JP2007016338A - 防汚性屋外用防水シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光触媒をバインダーなしで樹脂被膜面に塗布し、コストが安く、ウエルダー加工性も良好で、軽量性も確保できる防汚性屋外用防水シートを提供する。
【解決手段】繊維基材の少なくとも一表面に樹脂被膜を備えたシートであって、前記樹脂被膜の少なくとも一表面には、親水性アパタイト被覆光触媒及び親水性シリカ被覆光触媒から選ばれる少なくとも一つの光触媒が存在し、前記光触媒の平均一次粒子径は1nm以上100nm未満であり、前記光触媒は前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めて塗布されており、前記光触媒は樹脂被膜面に吸着されて固定・担持され、ウエルダー加工によって接着成形加工が可能である。
【選択図】なし
【解決手段】繊維基材の少なくとも一表面に樹脂被膜を備えたシートであって、前記樹脂被膜の少なくとも一表面には、親水性アパタイト被覆光触媒及び親水性シリカ被覆光触媒から選ばれる少なくとも一つの光触媒が存在し、前記光触媒の平均一次粒子径は1nm以上100nm未満であり、前記光触媒は前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めて塗布されており、前記光触媒は樹脂被膜面に吸着されて固定・担持され、ウエルダー加工によって接着成形加工が可能である。
【選択図】なし
Description
本発明は、縫製によらず、ウエルダー加工でテントや縁かがりが容易にでき、ドレープ性に優れ、光触媒によって防汚性が付与された防汚性屋外用防水シート及びその製造方法に関するものである。
最近、防汚防水シートとして、光触媒を含む親水性被膜を表面に貼り付けたり、又は光触媒粒子を防水被膜全面に熱圧着して担持した光触媒を用いた防汚処理が普及しつつある。前者の例としては、特許文献1に開示されているように、光触媒を、表面被膜を形成する樹脂に混合するか、特許文献2に開示されているように、光触媒を、防水被膜の上にバインダー樹脂を介して固着させるものであるか、又は特許文献3に開示されているように、表面層の一部に光触媒を練り込んだ樹脂を配して、光触媒の使用量を少なくしたものが試みられている。後者の例としては、特許文献4に開示されている様に、光触媒粒子を表面被膜に熱圧着して担持させるものである。
また、防水シートは、テントや自動車のカバーなど、折り畳んで格納できる機能も必要であり、折り畳みが容易なように、柔らかくドレープ性に優れているものが強く望まれている。また、折り畳んだ時に折れ筋や表皮の亀裂の発生は問題外であり、表皮を形成する樹脂は、軟質で耐候性の高いものが望まれている。しかし、該樹脂に光触媒などの粒子を混合すると、硬くなってドレープ性が低下して、折れ筋などが発生し易くなり、また、混合した粒子が障害となりウエルダー加工の低下を招き、光触媒を用いた防汚防水シートは加工上と使用の利便性の点で門他姓があり、高価な光触媒を量多く使用するため従来品より価格が高くなるという経済的な問題がある。
特開平9−78454号公報
特開2001−162172号公報
特開2003−211569号公報
特許2939524号公報
前記した特許文献2や特許文献3のように、光触媒を、バインダー樹脂を介して基材に固着して屋外シートとして使用すると、バインダー樹脂が光に暴露されて劣化するため、光触媒が剥がれ落ちてしまうという問題があった。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、光触媒の触媒機能が効率よく発揮できるように存在させ、コストが安く、ウエルダー加工性も良好で、軽量性も確保できる防汚性シート及び防汚性屋外用防水シート、並びにその製造方法を提供する。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、繊維基材の少なくとも一表面に樹脂被膜を備えたシートであって、前記樹脂被膜の少なくとも一表面には、親水性無機化合物で被覆された光触媒が存在し、前記光触媒の平均一次粒子径は1nm以上100nm未満であり、前記光触媒は前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めて塗布されており、 前記光触媒は樹脂被膜面に吸着されて固定・担持されていることを特徴とする。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、前記繊維基材の少なくとも一表面に樹脂被膜を備えたシートの樹脂皮膜面を平滑処理により平滑化すると共に、その上にフレキソ印刷機又はロールコーターを用いて、水に懸濁させた前記親水性無機化合物で被覆された光触媒を、前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めるように印刷又は塗布し、乾燥して、前記光触媒を樹脂被膜面に吸着させて固定・担持させることを特徴とする。
本発明は、樹脂被膜表面に、微粉末の光触媒を、バインダー樹脂を使用せず、吸着・固着させることにより、光触媒の触媒機能を効率よく発揮させ、コストは安く、ウエルダー加工性も良好で、軽量性も確保できる防汚性屋外用防水シートを提供できる。
本発明は、防汚したい面の表面の少なくとも面積比で20%以上占める様に多数の点状に、又は全面に、薄く光触媒を固着・担持させて防汚性を付与した防汚性屋外用防水シートに関する。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、無機物である光触媒をシート表面に500nm未満の薄さで光触媒を塗布し、光触媒を固着させている。このため、ウエルダー加工によって接着加工する場合、光触媒が固着している熱可塑性樹脂被膜が流動すると、光触媒層は容易に無数の亀裂を生じて、接着界面にシート表面を構成している熱可塑性樹脂が流動露出して、互いに混ざり合って一体化し、2枚のシートの界面が消失して接着することができる。この結果、縫製によらず、ウエルダー加工でテントや縁かがりが容易にでき、かつ、高価な光触媒の使用量が少なくても従来のものと同等の防汚効果を発揮する。したがって、従来の防汚性屋外用防水シートより安価に提供できて普及が容易となり、また光触媒の使用量が少ないので透光性も向上できるために、必要によっては日中の照明が不要な透光性シートとし、防汚性を付与した屋外用防水シートを提供できる。
また、剛直性の原因となる無機物の添加量が少ないため、屋外テント倉庫などの構造物だけではなく、自動車の防塵カバー、エアコンの室外機カバーや屋外保管のフレキシブルコンテナー防水カバーなど着脱のためドレープ性を要求される各種防水カバー用途でも都合良く用いることができる防汚性屋外用防水シートを提供できる。
本発明者は、光触媒が有機物を酸化劣化させることとこの周囲の有機物の劣化を防止するために光触媒の周りを無機化合物のアパタイトで被覆したアパタイト系光触媒が市販されており、微細なこのアパタイト系光触媒は吸着し易く、このアパタイト系光触媒の懸濁エマルジョン水溶液を熱可塑性樹脂フィルムに塗布してその付着状況を観察したところ、水に濡れ易い(親水性)フィルムに容易に薄く均一に塗布することができ、前記エマルジョンを乾燥すると、白い天花粉を塗した様な外観のフィルムとなり、吸着効果が大きく、簡単にはアパタイト被覆光触媒は脱落しないことを知った。
なお、平均粒子径が数μmを超えるアパタイト系光触媒は、乾くとぼろぼろ剥離して接着剤などの接着手段を用いないとフィルムに固着できなかった。
本発明に使用する基材の防水シートは、上記した様に水に懸濁した光触媒の塗布・印刷(以下印刷と略記する)を可能とするために少なくとも印刷する時には光触媒を印刷する面を出来るだけ親水化しておくのが好ましい。
本発明で、織物の被膜を構成している熱可塑性樹脂は、前記の親水性を考慮しているので、別段親水化処理を必要とはしないが、親水性が良いほど都合がよい。
親水化処理としては、経済的観点からコロナ放電処理が最も好ましいが、プラズマ処理、スルホン化処理、オゾン酸化処理や弗素処理など接着剤を用いた接着改良処理に使用する親水化処理も好ましく用いることができる。また、接着剤を用いた接着改良処理に使用するアンカー処理などで親水性を付与する薬剤や塗料を用いた親水化処理も好ましい。なお、前記したコロナ放電処理の親水持続性は長くないが、本発明で用いる光触媒を一回付着させると3か月経過しても当初と同じく強固に固着しているので、少なくとも印刷する時に親水化されていればよい。
また、軟質塩化ビニル樹脂を被覆材として用いる場合は、当該軟質塩化ビニル樹脂には、可塑剤や変性大豆油などが添加されており、アクリル樹脂などでなる添加物揮散防止層を塗布又は貼り付けることも好ましい。該添加物揮散防止層の厚みはウエルダー加工する上で、10μm未満が好ましい。このアクリル被膜は光触媒印刷に必要な親水性を有している。
このフィルムを屋外暴露して光触媒の機能を観察したが、容易には光触媒が脱落せず、光触媒による防汚効果が長期間発揮される。
アパタイト系光触媒の懸濁エマルジョン水溶液を無彫刻のフラットロールを装着したフレキソ印刷機のインクの代わりとして用いて、これら親水性フィルムに全面印刷したところ、単純に塗った時に見られた白っぽさがなく、光触媒を固着することができた。この時の光触媒層の厚みは100nmを下回っており、固着については、屋外暴露による防汚効果が発現することより確認した。
また、前記フレキソ印刷機の印刷ロールを多数の微細なドットを彫刻したロールに換えてこれら親水性フィルムに表面積の20%以上を占める様にしてドット印刷したところ、同様の結果を得た。
本発明に用いられる親水性無機化合物で被覆された光触媒としては、アパタイト被覆光触媒、シリカ被覆光触媒などが挙げられる。なお、本発明でいうアパタイト系光触媒またはシリカ系光触媒とは、アパタイト系化合物またはシリカ系化合物で覆われた光触媒のことをいう。また、親水性無機化合物は、多孔質の無機化合物であることが好ましい。さらに、前記アパタイトより、より親水性のシリカで被覆したシリカ系光触媒を検討したところ、同様の良い結果を得た。以下、簡略化のためアパタイト系光触媒で説明する。
本発明のもう1つの主題である、ドレープ性について調査したところ、防水のための樹脂被覆は、軟質の樹脂を用い、出きるだけ薄い被覆を行うのが好ましい。また、ウエルダー加工を容易に行うには、その樹脂厚みを80μm以上とするのが好ましい。
また、塩化ビニル樹脂用のウエルダー加工機を用いてウエルダー加工できる熱可塑性樹脂として、人工皮革の含浸接着剤に使われている耐候性の良いポリウレタンエラストマーやエチレン・酢酸ビニル共重合体がある。廃棄処分で環境に優しい対応を望む脱塩素系高分子動向に対応して塩化ビニル樹脂を嫌う用途には、このポリウレタンエラストマーやエチレン・酢酸ビニル共重合体を使用した防水シートに適用できる。すなわち、上記したフレキソ印刷機を用いて、光触媒粒子の平均一次粒子径が20〜30nmの光触媒で全面に平均厚みが200nmの光触媒層を印刷したシートは、塩化ビニル樹脂被覆防水シートと同様にウエルダー加工できる。
織物としてポリエチレンテレフタレート繊維とポリプロピレン繊維、それぞれからなる織物に、前記した軟質塩化ビニル樹脂とポリウレタンエラストマーを夫々含浸させ、その片面に、厚さ90μmの同じ樹脂の被覆層を形成させた。この被覆層に、フレキソ印刷機を用いて、水に懸濁させたアパタイト被覆アナターゼ型酸化チタンエマルジョンを全面印刷し、よく乾燥して、光触媒層の厚みが約100nmの防汚防水シートとした。得られたシートは指で擦っても粘着テープによる剥離テストでも大半の光触媒がしっかり固着しており、これを3か月間室外に放置して暴露したところ、雨水によって汚れが除去され、防汚性を有することを確認した。
これらの防水シートは、光触媒層の厚みが極めて薄いため、塩化ビニル樹脂用のウエルダー加工機を用いてウエルダー加工して貼り合わせを行ったところ、貼りあわせシート界面でなく、被覆樹脂層で破断(凝集破壊)する十分な貼り合わせ強力で接合できた。このシートを用いて屋外で暴露テストを行ったところ、防汚処理をしていない防水シートに比べ、格段に汚れが付着しておらず、また、ドレープ性も、防汚処理前後で目立った差が無く、目的のウエルダー加工が容易にできた。したがって、ドレープ性に優れ、光触媒によって防汚性が付与された屋外用防水シートとすることができた。
本発明の防汚防水シートは、光触媒で全面又は微細なドット状の無数の無機化合物の光触媒で少なくとも1表面が覆われているが、光触媒層の厚みが500nm未満と極めて薄く、光触媒が吸着して固定されている下地の熱可塑性樹脂からなる被膜がウエルダー加工によって軟化すると、容易に無数のひび割れを起こして、このひび割れより被覆樹脂が露出・浸入してくるので、ウエルダー加工で、貼り合わせするシート同士の樹脂が相溶してしっかりと接着できる。そのため、従来の光触媒を使用した防汚防水シートが手数をかけないとできなかったウエルダー加工を、汎用されている塩ビ用のウエルダー加工機で、そのまま容易にウエルダー接着できるという特徴を有している。
本発明の防汚防水シートは、極めて薄い、500nm未満という厚さの無機化合物の光触媒の層で少なくとも1表面が覆われているため、該表面を表面として、テントや幌として、屋外で使用しても、光触媒の酸化作用で生じる防汚性が格段に優れており、有機性の汚れによるくすみなどが極端に少なく、従来の光触媒で全面が覆われている原料着色によって着色されている防水シートに比べ、白さが無く、色鮮やかさに優れたシートとすることができる。
なお、上記光触媒層は必ずしも全面に塗布されていなくとも防汚性に不都合でなく、上記光触媒が、微細な無数の点状に印刷され、下地の熱可塑性樹脂被膜が露出していても、印刷された点の大きさにもよるが、その印刷面積が、20面積%を超えていれば同様の防汚効果を発揮する。具体的には、微細な点状の印刷点が、その点の面積を0.13mm2未満とし、出来るだけ幾何学的に均等に配されて印刷いるのが最も好ましく、印刷面積の増大につれ点の面積は大きくしても良い。その配置は均等であるのが好ましい。
前記において、さらには、フレキソ印刷機、グラビア印刷機やドットプリンターを用いると、光触媒が印刷されていない部分に任意の顔料を印刷できるので、文字やデザイン絵を光触媒の塗布と同時に描くことも容易にできる。これらは、間近かで見るのではなく、ある程度離れた場所から見る用途が大半であるため、表示の目的をも十分発揮できる。なお、光触媒の印刷状態を確認するため、耐候性の無いメチレンブルーなどの染料を光触媒印刷液に添加し、印刷すると印刷状態の状況把握が簡単にでき、これを日光暴露すると、例えば春の快晴の日に暴露すると約6時間で、該染料が酸化分解されて無色化され、添加されていない商品と同じ状態に復帰する。この原理を使用して、テントなどの寸法表示や形の印刷を行い、縫製をし易くすることや、最終ユーザー宛の使用上の注意書きなども印刷できる。
なお、本発明では、防汚性屋外用防水シートとして屋外で使用している時に、シートの表面に光で活性化されて超親水性となった光触媒が全面に、又は、微細な点状に多数付着しており、雨滴が該光触媒に接触するとその親水性のために雨滴を捕獲する。微細な点状の場合も雨滴が多数か大きいと、隣接する光触媒とも接触し、シート全面が雨水で覆われて、シート表面に付着している汚れを押し流して洗浄効果を発現すると推定される。すなわち、シート表面全体に光触媒が塗布されていても、部分的に塗布されていても同様の洗浄効果を発揮する。
本発明の防汚防水シートは、該シート表面に固定されている光触媒の、光触媒を覆う親水性無機化合物が吸着性にも優れているために、汚れと水を吸着し、光触媒が日光によって分解させているために防汚効果を発揮すると推定される。
本発明では、微細な吸着能のあるアパタイトで覆った光触媒を使用し、このアパタイトの吸着力で光触媒をシートに保持、固定させることを基本とし、光触媒層の厚みを500nm未満と極めて薄くしたことにより、光触媒の付着量を少なくして透明性を向上させ、光触媒の全面塗布による白化を回避し、かつウエルダー加工可能としたものである。
本発明の防汚防水シートは、最初から光触媒が表面に露出しており、防汚効果を発揮する。
また、本発明の薄い光触媒層は、防汚したい面全面に塗布する必要もなく、塗布形態をドットプリントの点状印刷として部分印刷とすることで光触媒の塗布絶対面積と量をさらに少なくして、経済的で防汚性があり、かつウエルダー加工可能としたものも含まれる。
前記した部分塗布の本発明の光触媒の使用量は、表面被覆割合を50%としても、全面に表面に塗布する方法に比べ50%であり、一般に行われている従来の樹脂含浸方法の10%の塗布量であるから、従来の樹脂含浸方法に比べれば、5%以下の使用量となり、印刷などの費用が増えても同等の防汚効果を発揮する上での商品としての経済効果は大きい。
本発明の防水シートは、被膜が難燃性の塩化ビニル樹脂などの塩素含有熱可塑性樹脂であったり、縮重合高分子であるため燐系難燃剤で簡単に難燃化できるウレタンエラストマーで被覆されているため、難燃性の必要な用途に、容易に難燃化して対応ができる。
本発明では、微細な吸着能のあるアパタイトやシリカで覆った光触媒を使用し、この被覆材の吸着力で光触媒をシートに保持、固定させることを基本とし、光触媒層の厚みを500nm未満と極めて薄くなしたため、ウエルダー加工可能としたものである。
また、本発明の薄い光触媒層は、防汚したい面全面に塗布する必要もなく、塗布形態をドットプリントの点状印刷として部分印刷とすることで光触媒の塗布絶対面積と量をさらに少なくして、経済的で防汚性があり、かつウエルダー加工可能としたものも含まれる。
本発明に使用する光触媒は、アナターゼ型酸化チタンなど公知の光触媒が都合良く用いられ、これら光触媒は周辺の樹脂の劣化を低減する対策のために親水性無機化合物で被覆されており、本発明ではこの被覆されている光触媒を使用する。
また、本発明に使用する光触媒は、市販されている極微小の粉体を用いるが、平均一次粒子径が100nm未満のものも市販されており、後述する吸着効果を高めるために、本発明は、親水性の無機化合物で被覆された、平均一次粒子径が100nm未満、好ましくは50nm未満、さらにより好ましくは数十nmの微細な光触媒粒子を使用しており、従来から一般的な平均一次粒子径が数mm〜数μmの粒子と挙動や勝手が異なり、この分岐点は100nm前後にある様である。親水性の無機化合物であるアパタイトやシリカの平均一次粒子径が数十nmの微細な粒子は、親水性の樹脂被膜に吸着して、固着する現象を生じる。なお、微小の粉体に付き物の二次凝集は避けることが好ましく、凝集した場合のその二次凝集粒子は、数が少なく、その径は1μm未満が好ましい。より好ましくは500nm未満であり、さらに小さいほど表面積が大きくなって吸着力が向上して、固着力が高くなるのでさらに好ましくなるのである。
さらに、本発明で使用する光触媒は、光触媒を被覆している物質を親水性無機化合物としている。親水性無機化合物としてはアパタイトやシリカがあり、これらの微粉末はガスなどを極めて吸着し易いことが知られている。この被覆されたアパタイト被覆光触媒やシリカ被覆光触媒は、単品の化合物と同様に吸着能が高く、逆に親水性高分子に自身が吸着して固着する現象を本発明者らは確認したのである。なお、吸着現象は同じ吸着材では表面積が大きいほど大きいこと、そして、粉体では粒子径が小さいほど単位重量当たりの表面積が大きいことが周知であり、すなわち、逆に吸着材が極小であるほど物に吸着し易いことになる。この理由により前記した本発明に使用する光触媒の粒子径が決まるのである。
具体的には、前記したアパタイトやシリカの粒子は、良好な親水性を示し、数mm〜数μmの粒子は、良好なガス吸着材でもある。これらは水に容易に分散させて懸濁液とでき、長時間の保管で沈殿を生じる。しかしこれらの数十nmの微細な粒子は、濃度によって増粘効果を生じ、1カ月の保管でも沈殿を生じない、また、水希釈する時、希釈水のpHによって粘度むらのある液(ままこ)となるなど、数mm〜数μmの粒子と異なる現象があり、これら水懸濁液を、この液を撥かないほどの親水性を示す樹脂フィルム、例えば塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などに薄く塗布して乾かすと、水に濡れた様に該フィルムに綺麗に付着する。当然ながら、樹脂フィルムの表面の凹凸よりも付着厚みははるかに小さく、鋭い刃の刃物で該フィルムの表面を這わせても一部のフィルム表面が付着粒子と共に削りとられるだけで、ほとんど全ての付着粒子はフィルム表面に残存しており、水中で洗っても、塗布面した部分での、付着粒子が除去された表面は発見できなかった。たぶん、過剰に塗布された粒子は脱落していると思われるが、水洗しても、少なくとも光触媒を塗布した部分は全て当該粒子で覆われている結果を得た。
なお、本発明に使用する光触媒粒子は、塗布するのが簡易な様に、水の懸濁液として塗布に供するのが都合良く、該懸濁液には、水や光触媒粒子以外に、分散剤、粘度調整剤やPH調整剤などを適宜加えて調合して、2次凝集や光触媒粒子の沈殿分離を防ぐ又は遅延させることが好ましい。なお、本発明では、上記懸濁液にバインダー樹脂、あるいは通常の印刷インクに含まれるバインダー成分を含むことなく、前記光触媒が樹脂被膜表面に吸着されて固着・担持される。また、使用する光触媒粒子は純度が100%でなくても実用上不都合はなく、光触媒粒子の表面を被覆しているアパタイトやシリカあるいは他の親水性無機化合物のみの、本発明の光触媒粒子相当の粒子径の微粒子が混在しても不都合ではない。光触媒を含有する光触媒粒子と他の粒子の割合は、全面塗布の場合は光触媒粒子が少なくとも20質量%であり、部分塗布の場合は、塗布面積割合(A面積%)×光触媒粒子混合割合(B質量%)>20を少なくとも満足する光触媒粒子混合割合が望ましい。前記混合割合を下回ると、防汚効果が不十分となる場合が生じ好ましくない。
また、本発明に使用する光触媒粒子は親水性の化合物で覆われていて、水に対する分散性に優れているために水の懸濁液で説明を進めるが、速乾性を要する場合は、アルコールやアセトンなどの水に相溶する有機溶剤を添加などすることも不都合ではない。
さらに、本発明の光触媒粒子は凝集するものもあり、その平均2次凝集粒子径が500nm未満であることより、本発明における光触媒層の塗布厚みを500nm未満とした。
ウエルダー加工は2〜3μm程度までは可能だが、光触媒の使用量を少なくして、所望の防汚効果を上げるのが、経済的に好ましく、また、無機物である光触媒粒子付着層は原理的に薄いほどウエルダー加工でピンホールなく確実に接着できるので、該層の厚みを、平均2次凝集粒子径も考慮して、上記した500nm未満としたのである。なお、該層の厚みをこれより大きくした場合には、光触媒粒子が互いに凝集して集合できる2次凝集粒子径より吸着できる光触媒粒子量より過剰な塗布量となり、物理的な摩擦や吸着状態の悪化により剥がれ落ちたり、光触媒粒子の光散乱によって外見が白化する傾向が生じ、必要以上の過剰塗布は好ましくない。
以下、本発明の光触媒の水系懸濁物での説明をする。
本発明の防汚防水シートは、前記した光触媒粒子懸濁液をロール転写法で薄く塗布することで得られるが、上記した様に全面に塗布しなくとも、公知の部分塗布(点状印刷)でも防汚効果を発揮する防汚防水シートを得ることができる。
部分塗布の手段としては、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷又はドット印刷などがあり、都合良く利用できる。なお、凹版印刷のグラビア印刷などでは、光触媒粒子懸濁液の濃度をフレキソ印刷より薄くしないと過剰塗布となるので注意する必要がある。
部分塗布の場合は、微細な点の面積を0.13mm2未満とし、これらの点を幾何学的に均一な配置を行うと、塗布面積20%でも有効な防汚効果を発揮できる。点の幾何学配列が乱れたり、点の面積が大きい場合は有効な防汚効果を発揮させるために塗布の面積割合を大きくする必要がある。部分塗布の場合は印刷点の大きさや配置などの塗布状態を工夫するのが好ましい。
なお、ここで言う幾何学配列とは、例えば縦方向と横方向の2方向に、一定の間隔で並行する多数の線が交差する交点を幾何学的に配列したことをいう。もちろん千鳥配列など全ての交点上に配置しなくても、一定のルールに基づいて配列されているものを幾何学配列という。
光触媒粒子懸濁液を均一に薄く塗布するロール転写は、例えば、フレキソ印刷で、まずロールコーターで第1番目のロールの表面に薄く塗布し、印刷ロールに転写して印刷に供する装置を、印刷ロールを滑らかな表面のゴム被覆ロールや鏡面仕上げした印刷ロールに換えて行うと都合が良い。しかし、これよりもさらに薄く塗布面するには、印刷面積の大きいフレキソ印刷が都合良い。これは部分的に過剰に印刷ロールに光触媒粒子懸濁液が塗布されても液の逃げ場があるため全体として薄く塗布できる理由による。
本発明では、親水性の化合物で被覆した光触媒を主として水懸濁液で塗布するため、ウエルダー加工できる防水被膜を、水濡れ性のある熱可塑性樹脂である、可塑材を含む軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホン化エチレンゴム、又は、融点が140℃以下のウレタンエラストマー樹脂で形成して、光触媒の塗布を確実にしており、これら樹脂で被覆、防水される、防水シート基布として、一般的に現用されている、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アクリル繊維、木綿又はレーヨンなどのセルロース繊維及びガラス繊維から選ばれた1つ又は複数種の繊維からなる織物を使用したものである。
なお、前記したウエルダー加工できる防水被膜は、光触媒粒子の水懸濁液を塗布するため、この液をはじく素材は目的に合わないので、非撥水性熱可塑性樹脂としたが、親水性樹脂はさらに好ましい。また、ウエルダー加工で熱接着できる素材でなければならないので、現在防水シートに使用されている前記した防水被覆素材とした。本発明では現在汎用されている防水シートを安価に供給できる防汚防水シートとすることを最大の目的としており、他にも相応しい素材がある。したがって、柔軟性を求める用途では、前記していない水素添加スチレンーブタジエンエラストマーなど軟質樹脂や軟質化剤を添加することはなんら不都合ではない。また、液濡れ性を改善するため、コロナ放電処理やフレームプラズマ処理などの表面改質による接着性改善処理や、スルホン化処理、オゾン酸化処理や弗素処理など接着剤を用いた接着改良処理に使用する親水化処理を行うのは好ましい。しかし、販売価格を考慮することも大事であり、前記した熱可塑性樹脂は、撥水性物質の不添加や混入に注意すれば、大半はこれら表面処理が不要である。
また、前記したウエルダー加工できる防水被膜形成材に、ウエルダー加工をさらに容易にするため、誘電体損失と誘電率を向上させるウエルダー加工向上材を添加したり、難燃性を付与又は向上させるために難燃剤を添加することも品質上好ましい。
また、本発明の防水シートの基材である基布は、強度などの物性を担当する因子であり、テント倉庫などの簡易な構造の建築物を規定している平成12年建設省告示1443号文献に記載のガラス繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維やポリピニルアルコール繊維からなる織物が都合良く用いられ、これに加えてポリプロピレン繊維、アクリル繊維や木綿又はレーヨンなどのセルロース繊維からなる織物も同様に都合良い。
また、これら繊維は、紡績糸やマルチフィラメント繊維、及びコアーヤーンなどの糸条であるのが織り易く都合が良い。また繊維が分割タイプの繊維にあっては、これらの糸条の織物を高圧スパンレース加工して分割処理した極細繊維を含む織物もドレープ性を向上させ得るので好ましい。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、自動車カバーやテントなどの軽量化とドレープ性を重視してウエルダー加工ではなく縫製によって商品を仕上げる用途には、片面の樹脂被覆で十分であるが、テント倉庫などのウエルダー加工を必須要件とする場合は、被膜を形成している樹脂が前記織物内部にも浸透しており、もう片面にも該樹脂が露出している状態となっている必要がある。
後者の用途の本発明のウエルダー加工できる防水被膜は、防水シート基布との密着性を高めて摩擦などの物理的要因や熱収縮などの熱要因などによって基布からの剥離を防ぐため、被膜を形成している樹脂が基布の織物内部にも浸透して、もう片面にも該樹脂が露出している状態となっていることも耐久性向上の点と、表裏面のウエルダー加工接着の点で好ましい。この場合、片面にのみ防水被膜を形成している場合は、基布上の片面の防水被膜の厚みが少なくとも80μmであることが、表裏の重ね合わせでウエルダー加工する時は必要である。防水被膜面(表面)同士の貼り合せには少なくとも40μmの厚みが必要であり、両面に防水被膜を形成してなる時は、夫々の厚みが少なくとも40μmである必要がある。
また、着色を要望される時は、防水被膜形成材に着色用の無機顔料又は耐候性の良い有機顔料又は染料を混合し着色することも好ましく、前記被膜上に、着色用の無機顔料又は耐候性の良い有機顔料又は染料で絵や文字を印刷し、その上に光触媒塗膜を形成することも好ましい。また、光触媒層が点状印刷で塗布されている時は、光触媒が印刷されている点を除き、他の部分に、着色用の無機顔料又は耐候性の良い有機顔料又は染料で着色された点を印刷して着色あるいは文字や絵を印刷することも好ましい。
本発明において、前記繊維基材の少なくとも一表面に樹脂被膜を備えたシートの樹脂被膜面には、平滑処理により平滑化するとよい。平滑処理としては、例えば、カレンダーロールによる平滑化が挙げられる。
なお、本発明の防汚性屋外用防水シートは、光触媒を塗布しても無色透明に近いため、塗布していないものと区別がつきにくく、品質管理や生産する上で光触媒層の塗布状況を把握する必要がある場合や、シート素材の加工上や、顧客への使用上の説明など、一時的に線、印、文字や絵を表示したい場合は、光触媒粒子懸濁液にメチレンブルーなどの耐候性の劣る有機染料を添加して着色液としてこれらを印刷して目的を達することも大変好ましく、これらの印刷は短期の使用で退色して無着色の状態となるので使用には全く差し支えなくなる。
また、光触媒の塗布面をアクリル樹脂を2〜5μmと極めて薄くコーティングするなど、塗布状態をより向上させるため平滑性を強化し、併せて添加物揮散防止も行う手段を講じることも光触媒を固定する上で好ましいが、光触媒の塗布後のウエルダー加工性をも考慮する必要がある。このコーティングはドツト印刷時のインクにじみを防止する上で極めて効果があり、本発明の防汚防水シートに有機染料でドット印刷すると、屋外掲示では、染料により数ヶ月から数年で消色することが出来、再印刷することでリユースが可能となる。
前記した、光触媒を印刷・塗布するにおいて、印刷時は少なくともシート表面が親水性であり、親水性のシート表面に光触媒を内包する親水性無機化合物が少なくとも吸着されて固着される。即ち、該親水性無機化合物を介して光触媒がシート表面に固着する。言い換えると、光触媒が印刷面の表面に固定・担持されるのである。
この固着は前記した様に、しっかり固着しており、吸着効果が大きくて、簡単には塗布したアパタイト被覆光触媒を除去できない状態と容易にすることができる。
上記の実例は、ウエルダー加工するためにエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とし、ポリプロピレン繊維との親和性向上のためのエチレン・プロピレン共重合体と、柔軟性を向上させるための水素添加スチレン・ブタジエン系エラストマーを混練りした配合熱可塑性樹脂をポリプロピレン繊維製織物にTダイを用いてラミネートし、ラミネート面をコロナ放電処理した後、ロール転写で薄く光触媒粒子懸濁液を塗布する。この塗布は該懸濁液がはじかれることも無くスムーズにラミネート面に馴染み、転写される。これを乾かすと、ウエルダー加工で縫製できるポリオレフィン主体の軽量化防汚防水シートに容易にすることができる、防汚防水シートである。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、テント倉庫などの建築物用途向けのシートは、厚みが0.5mm〜0.7mmであり、目付けを600〜900g/m2とし、引っ張り強力を400〜900cN/cmとし、耐水性を2000mmH2Oとするのが好ましい。防水カバー向けシートは目付けを減らした400〜700g/m2のものであるが、用途により、これ以外でも不都合はない。
また、これら織物を防水する熱可塑性樹脂として、前記告示の塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴムやクロロスルホン化エチレンゴムに加え、可塑材を含む軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、融点が140℃以下のウレタンエラストマー樹脂も都合良く用いることができる。前者は主としてテント倉庫などの建築物用途のシートであり、後者はドレープ性を必要としているトラックの防水シートなどの防水カバー用途のシートである。
本発明の樹脂被覆して防水機能を持たせた防水シートの、光触媒を塗布する表面を形成する樹脂は、特別なウエルダー加工機ではなく、現状の塩ビで樹脂加工された防水シートの接着に汎用されているウエルダー加工でもウエルダー加工できることが最も好ましいため、前記した様に可塑材を含む軟質塩化ビニル樹脂や融点が140℃以下のウレタンエラストマー樹脂などを使用したが、ウエルダー加工できる他の非撥水性熱可塑性樹脂であっても何ら差し支えない。しかしウエルダー加工の観点から融点が140℃以下の樹脂がより好ましい。また本発明で樹脂素材を使用したのは、素材として耐候性を要求される用途が過半を占めており、耐候性の実績のある、例えば、現在流通している防水シートに光触媒を塗布して防汚性防水シートとすることも考慮しているためである。
なお、これらをウエルダー加工して縫製する都合上、融点は100℃を超え、140℃以下のものが都合良く、融点が高くても可塑剤を添加して140℃以下の見かけの融点(軟化点)としても良い。特にウレタンエラストマー樹脂の前記上限温度は、最も日本で普及している塩化ビニル樹脂に使用するウエルダー加工機での縫製を可能とするものである。
さらに、本発明では、加工成形と品質確保の都合上、含浸している樹脂と表皮を形成している樹脂が異なっても良く、同じ種類であっても可塑剤の添加量や軟化温度が異なった種類であってもなんら問題はない。
また、上記で、樹脂被覆材のウレタンエラストマー樹脂の融点を140℃以下としたのは、汎用されている塩ビのウエルダー加工機の加工性からの制限によるものであり、特別なウエルダー加工機を用意するのであれば制限はないのは無論であるが、少なくとも基布を形成している繊維より20℃下回る融点の熱可塑性樹脂である方が加工上好ましい。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、光透過性を重視して光触媒以外の無機物を含まない場合、基布をポリエチレンテレフタレート繊維とする時は、該繊維に紫外線吸収剤を添加して耐候性を強化しておくことが必要であり、薬剤としてベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を使用するのが好ましい。また、他の基布を用いる場合にあっても耐候剤の添加が望ましい。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、従来の防汚性屋外用防水シートと異なり、光触媒が全く被覆されていないため最初から防汚効果を発揮し得るが、過剰に塗布された余分な光触媒の脱落と他の物への光触媒の付着を防止するため、予め光触媒印刷面に水を塗布又は噴霧させた後に該印刷面に紫外線照射して光触媒を活性化させ、さらに水で洗浄することで、使用直後から光触媒の脱落もなく防汚効果を発揮させ得る様にすることも容易に可能である。
本発明の光触媒を用いた防汚処理方法は、防水シートの少なくとも1表面に、ナノ粒子の光触媒粒子を吸着効果で固着させ、この光触媒によって防汚効果を発揮させるものである。
即ち、本発明の防汚防水シートは、ウエルダー加工可能な熱可塑性樹脂被膜で覆われた防水シートの少なくとも1表面に、平均一次粒子径が数十nmと極めて微細な親水性無機化合物を表面とするナノ粒子の懸濁液が薄く塗布され、該ナノ粒子は熱可塑性樹脂被膜に吸着して固着している。該ナノ粒子は親水性無機化合物であるアパタイト系又はシリカ系化合物で覆われた光触媒であって、該ナノ粒子の固着はすなわち光触媒の固着に他ならない。
光触媒が親水性無機化合物で覆われており、該無機化合物を介してシート被膜に固着しているため、直接被膜に接している場合より光触媒による劣化は少ない。この様な状態で光触媒が防水シート表面に固着(担持)されているため、シートに付着又は沈着した有機塵埃は、光触媒で酸化分解されて水溶性となる。本発明の光触媒粒子は親水性化合物で覆われており、降雨があると雨滴に良く濡れる。過剰の雨滴は流れ出して前記した酸化分解された有機塵埃と無機性塵埃を流し落とすことで、防汚効果を発揮させるものである。
なお、本発明で用いる親水性無機化合物で覆われている光触媒粒子は前記した様にナノ粒子であり、この吸着効果でシート表面に固着しているため、塗布する光触媒層は500nm未満と極めて薄く、ウエルダー加工で被覆している熱可塑性樹脂層を軟化・流動させると、容易に亀裂を生じて熱可塑性樹脂の表面流出を生じる。本発明では表面に露出する熱可塑性樹脂を少なくとも用いて、ウエルダー加工によって接着成形加工に供して、ウエルダー加工を良好に行えるのである。
次に、本発明の効果を実施例と比較例で具体的に説明する。なお、以下ではアパタイト被覆光触媒で説明するが、シリカ被覆光触媒も同様である。また、主にポリエチレンテレフタレート繊維織物で説明するが他の織物も同様に実施できる。
(使用する光触媒)
本実施例で用いるアパタイト系化合物で覆われた光触媒は、例えば昭和電工社から商品名“ジュピター”として販売されており、その平均一次粒子径は約30nm、凝集した平均2次粒子径は200〜500nmである。これらの光触媒を溶媒に均一分散させたものを用いて印刷する。この光触媒は十分に微細なため、樹脂表面に極めて吸着され易くなっている。
本実施例で用いるアパタイト系化合物で覆われた光触媒は、例えば昭和電工社から商品名“ジュピター”として販売されており、その平均一次粒子径は約30nm、凝集した平均2次粒子径は200〜500nmである。これらの光触媒を溶媒に均一分散させたものを用いて印刷する。この光触媒は十分に微細なため、樹脂表面に極めて吸着され易くなっている。
この光触媒の、例えば水への均一分散には、極少量の分散増粘剤や浸透剤を、場合によっては、アルコール類を添加して、粒子の沈降を防ぐための水懸濁液の安定性向上や印刷適正の向上を行った印刷液として使用するのが都合良い。
使用する光触媒は微細であり、ドット印刷して樹脂被膜に乗せると、被膜表面に吸着される。
なお、本実施例の光触媒はアナターゼ型の酸化チタンだけでなく、一般に公知の光触媒をアパタイト系又はシリカ系化合物で覆うことで、同様に使用できる。
本発明の実施例で使用するアパタイト系又はシリカ系化合物で覆われた光触媒の大きさは、光触媒を主として吸着させて固定するため、500nm、さらには100nm以下であり、微細なほどより好ましい。また2次凝集をできるだけ防ぐ工夫をした光触媒液が好ましい。
以上の理由で、上記の光触媒を以下の実施例で使用して説明する。なお、光触媒としてアパタイトと同様に親水性であるシリカで被覆されているシリカ系光触媒も全くアパタイト系光触媒と同様であった。
本発明の実施例で使用する印刷液は、前記粒子径の昭和電工社製アパタイト化合物でコーティングされたアパタイト系光触媒微粒子20質量%と粒子分散のための浸透剤0.5質量%の水溶液に、分散光触媒微粒子を保管中に沈降分離させ難くするための分散増粘剤0.4質量%を添加して混合したもので、数百(約300)センチポイズの粘度の液である。粘度は分散増粘剤の添加量を変えることで任意に設定でき、フレキソ印刷機に合わせている。
(使用する防水シートの基布)
1.7dtexのポリエチレンテレフタレート(PET)からなるステープル繊維を紡績して10番手の単糸(10s/1と表示する)を用い、縦糸46本/インチ(織密度46と表示)横糸43本/インチ(織密度43と表示)の目付け230g/m2のPET織物Aとする。
1.7dtexのポリエチレンテレフタレート(PET)からなるステープル繊維を紡績して10番手の単糸(10s/1と表示する)を用い、縦糸46本/インチ(織密度46と表示)横糸43本/インチ(織密度43と表示)の目付け230g/m2のPET織物Aとする。
同じく、20番手PET紡績糸の双糸(20s/2と表示する)を縦糸とし、横糸を(10s/1)とする織密度(縦49本/インチ、横46本/インチ)の目付け250g/m2のPET織物Bとする。
PET繊維を2dtexのポリプロピレン(PP)からなるステープル繊維を紡績して10s/1紡績糸とし、織密度(縦46本/インチ、横43本/インチ)の目付け230g/m2のPP織物Cとする。
同じく10番手綿糸を用い、織密度(縦49本/インチ、横46本/インチ)の目付け250g/m2の織物Dとする。
5.5dtex、72フィラメントのPETマルチフィラメントを3子撚りした糸条を用い、織密度(縦14本/インチ、横14本/インチ)の目付け155g/m2のPET織物Eとする。
直径3μmのガラス繊維からなる、目付けが365g/m2のガラス繊維平織物をガラス織物Fとする。
(使用する防水シート)
前記した織物A、織物Cと織物Dを、下記の可塑剤及び添加剤を添加したペースト塩化ビニル樹脂を、トルエンを溶剤としたオルガノゾル1とし、この浴に1面を浸漬して片面からオルガノゾル1を均一に注入し、これを引き上げると同時にマングルローラーで圧搾して、少なくとも片面均一に塩化ビニル樹脂を含浸・付着させた。次に、150℃と175℃の熱風乾燥機でそれぞれ1分乾燥・熱処理した。続いて再びオルガノゾル1浴にもう片面を浸漬してもう片面からもオルガノゾル1を均一に注入し、これを引き上げると同時にマングルローラーで圧搾して、少なくとももう片面にも均一に塩化ビニル樹脂を含浸・付着させた。次に、前記同様に150℃と175℃の熱風乾燥機でそれぞれ1分乾燥・熱処理し、引き続いて180℃の熱ロールで少なくとも片面の表面を滑らかにして、塩化ビニル樹脂の含浸量が310g/m2で厚みが約0.5mmのシートA1、シートC1とシートD1とした。
前記した織物A、織物Cと織物Dを、下記の可塑剤及び添加剤を添加したペースト塩化ビニル樹脂を、トルエンを溶剤としたオルガノゾル1とし、この浴に1面を浸漬して片面からオルガノゾル1を均一に注入し、これを引き上げると同時にマングルローラーで圧搾して、少なくとも片面均一に塩化ビニル樹脂を含浸・付着させた。次に、150℃と175℃の熱風乾燥機でそれぞれ1分乾燥・熱処理した。続いて再びオルガノゾル1浴にもう片面を浸漬してもう片面からもオルガノゾル1を均一に注入し、これを引き上げると同時にマングルローラーで圧搾して、少なくとももう片面にも均一に塩化ビニル樹脂を含浸・付着させた。次に、前記同様に150℃と175℃の熱風乾燥機でそれぞれ1分乾燥・熱処理し、引き続いて180℃の熱ロールで少なくとも片面の表面を滑らかにして、塩化ビニル樹脂の含浸量が310g/m2で厚みが約0.5mmのシートA1、シートC1とシートD1とした。
織物Bと織物Aを、1回目のオルガノゾル1浴での塩化ビニル樹脂の含浸を少なくし、2回目の含浸をシートA1と同様の含浸量に増やして、この面を熱ロールで滑らかにして、塩化ビニル樹脂の含浸量が300g/m2で織物Bは厚みが約0.6mm、織物Aは約0.5mmのシートB1とシートA3とした。
シートA1、シートC1とシートD1において、片面含浸して乾燥・熱処理後、直ちに180℃の熱ロールで片面の表面を滑らかにして、塩化ビニル樹脂の含浸量が155g/m2で厚みが約0.5mmのシートA2、シートC2とシートD2とした。
シートA1と同様にして、PET織物Eとガラス織物Fに両面より塩化ビニル樹脂を含浸・付着させて厚みが約0.5mmのシートE1とシートF1とした。
また、シートA1の片面に添加物揮散防止のための、目付け8g/m2のアクリル樹脂(固形分30質量%のソニーボンドSC−474を使用)層をロールコーターで塗り、100℃の熱風乾燥機で乾燥して添加物揮散防止層付きのシートA4とした。
<可塑剤及び添加剤を添加したペースト塩化ビニル樹脂>
ペースト塩化ビニル樹脂(P−1600) 100質量部
可塑剤(アジピン酸ポリエステルとDINP) 65質量部
その他、変性大豆油、防黴剤、着色材、安定剤、硬化剤 16質量部
溶剤(トルエン) 20質量部
[実施例1〜5、比較例1]
シートA1、シートC1、シートD1、シートE1とシートF1の熱ロールで滑らかにした面に、彫刻前の平滑ゴム板を貼り付けた20cm幅のフレキソ印刷機を用いて、前記した昭和電工社製アパタイト化合物(商品名“ジュピター”)の水懸濁液で、全面印刷して、本実施例の防汚防水シートとした。
ペースト塩化ビニル樹脂(P−1600) 100質量部
可塑剤(アジピン酸ポリエステルとDINP) 65質量部
その他、変性大豆油、防黴剤、着色材、安定剤、硬化剤 16質量部
溶剤(トルエン) 20質量部
[実施例1〜5、比較例1]
シートA1、シートC1、シートD1、シートE1とシートF1の熱ロールで滑らかにした面に、彫刻前の平滑ゴム板を貼り付けた20cm幅のフレキソ印刷機を用いて、前記した昭和電工社製アパタイト化合物(商品名“ジュピター”)の水懸濁液で、全面印刷して、本実施例の防汚防水シートとした。
これらは、一見して光触媒を印刷されているとは判らず、斜めから反射光を通してみて、表面のてかり(反射)を比べることで印刷した部分と印刷していない部分を判断することが出来るほど薄く印刷されており、カッターナイフで傷をつけて端面の塗布厚みを走査型電子顕微鏡を用いて計測したところ、約200〜300nmであった。
これらと光触媒を印刷していないシートA1(比較例1)を夏場の3カ月間屋外で日光暴露したところ、比較例のシートA1は汚れが目立つ状態であったが、印刷面を暴露面としたこれら実施例はいずれも最初の降雨から、雨筋は着かず暴露開始時との変化はなかった。
また、これらを塩化ビニル用のウエルダー加工機で接着を試みたが、光触媒印刷面同士でもしっかり接着し、テントとしての使用には全く問題の無い接着状況であった。
なお、光触媒の印刷において、熱風で乾燥したものは、巻き取ったときに光触媒の移りが無く印刷が良好であり、これを実施例とするが、乾燥を積極的に行わず風乾により巻き取ったものは光触媒の移りや滲みを生じるが、防汚性とウエルダー加工性は全く変わらず、見栄えも目でみても変わりが無かった。
なお、光触媒を塗布しても、塗布していないものとてかり以外は識別がつかないので、僅かに着色剤としてメチレンブルーを添加して、極めて薄く青色に着色し、品質保証上の塗布むらの確認を行ったが、かなり均一の厚みで塗布ができていた。
[実施例6]
シートA1の熱ロールで滑らかにした面にフレキソ印刷機を用いて、実施例1の水系印刷液で、点状ドット1個当たりの面積を0.1mm2とし、印刷面積が総対象面積の40%を占める様印刷して、本実施例の防汚防水シートとした。このシートは、実施例1と同様に一見して光触媒が印刷されているとは判らず、斜めから反射光を通してみて、表面のてかりを比べることで判断できる程度であった。本実施例品も0.1mm2のドットが40面積%の印刷密度で印刷されており、実施例1と同様の約300nmの厚みで印刷されていた。実施例1と同様にして夏場の3カ月間屋外で日光暴露したところ、実施例1と同様に最初の降雨から、雨筋は着かず暴露開始時との変化はなかった。
シートA1の熱ロールで滑らかにした面にフレキソ印刷機を用いて、実施例1の水系印刷液で、点状ドット1個当たりの面積を0.1mm2とし、印刷面積が総対象面積の40%を占める様印刷して、本実施例の防汚防水シートとした。このシートは、実施例1と同様に一見して光触媒が印刷されているとは判らず、斜めから反射光を通してみて、表面のてかりを比べることで判断できる程度であった。本実施例品も0.1mm2のドットが40面積%の印刷密度で印刷されており、実施例1と同様の約300nmの厚みで印刷されていた。実施例1と同様にして夏場の3カ月間屋外で日光暴露したところ、実施例1と同様に最初の降雨から、雨筋は着かず暴露開始時との変化はなかった。
また、これを塩化ビニル用のウエルダー加工機で接着を試みたが、光触媒印刷面同士でもしっかり接着し、テントとしての使用には全く問題の無い接着状況であった。
[実施例7〜8、比較例2]
シートB1とシートA3の熱ロールで滑らかにした面にフレキソ印刷機を用いて、前記した昭和電工社製アパタイト化合物の水系印刷液で、点状ドット1個当たりの面積を0.1mm2とし、印刷面積が総対象面積の25%を占める様印刷して、本実施例の防汚防水シートとした。
シートB1とシートA3の熱ロールで滑らかにした面にフレキソ印刷機を用いて、前記した昭和電工社製アパタイト化合物の水系印刷液で、点状ドット1個当たりの面積を0.1mm2とし、印刷面積が総対象面積の25%を占める様印刷して、本実施例の防汚防水シートとした。
比較例2として、シートB1に点状ドット1個当たりの面積を0.1mm2とし、印刷面積が総対象面積の15%を占める様印刷して印刷シートを作成した。光触媒層の厚みは実施例6と同様であった。
本実施例のシートは防汚性とウエルダー加工性は実施例1のシートA1と変わらず、いずれも良好であった。比較例2の印刷比率の低いシートは、ウエルダー加工は実施例1のシートA1と変わらなかったが、比較例1のシートより相当防汚性は認められるが、実施例1に比べると汚れが部分的に認められ、完全な防汚性を有してはいなかった。
[実施例9]
添加物揮散防止層付きのシートA4のアクリル樹脂層の上に、実施例1のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の防汚防水シートとした。
添加物揮散防止層付きのシートA4のアクリル樹脂層の上に、実施例1のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の防汚防水シートとした。
これのウエルダー加工性は実施例1のシートA1と変わらなかった。また、光触媒が強固に吸着し、防汚性は良好であった。
[実施例10〜12]
シートA2、シートC2とシートD2の塩化ビニル樹脂を含浸した面に、実施例1のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の防汚防水シートとした。
シートA2、シートC2とシートD2の塩化ビニル樹脂を含浸した面に、実施例1のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の防汚防水シートとした。
これの防汚性は実施例1のシートA1と変わらず光触媒が旨く吸着し、いずれも良好であった。また、ウエルダー加工は、塩化ビニル樹脂を含浸した面同士を合わせて行うと、その加工性は実施例1のシートA1と変わらず、いずれも良好であった。
[実施例13]
シートA1において、熱ロールで滑らかにした面にコロナ放電加工した後、実施例6のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の防汚防水シートとした。
シートA1において、熱ロールで滑らかにした面にコロナ放電加工した後、実施例6のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の防汚防水シートとした。
印刷の乗りが改善され、電子顕微鏡で見ると印刷がより鮮明となった。
これらの防汚性とウエルダー加工性は実施例1のシートA1と変わらず、いずれも良好であった。
[実施例14]
シートA1の片面に、アルミニウム粉を8質量%混合した下記の可塑剤及び添加剤を添加した塩化ビニル樹脂を170℃のカレンダーロールを通過させて圧延して0.2mmのフィルムとしたものをカレンダーロールで熱圧着して貼りあわせ、その上に実施例1のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の熱反射型防汚防水シートとした。
シートA1の片面に、アルミニウム粉を8質量%混合した下記の可塑剤及び添加剤を添加した塩化ビニル樹脂を170℃のカレンダーロールを通過させて圧延して0.2mmのフィルムとしたものをカレンダーロールで熱圧着して貼りあわせ、その上に実施例1のシートA1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の熱反射型防汚防水シートとした。
これのウエルダー加工性は実施例1のシートA1と変わらなかった。また、光触媒は強固に吸着し、防汚性は良好であった。
<可塑剤及び添加剤を添加した塩化ビニル樹脂>
ペースト塩化ビニル樹脂(P−1000) 100質量部
可塑剤(アジピン酸ポリエステルと高分子可塑剤) 90質量部
その他、変性大豆油、防黴剤、着色材、安定剤、硬化剤 20質量部
光反射材(アルミニウム粉) 8質量部
[実施例15]
実施例6において、フレキソ印刷機の代わりにグラビア印刷機を用い、光触媒粒子懸濁液の濃度を5質量%として実施例6と同様にして、光触媒を印刷した。若干印刷の乱れは生じたが、得られた加工品のウエルダー加工性は実施例6のシートA1と変わらなかった、また光触媒は強固に吸着し、防汚性は良好であった。光触媒層の厚みは約450nmであった。
<可塑剤及び添加剤を添加した塩化ビニル樹脂>
ペースト塩化ビニル樹脂(P−1000) 100質量部
可塑剤(アジピン酸ポリエステルと高分子可塑剤) 90質量部
その他、変性大豆油、防黴剤、着色材、安定剤、硬化剤 20質量部
光反射材(アルミニウム粉) 8質量部
[実施例15]
実施例6において、フレキソ印刷機の代わりにグラビア印刷機を用い、光触媒粒子懸濁液の濃度を5質量%として実施例6と同様にして、光触媒を印刷した。若干印刷の乱れは生じたが、得られた加工品のウエルダー加工性は実施例6のシートA1と変わらなかった、また光触媒は強固に吸着し、防汚性は良好であった。光触媒層の厚みは約450nmであった。
[比較例3]
実施例6において、フレキソ印刷機の代わりにグラビア印刷機を用い、光触媒粒子懸濁液の濃度を10%として実施例6と同様にして、光触媒を印刷した。光触媒層の厚みは約2μmであり、ウエルダー加工ができなかった。また、印刷パターンの乱れも大きく全面塗布の状態であった。
実施例6において、フレキソ印刷機の代わりにグラビア印刷機を用い、光触媒粒子懸濁液の濃度を10%として実施例6と同様にして、光触媒を印刷した。光触媒層の厚みは約2μmであり、ウエルダー加工ができなかった。また、印刷パターンの乱れも大きく全面塗布の状態であった。
[比較例4]
アパタイトで被覆された光触媒で、平均一次粒子径が2μmのものを用いて、シートA1の片面に手塗りしたが、乾くとぼろぼろ剥離してシートへの固着が悪かった。
アパタイトで被覆された光触媒で、平均一次粒子径が2μmのものを用いて、シートA1の片面に手塗りしたが、乾くとぼろぼろ剥離してシートへの固着が悪かった。
[実施例16]
実施例1のアパタイト水懸濁液に、予め温水に溶かした着色剤としてオレンジ色のメチルオレンジを5質量%添加し、混合したアパタイト水懸濁液とし、実施例1と同様にして、全面塗布して僅かに着色した防汚防水シートとした。
実施例1のアパタイト水懸濁液に、予め温水に溶かした着色剤としてオレンジ色のメチルオレンジを5質量%添加し、混合したアパタイト水懸濁液とし、実施例1と同様にして、全面塗布して僅かに着色した防汚防水シートとした。
これを、光触媒塗布面を暴露面として、晴れた日中、日光暴露したところ、2〜3日で、着色していないシートと同様の外観となり、激しい退色現象を確認できた。また、他の特性は、実施例1と全く同一の結果であった。
Claims (9)
- 繊維基材の少なくとも一表面に樹脂被膜を備えたシートであって、
前記樹脂被膜の少なくとも一表面には、親水性無機化合物で被覆された光触媒が存在し、
前記光触媒の平均一次粒子径は1nm以上100nm未満であり、
前記光触媒は前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めて塗布されており、
前記光触媒は樹脂被膜面に吸着されて固定・担持されていることを特徴とする防汚性屋外用防水シート。 - 前記親水性無機化合物で被覆された光触媒の平均一次粒子径は50nm未満である請求項1に記載の防汚性屋外用防水シート。
- 前記親水性無機化合物で被覆された光触媒は親水性アパタイト被覆光触媒及び親水性シリカ被覆光触媒から選ばれる少なくとも一つの光触媒である請求項1又は2に記載の防汚性屋外用防水シート。
- 前記被膜を形成している樹脂は前記繊維基材の一方の面から内部に浸透しており、他方の面にも前記樹脂が露出している請求項1〜3いずれかに記載の防汚性屋外用防水シート。
- 前記光触媒塗膜には初期は所望の色に染色されているが、太陽光線が照射されると消色する染料が含まれている請求項1〜4いずれかに記載の防汚性屋外用防水シート。
- 前記防汚性屋外用防水シートは、ウエルダー加工によって接着成形加工が可能である請求項1〜5のいずれかに記載の防汚性屋外用防水シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の防汚性屋外用防水シートの製造方法であって、
前記繊維基材の少なくとも一表面に樹脂被膜を備えたシートの樹脂皮膜面を平滑処理により平滑化すると共に、その上にフレキソ印刷機又はロールコーターを用いて、水に懸濁させた親水性無機化合物で被覆された光触媒を印刷又は塗布し、乾燥したことを特徴とする防汚性屋外用防水シートの製造方法。 - 前記シートはポリエチレンテレフタレート繊維からなる織物の少なくとも一表面に軟質塩化ビニル樹脂被膜を備えたシートである請求項7に記載の防汚性屋外用防水シートの製造方法。
- 前記シートの軟質塩化ビニル樹脂皮膜面を平滑処理で平滑化すると共に、前記シートの軟質塩化ビニル樹脂皮膜面の上に軟質塩化ビニル樹脂から発生する添加物の揮散を防止する機能を有する厚みが10μm未満の揮散防止層を塗布又は貼り付けた後、その上に親水性無機系化合物で被覆された光触媒を印刷又は塗布する請求項8にに記載の防汚性屋外用防水シートの製造方法。
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