JP3928020B2 - 遮熱性及び屈曲性に優れた耐久性膜材 - Google Patents

遮熱性及び屈曲性に優れた耐久性膜材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚性、耐候性、柔軟性に優れた膜材に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、採光性、遮熱性、フラッタリング性、屈曲性に優れ、自動車用キャンバストップ、トラック幌、中大型テント、日除け等の用途に好適な膜材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築用膜材料、内装材料、車両・船舶及び航空機などの部材として、フッ素系樹脂を使用したシート材料が用いられてきている。これらのフッ素系樹脂は、樹脂の有する優れた難燃性、防汚性、耐久性などの特徴を生かして様々な用途に使用されているが、一方、それが高比重であり、そのため製品自体が高質量となること、その結晶性が高く製品が剛直なものとなってしまうこと、及びその高融点に起因して、加工、取り扱いが困難であること、など種々の難点も指摘されている。例えば、ガラス繊維基布に四フッ化エチレン樹脂を含浸した膜材料は、耐久性膜材料としてスポーツ用施設、恒久施設に使用されている。しかしながら、四フッ化エチレン樹脂はフィルム成形が困難なうえに、シート材料としては、光透過性は良いけれども、遮熱性が低く、また、柔軟性及び屈曲性においても実用上不満なものである。
【0003】
上記のシート材料を改良する手段として、特公昭62−34324号には低融点のフッ素樹脂共重合体を製造する方法が開示されている。この樹脂は低融点のため、カレンダー成形や押出し成形によりフィルム化することができ、更に繊維基布にラミネートすることによりシート材料の原料としても利用されている。しかしながら、このシート材料は防汚性には優れているけれども、光透過性、遮熱性、柔軟性、及び屈曲性などにおいて実用上不十分であるという欠点を有している。
【0004】
そこで、特開平9−207288号には、フッ素樹脂シート材料に光透過性を付与する方法が提案されている。このシート材料は、光透過性を改良しつつ、かつ、耐久性を付与させるものであるが、屈曲性の面では未だ不満足なものであり、熱線の透過が大きく遮熱性も不充分であり、また、シート材料としては、コストが高く汎用性に乏しいという欠点を有していた。
【0005】
フッ素樹脂は透光性、防汚性に優れた材料であるが、上記の如く、柔軟性、屈曲性、遮熱性において不満足であり、更に改善が望まれていた。フッ素樹脂成形品に遮熱性を付与する方法として、一般的には熱反射材料、例えば、アルミニウム、雲母等の微粉末をフッ素樹脂中に添加する方法、フッ素樹脂成形体、例えばフィルムの表面にプライマーを施し、その上にアルミニウム等の金属を蒸着する方法、或いはアルミニウム等の金属蒸着層が形成されたフィルムをフッ素樹脂成形体の表面に接着剤で貼付する方法などがある。しかし、前記微粉末を添加する方法では、有効な遮熱性を付与するには多量の充填剤を添加する必要があり、その結果、樹脂強度、屈曲性が低下してしまうという欠陥を生ずる。また、前記金属を蒸着する方法では、遮熱性の向上に伴い、透光率が極端に低下してしまうという欠点を有している。更に、前記金属蒸着フィルムを貼付する方法では、やはり透光率が極端に低下し、また柔軟性、屈曲性も低下してしまうという欠点を有しており、遮熱性と透光性の両特性を合わせ持った膜材の提供が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フッ素含有樹脂を使用しているにも拘らず、耐候性、防汚性、難燃性、柔軟性に優れ、かつ、機械的強度を長期間に渡って維持することが可能な耐久性に優れた膜材を提供するものである。また、本発明は、自動車用キャンバストップ、トラック幌などの車両等の部材に有用で、採光性、遮熱性、フラッタリング性、屈曲性に優れ、かつ安価なフッ素含有樹脂を含む膜材を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐久性膜材は、(A)繊維基布と、(B)その一面上に形成された四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂からなる防汚性遮熱層と、(C)前記繊維基布の他の一面に形成されたフッ素を含有しない熱可塑性樹脂からなる透光性弾性体層とを有し、
前記防汚性遮熱層(B)が、基布(A)の一面上に形成され、かつイソシアネート化合物及びカップリング剤化合物を含む架橋剤により架橋された四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体バインダー樹脂と、全固形分重量に対し添加量が5〜50重量%のルチル型酸化チタンからなる接着樹脂層(B−a)と、この接着樹脂層(B−a)上に形成され、かつ天然ゴム及び合成ゴムから選ばれた少なくとも1種を柔軟化剤として含む四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂を含む外面層(B−b)からなり、
さらに前記透光性弾性体層(C)が、基布(A)の前記他の一面上に形成され、かつイソシアネート化合物により架橋されたフッ素を含まない熱可塑性バインダー樹脂からなる接着樹脂層(C−a)と、この接着樹脂層(C−a)上に形成され、かつフッ素を含まない熱可塑性樹脂を含む透光性弾性体外面層(C−b)からなることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の耐久性膜材において、前記防汚性遮熱層(B)の前記フッ素含有樹脂外面層(B−b)が、着色剤として、黒色顔料を除く有機顔料及び無機顔料から選ばれた少なくとも1種を含んでいてもよい。
本発明の耐久性膜材において、前記透光性弾性体層(C)の前記接着樹脂層(C−a)及び前記透光性弾性体外面層(C−b)に含まれる前記フッ素を含まない熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の耐久性膜材において、前記透光性弾性体層(C)の前記透光性弾性体外面層(C−b)が、樹脂発泡体であってもよい。
本発明の耐久性膜材において、前記透光性弾性体層(C)の前記透光性弾性体外面層(C−b)の上に、更に防汚性を有す表面処理層(D)が形成されていてもよい。
本発明の耐久性膜材において、前記繊維基布(A)が、フッ素系化合物及び、シリコーン系化合物から選ばれた少なくとも1種から形成され、かつ前記基布(A)に含浸され、又はその少なくとも1面上に塗布された滲出防止層(A−a)を含むことが好ましい。
本発明の耐久性膜材において、膜材全体の全光線透過率が2〜30%であり、かつ遮熱率が60%以上であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の耐久性膜材は、必要により滲出防止層(A−a)を含む繊維基布(A)の両面に、それぞれ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂(以下これをフッ素含有三元共重合体樹脂と記す)からなる防汚性遮熱層(B)及びフッ素を含まない熱可塑性樹脂からなる透光性弾性体層(C)が形成されており、それぞれの層は必要に応じて接着樹脂層(B−a)(C−a)を介して繊維基布に強固に接合されている。フッ素含有三元共重合体樹脂からなる一面は、防汚性、遮熱性、耐候性に優れており、またフッ素を含まない熱可塑性樹脂からなる一面は、柔軟性、フラッタリング性、屈曲性に優れ、全体として、防汚性、耐久性、採光性、遮熱性、柔軟性、屈曲性に優れている。本発明の膜材は前記特性のすべてを有している。
【0010】
本発明の耐久性膜材の実施態様を図1〜図2に示す。
【0011】
図1に示された耐久性膜材1において、必要により滲出防止層(図示されていない)を含む繊維基布2の両面のそれぞれに、接着樹脂層3−a及び4−aが形成接合され、これら接着樹脂層3−a及び4−aのそれぞれに、フッ素含有共重合体樹脂外面層3−b、及びフッ素を含まない熱可塑性樹脂からなる透光性弾性体外面層4−bが形成接合されている。
【0012】
図2に示された耐久性膜材1においては、透光性弾性体外面層4の上に更に防汚性を有す表面処理層5が形成されている。
【0013】
本発明の耐久性膜材に用いられる繊維基布は、天然繊維、例えば木綿、麻など、無機繊維、例えばガラス繊維など、再生繊維、例えばビスコースレーヨン、キュプラなど、半合成繊維、例えば、ジ−及びトリアセテート繊維など、及び合成繊維、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、及びポリオレフィン繊維などから選ばれた少なくとも1種からなる布帛から選ぶことができる。
【0014】
布帛中の繊維は、短繊維紡績糸、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤ−ンなどのいずれの形状のものでもよい。また基布組織は織物、編物、不織布またはこれらの複合体のいずれであってもよいが、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物、及び非粗目状編織物に構成されているものを用いることが出来る。特には、表裏の接着層を形成する際に、接着性樹脂が相互に混じり合うことを防止する目的から、非粗目状織物、中でも高密度組織織物が好ましい。粗目状編織物、及び非粗目状編織物の基布組織には特に限定はなく、平織り、バスケット織り、模しゃ織り等適宜選択することが出来る。
【0015】
繊維基布には、表裏の接着層を形成する際に、接着性樹脂が相互に混じり合い接着力が低下することを防止する目的から、滲出防止層が形成されてもよい。滲出防止層は、繊維基布中に含浸されていてもよいし、その少なくとも1面上に塗布されていてもよいが、繊維基体と一体化されて形成されるが、表裏それぞれの接着性樹脂とそれぞれに強固に接着することが好ましい。基布に滲出防止層を形成する方法としては、好ましくはフッ素系撥水剤、例えばダイキン工業(株)製「ユニダインTG−521」等、シリコーン系撥水剤、例えば信越化学工業(株)製「ポロンMR」等を稀釈水で稀釈して得られたエマルジョンに、繊維基布を浸漬、含浸させ、乾燥固定する方法が取られる。撥水剤の固形分濃度は0.5〜10重量%が好ましく、更に好ましくは1〜5重量%である。撥水剤濃度が0.5%未満では、接着性樹脂の滲み出しを防止することが出来ず、表裏何れかの面の接着力低下を招いてしまうことがあり、また、10%を越えると、表裏共に接着性樹脂と基布の充分な接着力を得ることが出来ないことがある。
【0016】
本発明の耐久性膜材に用いられるフッ素含有三元共重合体樹脂としては、光透過性、柔軟性、高周波縫製性、加工性の点から、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンとの三元共重合体樹脂を用いられる。四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂としては、例えば、住友スリーエム株式会社製「THV220G」、「THV400G」、「THV500G」などがある。フッ素含有樹脂外面層の厚さは、0.05〜0.5mmであることが好ましく、特には0.1〜0.3mmが好ましい。厚さが0.05mm未満では防水性が不充分となることがあり、またそれが0.5mmを越えると柔軟性、屈曲性が不十分になることがある。
【0017】
フッ素含有三元共重合体樹脂は、柔軟性、屈曲性を更に向上させる目的から、添加剤として天然ゴム、及び合成ゴムから選ばれた少なくとも1種を添加することができる。フッ素含有三元共重合体樹脂の重合体は、結晶性が高いため柔軟性に欠け、かつ、加工性に乏しいことから、一般的には他の単量体をソフトセグメントとして共重合し、加工性、柔軟性を改良している。しかし、用途によっては、フラッタリング性、屈曲性、揉み性等の動的な耐久性が更に必要とされることがあり、この場合、柔軟化剤として天然ゴム及び合成ゴムを用いることは、前記動的な耐久性を付与できる点で更に有効である。
【0018】
外面層(B−b)用フッ素含有三元共重合体樹脂に添加される柔軟化剤としては、天然ゴム類、例えばヘベア類、サギス類、グアユール類、クリプトステジアなどの植物から採取して生産された、スモークドシート、ペールクレープ、低級ゴム、ヘベアクラム、油展天然ゴム、及び恒粘度ゴムなどを用いることが好ましく、また天然ゴム誘導体としては、熱可塑性天然ゴム弾性体(TPNR)、熱可塑性エポキシ化天然ゴム弾性体(TPENR)、液状天然ゴム(LNR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加エポキシ化天然ゴム(H−ENR)、グラフト天然ゴム、塩化天然ゴム、塩酸ゴム、環化天然ゴムなどを用いることができる。また、合成ゴム類では、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(乳化重合SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(溶液重合SBR)、高シス−ブタジエンゴム(高シス−BR)、低シス−ブタジエンゴム(低シス−BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリン系ゴム(CO,ECO)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴム(FKM)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィド、熱可塑性ゴム(TPR)及び、再生ゴムなどを用いることができる。特には、フッ素含有樹脂との相溶性の点から、フッ素ゴム及びシリコーンゴムが好ましく用いられる。
【0019】
前記フッ素ゴムとして、VDF−HFP系、VDF−HFP−TFE系、VDF−TFE変成系、含フッ素ビニルエーテル系、TFE−Pr系、含フッ素シリコーン系、含フッ素ホスファゼン系、及び熱可塑性タイプなどを用いることが出来る。
【0020】
また、前記シリコーンゴムとして、シリコーン生ゴム、例えば、ジメチルシリコーン、メチルビニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、及びフロロシリコーンなど。また、ミラブル型シリコーンゴム、エポキシ化シリコーンゴム及びグラフトシリコーンゴムなどを用いることが出来る。
【0021】
これらフッ素ゴム、シリコーンゴムは、未加硫のまま、或いは未加硫コンパウンドに加硫剤を添加して、或いは加硫後のコンパウンドの状態で使用することができる。フッ素含有樹脂中に占める柔軟化剤の割合は、1〜40重量%であることが好ましい。この重量比が1重量%未満では、フラッタリング性、屈曲性、揉み性等の改質効果に乏しく、また、その重量比が40重量%を超えるとフッ素含有樹脂本来の耐候性、防汚性が損なわれることがある。
【0022】
フッ素含有三元共重合体樹脂は、遮熱性の付与及び着色の目的から、黒色顔料を除く有機顔料及び無機顔料から選ばれた少なくとも1種を添加することができる。黒色顔料(カーボンブラック)は極微量の添加でも遮熱性を大きく低下させることから、特に遮熱性を必要とする用途ではその使用は避けることが肝要である。黒色顔料で調色、着色しなければならない色相を得るためには、三原色混合顔料を用い、擬似黒色で調色、着色すれば、透光性、遮熱率を低下させることなく、所望の色相を得ることができる。
【0023】
本発明のフッ素含有三元共重合体樹脂に添加される着色剤としては、無機顔料、例えば、酸化物として、亜鉛華、酸化チタン、弁柄、酸化クロム、チタンエロー、コバルトブルー、セルリアンブルー、及びコバルトグリーンなど;水酸化物として、アルミナホワイト、黄色酸化鉄、及びビリジアンなど;硫酸塩として、石膏及び硫酸バリウムなど;炭酸塩として、炭酸カルシウムなど;リン酸塩として、マンガンバイオレット及びコバルトバイオレットなどを用いることができる。また、有機顔料、例えば、アゾ顔料として、モノアゾレーキ、モノアゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、及び金属錯塩アゾなど;フタロシアニン;縮合多環顔料として、アンスラキノン、チオインジゴ、ペリノン、ペリレン、キナクリドン、ジオキサジン、イソインドリノン、キノフタロン、及びイソインドリンなど;その他として、ニトロソ、アリザリンレーキ、金属錯塩アゾメチン、及びアルカリブルーなどを用いることが出来る。遮熱性を高める観点から、酸化チタンの添加を基本に調色を行うことが好ましいが、色相によっては酸化チタンを使用すると調色ができないこともあり、この場合は接着樹脂層の酸化チタン添加量を調整し、遮熱率を高める操作が必要となる。
【0024】
フッ素含有三元共重合体樹脂中に占める着色剤の割合は、10重量%以下であることが好ましい。添加量が10重量%を超えると、膜内空間の採光性が不十分となることがある。
【0025】
本発明の耐久性膜材は、繊維基布の他の一面に透光性弾性体外層を形成することにより、シート全体の透光率を低下させることなく、柔軟性、屈曲性、反発弾性を格段に向上させることが可能となり、表裏共にフッ素系樹脂層を形成させたシートでは達成出来ない特性が得られる。用いられる熱可塑性樹脂としては、裏面に付与する機能、即ち、透明性、柔軟性、及び屈曲性等に応じて適宜選択することが出来る。好ましくは塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を、目的、用途、使用環境に応じて選択出来る。透光性弾性体層は、採光性を維持する観点から実質的に透明であることが望ましいが、目的に応じ、透光性を阻害しない範囲で可塑剤、充填剤、酸化防止剤、着色剤などを適宜添加してもよい。但し、着色を必要とする場合は、特に高い遮熱性を必要とする場合には、遮熱性低下を避ける目的から、極微量であっても黒色顔料を使用しないことが肝要である。
【0026】
透光性弾性体外面層は、更に遮熱性を高める目的から、これを発泡体としてもよい。発泡体を形成する樹脂としては、セル強度、柔軟性に優れた樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を使用することが出来る。発泡体としては、化学発泡による独立気泡を有する発泡体が好ましく、これは主として、有機系発泡剤を添加して形成される。発泡倍率は、2〜30倍であることが好ましい。2倍未満では、遮熱性の付与効果に乏しく、30倍を超えると樹脂強度、屈曲性が低下する。また、発泡体の厚さは1〜10mmが好ましい。厚さが1mm未満では遮熱性の付与効果が不十分になることがあり、またそれが10mmを越えると柔軟性、屈曲性が低下してしまうことがある。
【0027】
透光性弾性体外面層は、耐候性を維持する目的から、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。このような紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリシレート系、ニッケル錯塩系、ベンゾエート系等があり、透明性を損なわない範囲で用いることができる。透光性弾性体中に占める紫外線吸収剤の割合は、0.1〜5重量%であることが好ましい。0.1重量%未満では、紫外線の遮蔽効果が不十分になることがあり、5重量%を超えると着色を生じ、透光性が損なわれる恐れがある。
【0028】
透光性弾性体外面層の厚さは、0.1〜10mmであることが好ましく、特には0.15〜5mmが好ましい。厚さが0.1mm未満では防水性が不充分となることがあり、またそれが10mmを越えると柔軟性、屈曲性が不十分になることがある。
【0029】
本発明の耐久性膜材においては、繊維基布とフッ素含有三元共重合体樹脂外面層及び透光性弾性体外面層の間に、それぞれ接着樹脂層が設けられることが好ましい。接着樹脂層は、繊維基布とそれぞれの外面層を接着する目的で形成されるが、更に基布繊維束への吸水現象の防止、紫外線吸収剤の揮散、移行による耐水劣化の防止、及び繊維そのものの紫外線による耐光劣化を防止する。
【0030】
本発明の防汚性遮熱層(B)に含まれる接着樹脂層(B−a)には、フッ素含有バインダー三元共重合体樹脂と、繊維基布との接着性を向上させ耐水性を改良するために架橋剤としてイソシアネート化合物及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種の化合物が用いられる。さらには、遮熱性を付与する目的からルチル型酸化チタンを接着樹脂の全固形分重量に対し5〜50重量%添加して用いられる。
【0031】
また、透光性弾性体層(C)に含まれる接着樹脂層(C−a)には、熱可塑性バインダー樹脂と、同じく繊維基布との接着性を向上させ耐水性を改良するために架橋剤としてイソシアネート化合物を添加して用いられる。
【0032】
接着樹脂層(B−a)用フッ素含有三元共重合体バインダー樹脂としては、特に、柔軟性、高周波縫製性、耐久性の点から、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂の水分散タイプを用いることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ディスパージョンタイプの住友スリーエム株式会社製「THV350C」を用いることができる。フッ素含有三元共重合体バインダー樹脂には、更に接着性、柔軟性を高める目的から、必要によりアクリル系樹脂及びポリウレタン樹脂の1種以上が併用されてもよい。
【0033】
また、接着樹脂層(C−a)用熱可塑性バインダー樹脂としては、接着性の観点から透光性弾性体外面層(C−b)に使用される樹脂と同種のものを用いることが好ましいが、これに制約されることなく、目的、使用環境等により、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂及びオレフィン系樹脂から選ばれた1種以上のペースト状分散液、溶液分散タイプ或いは水分散タイプを使用することが出来る。
【0034】
本発明において接着樹脂層(B−a)に用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、及びジルコアルミニウム系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。シラン系カップリング剤としては、アミノシラン類、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど、エポキシシラン類、例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなど;ビニルシラン類、例えば、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなど、メルカプトシラン類;例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど、が挙げられる。
【0035】
またチタン系カップリング剤としては、アルコキシ類;例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、及びテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタンなど;アシレート類、例えば、トリ−n−ブトキシチタンステアレート、及びイソプロポキシチタントリステアレートなどが挙げられる。ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、及びテトライソプロピルジルコネートなどが挙げられる。またアルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。さらに、ジルコアルミニウム系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコアルミネートが挙げられる。これらカップリング剤の中で、特に耐水性、耐候性の観点から、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシランを用いることが好ましい。
【0036】
接着樹脂層(B−a)及び(C−a)の各々に用いられるイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート類、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネートなど;脂環式ジイソシアネート類、例えば、イソホロンジイソシアネート、及び水素添加トリレンジイソシアネートなど;芳香族ジイソシアネート類、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びキシレンジイソシアネートなど;イソシアヌレート類、例えば、トリス(ヘキサメチレンイソシアネート)イソシアヌレート、及びトリス(3−イソシアネートメチルベンジル)イソシアヌレートなど;並びにこれら化合物のイソシアネート基末端をフェノール類、オキシム類、アルコール類、ラクタム類などのブロック化剤でブロックしたブロックイソシアネート;および前記化合物のイソシアネート基の一部にエチレングリコールなど親水性単量体が付加された変性イソシアネートなどを用いることが好ましい。エマルジョン系樹脂液に添加して用いられるときには、分散性、耐水性、基布への接着性の観点から、特に、ブロックイソシアネート、および脂肪族イソシアネートのイソシアネート基の1個にエチレングリコールなど親水性単量体が付加された変性部分三量化イソシアヌレートを用いることが好ましい。
【0037】
カップリング剤及びイソシアネートの添加量は、各接着樹脂層の合計固形分重量に対し、0.5〜30重量%であることが好ましい。その添加量が0.5%未満では繊維基布との接着性及び耐水性が不十分になることがあり、またそれが30重量%を超えると、得られる膜材の柔軟性が不十分になることがある。
【0038】
接着樹脂層(B−a)には、遮熱性の付与、及び繊維基布の耐候劣化を防止する目的から更に酸化チタンが添加される。酸化チタンは酸化分解性のないルチル型を使用するのが好ましく、その添加量は、接着樹脂層の全固形分重量に対して、5〜50重量%であることが好ましい。添加量が5重量%未満では、遮熱性の低下、繊維基布の耐候劣化が顕著となることがあり、またそれが50重量%を越えると透光性が著しく低下し、庫内、車内の明るさが損なわれてしまうことがある。
【0039】
接着樹脂層(B−a)及び(C−a)の各々の目付は、10〜150g/m2 であることが好ましい。それが10g/m2 未満では繊維基布との接着力が不充分なことがあり、またそれが150g/m2 を越えると柔軟性、屈曲性が不十分になることがある。
接着樹脂層(C−a)には、更に、繊維基布の耐候劣化を防止する目的から紫外線吸収剤が添加される。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリシレート系等の有機系紫外線吸収剤が好ましいが、例えば、粒径が100nm以下の酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫外線反射剤も透光性を損なわない範囲で使用することが出来る。
【0040】
透光性弾性体外面層の上に、防汚性を付与する目的から、更に表面処理層(D)を形成させてもよい。この表面処理層は、透明被覆層を形成するアクリル系樹脂塗料、シリコーン系樹脂塗料、フッ素系樹脂塗料などから選ばれた少なくとも1種を、弾性体外面層表面に塗布、乾燥して得られる。表面処理層の厚さは、1〜5μmであることが好ましい。1μm未満では防汚効果が不十分になることがあり、またそれが、5μmを越えると柔軟性、屈曲性が不十分になることがある。
【0041】
本発明の耐久性膜材の製造方法としては、接着樹脂層(B−a)及び(C−a)は、グラビアロールコーティング、ドクターブレードコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング等の方法により形成することができる。また、フッ素含有三元共重合体樹脂外面層、及び透光性弾性体層は、カレンダー成型法、Tダイによる押し出し成型法等の方法により形成されたフッ素含有三元共重合体樹脂フィルム、及び透光性弾性体フィルムを熱圧着等の方法で接着樹脂層上に積層して形成されることが好ましい。
【0042】
本発明の耐久性膜材は、採光性、遮熱性に優れ、庫内、車内の明るさを保ち、且つ環境温度の上昇を有効に抑えることができる、更に庫内、車内の快適さを向上させる観点から、膜材全体の全光線透過率を2〜30%とし、遮熱率を60%以上とすることが好ましい。全光線透過率が2%未満では、採光性が不充分となることがあり、車内、庫内の明るさが損なわれることがあり、またそれが30%を越えると、車内、庫内の環境温度が上昇し、快適性が損なわれることがある。また、遮熱率が60%未満では、同じく車内、庫内の環境温度が上昇し、快適性が損なわれることがある。
【0043】
【実施例】
本発明を下記実施例により、更に具体的に説明する。各実施例において製品の性能評価に用いられた測定方法は下記の通りである。
(1)全光線透過率
JIS K−7105記載の光線透過率の測定方法に基づいて測定される全光線透過率で示した。
(2)遮熱率
太陽光に近似した赤外線ランプを使用し、試料挿入前後における熱移動量を熱量計で測定した。
遮熱率=(1−(試料挿入前の熱量−試料挿入後の熱量) /試料挿入前の熱量)×100 (%)
【0044】
(3)屈曲性
1)YSS式繰り返し永久疲労試験
安田精機製作所 (株)製YSS式繰り返し永久疲労試験機を用い、二つ折りにした試料を左右チャックに締め付け中央部が折り曲がるようにして、下記試験条件により、繰り返し折り曲げ作動を行い、試料の疲労度から下記の4段階で評価した。
<試験条件>
ストローク;20mm
回転数;245rpm
試験温度;−20℃、20℃、及び80℃
折り曲げ回数;各5000回
<評価>
◎:シワの発生が見られない。
○:シワの発生が多少見られる。
△:微細なクラックが見られる。
×:連続したクラックが見られる。
2)揉み性
JIS K−6328に準拠して、下記の試験条件により、揉み試験を行い、試料の表面状態から下記の4段階で評価した。
<試験条件>
荷重:1kgf
回数:1000回
<評価>
◎:シワの発生が見られない。
○:シワの発生が僅かに見られる。
△:樹脂浮きが部分的に見られる。
×:樹脂浮きが顕著に見られる。
【0045】
(4)接着強度
JIS L−1096に準拠して、フッ素含有樹脂層と繊維基布層との層間の接着強度を測定した。
(5)耐候性
メタルウェザー超促進耐候試験機(大日本プラスチック (株)製)を使用し、下記試験条件で紫外線照射した後の試料の強度変化(引張強度保持率)を測定した。
<試験条件>
紫外線強度;50(mW/cm2
L時(ライト);温度60℃、湿度39%、設定時間 4時間
D時(結露);温度60℃、湿度90%以上、設定時間 4時間
L時及びD時の合計時間 8時間
をサイクルとして、合計15サイクル(120時間)を1単位の試験時間とし、合計10単位、1200時間の照射を行った。
<評価>
*強度変化;試験前後の引張強度の変化率(引張強度保持率)で評価した。
引張強度保持率=試験後の引張強度/試験前の引張強度×100(%)
(6)防汚性
屋外南面に30°の仰角で設置した試料を3ヶ月間曝露した後の汚れ付着状態及び汚れ部分を水で拭き取った後の試料の色相変化(ΔE)を測定した。
(注)測色;自記分光光度計を使用し、三刺激値(X,Y,Z)を求めた。測定波長範囲は380〜780nm、標準光源はC、及び2度視野とした。色差はL* 、a* 、b* 表色系により求めた。
【0046】
比較例1
繊維基布(A)として、ポリエステル繊維糸条(繊維太さ:84dtex)を経糸、緯糸に使用した基布(平織り、目付け:160g/m2 、密度:経糸40本/25.4mm、緯糸50本/25.4mm)を使用した。
この基布を下記組成の滲出防止層形成樹脂液中にディッピングし、絞り、乾燥、固化して、基布中に滲出防止層(A−a)を形成した。
(滲出防止層組成)
フッ素系撥水剤 3重量部
(ダイキン工業(株)製;商標ユニダインTG−521、固形分20%)
水 97重量部
【0047】
得られた滲出防止層を含む繊維基布を下記組成の接着樹脂層(B−a)形成用樹脂液でコーティングし、乾燥、固化して、基布の一面に接着樹脂層(A)を形成した。
(フッ素系樹脂外面層との接合用接着樹脂組成;接着樹脂層(A)組成)
フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン 100重量部
(住友スリーエム(株)製;商標:THV−350C、ディスパージョン、固形分50%)
ルチル型酸化チタン 15重量部
(堺化学(株);商標:R−62N)
シランカップリング剤(β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン 2重量部
(日本ユニカー(株)製;商標:A−186)
脂肪族イソシアネート化合物 2重量部
(住友バイエルウレタン(株)、商標:SBU−0772、固形分30%)
得られた接着樹脂層(B−a)の付着量は25g/m2 であり、全固形分重量に対するルチル型酸化チタンの成分量は23重量%であった。
【0048】
更に、基布の一方の面に、下記組成の接着樹脂層(C−a)形成用樹脂液でコーティングし、乾燥固化した。
(透光性弾性体外面層との接合用接着樹脂組成;接着樹脂層(B)組成)
塩化ビニル樹脂 100重量部
フタル酸エステル系可塑剤 50重量部
リン酸エステル系可塑剤 15重量部
エポキシ系化合物 3重量部
Ba−Ca系安定剤 1重量部
芳香族イソシアネート化合物 5重量部
(日本ポリウレタン(株)製;商標:コロネートL)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.1重量部
基布の一面に接着樹脂層(C−a)が形成された。得られた接着樹脂層(C−a)の付着量は100g/m2 であった。
【0049】
更に、下記組成のフッ素含有樹脂外面層(B−b)用組成物、透光性弾性体外面層(C−b)用組成物;
(フッ素含有樹脂外面層組成)
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ
化ビニリデン三元共重合体 100重量部
(住友スリーエム(株)製;商標:THV−400G)
酸化チタン(白) 1重量部
チタンエロー(黄) 0.2重量部
滑剤(アマイド系) 0.5重量部
(透光性弾性体外面層組成)
塩化ビニル樹脂 100重量部
フタル酸エステル系可塑剤 50重量部
リン酸エステル系可塑剤 15重量部
エポキシ系化合物 3重量部
Ba−Zn系安定剤 1重量部
加工助剤 3重量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.1重量部
をそれぞれカレンダー成形法により混練・圧延し、厚さ0.12mmのクリーム色のフッ素含有樹脂外面層(B−b)用フィルム、及び厚さ0.40mmの透明の透光性弾性体外面層(C−b)用フィルムを作製した。
【0050】
更に、フッ素含有樹脂外面層用フィルムを接着樹脂層(B−a)上に170℃で2分間熱圧着して、防汚性遮熱層を形成した。また、更に透光性弾性体外面層用フィルムを接着樹脂層(C−a)上に、160℃で2分間熱圧着して、透光性弾性体層を形成し、本発明の耐久性膜材を得た。この膜材の全光線透過率は、10%であり、遮熱率は65%であった。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表1及び表3に示す。
【0056】
実施例1
比較例1と同様にして耐久性膜材を作製し、試験を行った。ただし、フッ素含有三元共重合体樹脂外面層(B−b)組成に、柔軟化剤としてエポキシ化シリコーンゴム(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製;商標:トレフィルE−601)を20重量部を添加した。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表1及び表3に示す。
【0057】
実施例2
比較例1と同様にして耐久性膜材を作製し、試験を行った。ただし、フッ素含有三元共重合体樹脂外面層(B−b)組成に、柔軟化剤としてムーニー粘度(ML1+10、121℃)が120の未加硫フッ素ゴム(住友スリーエム(株)製;商標:フローレルFC−2178)を20重量部を添加した。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表1及び表3に示す。
【0060】
比較例2
比較例1と同様にして膜材を作製し、試験を行った。ただし、PVC弾性体層の積層を取り止め、基布の両面にそれぞれ接着樹脂層(B−a)が形成され、更に両面にフッ素含有三元共重合体樹脂外面層(B−b)が積層された、両面共に防汚性遮熱層を持つ膜材とした。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
【0061】
比較例3
比較例1と同様にして膜材を作製し、試験を行った。ただし、フッ素含有三元共重合体樹脂層(B)の積層を取り止め、基布の両面にそれぞれ接着樹脂層(C−a)が形成され、更に両面にPVC弾性体外面層が積層された、両面共にPVC弾性体層を持つ膜材とした。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
【0062】
比較例4
比較例1と同様にして膜材を作製し、試験を行った。ただし、接着樹脂層(B−a)における酸化チタンの添加を取り止め、またフッ素含有三元共重合体樹脂外面層(B−b)から顔料成分を除き、フッ素含有三元共重合体樹脂層を透明として遮熱機能を有しない膜材とした。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
【0063】
比較例5
比較例1と同様にして膜材を作製し、試験を行った。ただし、透光性弾性体外面層(C−b)に顔料としてカーボンブラックを1重量部添加し、透光性弾性体層を黒色として透光性を有しない膜材とした。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0003928020
【0065】
【表2】
Figure 0003928020
【0066】
【表3】
Figure 0003928020
【0067】
実施例及び比較例から、繊維基布(A)の片面に遮熱性を有すフッ素含有三元共重合体樹脂層(B)、他の面に透光性を有す弾性体層(C)を積層することで、屈曲性、防汚性、耐候性に優れ、かつ透光性、遮熱性に優れた膜材が得られることが確認された。また、フッ素含有三元共重合体樹脂外面層(B−b)に天然ゴム、合成ゴムを添加することで、屈曲性が向上した。
【0068】
【発明の効果】
本発明の耐久性膜材は、長期の屋外使用においても、屈曲性低下、柔軟性低下、耐候劣化が少なく、防汚性、採光性、遮熱性に優れており、従って、自動車用キャンバストップ、トラック幌などの車両用膜材、および大型テント、日除け、テント倉庫に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の耐久性膜材の他の一例の断面説明図。
【図2】 本発明の耐久性膜材の別の一例の断面説明図。
【符号の説明】
1…耐久性膜材
2…必要により滲出防止層を含む繊維基布(A)
3a…接着樹脂層(B−a)
3b…フッ素含有樹脂外面層(B−b)
3…防汚性遮熱層(B)
4a…接着樹脂層(C−a)
4b…透光性弾性体外面層(C−b)
4…透光性弾性体層
5…防汚性表面処理層

Claims (7)

  1. (A)繊維基布と、(B)その一面上に形成された四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂からなる防汚性遮熱層と、(C)前記繊維基布の他の一面に形成されたフッ素を含有しない熱可塑性樹脂からなる透光性弾性体層とを有し、
    前記防汚性遮熱層(B)が、基布(A)の前記一面上に形成され、かつイソシアネート化合物及びカップリング剤化合物を含む架橋剤により架橋された四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体バインダー樹脂と、全固形分重量に対し添加量が5〜50重量%のルチル型酸化チタンからなる接着樹脂層(B−a)と、この接着樹脂層(B−a)上に形成され、かつ天然ゴム及び合成ゴムから選ばれた少なくとも1種を柔軟化剤として含む四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体樹脂を含む外面層(B−b)からなり、
    さらに前記透光性弾性体層(C)が、前記基布(A)の前記他の一面上に形成され、かつイソシアネート化合物により架橋されたフッ素を含まない熱可塑性バインダー樹脂からなる接着樹脂層(C−a)と、この接着樹脂層(C−a)上に形成され、かつ、フッ素を含まない熱可塑性樹脂を含む透光性弾性体外面層(C−b)からなる、
    ことを特徴とする遮熱性、及び屈曲性に優れた耐久性膜材。
  2. 前記防汚性遮熱層(B)の前記フッ素含有樹脂外面層(B−b)が、着色剤として、黒色顔料を除く有機顔料及び無機顔料から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1に記載の耐久性膜材。
  3. 前記透光性弾性体層(C)の前記接着樹脂層(C−a)及び前記透光性弾性体外面層(C−b)に含まれる前記フッ素を含まない熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂及び、ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも1種からなる、請求項1に記載の耐久性膜材。
  4. 前記透光性弾性体層(C)の前記透光性弾性体外面層(C−b)が、樹脂発泡体である請求項1又は3に記載の耐久性膜材。
  5. 前記透光性弾性体層(C)の前記透光性弾性体外面層(C−b)の上に、更に防汚性を有す表面処理層(D)が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐久性膜材。
  6. 前記繊維基布(A)が、フッ素系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれた少なくとも1種から形成され、かつ前記基布(A)に含浸され、或はその少なくとも1面上に塗布された滲出防止層(A−a)を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐久性膜材。
  7. 膜材全体の全光線透過率が2〜30%であり、かつ遮熱率が60%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐久性膜材。
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