JP6866620B2 - 熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス - Google Patents
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Description
その課題は、前記一般式MxWyOzで記載された複合タングステン酸化物微粒子、当該複合タングステン酸化物微粒子を含有した熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラス、当該複合タングステン酸化物微粒子を含有した分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材を、窓材等の構造体に適用した場合、当該窓材等を通過する光において、波長700〜1200nmの近赤外光の透過率も大きく低下してしまうことである。
当該波長領域の近赤外光は人間の眼に対してほぼ不可視であり、また安価な近赤外LED等の光源により発振が可能であることから、近赤外光を用いた通信、撮像機器、センサー等に広く利用されている。ところが、前記一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子を用いた窓材等の構造体、熱線遮蔽体や熱線遮蔽基材、分散体や合わせ透明基材等の構造体は、当該波長領域の近赤外光も、熱線と伴に強く吸収してしまう。
この結果、前記一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子を用いた窓材等の構造体、熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラス、分散体や合わせ透明基材を介しての、近赤外光を用いた通信、撮像機器、センサー等の使用が制限される事態になる場合も生じていた。
例えば、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラス、熱線遮蔽分散体および熱線遮蔽合わせ透明基材を介した場合であっても、近赤外光を用いる通信機器、撮像機器、センサー等の使用を可能とするには、波長800〜900nmの領域における近赤外光の透過率を向上させれば良いと考えられた。そして、当該波長領域における近赤外光の透過率を単に向上させるだけであれば、複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度、熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスにおける複合タングステン酸化物微粒子の濃度、熱線遮蔽分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材における複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度を適宜減少させればよい、とも考えられた。
しかし、複合タングステン酸化物微粒子の濃度、熱線遮蔽分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材における複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度を減少させた場合、波長1200〜1800nmの領域をボトムとする熱線吸収能力も同時に低下し、熱線遮蔽効果を低下させることになり、肌へのジリジリ感も感じることになってしまう。
そこで、当該観点から、熱処理の際の還元状態を制御して製造した複合タングステン酸化物微粒子についてさらに検討した。
これは、波長800〜900nmの近赤外光の透過率を向上させた複合タングステン酸化物微粒子において、可視光での透過率も大きくなる。従って、単位面積当たりの複合タングステン酸化物微粒子の濃度をより高く設定することが可能となる。このより高い濃度設定の結果、波長1500〜2100nmの熱線の透過を抑制できるためである。
熱線遮蔽機能を有する複合タングステン酸化物微粒子であって、前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である熱線遮蔽微粒子を含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第3の発明は、
透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材の少なくとも一方の面にコーティング層を有し、前記コーティング層が、前記熱線遮蔽微粒子を含むバインダー樹脂層であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第4の発明は、
前記バインダー樹脂が、UV硬化性樹脂バインダーであることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第5の発明は、
前記コーティング層の厚さが10μm以下であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第6の発明は、
前記透明フィルム基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする熱線遮蔽フィルムである。
第7の発明は、
前記コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の単位投影面積あたりの含有量が、0.1g/m2以上5.0g/m2以下である熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスで
ある。
第8の発明は、
熱線遮蔽フィルムであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が3.6%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が5.4%以上9%以下であるか、
または、熱線遮蔽ガラスであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が2.7%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が4.5%以上9%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第9の発明は、
タングステン酸と、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素の水酸化物粉末とを、所定の割合で混合して混合粉末を得る混合工程と、
当該混合粉末を、不活性ガスをキャリアーとした0.1〜0.5%のH2ガス供給下で加熱して還元処理を行い、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物粉末を得る焼成工程と、
当該複合タングステン酸化物粉末を透明樹脂中へ均一に混合して、熱線遮蔽微粒子分散体を得る工程と、
当該熱線遮蔽微粒子分散体を、透明フィルム基材または透明ガラス基材上にコーティングする工程とを有することを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの製造方法である。
但し、前記複合タングステン酸化物粉末は、六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であり、粉体色が、L * a * b * 表色系において、L * が30〜55、a * が−6.0〜−0.5、b * が−10〜−0である複合タングステン酸化物微粒子を含み、
前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である。
第10の発明は、
さらに、紫外線吸収剤、HALS、酸化防止剤から選択される1種類以上を含有することを特徴とする熱線遮蔽ガラスまたは熱線遮蔽フィルムである。
(複合タングステン酸化物微粒子)
本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%のときに、波長800〜900nmにおける透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が22%以下である複合タングステン酸化物微粒子である。
そして、一般式MxWOyで表記したとき、元素MはCs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素である。そして、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0を満たす複合タングステン酸化物微粒子である。
さらに、六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子であって、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であることを特徴とする熱線遮蔽微粒子である。
本発明者らは、以下に説明する〈熱処理条件1〜4〉の4水準の熱処理条件を用いた以外は、後述する実施例3と同様にして複合タングステン酸化物微粒子を製造した。
N2ガスをキャリアーとした0.3%H2ガス供給下で500℃の温度で30分の加熱還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
後述する実施例1に係る熱処理と同様である。
N2ガスをキャリアーとした0.3%H2ガス供給下で500℃の温度で4時間の加熱還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
後述する実施例3に係る熱処理と同様である。
N2ガスをキャリアーとした0.3%H2ガス供給下で500℃の温度で6時間の加熱還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
後述する比較例1に係る熱処理と同様である。
N2ガスをキャリアーとした5%H2ガス供給下で550℃の温度で1時間の加熱還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
本発明者らは、複合タングステン酸化物微粒子を製造する際の熱処理において、温度条件、雰囲気条件を制御することにより、還元処理を弱い方へ制御して、複合タングステン酸化物粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%のときに、波長800〜900nmにおける透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が22%以下である複合タングステン酸化物粒子を得ることができた。
当該複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であった。
また、当該複合タングステン酸化物微粒子は、可視光領域における透過率が増大するので、熱線遮蔽膜中の複合タングステン酸化物微粒子濃度を、若干高くすることが可能である。
(1)本発明に係る複合タングステン酸化物粒子は、可視光透過バンドの領域が近赤外光の領域である波長800〜900nmの領域にまで広がっており、当該波長領域においても高い透過率を持つものである。
(2)本発明に係る複合タングステン酸化物粒子は、波長1200〜1500nmの領域において透過率の値がほぼ一定である。
(3)本発明に係る複合タングステン酸化物粒子は、波長2100nmにおいても熱線遮蔽性能を有する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
本発明にかかるタングステン化合物出発原料は、タングステン、元素Mそれぞれの単体もしくは化合物を含有する混合物である。タングステン原料としてはタングステン酸粉末、三酸化タングステン粉末、二酸化タングステン粉末、酸化タングステンの水和物粉末、六塩化タングステン粉末、タングステン酸アンモニウム粉末、または、六塩化タングステン粉末をアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末、から選ばれたいずれか1種類以上であることが好ましい。元素Mの原料としては、元素M単体、元素Mの塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酸化物、炭酸塩、タングステン酸塩、水酸化物等が挙げられるが、これらには限定されない。
各原料が水や有機溶剤等の溶媒に可溶であれば、各原料と溶媒を十分に混合したのち溶媒を揮発させることで、本発明にかかるタングステン化合物出発原料を製造することができる。もっとも各原料に可溶な溶媒がなくとも、各原料をボールミル等の公知の手段で十分に均一に混合することで、本発明にかかるタングステン化合物出発原料を製造することができる。
必要に応じて、還元性ガス雰囲気中にて還元処理を行った後、不活性ガス雰囲気中にて熱処理を行ってもよい。この場合の不活性ガス雰囲気中での熱処理は400℃以上1200℃以下の温度で行うことが好ましい。
この結果、六方晶系の結晶構造を得ることが出来る。当該複合タングステン酸化物微粒子のc軸の格子定数は7.56Å以上8.82Å以下であることが好ましく、7.56Å以上7.61Å以下であることがより好ましい。また、当該複合タングステン酸化物微粒子の粉体色は、L*a*b*表色系において、L*が30〜55、a*が−6.0〜−0.5、b*が−10〜−0である。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子を液状の媒体中に分散させることで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を製造することができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液は、その他従来の近赤外線を強く吸収する材料、例えば特許文献4で示された複合タングステン酸化物が用いられていたさまざまな分野において、従来の複合タングステン酸化物微粒子の分散液と同様に用いることができる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子および所望により適量の分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を、液状の媒体へ添加し分散処理を行うことで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を得ることができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液の媒体には、熱線遮蔽微粒子の分散性を保つための機能と、熱線遮蔽微粒子分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能が要求される。また、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、着色剤(顔料や染料など)、帯電防止剤などの添加剤を含有させることができる。
以下、(1)媒体、(2)分散剤、カップリング剤、(3)紫外線吸収剤、(4)光安定化剤、(5)酸化防止剤、(6)分散処理方法、の順に説明する。
媒体としては水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、液状のプラスチック用可塑剤あるいはこれらの混合物を選択し熱線遮蔽分散液を製造することができる。上記の要求を満たす有機溶媒としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3−メチル−メトキシ−プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
尤も、これらの中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特に、イソプロピルアルコール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液が、さらに紫外線吸収剤を含有することで、紫外領域の光をさらにカットすることが可能となり、温度上昇の抑止効果を高めることができる。また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液が紫外線吸収剤を含有することで、当該熱線遮蔽微粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽フィルムを貼付した窓を有する自動車車内や建造物内部の人間や内装などに対する紫外線の影響、日焼けや家具、内装の劣化などを抑制できる。
また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液は、さらにヒンダードアミン系光安定化剤(本発明において、単に「HALS」と記載する場合がある。)を含有することもできる。
上述したように、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽フィルム等において、紫外線吸収剤を含有することで紫外線吸収能力を高めることができる。
しかし本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液や熱線遮蔽フィルム等が実用される環境や、紫外線吸収剤の種類によっては、長時間の使用に伴って紫外線吸収剤が劣化し、紫外線吸収能力が低下してしまう場合がある。これに対して、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液がHALSを含有することで、紫外線吸収剤の劣化を防止し、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液や熱線遮蔽フィルム等の紫外線吸収能力の維持に寄与することができる。
さらにHALSにおいては、それ自体が紫外線の吸収能力をもつ化合物である場合がある。この場合、当該化合物の添加によって、前述した紫外線吸収剤の添加による効果と、HALSの添加による効果とを、兼ね備えることができる。
また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液はさらに酸化防止剤(抗酸化剤)を含有することもできる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液が酸化防止剤を含有することで、熱線遮蔽微粒子分散液に含有される他の添加剤、例えば複合タングステン酸化物、酸化タングステン、分散剤、カップリング剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、HALS等の酸化劣化が抑制され、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルム等の耐候性をさらに向上させることができる。
例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等を好適に用いることができる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液の分散処理の方法は当該熱線遮蔽微粒子が均一に液状媒体中へ分散する方法であれば公知の方法から任意に選択でき、たとえばビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用いることができる。
均一な熱線遮蔽微粒子分散液を得るために、各種添加剤や分散剤を添加したり、pH調整したりしても良い。
尚、当該測定において、熱線遮蔽微粒子分散液に含まれる熱線遮蔽微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率を85%に調整することは、その分散溶媒または分散溶媒と相溶性を有する適宜な溶媒で希釈することにより、容易になされる。
本発明にかかる熱線遮蔽微粒子または熱線遮蔽微粒子分散液を、固体状の媒体へ分散することで、分散粉やマスターバッチ、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽プラスチック成形体などを製造することができる。
上述した熱線遮蔽微粒子分散液を用いて、基板フィルム上または基板ガラスから選択される透明基板上へ、熱線遮蔽微粒子を含有するコーティング層を形成することで、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスを製造することが出来る。
例えば、熱線遮蔽フィルムは以下のように作製することができる。
上述した熱線遮蔽微粒子分散液に媒体樹脂を添加し、塗布液を得る。この塗布液をフィルム基材表面にコーティングした後、溶媒を蒸発させ所定の方法で樹脂を硬化させれば、当該熱線遮蔽微粒子が媒体中に分散したコーティング膜の形成が可能となる。
これらの樹脂は、単独使用であっても混合使用であっても良い。尤も、当該コーティング層用の媒体のなかでも、生産性や装置コストなどの観点からUV硬化性樹脂バインダーを用いることが特に好ましい。
また、フィルム基板の表面は、コーティング層接着の容易さを実現するため、表面処理がなされていることが好ましい。また、ガラス基板もしくはフィルム基板とコーティング層との接着性を向上させるために、ガラス基板上もしくはフィルム基板上に中間層を形成し、中間層上にコーティング層を形成することも好ましい構成である。中間層の構成は特に限定されるものではなく、例えばポリマフィルム、金属層、無機層(例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物層)、有機/無機複合層等により構成することができる。
例えばUV硬化樹脂を用いたバーコート法によれば、適度なレベリング性を持つよう液濃度及び添加剤を適宜調整した塗布液を、コーティング膜の厚み及び前記熱線遮蔽微粒子の含有量を合目的的に満たすことのできるバー番号のワイヤーバーを用いて基板フィルムまたは基板ガラス上に塗膜を形成することができる。そして塗布液中に含まれる有機溶媒を乾燥により除去したのち紫外線を照射し硬化させることで、基板フィルムまたは基板ガラス上にコーティング層を形成することができる。このとき、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類や使用割合によっても異なるが、通常では60℃〜140℃の温度で20秒〜10分間程度である。紫外線の照射には特に制限はなく、例えば超高圧水銀灯などのUV露光機を好適に用いることができる。
その他、コーティング層の形成の前後工程により、基板とコーティング層の密着性、コーティング時の塗膜の平滑性、有機溶媒の乾燥性などを操作することもできる。前記前後工程としては、例えば基板の表面処理工程、プリベーク(基板の前加熱)工程、ポストベーク(基板の後加熱)工程などが上げられ、適宜選択することができる。プリベーク工程および/あるいはポストベーク工程における加熱温度は80℃〜200℃、加熱時間は30秒〜240秒であることが好ましい。
1.本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、可視光透過バンドの領域が近赤外光の領域である波長800〜900nmの領域に広がっており、当該領域において高い透過率を持つものである。
2.本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、波長1200〜1500nmの領域に存在する透過率の平均値の値を殆ど変えていない。
3.本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、波長2100nmの熱線遮蔽性能を有する。
但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、実施例1〜3および比較例1において、熱線遮蔽微粒子分散液の波長300〜2100nmの光に対する透過率は、分光光度計用セル(ジーエルサイエンス株式会社製、型番:S10−SQ−1、材質:合成石英、光路長:1mm)に分散液を保持して、日立製作所(株)製の分光光度計U−4100を用いて測定した。
当該測定の際、分散液の溶媒(メチルイソブチルケトン)を、上述のセルに満たした状態で透過率を測定し、透過率測定のベースラインを求めた。この結果、以下に説明する分光透過率、および可視光透過率は、分光光度計用セル表面の光反射や、溶媒の光吸収による寄与が除外され、熱線遮蔽微粒子による光吸収のみが算出されることとなる。
まず、メチルイソブチルケトンで満たした上記分光光度計用セルの透過率T1(λ)を測定する。次に、熱線吸収微粒子を含む分散液で満たした上記分光光度計用セルの透過率T2(λ)を測定する。そして、式2に示すようにT2(λ)をT1(λ)で除算する。
T3(λ)=100×T2(λ)/T1(λ)・・・・・・・式2
ここでT3(λ)は、基材の吸収および反射の影響を除いた、熱線吸収微粒子としての透過率曲線である。尚、λは波長を意味する。
T4(λ)=100×(T3(λ)/100)^a・・・・・・式3
尚、「^」は累乗を意味する数学記号であり、A^Bは「AのB乗」を意味する。また、「a」は実数値をとる変数である。aの具体的な値は、T4(λ)をもとにJIS R 3106で算出される可視光透過率が85%となるように決定される。
熱線遮蔽微粒子の平均粒子径は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。
タングステン酸(H2WO4)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.30/1.00相当となる割合で秤量したのちメノウ乳鉢で十分混合して混合粉末とした。当該混合粉末を、N2ガスをキャリアーとした0.3%H2ガス供給下で加熱し500℃の温度で4時間の還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃、1時間焼成して、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4131Å、c軸の格子定数が7.5885Åで、粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が41.86、a*が−2.90、b*が−6.76であるセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末A」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
粉末A20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)(以下、「分散剤a」と略称する。)10質量%、メチルイソブチルケトン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液A」と略称する。)を得た。ここで、分散液A内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ25nmであった。
塗布膜を設けたPETフィルムを、80℃で60秒間乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させることで、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が設けられた熱線遮蔽フィルムを作製した。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は27.9%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は4.2%、波長2100nmの透過率は5.4%、ヘイズは0.9%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
タングステン酸(H2WO4)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.20/1.00相当となる割合で秤量したのちメノウ乳鉢で十分混合して混合粉末とした。当該混合粉末を、N2ガスをキャリアーとした0.8%H2ガス供給下で加熱し550℃の温度で20分の還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃、1時間焼成して、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4143Å、c軸の格子定数が7.5766Åで、粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が47.55、a*が−5.16、b*が−6.07であるセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末B」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
粉末B20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)(以下、分散剤bと記載する。)10質量%、メチルイソブチルケトン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液B」と略称する。)を得た。ここで、分散液B内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ23nmであった。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は37.7%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は7.2%、波長2100nmの透過率は7.0%、ヘイズは1.0%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
タングステン酸(H2WO4)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.33/1.00相当となる割合で秤量したのちメノウ乳鉢で十分混合して混合粉末とした。当該混合粉末を、N2ガスをキャリアーとした0.3%H2ガス供給下で加熱し500℃の温度で6時間の還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃、1時間焼成して、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4097Å、c軸の格子定数が7.6033Åで、粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が39.58、a*が−1.63、b*が−7.33であるセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末C」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
粉末C20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)(以下、分散剤cと記載する。)10質量%、メチルイソブチルケトン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液C」と略称する。)を得た。ここで、分散液B内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ25nmであった。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は17.6%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.6%、波長2100nmの透過率は8.7%、ヘイズは1.0%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
粉末C100質量部に、ベンゾトリアゾール化合物を含むベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF製、TINUVIN384−2)を1質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物を含むアミノエーテル系HALS(BASF製、TINUVIN123)を1質量部、酸化防止剤として、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを含むヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF製、商品名IRGANOX1135)を1質量部となるように秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液D」と略称する。)を得た。ここで、分散液D内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ25nmであった。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は17.6%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.6%、波長2100nmの透過率は8.7%、ヘイズは1.0%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
N2ガスをキャリアーとした5%H2ガス供給下で加熱し550℃の温度で1時間の還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃、1時間焼成した以外は実施例3と同様にして、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4080Å、c軸の格子定数が7.6111Åで、粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が36.11、a*が0.52、b*が−5.54である比較例1に係るセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末E」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
この粉末を分散剤と溶媒と共にペイントシェーカーを用いて分散液を作製したところ、その平均分散粒子径は23nmであった。
そして、可視光透過率が85%になるように希釈率を調整して測定した時の分光透過率を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は26.0%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は13.3%、波長2100nmの透過率は24.4%となった。
以上より、実施例1〜3に比べて波長800〜900nmにおける透過率の平均値が低く、波長2100nmの透過率の透過率が高いことが確認された。粉末Eの粉体色の測定結果を表1に、透過率の測定結果を表2に記載した。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は12.1%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は4.5%、波長2100nmの透過率は10.6%、ヘイズは0.9%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
塗布液Aを10cm×10cm×2mmの無機クリアガラス上にバーコーターで塗布し塗布膜を形成した。塗布膜を80℃で60秒間乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させることで、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が形成された熱線遮蔽ガラスを作製した。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は24.3%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.2%、波長2100nmの透過率は4.5%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
塗布液Bを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は33.4%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は5.7%、波長2100nmの透過率は6.0%、ヘイズは0.4%と測定された。当該結果を表4に記載する。
塗布液Cを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は14.9%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は2.7%、波長2100nmの透過率は7.5%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
塗布液Dを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は14.9%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は2.7%、波長2100nmの透過率は7.5%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
塗布液Eを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は10.0%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.4%、波長2100nmの透過率は9.2%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
実施例1〜8に係る熱線遮蔽微粒子おいては、従来の複合タングステン酸化物微粒子である比較例1、2と比較して、可視光透過率が85%のとき、波長800〜900nmの近赤外光の透過率の平均値が高く、波長1200〜1800nm、波長2100nmの透過率が低い。この結果から、複合タングステン酸化物微粒子が発揮する高い遮熱特性を担保しながら、波長800〜900nmの近赤外光では高い透過率が得られ、肌へのジリジリ感が減少することが判明した。
Claims (10)
- 熱線遮蔽機能を有する複合タングステン酸化物微粒子であって、前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である熱線遮蔽微粒子を含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材の少なくとも一方の面にコーティング層を有し、前記コーティング層は、前記熱線遮蔽微粒子を含むバインダー樹脂層であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記バインダー樹脂が、UV硬化性樹脂バインダーであることを特徴とする請求項3に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記コーティング層の厚さが10μm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記透明フィルム基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルム。
- 前記コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の単位投影面積あたりの含有量が、0.1g/m2以上5.0g/m2以下である請求項3から6のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 熱線遮蔽フィルムであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が3.6%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が5.4%以上9%以下であるか、
または、熱線遮蔽ガラスであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が2.7%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が4.5%以上9%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。 - タングステン酸と、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素の水酸化物粉末とを、所定の割合で混合して混合粉末を得る混合工程と、
当該混合粉末を、不活性ガスをキャリアーとした0.1〜0.5%のH2ガス供給下で加熱して還元処理を行い、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物粉末を得る焼成工程と、
当該複合タングステン酸化物粉末を透明樹脂中へ均一に混合して、熱線遮蔽微粒子分散体を得る工程と、
当該熱線遮蔽微粒子分散体を、透明フィルム基材または透明ガラス基材上にコーティングする工程とを有することを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの製造方法。
但し、前記複合タングステン酸化物粉末は、六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であり、粉体色が、L * a * b * 表色系において、L * が30〜55、a * が−6.0〜−0.5、b * が−10〜−0である複合タングステン酸化物微粒子を含み、
前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である。 - さらに、紫外線吸収剤、HALS、酸化防止剤から選択される1種類以上を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の熱線遮蔽ガラスまたは熱線遮蔽フィルム。
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