JP3840552B2 - 変退色防止性に優れた着色シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変退色防止性に優れた着色シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、顔料着色された熱可塑性樹脂組成物からなる着色外層と、その上に形成され、光触媒を含む表面層とを有する着色シートに関するものである。本発明の変退色防止性に優れた着色シートは、中大型テント、テント倉庫などの建築物部材、トラック用幌、看板用サインシートなどの産業用資材として好適に用いられるものであって、その変退色現象を長期に渡り防止する事ができる。
【0002】
【従来の技術】
最近、光触媒を、紙、繊維織布、フィルム、合成樹脂成形物など高分子化合物の表面に付与することによって、これらの高分子化合物の表面に接触または付着する悪臭、大気中浮遊の有害物質及び煤塵などの有機系化合物を、光触媒の強い酸化還元作用によって分解して除去することによって消臭、浄化する技術が開発され、これをエアコンのフィルターやカーテン、壁紙などの用途に応用する事が提案されている。また、サニタリー関連では、抗菌性、防黴性の機能付与製品として、従来の抗菌剤や、防黴剤を使わずに、光触媒の強い酸化還元作用を利用することが提案され、それによって、菌類、黴類、バクテリア類などの微生物を死滅させ、増繁殖を防止するクリーンで効果的な製品が提案されている。
【0003】
ところで、これらの光触媒を高分子化合物表面に利用した製品は、光触媒の強い酸化還元作用によって、悪臭、大気中浮遊の有害物質や煤塵などの有機系化合物、菌類、黴類、バクテリア類などの微生物を分解または、死滅化させることができるが、それだけではなく、光触媒の下地基材である高分子化合物も分解、劣化する作用が同時に進行、促進し、そのために、屋内外での使用開始後の早い段階において、光触媒が、劣化した高分子化合物の風化物とともに製品から脱落してしまい、このため、光触媒効果の長期間持続ができなくなり、結局製品の寿命を著しく短くしてしまうという欠点が指摘されている。
【0004】
また、光触媒の強い酸化還元作用は、下地基材を形成する高分子化合物の分解、劣化だけではなく、紙、繊維織布、フィルム、合成樹脂成形物などに対して種々の処理剤、添加剤、配合剤などを併用すると、これらも同時に分解劣化を進行、促進してしまうために、製品に、これらの処理剤、添加剤、配合剤によって特性付与、機能性付与してもそのせっかくの効果が、やはり短期間で消失するといった欠点が問題となっている。これら光触媒を応用した製品で効果消失のダメージが最も大きいものが、製品の着色に用いられる着色剤の分解、劣化による製品の変退色の問題であり、この変退色の現象は目視で容易に判別、認識できるものであるだけに製品価値、信頼性などに大きく影響するものである。
【0005】
例えば、日除けテントや、中大型テントなどの、繊維性基布に熱可塑性樹脂組成物を被覆複合加工した熱可塑性樹脂組成物積層シートでは、カラフルな色合いと、豊富なカラーバリエーションが要求されるため、様々なカラー仕様の品揃えが必要となっている。これらの熱可塑性樹脂組成物の着色剤は、色相、意匠性、バックリット効果、コスト性、加工性などの目的に応じて選択され用いられるのが一般的である。しかし、特にこれらの日除けテント、中大型テントシートに光触媒を応用して、空気浄化機能性を付与した、有害物質除去機能性を付与したもの、あるいは、抗菌、防黴、防汚性機能を付与した熱可塑性樹脂組成物積層シートの開発の際に、光触媒の酸化還元作用による着色熱可塑性樹脂組成物の分解、劣化防止に対する技術的な改良や改善については強い関心がよせられているが、しかし、着色剤の光触媒酸化還元作用による分解、劣化の弊害と、その結果テントの色相が除々に変色し、あるいは退色するという欠点に関しては、これは単に着色剤の耐候性の限界の問題があると考えられていて、特別な配慮がなされていないというのが実情である。従って中大型テント、日除けテント、などの屋外の長期用途で使用される、カラフルで色相耐久性の優れたシートに光触媒を応用して、空気浄化機能と有害物除去機能を有する、あるいは、抗菌、防黴、防汚性を有する着色熱可塑性樹脂組成物シートの実用は不可能と考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、屋外で長期間にわたって使用されたときに優れた色彩性と変退色防止性とを維持し、かつ光触媒の酸化還元作用に対しても長期間にわたり安定で耐久性の高い変退色防止性に優れた着色シートを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の現状に鑑みて研究、検討を重ねた結果、繊維布帛からなる基布層及びその少なくとも1面上に形成され、かつ顔料により着色されている熱可塑性樹脂組成物からなる少なくとも1層の着色外層を有する基材層を用い、この基材層の前記顔料着色された熱可塑性樹脂組成物外層の上に、独立に光触媒を含有する表面層を配置し、かつ着色顔料として無機着色顔料(但し、白色顔料のみからなるものを除く)のみを用い、かつ着色外層と表面層との間に特定樹脂を含む光触媒接着・保護層を形成することにより長期間の屋外使用に耐え、かつ光触媒による酸化還元作用に耐えることのできる着色シートを作ることができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートは、繊維布帛からなる基布層及びその少なくとも1面上に顔料により着色されている熱可塑性樹脂組成物により形成された少なくとも1層の着色外層を有する基材層と、前記基材層の前記着色外層上に形成され、かつ光触媒を含有する表面層とを有し、前記着色外層に含まれる着色顔料が、スピネル型(XY24 )構造酸化物(但し、XY=Co−Al,Co−Al−Cr,Co−Mg−Sn,Co−Ni−Ti,Co−Zn−Ni−Ti,Co−Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Fe,Co−Zn−Cr−Fe,Co−Ni−Cr−Fe−Si,Co−Mn−Cr−Fe,Cu−Mn−Cr又はMn−Fe)及びルチル型〔Ti(XY)O2 〕構造酸化物(但し、XY=Pb−Sb,Ni−Sb,Ni−W,Fe−Mo又はCr−Sb)から選ばれた少なくとも1種を含む無機着色顔料(但し、白色顔料のみからなるものを除く)のみからなり、かつ、前記着色外層と、前記光触媒を含有する表面層との間に、アクリル−シリコーン系共重合体樹脂、アクリル−フッソ系共重合体樹脂、ウレタン−シリコーン−フッソ系共重合体樹脂、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、及びフッソ系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドから選ばれた1種以上からなる熱可塑性樹脂を含む光触媒接着・保護層が形成されていることを特徴とするものである。前記熱可塑性樹脂組成物は熱可塑性エラストマー組成物を包含する。
本発明の変退色防止性に優れた着色シートにおいて、前記着色外層が、前記着色顔料含有熱可塑性樹脂組成物から成形されたフィルム又はシートにより形成されているものであってもよい。
本発明の変退色防止性に優れた着色シートにおいて、前記着色外層が、前記着色顔料含有熱可塑性樹脂組成物を含むインキ又は塗料から形成されたものであってもよい。
本発明の変退色防止性に優れた着色シートにおいて、前記光触媒を含有する表面層が、無機着色顔料(但し白色顔料のみからなるものを除く)からなる着色剤により着色されているものであってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの基材層において、顔料着色された熱可塑性樹脂組成物からなる着色外層に用いられる熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを包含する)としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合樹脂及び、フッソ系共重合樹脂などの熱可塑性樹脂を単独に使用して、もしくは、2種以上をブレンドして使用して構成されたものである。特にこれらの熱可塑性樹脂のなかでは、塩化ビニル樹脂、及び塩化ビニル系共重合樹脂は、樹脂物性、樹脂特性及び、成形加工性に優れ、かつコストが安いなどの理由から好ましく使用できる。しかし、環境保全、リサイクル、焼却処理などの理由から、ハロゲン非含有樹脂が要望される場合には、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合樹脂が、最も好適に使用される。
【0010】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色外層用熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂が用いられる場合、それに配合される可塑剤は、可塑性移行性の低いポリエステル系可塑剤を使用することが好ましい。上記の塩化ビニル樹脂、及び塩化ビニル系共重合樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルエーテル共重合樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル酸共重合樹脂、塩化ビニル−メタクリル酸共重合樹脂、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−ウレタン共重合樹脂などから選ばれた1種以上の樹脂を使用することが好ましい。
【0011】
上記のオレフィン樹脂、オレフィン系共重合樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、及びエチレン−プロピレン共重合樹脂などから選ばれる1種以上の樹脂が使用できる。
【0012】
また、本発明において、前記熱可塑性樹脂に包含される熱可塑性エラストマーとしては例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッソゴムなどの天然もしくは合成ゴム、並びに、これらの合成ゴムと上記熱可塑性樹脂との架橋、加硫アロイ体である熱可塑性エラストマー(TPE)なども使用する事ができる。
【0013】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの着色外層中には、必要に応じて、可塑剤、二次可塑剤、安定剤、滑剤、防炎剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、撥水剤、撥油剤、架橋剤、硬化剤、導電性フィラー、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、軟化剤、増粘剤、粘度降下剤、などのような、通常使用される添加剤を、本発明の効果、目的を逸脱しない範囲で含まれていてもよい。
【0014】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートに含まれる着色顔料は、スピネル型(XY24 )構造酸化物(但し、XY=Co−Al,Co−Al−Cr,Co−Mg−Sn,Co−Ni−Ti,Co−Zn−Ni−Ti,Co−Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Fe,Co−Zn−Cr−Fe,Co−Ni−Cr−Fe−Si,Co−Mn−Cr−Fe,Cu−Mn−Cr又はMn−Fe)及びルチル型〔Ti(XY)O2 〕構造酸化物(但し、XY=Pb−Sb,Ni−Sb,Ni−W,Fe−Mo又はCr−Sb)を含む無機着色顔料(但し、白色顔料のみからなるものを除く)のみからなるものである。必要により、前記酸化物顔料に配合して使用できる無機着色顔料としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄(鉄黒、べんがら)、黄色酸化鉄、フエロシアン化鉄(紺青)、紺青と黄鉛との混合物(ジンクグリーン)、酸化鉛(鉛丹)、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化コバルトと酸化アルミニウムの複合物(コバルトブルー)、酸化コバルトと酸化錫と酸化マグネシウムとの複合物(セルリアンブルー)、酸化コバルトと酸化リチウムと五酸化リンの複合物(コバルトバイオレット)、酸化コバルトと酸化亜鉛と酸化マグネシウムとの複合物(コバルトグリーン)、リン酸コバルト(コバルトバイオレット)、リン酸マンガン(マンガン紫)などの金属酸化物、硫化亜鉛と硫酸バリウムの複合物(リトポン)、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化亜鉛、硫化亜鉛カドミウム、硫化カドミウム(カドミウムイエロー)、硫化カドミウムと硫化水銀との複合物(カドミウムマーキュリーレッド)、硫化水銀(銀朱)、硫化カドミウムとセレニウム−カドミウムの複合物(カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、カドミウムイエロー)、硫化アンチモンと三酸化アンチモンの複合物(アンチモン朱)、などの金属硫化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、塩基性硫酸鉛などの金属硫化物、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛と水酸化鉛の複合物(鉛白)などの金属炭酸化物、水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、水酸化アルミニウムと硫酸カルシウムの複合物(サチン白)、水酸化アルミニウムと硫酸バリウムの複合物(グロスホワイト)、クロム酸水和物(ビリジアン)などの金属水酸化物、クロム酸鉛(黄鉛)、クロム酸亜鉛(亜鉛黄)、クロム酸バリウム、クロム酸鉛と酸化鉛の複合物(赤口黄鉛)、クロム酸鉛とモリブデン酸鉛と硫酸鉛との複合物(クロムバーミリオン)などのクロム酸金属塩、モリブデン酸鉛と硫酸鉛の複合物(モリブデンレッド)、紺青の黄鉛との混合物(クロムグリーン)、カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、シリカ、ブロンズ粉、ニッケル粉、ステンレス粉、パール顔料などがある。前記スピネル型及びルチル型構造酸化物顔料は目的に応じて、1種のみで、または、2種以上を組み合わせて使用する事ができる。また、前記無機着色顔料をメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、フエノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂中に配合充填したものを微粉化、粉砕した熱硬化性樹脂被覆無機着色顔料として使用してもよい。上記無機着色顔料のうち、白色無機着色顔料は有色顔料と混合して有色無機顔料として用いることができる。
【0015】
これらの無機系顔料の添加量に関しては、目的とする色相の調整に応じての任意の添加量で用いることができ、特に制限はないが、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.1〜50.0重量部であることが、好ましく、より好ましくは1〜30.0重量部である。無機系顔料の添加量が、0.1重量部以下では、熱可塑性樹脂の着色度が低く、着色シートとして十分な隠蔽性が得られないことがある。また、それが50.0重量部を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形加工性を悪化させるだけでなく、得られる着色外層の機械的強力、及び摩耗強力が不十分になることがある。
【0016】
これらの無機系顔料の製品としては、合成樹脂成形品、フィルム、合成繊維、合成樹脂塗料、印刷インクなどの着色用途での使用時に、より分散性を向上させるために、分散剤により処理された加工顔料を使用することが好ましい。このような加工顔料用分散剤としては、水性分散剤として、リグニンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、マルセルセッケン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、スチレン−マレイン酸樹脂、ポリアクリル酸誘導体などが挙げられ、油分散剤として、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリアクリル酸の部分脂肪酸エステル、アルキルアミン脂肪酸塩、アルキルジアミン、アルキルトリアミン、ナフテン酸金属セッケンなどが挙げられる。
【0017】
これらの分散剤処理された無機系顔料に、その各種用途における加工ハンドリング性を向上させるために、分散剤処理組成中にさらに、ビヒクル、プレスケーキ、樹脂、ワックス、可塑剤、水などを添加して、それぞれ、フラッシュドカラー、水性液状カラー、油性液状カラー、ペーストカラー(ビニルトーナーカラー)、ドライカラー、潤性カラー、マスターバッチ、又はカラードペレットなどの形態に調整されてもよい。本発明の変退色防止性に優れた着色シートにおいて、その着色外層の熱可塑性樹脂に配合される着色剤としては、当該熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂であり、この塩化ビニル樹脂がペースト塩化ビニルである場合には、潤性カラーまたはペーストカラー(ビニルトーナーカラー)が用いられ、ストレート塩化ビニルが用いられる場合には、ドライカラーまたは、マスターバッチを用いることが好ましい。また、顔料含有熱可塑性樹脂組成物がカレンダー加工、T−ダイ押出し加工、インフレーション加工などのような、熱可塑性樹脂の溶融混練加工に供される場合には、加工顔料として、ドライカラー、マスターバッチ、又はカラードペレットを用いることが好ましい。とくにオレフィン系樹脂の成形加工に対しては、無機系顔料を分散剤、ワックスと共にポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂中に高濃度で充填したカラードペレットの形態がより好ましく使用できる。また、熱可塑性樹脂が、水性エマルジョンの場合には、水性液状カラーが使用できる。さらに、熱可塑性樹脂組成物が溶剤系塗料、又は印刷インクとして用いられる場合には、顔料はフラッシュドカラー、ペーストカラー、ドライカラー、油性液状カラーなどであることが好ましい。
【0018】
上記の熱可塑性樹脂に無機系顔料を添加して、更に必要に応じて各種添加剤を配合した熱可塑性樹脂組成物のコンパウンドは、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練機などを用いて溶融混練後造粒する方法、あるいはバンバリーミキサーなどで無機系顔料の高濃度のマスターバッチを作製しておき、タンブラーブレンダー、タンブルミキサー、ヘンシェルミキサーのような混合機を用いてドライブレンドする方法、及び混合後、更に単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法などを採用して調製する事ができる。
【0019】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色外層の熱可塑性樹脂の着色剤としては、熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂であって、この塩化ビニル樹脂がペースト塩化ビニルの場合には、潤性カラーまたはペーストカラー(ビニルトーナーカラー)が好ましく用いられストレート塩化ビニルの場合には、ドライカラーまたは、マスターバッチが好ましく用いられる。また、顔料含有熱可塑性樹脂組成物がカレンダー加工、T−ダイ押出し加工、インフレーション加工などの熱可塑性樹脂の溶融混練加工に供される場合には、加工顔料は、ドライカラー、マスターバッチ、カラードペレットであることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が、水性エマルジョンの場合には、水性液状カラーが好ましく使用でき、溶剤系塗料、印刷インクの場合には、フラッシュドカラー、ペーストカラー、ドライカラー、油性液状カラーなどが好ましく使用できる。
【0020】
更に必要に応じて各種添加剤を配合した着色外層用熱可塑性樹脂組成物のコンパウンドを、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練機などを用いて溶融混練後造粒する方法、あるいはバンバリーミキサーなどで上記比率の無機系顔料と有機系顔料の高濃度のマスターバッチを作製しておき、タンブラーブレンダー、タンブルミキサー、ヘンシェルミキサーのような混合機を用いてドライブレンドする方法、混合後、更に単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法を採用する事ができる。
【0021】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色された熱可塑性樹脂組成物外層を形成するフィルム又はシートは、T−ダイ法、インフレーション法、カレンダー法など公知のフィルム又はシート加工技術によって製造することができる。フィルム又はシートの製造には、カレンダー法により100〜250℃の温度範囲にて上記熱可塑性樹脂組成物フィルム又はシートの成型加工を行うのが製造効率の面で望ましい。
【0022】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色外層に用いられるフィルム又はシートの厚さは、80〜1000μmであることが好ましく、特に130〜500μmであることがより好ましい。厚さがこの範囲よりも薄い場合、成型加工が困難な上に、繊維布帛と熱圧着ラミネートする際に、繊維布帛面の凹凸によりフィルムの頭切れを起こし、防水性を損なうため、屋外用の日除けテント、中大型テント、テント倉庫用途に使用できなくなることがある。また、厚さが上記範囲よりも厚い場合、カレンダー加工が困難となるだけでなく、重くて柔軟性を欠き、取り扱い性が悪くなることがある。
【0023】
また、本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色外層を繊維布帛の少なくとも1面上に形成するには、塩化ビニル系樹脂エマルジョン、ポリオレフィン系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョンなどの上記前記熱可塑性樹脂のエマルジョン、及び水分散体に、水性液状顔料を配合して調製された熱可塑性樹脂組成物塗料、又は印刷インキなどを公知の塗布方法、例えば、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、ディップコート法などによってコーティングし、乾燥させる事によって形成する事ができる。この熱可塑性樹脂エマルジョン組成物塗料、印刷インキを用いて、調製外層を形成する方法としては、直接、繊維布帛の少なくとも1面上に熱可塑性樹脂エマルジョン組成物塗料、又は印刷インキをコーティングし乾燥する方法を用いてもよいし、または、離型紙、離型フィルムに熱可塑性樹脂エマルジョン組成物塗料、又は印刷インキをコーティングし、乾燥したものを繊維布帛の少なくとも1面上に転写ラミネートして積層してもよい。
【0024】
また、本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色外層を繊維布帛の少なくとも1面上に形成する他の方法として、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、又はポリエステル樹脂などの前記熱可塑性樹脂を有機溶剤に溶解させて調製した樹脂組成物溶液に、ドライカラー顔料、または、ペーストカラー顔料、フラッシュドカラー顔料を配合して、熱可塑性樹脂組成物塗料、又は印刷インキを調製し、これを公知の塗布方法、例えば、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、ディップコート法などにてコーティングし乾燥させる事によって形成する事が出来る。この熱可塑性樹脂組成物塗料、又は印刷インキを用いた、着色外層の形成方法としては、直接、繊維布帛に熱可塑性樹脂組成物塗料、又は印刷インキをコーティング塗布−乾燥してもよいし、または、これを離型紙、離型フィルム上に、熱可塑性樹脂組成物塗料、又は印刷インキをコーティング塗布−乾燥し、得られたフィルムを繊維布帛上に転写ラミネートしても良い。
【0025】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色外層を有する基材層に芯層として使用できる繊維布帛基布は、織布、編布、不織布のいずれであってもよい。織布としては、特に織組織に限定はないが、平織織物は得られるシートの縦緯物性バランスに優れているので、好ましく使用される。編布としてはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく、不織布としては長繊維を用いた不織布が好ましく、特にスパンボンド不織布などを使用することが好ましい。また、繊維布帛は合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混合繊維のいずれによって構成されても良いが、加工性、汎用性を考慮するとポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、または、これらの混合繊維などの合成繊維が用いられることが好ましく、これらの合成繊維は、長繊維糸条、短繊維紡績糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれであってもよい。そのうちでも引張強力、引裂強力、耐熱クリープ特性などに優れているポリエステル繊維、ポリアミド繊維、これらの混合繊維や、複合繊維などから形成されるマルチフィラメント平織布帛基布または、スパン平織布帛基布を用いることが好ましい。
【0026】
これらの繊維布帛と、着色外層を形成するフィルム又はシートとの積層は、繊維布帛の片面に積層してもよいし、両面に積層してもよく、屋外用途の耐久性を考慮すると、繊維布帛の両面に着色外層を形成するフィルム、又はシートの積層を行うのが好ましい。また、積層の方法として、フィルム、又はシートと繊維布帛との間に接着剤層を設けてもよいし、接着剤なしに積層融着してもよい。
【0027】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの製造において、繊維布帛と着色外層用フィルム、又はシートとの積層方法は、フィルム又はシートの成型工程に引続き、これを繊維布帛に熱ラミネート積層する方法、すなわちカレンダートッピング法、T−ダイラミネート法、あるいは、カレンダー法、T−ダイ法、インフレーション法などを用いる場合には、フィルム又はシートを成型した後に、これをラミネーターによる熱圧着により、繊維布帛に積層する。本発明による変退色防止性に優れた着色シートの製造には、カレンダー法によって成型加工された前記フィルム又はシートと、ポリエステル繊維平織布帛とを熱圧着により積層する方法が、効率的かつ経済的であって好ましい。このとき、繊維平織布帛の織組織は、目抜け平織であることが好ましく、この場合には、接着剤を必要とせず積層シートを製造する事ができ、また、縦方向、横方向の物性のバランスもすぐれている。また、本発明の変退色防止性に優れた着色シートの着色外層形成用フィルム又はシートの形成方法が、前記熱可塑性樹脂エマルジョン、または、水分散体、あるいは、軟質塩化ビニルペーストを使用した顔料配合コーティング組成物をコーティング塗布−乾燥する方法である場合には、繊維平織布帛の織組織は、高糸密度の非目抜け平織りであることが好ましく、より好ましくは、スパン繊維平織布帛などである。
【0028】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、着色外層が、塩化ビニル樹脂によって形成される場合において、塩化ビニル樹脂が、ペースト塩化ビニル樹脂組成物である場合には、コーティング塗布によって塩化ビニル樹脂ペースト層を形成した後に、これを120〜200℃の温度で加熱ゲル化し固化する工程が特に必要である。
【0029】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの厚さは、特に限定されるものではなく、その用途によって適宜選定される。例えば、光触媒を含有する表面層を着色フィルム又はシートの片面又は両面に設けた場合80〜1000μm、光触媒を含有する表面層と、着色外層とを、繊維布帛の片面に設けた場合には120〜1600μm、光触媒を含有する表面層と、着色外層とを繊維布帛の両面に設けた場合には160〜2000μm程度である。
【0030】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートにおいて、基材層中に基布層上に形成された着色外層の表面には、光触媒を含有し、かつ光触媒作用に対して安定な熱可塑性樹脂組成物を主成分とするコーティング剤によるコーティング層が表面層として形成されている。光触媒を含有する表面層は、その用途によっては、本発明の変退色防止性に優れた着色シートの両面に形成することができる。本発明の変退色防止性に優れた着色シートに使用される光触媒を含有するコーティング剤は、着色外層の表面に、例えばポリシロキサンを配合した熱可塑性樹脂、例えばアクリル−シリコーン樹脂からなる光触媒接着、保護層を介在させて、塗布され、それによって金属酸化物ゾルを含む光触媒粒子複合体を含む光触媒を含有する表面層が形成される。具体的には、光触媒を含有する表面層は、シリカゾルを1〜10重量%、モノアルキルトリメトキシシランまたはその加水分解生成物1〜10重量%、及び、酸化チタンゾル1〜10重量%を含有する配合液からなる光触媒を含有する表面層コーティング剤を、上記接着・保護層の表面又は、着色外層の表面に塗布、乾燥して形成される。この場合光触媒を含有する表面層が無機着色顔料(但し白色顔料のみからなるものを除く)のみからなる着色剤で着色させていてもよい。
【0031】
上記モノアルキルトリメトキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどが特に好ましく使用できる。
シリカゾルとモノアルキルトリメトキシシランまたはその加水分解生成物との混合比率は、重量比で100%/0%〜60%/40%、であることが好ましく、酸化チタンゾルと上記シラン化合物との比率は、酸化チタン/シラン化合物の重量比で5%/95%〜75%/25%であることが好ましい。シラン化合物の比率が95%以上では、光触媒作用が不十分になることがあり、またそれが25%以下では、接着、保護層との接着性が不十分になることがあるので好ましくない。光触媒としては、TiO2 ,ZnO,SrTiO3 ,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO3 ,K2 NbO3 ,Fe23 ,Ta25 ,WO3 ,SnO2 ,Bi23 ,NiO,Cu2 O,SiC,SiO2 ,MoS2 ,InPb,RuO2 ,CeO2 などを例示することができ、またこれらの光触媒にPt,Rh,RuO2 ,Nb,Cu,Sn,NiOなどの金属又は金属酸化物を添加した公知のものが本発明に全て使用できる。光触媒を含有する表面層中の光触媒の含有量は、それが多くなるほど光触媒作用が高くなるが、光触媒を含有する表面層と接着、保護層との接着性を十分にするためには、75重量%以下であることが好ましい。
【0032】
光触媒を含有する表面層コーティング剤の塗布、及び光触媒接着、保護層の塗布の方法としては、特別の限定はないが、これらの光触媒コーティング剤、及び光触媒接着、保護層用コーティング液を着色外層の表面に均一、かつ均質に塗布できる様な塗布、コーティング方式を用いることが好ましく、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法などが好適である。
【0033】
本発明の変退色防止性に優れた着色シートの、光触媒接着、保護層の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、光触媒作用に安定な、熱可塑性樹脂が用いられ、例えばアクリル−シリコーン系共重合樹脂、アクリル−フッソ系共重合樹脂、ウレタン−シリコーン−フッソ系共重合樹脂などの共重合系樹脂や、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド系、フッソ系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド系などが用いられる。このような樹脂は、光触媒に対して高い安定性を有し、かつ、着色外層との接着性を向上させることができる。また、本発明の変退色防止性に優れた着色シートの光触媒接着、保護層の形成に使用できる熱可塑性樹脂としては、アクリル−シリコーン系共重合樹脂が、好ましく使用できる。この光触媒接着、保護層の厚さは、1.0μm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0〜10μmである。
【0034】
【実施例】
本発明を下記実施例、比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されない。
【0035】
(I)試験
下記実施例及び比較例において、着色シートの変退色防止性能は下記試験方法により評価された。
【0036】
(A)屋外曝露試験
幅20cm×長さ2mの供試シートをその光触媒を含有する表面層形成面を表側にして、南向きに傾斜角30度及び垂直に設置された曝露台にそれぞれ1mずつ連続して展張して屋外曝露試験を行った。6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後に、シートの変退色状態を観察し、試料の表面の変退色度合いを、色差ΔE(JIS−Z−8729)により数値化して表示し、下記の判定基準により変退色の評価を行った。
ΔE=0〜2.9 : ◎=優秀:変色がなく初期の状態を維持している。
ΔE=3〜5.9 : ○=良好:多少変色があるが、実用上問題ない。
ΔE=6〜11.9: △=やや不良:変色が目立つ。
ΔE=12〜 : ×=不良:変色がはげしく、実用に適さない。
【0037】
(B)耐光促進試験
供試シートの光触媒を含有する表面層形成面を表側にして、サンシャインカーボンウエザーメーターによる耐光促進試験(JIS−L−0842)に1000時間、2000時間、3000時間供し、試験前の試料を基準とし、供試試料の表面の変退色度合いを、色差ΔE(JIS−Z−8729)により数値化して表示し、下記の判定基準により変色性を評価した。
ΔE=0〜2.9 : ◎=優秀:変色がなく初期の状態を維持している。
ΔE=3〜5.9 : ○=良好:多少変色があるが、実用上問題ない。
ΔE=6〜11.9: △=やや不良:変色が目立つ。
ΔE=12〜 : ×=不良:変色が著しく、実用に適さない。
【0038】
(II)配合資材
実施例及び、比較例に用いられた配合資材は、下記の通りで、特に説明のない資材については、汎用の資材を常法通りに使用した。
(1)塩化ビニル樹脂:商標:S−1003(鐘ヶ淵化学工業(株))
(2)DOP:商標:サンソサイザーDOP(新日本理化(株))
(3)アジピン酸ポリエステル:商標:アデカサイザーPN−446(旭電化工業(株))
(4)エポキシ化大豆油:商標:アデカサイザーO−130P(旭電化工業(株))
(5)炭酸カルシウム:商標:ライトンBS(備北粉化工業(株))
(6)Ba−Zn系安定剤:商標:KV−400B(共同薬品(株))
(7)紫外線吸収剤:商標:バイオソーブ510(共同薬品(株))
(8)無機系顔料(I):商標:酸化チタンCR:(石原産業(株))
(9)無機系顔料(II):商標:コバルトブルーNo.1101(Co−Al系)(旭産業(株))
(10)無機系顔料(III ):商標:イエローNo.5100(Pb−Sb−Ti系)(旭産業(株))
(11)有機系顔料(I):商標:HSM9142レッド(日弘ビツクス(株))、※)キナクリドンレッド25wt% concマスターバッチ
(12)有機系顔料(II):商標:HSM9371イエロー(日弘ビツクス(株))、※)イソインドリノンイエロー25wt% concマスターバッチ
(13)有機系顔料(III ):商標:HSM9611ブルー(日弘ビツクス(株))、※)フタロシアニンブルー25wt% concマスターバッチ
(14)有機系顔料(IV):商標:HCM1129レッド(大日精化工業(株))、※)キナクリドンレッド20wt% concカラードペレット
(15)有機系顔料(V):商標:HCM1434イエロー、※)モノアゾイエロー20wt% concカラードペレット
(16)有機系顔料(VI):商標:HCM1617ブルー、※)フタロシアニンブルー20wt% concカラードペレット
(17)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂:商標:エバテートK−2010(住友化学工業(株))
(18)エチレン−メタアクリル酸共重合樹脂:商標:アクリフトWH−202(住友化学工業(株))
(19)低密度ポリエチレン:商標:ジェイレクスLLBF1350(日本ポリオレフィン(株))
(20)滑剤:商標:LE−5(川研ファインケミカル(株))
【0039】
実施例1
(1)繊維布帛の熱可塑性樹脂による処理工程
タテ糸1000デニール、ヨコ糸1000デニールのポリエステルフィラメント平織物(糸密度:タテ22本/2.54cm、ヨコ25本/2.54cm:目付け重量215g/m2 )を基布として用い、この基布を、下記ペースト塩化ビニル樹脂配合組成物を溶剤で希釈したオルガノゾル中に浸漬し、前記ペースト塩化ビニル樹脂配合組成物を基布に含浸させた後、ローラーで絞り、145g/m2 のペースト塩化ビニル樹脂配合組成物を基布全面に均等に付着させ、次いで150℃の熱処理炉で1分間乾燥させた後、185℃の熱処理炉で1分間熱処理を行い、ペースト塩化ビニル樹脂配合組成物をゲル化させた。
〈ペースト塩化ビニル樹脂の配合組成〉
ペースト塩化ビニル樹脂 100重量部
DOP(可塑剤) 70重量部
エポキシ化大豆油(ESBO) 4重量部
炭酸カルシウム 10重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
溶剤(トルエン) 20重量部
表1に示された無機系顔料(I)(配合資材(8)、酸化チタンCR)5重量部と無機系顔料(II)(配合資材(9)、コバルトブルーNo.1101)15重量部との混合無機顔料を配合することによってブルーに着色されたストレート塩化ビニル樹脂配合組成物から厚さ0.16mmの塩化ビニル樹脂組成物フィルムを、170℃のゲル混練条件によるカレンダー成形法によって作製し、このフィルムを前述のペースト塩化ビニル樹脂組成物含浸基布の両面に、熱ラミネート法により、165℃に設定されたラミネーターを用いて貼着し、厚さ0.5mm、重量550g/m2 の白色着色基材シートを作製した。このブルー着色基材シートは、その両面上に顔料着色された塩化ビニル樹脂外層を有するものであった。
【0040】
(2)光触媒を含有する表面層の形成工程
(a)前記着色基材シートのブルーに顔料着色された塩化ビニル樹脂外層の一方の表面上に、下記配合組成からなる光触媒接着、保護層形成処理液を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて15g/m2 塗布し、100℃の熱処理炉により、1分間乾燥させて光触媒接着保護層を形成した。
Figure 0003840552
(b)この光触媒接着、保護層の表面上に、下記光触媒を含有する表面層形成処理液を、100メッシュのグラビアロールコーターを用いて12g/m2 塗布し、100℃の熱処理炉中で、1分間乾燥させて光触媒を含有する表面層を形成し、光触媒を含有する表面層を有する着色シートを作製した。
Figure 0003840552
【0041】
(3)試験
得られたシートを、前記、屋外曝露試験、および耐光促進試験に供して、変退色防止効果を評価した。試験結果を表1に示す。
得られたブルー着色シートは、屋外曝露18ヶ月後でも曝露開始時同様の色相と外観とを維持し、極めて変退色防止性の優れたものであった。
【0042】
実施例2
前記下地基材を用い、実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物中の無機系顔料(I)(配合資材(8)、酸化チタンCR)5重量部に、無機系顔料(II)(配合資材(9)、コバルトブルーNo.1101)3重量部と、無機系顔料(III )(配合資材(10)、イエローNo.5100)2重量部を追加したことを除き、その他は実施例1と同様の手順で黄緑色に着色した着色シートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表1に示す。得られたシートの変退色防止性は極めて良好であって、屋外曝露18ヶ月後も、曝露開始時と同様の外観、色相を維持していた。
【0043】
実施例3
(1)繊維布帛の熱可塑性樹脂による処理工程
タテ糸1000デニール、ヨコ糸1000デニールのポリエステルフィラメント平織物(糸密度:タテ22本/2.54cm、ヨコ25本/2.54cm:目付け重量215g/m2 )を基布として用い、この基布を下記エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂ベースのオレフィン系樹脂エマルジョン組成物中に浸漬し、このオレフィン系樹脂エマルジョン組成物を基布に含浸させた後、ローラーで絞り、基布に対して、95g/m2 のオレフィン系樹脂エマルジョン組成物を基布全面に均等に付着させ、次いで100℃の熱処理炉で1分間乾燥させた後、130℃の熱処理炉で1分間熱処理を行い、前記オレフィン系樹脂組成物を固着させた。
【0044】
〈オレフィン系樹脂エマルジョン配合組成〉
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン 100重量部
炭酸カルシウム 10重量部
※エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン=商標:アクアテックスEC−1700(樹脂固形分50重量%:中央理化工業(株))
【0045】
次に、表2に記した無機系顔料(I)(配合資材(8)、酸化チタンCR)5重量部及び無機系顔料(II)(配合資材(9)、コバルトブルーNo.1101)10重量部を含み、水色に着色されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物からなる厚さ0.16mmのフィルムを、カレンダー成形法により140℃の溶融混練条件で作製し、このフィルムに前述のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン組成物を含浸、固着させ、基布の両面に熱ラミネート法により、150℃に設定されたラミネーターを用いて貼着し、厚さ0.5mm、重量480g/m2 の、水色に着色されたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂よりなる熱可塑性樹脂組成物外層を有する基材層を作製した。
【0046】
(2)光触媒を含有する表面層の形成工程
(a)前述着色されたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂よりなる熱可塑性樹脂組成物外層を有する基材層の一方の表面に、下記配合組成の光触媒接着、保護層形成処理液を80メッシュのグラビアロールコーターで15g/m2 塗布し、100℃の熱処理炉にて、1分間乾燥させて光触媒接着、保護層を形成した。
Figure 0003840552
【0047】
(b)前記光触媒、保護層の表面上に、下記光触媒を含有する表面層形成処理液を100メッシュのグラビアロールコーターを用い12g/m2 の塗布量で塗布し、100℃の熱処理炉にて、1分間乾燥して光触媒を含有する表面層を形成し、(変退色防止性に優れた)着色シートを作製した。
Figure 0003840552
【0048】
得られた着色シートを前記屋外曝露試験、および耐光促進試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られたシートの変退色防止性は極めて良好であって、屋外曝露18ヶ月後も、曝露開始時と同様の外観、色相を維持していた。
【0049】
実施例4
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物において、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(配合資材(17))100重量部を、エチレン−メタアクリル酸共重合樹脂(配合資材(18))100重量部に置き換え、更に着色無機顔料として、無機系顔料(I)(配合資材(8)、酸化チタンCR)10重量部に、無機系顔料(III )(配合資材(10)、イエローNo.5100)5重量部を追加したものを用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順でクリーム色に着色したシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表2に示す。得られたシートの変退色防止性は極めて良好であって、屋外曝露18ヶ月後も、曝露開始時と同様の外観、色相を維持していた。
【0050】
実施例5
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物中のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(配合資材(17))100重量部のうちの50重量部を、エチレン−メタアクリル酸共重合樹脂(配合資材(18))50重量部に置き換え、更に、無機着色顔料として、無機系顔料(I)(配合資材(8)、酸化チタンCR)10重量部に無機系顔料(III )(配合資材(10)、イエローNo.5100)5重量部を追加したものを用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順でクリーム色に着色したシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表2に示す。得られたシートの変退色防止性は極めて良好であって、屋外曝露18ヶ月後も、曝露開始時と同様の外観、色相を維持していた。
【0051】
比較例1〜6
比較例1〜6の各々において、実施例1と同様に、タテ糸1000デニール、ヨコ糸1000デニールのポリエステルフィラメント平織物(糸密度:タテ22本/2.54cm、ヨコ25本/2.54cm:目付け重量215g/m2 )を基布として用い、この基布を実施例1のペースト塩化ビニル樹脂組成物を、溶剤で希釈したオルガノゾル中に浸漬し、前記ペースト塩化ビニル樹脂配合組成物を基布に含浸させた後、ローラーで絞り、基布に対して、145g/m2 のペースト塩化ビニル樹脂配合組成物を基布全面に均等に付着させ、150℃の熱処理炉で1分間乾燥させた後、185℃の熱処理炉で1分間熱処理を行い、前記ペースト塩化ビニル樹脂配合組成物をゲル化させた。得られた塩化ビニル樹脂組成物含浸ポリエステルフィラメント平織物を下地基材として用いた。
次に、後記方法により調製され表3に記載の組成物を有するストレート塩化ビニル樹脂組成物(比較例1〜6)からなる厚さ0.16mmの塩化ビニル樹脂組成物フィルムを、カレンダー成形法により170℃のゲル化混練条件下で作製し、このフィルムを前述の塩化ビニル樹脂組成物含浸平織物(下地基材)の両面に熱ラミネート法により165℃に設定のラミネーターを用いて貼着し、厚さ0.5mm、重量550g/m2 の着色塩化ビニル樹脂フィルムを外層とするシートを作製した。
【0052】
比較例1においては、
実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、無機系顔料(I)(配合資材(8)、酸化チタンCR)5重量部及び無機系顔料(II)(配合資材(9)、コバルトブルーNo.1101)15重量部の添加を省略し、その代りに有機系顔料(I)4重量部(配合資材(14)、HSM9142レッド(25wt%濃度)として16重量部)を用いたことを除き、他は実施例1と同様の手順で着色シートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表3に示す。得られた着色シートは、屋外曝露12ヶ月後から有機系顔料の変退色が顕著になり、18ヶ月後には赤色が色腿せてしまった。また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、21.3であった。この比較例1のシートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に不適当であることが確認された。
【0053】
比較例2においては、
実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、無機系顔料(I)及び(II)の代りに、有機系顔料(II)4重量部(配合資材(12)、HSM9371イエロー(25wt%濃度)として16重量部)を用いたことを除き、その他は実施例1と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表3に示す。得られた着色シートは、屋外曝露12ヶ月後から有機系顔料の変退色も目立ち始め、18ヶ月後には黄色が色腿せてしまった。また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、16.6であった。この比較例2のシートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に不適当な物であった。
【0054】
比較例3においては、
実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、無機系顔料(I)及び(II)の代りに、有機系顔料(II)2重量部(配合資材(12)、HSM9371イエロー(25wt%濃度)として8重量部)と、有機系顔料(III )2重量部(配合資材(13)、HSM9611ブルー(25wt%濃度)として8重量部)を使用したことを除き、その他は実施例1と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表3に示す。得られたシートは、屋外曝露12ヶ月後から有機系顔料の変退色も目立ち始め、18ヶ月後には黄緑色が色腿せてしまい、。また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、19.7であった。比較例3の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に不適当な物であった。
【0055】
比較例4においては、
実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として無機系顔料(I)5重量部に有機系顔料(I)3重量部(配合資材(11)、HSM9142レッド)(25wt%濃度)として12重量部)を混合したものを用いたことを除き、他は実施例1と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した(※無機系顔料:有機系顔料=63:37(重量比))。試験結果を表3に示す。得られたシートは、屋外曝露6ヶ月後までは、有機系顔料の変退色が目立たないものであったが、屋外曝露18ヶ月後にはピンク色が色腿せてしまい、。また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、12.4であった。比較例4の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0056】
比較例5においては、
実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として無機系顔料(II)(配合資材(9)、コバルトブルーNo.1101)5重量部と、有機系顔料(II)3重量部(配合資材(12)、HSM9371イエロー(25wt%濃度)として12重量部)と、有機系顔料(III )(配合資材(12)、HSM9611ブルー(25wt%濃度)として8重量部)との混合物を用いたことを除き、その他は実施例1と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した(※無機系顔料:有機系顔料=50:50(重量比))。試験結果を表3に示す。得られたシートは、屋外曝露6ヶ月後までは、有機系顔料の変退色が目立たないものであったが、屋外曝露18ヶ月後には黄緑色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、15.3であった。比較例5の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0057】
比較例6においては、
実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として、無機系顔料(III )(配合資材(10)、イエローNo.5100)3重量部と、有機系顔料(I)5重量部(配合資材(11)、HSM9142レッド(25wt%濃度として20重量部)と及び、有機系顔料(II)5重量部(配合資材(12)、HSM9371イエロー(25wt%濃度)として20重量部)との混合物を用いたことを除き、その他は実施例1と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した(※無機系顔料:有機系顔料=23:77(重量比))。試験結果を表3に示す。得られたシートは、屋外曝露6ヶ月後までは、有機系顔料の変退色が目立たないものであったが、屋外曝露18ヶ月後にはオリーブ色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、20.4であった。比較例6の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0058】
比較例7〜12
比較例7〜12の各々において、実施例1と同様に、タテ糸1000デニール、ヨコ糸1000デニールのポリエステルフィラメント平織物(糸密度:タテ22本/2.54cm、ヨコ25本/2.54cm:目付け重量215g/m2 )を基布として用い、この基布を実施例1のエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂ベースのオレフィン系樹脂エマルジョン組成物と同一のオレフィン系樹脂組成物加工液に浸漬し、オレフィン系樹脂エマルジョン組成物を基布に含浸させた後、ローラーで絞り、基布に対して、95g/m2 のオレフィン系樹脂エマルジョン組成物を基布全面に均等に付着させ、次いで100℃の熱処理炉で1分間乾燥させた後、130℃の熱処理炉で1分間熱処理を行い、オレフィン系樹脂配合組成物を固着させて下地基材を作製した。
次に、後記方法により調製され、表4に記載の組成物を有するエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物からなる厚さ0.16mmのフィルムを、カレンダー成形法により140℃の溶融混練条件下で作製し、このフィルムを前述の下地基材の両面上に、熱ラミネート法により、150℃に設定されたラミネーターを用いて貼着し、厚さ0.5mm、重量480g/m2 の、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂よりなる着色された熱可塑性樹脂組成物外層を有する基材層を作製した。
この基材層の片面上に、実施例1と同じ組成を有する光触媒接着、保護層形成処理液を、実施例1と同様の手順にて塗布乾燥して光触媒接着、保護層を形成し、この光触媒接着、保護層の表面に、実施例1と同じ光触媒を含有する表面層形成処理液を実施例1と同様の手順にて塗布して光触媒を含有する表面層を形成して、着色された熱可塑性樹脂組成物外層を有する着色シートを作製した。
【0059】
比較例7においては、
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として、有機系顔料(IV)4重量部(配合資材(14)、HCM1129レッド(20wt%濃度)として20重量部)を用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順で着色シートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表4に示す。得られたシートは、屋外曝露12ヶ月後から有機系顔料の変退色が目立ち始め、18ヶ月後には赤色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、25.1であった。比較例7の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0060】
比較例8においては、
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として、有機系顔料(IV)4重量部(配合資材(15)、HCM1434イエロー(20wt%濃度)として20重量部)を用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表4に示す。得られたシートは、屋外曝露12ヶ月後から有機系顔料の変退色も目立ち始め、18ヶ月後には黄色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、19.8であった。比較例8の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0061】
比較例9においては、
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として、有機系顔料(v)2重量部(配合資材(15)、HCM1434イエロー(20wt%濃度)として10重量部)と、有機系顔料(VI)2重量部(配合資材(16)、HCM1617ブルー(20wt%濃度)として10重量部)を用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した。試験結果を表4に示す。得られたシートは、屋外曝露12ヶ月後から有機系顔料の変退色が目立ち始め、18ヶ月後には黄緑色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、23.5であった。比較例9の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0062】
比較例10においては、
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物フィルムにおいて、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(配合資材(17))100重量部を、エチレン−メタアクリル酸共重合樹脂(配合資材(18))100重量部に置き換えて、更に、着色顔料として、無機系顔料(I)(配合資材(8)、酸化チタンCR)5重量部に、有機系顔料(IV)3重量部(配合資材(14)、HCM1129レッド(20wt%濃度)として15重量部)を混合したものを用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した(※無機系顔料:有機系顔料=63:37(重量比))。試験結果を表4に示す。得られたシートは、屋外曝露6ヶ月後までは、有機系顔料の変退色が目立たないものであったが、屋外曝露18ヶ月後にはピンク色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、11.9であった。比較例10の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0063】
比較例11においては、
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂100重量部のうち50重量部を、超低密度ポリエチレン樹脂50重量部に置き換え、更に、着色顔料として、無機系顔料(II)(配合資材(9)、コバルトブルーNo.1101)5重量部と、有機系顔料(V)3重量部(配合資材15)、HCM1434イエロー(20wt%濃度)として15重量部)と、有機系顔料(VI)(配合資材(16)、HCM1617ブルー(20wt%濃度)として10重量部)との混合物を用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した(※無機系顔料:有機系顔料=50:50(重量比))。試験結果を表4に示す。得られたシートは、屋外曝露6ヶ月後までは、有機系顔料の変退色が目立たないものであったが、屋外曝露18ヶ月後には黄緑色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、15.3であった。比較例4の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0064】
比較例12においては、
実施例3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として、無機系顔料(III )(配合資材(10)、イエローNo.5100)3重量部と、有機系顔料(IV)5重量部(配合資材14)、HCM1129レッド(20wt%濃度)として25重量部)と、有機系顔料(V)5重量部(配合資材(15)、HCM1434イエロー(20wt%濃度)として25重量部)との混合物を用いたことを除き、その他は実施例3と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した(※無機系顔料:有機系顔料=23:77(重量比))。試験結果を表4に示す。得られたシートは、屋外曝露6ヶ月後までは、有機系顔料の変退色が目立たないものであったが、屋外曝露18ヶ月後にはオリーブ色が色腿せてしまい、また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、24.4であった。比較例12の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。
【0065】
【表1】
Figure 0003840552
【0066】
【表2】
Figure 0003840552
【0067】
【表3】
Figure 0003840552
【0068】
【表4】
Figure 0003840552
【0069】
【発明の効果】
本発明に係る変退色防止性に優れた着色シートは、基材層として、繊維布帛からなる基布層と、着色熱可塑性樹脂組成物着色外層とを有するものを用い、前記熱可塑性樹脂の着色剤として、特に無機系顔料のみを選んで用いること、並びに光触媒を含有する表面層と着色外層との間に、光触媒接着・保護層を形成することによって、従来、光触媒の酸化還元作用により着色剤が分解、劣化され、その結果、製品の色相、外観を変化させてしまうという欠点を解決することができる。従って本発明は極めて有用性が高いものであり、本発明の変退色防止性に優れた着色シートは、産業資材用シートとして、とりわけ、色相のカラフルさと、豊富なカラーバリエーションを要求される用途、例えば日除けテント、中大型テントなどの用途に好適に用いる事ができる。

Claims (4)

  1. 繊維布帛からなる基布層及びその少なくとも1面上に顔料により着色されている熱可塑性樹脂組成物により形成された少なくとも1層の着色外層を有する基材層と、前記基材層の前記着色外層上に形成され、かつ光触媒を含有する表面層とを有し、
    前記着色外層に含まれる着色顔料が、スピネル型(XY24 )構造酸化物(但し、XY=Co−Al,Co−Al−Cr,Co−Mg−Sn,Co−Ni−Ti,Co−Zn−Ni−Ti,Co−Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Ti,Zn−Cr−Fe,Co−Zn−Cr−Fe,Co−Ni−Cr−Fe−Si,Co−Mn−Cr−Fe,Cu−Mn−Cr又はMn−Fe)及びルチル型〔Ti(XY)O2 〕構造酸化物(但し、XY=Pb−Sb,Ni−Sb,Ni−W,Fe−Mo又はCr−Sb)から選ばれた少なくとも1種を含む無機着色顔料(但し白色顔料のみからなるものを除く)のみからなり、かつ、前記着色外層と、前記光触媒を含有する表面層との間に、アクリル−シリコーン系共重合体樹脂、アクリル−フッソ系共重合体樹脂、ウレタン−シリコーン−フッソ系共重合体樹脂、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、及びフッソ系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドから選ばれた1種以上からなる熱可塑性樹脂を含む光触媒接着・保護層が形成されていることを特徴とする変退色防止性に優れた着色シート。
  2. 前記着色外層が、前記着色顔料含有熱可塑性樹脂組成物から成形されたフィルム又はシートにより形成されている請求項1に記載の変退色防止性に優れた着色シート。
  3. 前記着色外層が、前記着色顔料含有熱可塑性樹脂組成物を含むインキ又は塗料から形成されたものである、請求項1に記載の変退色防止性に優れた着色シート。
  4. 前記光触媒を含有する表面層が、無機着色顔料(但し白色顔料のみからなるものを除く)のみからなる着色剤により着色されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変退色防止性に優れた着色シート。
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