JPH04270679A - インクジェットプリント用基材およびその製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットプリン
ト用基材、特にインクジェット方式によるプリント加工
においてその被印画基材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】宣伝広告、装飾分野においてプリント加
工を行う場合、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリ
ーン印刷のいずれかの方法をとることがほとんどである
。近年、コンピュータグラフィック技術を利用したプリ
ントシステムが数多く開発されている。これらの出力装
置としては、インクジェット方式、溶融型熱転写方式、
昇華型熱転写方式、静電方式、インパクト方式等がある
。この中で、インクジェット方式は、画像品位、発色性
、運用コストや大画面対応の面から、フルカラーのプリ
ンターとして特に注目されている。

【０００３】インクジェットプリント用基材には、一般
に、紙やフィルムが用いられているのがほとんどである
。これらの基材自体では、にじみ性、発色性に劣るため
、印画性を向上させる目的で、印画面にクレー、炭酸カ
ルシウム、タルクなどの填料と澱粉、ポリビニルアルコ
ールなどの糊剤との組成物からなる塗工剤を表面処理し
たものなどが用いられることがあり、印画性の優れた基
材も開発されている。しかしながら、紙では折れ跡が発
生し易く、破れ易く、また耐水性がないため、そのまま
ではＯＡ用紙等の屋内での利用に限定され、用途に限界
がある。

【０００４】フィルムの場合にも、紙と同様に、折れ跡
が発生し易く、破れ易く、裂け易い欠点がある。

【０００５】一方、基材として、綿やレーヨンの織布が
用いられることがあるが、インクジェットプリントでは
発色性に劣り、白く霞んだ印画となり、鮮明な画像が得
られない。ポリエステル、ナイロン等の合成繊維布帛の
場合には、インクが著しくにじんでしまい、点描である
インクジェットプリントでは画像表現できない。但し、
これらの合成繊維布帛の場合にも、紙と同様に糊剤で前
処理する場合もあり、にじみ性についてはある程度改善
される。しかしながら、風合は硬くなり、しかも発色性
、耐水性については従来通りであり、用途的には実質的
に紙の範囲を超えるものではなく、繊維の特長である風
合や強度を生かした用途には実用上程遠いものであった
。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記した
如き従来技術の問題点を解決し、破れにくく、裂けにく
く、折れ跡がつきにくく、かつ耐水性に優れ、しかも繊
維の特徴を損なわず、屋内および屋外の用途にも限定さ
れない、インクジェット方式での印画性に優れたインク
ジェットプリント用基材を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、繊維素材に印字性組成物の表面被膜を付与
したことを特徴とするインクジェットプリント用基材を
提供する。

【０００８】本発明において、繊維素材としては、ポリ
エステル繊維、ナイロン繊維、アセテート繊維、レーヨ
ン繊維等のいずれかからなるのがよく、これらは他の繊
維と複合して用いられてもよい。特に、印画基材として
は、印画加工時および印画後の製品の温度、湿度等の変
動に対する寸法安定性からすればポリエステル繊維が好
ましい。布帛の形態としては、織物および不織布のいず
れでもよいが、引裂強力（ＪＩＳ　Ｌ１０９６　ペンジ
ュラム法）　の値がタテ、ヨコともに０．５ｋｇ以上で
あるのが好ましい。０．５ｋｇ未満では強度的に劣り、
破れ易く、紙やフィルムと同程度の強度でしかなく、一
般に実用的でない。

【０００９】かかる織物あるいは不織布の表面に水に不
溶性の高分子材料、好ましくはウレタン樹脂、アクリル
樹脂、ビニル樹脂、シリコン樹脂等からなる被膜を付与
することによって、本発明のインクジェットプリント用
基材が得られる。高分子材料の付与は、含浸、コーティ
ング、転写等のいずれの方法によってもよい。

【００１０】さらに、印字性組成物には、上記高分子材
料に加え、インクの吸収性向上のために、多孔性の無機
系または有機系の化合物粉体を配合することもできる。 多孔性の粉体には、無機化合物としてシリカ、クレー、
タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チ
タン等が利用できる。粒径としては、０．５〜３０μが
好ましい。０．５μ以下では印画物の白化現象が強く、
３０μ以上では加工欠点が発生し易く、加工性に問題が
ある。特に、合成シリカを用いる場合には、粒径および
細孔径の一定した均質なものが利用でき、再現性のある
印字が得られる。有機化合物としては、セルロース、ナ
イロン、ポリアミノ酸等の粉体を用いることができる。 この中では、セルロース粉末がインクの吸収量が大きく
、また発色性に優れているので特に好ましい。

【００１１】

【発明の効果】本発明によれば、合成繊維からなる織物
もしくは不織布を用いているので、紙やフィルムを用い
た場合の欠点である破れ易さ、裂け易さ、折れ跡のつき
易さの点に関して、大きく改善され、しかも耐水性に優
れ、かつ繊維素材の特長を損なわないため、屋内外を問
わず、施行性に優れたインクジェットプリント用基材を
提供することができる。特に、従来、強度や施行性の面
で裏打ちが必要であった用途においても、裏打ちなしで
使用が可能になる。また、かかる効果は、印画物のサイ
ズが大きくなればなるほど大きく、従来使用が困難であ
った広告媒体（横断幕、垂れ幕、看板等）にも利用でき
るようになる。さらに、コンピュータグラフィック技術
を利用し、本発明のインクジェットプリント用基材を用
いることによって、オリジナル性の高い、実用性のある
印画物を効率的に製作でき、宣伝広告および装飾の分野
において、その利用価値は大きい。

【００１２】

【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
をさらに説明する。

【００１３】実施例１ タテ密度　１８６本／インチ、ヨコ密度　１０５本／イ
ンチ、糸使い１５０デニール／２４フィラメントのポリ
エステル平織物（目付　１２０ｇ／ｍ２　、引裂強力タ
テ、ヨコとも　３．６ｋｇ）　に対して、 　　ポリエステル型湿式ポリウレタン樹脂ＣＲ−８００
６　　　　　　　　　　　　１００　部　　　　（大日
本インキ化学工業製） 　　ジメチルホルムアミド　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８
０　部　　シリカ粉末　（平均粒径６μ）　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
２５　部　　　　　（富士デビソン化学製）　 　　ブロックイソシアネート　　ＢＬ−５０　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３　部　
　　　（大日本インキ化学工業製） を混合して得られた溶液を７５ｇ／ｍ２　になるように
コーティングにより塗布した。次いで、水中（２０℃）
に浸漬し、１０分間ゲル化させた後、８０℃にて１０分
間湯洗いし、熱風乾燥後、　１５０℃で２分間の熱処理
を行い、図１に示す如き基材を得た。

【００１４】この基材をオンデマンド方式のインクジェ
ットプリンタ（印字精度：　１８０印字／インチ、イン
ク：水性顔料インク（イエロー、シアン、マゼンタ、ブ
ラック））によりフルカラー画像を印画し、品位を確認
した。なお、この例において、上記の溶液を織物の両面
に塗布すれば、図２に示す如き基材が得られる。

【００１５】実施例２ タテ密度　１２０本／インチ、ヨコ密度９２本／インチ
、糸使い７５デニール／２４フィラメントのポリエステ
ル平織物に対して、 　　アクリル樹脂　　ＡＸ−１６　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１
００　部　　　　（根上工業製） 　　クレー　　カオリンクレーＮｏ．　９０　（平均粒
径　１．５μ）　　　　　　　　　　　　１５　部　　
　　（バーゲスピグメント社製） 　　酸化チタン粉末（平均粒径　１．０μ）　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５　部
　　トルエン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　３０　部を混合して得られた溶液を７５ｇ／
ｍ２　になるようにコーティングにより塗布した。次い
で、　１００℃で５分間熱風乾燥し、図１に示す如き基
材を得た。この基材を実施例１と同様にインクジェット
プリンタを用いて、フルカラー印画し、品位を確認した
。

【００１６】実施例３ タテ密度　１８６本／インチ、ヨコ密度　１０５本／イ
ンチ、糸使い１５０デニール／２４フィラメントのポリ
エステル平織物に対して、 　　ポリエステル型ポリウレタン樹脂　　ＣＲ−８００
６　　　　　　　　　　　　　　１００　部　　　　（
大日本インキ化学工業製） 　　ジメチルホルムアミド　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８
０　部　　セルロースパウダー（平均粒径３０μ）　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０　
部　　ブロックイソシアネート　　ＢＬ−５０　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３　部
　　　　（大日本インキ化学工業製） を混合して得られた溶液を７５ｇ／ｍ２　になるように
コーティングにより塗布した。次いで、水中（２０℃）
に浸漬し、１０分間ゲル化させた後、８０℃にて１０分
間湯洗いし、熱風乾燥後、　１５０℃で２分間熱処理を
行い、第１図（ａ）　に示す如き基材を得た。

【００１７】この基材を実施例１と同様に、インクジェ
ットプリンタを用いて、フルカラー印画し、品位を確認
した。

【００１８】実施例４ 目付７０ｇ／ｍ２　、引裂強力タテ、ヨコとも　２．６
ｋｇ、厚さ０．２５ｍｍの熱接着タイプのポリエステル
スパンボンド不織布に、実施例１の樹脂溶液を７５ｇ／
ｍ２　となるように、コーティングにより塗布した。以
下、実施例１と同様な方法により、ゲル化、湯洗い、乾
燥および熱処理を行い、図１に示す如き基材を得た。

【００１９】この基材を実施例１と同様に、インクジェ
ットプリンタを用いてフルカラー印画し、品位を確認し
た。

【００２０】比較例１ タテ密度　１８６本／インチ、ヨコ密度　１０５本／イ
ンチ、糸使い１５０デニール／２４フィラメントのポリ
エステル平織物に対して、 　　カルボキシメチルセルロース　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３　部
　　　　（第一工業製薬製） 　　水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　９７　部を混合して得られた溶液をマ
ングルで含浸率７２％に絞り、熱風乾燥し、比較サンプ
ルを得た。

【００２１】この基材を実施例１と同様にインクジェッ
トプリンタを用いて、フルカラー印画し、品位を確認し
た。

【００２２】比較例２ 目付３０ｇ／ｍ２　、引裂強力タテ０．２８ｋｇ、ヨコ
０．４５ｋｇの熱接着タイプのポリエステルスパンボン
ド不織布に、実施例１の樹脂溶液を５０ｇ／ｍ２　とな
るように、コーティングにより塗布した。以下、実施例
１と同様な方法により、基材を得た。

【００２３】この不織布の場合、ウェーブの密度ムラの
ため、均一な塗布が行えず、凹凸の著しい基材しか得ら
れなかった。また、加工の間にも、強度が弱く、裂け易
く、また、収縮が起こり、安定した加工ができなかった
。

【００２４】比較例３ タテ密度　１８６本／インチ、ヨコ密度　１０５本／イ
ンチ、糸使い１５０デニール／２４フィラメントのポリ
エステル平織物に対して、 　　ポリエステル型ポリウレタン樹脂　　ＣＲ−８００
６　　　　　　　　　　　　　　１００　部　　ジメチ
ルホルムアミド　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８０　部　　
シリカ粉末（平均粒径５０μ）　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２５　部
　　ブロックイソシアネート　　ＢＬ−５０　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３　部を
混合して得られた溶液を７５ｇ／ｍ２　になるようにコ
ーティングにより塗布した。以下、実施例１と同様な操
作を行い、基材を得た。この樹脂溶液の場合、シリカ粒
子の粒子径が大きいため、塗布面が粗くざらつき、平滑
な基材が得られなかった。

【００２５】上記の実施例および比較例で得られた基材
の性能評価の結果を下記の表１に示す。

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は繊維素材の片面に印字性組成物を付与し
た態様の本発明の実施例を示す図である。

【図２】図２は繊維素材の両面に印字性組成物を付与し
た態様の本発明の実施例を示す図である。

【符号の説明】

１…繊維素材 ２…印字性組成物

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　繊維素材に印字性組成物の表面被膜を
   付与したことを特徴とするインクジェットプリント用基
   材。
2. 【請求項２】　　繊維素材が、引裂強度がタテ、ヨコと
   もに０．５ｋｇ以上である合成繊維からなる織物あるい
   は不織布である、請求項１記載の基材。
3. 【請求項３】　　印字性組成物が水に不溶性の合成高分
   子材料、または前記高分子材料に平均粒子径が０．５〜
   ３０μである無機系または有機系粉体が複合された樹脂
   である、請求項１記載の基材。