JP6866620B2 - 熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス - Google Patents

熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス Download PDF

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本発明は、可視光透過性が良好で、且つ優れた熱線遮蔽機能を有しながら、所定の波長を有する近赤外光を透過する熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスに関する。
良好な可視光透過率を有し透明性を保ちながら日射透過率を低下させる熱線遮蔽技術として、これまでさまざまな技術が提案されてきた。なかでも、導電性微粒子、導電性微粒子の分散体、および、合わせ透明基材を用いた熱線遮蔽技術は、その他の技術と比較して熱線遮蔽特性に優れ低コストであり電波透過性があり、さらに耐候性が高い等のメリットがある。
例えば特許文献1には、酸化錫微粉末を分散状態で含有させた透明樹脂や、酸化錫微粉末を分散状態で含有させた透明合成樹脂をシートまたはフィルムに成形したものを、透明合成樹脂基材に積層してなる赤外線吸収性合成樹脂成形品が提案されている。
特許文献2には、少なくとも2枚の対向する板ガラスの間に、Sn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、Ce、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、Ta、W、V、Moといった金属、当該金属の酸化物、当該金属の窒化物、当該金属の硫化物、当該金属へのSbやFのドープ物、または、これらの混合物を分散させた中間層を、挟み込んだ合わせガラスが提案されている。
また、出願人は特許文献3にて、窒化チタン微粒子、ホウ化ランタン微粒子のうち少なくとも1種を分散した選択透過膜用塗布液や選択透過膜を開示している。
しかし、特許文献1〜3に開示されている赤外線吸収性合成樹脂成形品等の熱線遮蔽構造体には、いずれも高い可視光透過率が求められたときの熱線遮蔽性能が十分でない、という問題点が存在した。例えば、特許文献1〜3に開示されている熱線遮蔽構造体の持つ熱線遮蔽性能の具体的な数値の例として、JIS R 3106に基づいて算出される可視光透過率(本発明において、単に「可視光透過率」と記載する場合がある。)が70%のとき、同じくJIS R 3106に基づいて算出される日射透過率(本発明において、単に「日射透過率」と記載する場合がある。)は、50%を超えてしまっていた。
そこで出願人は、赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、前記赤外線遮蔽材料微粒子が、一般式M(但し、元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有し、当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子のいずれか1種類以上を含み、前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子径が1nm以上800nm以下であることを特徴とする熱線遮蔽分散体を、特許文献4として開示した。
特許文献4に開示したように、前記一般式Mで表される複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽分散体は高い熱線遮蔽性能を示し、可視光透過率が70%のときの日射透過率は50%を下回るまでに改善された。とりわけ元素MとしてCsやRb、Tlなど特定の元素から選択される少なくとも1種類を採用し、結晶構造を六方晶とした複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽微粒子分散体は卓越した熱線遮蔽性能を示し、可視光透過率が70%のときの日射透過率は37%を下回るまでに改善された。
また、出願人は一般式MWO(但し、0.001≦a≦1.0、2.2≦c≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子を含有し、前記一般式MWOで示される複合タングステン酸化物の粉体色がL表色系で評価したとき、Lが25〜80、aが−10〜10、bが−15〜15であることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽分散体を、文献5として開示した。
特許文献5では、前記一般式MWOで表される複合タングステン酸化物微粒子と酸化鉄微粒子とを一定の割合で併用することで所定の可視光透過性を有しながら、近赤外線遮蔽特性と同時に紫外線遮蔽特性とを有し、意匠性に優れ彩度の低いブロンズ色調を有する紫外・近赤外光遮蔽分散体および紫外・近赤外光遮蔽体を得た。
特開平2−136230号公報 特開平8−259279号公報 特開平11−181336号公報 国際公開番号WO2005/037932公報 特開2008−231164号公報
しかしながら、前記一般式Mで表される複合タングステン酸化物微粒子や、それを用いた熱線遮蔽分散体、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラス、熱線遮蔽微粒子分散体や合わせ透明基材が、市場での使用範囲を拡大した結果、新たな課題が見出された。
その課題は、前記一般式Mで記載された複合タングステン酸化物微粒子、当該複合タングステン酸化物微粒子を含有した熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラス、当該複合タングステン酸化物微粒子を含有した分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材を、窓材等の構造体に適用した場合、当該窓材等を通過する光において、波長700〜1200nmの近赤外光の透過率も大きく低下してしまうことである。
当該波長領域の近赤外光は人間の眼に対してほぼ不可視であり、また安価な近赤外LED等の光源により発振が可能であることから、近赤外光を用いた通信、撮像機器、センサー等に広く利用されている。ところが、前記一般式Mで表される複合タングステン酸化物微粒子を用いた窓材等の構造体、熱線遮蔽体や熱線遮蔽基材、分散体や合わせ透明基材等の構造体は、当該波長領域の近赤外光も、熱線と伴に強く吸収してしまう。
この結果、前記一般式Mで表される複合タングステン酸化物微粒子を用いた窓材等の構造体、熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラス、分散体や合わせ透明基材を介しての、近赤外光を用いた通信、撮像機器、センサー等の使用が制限される事態になる場合も生じていた。
例えば、特許文献4に記載された複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽フィルムを一般住宅の窓に貼りつけた場合、室内に置かれた赤外線発振機と室外に置かれた赤外線受信機からなる侵入探知装置の間の近赤外光による通信が妨害され、装置は正常に動作しなかった。
上記課題が存在するにも関わらず、複合タングステン酸化物微粒子などを用いた熱線遮蔽フィルムや窓材等の構造体、分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材は熱線を大きくカットする能力が高く、熱線遮蔽を望まれる市場分野においては使用が拡大した。しかし、このような熱線遮蔽フィルムや窓材等の構造体、分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材を用いた場合は、近赤外光を用いる無線通信、撮像機器、センサー等を使用することが出来ないものであった。
加えて、前記一般式Mで表される複合タングステン酸化物微粒子や、それを用いた熱線遮蔽分散体、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラス、熱線遮蔽微粒子分散体や合わせ透明基材は、波長2100nmの熱線の遮蔽が充分ではなかった。
例えば、特許文献4に記載された複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽フィルムを一般住宅の窓に貼りつけた場合、室内で肌にジリジリとした暑さを感じた。
本発明は、上述の状況の下で成されたものである。そして、その解決しようとする課題は、窓材等の構造体に適用された場合に、熱線遮蔽特性を発揮し、肌へのジリジリ感を抑制すると伴に、当該構造体、当該熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス、当該分散体や合わせ透明基材を介した近赤外光を用いる通信機器、撮像機器、センサー等の使用を可能とする、熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決する為、さまざまな検討を行った。
例えば、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラス、熱線遮蔽分散体および熱線遮蔽合わせ透明基材を介した場合であっても、近赤外光を用いる通信機器、撮像機器、センサー等の使用を可能とするには、波長800〜900nmの領域における近赤外光の透過率を向上させれば良いと考えられた。そして、当該波長領域における近赤外光の透過率を単に向上させるだけであれば、複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度、熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスにおける複合タングステン酸化物微粒子の濃度、熱線遮蔽分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材における複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度を適宜減少させればよい、とも考えられた。
しかし、複合タングステン酸化物微粒子の濃度、熱線遮蔽分散体や熱線遮蔽合わせ透明基材における複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度を減少させた場合、波長1200〜1800nmの領域をボトムとする熱線吸収能力も同時に低下し、熱線遮蔽効果を低下させることになり、肌へのジリジリ感も感じることになってしまう。
ここで、太陽光が、肌へのジリジリ感を与えるのは、波長1500〜2100nmの熱線の影響が大きいためであると考えられる(例えば、尾関義一ほか、自動車技術会学術講演会前刷集 No.33−99、13(1999)参照。これは、人間の皮膚の持つ吸光度が、波長700〜1200nmの近赤外光に対しては小さい一方で、波長1500〜2100nmの熱線に対しては大きい為であると考えられる。
以上の知見を基に、本発明者らは種々研究を重ねた結果、前記一般式MWOで表される複合タングステン酸化物微粒子を製造する為の熱処理(焼成)の工程において、還元状態を所定の範囲内に制御することで、波長1200〜1800nmの領域をボトムとする熱線吸収能力は保持したまま、波長800〜900nmの吸収を制御し、波長2100nmの領域における吸収能力が向上した複合タングステン酸化物微粒子を得ることが出来るとの知見を得たものである。
しかしながら、波長800〜900nmの領域に近赤外光の透過率を向上させた複合タングステン酸化物微粒子は、熱線遮蔽微粒子の分散体における熱線遮蔽性能の評価基準として従来用いられていた指標(例えば、JIS R 3106で評価される可視光透過率に対する日射透過率。)を用いて評価した場合、従来の技術に係る複合タングステン酸化物と比較して劣るのではないか、とも懸念された。
そこで、当該観点から、熱処理の際の還元状態を制御して製造した複合タングステン酸化物微粒子についてさらに検討した。
そして、上述した、熱処理の際の還元状態を制御することによって波長800〜900nmの近赤外光の透過率を向上させた複合タングステン酸化物微粒子は、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子と比較して、熱線遮蔽微粒子としての性能において劣るものではないことが知見された。
これは、波長800〜900nmの近赤外光の透過率を向上させた複合タングステン酸化物微粒子において、可視光での透過率も大きくなる。従って、単位面積当たりの複合タングステン酸化物微粒子の濃度をより高く設定することが可能となる。このより高い濃度設定の結果、波長1500〜2100nmの熱線の透過を抑制できるためである。
以上の検討の結果、本発明者らは、熱線遮蔽機能を有する複合タングステン酸化物微粒子であって、前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が22%以下である熱線遮蔽微粒子を含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスに想到し、本発明を完成した。
すなわち、上述の課題を解決する第1の発明は、
熱線遮蔽機能を有する複合タングステン酸化物微粒子であって、前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である熱線遮蔽微粒子を含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第3の発明は、
透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材の少なくとも一方の面にコーティング層を有し、前記コーティング層が、前記熱線遮蔽微粒子を含むバインダー樹脂層であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第4の発明は、
前記バインダー樹脂が、UV硬化性樹脂バインダーであることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第5の発明は、
前記コーティング層の厚さが10μm以下であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第6の発明は、
前記透明フィルム基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする熱線遮蔽フィルムである。
第7の発明は、
前記コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の単位投影面積あたりの含有量が、0.1g/m以上5.0g/m以下である熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスで
ある。
第8の発明は、
熱線遮蔽フィルムであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が3.6%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が5.4%以上9%以下であるか、
または、熱線遮蔽ガラスであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が2.7%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が4.5%以上9%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第9の発明は、
タングステン酸と、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素の水酸化物粉末とを、所定の割合で混合して混合粉末を得る混合工程と、
当該混合粉末を、不活性ガスをキャリアーとした0.1〜0.5%のガス供給下で加熱して還元処理を行い、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物粉末を得る焼成工程と、
当該複合タングステン酸化物粉末を透明樹脂中へ均一に混合して、熱線遮蔽微粒子分散体を得る工程と、
当該熱線遮蔽微粒子分散体を、透明フィルム基材または透明ガラス基材上にコーティングする工程とを有することを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの製造方法である。
但し、前記複合タングステン酸化物粉末は、六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であり、粉体色が、L 表色系において、L が30〜55、a が−6.0〜−0.5、b が−10〜−0である複合タングステン酸化物微粒子を含み、
前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である。
第10の発明は、
さらに、紫外線吸収剤、HALS、酸化防止剤から選択される1種類以上を含有することを特徴とする熱線遮蔽ガラスまたは熱線遮蔽フィルムである。
本発明に係る熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスは、熱線遮蔽特性を発揮し、肌へのジリジリ感を抑制すると伴に、これら構造体等が介在した場合であっても、近赤外光を用いた通信機器、撮像機器、センサー等の使用が可能である。
本発明に係る熱線遮蔽フィルムの波長毎の透過率プロファイルである。
以下、本発明を実施するための形態について、[a]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子、[b]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子の製造方法、[c]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子分散液、[d]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスの製造方法、の順に説明する。
[a]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子
(複合タングステン酸化物微粒子)
本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%のときに、波長800〜900nmにおける透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が22%以下である複合タングステン酸化物微粒子である。
そして、一般式MWOで表記したとき、元素MはCs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素である。そして、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0を満たす複合タングステン酸化物微粒子である。
さらに、六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子であって、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であることを特徴とする熱線遮蔽微粒子である。
元素Mの添加量は、xの値は0.18以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.18以上0.33以下である。xの値が0.18以上0.33以下であれば六方結晶単相が得やすく、熱線吸収効果が十分に発現するためである。六方晶以外に、正方晶やM0.36WO3.18(Cs1135)で示される斜方晶が析出することがあるが、これらの析出物は熱線吸収効果に影響しない。
また、yの値は、2.2≦y≦3.0であることが好ましく、更に好ましくは2.7≦y≦3.0である。また、複合タングステン酸化物において酸素の一部が他の元素で置換されていても構わない。当該他の元素としては、例えば、窒素や硫黄、ハロゲン等が挙げられる。
本発明にかかる複合タングステン酸化物微粒子の粒子径は、当該複合タングステン酸化物微粒子や、その分散液を用いて製造される熱線遮蔽膜/熱線遮蔽基材の使用目的によって適宜選定することができるが、1nm以上800nmであることが好ましい。これは粒子径が800nm以下であれば、本発明にかかる複合タングステン酸化物微粒子による強力な近赤外吸収を発揮でき、また粒子径が1nm以上であれば、工業的な製造が容易であるからである。
熱線遮蔽膜を透明性が求められる用途に使用する場合は、当該複合タングステン酸化物微粒子が40nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。当該複合タングステン酸化物微粒子が40nmよりも小さい分散粒子径を有していれば、微粒子のミー散乱およびレイリー散乱による光の散乱が十分に抑制され、可視光波長領域の視認性を保持し、同時に効率よく透明性を保持することが出来るからである。自動車の風防など特に透明性が求められる用途に使用する場合は、さらに散乱を抑制するため、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を30nm以下、好ましくは25nm以下とするのが良い。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子が、波長1200〜1800nmをボトムとし波長1200〜1500nmの熱線吸収能力を担保したまま、波長800〜900nmの領域における近赤外光の透過率が向上し、波長2100nmの熱線吸収能力を担保している理由は、複合タングステン酸化物微粒子の電子構造、および、電子構造に由来する光吸収機構に起因するものと考えている。
本発明に係る一般式MWOで表記される複合タングステン酸化物微粒子において、元素MはCs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素のうちから選択される1種類以上の元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素である。そして、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0を満たす、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子である。
元素Mの添加量であるxの値は0.18以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.18以上0.33以下である。xの値が0.18以上0.33以下であれば六方結晶単相が得やすく、熱線吸収効果が十分に発現するためである。六方晶以外に、正方晶やM0.36WO3.18(Cs1135)で示される斜方晶が析出することがあるが、これらの析出物は熱線吸収効果に影響しない。
(複合タングステン酸化物微粒子の製造における熱処理条件)
本発明者らは、以下に説明する〈熱処理条件1〜4〉の4水準の熱処理条件を用いた以外は、後述する実施例3と同様にして複合タングステン酸化物微粒子を製造した。
〈熱処理条件1〉
ガスをキャリアーとした0.3%Hガス供給下で500℃の温度で30分の加熱還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
〈熱処理条件2〉
後述する実施例1に係る熱処理と同様である。
ガスをキャリアーとした0.3%Hガス供給下で500℃の温度で4時間の加熱還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
〈熱処理条件3〉
後述する実施例3に係る熱処理と同様である。
ガスをキャリアーとした0.3%Hガス供給下で500℃の温度で6時間の加熱還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
〈熱処理条件4〉
後述する比較例1に係る熱処理と同様である。
ガスをキャリアーとした5%Hガス供給下で550℃の温度で1時間の加熱還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃の温度で1時間焼成をおこなった。
上述した〈熱処理条件1〜4〉の4水準の熱処理条件を施して作製したセシウムタングステンブロンズを用いた以外は、後述する実施例1と同様の操作をおこなって、試料1〜4に係る熱線遮蔽微粒子分散液を得た。
各熱線遮蔽微粒子分散液試料内にある、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子(セシウムタングステンブロンズ微粒子)の平均分散粒子径を測定したところ20〜30nmの範囲にあった。
〈熱処理条件1〜4のまとめ〉
本発明者らは、複合タングステン酸化物微粒子を製造する際の熱処理において、温度条件、雰囲気条件を制御することにより、還元処理を弱い方へ制御して、複合タングステン酸化物粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%のときに、波長800〜900nmにおける透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が22%以下である複合タングステン酸化物粒子を得ることができた。
当該複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であった。
また、当該複合タングステン酸化物微粒子は、可視光領域における透過率が増大するので、熱線遮蔽膜中の複合タングステン酸化物微粒子濃度を、若干高くすることが可能である。
そして、上述した本発明に係る複合タングステン酸化物粒子の透過率プロファイルの形を、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子の透過プロファイルと比較すると、次の(1)−(3)の特長を有するものである。
(1)本発明に係る複合タングステン酸化物粒子は、可視光透過バンドの領域が近赤外光の領域である波長800〜900nmの領域にまで広がっており、当該波長領域においても高い透過率を持つものである。
(2)本発明に係る複合タングステン酸化物粒子は、波長1200〜1500nmの領域において透過率の値がほぼ一定である。
(3)本発明に係る複合タングステン酸化物粒子は、波長2100nmにおいても熱線遮蔽性能を有する。
[b]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子の製造方法
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
まず、タングステン化合物出発原料について説明する。
本発明にかかるタングステン化合物出発原料は、タングステン、元素Mそれぞれの単体もしくは化合物を含有する混合物である。タングステン原料としてはタングステン酸粉末、三酸化タングステン粉末、二酸化タングステン粉末、酸化タングステンの水和物粉末、六塩化タングステン粉末、タングステン酸アンモニウム粉末、または、六塩化タングステン粉末をアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末、から選ばれたいずれか1種類以上であることが好ましい。元素Mの原料としては、元素M単体、元素Mの塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酸化物、炭酸塩、タングステン酸塩、水酸化物等が挙げられるが、これらには限定されない。
上述したタングステン化合物出発原料を秤量し、0.1≦x≦0.5を満たす所定量をもって配合し混合する。このとき、タングステン、元素Mに係るそれぞれの原料ができるだけ均一に、可能ならば分子レベルで均一混合していることが好ましい。したがって前述の各原料は溶液の形で混合することがもっとも好ましく、各原料が水や有機溶剤等の溶媒に溶解可能であることが好ましい。
各原料が水や有機溶剤等の溶媒に可溶であれば、各原料と溶媒を十分に混合したのち溶媒を揮発させることで、本発明にかかるタングステン化合物出発原料を製造することができる。もっとも各原料に可溶な溶媒がなくとも、各原料をボールミル等の公知の手段で十分に均一に混合することで、本発明にかかるタングステン化合物出発原料を製造することができる。
次に、還元性ガス雰囲気中における熱処理について説明する。出発原料を300℃以上900℃以下で熱処理することが好ましく、500〜800℃以下がより好ましく、500〜600℃以下がさらに好ましい。300℃以上であれば本発明にかかる六方晶構造を持つ複合タングステン酸化物の生成反応が進行し、900℃以下であれば六方晶以外の構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子や金属タングステンといった意図しない副反応物が生成し難く好ましい。
この時の還元性ガスは、特に限定されないが、Hが好ましい。そして、還元性ガスとしてHを用いる場合は、還元性雰囲気の組成として、例えば、Ar、N等の不活性ガスにHを体積比で2.0%以下混合することが好ましく、より好ましくは0.1〜0.8%混合、さらに好ましくは0.1〜0.5%混合したものである。Hが体積比で0.1%〜0.8%であれば、還元状態を本発明に適した条件に制御しつつ、効率よく還元を進めることができる。還元温度および還元時間、還元性ガスの種類と濃度といった条件は、試料の量に応じて適宜選択することができる。
必要に応じて、還元性ガス雰囲気中にて還元処理を行った後、不活性ガス雰囲気中にて熱処理を行ってもよい。この場合の不活性ガス雰囲気中での熱処理は400℃以上1200℃以下の温度で行うことが好ましい。
この結果、六方晶系の結晶構造を得ることが出来る。当該複合タングステン酸化物微粒子のc軸の格子定数は7.56Å以上8.82Å以下であることが好ましく、7.56Å以上7.61Å以下であることがより好ましい。また、当該複合タングステン酸化物微粒子の粉体色は、L表色系において、Lが30〜55、aが−6.0〜−0.5、bが−10〜−0である。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子が表面処理され、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上を含有する化合物、好ましくは酸化物で被覆されていることは、耐候性向上の観点から好ましい。当該表面処理を行うには、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上を含有する有機化合物を用いて、公知の表面処理を行えばよい。例えば、本発明に係る熱線遮蔽微粒子と有機ケイ素化合物とを混合し、加水分解処理を行えばよい。
[c]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子分散液
本発明に係る熱線遮蔽微粒子を液状の媒体中に分散させることで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を製造することができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液は、その他従来の近赤外線を強く吸収する材料、例えば特許文献4で示された複合タングステン酸化物が用いられていたさまざまな分野において、従来の複合タングステン酸化物微粒子の分散液と同様に用いることができる。
以下、[1]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子分散液の製造方法、[2]熱線遮蔽微粒子分散液の使用例、の順に記載する。なお、本発明において、熱線遮蔽微粒子分散液を単に「分散液」と記載する場合がある。
[1]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子分散液の製造方法
本発明に係る熱線遮蔽微粒子および所望により適量の分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を、液状の媒体へ添加し分散処理を行うことで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を得ることができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液の媒体には、熱線遮蔽微粒子の分散性を保つための機能と、熱線遮蔽微粒子分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能が要求される。また、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、着色剤(顔料や染料など)、帯電防止剤などの添加剤を含有させることができる。
以下、(1)媒体、(2)分散剤、カップリング剤、(3)紫外線吸収剤、(4)光安定化剤、(5)酸化防止剤、(6)分散処理方法、の順に説明する。
(1)媒体
媒体としては水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、液状のプラスチック用可塑剤あるいはこれらの混合物を選択し熱線遮蔽分散液を製造することができる。上記の要求を満たす有機溶媒としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3−メチル−メトキシ−プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
尤も、これらの中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特に、イソプロピルアルコール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
液状の樹脂としては、メタクリル酸メチル等が好ましい。液状のプラスチック用可塑剤としては、一価アルコールと有機酸エステルとの化合物である可塑剤や、多価アルコール有機酸エステル化合物等のエステル系である可塑剤、有機リン酸系可塑剤等のリン酸系である可塑剤などが好ましい例として挙げられる。なかでもトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネートは、加水分解性が低い為、さらに好ましい。
(2)分散剤、カップリング剤
(3)紫外線吸収剤
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液が、さらに紫外線吸収剤を含有することで、紫外領域の光をさらにカットすることが可能となり、温度上昇の抑止効果を高めることができる。また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液が紫外線吸収剤を含有することで、当該熱線遮蔽微粒子分散液を用いて作製した線遮蔽フィルムを貼付した窓を有する自動車車内や建造物内部の人間や内装などに対する紫外線の影響、日焼けや家具、内装の劣化などを抑制できる。
また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子である複合タングステン酸化物粒子および/または酸化タングステン粒子を含むコーティング膜は、強力な紫外線の長期暴露により透過率が低下する光着色現象を生じることがある。しかしながら、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液が紫外線吸収剤を含有することでも、光着色現象の発生を抑制することができる。
当該紫外線吸収剤は特に限定されるものではなく、熱線遮蔽微粒子分散液の可視光透過率等に与える影響や、紫外線吸収能、耐久性等に応じて任意に選択することができる。紫外線吸収剤としては例えば、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾリル化合物、ベンゾイル化合物等の有機紫外線吸収剤や、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の無機紫外線吸収剤等が挙げられる。特に紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物から選択される1種類以上を含有することが好ましい。これは、ベンゾトリアゾール化合物およびベンゾフェノン化合物は、紫外線を十分に吸収するだけの濃度を添加した場合でも熱線遮蔽微粒子分散液の可視光透過率を非常に高くすることができ、かつ強力な紫外線の長期暴露に対する耐久性が高いためである。
また、紫外線吸収剤は例えば以下の化学式1および/または化学式2で示される化合物を含有することがより好ましい。
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本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液における紫外線吸収剤の含有量は特に限定されるものではなく、要求される可視光透過率や、紫外線遮蔽能等に応じて任意に選択することができる。尤も、熱線遮蔽微粒子分散液中の紫外線吸収剤の含有量(含有率)は例えば、0.02質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。これは紫外線吸収剤の含有量が0.02質量%以上であれば、複合タングステン酸化物粒子で吸収しきれない紫外領域の光を十分に吸収することができるためである。また含有量が5.0質量%以下であれば、熱線遮蔽微粒子分散液中で紫外線吸収剤が析出することをより確実に防止し、熱線遮蔽微粒子分散液の透明性や、意匠性に大きな影響を与えないためである。
(4)光安定化剤
また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液は、さらにヒンダードアミン系光安定化剤(本発明において、単に「HALS」と記載する場合がある。)を含有することもできる。
上述したように、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を用いて作製した線遮蔽フィルム等において、紫外線吸収剤を含有することで紫外線吸収能力を高めることができる。
しかし本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液や線遮蔽フィルム等が実用される環境や、紫外線吸収剤の種類によっては、長時間の使用に伴って紫外線吸収剤が劣化し、紫外線吸収能力が低下してしまう場合がある。これに対して、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液がHALSを含有することで、紫外線吸収剤の劣化を防止し、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液や線遮蔽フィルム等の紫外線吸収能力の維持に寄与することができる。
また上述したように、本発明に係る線遮蔽フィルムにおいては、強力な紫外線の長期暴露により透過率が低下する光着色現象を生じることがある。そこで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液にHALSを含有させて、線遮蔽フィルムを作製することで、紫外線吸収剤やアミノ基を有する金属カップリング剤を添加した場合と同様に、光着色現象の発生を抑制することができる。
尚、本発明に係る線遮蔽フィルムにおいてHALSを含有することによる、光着色現象を抑制する効果は、アミノ基を有する金属カップリング剤の添加による光着色現象を抑制する効果とは、明確に異なる機構に基づくものである。
この為、HALSをさらに添加することによる光着色現象を抑制する効果と、アミノ基を有する金属カップリング剤を添加したことによる光着色現象を抑制する効果とは相反するものではなく、むしろ相乗的に働く。
さらにHALSにおいては、それ自体が紫外線の吸収能力をもつ化合物である場合がある。この場合、当該化合物の添加によって、前述した紫外線吸収剤の添加による効果と、HALSの添加による効果とを、兼ね備えることができる。
尤も、添加するHALSの種類としては、に限定されるものではなく、熱線遮蔽微粒子分散液の可視光透過率等に与える影響や、紫外線吸収剤との相性、紫外線に対する耐久性等、に応じて任意に選択することができる。
HALSの具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケード、1−[2−[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed {1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed {2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等を、好適に用いることができる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液におけるHALSの含有量は特に限定されるものではなく、熱線遮蔽微粒子分散液に要求される可視光透過率や耐候性等に応じて任意に選択することができる。熱線遮蔽微粒子分散液中のHALSの含有量(含有率)は例えば、0.05質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。これは熱線遮蔽微粒子分散液中におけるHALSの含有量が0.05質量%以上であれば、HALSの添加による効果を熱線遮蔽微粒子分散液で十分に発揮することができる為である。また含有量が5.0質量%以下であれば、熱線遮蔽微粒子分散液中でHALSが析出することをより確実に防ぐことができ、熱線遮蔽微粒子分散液の透明性や意匠性に大きな影響を与えないためである。
(5)酸化防止剤
また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液はさらに酸化防止剤(抗酸化剤)を含有することもできる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液が酸化防止剤を含有することで、熱線遮蔽微粒子分散液に含有される他の添加剤、例えば複合タングステン酸化物、酸化タングステン、分散剤、カップリング剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、HALS等の酸化劣化が抑制され、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルム等の耐候性をさらに向上させることができる。
ここで、酸化防止剤としては特に限定されるものではなく、熱線遮蔽微粒子分散液の可視光透過率等に与える影響や、所望する耐候性等に応じて任意に選択することができる。
例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等を好適に用いることができる。
酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及びビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を好適に用いることができる。
熱線遮蔽微粒子分散液における酸化防止剤の含有量は特に限定されるものではなく、熱線遮蔽微粒子分散液に要求される可視光透過率や耐候性等に応じて任意に選択することができる。尤も、熱線遮蔽微粒子分散液の酸化防止剤の含有量(含有率)は例えば、0.05質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。これは酸化防止剤の含有量が0.05質量%以上であれば、酸化防止剤の添加による効果を熱線遮蔽微粒子分散液中で十分に発揮することができる為である。また含有量が5.0質量%以下であれば、熱線遮蔽微粒子分散液中で酸化防止剤が析出することをより確実に防ぐことができ、熱線遮蔽微粒子分散液の透明性や意匠性に大きな影響を与えない為である。
(6)分散処理方法
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液の分散処理の方法は当該熱線遮蔽微粒子が均一に液状媒体中へ分散する方法であれば公知の方法から任意に選択でき、たとえばビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用いることができる。
均一な熱線遮蔽微粒子分散液を得るために、各種添加剤や分散剤を添加したり、pH調整したりしても良い。
上述した熱線遮蔽微粒子分散液中における熱線遮蔽微粒子の含有量は0.01質量%〜50質量%であることが好ましい。0.01質量%以上であれば後述するコーティング膜やプラスチック成型体などの製造に好適に用いることができ、50質量%以下であれば工業的な生産が容易である。さらに好ましくは1質量%以上35質量%以下である。
このような熱線遮蔽微粒子を液体媒体中に分散させた本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液は、適当な透明容器に入れ、分光光度計を用いて、光の透過率を波長の関数として測定することができる。本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液は、熱線遮蔽微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%(本発明に係る実施例において、単に「可視光透過率が85%」と記載する場合がある。)のときに、波長800〜900nmにおける近赤外光の透過率が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が22%以下である。
尚、当該測定において、熱線遮蔽微粒子分散液に含まれる熱線遮蔽微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率を85%に調整することは、その分散溶媒または分散溶媒と相溶性を有する適宜な溶媒で希釈することにより、容易になされる。
上述した本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液の光の透過率プロファイルは、特許文献4、特許文献5で示された複合タングステン酸化物微粒子を用いた場合の光の透過プロファイルに比べて、波長1200〜1500nmの範囲の透過率を大きく上げることなく、波長800〜900nm範囲の近赤外光の透過率を有し、波長2100nmの熱線吸収能力が向上したものである。
[2]熱線遮蔽微粒子分散液の使用例
本発明にかかる熱線遮蔽微粒子または熱線遮蔽微粒子分散液を、固体状の媒体へ分散することで、分散粉やマスターバッチ、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽プラスチック成形体などを製造することができる。
一般的な使用方法の例として、本発明にかかる熱線遮蔽微粒子分散液を用いた熱線遮蔽フィルムの製造方法について述べる。前述した熱線遮蔽微粒子分散液をプラスチックあるいはモノマーと混合して塗布液を作製し、公知の方法で基材上にコーティング膜を形成することで、熱線遮蔽フィルムを作製することができる。
上記コーティング膜の媒体は、例えば、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が目的に応じて選定可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独使用であっても混合使用であっても良い。また、金属アルコキシドを用いたバインダーの利用も可能である。上記金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zr等のアルコキシドが代表的である。これら金属アルコキシドを用いたバインダーは、加熱等により加水分解・縮重合させることで、酸化物膜を形成することが可能である。
上記基材としては上述したようにフィルムでも良いが、所望によってはボードでも良く、形状は限定されない。透明基材材料としては、PET、アクリル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ふっ素樹脂等が、各種目的に応じて使用可能である。また、樹脂以外ではガラスを用いることができる。
[d]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスの製造方法
上述した熱線遮蔽微粒子分散液を用いて、基板フィルム上または基板ガラスから選択される透明基板上へ、熱線遮蔽微粒子を含有するコーティング層を形成することで、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスを製造することが出来る。
前述した熱線遮蔽微粒子分散液を、プラスチックまたはモノマーと混合して塗布液を作製し、公知の方法で透明基材上にコーティング膜を形成することで、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスを作製することができる。
例えば、熱線遮蔽フィルムは以下のように作製することができる。
上述した熱線遮蔽微粒子分散液に媒体樹脂を添加し、塗布液を得る。この塗布液をフィルム基材表面にコーティングした後、溶媒を蒸発させ所定の方法で樹脂を硬化させれば、当該熱線遮蔽微粒子が媒体中に分散したコーティング膜の形成が可能となる。
上記コーティング膜の媒体樹脂として、例えば、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が目的に応じて選定可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、単独使用であっても混合使用であっても良い。尤も、当該コーティング層用の媒体のなかでも、生産性や装置コストなどの観点からUV硬化性樹脂バインダーを用いることが特に好ましい。
また、金属アルコキシドを用いたバインダーの利用も可能である。当該金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zr等のアルコキシドが代表的である。これら金属アルコキシドを用いたバインダーは、加熱等により加水分解・縮重合させることで、酸化物膜からなるコーティング層を形成することが可能である。
尚、上述したフィルム基材は、フィルム形状に限定されることはなく、例えば、ボード状でもシート状でも良い。当該フィルム基材材料としては、PET、アクリル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ふっ素樹脂等が、各種目的に応じて使用可能である。尤も、熱線遮蔽フィルムとしては、ポリエステルフィルムであることが好ましく、PETフィルムであることがより好ましい。
また、フィルム基板の表面は、コーティング層接着の容易さを実現するため、表面処理がなされていることが好ましい。また、ガラス基板もしくはフィルム基板とコーティング層との接着性を向上させるために、ガラス基板上もしくはフィルム基板上に中間層を形成し、中間層上にコーティング層を形成することも好ましい構成である。中間層の構成は特に限定されるものではなく、例えばポリマフィルム、金属層、無機層(例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物層)、有機/無機複合層等により構成することができる。
基板フィルム上または基板ガラス上へコーティング層を設ける方法は、当該基材表面へ熱線遮蔽微粒子含有分散液が均一に塗布できる方法であれればよく、特に限定されない。例えば、バーコート法、グラビヤコート法、スプレーコート法、ディップコート法等を挙げることが出来る。
例えばUV硬化樹脂を用いたバーコート法によれば、適度なレベリング性を持つよう液濃度及び添加剤を適宜調整した塗布液を、コーティング膜の厚み及び前記熱線遮蔽微粒子の含有量を合目的的に満たすことのできるバー番号のワイヤーバーを用いて基板フィルムまたは基板ガラス上に塗膜を形成することができる。そして塗布液中に含まれる有機溶媒を乾燥により除去したのち紫外線を照射し硬化させることで、基板フィルムまたは基板ガラス上にコーティング層を形成することができる。このとき、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類や使用割合によっても異なるが、通常では60℃〜140℃の温度で20秒〜10分間程度である。紫外線の照射には特に制限はなく、例えば超高圧水銀灯などのUV露光機を好適に用いることができる。
その他、コーティング層の形成の前後工程により、基板とコーティング層の密着性、コーティング時の塗膜の平滑性、有機溶媒の乾燥性などを操作することもできる。前記前後工程としては、例えば基板の表面処理工程、プリベーク(基板の前加熱)工程、ポストベーク(基板の後加熱)工程などが上げられ、適宜選択することができる。プリベーク工程および/あるいはポストベーク工程における加熱温度は80℃〜200℃、加熱時間は30秒〜240秒であることが好ましい。
基板フィルム上または基板ガラス上におけるコーティング層の厚みは、特に限定されないが、実用上は10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましい。これはコーティング層の厚みが10μm以下であれば、十分な鉛筆硬度を発揮して耐擦過性を有することに加えて、コーティング層における溶媒の揮散およびバインダーの硬化の際に、基板フィルムの反り発生等の工程異常発生を回避出来るからである。
コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の含有量は、特に限定されないが、フィルム/ガラス/コーティング層の投影面積あたりの含有量、0.1g/m以上5.0g/m以下であることが好ましい。これは、含有量が0.1g/m以上であれば熱線遮蔽微粒子を含有しない場合と比較して有意に熱線遮蔽特性を発揮でき、含有量が5.0g/m以下であれば熱線遮蔽フィルム/ガラス/コーティング層が可視光の透過性を十分に保つからである。
製造された熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスの光学特性は、可視光透過率が70%のときに、波長850nmにおける透過率が23%以上45%以下であり、且つ波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が20%以下である。尚、可視光透過率を70%に調整することは、コーティング液中の熱線遮蔽微粒子濃度の調整、または、コーティング層の膜厚の調整により、容易になされる。
上記の透過率プロファイルの限定値は、一般に元素Mを除けばこれと等価な組成を有する従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子を用いた場合の透過プロファイルに比べて、1200〜1500nm範囲に存在する透過率の平均値を大きく上げることなく、可視光透過バンドの幅が長波長側に広がっており、より高い800〜900nm範囲の透過率を持つものである。上記の透過率プロファイルの限定値は、同一の組成と濃度を持つ複合タングステン酸化物微粒子を用いてもある一定の幅を持つものであり、それは微粒子のサイズや形状、凝集状態、および分散剤を含む分散溶媒の屈折率などによっても変化しうるものであることには注意を要する。
また、本発明に係る熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスへさらに紫外線遮蔽機能を付与させるため、無機系の酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムなどの粒子、有機系のベンゾフェノンやベンゾトリアゾールなどの少なくとも1種以上を添加してもよい。
また、本発明に係る熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスの可視光透過率を向上させるために、コーティング層へATO、ITO、アルミニウム添加酸化亜鉛、インジウム錫複合酸化物などの粒子を、さらに混合してもよい。これらの透明粒子がコーティング層へ添加されることで、波長750nm付近の透過率が増加する一方、1200nmより長波長の赤外光を遮蔽するため、近赤外光の透過率が高く、且つ熱線遮蔽特性の高い熱線遮蔽体が得られる。
本発明に係る熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの光学特性は、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmにおける透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が5%以下である。
ここで、可視光透過率を70%に調整することは、上述した有機溶媒分散液、分散粉、可塑剤分散液またはマスターバッチに含有される熱線遮蔽微粒子の濃度、樹脂組成物を調製する際の熱線遮蔽微粒子、分散粉、可塑剤分散液またはマスターバッチの添加量、さらにはフィルムの膜厚等を調整することにより、容易である。
上述した本発明に係る熱線遮蔽微粒子の透過率プロファイルの形は、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子を用いた場合の透過プロファイルと比較すると、次の特長を有することを知見したものである。
1.本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、可視光透過バンドの領域が近赤外光の領域である波長800〜900nmの領域に広がっており、当該領域において高い透過率を持つものである。
2.本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、波長1200〜1500nmの領域に存在する透過率の平均値の値を殆ど変えていない。
3.本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、波長2100nmの熱線遮蔽性能を有する。
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。
但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3および比較例1において、熱線遮蔽微粒子の粉体色は日立製作所(株)製の分光光度計U−4100を用いて測定し、L表色系で評価した。
また、実施例1〜3および比較例1において、熱線遮蔽微粒子分散液の波長300〜2100nmの光に対する透過率は、分光光度計用セル(ジーエルサイエンス株式会社製、型番:S10−SQ−1、材質:合成石英、光路長:1mm)に分散液を保持して、日立製作所(株)製の分光光度計U−4100を用いて測定した。
当該測定の際、分散液の溶媒(メチルイソブチルケトン)を、上述のセルに満たした状態で透過率を測定し、透過率測定のベースラインを求めた。この結果、以下に説明する分光透過率、および可視光透過率は、分光光度計用セル表面の光反射や、溶媒の光吸収による寄与が除外され、熱線遮蔽微粒子による光吸収のみが算出されることとなる。
具体的には、以下の手順で、可視光透過率が85%の場合の透過率を求めることができる。
まず、メチルイソブチルケトンで満たした上記分光光度計用セルの透過率T1(λ)を測定する。次に、熱線吸収微粒子を含む分散液で満たした上記分光光度計用セルの透過率T2(λ)を測定する。そして、式2に示すようにT2(λ)をT1(λ)で除算する。
T3(λ)=100×T2(λ)/T1(λ)・・・・・・・式2
ここでT3(λ)は、基材の吸収および反射の影響を除いた、熱線吸収微粒子としての透過率曲線である。尚、λは波長を意味する。
従って、ランベルト・ベールの式により、可視光透過率が85%のときの透過率曲線T4(λ)を、式3により計算することができる。
T4(λ)=100×(T3(λ)/100)^a・・・・・・式3
尚、「^」は累乗を意味する数学記号であり、A^Bは「AのB乗」を意味する。また、「a」は実数値をとる変数である。aの具体的な値は、T4(λ)をもとにJIS R 3106で算出される可視光透過率が85%となるように決定される。
熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。
熱線遮蔽微粒子の平均粒子径は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。
実施例4〜16および比較例4〜6において、各実施例における熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラス、熱線遮蔽シート、および合わせ透明基材の透過率は、上述した日立製作所(株)製の分光光度計U−4100で測定し、可視光透過率は測定された波長300〜2100nmの領域の光の透過率をもとに、JIS R 3106:1998に基づいて算出した。
[実施例1](Cs0.30WOを用いた熱線遮蔽フィルム)
タングステン酸(HWO)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.30/1.00相当となる割合で秤量したのちメノウ乳鉢で十分混合して混合粉末とした。当該混合粉末を、Nガスをキャリアーとした0.3%Hガス供給下で加熱し500℃の温度で4時間の還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃、1時間焼成して、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4131Å、c軸の格子定数が7.5885Åで、粉体色が、L表色系において、Lが41.86、aが−2.90、bが−6.76であるセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末A」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
粉末A20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)(以下、「分散剤a」と略称する。)10質量%、メチルイソブチルケトン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液A」と略称する。)を得た。ここで、分散液A内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ25nmであった。
分散液Aを適宜MIBKで希釈して10mm厚の矩形容器に入れ、分光透過率を測定した。可視光透過率が85%になるように希釈率を調整して測定した時の透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は45.5%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は12.8%、波長2100nmの透過率は15.5%となった。これは以下の比較例1に示す従来方法で作製したセシウムタングステンブロンズに比べて、可視光透過バンドが明らかに広がっており、波長2100nmの熱線遮蔽性能が向上していることが確認された。粉末Aの粉体色の測定結果を表1に、透過率の測定結果を表2に記載した。
分散液A100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂である東亜合成製アロニックスUV−3701(以下、UV−3701と記載する。)を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液A)とし、この塗布液をPETフィルム(帝人製HPE−50)上へバーコーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。尚、他の実施例・比較例においても同様のPETフィルムを用いた。
塗布膜を設けたPETフィルムを、80℃で60秒間乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させることで、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が設けられた熱線遮蔽フィルムを作製した。
上述した熱線遮蔽フィルム作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度やコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は27.9%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は4.2%、波長2100nmの透過率は5.4%、ヘイズは0.9%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
[実施例2](Cs0.20WOを用いた熱線遮蔽フィルム)
タングステン酸(HWO)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.20/1.00相当となる割合で秤量したのちメノウ乳鉢で十分混合して混合粉末とした。当該混合粉末を、Nガスをキャリアーとした0.8%Hガス供給下で加熱し550℃の温度で20分の還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃、1時間焼成して、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4143Å、c軸の格子定数が7.5766Åで、粉体色が、L表色系において、Lが47.55、aが−5.16、bが−6.07であるセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末B」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
粉末B20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)(以下、分散剤bと記載する。)10質量%、メチルイソブチルケトン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液B」と略称する。)を得た。ここで、分散液B内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ23nmであった。
分散液Bを用いた以外は実施例1と同様にして、分光透過率を測定した。可視光透過率が85%になるように希釈率を調整して測定した時の透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は55.7%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は18.3%、波長2100nmの透過率は18.5%となった。これは以下の比較例1に示す従来方法で作製したセシウムタングステンブロンズに比べて、可視光透過バンドが明らかに広がっており、波長2100nmの熱線遮蔽性能が向上していることが確認された。粉末Bの粉体色の測定結果を表1に、透過率の測定結果を表2に記載した。
分散液Bを用いて熱線遮蔽塗布液(以下、塗布液B)とした以外は実施例1と同様にして熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が設けられた熱線遮蔽フィルムを作製した。
上述した熱線遮蔽フィルム作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度やコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は37.7%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は7.2%、波長2100nmの透過率は7.0%、ヘイズは1.0%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
[実施例3](Cs0.33WOを用いた熱線遮蔽フィルム)
タングステン酸(HWO)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.33/1.00相当となる割合で秤量したのちメノウ乳鉢で十分混合して混合粉末とした。当該混合粉末を、Nガスをキャリアーとした0.3%Hガス供給下で加熱し500℃の温度で6時間の還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃、1時間焼成して、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4097Å、c軸の格子定数が7.6033Åで、粉体色が、L表色系において、Lが39.58、aが−1.63、bが−7.33であるセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末C」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
粉末C20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)(以下、分散剤cと記載する。)10質量%、メチルイソブチルケトン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液C」と略称する。)を得た。ここで、分散液B内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ25nmであった。
分散液Cを用いた以外は実施例1と同様にして、分光透過率を測定した。可視光透過率が85%になるように希釈率を調整して測定した時の透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は33.4%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は11.6%、波長2100nmの透過率は21.4%となった。これは以下の比較例1に示す従来方法で作製したセシウムタングステンブロンズに比べて、可視光透過バンドが明らかに広がっており、波長2100nmの熱線遮蔽性能が向上していることが確認された。粉末Cの粉体色の測定結果を表1に、透過率の測定結果を表2に記載した。
分散液Cを用いて熱線遮蔽塗布液(以下、塗布液C)とした以外は実施例1と同様にして熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が設けられた熱線遮蔽フィルムを作製した。
上述した熱線遮蔽フィルム作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度やコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は17.6%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.6%、波長2100nmの透過率は8.7%、ヘイズは1.0%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
[実施例4](Cs0.33WOを用いた熱線遮蔽フィルム)
粉末C100質量部に、ベンゾトリアゾール化合物を含むベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF製、TINUVIN384−2)を1質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物を含むアミノエーテル系HALS(BASF製、TINUVIN123)を1質量部、酸化防止剤として、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを含むヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF製、商品名IRGANOX1135)を1質量部となるように秤量した。これらを、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、熱線遮蔽微粒子分散液(以下、「分散液D」と略称する。)を得た。ここで、分散液D内における熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径を測定したところ25nmであった。
分散液Dを用いた以外は実施例1と同様にして、分光透過率を測定した。可視光透過率が85%になるように希釈率を調整して測定した時の透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は34.2%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は10.4%、波長2100nmの透過率は21.2%となった。これは以下の比較例1に示す従来方法で作製したセシウムタングステンブロンズに比べて、可視光透過バンドが明らかに広がっており、波長2100nmの熱線遮蔽性能が向上していることが確認された。透過率の測定結果を表2に記載した。
分散液Dを用いて熱線遮蔽塗布液(以下、塗布液D)とした以外は実施例1と同様にして熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が設けられた熱線遮蔽フィルムを作製した。
上述した熱線遮蔽フィルム作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度やコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は17.6%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.6%、波長2100nmの透過率は8.7%、ヘイズは1.0%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
[比較例1](Cs0.33WOを用いた熱線遮蔽フィルム)
ガスをキャリアーとした5%Hガス供給下で加熱し550℃の温度で1時間の還元処理を行った後、Nガス雰囲気下で800℃、1時間焼成した以外は実施例3と同様にして、六方晶を有し、a軸の格子定数が7.4080Å、c軸の格子定数が7.6111Åで、粉体色が、L表色系において、Lが36.11、aが0.52、bが−5.54である比較例1に係るセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末E」と略称する。)を得た。当該測定結果を表1に記載した。
この粉末を分散剤と溶媒と共にペイントシェーカーを用いて分散液を作製したところ、その平均分散粒子径は23nmであった。
そして、可視光透過率が85%になるように希釈率を調整して測定した時の分光透過率を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は26.0%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は13.3%、波長2100nmの透過率は24.4%となった。
以上より、実施例1〜3に比べて波長800〜900nmにおける透過率の平均値が低く、波長2100nmの透過率の透過率が高いことが確認された。粉末Eの粉体色の測定結果を表1に、透過率の測定結果を表2に記載した。
分散液Eを用いて熱線遮蔽塗布液(以下、塗布液E)とした以外は実施例1と同様にして熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が設けられた熱線遮蔽フィルムを作製した。
上述した熱線遮蔽フィルム作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度やコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は12.1%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は4.5%、波長2100nmの透過率は10.6%、ヘイズは0.9%と測定された。当該結果を表3に記載し、波長毎の透過率プロファイルを図1に示す。
[実施例5](Cs0.30WOを用いた熱線遮蔽ガラス)
塗布液Aを10cm×10cm×2mmの無機クリアガラス上にバーコーターで塗布し塗布膜を形成した。塗布膜を80℃で60秒間乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させることで、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング膜が形成された熱線遮蔽ガラスを作製した。
上述した熱線遮蔽ガラス作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度またはコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は24.3%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.2%、波長2100nmの透過率は4.5%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
[実施例6](Cs0.20WOを用いた熱線遮蔽ガラス)
塗布液Bを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
上述した熱線遮蔽ガラス作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度またはコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は33.4%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は5.7%、波長2100nmの透過率は6.0%、ヘイズは0.4%と測定された。当該結果を表4に記載する。
[実施例7](Cs0.33WOを用いた熱線遮蔽ガラス)
塗布液Cを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
上述した熱線遮蔽ガラス作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度またはコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は14.9%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は2.7%、波長2100nmの透過率は7.5%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
[実施例8](Cs0.33WOを用いた熱線遮蔽ガラス)
塗布液Dを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
上述した熱線遮蔽ガラス作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度またはコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は14.9%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は2.7%、波長2100nmの透過率は7.5%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
[比較例2](Cs0.33WOを用いた熱線遮蔽ガラス)
塗布液Eを用いた以外は実施例5と同様にして熱線遮蔽ガラスを作製した。
上述した熱線遮蔽ガラス作製において、塗布液の熱線遮蔽微粒子濃度またはコーティング膜の膜厚を調整して、可視光透過率を70%とした。
この熱線遮蔽ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は10.0%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.4%、波長2100nmの透過率は9.2%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表4に記載する。
[実施例1〜8および比較例1、2の評価]
実施例1〜8に係る熱線遮蔽微粒子おいては、従来の複合タングステン酸化物微粒子である比較例1、2と比較して、可視光透過率が85%のとき、波長800〜900nmの近赤外光の透過率の平均値が高く、波長1200〜1800nm、波長2100nmの透過率が低い。この結果から、複合タングステン酸化物微粒子が発揮する高い遮熱特性を担保しながら、波長800〜900nmの近赤外光では高い透過率が得られ、肌へのジリジリ感が減少することが判明した。
実施例1〜4に係る熱線遮蔽フィルム、実施例5〜8に係る熱線遮蔽ガラスは、比較例1に係る従来の複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽フィルム、比較例2に係る従来の複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽ガラスと比較して、可視光透過率が85%のとき、波長800〜900nmの近赤外光の透過率の平均値が高く、波長1200〜1800nm、波長2100nmの透過率が低い。この結果から、複合タングステン酸化物微粒子が発揮する高い遮熱特性を担保しながら、波長800〜900nmの近赤外光では高い透過率が得られ、肌へのジリジリ感が減少することが判明した。
Figure 0006866620
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Claims (10)

  1. 熱線遮蔽機能を有する複合タングステン酸化物微粒子であって、前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である熱線遮蔽微粒子を含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
  2. 前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
  3. 透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材の少なくとも一方の面にコーティング層を有し、前記コーティング層は、前記熱線遮蔽微粒子を含むバインダー樹脂層であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
  4. 前記バインダー樹脂が、UV硬化性樹脂バインダーであることを特徴とする請求項3に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
  5. 前記コーティング層の厚さが10μm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
  6. 前記透明フィルム基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルム。
  7. 前記コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の単位投影面積あたりの含有量が、0.1g/m以上5.0g/m以下である請求項3から6のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
  8. 熱線遮蔽フィルムであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が3.6%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が5.4%以上9%以下であるか、
    または、熱線遮蔽ガラスであって、可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が2.7%以上8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が4.5%以上9%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
  9. タングステン酸と、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素の水酸化物粉末とを、所定の割合で混合して混合粉末を得る混合工程と、
    当該混合粉末を、不活性ガスをキャリアーとした0.1〜0.5%のガス供給下で加熱して還元処理を行い、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物粉末を得る焼成工程と、
    当該複合タングステン酸化物粉末を透明樹脂中へ均一に混合して、熱線遮蔽微粒子分散体を得る工程と、
    当該熱線遮蔽微粒子分散体を、透明フィルム基材または透明ガラス基材上にコーティングする工程とを有することを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの製造方法。
    但し、前記複合タングステン酸化物粉末は、六方晶系の結晶構造を有し、c軸の格子定数が7.56Å以上8.82Å以下であり、粉体色が、L 表色系において、L が30〜55、a が−6.0〜−0.5、b が−10〜−0である複合タングステン酸化物微粒子を含み、
    前記複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が10.4%以上20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が15.5%以上22%以下である。
  10. さらに、紫外線吸収剤、HALS、酸化防止剤から選択される1種類以上を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の熱線遮蔽ガラスまたは熱線遮蔽フィルム。
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