JP2015059128A - 紫外線吸収樹脂組成物及びそれを用いた透光性部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線吸収性及び耐候性に優れ、かつ、抗菌性にも優れた紫外線吸収樹脂組成物及びそれを用いた透光性部材を提供する。
【解決手段】本発明の紫外線吸収樹脂組成物は、アクリル樹脂と、蛍光染料と、紫外線吸収剤と、可視光応答型光触媒とを含有する。蛍光染料は、200nm〜400nmの波長領域の光を吸収し、400nm〜500nmの波長領域の光を放出する。また、紫外線吸収剤は、350nm〜370nmの波長領域に最大吸収波長λmaxを有する。そして、アクリル樹脂の固形分100質量部に対して、蛍光染料の含有量が5〜45質量部、紫外線吸収剤の含有量が5〜25質量部である。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線吸収樹脂組成物及びそれを用いた透光性部材に関する、詳細には、本発明は、紫外線の透過を低減すると共に耐候性に優れ、さらに長期に亘り抗菌性を発揮することが可能な紫外線吸収樹脂組成物及び透光性部材に関する。
従来より、光源から放出される紫外線をカットすることで、照明器具に虫が誘引されることを抑制する試みが行われている。例えば、透明バインダと無機系微粉末や有機系紫外線吸収剤とを混合して得られる塗料をフィルム等に塗布することによって、紫外線を遮断することが提案されている。このような場合、紫外線カットフィルムとしての性能に影響を与えることなく、虫の誘引を十分に抑制するためには、(1)黄味がない、(2)300〜405nmの波長領域における紫外線の大部分を吸収する、という条件が要求される。さらに、(3)耐久性・耐候性に優れる、(4)可視光域(特に波長555nm付近)の光の透過率が高いという条件も要求される。
上述のような紫外線を遮断する塗料として、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含む窓ガラス用塗料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。その他にも、特定の分子構造を有する紫外線吸収剤を含有した照明カバーや紫外線吸収フィルムなども提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
特開昭61−138664号公報 特開2010−092842号公報 特許第3956007号明細書
しかしながら、特許文献1ではベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含有させるだけであるため、長波長紫外線の吸収能が不足し、また耐久性や耐候性が十分に得られないという問題があった。さらに、紫外線吸収剤のブリードアウトにより紫外線の吸収能が低下してしまうという問題もあった。
また、特許文献3においては、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体と蛍光増白剤と紫外線吸収剤とを含む紫外線吸収フィルムが開示されている。しかし、この技術では、常態での低誘虫性は発揮できるものの、長期的な熱履歴の下では十分な低誘虫性を発揮できない恐れがあった。また、比較的短期間で耐候劣化により黄変したり、ブリードアウトが生じたり、蛍光増白剤自体が劣化したりして、紫外線吸収能が低下してしまう恐れがあった。
また、特許文献1乃至3の技術では、チャタテムシに代表されるような、バクテリアなどを捕食し繁殖する虫類に対して効果が不十分である。このような虫類を除去するためにはバクテリアの繁殖を抑制する必要がある。そして、バクテリアの繁殖を抑制するために、従来、銀系の抗菌剤を含有したフィルム材料などが提案されているが、銀の変色等の問題が発生し、照明器具や窓等への長期に亘る使用は困難である。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、紫外線吸収性及び耐候性に優れ、かつ、抗菌性にも優れた紫外線吸収樹脂組成物及びそれを用いた透光性部材を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る紫外線吸収樹脂組成物は、アクリル樹脂と、蛍光染料と、紫外線吸収剤と、可視光応答型光触媒とを含有する。蛍光染料は、200nm〜400nmの波長領域の光を吸収し、400nm〜500nmの波長領域の光を放出する。また、紫外線吸収剤は、350nm〜370nmの波長領域に最大吸収波長λmaxを有する。そして、アクリル樹脂の固形分100質量部に対して、蛍光染料の含有量が5〜45質量部、紫外線吸収剤の含有量が5〜25質量部である。
本発明の第2の態様に係る紫外線吸収樹脂組成物は、第1の態様に係る紫外線吸収樹脂組成物において、蛍光染料はチオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体である。さらに、可視光応答型光触媒は、価電子帯の上端電位が3V(vs SHE)以上であり、かつ、伝導帯の下端電位が0.16V(vs SHE)以下である金属酸化物からなる光触媒粒子と、亜酸化銅粒子とを有する。そして、アクリル樹脂の固形分100質量部に対して、蛍光染料の含有量が5〜45質量部、紫外線吸収剤の含有量が5〜25質量部、光触媒粒子が40〜200質量部、亜酸化銅粒子が1〜10質量部である。
本発明の第3の態様に係る紫外線吸収樹脂組成物は、第2の態様に係る紫外線吸収樹脂組成物において、光触媒粒子はアナターゼ型酸化チタンである。
本発明の第4の態様に係る透光性部材は、基材と、第1乃至第3のいずれかの態様に係る紫外線吸収樹脂組成物を含有する被膜とを有する。
本発明の第5の態様に係る照明器具又は窓は、第4の態様に係る透光性部材を備える。
本発明の紫外線吸収樹脂組成物は、200nm〜400nmの波長領域の光を吸収し、400nm〜500nmの波長領域の光を放出する蛍光染料と、350nm〜370nmの波長領域に最大吸収波長λmaxを有する紫外線吸収剤とをアクリル樹脂に添加する。そのため、当該樹脂組成物は、紫外線吸収性と耐候性とを向上させることができる。さらに、当該樹脂組成物は可視光応答型光触媒を含有しているため、長期的な大気暴露環境下でも優れた低誘虫性及び抗菌性・抗微生物性を発揮することができる。
以下、本発明の実施形態に係る紫外線吸収樹脂組成物及び透光性部材について詳細に説明する。
[紫外線吸収樹脂組成物]
本発明の実施形態に係る紫外線吸収樹脂組成物は、(A)アクリル樹脂と、(B)200nm〜400nmの波長領域の光を吸収し、400nm〜500nmの波長領域の光を放出する蛍光染料とを含有する。さらに、当該樹脂組成物は、(C)350nm〜370nmの波長領域に最大吸収波長λmaxを有する紫外線吸収剤と、(D)可視光応答型光触媒とを含有する。そして、(A)アクリル樹脂の固形分100質量部に対して、(B)蛍光染料の含有量が5〜45質量部であり、(C)紫外線吸収剤の含有量が5〜25質量部である。
成分(A)のアクリル樹脂は、本実施形態の樹脂組成物の主骨格となる成分、つまりマトリックス樹脂である。このようなアクリル樹脂としては、アクリル酸モノマーを重合した樹脂であれば特に限定されない。
アクリル酸モノマーとしては、(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、(メタ)アクリレート系モノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなども挙げられる。上記のモノマー成分は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、本実施形態に係る紫外線吸収樹脂組成物は、マトリックス樹脂として、透明性及び耐候性に優れるという観点からアクリル樹脂を使用することが好ましい。ただ、本発明の効果、つまり低誘虫性及び抗微生物性が得られるならば、アクリル樹脂だけでなく、例えば付加重合性樹脂を用いてもよい。具体的には、炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が付加重合した樹脂を用いてもよい。このようなモノマー成分としては、アクリル酸モノマーに加え、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー及びビニル系モノマーを挙げることができる。スチレン系モノマーとしては、例えばスチレンなどが挙げられる。また、オレフィン系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレンなどが挙げられる。ビニル系モノマーとしては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物は、(B)200nm〜400nmの波長領域の光を吸収し、400nm〜500nmの波長領域の光を放出する蛍光染料(蛍光増白剤)を含有する。このような蛍光染料は、近紫外線域を吸収する能力が高い材料で、吸収端近傍で高い吸収能を実現するための必要不可欠な成分である。
蛍光染料としては、例えばベンゾキサゾイル誘導体の蛍光増白剤を使用することが好ましい。また、蛍光染料は、ナフタレン系ベンゾキサゾイル誘導体、スチルベン系ベンゾキサゾイル誘導体、ベンゼン系ベンゾキサゾイル誘導体及びチオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一つの蛍光増白剤を使用することが好ましい。
ベンゾキサゾイル誘導体は蛍光増白剤に分類される材料であり、チオフェン系以外にも、ナフタレン系やスチルベン系、ベンゼン系等がある。この中でも樹脂や溶媒への溶解性の観点ではチオフェン系が最も優れている。一般的にはナフタレン系やスチルベン系の方がチオフェン系よりも材料の本質的な堅牢性が高いとされるが、樹脂や溶媒への溶解性が少々低いため、結果的に樹脂組成物を形成した際に樹脂と微視的に相分離を起こす場合がある。そして、相分離が生じる場合、トータルとして耐候性が若干低下する場合がある。
上述のような観点から、蛍光染料としては、特にチオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体が好ましい。チオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体は、近紫外線域の吸収能が特に高く、樹脂との相分離も生じ難いため、得られる樹脂組成物の耐候性をも高めることが可能となる。チオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体としては、例えば、2,5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェンなどを挙げることができる。
成分(B)の蛍光染料は、主剤の(A)アクリル樹脂の固形分100質量部に対して5〜45質量部の範囲で配合されていることが好ましい。蛍光染料の配合量が45質量部を超える場合には、黄色の着色が強くなり外観上不具合が生じる恐れがある。一方、蛍光染料の配合量が5質量部未満の場合には、410nm付近の吸収能が劣り、所望の紫外線吸収効果が得られない可能性がある。
本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物は、(C)350nm〜370nmの波長領域に最大吸収波長λmaxを有する紫外線吸収剤を含有する。成分(C)の紫外線吸収剤は成分(B)の蛍光染料を保護するための成分であり、最大吸収波長が350nm〜370nmの波長領域にあれば特に限定されない。つまり、成分(B)の蛍光染料の最大吸収波長が例えば375nmの場合には、蛍光染料は長波長側の紫外線吸収特性を有している。そのため、成分(C)の最大吸収波長が上記範囲であると、最大吸収波長ができる限り375nmに近く、且つ長波長側の紫外線を吸収することとなる。このことから、成分(B)が吸収し難い波長域の紫外線を成分(C)が吸収するため、成分(B)を保護することが可能となる。
ここで、成分(C)の紫外線吸収剤の最大吸収波長λmaxが350nm未満の場合には、成分(B)の蛍光染料を保護する効果が十分ではなく、成分(B)へのダメージが大きくなる傾向がある。一方、成分(C)の紫外線吸収剤の最大吸収波長λmaxが370nmを超える場合には、成分(B)を保護する効果は高くなるが、樹脂組成物が黄色に着色してしまう傾向がある。
成分(C)の紫外線吸収剤としては、最大吸収波長のピーク位置、吸収剤自身の堅牢性、相溶性の観点から、ベンゾトリアゾール系化合物及びヒドロキシフェニルトリアジン系化合物の少なくともいずれか一方が好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物としては、λmaxが353nmの3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル(例えば、BASF社製TINUVIN109)が挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系化合物としては、λmaxが353nmの2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(例えば、BASF社製TINUVIN329)が挙げられる。ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物としては、λmaxが356nmのBASF社製TINUVIN477が挙げられる。
成分(C)の紫外線吸収剤は、主剤の(A)アクリル樹脂の固形分100質量部に対して5〜25質量部の範囲で配合されていることが好ましい。紫外線吸収剤の配合量が25質量部を超える場合には、黄色に着色してしまい、さらに塗膜物性が低下する恐れがある。一方、紫外線吸収剤の配合量が5質量部未満の場合には、成分(B)を保護する効果が発現しない恐れがある。
本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物は、(D)可視光応答型光触媒を含有する。樹脂組成物に可視光応答型光触媒を含有することにより、樹脂組成物の表面におけるバクテリアなどの細菌の繁殖を抑制する。その結果、チャタテムシに代表されるような、バクテリアなどを捕食し繁殖する虫類の誘引を防ぐことが可能となる。
成分(D)の可視光応答型光触媒としては、可視光の照射下で光触媒作用を発現し、抗菌性を発揮する触媒を使用することができる。具体的には、可視光応答型光触媒は、価電子帯の上端電位が3V(vs SHE)以上であり、かつ、伝導帯の下端電位が0.16V(vs SHE)以下である金属酸化物からなる光触媒粒子と、亜酸化銅粒子とを有することが好ましい。
光触媒粒子としてこのような金属酸化物を用いることにより、このバンドギャップ以上のエネルギーを持った励起光の吸収により電子及び正孔を生成し、さらに生成した電子及び正孔の再結合を減少させ、光触媒粒子表面での還元・酸化反応を起こしやすくなる。その結果、高い抗菌性を発現しやすくなる。このような光触媒粒子としては、酸化チタン(TiO)、酸化タングステン(WO)、 チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)などが挙げられる。これらの光触媒粒子は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも、薬品等に対する安定性や入手の容易さなどの観点から、酸化チタンが最も好ましい。
光触媒粒子として好ましい酸化チタン粒子としては、アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンからなる粒子を用いることができる。また、アナターゼ型酸化チタン及びルチル型酸化チタンが混合した粒子を用いることもできる。ただ、酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタンの粒子を用いることが好ましい。アナターゼ型酸化チタンはルチル型酸化チタンに比べてバンドギャップが大きく、光触媒活性に優れているからである。
なお、アナターゼ型酸化チタンの粒子には無定形状の酸化チタンが混合されていてもよい。ただ、無定形状の酸化チタンは光触媒活性の乏しいものであるため、混合量はできる限り少量であることが好ましい。また、光触媒活性を向上させるために、酸化チタンの表面に鉄及び銅の酸化物を担持した粒子を用いてもよい。
光触媒粒子の平均一次粒子径は、2nm〜80nmであることが好ましい。光触媒粒子の平均一次粒子径がこの範囲外であっても、本実施形態の効果を発揮することができる。しかし、光触媒粒子の平均一次粒子径が2nm未満の場合には、個々の光触媒粒子の表面積が過少となり、光触媒活性を発揮し難くなる恐れがある。また、光触媒粒子の平均一次粒子径が80nmを超える場合には、光触媒粒子がアクリル樹脂中で凝集しやすくなる恐れがある。なお、光触媒粒子の平均一次粒子径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて複数個の光触媒粒子の直径を測定することにより求めることができる。
なお、光触媒粒子の平均一次粒子径は、5nm〜50nmであることが好ましく、5nm〜30nmであることがより好ましい。このような平均一次粒子径であることにより、光触媒粒子の表面積を高い状態に維持しつつ、アクリル樹脂中で高分散させることが可能となる。
成分(D)の可視光応答型光触媒として光触媒粒子を使用する場合、光触媒粒子は、主剤の(A)アクリル樹脂の固形分100質量部に対して40〜200質量部で配合されていることが好ましく、さらに100〜200質量部で配合されていることがより好ましい。光触媒粒子の配合量が20質量部未満の場合には、十分な励起効果が発現せず、抗微生物性が低下する恐れがある。また、光触媒粒子の配合量が80質量部を超える場合には、成膜性が不十分となり被膜の物性が低下する可能性がある。
上述のように、成分(D)の可視光応答型光触媒としては、上記光触媒粒子に加え、亜酸化銅粒子を使用することが好ましい。従来より抗菌活性を示す銅化合物は多々報告されているが、酸化銅(II)(CuO)と比較し、酸化銅(I)(亜酸化銅、CuO)は抗菌活性が高い。つまり、亜酸化銅は銅イオンを溶出しやすいため、溶出した銅イオンが微生物と接触することで酵素や蛋白質と結合し活性を低下させ、微生物の代謝機能を阻害しやすくなる。さらに、溶出した銅イオンの触媒作用によって空気中の酸素を活性酸素化し、微生物の有機物を分解しやすくなる。そのため、亜酸化銅粒子は、酸化銅(I)からなる粒子を用いることが好ましい。
亜酸化銅粒子は、結晶構造を有していてもよく、非晶質構造であってもよい。また、亜酸化銅粒子が結晶構造を有する場合、その結晶構造に係わらず、細菌の表面を構成する蛋白質に配位することで、当該蛋白質の構造を変化させ、細菌を不活性化させることができる。そのため、亜酸化銅粒子の結晶構造は特に制限されない。
亜酸化銅粒子の平均一次粒子径は、2nm〜80nmであることが好ましい。亜酸化銅粒子の平均一次粒子径がこの範囲外であっても、本実施形態の効果を発揮することができる。しかし、亜酸化銅粒子の平均一次粒子径が2nm未満の場合には、個々の亜酸化銅粒子の表面積が過少となり、銅イオンが溶出し難くなる恐れがある。また、亜酸化銅粒子の平均一次粒子径が80nmを超える場合には、後述する分散処理工程で十分な微粒子化が困難となる。その結果、亜酸化銅粒子が分散処理工程や分散処理後の貯蔵中に凝集し、沈殿しやすくなる恐れがある。なお、亜酸化銅粒子の平均一次粒子径は、光触媒粒子と同様に透過型電子顕微鏡を用いて求めることができる。
なお、亜酸化銅粒子の平均一次粒子径は、10nm〜70nmであることが好ましく、30nm〜60nmであることがより好ましい。このような平均一次粒子径であることにより、亜酸化銅粒子の表面積を高い状態に維持しつつ、有機溶媒中で高分散させることが可能となる。
ここで、可視光応答型光触媒として光触媒粒子と亜酸化銅粒子とを使用する場合、光触媒粒子と亜酸化銅粒子との間に、光触媒粒子において光励起した電子が亜酸化銅粒子に移動する経路が形成されていることが好ましい。酸化銅(I)は、空気中に長時間放置されると徐々に酸化されて酸化銅(II)となる性質を有する。そして上述のように、酸化銅(II)は酸化銅(I)と比べて蛋白質の変性作用が非常に弱いため、酸化銅(I)が酸化されると高い抗菌作用が失われる場合がある。しかし、光触媒粒子と亜酸化銅粒子との間に励起電子が移動する経路が存在する場合、酸化銅(I)が酸化されて酸化銅(II)となっても、励起光により励起した光触媒粒子からの電子が酸化銅(II)に注入される。その結果、酸化銅(II)が酸化銅(I)に還元される。このため、本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物からなる被膜は、空気中でも長期間に亘って高い抗菌性を発現することが可能となる。
このような光励起した電子が移動する経路は、光触媒粒子と亜酸化銅粒子とを直接接触させることにより形成してもよい。また、光触媒粒子と亜酸化銅粒子との間に電子移動を可能にする媒体を介在させることにより形成してもよい。
ここで、このような励起電子の移動経路を形成する方法は、特に制限されない。当該経路の形成方法としては、光触媒粒子と亜酸化銅粒子を乳鉢等で混練する方法や水などの溶媒中で光触媒粒子と亜酸化銅粒子を攪拌する方法が挙げられる。また、化学反応を利用して、光触媒粒子の表面に酸化銅(I)を析出させる方法も挙げられる。さらに、従来の方法で光触媒粒子と酸化銅(II)を複合化した後に、還元処理により酸化銅(II)を酸化銅(I)に還元する方法も挙げられる。また、紫外線吸収樹脂組成物からなる被膜の内部において、光触媒粒子と亜酸化銅粒子とが物理的に接触するように、被膜中における光触媒粒子と亜酸化銅粒子の質量濃度を十分に高くする方法などが挙げられる。
上述のように、光触媒粒子における伝導帯の下端電位は、0.16V(vs.SHE,pH=0)以下であることが必要である。0.16V(vs.SHE)は、銅一価イオンと銅二価イオンとの間の酸化還元電位に等しい。そのため、伝導帯の下端電位が0.16V以下の場合、光触媒の伝導帯に励起された電子は銅二価イオンを還元し得る程度の高い還元力を有するため、酸化銅(II)が容易に還元されて酸化銅(I)となる。
また、上述のように、光触媒粒子における価電子帯の上端電位は、3V(vs.SHE,pH=0)以上であることが必要である。光触媒粒子の価電子帯電位は、光触媒が励起された際の酸化力の強さに影響し、価電子帯電位が高いほど酸化力が強くなる。特に価電子帯の上端電位が3V(vs.SHE)以上であれば、細菌が効果的に酸化分解され、抗菌作用が増大する。ただ、価電子帯電位が高く、かつ、伝導帯下端電位が低い場合、バンドギャップが大きくなり、光触媒の励起に必要なエネルギーが増大する。この場合、より低波長の光でなければ光触媒が励起せず、利用可能な環境条件が制限される場合がある。そのため、光触媒粒子における価電子帯の上端電位は3.2V(vs.SHE,pH=0)以下であることが好ましい。光触媒粒子における価電子帯の上端電位が3.2V以下であれば、銅一価イオン−銅二価イオンの酸化還元電位との電位差は3.0V以下となり、可視光域の光による光触媒粒子の励起が可能となる。
成分(D)の可視光応答型光触媒として上記亜酸化銅粒子を使用する場合、亜酸化銅粒子は、主剤の(A)アクリル樹脂の固形分100質量部に対して1〜10質量部で配合されていることが好ましく、さらに1〜5質量部で配合されていることがより好ましい。亜酸化銅粒子の配合量が1質量部未満の場合には抗微生物性が低下する恐れがある。また、亜酸化銅粒子の配合量が10質量部を超える場合には、膜の透明性を損ね、外観に不具合を生じる恐れがある。
このように、本実施形態に係る紫外線吸収樹脂組成物は、(A)アクリル樹脂と、(B)200nm〜400nmの波長領域の光を吸収し、400nm〜500nmの波長領域の光を放出する蛍光染料とを含有する。さらに、当該樹脂組成物は、(C)350nm〜370nmの波長領域に最大吸収波長λmaxを有する紫外線吸収剤と、(D)可視光応答型光触媒とを含有する。さらに、可視光応答型光触媒としては、価電子帯の上端電位が3V(vs SHE)以上であり、かつ、伝導帯の下端電位が0.16V(vs SHE)以下である金属酸化物からなる光触媒粒子と、亜酸化銅粒子とを有することが好ましい。このような紫外線吸収樹脂組成物は、高い透明性、紫外線吸収性及び耐候性を有しているだけでなく、優れた低誘虫性及び抗微生物性を発揮することが可能となる。
[紫外線吸収樹脂組成物の製造方法]
次に、本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物の製造方法について説明する。本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物は、上述の(A)アクリル樹脂と、(B)蛍光染料と、(C)紫外線吸収剤と、(D)可視光応答型光触媒とを混合することにより、調製することができる。
ここで、可視光応答型光触媒としての光触媒粒子及び亜酸化銅粒子が紫外線吸収樹脂組成物中で高分散している場合には、紫外線吸収樹脂組成物からなる被膜の膜特性が良好なものとなる。また、これらの粒子の表面積が増加し、細菌との接触率が向上するため、抗菌性が向上する。そのため、光触媒粒子及び亜酸化銅粒子をアクリル樹脂中で高分散させることが可能な方法を用いることがより好ましい。つまり、次のように、まず光触媒粒子分散液及び亜酸化銅粒子分散液を調製した後、これらとアクリル樹脂、蛍光染料及び紫外線吸収剤を混合することが好ましい。
<光触媒粒子分散液の調製>
光触媒粒子分散液は、光触媒粒子と、分散剤と、有機溶媒とを含有する。そして、光触媒粒子分散液は、光触媒粒子、分散剤及び有機溶媒を混合し、光触媒粒子を有機溶媒中に高分散させることにより、調製することが可能である。そのため、光触媒粒子分散液の製造方法としては、光触媒粒子を高分散させることが可能な方法であれば、如何なるものも使用することができる。
分散剤としては、有機分散剤や無機分散剤を使用することができる。有機分散剤としては、重量平均分子量が2000〜500000の高分子分散剤や重量平均分子量が2000未満の低分子分散剤が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば芳香族炭化水素類(トルエン及びキシレン等)、アルコール類(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)が挙げられる。さらに、脂肪族炭化水素類(ヘキサン及びヘプタン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルアセトアミド(DMAc)等)、ニトリル系溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
ここで、光触媒粒子及び亜酸化銅粒子の表面は極性が高い。そのため、これらの粒子の凝集を抑制し、平均二次粒子径が200nm以下になるように分散させるには、極性の高い有機溶媒を使用することが好ましい。このような極性の高い有機溶媒としては、例えば、アルコール系、ケトン系、ニトリル系の有機溶媒を用いることが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール等の第一級アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール等の第二級アルコール;1,1,1−トリメチルメタノール等の第三級アルコールを用いることができる。また、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;アセトン等のジアルキルケトン;アセトニトリル、プロピオニトリル、ピバロニトリル等のニトリル系溶媒も用いることができる。
ここで、光触媒粒子の分散性を高める観点から、光触媒粒子の分散工程は前分散処理と本分散処理とに分けて行うことが好ましい。これにより光触媒粒子の表面が濡れ、表面の空気層が有機溶媒と置き換えられるため、その後の本分散処理で速やかに分散が進行する。この前分散処理が不十分だと、分散の進行が遅く、無駄な機械的衝撃が光触媒粒子に与えられる恐れがある。その結果、光触媒粒子の結晶構造そのものが破壊され、安定性が低下した分散液となる恐れがある。
前分散処理は、一般的なディゾルバーを用いて攪拌することにより行うことができる。ただ、光触媒粒子の表面を濡れやすくさせる観点から、高速攪拌機により攪拌することが好ましい。高速攪拌機としては、例えば、T.K.ホモミクサー、T.K.ロボミックス及びT.K.フィルミックス(商品名、プライミクス株式会社製)を使用することができる。また、クレアミックス(登録商標)(商品名、エム・テクニック株式会社製)及びウルトラディスパー(商品名、浅田鉄工株式会社製)なども使用することができる。
本分散処理を行う分散装置としては、例えば、ニーダー、二本ロール、三本ロール、SS5(商品名、エム・テクニック株式会社)、ミラクルKCK(登録商標)(商品名、浅田鉄工株式会社製)といった混練機を使用することができる。また、超音波分散機や、高圧ホモジナイザーであるマイクロフルイダイザー(商品名、みづほ工業株式会社製)、ナノヴェイタ(登録商標)(商品名、吉田機械興業株式会社製)なども挙げられる。さらに、スターバースト(登録商標)(商品名、株式会社スギノマシン)、G−スマッシャー(商品名、リックス株式会社)なども挙げられる。ガラスやジルコンなどのビーズメディアを使用したものでは、ボールミルやビーズミル、サンドミル、横型メディアミル分散機、コロイドミルなどが使用できる。ビーズミルにおいて使用するメディアとしては、直径1mm以下のビーズメディアが好ましく、直径0.5mm以下のビーズメディアがより好ましい。なお、前分散処理及び本分散処理の分散時間は、光触媒粒子が分散剤と共に有機溶媒中で高分散されるように、各分散装置やメディアによって適宜調整すればよい。
また、前分散処理を行った処理液を分散装置に供給する際にも、高速攪拌機等を用いて十分な攪拌を実施しながら供給することにより、より短時間で処理することが可能である。
なお、上述のように、光触媒粒子の分散性を向上させ、膜特性を良好なものとする観点から、光触媒粒子分散液中における光触媒粒子の平均二次粒子径は200nm以下とすることが好ましい。
<亜酸化銅粒子分散液の調製>
亜酸化銅粒子分散液は、上述の亜酸化銅粒子と、分散剤と、有機溶媒とを含有する。そして、亜酸化銅粒子分散液は、亜酸化銅粒子、分散剤及び有機溶媒を混合し、亜酸化銅粒子を有機溶媒中に高分散させることにより、調製することが可能である。そのため、亜酸化銅粒子を高分散させることが可能な方法であれば、如何なるものも使用することができる。ただ、亜酸化銅粒子の分散性を高める観点から、亜酸化銅粒子の分散工程は、光触媒粒子分散液と同様に、前分散処理と本分散処理に分けて行うことが好ましい。これにより亜酸化銅粒子の表面が濡れ、表面の空気層が有機溶媒と置き換えられるため、その後の本分散処理で速やかに分散が進行する。
また、上述の光触媒粒子分散液と同様に、亜酸化銅粒子の分散性を向上させ、膜特性を良好なものとする観点から、亜酸化銅粒子分散液中における亜酸化銅粒子の平均二次粒子径は200nm以下とすることが好ましい。
本実施形態に係る紫外線吸収樹脂組成物は、上述の(A)アクリル樹脂と、(B)蛍光染料と、(C)紫外線吸収剤と、(D)可視光応答型光触媒とを混合することにより、調製することができる。また、これらの成分を混合する際、必要に応じ、上記有機溶媒を用いてもよい。そして、これらの混合物から溶媒を除去することにより、紫外線吸収樹脂組成物を得ることができる。なお、当該混合物から溶媒を除去する際には、必要に応じ加熱してもよく、また減圧雰囲気にしてもよい。
[透光性部材]
本発明の実施形態に係る透光性部材は、基材と、当該基材上に設けられ、上記紫外線吸収樹脂組成物を含有する被膜とを有する。上述のように、本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物は、高い透明性、紫外線吸収性及び耐候性を有しているだけでなく、優れた低誘虫性及び抗菌性・抗微生物性を有している。そのため、当該紫外線吸収樹脂組成物からなる被膜を有した透光性部材も同様の機能を発揮することができる。
上記基材としては、透光性のある材料であれば特に限定されない。例えば、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチテンテレフタレートなどの樹脂材料や、ガラスなどの無機質材料などが挙げられる。
本実施形態に係る透光性部材は、例えば、紫外線吸収樹脂組成物を含有した溶液を基材に塗布し乾燥することにより得ることができる。この際の塗布方法及び乾燥条件は特に限定されない。上記樹脂組成物の溶液を基材に塗布する方法としては、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法を好適に用いることができる。ただし、塗布することだけに限定されるものではなく、樹脂組成物をシート状に成形したものを基材に積層したり、あるいは樹脂組成物を含有した溶液を不織布等に含浸してプレス等で成型する方法も可能である。
なお、本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物は、上述のように溶媒を除去するだけでも所望の効果を発揮することができる。しかし、紫外線吸収樹脂組成物の膜物性をより向上させるために、必要に応じて硬化処理を施してもよい。当該硬化処理としては特に限定されるものではないが、表面層に要求される硬化被膜性能や、基材の耐熱温度、生産性等に応じて常温(室温放置)での硬化や、焼付けによる硬化など、任意に選択することができる。
透光性部材において、基材上に設けられた、紫外線吸収樹脂組成物を含有する被膜の膜厚についても特に制限はないが、通常は2〜20μm程度であればよい。
本実施形態の紫外線吸収樹脂組成物の適用範囲としては特に限定されるものではないが、 照明器具や窓への用途が例示される。例えば、照明器具としては、上記透光性部材が前面カバーとして設けられているものであればよい。例えば、公共施設や商業施設、工場、マンションや戸建集宅における屋内やエントランス、軒下等に設置される照明器具を挙げることができる。また、器具形態としては、ベースライト、シーリングライト、ブラケット、スポットライト、ダウンライト、トンネル灯などを挙げることができる。
また、上記前面カバーとしては、ランプなどの光源の保護や飛散防止、汚染防止などのために、光源の前面でかつ光を取り出す方向に配置したカバーや、意匠性を目的として光源の周りに傘状、筒状、半球状に被せたカバーなどが例示される。前面カバーの基材を形成する材料についても透光性の材料であればよく、光源から発せられる熱や紫外線の程度、あるいは設置される環境等に応じて適宜選択されるものである。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた各成分は次のとおりである。なお、以下の実施例及び比較例で示す物質の不揮発分とは固形分を意味する。
・成分(A):DIC株式会社製アクリディックWAL−578、不揮発分50%
・成分(B):BASF社製TINOPAL OB、化合物名:2,5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン、不揮発分100%
・成分(C):Clariant GmbH製Hostalux KCB、化合物名:1,4−ビス−(2−ベンズオキサゾールイル)ナフタリン、不揮発分100%
・成分(C):BASF社製 TINUVIN 477、不揮発分80%
・成分(D):光触媒粒子分散液
まず、光触媒粒子として、テイカ株式会社製アナターゼ型酸化チタンAMT−100(平均一次粒子径:6nm)を準備した。さらに、分散剤として、ビックケミー・ジャパン株式会社製DISPERBYK(登録商標)−111を準備した。次に、光触媒粒子10質量部をメチルエチルケトン88質量部に加え、ビーズミルで分散しながら、分散剤2質量部を徐々に添加することで、メチルエチルケトンに分散した光触媒粒子分散液を得た。なお、光触媒粒子分散液の固形分は10質量%であった。また、動的光散乱法で測定した酸化チタンの平均二次粒子径は90nmであった。
・成分(D):亜酸化銅粒子分散液
まず、亜酸化銅粒子として、US Research Nanomaterials, Inc.製酸化銅(I)ナノパウダー(平均一次粒子径:18nm)を準備した。さらに分散剤として、ビックケミー・ジャパン株式会社製DISPERBYK−111を準備した。次に、亜酸化銅粒子5質量部をメチルエチルケトン94質量部に加え、ビーズミルで分散しながら、分散剤1質量部を徐々に添加することで、メチルエチルケトンに分散した亜酸化銅粒子分散液を得た。なお、亜酸化銅粒子分散液の固形分は5質量%であった。また、動的光散乱法で測定した亜酸化銅粒子の平均二次粒子径は、110nmであった。
[実施例1]
成分(A)としてアクリル樹脂20質量部を用いた。なお、このアクリル樹脂において、不揮発分は50%である。そして、アクリル樹脂に、成分(B)として、チオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体をキシレンに5質量%になるように溶解させたキシレン溶液を20質量部添加した。このように上記キシレン溶液を添加することで、チオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体の不揮発分が1質量部配合されるようになる。さらに、成分(C)として、λmaxが357nmであるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 477)を1質量部添加した。また、成分(D)として、光触媒粒子分散液を100質量部と亜酸化銅粒子分散液を10質量部とを添加した。そして、上記各成分(A)〜(D)を混合することにより、樹脂溶液を調製した。
この樹脂溶液を、乾燥膜厚が5μmになるように、厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製A4300)の表面に塗布し、溶媒を除去することにより、被膜を形成した。なお、このPETフィルムの両面には、易接着処理が施されている。
[実施例2〜9]
各成分(A)〜(D)の配合量を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にして、各例の被膜を形成した。
[比較例1]
実施例1の樹脂溶液において、成分(B)及び(D)を添加せず、さらに成分(C)としてHostalux KCBを使用した以外は実施例1と同様にして、被膜を形成した。
[比較例2〜9]
各成分(A)〜(D)の配合量を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にして、各例の被膜を形成した。
表1では、各例の成分(A)〜(D)で使用した材料及び添加量を示す。なお、表1の配合量の単位は質量部であり、さらに括弧内に示す値は不揮発分の配合量を示す。
Figure 2015059128
[評価]
上述のようにして作製された各実施例及び比較例に係る樹脂組成物について、各種試験を実施した。各種試験の試験方法と判定基準を以下に示す。そして、各実施例及び比較例の試験片に対する評価結果を表2に示す。
<410nmにおける透過率>
各例の試験片を、株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U−4100を用いて、波長410nmにおける透過率を測定した。
(判定基準)
○ 410nmの透過率が1%以下
△ 410nmの透過率が1%より大きく、5%以下
× 410nmの透過率が5%より大きい
<外観評価>
各例の試験片を目視で観察することにより、外観評価を行った。さらに、各例の試験片を、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計CM−700dを用いて、塗布前のPETフィルムとの色差ΔEを測定した。
(判定基準)
○ 外観で問題がなく、色差が塗布前後で3以下
△ 外観で問題はないが、色差が塗布前後で3より大きく5以下
× 著しい着色、樹脂中成分の析出等の課題ある、又は色差が塗布前後で5より大きい。
<塗膜硬度>
JIS K−5600−5−4(塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法))に準じて、塗膜表面の硬度(鉛筆硬度)を測定した。
(判定基準)
○ H以上
△ HB−F
× B以下
<耐候性試験後の410nm透過率>
まず、耐候性試験として、75℃の雰囲気中、400Wの水銀灯を点灯させた状態で各例の試験片を設置し、30日間照射を行った。その後、株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U−4100を用いて、波長410nmにおける透過率を測定した。
(判定基準)
○ 410nmの透過率が1%以下
△ 410nmの透過率が1%より大きく5%以下
× 410nmの透過率が5%より大きい
<耐候性試験後の色差>
上述の耐候性試験後の試験片について、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計CM−700dを用いて、耐候性試験前の試験片との色差ΔEを測定した。
(判定基準)
○ 色差が耐候性試験前後で1以下
△ 色差が耐候性試験前後で1より大きく3以下
× 色差が耐候性試験前後で3より大きい
<抗菌試験>
被膜に対し、JIS R1752(ファインセラミックス−可視光応答形光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果)に準拠した試験を実施した。なお、試験対象は大腸菌とした。また、試験におけるシャープカットフィルタは、JIS R1750で規定するTypeBのシャープカットフィルタ(380nm未満の紫外線をカット)を用いた。そして、1時間毎に生菌数を測定し、抗菌活性の1時間当りの変化率を算出し、「抗菌活性/時間」とした。
Figure 2015059128
表2に示すように、本発明の実施形態に包含される実施例1乃至9は、紫外線吸収性、耐候性のみならず、抗菌性にも優れることが分かる。これに対し、比較例は、紫外線吸収性、耐候性及び抗菌性の少なくとも一つが劣ることが分かる。
以上、本発明を実施例及び比較例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

Claims (5)

  1. アクリル樹脂と、
    200nm〜400nmの波長領域の光を吸収し、400nm〜500nmの波長領域の光を放出する蛍光染料と、
    350nm〜370nmの波長領域に最大吸収波長λmaxを有する紫外線吸収剤と、
    可視光応答型光触媒と、
    を含有し、
    前記アクリル樹脂の固形分100質量部に対して、前記蛍光染料の含有量が5〜45質量部、前記紫外線吸収剤の含有量が5〜25質量部である紫外線吸収樹脂組成物。
  2. 前記蛍光染料は、チオフェン系ベンゾキサゾイル誘導体であり、
    前記可視光応答型光触媒は、価電子帯の上端電位が3V(vs SHE)以上であり、かつ、伝導帯の下端電位が0.16V(vs SHE)以下である金属酸化物からなる光触媒粒子と、亜酸化銅粒子と、を有し、
    前記アクリル樹脂の固形分100質量部に対して、前記蛍光染料の含有量が5〜45質量部、前記紫外線吸収剤の含有量が5〜25質量部、前記光触媒粒子が40〜200質量部、前記亜酸化銅粒子が1〜10質量部である請求項1に記載の紫外線吸収樹脂組成物。
  3. 前記光触媒粒子は、アナターゼ型酸化チタンである請求項2に記載の紫外線吸収樹脂組成物。
  4. 基材と、
    前記基材上に設けられ、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線吸収樹脂組成物を含有する被膜と、
    を有する透光性部材。
  5. 請求項4に記載の透光性部材を備えることを特徴とする照明器具又は窓。
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