JP3871662B2 - 雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート - Google Patents

雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シートに関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は、繊維材料からなる基布と、ポリ塩化ビニル樹脂層と、光触媒防汚層とを有し、中・大型テント、テント倉庫、などの産業用資材用途として極めて有用な防汚性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業用資材用途のポリ塩化ビニル系樹脂被覆シートは、例えば、繊維基布の片面又は両面にポリ塩化ビニル系樹脂層が被覆されている柔軟なシートであって、中・大型テント、テント倉庫、トラック用の幌、看板用バックリットなどに広く使用されている。このようなシートは、加工性、経済性、防炎性等の点において、ポリ塩化ビニル系樹脂に固有の長所を発揮するものであるが、一方、上記の用途において、長期間屋外に曝露されるため、ポリ塩化ビニル系樹脂中に配合される安定剤等について十分な吟味がなされたものが使用された場合であっても、長年月の間に次第に樹脂が分解、劣化し、また可塑剤が表面に移行して次第に表面が粘着性を示すようになり、またその粘着性表面上に塵埃等が付着して汚染される等の重大な欠点を生じていた。
【0003】
このような欠点を改善する方法として、ポリ塩化ビニル系樹脂層の表面に有機溶剤に溶かしたアクリル系樹脂をコーティングする方法が提案されているが、アクリル系樹脂コーティング用樹脂液の有機溶剤中にポリ塩化ビニル系樹脂層中の可塑剤が溶出移行し、及び/又は前記可塑剤がアクリル系樹脂層中に溶出移行し、やがて表面に移行するために、前記アクリル系樹脂層の防汚効果は十分ではなかった。
【0004】
また、ポリ塩化ビニル系樹脂層の表面に光触媒層をコーティング法により形成し、それにより汚れを分解除去する方法も提案されている。例えば、WO97−134(特許文献1)には光触媒層をコーティングする場合は、一般には光触媒層とポリ塩化ビニル系樹脂層の接着性を向上させ、かつポリ塩化ビニル系樹脂層を、光触媒活性作用から保護するために、これら両層の間に接着・保護層を介在させることが提案されている。しかし、この場合においても、ポリ塩化ビニル系樹脂層の可塑剤が接着・保護層を通過して光触媒層に移行するため、これが光触媒層表面の親水化及び汚れ分解作用を妨げ、防汚効果が低下してしまうという問題を生じ、特に、屋外使用時に垂直部分の雨筋汚れを十分に防止するレベルまでは至っていない。
【0005】
また、光触媒層の光触媒作用により、ポリ塩化ビニル系樹脂層中の可塑剤が選択的に分解される場合があり、このため長年月の間に、ポリ塩化ビニル系樹脂層の風合いが次第に硬くなるという問題を生ずることがある。
【特許文献1】
WO97−134
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた防汚性と耐候性とを具備しているだけでなく、長期間使用の場合でも風合いの変化が少なく、しかも防汚性において耐久性の高い防汚性シートを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シートは、繊維材料より形成された基布と、その少なくとも1面上に形成されたポリ塩化ビニル系樹脂層と、前記ポリ塩化ビニル系樹脂層の上に形成された可塑剤移行防止層と、更に前記可塑剤移行防止層の上に形成された光触媒防汚層とを有し、
前記基布は、前記繊維材料に含浸された塩化ビニル樹脂を含む下塗り層を有するものであり、
前記可塑剤移行防止層が、フッ素含有樹脂及びアクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂を主成分として含有し、さらに、吸油量が30〜300ml/100gの合成シリカ10〜50重量%を含有する可撓性重合体樹脂層を含むものであり、
前記光触媒防汚層が、光触媒とともに、シリカゾル、モノアルキルトリアルコキシシラン、及び前記モノアルキルトリアルコキシシランの加水分解生成物から選ばれた少なくとも1種からなる結着剤を含むものであり、
前記可塑剤移行防止層と、前記光触媒層との間に形成され、かつ、ポリシロキサンと、アクリルシリコーン樹脂との混合物を含む接着・保護層をさらに含むことを特徴とするものである。
本発明の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シートにおいて、前記光触媒防汚層が、光触媒性無機材料としてTiO2 ,TiO3 ,ZnO,SrTiO3 ,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO3 ,K2 NbO3 ,Fe23 ,Ta25 ,WO3 ,SnO2 ,Bi23 ,NiO,Cu2 O,SiC,SiO2 ,MoS2 ,InPb,RuO2 、及びCeO2 から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シートの前記光触媒防汚層において、光触媒性無機材料の含有量が25〜75重量%であることが好ましい。
本発明の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シートにおいて、前記ポリ塩化ビニル系樹脂が、吸油量が30〜300ml/100gの吸油性充填剤を50重量%以下の含有量で含有することが好ましい。
本発明の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シートにおいて、前記防汚性シートの少なくとも一部が無機系顔料によって着色されていてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート(以下本発明の防汚性シートと記す)の基布に用いられる繊維材料は、天然繊維、例えば、木綿、麻など、無機繊維、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維など、再生繊維、例えば、ビスコースレーヨン、キュプラなど、半合成繊維、例えば、ジ−及びトリ−アセテート繊維など、及び合成繊維、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリオレフィン繊維など、から選ばれる少なくとも1種類からなるものである。
【0009】
基布中の繊維材料は、短繊維紡績糸条、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状のものであってもよく、また基布は、織物、編物、不織布又はこれらの複合布のいずれであってもよい。一般には、本発明の防汚性シートに用いられる繊維はポリエステル繊維であるのが好ましく、特にこのポリエステル繊維は長繊維(フィラメント)の形状にあることが好ましく、その織組織に制限はないが、平織であることが好ましい。前記繊維材料には、それに含浸された塩化ビニル樹脂による下塗り層が形成され、繊維材料と下塗り層により基布が構成される。
【0010】
本発明の防汚性シートにおいて、基布の少なくとも1面に形成されるポリ塩化ビニル系樹脂層は、塩化ビニル重合体、及び塩化ビニル共重合体、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、及び塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体などを包含するものであり、これらを単独、あるいは2種以上の混合物に、可塑剤、安定剤、充填剤、防炎剤、紫外線吸収剤などの添加剤の1種以上を混合したものを使用することができる。
【0011】
本発明の防汚性シートに用いられるポリ塩化ビニル系樹脂層に含有される可塑剤としては、汎用のフタル酸エステル系可塑剤を使用することができる。前記フタル酸エステル系可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジヘブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどが使用される。また、更に防汚性を向上させるには、可塑剤として特定の液状可塑剤及び/又は高分子量可塑剤が用いられることが好ましく、液状可塑剤は、ポリエステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤から選ばれた少なくとも1種類からなるものであることが好ましい。上記高分子量可塑剤はエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合体から選ばれた少なくとも1種類からなるものであることが好ましい。
【0012】
前記液状可塑剤として使用されるポリエステル系可塑剤は、ジカルボン酸とジオールとの縮合重合により製造されるものであって、末端基としてカルボキシル基あるいは水酸基を有するものであるが、一般には末端のカルボキシル基及び水酸基は、それぞれアルコール、カルボン酸と縮合重合している。このようなポリエステル系可塑剤は、例えばアジピン酸と、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール類などの少なくとも1種とをポリエステル化したものなどである。ポリエステル系可塑剤の分子量は600以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上であり、より好ましくは1500〜4000である。分子量が小さすぎると、従来のフタル酸系可塑剤と同様に、防汚層に移行及び抽出が多くなることがある。分子量が過大になると、固体となり、配合混練の際の溶融粘度が高くなり作業性が不良になるという不都合を生ずることがある。
【0013】
本発明に使用されるトリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤は、トリメリット酸と1価アルコール、及びピロメリット酸と、1価アルコールとの縮合反応によって得られるものであり、トリメリット酸エステル系可塑剤としては、トリ2−エチルヘキシルトリメリレート、トリイソデシルトリメリレートなどであり、ピロメリット酸エステル系可塑剤としては、2−エチルヘキシルピロメリレートなどである。
【0014】
これらのポリエステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤は、低揮発性で熱老化性に優れ、油及び各種溶剤による抽出量が少なく各種樹脂への非移行性に優れ、電気絶縁性も良好である。従って、耐熱電線被覆材、ガスケット、自動車用内装材など高度の性能を要求される分野のポリ塩化ビニル系樹脂に使用されている。
一方これらの可塑剤は、汎用のフタル酸エステル系可塑剤に比較すると、可塑化効率、及び耐候性が劣りそれ自体には防汚性を向上させる機能もなく、産業資材用途、特に防汚性向上を目的とする用途には使用されてない。
【0015】
基布の少なくとも1面にポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、前記ポリ塩化ビニル系樹脂層には、ポリエステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤から選ばれた少なくとも1種類の液状可塑剤を、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し40〜100重量部の含有量で含有し、前記ポリ塩化ビニル系樹脂層の上に可塑剤移行防止層を形成し、更に前記可塑剤移行防止層の上に光触媒防汚層を形成することにより、防汚性を向上することができる。
本発明の防汚性シートのポリ塩化ビニル系樹脂層に含まれる液状可塑剤の配合量は、それが単独で用いられるとき、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し40〜100重量部であり、60〜90重量部であることが好ましい。
【0016】
また、本発明において、ポリ塩化ビニル系樹脂層に用いられる高分子量可塑剤としては、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、及びエチレン−アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合体から選ばれた少なくとも1種が使用される。これらの可塑剤は、塩化ビニル系樹脂の永久可塑剤として働き、従来の可塑剤に比べ格段に大きい分子量を有しているため、蒸発や抽出することがなく非移行性に優れ、その成形品はすぐれた耐久性を示し、一般の可塑剤やその他の添加剤とも相溶性がよいため、幅広い配合処方が可能であり、主に、靴、電線、レザー、床タイル、ガスケットなどの高度の性能を要求される分野に使用されているが、それ自体には防汚性を向上させる機能はなく産業資材用途において防汚性向上を目的とする用途には使用されてない。
【0017】
基布の少なくとも1面にポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、このポリ塩化ビニル系樹脂層には、可塑剤としてエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合から選ばれた少なくとも1種類の高分子量可塑剤を、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し50〜120重量部の含有量で含有させ、前記ポリ塩化ビニル系樹脂層の上に可塑剤移行防止層を形成し、更に前記可塑剤移行防止層の上に光触媒防汚層を形成することにより、防汚性を向上することができる。
【0018】
本発明の防汚性シートにおいて、ポリ塩化ビニル系樹脂に用いられる高分子量可塑剤の配合量は、それが単独で用いられるときポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し50〜120重量部であり、70〜110重量部であることが好ましい。
【0019】
また、基布の少なくとも1面にポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、ポリ塩化ビニル系樹脂層には、可塑剤として、ポリエステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤から選ばれた少なくとも1種類の液状可塑剤と、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合から選ばれた少なくとも1種類の高分子量可塑剤とを併用する場合、その合計含有量を、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し40〜120重量部とし、好ましくは60〜110重量部とし、前記ポリ塩化ビニル系樹脂層の上に可塑剤移行防止層を形成し、更に前記可塑剤移行防止層の上に光触媒防止層を形成すると、防汚性が向上する。
【0020】
またポリ塩化ビニル系樹脂層が、可塑剤として、前記液状可塑剤と、前記高分子量可塑剤とを併用して含有していると、カレンダーフィルムの加工性が向上し、またポリ塩化ビニル系樹脂の耐候劣化が進んだ場合でも、中間層の亀裂防止性が向上する。
【0021】
本発明の防汚性シートのポリ塩化ビニル系樹脂層が可塑剤として液状可塑剤と高分子量可塑剤とを含むとき、これらが1:9〜9:1(重量比)の割合で使用されることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましい。液状可塑剤と高分子量可塑剤との合計含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し40〜120重量部であり、60〜110重量部であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の防汚性シートのポリ塩化ビニル系樹脂層に下記30〜300ml/100gの吸油量を有する吸油性充填剤、例えば炭酸カルシウムを含有させることにより、ポリ塩化ビニル系樹脂層内の可塑剤移行が抑制され、可塑剤の光触媒防汚層への移行防止性が更に向上することが見出された。前記ポリ塩化ビニル系樹脂層に使用される充填剤の含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂層の重量の50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることが更に好ましい。充填剤の含有量が50重量%を越えるとポリ塩化ビニル系樹脂層の機械的強さが不十分になり、隣接する層との間の接着強度も不十分になり、可塑剤移行防止層及び光触媒防汚層の脱落の原因となることがある。
【0023】
本発明の防汚性シートの可塑剤移行防止層に使用される可撓性重合体樹脂としては、フッ素含有重合体樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂を使用する。
【0024】
本発明の防汚性シートの可塑剤移行防止層に使用されるフッ素含有樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロオレフィン共重合体(例えばテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、およびクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合などから選ばれた少なくとも1種類である。これらのフッ素含有樹脂層は、フッ素含有樹脂フィルムを積層接着するラミネート法によって形成することができる。尚、フィルムの接着性を良くするために、フィルムの両面にコロナ放電処理などを施して予め濡れ性を改良したフィルムを使用してもよい。
【0025】
また、可塑剤移行防止層用ポリビニリデンフルオライド系樹脂は、溶剤への溶解が可能であり、溶液のコーティング法又はグラビヤ法によって形成することができるものから選ばれる。ポリビニリデンフルオライド系樹脂としては、ポリビニリデンフルオライド単一重合体の他、ビニリデンフルオライドを含有する共重合体、例えば、ビニリデンフルオライドと、それと共重合可能な単量体、例えばテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フルオロエチレンなどから選ばれる1種類以上の単量体とを共重合させて得られる共重合体が用いられる。これらの共重合体はランダム共重合体に限定されるものではなく、グラフト共重合体であってもよい。
【0026】
また、これらの重合体又は共重合体に、それと良好な相溶性を有する他の樹脂を加えた混合物を用いることもできる。このようなポリビニリデンフルオライド樹脂との相溶性の良好な樹脂としては、例えば、メチルメタクリレートもしくはメチルアクリレートを主体とするアクリル重合体もしくは共重合体、又はシアノエチル化エチレン−ビニルアルコール共重合体などがある。
【0027】
本発明の防汚性シートの可塑剤移行防止層に使用されるアクリル系樹脂は、アクリル酸もしくはメタクリル酸とC1 〜C4 アルコールとのエステルを主構成モノマーとする重合体もしくは共重合体を主成分とする樹脂から選ばれることが好ましい。このようなアクリル酸エステル系樹脂の主構成モノマーとしては、具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートなどがあり、特にメチルアクリレート及びメチルメタクリレートが好ましい。また、これらの主構成モノマーと共重合させるコモノマーとしては、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸とC1 〜C12アルコールとのエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエンなどを用いることができる。このようなアクリル系樹脂により可塑剤移行防止層を形成するためには、それに対応する処理液をコーティング法、又はグラビヤ法により塗布するか、あるいは対応樹脂のフィルムを積層接着するラミネート法などによって形成することができる。
【0028】
また、本発明の防汚性シートの可塑剤移行防止層に使用される合成シリカは、ポリ塩化ビニル系樹脂層から移行して来た可塑剤を可塑剤移行防止層内に保持し、可塑剤移行防止性を更に向上するために使用される。可塑剤移行防止層に使用される合成シリカの吸油量は、30〜300ml/100gであり、100〜200ml/100gであることが好ましい。合成シリカの吸油量が30ml/100g未満の場合は得られる可塑剤移行防止層の可塑剤を保持する効果が不十分である。また、それが300ml/100gを越える場合には可塑剤移行防止層を形成する時の加工性が不十分になる。
【0029】
また、本発明の可塑剤移行防止層に使用される合成シリカの含有量は、可塑剤移行防止層の合計重量の10〜50重量%であり、10〜30重量%であることが好ましい。合成シリカの含有量が10重量%未満の場合は可塑剤を保持する効果が不十分である。また、それが50重量%を越えると可塑剤移行防止層の機械的強さが不十分になり、隣接する層との間の接着強度が低下し、光触媒防汚層の脱落の原因となる。
【0030】
また、可塑剤移行防止層が前記30〜300ml/100gの吸油量を有する合成シリカを含有する可撓性重合体樹脂層の少なくともその上表面に前記合成シリカを含有しない追加可撓性重合体樹脂層を形成してもよく、それによって、可塑剤移行防止性を更に向上させてもよい。このとき、合成シリカ含有可撓性重合体樹脂層中の合成シリカの含有量は10〜50重量%であることが好ましい。
【0031】
本発明の防汚性シートの光触媒防汚層は、光触媒とともに、シリカゾル、モノアルキルトリアルコキシシラン、及びその加水分解生成物から選ばれた少なくとも1種からなる接着剤を含むものである。光触媒防汚性を形成するには、可塑剤移行防止層の上に、光触媒性無機材料と前記結着剤とを含む塗布剤を塗布すればよい。このとき、可塑剤移行防止層と光触媒防汚層との間に、ポリシロキサンとアクリルシリコーン樹脂との混合物を含む接着・保護層がさらに形成されている。また、この光触媒防汚層に圧着又は加熱圧着操作を施してもよい。光触媒防汚層は、例えば、シリカゾル1〜10重量%と、モノアルキルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物1〜10重量%、及び、酸化チタンゾル1〜10重量%を含む混合液を、前記接着・保護層上に塗布乾燥して形成することができる。モノアルキルトリメトキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン及びメチルトリエトキシシランなどを用いることができる。シリカゾルとモノアルキルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物との混合比率は、重量比で100/0〜60/40が好ましく、90/10〜50/50であることがより好ましい。光触媒性無機材料ゾルと、前記珪素有機化合物成分の配合比率は、光触媒性無機材料/珪素有機化合物の重量比が5/95〜75/25になるようにすることが好ましく、10/90〜65/35であることがより好ましい。珪素有機化合物の含有比率が95%を越えると、得られる光触媒防汚層の光触媒活性が不十分となることがあり、またそれが25%未満では接着・保護層への接着性が不十分となることがある。
【0032】
光触媒防汚層中に含まれる光触媒性無機材料としては、TiO2 ,TiO3 ,ZnO,SrTiO3 ,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO3 ,K2 NbO3 ,Fe23 ,Ta25 ,WO3 ,SnO2 ,Bi23 ,NiO,Cu2 O,SiC,SiO2 ,MoS2 ,InPb,RuO2 ,CeO2 などを例示することができ、TiO2 ,TiO3 はTiO3 ・nH2 Oの形で利用することもある。またこれらの光触媒性無機材料にPt,Rh,RuO2 ,Nb,Cu,Sn,NiOなどの金属及び金属酸化物を光触媒活性促進剤として添加してもよい。光触媒防汚層中の光触媒性無機材料の含有量は、それが多くなるほど触媒無活性が高くなるが、得られる光触媒防汚層の接着性が低下するので、光触媒防汚層の合計重量に対し、25〜75重量%であることが好ましく、40〜60重量%であることがより好ましい。また光触媒防汚層が、光触媒性無機材料を含有する場合、防汚性シートの少なくとも一部(すなわち、基布、ポリ塩化ビニル系樹脂層、可塑剤移行防止層、光触媒防汚層及び接着・保護層などの一層以上、或はその一部分)が無機系顔料により着色されていてもよく、このようにすると、光劣化による変退色が防止され、或は目立たなくなる。特に光触媒性無機材料と接触する部位は無機系顔料で着色することが好ましい。
【0033】
本発明の防汚シートに使用できる無機系顔料としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄(鉄黒、べんがら)、黄色酸化鉄、フエロシアン化鉄(紺青)、紺青と黄鉛との混合物(ジンクグリーン)、酸化鉛(鉛丹)、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化コバルトと酸化アルミニウムの複合物(コバルトブルー)、酸化コバルトと酸化錫と酸化マグネシウムとの複合物(セルリアンブルー)、酸化コバルトと酸化リチウムと五酸化リンの複合物(コバルトバイオレット)、酸化コバルトと酸化亜鉛と酸化マグネシウムとの複合物(コバルトグリーン)、リン酸コバルト(コバルトバイオレット)、リン酸マンガン(マンガン紫)などの金属酸化物、硫化亜鉛と硫酸バリウムの複合物(リトポン)、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化亜鉛、硫化亜鉛カドミウム、硫化カドミウム(カドミウムイエロー)、硫化カドミウムと硫化水銀との複合物(カドミウムマーキュリーレッド)、硫化水銀(銀朱)、硫化カドミウムとセレニウム−カドミウムの複合物(カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、カドミウムイエロー)、硫化アンチモンと三酸化アンチモンの複合物(アンチモン朱)、などの金属硫化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、塩基性硫酸鉛などの金属硫化物、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛と水酸化鉛の複合物(鉛白)などの金属炭酸化物、水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、水酸化アルミニウムと硫酸カルシウムの複合物(サチン白)、水酸化アルミニウムと硫酸バリウムの複合物(グロスホワイト)、クロム酸水和物(ビリジアン)などの金属水酸化物、クロム酸鉛(黄鉛)、クロム酸亜鉛(亜鉛黄)、クロム酸バリウム、クロム酸鉛と酸化鉛の複合物(赤口黄鉛)、クロム酸鉛とモリブデン酸鉛と硫酸鉛との複合物(クロムバーミリオン)などのクロム酸金属塩、モリブデン酸鉛と硫酸鉛の複合物(モリブデンレッド)、紺青の黄鉛との混合物(クロムグリーン)、スピネル型(XY24 )構造酸化物:〔註、XY=Co−Al,Co−Al−Cr,Co−Mg−Sn,Co−Ni−Ti,Co−Zn−Ni−Ti,Co−Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Fe,Co−Zn−Cr−Fe,Co−Ni−Cr−Fe−Si,Co−Mn−Cr−Fe,Cu−Mn−Cr,Mn−Feなど〕、ルチル型〔Ti(XY)O2 〕構造酸化物〔註、XY=Pb−Sb,Ni−Sb(チタンイエロー)、Ni−W,Fe−Mo,Cr−Sbなど〕、カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、シリカ、ホワイトカーボン、ケイ藻土、タルク、クレー、アルミニウム粉顔料、ブロンズ粉、ニッケル粉、ステンレス粉、パール顔料などを包含し、これらは目的に応じて、1種のみで、または、2種以上を組み合わせて使用する事ができる。また、これらの無機系顔料をメラミン樹脂、ベンゾクアナミン樹脂、ユリア樹脂、フエノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂中に配合充填したものを微粉化、粉砕した熱硬化性樹脂被覆無機顔料として使用してもよい。
【0034】
前記無機系顔料の添加量に関しては、目的とする色相の調整に応じての任意の添加量で用いることができ、特に制限はないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.1〜50.0重量部であることが、好ましく、より好ましくは1〜30.0重量部である。無機系顔料の添加量が、0.1重量部以下では、ポリ塩化ビニル系樹脂の着色度が低く、着色シートとして十分な隠蔽性が得られないことがある。また、それが50.0重量部を超えると、得られるポリ塩化ビニル系樹脂の成形加工性を悪化させるだけでなく、得られる着色外層の機械的強力、及び摩耗強力が不十分になることがある。
【0035】
前記無機系顔料をポリ塩化ビニル系樹脂に配合するには、ポリ塩化ビニル系樹脂がペースト塩化ビニル樹脂の場合は、潤性カラー又はペーストカラー(ビニルトーナーカラー)が用いられ、ストレート塩化ビニル樹脂の場合は、ドライカラー又は、マスターバッチを用いることが好ましい。
【0036】
本発明の防汚性シートにおいて、基布用繊維材料の重量は50〜300g/m2 であることが好ましく、より好ましくは100〜200g/m2 である。基布は塩化ビニル樹脂の含浸により形成された下塗り層を有するものでありこの下塗り層の重量は50〜250g/m2 であることが好ましく、より好ましくは100〜200g/m2 である。ポリ塩化ビニル系樹脂層の重量は50〜500g/m2 であることが好ましく、より好ましくは100〜300g/m2 である。可塑剤移行防止層の重量は、1〜200g/m2 であることが好ましく、より好ましくは5〜100g/m2 である。接着・保護層を形成する場合、その重量は0.1〜5g/m2 であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2 である。また、光触媒防汚層の重量は0.1〜5g/m2 であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2 である。
【0037】
本発明者らは、繊維材料と、それに含浸された塩化ビニル樹脂を含む下塗り層を有する基布の少なくとも1面にポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、前記ポリ塩化ビニル系樹脂層の上に可塑剤移行防止層を形成し、その上に接着・保護層を形成し、その上に光触媒防汚層を形成することにより、光触媒防汚層に対するポリ塩化ビニル系樹脂層の可塑剤の影響を抑制することができるため、光触媒防汚層の表面親水化及び汚れ分解作用を妨げることがなく、光触媒防汚層の本来の防汚効果が得られることを確認し、この防汚効果は、特定の可塑剤及び顔料を使用することにより、更に格段に向上することも確認した。また、光触媒防汚層への可塑剤の移行が抑制されるため、ポリ塩化ビニル系樹脂層の可塑剤自体が光触媒作用により分解されることもなく、長年月の間のポリ塩化ビニル系樹脂層の風合い変化も少ないことを確認した。
【0038】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に説明する。
下記実施例において、製品の性能評価に用いられた試験方法は下記の通りである。
【0039】
(1)屋外曝露試験
試料を南向きに、傾斜角30度、及び垂直に設置して、連続屋外曝露試験に供し、試料の防汚性及び雨筋汚れの発生状態を肉眼観察により評価した。
(イ)防汚性
傾斜角30度の設置試料について、初期の試料を基準とし、曝露6ケ月後及び12ケ月後の試料表面の色差ΔEを測定し、防汚性を下記のように4段階に評価した。
Figure 0003871662
(ロ)雨筋汚れ
垂直に設置した試料について、雨筋汚れの発生状態を目視で下記のように3段階に判定した。
Figure 0003871662
【0040】
(2)風合い
汎用のポリ塩化ビニル系樹脂シートを基準にして、供試試料の初期及び曝露12ヶ月後の手持ち感を評価した。
Figure 0003871662
(3)耐寒試験
供試シートの耐寒性を、日本工業規格JIS K 6328耐寒試験に従って測定した。
(4)摩耗強さ
供試試料の摩耗強さを、日本工業規格JIS L 1096 B法スコット形法に従って測定した。但し、試料に荷重1kgにおいて1000回の往復摩擦試験を施し、表面の状態を目視評価した。
【0041】
実施例1
(1)シート基体の作製(下塗り層及びポリ塩化ビニル系樹脂層の形成)
基布として、下記組織のポリエステルフィラメント平織物を用いた。
Figure 0003871662
この基布を、ペースト塩化ビニル樹脂を含む下記配合1の樹脂組成物の溶剤希釈液中に浸漬して、基布に樹脂液を含浸し、絞り、150℃で1分間乾燥後、185℃で1分間熱処理し、基布に対し樹脂を145g/m2 付着させて、下塗り層を形成した。
次に、ストレート塩化ビニル樹脂を含む、下記配合2の樹脂組成物からなるフィルム(0.16mm厚)をカレンダーで作成し、これを前記下塗り層含浸基布の両面に貼着して、片面当り200g/m2 のポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、合計重量760g/m2 のシート基体を作製した。
【0042】
<配合1>
ペースト塩化ビニル樹脂 100重量部
DOP(可塑剤) 70重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
炭酸カルシウム 10重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
無機系顔料(TiO2 ) 5重量部
トルエン(溶剤) 20重量部
<配合2>
ストレート塩化ビニル樹脂 100重量部
DOP(可塑剤) 70重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
炭酸カルシウム 10重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
無機系顔料(TiO2 ) 5重量部
【0043】
(2)可塑剤移行防止層の形成
シート基体のポリ塩化ビニル系樹脂層の上に、合成シリカ(吸油量120ml/100g)20重量%を含有するビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂塗布液として、下記配合3の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて、塗布量が25g/m2 になるように塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2 の可塑剤移行防止層を形成した。
<配合3>
Figure 0003871662
この可塑剤移行防止層上に、その表面の濡れ性を改良するために、その表面にコロナ放電処理を施した。
【0044】
(3)光触媒防汚層の形成
前記基体シートの可塑剤移行防止層の上に、下記配合4に示された組成の接着・保護層処理液をグラビヤコーターで15g/m2 の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、1.5g/m2 の接着・保護層を形成し、その上に、更に下記配合5に示された組成の光触媒防汚層形成用塗布液をグラビヤコーターで15g/m2 の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、1.5g/m2 の光触媒防汚層を形成して、防汚性シートを作製した。
【0045】
<配合4>接着・保護層処理液組成
シリコン含有量3 mol%のアクリルシリコン樹脂
を8重量%(固形分)含有するエタノール−酢
酸エチル(50/50重量比)溶液 100重量部
ポリシロキサンとしてメチルシリケートMS51
(コルコート(株))の20%エタノール溶液 8重量部
シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン 1重量部
<配合5>光触媒防汚層処理液組成
酸化チタン含有量10重量%に相当する硝酸酸性
酸化チタンゾルを分散させた水−エタノール(
50/50重量比)溶液 50重量部
酸化珪素含有量10重量%に相当する硝酸酸性シ
リカゾルを分散させた水−エタノール(50/
50重量比)溶液 50重量部
この防汚性シートを前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
実施例1と同様にして防汚性シートを作製した。但し、可塑剤移行防止層の形成工程を下記のように変更した。
シート基体のポリ塩化ビニル系樹脂層の上に、合成シリカ(吸油量120ml/100g)を20重量%含有するアクリル系樹脂塗布液として、下記配合6の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて、塗布量が25g/m2 になるように塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2 の可塑剤移行防止層を形成した。
<配合6>
Figure 0003871662
この防汚性シートを前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003871662
【0048】
実施例1及び2で得られたシートは、表1に示されているように屋外曝露において優れた防汚性を示し、垂直部の雨筋汚れもなく、風合いも軟らかく、耐寒性及び摩耗強さも良好であった。
【0049】
比較例1
実施例1と同様にして防汚性シートを作製した。但し、表2に記載の組成を有するポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、しかし可塑剤移行防止層を形成しなかった。得られた防汚性シートを前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られたシートは、実施例1及び2で得られたシートに比べ、防汚性が劣り、垂直部に雨筋汚れも発生し、また経時的な風合い硬化も認められた。
【0050】
比較例2
実施例1と同様にして防汚性シートを作製した。但し、表2に記載の組成を有するポリ塩化ビニル系樹脂組成物と可塑剤移行防止層を形成した。合成シリカ(吸油量120ml/100g)の配合量は8重量部(5重量%)であった。
可塑剤移行防止層用塗布液の組成
Figure 0003871662
この防汚性シートを前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られたシートは、防汚性が劣り、垂直部の雨筋汚れも発生し、また経時的な風合い硬化も認められた。
【0051】
比較例3
実施例1と同様にして防汚性シートを作製した。但し、表2に記載の組成を有するポリ塩化ビニル系樹脂層及び可塑剤移行防止層を形成した。可塑剤移行防止層中の合成シリカ(吸油量120ml/100g)の配合量は30重量部(60重量%)であった。
可塑剤移行防止層用塗布液の組成
Figure 0003871662
この防汚性シートを前記試験に供した。試験結果を表3に示す。
得られたシートは、光触媒防汚層が脱落しやすく、シートとしての実用性のないものであった。
【0052】
比較例4
実施例1と同様にして防汚性シートを作製した。但し、表2に記載の組成を有するポリ塩化ビニル系樹脂層と可塑剤移行防止層とを形成した。顔料として有機系顔料の縮合アゾイエローを使用した。
ポリ塩化ビニル系樹脂層用カレンダーフィルム樹脂組成
ストレート塩化ビニル樹脂 100重量部
DOP(可塑剤) 70重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
炭酸カルシウム 10重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
有機系顔料(縮合アゾイエロー25重量%含有マ
スターバッチ) 12重量部
可塑剤移行防止層用塗布液の組成
アクリプレン(登録商標)ペレットHBS001
(三菱レイヨン(株)製) 20重量部
トルエン−MEK(50/50重量比)(溶剤) 80重量部
この防汚性シートを前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られたシートは、屋外曝露試験において有機系顔料の変退色が顕著に認められた。
【0053】
比較例5
比較例4と同様にして防汚性シートを作製した。但し、表2に示す組成を有するポリ塩化ビニル系樹脂層及び前記配合6の可塑剤移行防止層を形成した。ポリ塩化ビニル系樹脂層の合成シリカ(吸油量120ml/100g)の配合量は127重量部(60重量%)であった。
ポリ塩化ビニル系樹脂層用カレンダーフィルム樹脂組成
Figure 0003871662
この防汚性シートを前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
【0054】
比較例5のカレンダーフィルム樹脂組成物の加工性が悪く、得られたシートは、風合いが硬く、耐寒性及び摩耗強さが不十分であって、実用に適さないシートであった。
【0055】
【表2】
Figure 0003871662
【0056】
【発明の効果】
本発明に係る防汚性シートは、光触媒防汚層に対するポリ塩化ビニル系樹脂層の可塑剤の影響を抑制するために、これら両層の間に可塑剤移行防止層を形成した事により、光触媒防汚層は、その本来の効果が十分に発現し、優れた防汚性を示すことができるようになった。また、本発明の防汚性シートは、産業資材用途のシートとして良好な風合い及び摩耗強さを有しており、実用上極めて有用なものである。

Claims (5)

  1. 繊維材料より形成された基布と、その少なくとも1面に形成されたポリ塩化ビニル系樹脂層と、前記ポリ塩化ビニル系樹脂層の上に形成された可塑剤移行防止層と、更に前記可塑剤移行防止層の上に形成された光触媒防汚層とを有し、
    前記基布は、前記繊維材料に含浸された塩化ビニル樹脂を含む下塗り層を有するものであり、
    前記可塑剤移行防止層が、フッ素含有樹脂及びアクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂を主成分として含有し、さらに吸油量が30〜300ml/100gの合成シリカ10〜50重量%を含有する可撓性重合体樹脂層を含むものであり、
    前記光触媒防汚層が、光触媒とともにシリカゾル、モノアルキルトリアルコキシシラン、及び前記モノアルキルトリアルコキシシランの加水分解生成物から選ばれた少なくとも1種からなる結着剤を含むものであり、
    前記可塑剤移行防止層と、前記光触媒層との間に形成され、かつ、ポリシロキサンと、アクリルシリコーン樹脂との混合物を含む接着・保護層をさらに含む
    ことを特徴とする雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート。
  2. 前記光触媒防汚層が、光触媒性無機材料としてTiO2 ,TiO3 ,ZnO,SrTiO3 ,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO3 ,K2 NbO3 ,Fe23 ,Ta25 ,WO3 ,SnO2 ,Bi23 ,NiO,Cu2 O,SiC,SiO2 ,MoS2 ,InPb,RuO2 、及びCeO2 から選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート。
  3. 前記光触媒防汚層において、光触媒性無機材料の含有量が25〜75重量%である、請求項1に記載の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート。
  4. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂が、吸油量が30〜300 ml /100gの吸油性充填剤を50重量%以下の含有量で含有する、請求項1に記載の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート。
  5. 前記防汚性シートの少なくとも一部が無機系顔料によって着色されている、請求項1に記載の雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚性シート。
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