JP2007014865A - 光触媒担持シート - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布面の白化が目立たず、透明性も大きく低下せず、光触媒機能の高い光触媒担持シートを提供する。
【解決手段】本発明の光触媒担持シートは、少なくとも1表面が親水性表面である熱可塑性樹脂シートの表面に親水性アパタイト被覆光触媒及び親水性シリカ被覆光触媒から選ばれる少なくとも一つの光触媒が吸着により固定・担持されており、前記光触媒の平均一次粒子径は1nm以上100nm未満であり、前記光触媒は前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めて塗布されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒を担持した樹脂シートに関するものである。
最近、防汚防水シートとして、光触媒を含む親水性被膜を表面に貼り付けたり、又は光触媒粒子を防水被膜全面に熱圧着して担持した光触媒を用いた防汚処理が普及しつつある。前者の例としては、特許文献1に開示されているように、光触媒を、表面被膜を形成する樹脂に混合するか、特許文献2に開示されているように、光触媒を、防水被膜の上にバインダー樹脂を介して固着させるものであるか、又は特許文献3に開示されているように、表面層の一部に光触媒を練り込んだ樹脂を配して、光触媒の使用量を少なくしたものが試みられている。後者の例としては、特許文献4に開示されている様に、光触媒粒子を表面被膜に熱圧着して担持させるものである。
また、防水シートは、テントや自動車のカバーなど、折り畳んで格納できる機能も必要であり、折り畳みが容易なように、柔らかくドレープ性に優れているものが強く望まれている。また、折り畳んだ時に折れ筋や表皮の亀裂の発生は問題外であり、表皮を形成する樹脂は、軟質で耐候性の高いものが望まれている。しかし、該樹脂に光触媒などの粒子を混合すると、硬くなってドレープ性が低下して、折れ筋などが発生し易くなり、また、混合した粒子が障害となりウエルダー加工の低下を招き、光触媒を用いた防汚防水シートは加工上と使用の利便性の点で門他姓があり、高価な光触媒を量多く使用するため従来品より価格が高くなるという経済的な問題がある。
特開平9−78454号公報 特開2001−162172号公報 特開2003−211569号公報 特許2939524号公報
前記した特許文献2や特許文献3のように、光触媒を、バインダー樹脂を介して基材に固着して屋外シートとして使用すると、バインダー樹脂が光に暴露されて劣化するため、光触媒が剥がれ落ちてしまうという問題があった。加えて、通常光触媒はアナターゼ型酸化チタン粒子を用いるが、一次粒子又は凝集粒子の平均粒子径が1μmを超えると塗布面が白化し、透明性が大きく低下し、見栄えが低下する問題がある。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、塗布面の白化が目立たず、透明性も大きく低下せず、光触媒機能の高い光触媒担持シートを提供する。
本発明の光触媒担持シートは、少なくとも1表面が親水性表面である熱可塑性樹脂シートの表面に、親水性無機化合物で被覆された光触媒が吸着により固定・担持されており、前記光触媒の平均一次粒子径は1nm以上100nm未満であり、前記光触媒は前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めて塗布されていることを特徴とする。
本発明は、バインダー樹脂を用いることなく、微粒子の光触媒が熱可塑性樹脂シートの表面に薄く吸着により固定・担持されているため、塗布面の白化が目立たず、透明性も大きく低下せず、光触媒機能の高い光触媒担持シートを提供できる。このためドレープ性の高い光触媒担持シートを提供できる。
本発明は、光触媒機能を付与したい面の表面の少なくとも面積比で20%以上占める様に多数の点状に、又は全面に、薄く光触媒を固着・担持させたシートである。本発明においてシートとは、面状のものを指し、フィルム、薄板、成形板も含む概念である。例えば、本発明の光触媒担持シートは、熱可塑性樹脂フィルム,熱可塑性樹脂薄板,熱可塑性樹脂成形板などの熱可塑性樹脂シート単独、及び織編物,不織布,紙などの繊維基材に熱可塑性樹脂が含浸、コーティング、貼り合わされて熱可塑性樹脂層(熱可塑性樹脂皮膜)を形成した複合シートも含むものである。このようなシートは、たとえば、防水シート、接着性遮光シートや屋根材として好適である。また、衛生的であることを求められるバスや電車などの座席や病院などの公共施設の椅子など制菌性や消臭性を付与した表張り用の合成皮革などに好適である。さらに、自動車や車両のガラス窓、建築物のガラス窓に貼り付ける光線遮蔽フィルム、建築物のガラス窓に貼り付ける防犯フィルムや地震対策のための破砕防止フィルム等にも好適に使用できる。
本発明の光触媒担持シートは、ミクロン粒子より大きい粒子ではガス吸着材として知られているゼオライト(シリカ)など親水性無機化合物のナノ粒子の水懸濁液を光触媒を担持したいフィルム又はシートに薄く塗布又は印刷し、溶媒の水を除去するために乾燥する。これによりナノ粒子をこれらフィルムやシート表面に吸着効果で固着・担持させる。当該ナノ粒子の2次凝集した集合粒子の大きさは500nm未満であり、これより本発明の光触媒内包ナノ粒子の塗布厚みは500nm未満となる。
ウエルダー加工が縫製に必要不可欠な防汚防水シートでは、無機物である光触媒をシート表面に500nm未満という薄さで光触媒を塗布し固着させている。このため、ウエルダー加工によって接着加工する場合、その薄さのため、光触媒が固着している熱可塑性樹脂被膜が流動すると、光触媒層は容易に無数の亀裂を生じて、接着界面にシート表面を構成している熱可塑性樹脂が流動露出して、互いに混ざり合って一体化し、2枚のシートの界面が消失して接着することができる。縫製によらず、ウエルダー加工でテントや縁かがりが容易にできる。かつ、極めて薄く塗布しているために高価な光触媒の使用量が少なく、かつ防汚効果は高い。その結果、従来の防汚性屋外用防水シートより安価に提供できて普及が容易となり、また光触媒の使用量が少ないので透光性も高く維持できる。
また、剛直性の原因となる無機物の添加量が少ないため、屋外テント倉庫などの構造物だけではなく、自動車の防塵カバー、エアコンの室外機カバーや屋外保管のフレキシブルコンテナー防水カバーなど着脱のためドレープ性を要求される各種防水カバー用途でも都合良く用いることができる。
また、車両や建物の窓ガラスの遮光用フィルムやカーポートなどの屋根材も同様にして光触媒を塗布することで雨風への暴露で防汚効果を発揮でき、車両用の座席や病院の待合室の座席など、光が当たる場所に設置する座席シートの表装資材の制菌効果を目的とした用途に適用できる。
本発明者は、光触媒が有機物を酸化劣化させることとこの周囲の有機物の劣化を防止するために光触媒の周りを無機化合物のアパタイトで被覆したアパタイト系光触媒が市販されており、微細なこのアパタイト系光触媒は吸着し易く、このアパタイト系光触媒の懸濁エマルジョン水溶液を熱可塑性樹脂フィルムに塗布してその付着状況を観察したところ、水に濡れ易い(親水性)フィルムに容易に薄く均一に塗布することができ、該エマルジョンを乾燥すると、白い天花粉を塗した様な外観のフィルムとなり、吸着効果が大きく、簡単にはアパタイト被覆光触媒は脱落しないことを知った。
なお、平均粒子径が数μmを超えるアパタイト系光触媒は、乾くとぼろぼろ剥離して接着剤などの接着手段を用いないとフィルムに固着できなかった。
本発明に使用する熱可塑性樹脂シートは、上記した様に水に懸濁した光触媒の塗布・印刷(以下印刷と略記する)を可能とするために少なくとも印刷する時には光触媒を印刷する面を出来るだけ親水化しておくのが好ましい。
本発明で、フィルムを構成している熱可塑性樹脂は、非撥水性表面であり、親水性が良いほど都合がよい。疎水性樹脂を使用する場合、親水化処理としては、経済的観点からコロナ放電処理が最も好ましいが、プラズマ処理、スルホン化処理、オゾン酸化処理や弗素処理など接着剤を用いた接着改良処理に使用する親水化処理も好ましく用いることができる。また、接着剤を用いた接着改良処理に使用するアンカー処理などで親水性を付与する薬剤や塗料を用いた親水化処理も好ましい。なお、前記したコロナ放電処理の親水持続性は長くないが、本発明で用いる光触媒を一回付着させると3か月経過しても当初と同じく強固に固着しているので、少なくとも印刷する時に親水化されていればよい。
また、軟質塩化ビニル樹脂をフィルム層として用いる場合は、当該軟質塩化ビニル樹脂には、可塑剤や変性大豆油などが添加されており、アクリル樹脂などでなる添加物揮散防止層を塗布又は貼り付けることも好ましい。該添加物揮散防止層の厚みはウエルダー加工する上で、10μm未満が好ましい。このアクリル被膜は光触媒印刷に必要な親水性を有している。
このフィルムを屋外暴露して光触媒の機能を観察したが、容易には光触媒が脱落せず、光触媒による防汚効果が長期間発揮される。
光触媒を塗布するフィルムなどの表面は、光触媒を水系懸濁液で塗布するため、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル樹脂、可塑材を含む軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホン化エチレンゴム、又はウレタンエラストマー樹脂から選ばれた1つ又は複数種の非撥水性素材を主成分とする樹脂が好ましく、フッソ樹脂などの強撥水性樹脂は好ましくなく、通常の撥水性樹脂であるポリプロピレンやエチレンープロビレン共重合体などのポリオレフィン樹脂は前記した親水化前処理が不可欠であるが、使用に不都合はない。
本発明では、親水性無機化合物で被覆した光触媒を過剰に塗布しても、フィルム表面の極薄い層しか吸着による固着を期待できない。したがって過剰に塗布しても過剰な光触媒は脱落するだけで持続的な光触媒の効果を期待できないし、過剰塗布の光触媒は塗布表面の白濁などを招くので好ましくなく、本発明では薄く塗布する。
工業的に薄く塗布する手段の1つとして、アパタイト系光触媒の水懸濁液を無彫刻のフラットロールを装着したフレキソ印刷機のインクの代わりとして用いて、上述の親水性フィルムに全面印刷したところ、単純に塗った時に見られた白っぽさがなく、光触媒を固着することができた。この時の光触媒層の厚みは100nmを下回っており、固着については、屋外暴露による防汚効果が発現することで確認した。
また、前記フレキソ印刷機の印刷ロールを多数の微細なドットを彫刻したロールに換えてこれら親水性フィルムに表面積の25%を占める様になしてドット印刷したところ、同様の結果を得た。
本発明に用いられる親水性無機化合物で被覆された光触媒としては、アパタイト被覆光触媒、シリカ被覆光触媒などが挙げられる。なお、本発明でいうアパタイト系光触媒またはシリカ系光触媒とは、アパタイト系化合物またはシリカ系化合物で覆われた光触媒のことをいう。また、親水性無機化合物は、多孔質の無機化合物であることが好ましい。さらに、前記アパタイトより、より親水性のシリカで被覆したシリカ系光触媒を検討したところ、同様の良い結果を得た。以下、簡略化のためアパタイト系光触媒で説明する。
本発明の応用品の1つである熱可塑性樹脂シートの一方の面に織物を接着した防汚防水シートにおいて、防汚以外の主題であるドレープ性について調査したところ、防水のための樹脂被覆は、軟質の樹脂を用い、出きるだけ薄い被覆を行うのが好ましい事と、別の主題の、ウエルダー加工を容易に行うには、表面を形成するフィルム層の厚みを80μm以上必要とするのが好ましい。
また、塩化ビニル樹脂用のウエルダー加工機を用いてウエルダー加工できる熱可塑性樹脂として、人工皮革の含浸接着剤に使われている耐候性の良いポリウレタンエラストマーやエチレン・酢酸ビニル共重合体があり、廃棄処分で環境に優しい対応を望む脱塩素系高分子動向に対応して塩化ビニル樹脂を嫌う用途には、このポリウレタンエラストマーやエチレン・酢酸ビニル共重合体を使用した防水シートに上記したフレキソ印刷機を用いて、全面に平均厚みが200nmの光触媒層を印刷したシートは、塩化ビニル樹脂被覆防水シートと同様にウエルダー加工できた。
前記織物としてポリエチレンテレフタレート繊維とポリプロピレン繊維、夫々からなる織物に、前記した軟質塩化ビニル樹脂とポリウレタンエラストマーを夫々含浸させ、その片面に、厚さ90μmの同じ樹脂のフィルム層(被覆層)を形成させた。この被覆層に、フレキソ印刷機を用いて、水に懸濁させたアパタイト被覆アナターゼ型酸化チタン水懸濁液を全面印刷し、乾燥して、光触媒層の厚みが約100nmの防汚防水シートとした。得られたシートは指で擦っても粘着テープによる剥離テストでも大半の光触媒がしっかり固着しており、これを3か月間室外に放置して暴露したところ、雨水によって汚れが除去され、防汚性を有することを確認した。
これらの防水シートは、光触媒層の厚みが極めて薄いため、塩化ビニル樹脂用のウエルダー加工機を用いてウエルダー加工して貼り合わせを行ったところ、貼り合わせシート界面でなく、被覆樹脂層で破断(凝集破壊)する十分な貼り合わせができ、屋外で暴露テストを行ったが、防汚処理をしていない防水シートに比べ、格段に汚れが付着しておらず、また、ドレープ性も、防汚処理前後で目立った差が無く、目的のウエルダー加工が容易にでき、ドレープ性に優れ、光触媒によって防汚性が付与された屋外用防水シートとすることができた。
本発明の1つは、光触媒を配されている面が顔料などによって着色されていることが好ましい。さらには、少なくとも光触媒を配されている面の表面被膜が難燃性を有していることが好ましい。
本発明は、大きさが100nm未満という、ナノ粒子である親水性無機化合物粒子自身の吸着力で相手素材に吸着し、固着させることでバインダーを使用せずに、シート表面に固着一体化させたナノ粒子の表面担持シートであって、該ナノ粒子はその芯に光触媒を内包させたため、光触媒を固着させた面が、少なくとも光触媒の酸化効果と被覆した親水性無機化合物の親水性によって、雨滴でこれらの付着塵埃を洗い落とすことで防汚性を有している防汚シート、ナノ粒子すなわち光触媒を固着させた面が、少なくとも光触媒の酸化効果によって殺菌、制菌、除菌などの細菌・黴・ウイルスなど微細生命体の少なくとも増殖抑制効果を有している菌制御シート、及び/又は、悪臭性又は有害なガスや微細液滴を、被覆している親水性無機化合物が吸着し、該無機化合物に内包されている光触媒の酸化効果によって消臭や無害化する無効化効果を有している光触媒担持シートを提供できる。
また、本発明の光触媒担持シートは、ナノ粒子の吸着現象を利用しているため、塗布する光触媒懸濁液の濃度が高くて過剰に塗布されると、相手の素材への直接吸着ではなく、塗布したナノ粒子への間接吸着となり、固着が不十分で製造中もしくは使用中に脱落する可能性が高い。すなわち、光触媒の少量塗布で本発明で言う防汚や菌制御などの効果を発揮できるため、高価な光触媒の使用量を従来のバインダーを用いたものより極小とでき、少量塗布で塗布厚みが極小のため、縫製に用いるウエルダー加工が可能になり、縫製によらず、ウエルダー加工でテントや縁かがりが容易にでき、ドレープ性に優れた防汚防水シートなどに都合良く使用できる。
本発明の光触媒担持シートは、500nm未満の厚さ、より好ましくは200nm未満の厚さの親水性無機化合物で被覆された光触媒の層で少なくとも1表面が覆われているため、光触媒を担持しても、極僅かな表面の光散乱は生じるが、無色透明であり、担持したシートが原料着色された原着フィルムや文字などの印刷シートであっても色合いや風合いなどを損なわない。
防汚効果を利用するものとしては、車両や建物の窓ガラスの遮光用フィルムやカーポートなどの屋根材、そして自転車、オートバイや自動車の防塵カバー、エアコンの室外機カバーや屋外保管のフレキシブルコンテナー防水カバーなど着脱のためドレープ性を要求される各種防水カバーや建物の外装に用いるホードの防水コート材、そして屋外テント倉庫などの構造物や日よけに用いる防汚防水シートがあり、制菌効果を利用するものとしては、車両用の座席や病院の待合室の座席など、光が当たる場所に設置する座席シートの表装資材があり、制菌効果と消臭などの複合効果を利用するものとしては、病室の間仕切りカーテンや家庭の窓用カーテンなどがある。屋外で使用する場合の防汚効果は、外面に光触媒を塗布することで、まず、光触媒の酸化作用で有機性の汚れは分解されて少なくとも可溶性物に変換され、光触媒の親水性のために雨滴の光触媒担持シート表面への馴染みが良く、雨風への暴露で無機性の塵埃と共に洗い流されることで生じる。制菌効果は、シート表面に担持されている、細菌などを吸着し易い親水性無機化合物で表面を被覆されている光触媒が、その吸着作用で空気中に浮遊している細菌や、細菌の付着している塵埃を吸着し、光触媒に、又はその近傍に付着した細菌などを光触媒の酸化作用で殺菌又は不活性化することで生じる。また、制菌効果と消臭などの複合効果は、前記と同様にして、有機性の有害塵埃やガス、液滴を吸着し、酸化することで生じる。
なお、上記光触媒が、微細な無数の点状に印刷され、下地の熱可塑性樹脂層が露出していても、印刷された点の大きさにもよるが、その印刷面積が、20面積%を超えていれば同様の防汚効果を発揮する。制菌効果を期待する場合は全面に印刷することが好ましい。
前記において、さらには、フレキソ印刷機、グラビア印刷機やドットプリンターを用いると、光触媒が印刷されていない部分に任意の顔料を印刷できるので、文字やデザイン絵を光触媒の塗布と同時に描くことも容易にできる。これらは、間近かで見るのではなく、ある程度離れた場所から見る用途が大半であるため、表示の目的をも十分発揮できる。なお、光触媒の印刷状態を確認するため、耐候性の無いメチレンブルーなどの染料を光触媒印刷液に添加し、印刷すると印刷状態の状況把握が簡単にでき、これを日光暴露すると、数週間で該染料が酸化分解されて無色化され、添加されていない商品と同じ状態に復帰する。この原理を使用して、シートの寸法表示や形の印刷を行い、縫製をし易くすることや、最終ユーザー宛の使用上の注意書きなども印刷できる。
なお、本発明の光触媒担持シートを防汚防水シートとして使用した場合、屋外で使用している時に、シートの表面に光で活性化されて超親水性となった光触媒が全面に、又は、微細な点状に多数付着しており、雨滴が該光触媒に接触するとその親水性のために雨滴を捕獲する。微細な点状の場合も雨滴が多数か大きいと、隣接する光触媒とも接触し、シート全面が雨水で覆われて、シート表面に付着している汚れを押し流して洗浄効果を発現すると推定される。すなわち、シート表面全体に光触媒が塗布されていても、いなくとも、同様の洗浄効果を発揮する。
本発明の光触媒担持シートは、該シート表面に固定されている光触媒の、光触媒を覆う親水性無機化合物が吸着性にも優れているために、汚れと水を吸着し、光触媒が日光によって分解させているために防汚効果を発揮すると推定される。
本発明の光触媒担持シートを防汚防水シートとして使用した場合、光触媒で全面又は微細なドット状の無数の無機化合物の光触媒で少なくとも1表面が覆われているが、光触媒層の厚みが500nm未満と極めて薄く、光触媒が吸着して固定されている下地の熱可塑性樹脂層(熱可塑性樹脂被膜)がウエルダー加工によって軟化すると、容易に無数のひび割れを起こして、このひび割れより被覆樹脂が露出・浸入してくるので、ウエルダー加工で、貼り合わせするシート同士の樹脂が相溶してしっかりと接着できる。そのためそのまま容易にウエルダー接着できる。
本発明の光触媒担持シートは、シートが難燃性の塩化ビニル樹脂などの塩素含有熱可塑性樹脂であったり、縮重合高分子であるため燐系難燃剤で簡単に難燃化できるウレタンエラストマーで被覆されていたり、難燃性のアクリル樹脂であるため、難燃性の必要な用途に、容易に難燃化して対応ができる。
本発明は、微細な吸着能のあるアパタイトで覆った光触媒を使用し、このアパタイトの吸着力で光触媒をシートに保持、固定させることを基本とし、光触媒層の厚みを500nm未満と極めて薄くなしたため、その光触媒の付着量を少なくして透明性を向上させ、光触媒の全面塗布による白化を回避することができる。また、本発明のシート同士を接合するに際して、ウエルダー加工を可能としたものである。
また、本発明の薄い光触媒層は、光触媒が吸着により固着・担持されているので、光触媒機能を付与したい面の全面に塗布しなくても、塗布形態をドットプリントの点状印刷として部分印刷して光触媒の塗布絶対面積と量をさらに少なくしても、十分な光触媒機能を有しており経済的である。例えば、防汚防水シートとして用いた場合、防汚性があり、かつウエルダー加工可能としたものも含まれる。
本発明は、前述の防汚防水シートと同様に、光触媒の使用量を極少として安価に同程度の光触媒効果を発揮させる目的で開発した。光触媒の使用量を極少化するため、ノーバインダーとし、塗布厚みもサブミクロンオーダーとし、場合によっては、塗布を全面塗布から部分塗布に変更してさらに光触媒の使用量を減らした。この結果、前記した様に透明性などが塗布していないものと同等とすることができる。
本発明は、親水性の無機化合物で被覆された数十nmと微細なナノ光触媒粒子を用いており、ナノ光触媒粒子の吸着効果でフィルムなどの非疎水性、より好ましくは親水性シートの表面に固着させ担持させる。すなわち、光触媒を印刷・塗布するにおいて、印刷時は光触媒粒子懸濁液がはじかれず、馴染む程度にシート表面が親水性であり、親水性のシート表面に光触媒を内包する親水性無機化合物が少なくとも吸着されて固着される。即ち、該親水性無機化合物を介して光触媒がシート表面に固着する。言い換えると、光触媒が印刷面の表面に固定・担持されており、この固着は前記した様に、強固に固着しており、吸着効果が大きくて、簡単には塗布したアパタイト被覆光触媒を除去できない状態である。
その塗布厚みは、光触媒粒子の2次凝集粒子径より小さいことが好ましい。2次粒子径が500nm未満のため、厚みは500nm未満が好ましい。本発明では、光触媒粒子を親水性の無機化合物で被覆しているため、水懸濁液として塗布するので、この懸濁液をはじかない素材への塗布が好ましく、かつ、極めて薄く塗布する必要がある。薄く塗布する手段は、転写型ロールコーターなどの塗布装置、より好ましくはフレキソ印刷、オフセット印刷又はドット印刷などの印刷手段を用いて、光触媒懸濁液の全面塗布又は微細な点状の部分塗布によって容易に達成できる。
本発明に使用する光触媒は、アナターゼ型酸化チタンなど公知の光触媒が都合良く用いられ、これら光触媒は周辺の樹脂の劣化を低減する対策のために親水性無機化合物で被覆している。
また、本発明に使用する光触媒は、市販されている極微小の粉体を用いる。平均一次粒子径は100nm未満であり、80nm以下がより好ましく、50nm未満が更に好ましい。なお、微小の粉体に発生しやすい二次凝集は避けることが好ましく、凝集した場合のその二次凝集粒子は、数が少なく、その径は1μm未満が好ましい。より好ましい凝集粒子の平均粒子径は500nm以下である。さらに小さいほど表面積が大きくなって吸着力が向上して、固着力が高くなるので好ましい。
本発明で使用する光触媒は、光触媒を被覆している物質を親水性無機化合物とする。親水性無機化合物としてはアパタイトやシリカがあり、これらの微粉末はガスなどを極めて吸着し易いことが知られている。この被覆されたアパタイト被覆光触媒やシリカ被覆光触媒は、単品の化合物と同様に吸着能が高く、逆に親水性高分子にそれ自体が吸着して固着する現象がある。なお、吸着現象は同じ吸着材では表面積が大きいほど大きいこと、そして、粉体では粒子径が小さいほど単位重量当たりの表面積が大きい。すなわち、逆に吸着材が極小であるほど物に吸着し易いことになる。この理由により前記した本発明に使用する光触媒の粒子径が決まる。
なお、本発明でいうアパタイト被覆又はシリカ被覆光触媒とはアパタイト系又はシリカ系の化合物で覆われた光触媒をいう。
前記した被覆に用いたアパタイトやシリカの粒子は、良好な親水性を示し、平均粒子径がmm〜μmの粒子は、良好なガス吸着材でもある。これらは水に容易に分散させて懸濁液とでき、長時間の保管で沈殿を生じる。しかしこれらや本発明に用いる数十nmの微細な粒子は、濃度によって増粘効果を生じ、1カ月の保管でも沈殿を生じない、また、水希釈する時、希釈水のpHによって粘度むらのある液(ままこ)となるなど、粒子径がmm〜μmオーダーの粒子と異なる現象があり、これら水懸濁液を、この液を撥かないほどの親水性を示す樹脂フィルム(例えば塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂など)に薄く塗布して乾かすと、水に濡れた様に該フィルムに綺麗に付着する。当然ながら、樹脂フィルムの表面の凹凸よりも付着厚みははるかに小さく、鋭い刃の刃物で該フィルムの表面を這わせても一部のフィルム表面が付着粒子と共に削りとられるだけで、ほとんど全ての付着粒子はフィルム表面に残存しており、水中で洗っても、塗布面した部分での、付着粒子が除去された表面は発見できなかった。過剰に塗布された粒子は脱落していると思われるが、水洗しても、少なくとも光触媒を塗布した部分は全て当該粒子で覆われていることが確認できた。
なお、本発明に使用する光触媒粒子は、塗布するのが簡易な様に、水の懸濁液として塗布に供するのが都合良く、該懸濁液には、水や光触媒粒子以外に、分散剤、粘度調整剤やpH調整剤などを適宜加えて調合して、2次凝集や光触媒粒子の沈殿分離を防ぐ又は遅延させることが好ましい。なお、本発明では、上記懸濁液にバインダー樹脂、あるいは通常の印刷インクに含まれるバインダー成分を含むことなく、前記光触媒が熱可塑性樹脂表面に吸着されて固着・担持される。また、使用する光触媒粒子は純度が100%でなくても実用上不都合はなく、光触媒粒子の表面を被覆しているアパタイトやシリカあるいは他の親水性無機化合物のみの、本発明の光触媒粒子相当の粒子径の微粒子が混在しても不都合ではない。光触媒を含有する光触媒粒子と他の粒子の割合は、全面塗布の場合は光触媒粒子が少なくとも20質量%であり、部分塗布の場合は、塗布面積割合(A面積%)×光触媒粒子混合割合(B質量%)>20を少なくとも満足する光触媒粒子混合割合が望ましい。前記混合割合を下回ると、防汚効果が不十分となる場合が生じ好ましくない。
また、本発明に使用する光触媒粒子は親水性の化合物で覆われていて、水に対する分散性に優れているために水の懸濁液で説明を進めるが、速乾性を要する場合は、アルコールやアセトンなどの水に相溶する有機溶剤を添加などすることも不都合ではない。
さらに、本発明の光触媒粒子は凝集するものもあり、その2次凝集粒子径が500nm未満であることより、本発明における光触媒層の塗布厚みを前記の様に500nm未満とした。
ウエルダー加工する場合は2〜3μm程度までは可能だが、光触媒の使用量を少なくして、所望の防汚効果を上げるのが、経済的に好ましく、また、無機物である光触媒粒子付着層は原理的に薄いほどウエルダー加工でピンホールなく確実に接着できるので、該層の厚みを、2次凝集粒子径も考慮して、上記した500nm未満としたのである。なお、該層の厚みをこれより大きくした場合には、前述の様に光触媒粒子が互いに凝集して集合できる2次凝集粒子径より吸着できる光触媒粒子量より過剰な塗布量となり、物理的な摩擦や吸着状態の悪化により剥がれ落ちたり、光触媒粒子の光散乱によって外見が白化する傾向が生じ、必要以上の過剰塗布は好ましいものではない。
以下、光触媒の水系懸濁物を用いて説明する。
本発明の光触媒担持シートは、前記した光触媒粒子懸濁液をロール転写法で薄く塗布することで得られるが、上記した様に全面に塗布しなくとも、公知の部分塗布(点状印刷)でも防汚効果を発揮する防汚シートを得ることができる。
部分塗布の手段としては、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷又はドット印刷などがあり、都合良く利用できる。なお、凹版印刷のグラビア印刷などでは、光触媒粒子懸濁液の濃度をフレキソ印刷より薄くしないと過剰塗布となるので注意する必要がある。
部分塗布の場合は、微細な点の1ドットの面積を0.13mm2未満とし、これらの点を幾何学的に均一な配置を行うと、塗布面積20%でも有効な防汚効果を発揮できる。点の幾何学配列が乱れたり、点の面積が大きい場合は有効な防汚効果を発揮させるために塗布の面積割合を大きくする必要がある。部分塗布の場合は印刷点の大きさや配置などの塗布状態を工夫するのが好ましい。
なお、ここでいう幾何学配列とは、例えば縦方向と横方向の2方向に、一定の間隔で並行する多数の線が交差する交点を幾何学的に配列することをいう。もちろん千鳥配列など全ての交点上に配置しなくても、一定のルールに基づいて配列されているものを幾何学配列という。
本発明では、前記した様にシート表面を、点状のドットで光触媒を印刷・塗布するのも光触媒の使用量を少なくする経済的な観点から好ましい。
その点状のドットの形状は、円、楕円や多角形や不定形であっても良いが、光触媒の印刷面積を少なくするには、各印刷点が整然と規則正しく配置される必要があり、円又は4角形などの多角形が特に好ましく、かつその面積も特定のルールに沿って規則正しい組合せが防汚効果を少面積の印刷で発揮させるには好ましい。
本発明では、前記した様にシート表面を、点状のドットで光触媒を印刷・塗布して、光触媒の酸化効果で機能を発揮させるのであるが、その表面被覆割合は単位面積当たりの点状ドットの数が多いほど被覆割合を減じることかができる。50%以下の場合は、個数を稼ぐために、点状ドット1個当たりの面積を0.13mm2未満とすることで十分な防汚効果を発揮させ得る。シートの平滑性にもよるが、点状ドットを等間隔の規則性ある配置を行った場合は、前記した様に表面被覆割合を20%以上とすれば十分防汚効果を生じる。光触媒の表面被覆面積は25〜40%がより好ましい。
点状ドット1個当たりの面積が0.13mm2を超えても、本発明の光触媒担持シートとできるが、点状ドットの数を稼ぐ為に光触媒による表面被覆割合を50%にできるだけ近くする必要があり、光触媒の使用量も増え、経済的に好ましくない。
また、点状ドット1個当たりの面積を小さくして点状ドットの数を稼ぐことは、例えば防汚効果からすると好ましいが、印刷冶具の彫刻をより精密とする必要があることと、該冶具の耐磨耗性を考慮すると無闇に面積を小さくすることは経済的に好ましいことではない。点状ドット1個当たりの面積は、普通0.06〜0.12mm2が都合良く使用できる。
本発明の光触媒の使用量は、表面被覆割合を50%としても、全面に表面に塗布する方法に比べ50%であり、一般に行われている従来の樹脂含浸方法に比べると5%以下の使用量となり、多少印刷などの費用が増えても同等の防汚効果を発揮する上での製造コストを低減する効果は大きい。
光触媒粒子懸濁液を均一に薄く塗布するロール転写は、例えば、フレキソ印刷で、まずロールコーターで第1番目のロールの表面に薄く塗布し、印刷ロールに転写して印刷に供する装置を、印刷ロールを滑らかな表面のゴム被覆ロールや鏡面仕上げした印刷ロールに換えて行うと都合が良い。しかし、これよりもさらに薄く塗布面するには、印刷面積の大きいフレキソ印刷が都合良い。これは部分的に過剰に印刷ロールに光触媒粒子懸濁液が塗布されても液の逃げ場があるため全体として薄く塗布できる理由による。なお、この場合、過剰な懸濁液はフレキソ印刷板の凹部に押出されて、そこの部分は過剰塗布となるが、全体に占める面積も小さく、白濁などの目だった欠点とはなり難く、使用中に脱落することも期待できるので、特に好ましい。
本発明では、親水性の化合物で被覆した光触媒を主として水懸濁液で塗布するため、光触媒が担持されている表面を形成している熱可塑性樹脂を水濡れ性のある熱可塑性樹脂である、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル樹脂、可塑材を含む軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホン化エチレンゴム、又はウレタンエラストマー樹脂から選ばれた1つ又は複数種の非撥水性素材を主成分とする樹脂としているが、光触媒粒子の懸濁液塗布は、後述の様に親水化処理すると塗布が可能となる非撥水性樹脂でも何ら不都合では無く、無論、親水性樹脂はさらに好ましい。
防汚防水シートや椅子などの外装材として用いる場合は、水濡れ性のある熱可塑性樹脂である、可塑剤を含む軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホン化エチレンゴム、又は、融点が140℃以下のウレタンエラストマー樹脂で形成して、光触媒の塗布を確実にし、これら樹脂で被覆又は防水される繊維基材として、一般的に現用されている、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アクリル繊維、木綿又はレーヨンなどのセルロース繊維及びガラス繊維から選ばれた1つ又は複数種の繊維からなる織物、編物、不織布等を使用すると都合が良い。
本発明では現在汎用されている遮光シートや合成皮革や防水シートを安価に供給できる防汚シートとすることをも大きな目的としており、他にも相応しい素材がある。柔軟性を求める用途では、前記していない、水素添加スチレンーブタジエンエラストマーなど軟質樹脂や軟質化剤を添加することはなんら不都合ではない。また、液濡れ性を改善するため、コロナ放電処理やフレームプラズマ処理などの表面改質による接着性改善処理や、スルホン化処理、オゾン酸化処理や弗素処理など接着剤を用いた接着改良処理に使用する親水化処理を行うのは大変好ましい。また、接着剤を用いた接着改良処理に使用するアンカー処理などで親水性を付与する薬剤や塗料を用いた親水化処理も都合良く用いることができる。
しかし、販売価格を考慮することも大事であり、前記した熱可塑性樹脂は、撥水性物質の不添加や混入に注意すれば、大半はこれら表面処理が不要である。
また、前記したウエルダー加工が求められている合成皮革や防水シートの表面材である防水被膜形成剤に、ウエルダー加工をさらに容易にするため、誘電体損失と誘電率を向上させるウエルダー加工向上剤を添加したり、難燃性を付与又は向上させるために難燃剤を添加することも品質上好ましい。
また、本発明の1つである防水シートの繊維基材は、強度などの物性を担当する因子であり、テント倉庫などの簡易な構造の建築物を規定している平成12年建設省告示1443号文献に記載のガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリエステル繊維やポリピニルアルコール繊維からなる織物が都合良く用いられ、これに加えてポリプロピレン繊維、アクリル繊維や木綿又はレーヨンなどのセルロース繊維からなる織物も同様に都合良い。
また、これら繊維は、紡績糸やマルチフィラメント繊維、及びコアーヤーンなどの糸条であるのが織り易く都合が良い。また繊維が分割タイプの繊維にあっては、これらの糸条の織物を高圧水流加工して分割処理した極細繊維を含む織物もドレープ性を向上させ得るので好ましい。
なお、可塑剤を用いる軟質塩化ビニル樹脂を用いた本発明の防汚防水シート向けの光触媒担持シートは、可塑剤のブリードアウトの防止のため、光触媒の印刷面をアクリル樹脂で極めて薄くコーティングするなど、平滑性と親水性を強化し、併せて添加物揮散防止も行う手段を講じることも光触媒を固定する上で好ましい。
本発明の説明では、前記した様に光触媒の水系懸濁物で話を進めるが、生産する上での速乾性の要望に対してはアルコールやアセトンなどの水に溶ける有機溶剤の併用なども好ましい。
本発明の防汚性屋外用防水シート向けの光触媒担持シートは、テント倉庫などの建築物用途向けのシートでは、厚みが0.5mm〜0.7mmであり、目付けを600〜900g/m2とし、引っ張り強力を400〜900cN/cmとし、耐水性を2000mmH2Oとする。防水カバー向けシートは目付けを減らした400〜700g/m2のものであるが、用途により、これ以外でも不都合はない。
また、これら織物を防水する熱可塑性樹脂として、前記告示の塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴムやクロロスルホン化エチレンゴムに加え、可塑剤を含む軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、融点が140℃以下のウレタンエラストマー樹脂も都合良く用いることができる。前者は主としてテント倉庫などの建築物用途のシートであり、後者はドレープ性を必要としているトラックの防水シートなどの防水カバー用途のシートである。
本発明の熱可塑性樹脂を繊維基材に被覆して防水機能を持たせた防水シートにおける光触媒を塗布する表面を形成する熱可塑性樹脂は、特別なウエルダー加工機ではなく、現状の塩化ビニルで樹脂加工された防水シートの接着に汎用されているウエルダー加工機でもウエルダー加工できることが最も好ましいため、前記した様に可塑剤を含む軟質塩化ビニル樹脂や融点が140℃以下のウレタンエラストマー樹脂などを使用したが、ウエルダー加工できる他の非撥水性熱可塑性樹脂であっても何ら差し支えない。しかしウエルダー加工の観点から融点が140℃以下の樹脂がより好ましい。また本発明で樹脂素材を使用したのは、素材として耐候性を要求される用途が過半を占めており、耐候性の実績のある、例えば、現在流通している防水シートに光触媒を塗布して防汚性防水シートとすることも考慮しているためである。
上記で、樹脂被覆材のウレタンエラストマー樹脂の融点を140℃以下としたのは、汎用されている塩化ビニル樹脂のウエルダー加工機の加工性からの制限によるものであり、特別なウエルダー加工機を用意するのであれば制限はないのは無論であるが、少なくとも繊維基材を形成している繊維より20℃下回る融点の熱可塑性樹脂である方が加工上好ましい。
本発明の防汚性屋外用防水シートは、自動車カバーやテントなどの軽量化とドレープ性を重視してウエルダー加工ではなく縫製によって商品を仕上げる用途には、片面の樹脂被覆で十分であるが、テント倉庫などのウエルダー加工を必須要件とする場合は、被膜を形成している樹脂が前記織物内部にも浸透しており、もう片面にも該樹脂が露出している状態となっている必要がある。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂を繊維基材に被覆して防水機能を持たせた防水シートにおける光触媒を塗布する表面を形成する熱可塑性樹脂の厚みは、被膜を形成している樹脂が前記織物内部にも浸透しており、もう片面にも該樹脂が露出している状態の場合は、少なくとも50μm、より好ましくは80μmであり、樹脂がもう片面に露出していない状態の場合は、樹脂塗布面同士の接着でない時は、より厚くする必要がある。後者の場合は、軽量化を意図している場合に起こり、基本的には樹脂塗布面同士の接着で接着成型を行う。なお、これらをウエルダー加工して縫製する都合上、融点は100℃を超え、140℃以下のものが都合良く、融点が高くても可塑剤を添加して140℃以下の見かけの融点(軟化点)としても良い。特にウレタンエラストマー樹脂の前記温度の上限は、最も日本で普及している塩化ビニル樹脂に使用するウエルダー加工機での縫製を可能とするものである。
さらに、本発明では、加工成形と品質確保の都合上、含浸している樹脂と表皮を形成している樹脂が異なっても良く、同じ種類であっても可塑剤の添加量や軟化温度が異なった種類であってもなんら問題はない。
本発明の光触媒担持シートを防汚性屋外用防水シートとして用いる場合は、光透過性を重視して光触媒以外の無機物を含まない場合、基布をポリエチレンテレフタレート繊維とする時は、該繊維に紫外線吸収剤を添加して耐候性を強化しておくことが必要であり、薬剤としてベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を使用するのが好ましい。また、他の基材を用いる場合にあっても耐候剤の添加が望ましい。
本発明の光触媒担持シートを着色する要望があれば、塗布するシートに着色用の無機顔料又は耐候性の良い有機顔料又は染料を練りこんで原料着色したシートとするか、シートに耐候性のある顔料を用いた親水性のインクなどで絵や文字をあらかじめ印刷するか、もしくはドット印刷を用いる場合は、光触媒を印刷していない部分に着色用の無機顔料又は耐候性の良い有機顔料又は染料で着色された点を印刷して着色することも好ましい。
また、本発明の光触媒担持シートは、光触媒を塗布しても無色透明に近いため、塗布していないものと区別がつきにくく、光触媒液に耐光性の劣る有機染料を添加して着色することで塗布状態をビジュアル化して生産の品質管理をし易くすることもできる。またこの液で施工上や使用上の注意書きなどを印刷することも好ましく、光触媒の作用によってこれらシートは数週間の使用で退色して無着色の状態となるので使用には全く差し支えなくなる。
本発明の光触媒担持シートは、従来の防汚性屋外用防水シートと比較すると、光触媒が樹脂やバインダーで全く被覆されておらず、シート表面に露出しているため最初から防汚効果を発揮し得るが、過剰に塗布された余分な光触媒の脱落と他の物への光触媒の付着を防止するため、予め光触媒印刷面に水を塗布又は噴霧させた後に該印刷面に紫外線照射して光触媒を活性化させ、さらに水で洗浄することで、使用直後から光触媒の脱落もなく防汚効果を発揮させ得る様にすることも容易に可能である。
また、車両や建物の窓ガラスを遮光や減光用に用いる粘着剤を塗布した遮光シートも粘着剤を非水系粘着剤の使用とすることで、離型フィルムなしで巻き取ることもできる、この場合は過剰に塗布された光触媒粒子は粘着剤に移る。大過剰塗布でなければ、前期の様に水洗しなくとも済み、商品の見栄えが良くなり都合が良い。
また、本発明の1つであるカーポートなどの雨よけ屋根材や農業用塩化ビニルシートとしての防汚効果を付与する用途では、これらがシート、ボートやフィルムとして成型された直後に、コーテングでなく印刷としての考えのロール転写法で印刷して薄く塗布することで光触媒担持シートと容易になせる。また、建材としてのセラミックボード、木質ボード、気泡ホードや発泡ホードなどのパネルでは、フィルムをTダイから押出してカレンダーロールでラミネートする時、前記と同様にして印刷して光触媒担持シートとなせる。また、建材を塗装することで生産する場合は、水濡れ性のある塗料を用い、その上にさらに希釈した光触媒粒子懸濁液を噴霧するなど工夫して薄く塗布することで、本発明の光触媒担持シートとなせる。なおこの場合は、塗料層を本発明ではシートと理解している。
次に、本発明を実施例と比較例で具体的に説明する。なお、以下ではアパタイト被覆光触媒で説明する。また主に軟質塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムと、防汚防水シートではポリエチレンテレフタレート繊維織物で説明するが他の素材も同様に実施できる。
(使用する光触媒)
本実施例で用いるアパタイト系化合物で覆われた光触媒は、例えば昭和電工社から商品名“ジュピター”として販売されており、その平均一次粒子径は約30nm、凝集した平均2次粒子径は200〜500nmである。これらの光触媒を溶媒に均一分散させたものを用いて印刷する。この光触媒は十分に微細なため、樹脂表面に極めて吸着され易くなっている。
前記光触媒の、例えば水への均一分散には、極少量の分散増粘剤や浸透剤を、場合によっては、アルコール類を添加して、粒子の沈降を防ぐための水懸濁液の安定性向上や印刷適正の向上を行った印刷液として使用するのが都合良い。
使用する光触媒は微細であり、ドット印刷して樹脂シートに乗せると、表面に吸着される。
なお、本実施例の光触媒はアナターゼ型の酸化チタンだけでなく、一般に公知の光触媒をアパタイト系又はシリカ系化合物で覆うことで、同様に使用できる。
本実施例で使用するアパタイト系又はシリカ系化合物で覆われた光触媒の大きさは、光触媒を主として吸着させて固定するため、1μm未満が好ましく、また2次凝集をできるだけ防ぐ工夫をした光触媒液が好ましい。さらに光触媒の1次粒子の大きさは、100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、微細なほどより好ましい。
本実施例で使用する印刷液は、前記粒子径のアパタイト化合物でコーティングされたアパタイト系光触媒微粒子20質量%と粒子分散のための浸透剤0.5質量%の水溶液に、分散光触媒微粒子を保管中に沈降分離させ難くするための分散増粘剤0.4質量%を添加して混合したもので、数百(約300)センチポイズの粘度の液である。粘度は分散増粘剤の添加量を変えることで任意に設定でき、フレキソ印刷機に合わせている。なお、前記した印刷液を、浸透剤と分散増粘剤を加えたイオン交換水で希釈して光触媒粒子の懸濁液2質量%を作成し、適宜、これをイオン交換水で希釈して、フレキソ印刷機を使用する以外の塗布にも用いた。
(使用するフィルム)
0.2mm厚の軟質塩化ビニルフィルム(三菱化学社製商品名“MKV”製−フィルム1)、0.1mm厚のポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム社製−フィルム2)、2mm厚の透明アクリル板(板1)と3mm厚の硬質塩化ビニル板(コウセイ化成−板2)を使用した。なお、離型フィルムとして0.02mm厚のポリエステルフィルムも使用した。
(使用する防水シート)
下記のシートを用いた。
(1)シートA
1.7dtexのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなるステープル繊維を紡績して10番手の単糸(10s/1と表示する)を用い、縦糸46本/インチ(織密度46と表示)横糸43本/インチ(織密度43と表示)の目付け230g/m2のPET織物
(2)シートB
5.5dtex、72本フィラメントのPETマルチフィラメントを3子撚りした糸条を用い、織密度(縦14、横14)の目付け155g/m2のPET織物
(3)シートC
直径3μmのガラス繊維からなる、目付けが365g/m2のガラス繊維平織物をガラス織物
(4)前記シートA−Cの樹脂含浸・付着処理
下記の可塑剤及び添加剤を添加したペースト塩化ビニル樹脂を、トルエンを溶剤としたオルガノゾル1とし、この浴に1面を浸漬して片面からオルガノゾル1を均一に注入し、これを引き上げると同時にマングルローラーで圧搾して、少なくとも片面均一に塩化ビニル樹脂を含浸・付着させた。次に、150℃と175℃の熱風乾燥機でそれぞれ1分乾燥・熱処理した。続いて再びオルガノゾル1浴にもう片面を浸漬してもう片面からもオルガノゾル1を均一に注入し、これを引き上げると同時にマングルローラーで圧搾して、少なくとももう片面にも均一に塩化ビニル樹脂を含浸・付着させた。次に、前記と同様に150℃と175℃の熱風乾燥機でそれぞれ1分乾燥・熱処理し、引き続いて180℃の熱ロールで少なくとも片面の表面を滑らかにして、塩化ビニル樹脂の含浸量が310g/m2で厚みが約0.5mmのシートA1、シートB1とシートC1とした。
次に織物Bを、2回の含浸処理を、共にオルガノゾル1浴での塩化ビニル樹脂の含浸を少なくし、2回目の含浸後、熱ロールを用いて、フィルム1を圧迫接着して、塩化ビニル樹脂量が300g/m2で厚みが約0.6mmのシートB2とした。
次に織物Bを、オルガノゾル1浴での塩化ビニル樹脂の含浸を少なくし、1回目の含浸後、熱ロールを用いて、フィルム1を圧迫接着して、塩化ビニル樹脂量が200g/m2で厚みが約0.6mmの片面含浸のシートB3とした。
<可塑剤及び添加剤を添加したペースト塩化ビニル樹脂>
ペースト塩化ビニル樹脂(P−1600) 100質量部
可塑剤(アジピン酸ポリエステルとDINPなど) 65質量部
その他、変性大豆油、防黴剤、着色材、安定剤、硬化剤など 16質量部
溶剤(トルエン) 20質量部
[実施例1〜5、比較例1]
フィルム1とフィルム2は滑らかな面、シートA1、シートB1とシートC1は熱ロールで滑らかにした面に、無彫刻のウレタン樹脂被覆印刷ロールを用いたフレキソ印刷機を、ロール転写印刷機として用いて、前記した昭和電工社製アパタイト化合物で被覆した光触媒粒子の20質量%水系印刷液で、薄く全面印刷して、本実施例の光触媒担持シートとした。なお、フィルム1を使用したものは実施例1、フィルム2を使用したものは実施例2、シートA1を使用したものは実施例3、シートB1を使用したものは実施例4、シートC1を使用したものは実施例5とした。
これらは、一見して光触媒を印刷されているとは判らず、斜めから光を当ててその反射光を通してみて、表面のてかりを比べることで判断されるほど薄く印刷されており、カッターナイフで表面に傷をつけて端面の厚みを走査型電子顕微鏡を用いて計測したところ、約200〜300nmであった。
これらと印刷していないシートA1(比較例1)を夏場の3カ月間屋外で日光暴露したところ、比較例1のシートA1は汚れが目立つ状態であったが、印刷面を暴露面としたこれら実施例はいずれも最初の降雨から、雨筋は着かず暴露開始時との変化はなかった。
また、実施例3〜5のシートを塩化ビニル用のウエルダー加工機で接着を試みたが、光触媒印刷面同士でもしっかり接着し、テントとしての使用には全く問題の無い接着状況であった。
なお、光触媒の印刷において、熱風で乾燥したものは、巻き取ったときに光触媒の移りが無く印刷が良好であり、これを実施例とするが、乾燥を積極的に行わず風乾により巻き取ったものは光触媒の移りや滲みを生じた。
なお、実施例3〜5のシートは、防汚性とウエルダー加工性は全く変わらず、見栄えも目でみても塗布していないものと全く変わりが無いので、品質確保の安全性を高めるため、少し過剰に光触媒を印刷したが、ウエルダー加工など実用上全く問題はなかった。
また、実施例2のフィルム2のもう片面に、希釈した化学糊を薄く塗布し、ガラス窓の外側に貼り付けて、実施例1と同様にして屋外で日光暴露したが、実施例1と同様な防汚性を示し、汚れが目立たなかった。
[実施例6〜9、比較例2〜3]
フィルム1とシートA1の滑らかな面に、実施例1のフレキソ印刷機のウレタン樹脂被覆印刷ロールを、点状ドット1個当たりの面積を0.1mm2とする印刷された面積が総対象面積の40%、25%と15%を占める様に彫刻したロールとし、それぞれのロールを用いて実施例1と同様にしてドット印刷して、印刷割合が40面積%と25面積%で、印刷部分の光触媒層の厚みが約200nmの実施例の光触媒担持シートとした。それぞれ、実施例1のフィルム1と実施例3のシートA1の結果と全く同一の結果となった。なお、フィルム1を使用し、印刷面積を40面積%としたものは実施例6、フィルム1を使用し、印刷面積を25面積%としたものは実施例7、シートA1を使用し、印刷面積を40面積%としたものは実施例8、シートA1を使用し、印刷面積を25面積%としたものは実施例9とした。
また、比較例2〜3として印刷割合が15面積%で、印刷部分の光触媒層の厚みが約200nmの光触媒担持シートを作成し、実施例1と同様にして夏場の3カ月間屋外で日光暴露したところ、これらは綺麗な部分と、雨滴の汚れが見られる部分が混在する、部分的に汚れが目立つ状態となった。なお、フィルム1を使用し、印刷面積を15面積%としたものは比較例2、シートA1を使用し、印刷面積を15面積%としたものは比較例3とした。
[実施例10〜11]
実施例3のシートA1の代わりに、シートB2とシートB3を用いて、実施例3と同様にして光触媒担持シートとした。防汚性は実施例3と同様であり、光触媒印刷面同士のウエルダー加工では、良好に接着加工できた。なお、シートB2を使用したものは実施例10、シートB3を使用したものは実施例11とした。
[実施例12〜13]
板1と2に、実施例1のフィルム1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の光触媒担持シートとした。この防汚性は実施例1のフィルム1と変わらず光触媒が強固に吸着し、いずれも良好であった。なお、板1を使用したものは実施例12、板2を使用したものは実施例13とした。
[実施例14]
実施例1と2のフィルム1及び2において、塗布面にあらかじめコロナ放電加工した後、実施例1と同様にして光触媒を印刷して本実施例の光触媒担持シートとした。印刷の乗りが改善され、電子顕微鏡で見ると印刷がより鮮明となった。
[実施例15]
実施例3において、フレキソ印刷機の代わりにグラビア印刷機を用い、2質量%の光触媒粒子懸濁液をイオン交換水で希釈して0.8質量%とした懸濁液を印刷液として、実施例3と同様にして、光触媒を印刷した。若干印刷の乱れは生じるが、これの防汚性とウエルダー加工性は実施例3のシートA1と変わらず光触媒が強固に吸着し、いずれも良好であった。
[比較例4]
実施例15において、2質量%の光触媒粒子懸濁液を印刷液として、実施例3と同様にして、光触媒を印刷した。若干印刷の乱れは生じるが、これの防汚性は実施例3のシートA1と変わらず光触媒が強固に吸着し、いずれも良好であったが、これをウエルダー加工すると、ウエルダーが良好に掛からない部分があり、ウエルダー加工性に問題があった、また、この塗布面を指で擦ると、光触媒が剥がれ落ち、過剰な塗布であって、電子顕微鏡で観察すると、0.5μmを超える厚さの部分が無数にあり、大きいところは2μmを超えていた。
[比較例5]
アパタイトで被覆された光触媒として、粒子径が1μmを超え、2〜3μmの光触媒を用いて、シートA1の片面に手塗りしたが、乾くとぼろぼろ剥離してシートへの固着が悪かった。

Claims (6)

  1. 少なくとも1表面が非撥水性表面である熱可塑性樹脂シートの表面に、親水性無機化合物で被覆された光触媒が吸着により固定・担持されており、
    前記光触媒の平均一次粒子径は1nm以上100nm未満であり、
    前記光触媒は前記平均一次粒子径以上500nm未満の厚みで、全面又は点状で少なくとも塗布面の20面積%を占めて塗布されている光触媒担持シート。
  2. 前記親水性無機化合物で被覆された光触媒の平均一次粒子径は50nm未満である請求項1に記載の光触媒担持シート。
  3. 前記親水性無機化合物で被覆された光触媒は親水性アパタイト被覆光触媒及び親水性シリカ被覆光触媒から選ばれる少なくとも一つの光触媒である請求項1又は2に記載の防汚性屋外用防水シート。
  4. 前記光触媒はドット状に塗布され、1ドットの平均面積が0.13mm2未満である請求項1光触媒担持シート。
  5. 前記光触媒が担持されている表面を形成している熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル樹脂、可塑材を含む軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホン化エチレンゴム、及びウレタンエラストマー樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒担持シート。
  6. 前記シートの他方の面に粘着物が塗布されている請求項1〜5のいずれかに記載の光触媒担持シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014050988A (ja) * 2012-09-05 2014-03-20 Dainippon Printing Co Ltd 機能性物質層積層フィルム、及び該積層フィルムを適用した包装体
JP2019026377A (ja) * 2017-08-03 2019-02-21 株式会社近鉄エクスプレス 鮮度保持装置

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