率は、重水素化トリフルオロ酢酸を溶媒として測定したポリエステルの1H−NMR(核磁気共鳴)のスペクトル(日本電子社製「JNM−GX−500型」により測定)により算出した。
【0171】
(4)ポリビニルアルコール系樹脂(A1)におけるリン酸根含有量:
リン酸根含量は、以下に示す方法に従いリン酸イオン(PO 3−)含量として得た。試料とする乾燥済みポリビニルアルコール系樹脂(A1)10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、リン酸イオン含量を得た。カラムは、(株)横川電機製のCIS−A23を使用し、溶離液は2.5mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナトリウムを含む水溶液とした。なお、定量に際してはリン酸水溶液で作成した検量線を用いた。
【0172】
(5)ポリビニルアルコール系樹脂(A1)におけるNa、K、Mgイオンの含有量:
試料とする乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液を、イオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、Naイオン、KイオンおよびMgイオンの量を定量した。クロマトグラフィーのカラムは、(株)横河電機製のICS−C25を使用し、溶離液は5.0mMの酒石酸と1.0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液とした。定量に際してはそれぞれ塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化マグネシウム水溶液で作成した検量線を用いた。こうして得られたNaイオン、KイオンおよびMgイオンの量から、乾燥チップ中のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の量を金属元素換算の量で得た。
【0173】
(6)ポリエステルの極限粘度:
多層容器胴部のポリエステル層からサンプルのフィルム層を切り出し、フェノールとテトラクロルエタンの等重量混合溶媒に溶解させた。得られた溶液の粘度を、30℃にてウベローデ型粘度計(林製作所製「HRK−3型」)を用いて測定した。
【0174】
(7)ポリエステルのガラス転移温度および融点:
多層容器胴部のポリエステル層からサンプルフィルム層(試料)を切り出し、JIS K7121に準じて、示差熱分析法(DSC)により、次のように測定を行なった。セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)RDC220/SSC5200H型を用い、試料を280℃の温度に5分間保持した後、降温速度100℃/分の条件で30℃の温度にし、さらに5分間保持した後、昇温速度10℃/分の条件で測定した。但し、温度の校正にはインジウムと鉛を用いた。また、本発明でいうガラス移転点は、前記JISでいう中間点ガラス転移温度(Tmg)をいい、さらに、本発明でいう融点は、前記JISでいう融解ピーク温度(Tpm)をいう。
【0175】
(8)メルトフローレート:
メルトインデクサーL244(宝工業株式会社製)を用いて測定した。具体的には、測定する樹脂のチップを、内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーに充填し、210℃で溶融した後、溶融した樹脂に対して、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャーによって均等に荷重をかけ、シリンダーの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより押出された樹脂の流出速度(g/10分)を測定し、これをメルトフローレートとした。
【0176】
(9)樹脂の屈折率:
熱可塑性樹脂(A)または多層構造重合体粒子(B)をプレス成形し、厚み20μmの無延伸フィルムを得た。得られたフィルムを用いてアッベの屈折率計(株式会社アタゴ社製4T型、株式会社東芝製SL−Na−1ランプ)を用いて屈折率を測定した。
【0177】
(10)ヘイズ値(曇価):
多層構造重合体粒子(B)または樹脂組成物をプレス成形し、厚み20μmの無延伸フィルムを得た。得られたフィルムを用いて、ASTM D1003−61に準じて、ポイック積分球式光線透過率・全光線反射率計(村上色彩技術研究所製「HR−100型」)を使用し内部ヘイズ値を測定した。また、多層フィルムも同様に測定した。
【0178】
さらに、多層ボトルについてはボトル胴部中央を円周上に4分割した4箇所について、各箇所における内部ヘイズ値を測定し、その平均値を採ってボトルのヘイズ値(曇価)とした。
【0179】
(11)樹脂組成物の酸素吸収速度:
樹脂組成物を用いてフィルム押出成形を行い、厚み20μmのフィルムを得た。得られた単層フィルム0.9m(0.2m×4.5m;表面積1.8m)をフィルム製膜の5時間後にロール状に巻いて、20℃、65%RHの空気を満たした内部容量375mlの三角フラスコに入れた。三角フラスコ中の空気は、酸素および窒素を21:79の割合(体積比)で含有する。三角フラスコの口を、エポキシ樹脂を用いて、アルミニウム層を含む多層シートで封じてから、20℃で放置した。封入48時間後、96時間後および192時間後の内部の空気をシリンジでサンプリングし、この空気の酸素濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。測定時に多層シートに空いた細孔は、エポキシ樹脂を用いてその都度封じた。測定はガスクロマトグラフィーで得られた酸素と窒素の体積比から、酸素の減少量(酸素吸収量)を計算することによって求めた。2日後〜8日後の6日間での酸素減少量を、日数と表面積とで割ることにより、樹脂組成物の酸素吸収速度(ml/m・day)を算出した。
【0180】
(12)多層容器の酸素透過量:
得られたボトルの形態のままで、窒素雰囲気下、ボトル外部を20℃−65%RH、ボトル内部を20℃−100%RHに温湿度調整した後、酸素透過量測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN−10/50A)にて、成形10日後の容器1個当たりの酸素透過量(ml/ container ・day・atm)を測定した。
【0181】
(合成例1)多層構造重合体粒子(B−a)の製造例
オートクレーブに蒸留水200重量部、乳化剤としてオレイン酸ナトリウム4.0重量部、ロンガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート)0.267重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.13重量部および硫酸第一鉄7水和物0.008重量部を仕込み、窒素で雰囲気を置換をしながら撹拌下で50℃に昇温した。30分後にコア層を形成するための単量体としてスチレン33.1重量部、アクリル酸ブチル7.4重量部、およびブタジエン29.5重量部を加え、さらに30分間、この温度を保持しながら撹拌を続けた。次いで、同温度で、クメンハイドロパーオキシド0.1重量部を加えて第1の重合を開始させた。4時間後、ガスクロマトグラフィーで単量体がすべて消費されたことを確認した。このようにして、重合体ラテックスを得た。
【0182】
次に、得られた重合体ラテックスを、窒素雰囲気下に、撹拌翼、冷却管および滴下ロートを装着した重合容器に移し、70℃に昇温した。さらに、ペルオキソ二硫化カリウム0.1重量部を加えた後、最外層を形成するための単量体としてメタクリル酸メチル28.5重量部およびアクリル酸メチル1.5重量部の混合物を滴下ロートより2時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で、さらに30分間撹拌下に反応を続け、ガスクロマトグラフィーで単量体がすべて消費されたことを確認して第2の重合を終了させた。このようにして得られたラテックスに含まれる粒子(多層構造重合体粒子(B−a))の粒子径を、レーザー粒径解析システムPAR−III(大塚電子株式会社)を用いた動的光散乱法で測定した。その結果、該粒子(B−a)の粒子径は0.15μmであった。
【0183】
得られたラテックスを−20℃に24時間冷却して粒子を凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄し、さらに50℃で2日間減圧乾燥して、多層構造重合体粒子(B−a)を得た。得られた多層構造重合体粒子(B−a)は、スチレン47.3重量%、アクリル酸ブチル10.5重量%およびブタジエン42.2重量%からなる酸素吸収層をコア層として有し、メタクリル酸メチル95重量%およびアクリル酸メチル5重量%からなる硬質層を最外層として有するコアシェル型2層構造の粒子であった。該多層構造重合体粒子(B)中のブタジエン(ジエン系重合体中に共重合成分として含有される)の含有量は、該粒子(B)全体の29.5重量%であった。
【0184】
得られた多層構造重合体粒子(B−a)を金型温度210℃にてプレス成形を行い、厚み20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの屈折率およびヘイズ値(曇価)を測定したところ、それぞれ1.531および0.9%であった。また、得られた多層構造重合体粒子(B−a)における炭素−炭素二重結合の含有量は0.005eq/gであった。
【0185】
(実施例1)
ポリビニルアルコール系樹脂(A1)として、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5%、メルトフローレート(210℃−2160g荷重)8.4g/10分のEVOHを準備した。該EVOHのリン酸根含有量及びNa、K、Mgイオン含有量を測定したところ、それぞれ100ppm,20ppm、60ppm、20ppmであった。また、該EVOHの屈折率を測定したところ、1.533であった。
【0186】
上記EVOH95重量部、合成例1に従って調製した多層構造重合体粒子(B−a)5重量部、および遷移金属塩(C)としてステアリン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバルト原子として0.0200重量部)をドライブレンドし、30mmφ二軸押出機((株)日本製鋼所TEX−30SS−30CRW−2V)を用い、210℃でスクリュー回転数300rpm、押出樹脂量25kg/時間の条件で押出し、ペレット化した。これを30℃、16時間減圧下で乾燥を行い樹脂組成物ペレットを得た。該樹脂組成物のメルトフローレート(210℃−2160g荷重)は9.5g/10分であった。このペレットの破断面を電子顕微鏡で観察したところ、多層構造重合体粒子(B−a)がおおむね1μm前後の粒子形状でEVOHからなるマトリックス中に分散していた。
【0187】
上記の樹脂組成物ペレットを用い、金型温度210℃にてプレス成形を行なって厚み20μmのフィルムを作成した。得られた単層フィルムの内部ヘイズおよび酸素吸収量を測定した。
【0188】
次に、上記の樹脂組成物および下記の熱可塑性ポリエステル樹脂を用いて、次の方法により共射出ブロー成形を行ない、多層ボトルを製造した。
【0189】
熱可塑性ポリエステル樹脂:二酸化ゲルマニウムを重合触媒として使用して調製した。ポリエステル樹脂の各構造単位の含有率をNMR測定により求めたところ、該ポリエステル樹脂におけるテレフタル酸単位、エチレングリコール単位、およびジエチレングリコール単位の含有率はそれぞれ50.0モル%、48.9モル%、1.1モル%であった。極限粘度、融点、ガラス転移温度はそれぞれ0.83dl/g、252℃、80℃であった。
【0190】
多層ボトルの製造においては、日精ASB製共射出延伸ブロー成形機(ASB−50HT型750ml、2個取り)を使用し、PES側射出機温度290℃、樹脂組成物側射出機温度220℃、PESと樹脂組成物とが合流するホットランナーブロック部260℃、射出金型コア温度15℃、射出金型キャビティー温度15℃で共射出成形を行い、PES/樹脂組成物/PESの2種3層のパリソンを成形した。
【0191】
次いでパリソンの表面温度を105℃に加熱し、延伸ブロー成形を行い、胴部における平均厚みが内層PES200μm、中間層樹脂組成物20μm、外層PES70μmである2種3層の多層共射出ブロー成形ボトルを得た。
【0192】
得られたボトルの胴部のヘイズ、および該ボトルの酸素透過量を測定した。
【0193】
上記試験の結果を表1に示す。後述の実施例2〜4および比較例1の結果も合わせて表1に示す。
【0194】
(実施例2)
ステアリン酸コバルト(II)の量を0.1060重量部(コバルト原子として0.0100重量部)に変更したこと以外は実施例1と同様である。
【0195】
(実施例3)
EVOHの量を90重量部に、多層構造重合体粒子の量を10重量部に変更したこと以外は実施例1と同様である。
【0196】
(実施例4)
本実施例においては、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.5%、メルトフローレート(210℃−2160g荷重)13.0g/10分、リン酸根含有量75ppm、Naイオン含有量75ppm、Kイオン含有量30ppm、Mgイオン含有量20ppm、屈折率1.528のEVOHを使用した。このEVOH95重量部、実施例1で使用したものと同じ多層構造重合体粒子5重量部、およびステアリン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバルト原子として0.0200重量部)を用いたこと以外は実施例1と同様にして組成物およびボトルを製造し、評価を行った。
【0197】
(比較例1)
実施例1で用いたのと同じEVOH樹脂を単独で用い、金型温度210℃にてプレス成形を行い、厚み20μmのフィルムを得た。このとき得られた単層フィルムの内部ヘイズを測定したところ、0.7%であった。このEVOHフィルムの酸素吸収速度を、実施例における樹脂組成物の酸素吸収速度と同様に測定したところ、0.000ml/m・dayであった。
【0198】
次に、このEVOH樹脂、および実施例1と同じ熱可塑性ポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様に共射出ブロー成形を行い、胴部における平均厚みが内層PES200μm、中間層EVOH20μm、外層PES70μmである2種3層の多層共射出ブロー成形ボトルを得た。
【0199】
得られたボトルを用いて、ボトルの胴部のヘイズおよびボトルの酸素透過量を測定したところ、それぞれ2.4%および0.02cc/container・day・atmであった。
【0200】
【表1】
Figure 0005158661
【0201】
(合成例2)多層構造重合体粒子(B−b)の製造例
コア層を形成するための単量体としてスチレン16重量部、アクリル酸ブチル13.5重量部、およびブタジエン40.5重量部、そして最外層を形成するための単量体としてスチレン10重量部、メタクリル酸メチル19重量部およびアクリル酸メチル1重量部を用い、合成例1と同様にして多層構造重合体粒子(多層構造重合体粒子(B−b))を得た。この粒子の粒子径は0.13μmであった。
【0202】
得られた多層構造重合体粒子(B−b)は、スチレン22.9重量%、アクリル酸ブチル19.2重量%およびブタジエン57.9重量%からなるコア層(酸素吸収層)を有し、スチレン33.3重量%、メタクリル酸メチル63.4重量%およびアクリル酸メチル3.3重量%からなる最外層(硬質層)を有するコアシェル型2層構造の粒子であった。該多層構造重合体粒子(B−b)中のブタジエン(ジエン系重合体中に共重合成分として含有される)の含有量は、該粒子(B−b)全体の40.5重量%であった。
【0203】
得られた多層構造重合体粒子(B−b)を金型温度210℃にてプレス成形を行い、厚み20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの屈折率およびヘイズ値(曇価)を測定したところ、それぞれ1.525および0.8%であった。また、得られた多層構造重合体粒子(B−b)における炭素−炭素二重結合の含有量は0.007eq/gであった。
【0204】
(合成例3)多層構造重合体粒子(B−c)の製造例
コア層を形成するための単量体としてスチレン54.1重量部およびブタジエン24.7重量部、そして最外層を形成するための単量体としてスチレン16.2重量部、メタクリル酸メチル4.7重量部およびアクリル酸メチル0.3重量部を用い、合成例1と同様にして多層構造重合体粒子(多層構造重合体粒子(B−c))を得た。この粒子の粒子径は0.11μmであった。
【0205】
得られた多層構造重合体粒子(B−c)は、スチレン68.7重量%およびブタジエン31.3重量%からなるコア層(酸素吸収層)を有し、スチレン76.4重量%、メタクリル酸メチル22.2重量%およびアクリル酸メチル1.4重量%からなる最外層(硬質層)を有するコアシェル型2層構造の粒子であった。該多層構造重合体粒子(B−c)中のブタジエン(ジエン系重合体中に共重合成分として含有される)の含有量は、該粒子(B−c)全体の24.7重量%であった。
【0206】
得られた多層構造重合体粒子(B−c)を金型温度210℃にてプレス成形を行い、厚み20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの屈折率およびヘイズ値(曇価)を測定したところ、それぞれ1.570および0.9%であった。また、得られた多層構造重合体粒子(B−c)における炭素−炭素二重結合の含有量は0.0045eq/gであった。
【0207】
(実施例5)
本実施例においては、ポリアミド系樹脂として、ナイロン6(宇部興産、1024fdx41、IV値=3.68)を用いた。このナイロン6の屈折率を測定したところ1.525であった。
【0208】
上記ナイロン6 95重量部、合成例2に従って調製した多層構造重合体粒子(B−b)5重量部、および遷移金属塩(C)としてステアリン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバルト原子として0.0200重量部)をドライブレンドし、30mmφ二軸押出機((株)日本製鋼所TEX−30SS−30CRW−2V)を用い、240℃でスクリュー回転数300rpm、押出樹脂量25kg/時間の条件で押出し、ペレット化した。これを80℃、10時間減圧下で乾燥し、樹脂組成物ペレットを得た。このペレットの破断面を電子顕微鏡で観察したところ、多層構造重合体粒子(B−b)がおおむね1μm前後の粒子形状でナイロン6からなるマトリックス中に分散していた。
【0209】
上記の樹脂組成物ペレットを用い、押出温度240℃にてフィルム押出し成形を行なって厚み20μmの単層フィルムを作成した。得られたフィルムの内部ヘイズを測定した。さらにフィルムの酸素吸収量を測定し、酸素吸収速度を算出した。
【0210】
上記試験の結果を表2に示す。後述の実施例6および7、および比較例2〜4の結果も合わせて表2に示す。
【0211】
(実施例6)
本実施例においては、ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(クラレ、KS750RC、IV値=0.74)を用いた。該ポリエチレンテレフタレートの屈折率を測定したところ、1.575であった。
【0212】
上記ポリエチレンテレフタレート 95重量部、合成例3に従って調製した多層構造重合体粒子(B−c)5重量部および遷移金属塩としてステアリン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバルト原子として0.0200重量部)をドライブレンドし、30mmφ二軸押出機((株)日本製鋼所TEX−30SS−30CRW−2V)を用い、270℃でスクリュー回転数300rpm、押出樹脂量25kg/時間の条件で押出し、ペレット化した。これを80℃、10時間減圧下で乾燥し、樹脂組成物ペレットを得た。このペレットの破断面を電子顕微鏡で観察したところ、多層構造重合体粒子(B−c)がおおむね1μm前後の粒子形状でポリエチレンテレフタレートからなるマトリックス中に分散していた。
【0213】
次に、この樹脂組成物ペレットを用い、押出温度270℃にてフィルム押出し成形を行ない、厚み20μmのフィルムを得た。得られた単層フィルムの内部ヘイズを測定した。さらにフィルムの酸素吸収量を測定し、酸素吸収速度を算出した。
【0214】
(比較例2)
実施例5で用いたのと同じナイロン6を単独で用い、押出温度240℃にて押出し成形を行い、厚み20μmの単層フィルムを得た。このとき得られたフィルムの内部ヘイズを測定した。さらにフィルムの酸素吸収量を測定し、酸素吸収速度を算出した。
【0215】
(比較例3)
実施例6で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートを単独で用い、押出温度270℃にて押出し成形を行い、厚み20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの内部ヘイズを測定した。さらにフィルムの酸素吸収量を測定し、酸素吸収速度を算出した。
【0216】
(合成例4)多層構造重合体粒子(B−d)の製造例
コア層を形成するための単量体としてスチレン16重量部、アクリル酸ブチル13.5重量部、およびブタジエン40.5重量部、そして最外層を形成するための単量体としてスチレン10重量部、メタクリル酸メチル18.9重量部、アクリル酸メチル1重量部およびオクチルメルカプタン0.1重量部を用い、合成例1と同様にして多層構造重合体粒子(多層構造重合体粒子(B−d))を得た。この粒子の粒子径は0.12μmであった。
【0217】
得られた多層構造重合体粒子(B−d)は、スチレン22.9重量%、アクリル酸ブチル19.2重量%およびブタジエン57.9重量%からなるコア層(酸素吸収層)を有し、スチレン33.4重量%、メタクリル酸メチル63.0重量%、アクリル酸メチル3.3重量%およびオクチルメルカプタン0.3重量%からなる最外層(硬質層)を有するコアシェル型2層構造の粒子であった。該多層構造重合体粒子(B−d)中のブタジエン(ジエン系重合体中に共重合成分として含有される)の含有量は、該粒子(B−d)全体の40.5重量%であった。
【0218】
得られた多層構造重合体粒子(B−d)を金型温度210℃にてプレス成形を行い、厚み20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの屈折率およびヘイズ値(曇価)を測定したところ、それぞれ1.525および0.5%であった。また、得られた多層構造重合体粒子(B−d)における炭素−炭素二重結合の含有量は0.007eq/gであった。
【0219】
(実施例7)
合成例4に従って調製した多層構造重合体粒子(B−d)100重量部およびステアリン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバルト原子として0.0200重量部)をドライブレンドし、30mmΦ二軸押出機((株)日本製鋼所TEX−30SS−30CRW−2V)を用い、220℃でスクリュー回転数300rpm、押出樹脂量25kg/時間の条件で押出し、ペレット化した。これを80℃、10時間減圧下で乾燥し、樹脂組成物ペレットを得た。
【0220】
上記樹脂組成物ペレット用い、押出温度220℃にてフィルム押出し成形を行い、単層フィルムを調製した。このフィルムの内部ヘイズを測定した。さらにフィルムの酸素吸収量を測定し、酸素吸収速度を算出した。
【0221】
(比較例4)
合成例4に従って調製した多層構造重合体粒子(B−d)を単独で用い、押出温度220℃にてフィルム押出し成形を行い、厚み20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの内部ヘイズを測定した。さらにフィルムの酸素吸収量を測定し、酸素吸収速度を算出した。
【0222】
【表2】
Figure 0005158661
【0223】
【発明の効果】
本発明によれば、このように、飲料、食品、医薬品、化粧品などの包装材料をはじめ多くの分野で使用され得る、優れた酸素吸収機能を有する熱可塑性樹脂組成物が提供される。組成物に含有される熱可塑性樹脂としてガスバリア性樹脂を選択することにより、上記優れた酸素吸収機能に加えて、ガスバリア性、特に酸素ガスに対するバリア性に優れた樹脂組成物が得られる。さらに適切な樹脂を選択することにより良好な透明性を有する樹脂組成物が提供される。上記組成物を用いた多層構造体、例えば多層フィルムや多層容器は、酸素の存在により劣化しやすい内容物、例えば、食品、医薬品等の包装に有用である。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂(A)、多層構造重合体粒子(B)および遷移金属塩(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    該熱可塑性樹脂(A)がポリビニルアルコール系樹脂(A1)およびポリアミド系樹脂(A2)でなる群から選択される少なくとも1種であり、
    該多層構造重合体粒子(B)が酸素吸収層を少なくとも一層有しており、該酸素吸収層が共役ジエン系単量体を重合成分として含有するジエン系重合体(B1)を含み、
    該多層構造重合体粒子(B)を構成する重合体が炭素−炭素二重結合を0.0001eq/g以上の割合で含有し、
    該多層構造重合体粒子(B)を金型温度210℃にてプレス成形して得られた厚さ20μmの無延伸フィルムの内部ヘイズ値が10%以下であり、
    該熱可塑性樹脂(A)を10〜99.9重量%の割合で含有し、該多層構造重合体粒子(B)を0.1〜90重量%の割合で含有し、
    該遷移金属塩(C)を金属元素換算で1〜5000ppmの割合で含有し、
    そして該熱可塑性樹脂組成物の酸素吸収速度が0.01ml/m ・day以上である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ジエン系重合体(B1)が、共役ジエン系単量体のみを重合成分とする重合体、および共役ジエン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを重合成分とする重合体のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記遷移金属塩(C)が鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、およびコバルト塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A)がポリビニルアルコール系樹脂(A1)であって、該ポリビニルアルコール系樹脂(A1)が、エチレン含有量3〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体である、請求項1からのいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂(A)と前記多層構造重合体粒子(B)との屈折率の差が0.01以下である、請求項1からのいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記多層構造重合体粒子(B)が、前記熱可塑性樹脂(A)のマトリックス中に分散している、請求項1からのいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる層を含む多層構造体。
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