JP4214359B2 - 多層容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層容器の層間剥離防止に係る発明であり、詳しくは多層容器の輸送時、または落下時の衝撃を受けた際の最内外層と中間層との間の層間密着性を改良して多層容器の層間剥離を防止するとともに、層間剥離を回避するために凹凸の少ない形状に限定されない多層容器のデザインの自由度を大きくすることができる、多層容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルを主体とするプラスチック容器(ボトル)がお茶、果汁飲料、炭酸飲料等に広く使用されている。また、小型プラスチックボトルの占める割合が年々大きくなっている。ボトルは小型化するに従い単位体積当たりの表面積の割合が大きくなるため、ボトルを小型化した場合、内容物の賞味期限は短くなる傾向にある。また、近年、酸素や光の影響を受けやすいビールのプラスチックボトルでの販売やプラスチックボトル入りお茶のホット販売が行なわれ、プラスチック容器の利用範囲が広がる中、プラスチック容器に対するガスバリア性の更なる向上が要求されている。
【0003】
上記要求に対し、ボトルにガスバリア性を付与する方法として熱可塑性ポリエステル樹脂とガスバリア性樹脂を用いた多層ボトル、ブレンドボトルや、熱可塑性ポリエステル樹脂単層ボトルにカーボンコート、蒸着、バリア樹脂の塗布を施したバリアコーティングボトル等が開発されている。
【0004】
多層ボトルの一例としては、最内外層を形成するPET等の熱可塑性ポリエステル樹脂とポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)等の熱可塑性ガスバリア性樹脂とを射出して金型キャビティーを満たすことにより得られる3層または5層構造を有するパリソンを2軸延伸ブロー成形したボトルが実用化されている。
【0005】
更に、容器外からの酸素を遮断しながら容器内の酸素を捕捉する酸素捕捉機能を有する樹脂が開発され、多層ボトルに応用されている。酸素捕捉性ボトルとしては、酸素吸収速度、透明性、強度、成形性等の面で、遷移金属系触媒を混合したポリアミドMXD6をガスバリア層として使用した多層ボトルが好適である。
【0006】
上記多層ボトルは、その良好なガスバリア性からビール、お茶、炭酸飲料等の容器に利用されている。多層ボトルがこれら用途に使用されることにより、内容物の品質維持、シェルフライフの改善がなされる一方、異なる樹脂間、例えば、最内外層と中間層の間で層間剥離が起こり、商品価値を損ねてしまうおそれがある。
【0007】
このような問題点を改良する方法として、特開2000-254963号公報では、最内外層を構成する樹脂を最後に金型キャビティー内に射出する際に、ガスバリア層側に一定量逆流させることが可能な逆流調節装置を使用し層間に粗混合樹脂が入り込むことによって耐層間剥離性を改善することが開示記載されているが、特殊な装置を使用するという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決し、多層容器において、従来、落下や衝撃による剥離を起こしにくくするとともに、凹凸の少ない形状に限定ないデザインの自由度を大きくする事ができる、耐層間剥離性に優れた多層容器に関するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、多層容器の耐層間剥離性について鋭意研究を重ねた結果、層間剥離を引き起こす要因と思われる、最内外層を構成する樹脂Aと中間層を構成する樹脂Bの界面に析出する添加剤を一定濃度以下とすることにより、層間剥離を抑制できることを見いだし本発明に到った。
【0010】
即ち本発明は、最外層および最内層を構成する樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)からなり、最外層と最内層の間に少なくとも1層の中間層を構成する樹脂がメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重合して得たポリアミド(樹脂B)からなるパリソンを延伸ブロー成形して得られた多層容器であって、樹脂Bに含まれる(1)着色防止剤であるリン酸塩、亜リン酸塩又は次亜リン酸塩の濃度がリン原子として0.1〜50ppm、及び(2)ゲル化防止剤である無機アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、又は有機カルボン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の濃度が前記リン原子1モルに対し、0.5〜1.5モルであり、かつ(3)樹脂Aに含まれる重合触媒であるアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物の濃度がアンチモン原子又はゲルマニウム原子としてそれぞれ300ppm以下、100ppm以下であることを特徴とする層間剥離の改良された多層容器に関する発明である。
【発明の実施の形態】
【0011】
多層容器は多層パリソンを二軸延伸ブロー成形することにより得られる。多層パリソンは熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)とガスバリア性樹脂であるポリアミド(樹脂B)とをそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、金型キャビティー内に射出して得られる。
【0012】
例えば、上記方法により多層パリソンを製造する方法において、2つの射出シリンダーを有する射出成形機を使用して、2つの射出シリンダー内にそれぞれ樹脂Aと樹脂Bとを充填し、先ず、熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)を金型キャビティー内に射出し、次いでガスバリア性樹脂(樹脂B)を熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)と同時に射出し、その後必要量の熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)を射出して金型キャビティー内を満たすことにより3層構造を有するパリソンが製造できる。
【0013】
同様に、熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)とガスバリア性樹脂(樹脂B)とを使用してパリソンを製造する方法において、先ず熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)を金型キャビティー内射出し、次いでガスバリア性樹脂(樹脂B)を単独で射出し、最後に熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)を射出して金型キャビティー内を満たすことにより、5層構造を有するパリソンが製造できる。なお、本発明における多層パリソンを製造する方法は、上記方法だけに限定されるものではない。
【0014】
多層パリソン、あるいは、多層パリソンを二軸延伸ブロー成形して得られる多層中空容器において、ガスバリア性能は中間層が少なくともボトル胴部存在してりれば発揮できるが、更にガスバリア層がボトルの口栓部先端付近まで延びている方がガスバリア性能は更に良好となる。
【0015】
本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)としては、好ましいのは例えばジカルボン酸成分の80モル%以上、好ましくは90モル%以上がテレフタル酸であり、ジオールル成分の80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレングリコールであるポリエステルが例示でき、残部の他の酸成分としてはイソフタル酸、ジフェニルエーテル−4、4−ジカルボン酸、ナフタレン−1、4又は2,6−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン−1、10−カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸を、又他のグリコール成分としてはプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフル)プロパン等を例示することが出来る。更に、オキシ酸としてP−オキシ安息香酸等を含有するポリエステル樹脂を例示することができる。
【0016】
また、上記ポリエステル樹脂(樹脂A)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂C)、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等を本発明の特徴を損なわない範囲でポリエステル樹脂(樹脂A)に配合して使用することができる。これらの中でも熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂C)が好ましい。また、必要に応じて2種の樹脂をブレンドしたもの、例えばポリエチレンテレフタレートとポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをブレンドしたもの使用することもできる。
【0017】
更に本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)としては、例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが例示でき、好ましくは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの他に、他のエステル形成単位を20モル%以下、好ましくは10モル%以下で含有しても良い。他のエステル形成単位を構成するジカボン酸およびジオールとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、3,4’−ジフェニルカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、または、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の如き脂肪酸ジカルボン酸、または、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸類等の如き脂肪族ジカルボン酸、およびプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の如き脂肪族グリコール、または、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジオール等の如き脂肪酸グリコール、または、ビスフェノールA等の如き芳香族グリコールを好適なものとして挙げることができる。上記のようなポリエチレン−2,6ナフタレンジカルボキシレートは、例えば、少量の安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリエチレングリコール等の如き単官能化合物によって分子末端を封止されていてもよい。また、グリセリン、トリメシン酸、ペンタエリスリトール等の如き多官能化合物を極少量含んでもよい
【0018】
これらの熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)の固有粘度は0.55以上が好ましく、特に好ましくは0.65〜1.4である。固有粘度が0.55以上で、多層パリソンを透明な非晶状態で得ることが可能となるほか、得られる多層容器の機械的強度も十分なものとなる。本発明において、熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)の中でも、ことにポリエチレンテレフタレートとポリアミドMXD6との組み合わせがもっとも好ましい。その理由としては、これらの樹脂の持つ透明性、機械的強度、射出成形性、延伸ブロー成形性の全てにおいて優れているためである。
【0019】
本発明においては、必要に応じて、ポリエステル樹脂(樹脂A)又はポリアミド(樹脂B)に、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、核剤、抗菌剤等を配合して使用することが出来る。
【0020】
本発明で中間層を構成するガスバリア性樹脂(樹脂B)としては、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを溶融重合し、又は溶融重合後更に固相重合して得られる。上記ジアミン成分にはメタキシリレンジアミンが70モル%以上含まれることが必要である。ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70%以上あると、優れたガスバリア性が維持できる。メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミン成分として、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5ペンタンジアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
上記ジカルボン酸成分中には、アジピン酸が70モル%以上含まれることが必要である。ジカルボン酸成分中のアジピン酸が70モル%以上あると、ガスバリア性の低下や結晶性の低下を防止することができる。アジピン酸以外に使用できるジカルボン酸成分として、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、本ポリアミドの重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えても良い。
【0022】
上記のポリアミド(樹脂B)は、溶融重縮合法により製造される。溶融重縮合法としては、例えばメタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法がある。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸に直接加えて、重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、メタキシリレンジアミンをアジピン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
【0023】
溶融重合により得られる比較的低分子量のポリアミドの相対粘度(ポリアミド樹脂1gを96%硫酸水溶液100mlに溶解し、25℃で測定した値、以下同じ)は通常、2.28程度である。溶融重合後の相対粘度が2.28以下であると、ゲル状物の生成が少なく、色調が良好な高品質のポリアミドが得られる。溶融重合により得られた比較的低分子量のポリアミドは次いで固相重合される。固相重合は、溶融重合により得られた比較的低分子量のポリアミドをペレットあるいは粉末にし、これを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下に、150℃以上、ポリアミドの融点以下の温度に加熱することにより実施される。固相重合ポリアミドの相対粘度は2.3〜4.2が望ましい。この範囲であると、中空容器、フィルム、シートへの成形が良好で、且つ得られる中空容器、フィルム、シートの性能、特に機械的性能が良好である。溶融重合後の比較的低分子量のポリアミドにおいても本発明の効果は一部得られるが、機械的強度、特に耐衝撃性が十分ではなく、中空容器、フィルム、シート用材料として実用的ではない。
【0024】
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)に含まれる重合触媒であるアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物の濃度は、アンチモン原子又はゲルマニウム原子としてそれぞれ300ppm以下、100ppm以下である
触媒として使用する上記アンチモン化合物又はゲルマニウム化合物の濃度が樹脂A中でそれぞれ300ppm、100ppmを越えると、最内外層と中間層の界面に層間剥離に影響を及ぼすような固形物の析出が起こり好ましくない。
上記アンチモン化合物としては、酸化アンチモン、酢酸アンチモン、塩化アンチモン、臭化アンチモン、アンチモングリコレート、金属アンチモン等が例示できる。
上記ゲルマニウム化合物としては、酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムグリコレート、ゲルマニウムブトキサイド、塩化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム及びそのナトリウム塩・カリウム塩等が例示できる。
【0025】
本発明で樹脂Bに含まれる着色防止剤であるリン酸塩、亜リン酸塩又は次亜リン酸塩の濃度は樹脂Bでリン原子として0.1〜50ppmである。
前記リン原子濃度が50ppmを超えると、リン化合物に由来する固体が樹脂Bの表面に析出し、多層容器の最内外層と中間層の界面に層間剥離を生じさせる場合が多くなるため好ましくない。また、前記リン原子濃度が0.1ppm未満では着色防止剤としての効果を発揮できない。
尚、リン酸塩としては、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウムなどが挙げられる。亜リン酸塩としては、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウムなどが挙げられる。又は次亜リン酸塩としては次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、リン酸鉄などが挙げらる。更にはこれらのリン酸塩、亜リン酸塩、又は次亜リン酸塩としてカルシュウム塩またはマグネシュウム塩を挙げることができる。
【0026】
樹脂Bにゲル化防止剤として、無機アルカリ金属塩もしくは無機アルカリ土類金属塩、又は有機カルボン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を配合する。樹脂Bに配合する前記ゲル化防止剤の濃度は、樹脂B中で前記リン原子1モルに対し、0.5〜1.5モルである。ゲル化防止剤が前記リン原子に対し、前記0.5モル未満の場合、樹脂Bにゲル状物が生じやすくなり、最内外層と中間層の界面にゲル状物生じた場合は層間剥離に影響を与える。またゲル化防止剤が前記1.5モルを越える場合、樹脂B製造の際の反応速度が遅くなり、工業上支障をきたす。
無機アルカリ金属塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩が好ましく用いられ、具体例として、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。また、有機カルボン酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムなど、また有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩としては、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムなどがそれぞれ挙げられ、有機カルボン酸として、脂肪族鎖が炭素数1〜16のアルキル基もしくはアルケニル基からなる脂肪族カルボン酸、又は芳香族カルボン酸等が例示できる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等があり、芳香族カルボン酸として、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、フタール酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中でも好ましいのは、アルカリ金属の水酸化物または炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩である。
樹脂A中の前記アンチモン原子、ゲルマニウム原子、及び樹脂B中のリン原子の濃度の測定は、湿式灰化で前処理を行い、原子吸光法による定量分析により測定することができる。
【0027】
本発明における多層容器は、従来、落下や衝撃による剥離を起こしにくくするとともに、凹凸の少ない形状に限定されないデザインの自由度を大きくする事ができるものである。
【実施例】
【0028】
以下実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また本実施例等で測定した主な特性の測定法を以下に示す。
(1)ポリエチレンテレフタレートの固有粘度[η]: フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶媒を使用。測定温度30℃。
(2)ポリアミドMXD6の相対粘度[ηrel.]: 樹脂1g/96%硫酸水溶液100ml、測定温度25℃。
(3)金属原子の定量 : 湿式灰化で前処理を行い、原子吸光法で定量
(4)落下試験 : 500mlの水を入れキャップをした後、5℃で24時間静置した多層容器を落下させ、層間剥離の有無を目視で確認。多層容器は、底部が床に接触するように落下させた(垂直落下)。落下高さ80cm。100本落下させたときの層間剥離したボトルの本数で評価。
【0029】
実施例1
多層パリソン、多層中空容器を以下の方法によりで製造した。
樹脂Aとして、固有粘度が0.75のPETを、樹脂Bとして、相対粘度が2.65のポリアミドMXD6を使用した。
PETの製造の際、触媒として酸化ゲルマニウムを使用した。PETに残存するゲルマニウム原子は37ppmであった。ポリアミドMXD6の製造の際、着色防止剤として次亜リン酸ナトリウムを、ゲル化防止剤として水酸化ナトリウムを使用した。ポリアミドMXD6中のリン原子の濃度は5ppmであり、水酸化ナトリウム濃度はリン原子1モルに対し0.7モルとなるように添加した。
多層パリソンの製造には、名機製作所(株)製、射出成形機(型式:M200、4個取り)を使用した。
最内外層を構成する樹脂Aを射出シリンダーaに、中間層を構成する樹脂Bを射出シリンダーbに充填した。
上記樹脂を使用し、以下の条件で先ず樹脂Aを射出し、所定量の樹脂Aを射出した後、樹脂Aと同時に樹脂Bを射出し、ついで樹脂Aを射出して3層パリソンを成形した。
射出シリンダーa内の樹脂温度:280℃
射出シリンダーb内の樹脂温度:270℃
金型内樹脂流路温度 :280℃
金型冷却水温度 : 15℃
射出成形して得られた多層パリソンは全長110mm、外形26.5mmφ、肉厚4.5mmである。
尚、得られた3層パリソンは、ポリアミドMXD6を7重量%含有していた。
上記多層パリソンをブロー成形機(クルップ コーポプラスト社(KRUPPCORPOPLAST社)製、型式:LB−01)を用いて、下記の条件で二軸延伸ブロー成形して、多層中空容器を得た。多層中空容器は全長223mm、外形65mmφ、内容積500ml(表面積:0.04m2 )、底部形状はペタロイドタイプである。
パリソン加熱温度 :100℃
ブロー圧力 :3.0MPa
得られた3層容器に水を充填して落下試験により、層間剥離性を評価した。結果を表1に示す。
【0030】
実施例2
リン原子の濃度が30ppmであり、水酸化ナトリウムをリン原子1モルに対し0.7モルとなるよう添加したポリアミドMXD6を樹脂Bとして使用した以外は実施例1と同様に3層容器を作製した。得られた3層容器を実施例1と同様の落下試験により、層間剥離性を評価した。結果を表1に示す。
【0031】
実施例3
触媒に三酸化アンチモンを使用し、アンチモン原子濃度が220ppmであるPETを使用し、さらにポリアミドMXD6中のゲル化防止剤として酢酸ナトリウムを使用した以外は実施例1と同様に3層容器を作製した。得られた3層容器を実施例1と同様の落下試験により、層間剥離性を評価した。結果を表1に示す。
【0032】
比較例1
リン原子の濃度が350ppmであり、水酸化ナトリウムをリン原子1モルに対し0.7モルとなるよう添加したポリアミドMXD6を樹脂Bとして使用した以外は実施例1と同様に3層容器を作製した。得られた3層容器を実施例1と同様の落下試験により、層間剥離性を評価した。結果を表2に示す。
【0033】
比較例2
リン原子の濃度が350ppmであり、酢酸ナトリウムをリン原子1モルに対し0.7モルとなるよう添加したポリアミドMXD6を樹脂Bとして使用した以外は実施例1と同様に3層容器を作製した。得られた3層容器を実施例1と同様の落下試験により、層間剥離性を評価した。結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004214359
【0035】
【表2】
Figure 0004214359
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた層間剥離性を有し、かつガスバリア性に優れた多層容器を得ることができ、本発明の工業的意義は大きい。

Claims (5)

  1. 最外層および最内層を構成する樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂(樹脂A)からなり、最外層と最内層の間に少なくとも1層の中間層を構成する樹脂がメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重合して得たポリアミド(樹脂B)からなるパリソンを延伸ブロー成形して得られた多層容器であって、樹脂Bに含まれる(1)着色防止剤であるリン酸塩、亜リン酸塩又は次亜リン酸塩の濃度がリン原子として0.1〜50ppm、及び(2)ゲル化防止剤である無機アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、又は有機カルボン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の濃度が前記リン原子1モルに対し、0.5〜1.5モルであり、かつ(3)樹脂Aに含まれる重合触媒であるアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物の濃度がアンチモン原子又はゲルマニウム原子としてそれぞれ300ppm以下、100ppm以下であることを特徴とする層間剥離の改良された多層容器。
  2. 最外層、最内層を構成する樹脂Aがポリエチレンテレフタレート樹脂からなり、最外層と最内層との間に位置する中間層を構成する樹脂Bがガスバリア性樹脂であるポリメタキシリレンアジパミド樹脂からなる3層容器であり、かつ中間層を構成する樹脂Bを容器底部に位置する樹脂注入口側から当該注入口側と相対する口栓部近傍まで配置させたことを特徴とする請求項1記載の多層容器。
  3. 2つの射出シリンダーを有する射出成形機を使用して、2つの射出シリンダー内にそれぞれ樹脂Aと樹脂Bとを充填し、樹脂A、樹脂Aと樹脂B、樹脂Aの順に溶融樹脂を金型キャビティー内に射出して3層パリソンを成形した後にブロー成形して得られる請求項2記載の層間剥離の改良された多層容器。
  4. 最外層、最内層及び中央層を構成する樹脂Aがポリエチレンテレフタレート樹脂からなり、最外層と中央層及び最内層と中央層との間に位置する中間層を構成する樹脂Bがガスバリア性樹脂であるポリメタキシリレンアジパミド樹脂からなる5層容器であり、かつ中間層を構成する樹脂Bを容器底部に位置する樹脂注入口側から当該注入口側と相対する口栓部近傍まで配置させたことを特徴とする請求項1記載の多層容器。
  5. 2つの射出シリンダーを有する射出成形機を使用して、2つの射出シリンダー内に樹脂Aと樹脂Bとをそれぞれ充填し、樹脂A、樹脂B、樹脂Aの順に溶融樹脂を金型キャビティー内に射出して5層パリソンを成形した後にブロー成形して得られる請求項2記載の層間剥離の改良された多層容器。
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