JP4491535B2 - 光触媒担持テント地キャンバス及びその製造方法 - Google Patents

光触媒担持テント地キャンバス及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚、抗菌、防カビ等の効果を有し、更に長時間にわたる耐侯性を改善した光触媒担持テント地キャンバス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線のエネルギーによって、殺菌、有機物の分解、等の各種の化学反応を進行させる光触媒として、n型半導体の酸化チタンが知られている。光触媒をガラス、金属、プラスチック、タイル等に担持する方法は種々提案されている(特開昭62−66861号公報、特開平5−309267号公報、EP.633064号公報、US.4888101号公報等)。
【0003】
ところで、従来から屋外設置を目的としたテント地キャンバス及びテント地構造物が用いられているが、このテント地キャンバス、特に塩化ビニルを主たる成分とするB種及びC種テント地キャンバス並びにテント地構造物は、塩化ビニル樹脂に大量に含まれる可塑剤が表面に移行して滞留し、外気中の塵埃や煤煙をよく付着させるため、通常2〜3ケ月で黒く変色し汚染が進み、美観を損ねるという大きな欠点を有していた。
そこで、テント地キャンバス、特に広く使用されているB種テント地やC種テント地キャンバス表面に光触媒を担持させて、その光触媒作用を有効に利用して防汚、抗菌、防カビ性を長期にわたって維持する光触媒担持テント地キャンバスが提案されている(特開平10−237769)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記光触媒が担持されたテント地キャンバスにおいても、通常の用いられる可塑剤が使用される。しかしながら、これらの可塑剤は塩化ビニル樹脂層表面に移行し易く、表面に移行すると可塑剤は光触媒の作用により分解されてしまう。その結果、テント地キャンバスの内部から表面にわたって可塑剤の濃度勾配が生じ、内部からの可塑剤の移行が促進される。従って、従来の光触媒を表面に担持させたテント地キャンバスは、光触媒が担持されていないものと比較して、より硬化が進行しやすく、引裂強度が低下しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる実状に鑑みてなされたものであり、光触媒コーティングが表面に施されたテント地キャンバス(以下、「光触媒担持テント地キャンバス」ともいう。)であって、(1)光触媒コーティング層とテント地との接着性が良好であり、(2)長期に亘って防汚能力が維持されることに加えて、(3)光触媒がテント地上に担持されることにより引裂強度の経時低下が促進されない光触媒担持テント地キャンバスを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、テント地キャンバスに含まれる可塑剤量が長期にわたり維持されるテント地キャンバスを用いること、更に、分子量の大きい可塑剤を選択するか又はテント地キャンバスと光触媒コーティングの間に可塑剤移行抑制層を設けるかのいずれかあるいは両方の方法により、テント地キャンバスに含まれる可塑剤量を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
(構成1)テント地キャンバス表面に光触媒コーティング層を有する光触媒担持テント地キャンバスであって、
前記テント地キャンバスが、ペースト塩化ビニル樹脂を含む樹脂組成物を、基布に含浸させて熱処理して得られる下塗り層含浸基布と、その少なくとも一面に形成される、ストレート塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含む樹脂組成物からなるフィルム層とからなり、
前記テント地キャンバスに含まれる可塑剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、n−ヘプチル n−ノニルフタレート、n−ヘプチル n−ウンデシルフタレート、n−ノニル n−ウンデシルフタレート、n−オクチル n−デシルフタレート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィンから選ばれた、分子量が400以上の化合物のうち少なくとも一種であり、JIS−K5400に規定されるサンシャインカーボンアーク式促進耐候性試験において1500時間経過した後に初期と比較して50%以上残存していること
を特徴とする光触媒担持テント地キャンバス、
(構成2)テント地キャンバス表面に光触媒コーティング層を有する光触媒担持テント地キャンバスであって、
前記テント地キャンバスが、ペースト塩化ビニル樹脂を含む樹脂組成物を、基布に含浸させて熱処理して得られる下塗り層含浸基布と、その少なくとも一面に形成される、ストレート塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含む樹脂組成物からなるフィルム層とからなり、
前記テント地キャンバスに含まれる可塑剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、n−ヘプチル n−ノニルフタレート、n−ヘプチル n−ウンデシルフタレート、n−ノニル n−ウンデシルフタレート、n−オクチル n−デシルフタレート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィンから選ばれた、分子量が400以上の化合物のうち少なくとも一種であり、屋外暴露3年経過後に初期と比較して50%以上残存していること
を特徴とする光触媒担持テント地キャンバス、
(構成3)テント地キャンバス表面に光触媒コーティング層を有する光触媒担持テント地キャンバスであって、
前記テント地キャンバスの前記フィルム層と光触媒コーティング層の中間に可塑剤移行抑制層を有する
(構成1)または(構成2)に記載の光触媒担持テント地キャンバス、
(構成4)前記可塑剤移行抑制層の厚さが0.5〜5μmである(構成3)に記載の光触媒担持テント地キャンバス、
(構成5)前記光触媒コーティング層が、光触媒層とその下に設けられた接着層からなる構造を有し、該接着層が、酸化物換算でシリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを酸化物換算で3〜60重量%含有する樹脂、又は、コロイダルシリカを酸化物換算で5〜40重量%含有する樹脂からなり、前記光触媒層、金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルを酸化物換算で25〜95重量%含有する光触媒粒子複合体からなる(構成1)〜(構成4)のいずれかに記載の光触媒担持テント地キャンバス、
(構成6)テント地キャンバスのフィルム層上に、可塑剤移行抑制層、接着層及び光触媒層を順次積層する光触媒担持テント地キャンバスの製造方法であって、
前記テント地キャンバスのフィルム層上に可塑剤移行抑制層と接着層を連続的に積層することを特徴とする(構成1)〜(構成5)のいずれかに記載の光触媒担持テント地キャンバスの製造方法、
(構成7)前記可塑剤移行抑制層の形成に用いられる塗布液の溶剤の沸点が接着層乾燥工程温度以下であることを特徴とする(構成6)に記載の光触媒担持テント地キャンバスの製造方法、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の光触媒担持テント地キャンバスは、テント地キャンバスに含まれる可塑剤がJIS−K5400に規定されるサンシャインカーボンアーク式促進耐候性試験において1500時間経過した後に初期と比較して50%以上残存していることを特徴とする。
【0009】
本発明に用いられるテント地キャンバスは、繊維材料から形成された基布と、その少なくとも1面に形成された塩化ビニル系樹脂層等を有している。繊維材料としては、木綿、麻等の天然樹脂、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維等の無機繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生繊維、ジ又はトリアセテート繊維等の半合成繊維、ナイロン6又はナイロン66等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維等から選ばれる少なくとも1種以上繊維を使用することができる。
【0010】
基布中の繊維は、短繊維紡績糸状、長繊維状、スプリットヤーン、テープヤーン等のいずれの形状のものも使用することができる。また、基布は、織物、編物、不織布、又はこれらの複合布のいずれであってもよい。中でも、本発明に用いられる基布としてはポリエステル繊維が好ましく、形状としては長繊維(フィラメント)の形状であるのが好ましく、また、平織布であるのが好ましい。
【0011】
基布の少なくとも1面に形成される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体等を具体的に例示することができ、これらは、単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。これらの樹脂に、可塑剤、安定剤、充填剤、防炎剤、紫外線吸収剤等を混合して使用することができる。
【0012】
例えば、基布としてガラス繊維織物を使用して、塩化ビニル系樹脂として、防炎剤を含有した塩化ビニル樹脂を使用し、(社)日本膜構造協会の膜材料性能判定基準に適合すれば、膜材料B種となる。また、同様に、基布としてポリアミド繊維、ポリエステル繊維、又は芳香族ポリアミド繊維を使用して、塩化ビニル系樹脂として、防炎剤を含有した塩化ビニル樹脂を使用し、(社)日本膜構造協会の膜材料性能判定基準に適合すれば、膜材料C種となる。
【0013】
このような構造を有しているテント地キャンバスの耐久性は、引裂強度が重要な指標となる。長期屋外暴露されたのと同様の環境下でのサンシャインカーボンアーク式促進耐候性試験において、1500時間経過した後、初期と比較して50%以上の可塑剤がテント地キャンバス内に残存していれば、引裂強度の低下が30%以内となり、そのようなテント地キャンバスを用いた構造物は、通常の耐用年数を維持することができる。
また、実際の屋外暴露試験においては、3年後、上記と同様の条件を満たせば、通常の耐用年数を満足することができる。
【0014】
本発明者らは、上記のような性質のテント地キャンバスは、
(1)触媒コーティングが表面に施されたテント地キャンバスにおいて、テント地キャンバスと光触媒コーティング層の中間に可塑剤の移行を抑制する層(可塑剤移行抑制層)を設けること、
(2)分子量が400以上の可塑剤をテント地キャンバスに用いること、
(3)又は、両者を組み合わせること、
で製造できることを見出した。
【0015】
本発明に用いられる可塑剤移行抑制層の材質としては、具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、シリコーン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ネオプレン、ハイパロン、ポリニトリルゴム、SBR、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、フッ素含有ゴム、シリコーンゴムの中から選ばれた1種若しくは2種以上の組み合わせ等を例示することができる。
【0016】
可塑剤移行抑制層に使用される上記アクリル樹脂としては、アクリル酸若しくはメタクリル酸のCl〜C4アルコールのエステルを主構成モノマーとする重合体若しくは共重合体を主成分とする樹脂が好ましい。この様なアクリル酸エステル系樹脂の主構成モノマーとして具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート等を例示することができで、中でもメチルアクリレート、メチルメタクリレート等が好ましい。また、これらの主構成モノマーと共重合させるコモノマーとしては、例えば、アクリル酸若しくはメタクリル酸のCl〜C12アルコールのエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ウレタン、シリコーン、ブタジエン等のモノマー等が挙げられる。
【0017】
これらの共重合体の重合形態は特に制限されず、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体等いずれのものも使用することができる。例えば、メチルメタクリレート重合体にフッ化ビニリデンを添加後、これをグラフト重合させた重合体等を使用することができる。また、アミノ基、イミノ基、エチレンイミン残基、アルキレンジアミン残基を含むアクリレートを用いることもでき、またこれらをエポキシ樹脂と組み合わせて用いることもできる。
【0018】
抑制層の厚みは特に限定はされないが、0.5〜5μmの範囲が好ましい。より厚い方が抑制効果が高いが、厚さが5μm以上になると抑制効果が飽和する一方で、0.5μm以下になると十分な抑制効果は望めなくなる。
【0019】
可塑剤移行抑制層の樹脂に、光による劣化を抑える目的で光安定化剤及び/又は紫外線吸収剤等を混合することにより耐久性を向上させることができる。使用できる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が良いが、その他の物でも使用可能である。紫外線吸収剤としてはトリアゾール系等が使用できる。添加量は、樹脂に対して0.005重量%以上10重量%以下が好ましく、更に0.01重量%以上5重量%以下が好ましい。
【0020】
可塑剤移行抑制層をテント地キャンバスに塗布し、形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、キャスティング法、シート成形法、スプレー吹き付け法、ディップコーティング法、スピンコーティング法等でコート、乾燥する方法等が挙げられる。
【0021】
テント地キャンバス上に複数層を積層する工程を有する場合、なるべくその工程数省略して一度の工程で複数層を積層できるのが好ましい。光触媒層の塗布工程は、十分な触媒活性を維持するため、他の工程と同時に行うことが困難である場合がある。
【0022】
後述するように、本発明の好ましい一態様であるテント地キャンバス上に可塑剤抑制層、接着層、光触媒層を設けたテント地キャンバスにおいては、可塑剤移行抑制層と接着層を塗布する工程を一工程で行うのが好ましい。可塑剤移行抑制層と接着層をこの順で塗布する工程を一工程で行う場合、可塑剤抑制層が接着層を乾燥する温度で十分乾燥する組成であることが好ましい。即ち、可塑剤移行抑制層の製造に用いられる塗布液の溶剤の沸点が接着層乾燥工程温度以下であることが好ましい。
【0023】
後述する本発明の好ましい一態様である接着層の組成では、乾燥温度を150℃以下に保つことが、耐久性、透明性を維持するには好ましく、したがって、可塑剤抑制層の製造に用いられる塗布液の溶剤としては、沸点が150℃以下のものを用いるのが好ましい。
【0024】
また、テント地キャンバス上に可塑剤抑制層、接着層、光触媒層を積層する工程は、上記工程に限定されず、例えば、可塑剤移行抑制層を塗布した後、接着層、光触媒層を塗布する工程を一工程で行うこともできる。
【0025】
本発明における可塑剤の材質としては、分子量が400以上の化合物を用いるのが好ましい。具体的には、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、n−ヘプチル n−ノニルフタレート、n−ノニルn−ウンデシルフタレート、n−オクチル n−デシルフタレート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィン等を例示することができる。中でも、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステル類が好ましい。また、可塑剤は、これらの化合物群の中から選ばれた2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0026】
光触媒コーティングは十分な有機物の分解活性を有し、防汚能力のあるものであるならば、どのような構造を有するコーティングであっても構わないが、特に以下のような構造を特徴とするものが望ましい。すなわち、光触媒コーティングが、光触媒触媒層とその下に設けられた接着層からなる構造を有し、接着層が、酸化物換算でシリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを酸化物換算で3〜60重量%含有する樹脂、又は、コロイダルシリカを酸化物換算で5〜40重量%含有する樹脂からなり、光触媒層は、金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルを酸化物換算で25〜95重量%含有する光触媒粒子複合体からなるのが好ましい。
【0027】
接着層の材質としては、酸化物換算でシリコン含有量2〜60重量%のアクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを酸化物換算で3〜60重量%含有する樹脂、若しくはコロイダルシリカを酸化物換算で5〜40重量%含有した樹脂が、光触媒を強固に接着し、テント地キャンバスから拡散する可塑剤成分による光触媒活性の低下を防ぐとともに光触媒による酸化分解からテント地キャンバスを保護するのに適当である。
シリコン含有量が酸化物換算で2重量%未満のアクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂、ポリシロキサン含有量が酸化物換算で3重量%未満の樹脂、若しくは、コロイダルシリカ含有量が酸化物換算で5重量%未満の樹脂では、光触媒層との接着が悪くなり、また、接着層が光触媒により劣化し、光触媒層が剥離し易くなる。
酸化物換算でシリコン含有量60重量%を超えるアクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂では、接着層と担体との接着が悪く、また、接着層の硬度が小さくなるために耐摩耗性が悪くなる。
また、ポリシロキサン含有量が酸化物換算で60重量%を超える樹脂、若しくは、コロイダルシリカ含有量が酸化物換算で40重量%を超える樹脂では、接着層が多孔質となったり、担体と接着層との間の接着性が悪くなり、光触媒はテント地キャンバスより剥離し易くなる。
【0028】
接着層樹脂がアクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂の場合、シリコンの樹脂への導入方法としては、エステル交換反応、シリコンマクロマーや反応性シリコンモノマーを用いたグラフト反応、ヒドロシリル化反応、ブロック共重合法等種々あるが、どのような方法で得られる樹脂でも使用できる。シリコンを導入する樹脂としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂が成膜性、強靭性、担体との密着性の点で最も優れているが、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等どのような樹脂でも使用できる。これらの樹脂は、溶剤に溶けたタイプであってもエマルジョンタイプであってもどちらでも使用できる。架橋剤等の添加物が含まれていても何等問題はない。
【0029】
接着層樹脂がポリシロキサンを含有する場合、そのポリシロキサンが炭素数1〜5のアルコキシ基を持ったシリコンアルコキシドの加水分解物あるいは該加水分解物から生成した物であるときに、接着性及び耐久性が、より向上した光触媒担持テント地キャンバスが得られる。シリコンアルコキシドのアルコキシ基の炭素数が6を超えると、高価であり、しかも、加水分解速度が非常に遅いので、樹脂中で硬化させるのが困難になり、接着性や耐久性が悪くなる。部分的に塩素を含んだシリコンアルコキシドを加水分解したポリシロキサンを使用することもできるが、塩素を多量に含有したポリシロキサンを使用すると、不純物の塩素イオンにより、担体が腐食したり、接着性を悪くする場合がある。
【0030】
ポリシロキサンの樹脂への導入方法としては、シリコンアルコキシドモノマーの状態で樹脂溶液へ混合し、接着層形成時に空気中の水分で加水分解させる方法、前もって、シリコンアルコキシドを部分加水分解した物を樹脂と混合し、更に、接着層形成時に空気中の水分で加水分解する方法等種々あるが、樹脂と均一に混合できる方法なら、どのような方法でも使用できる。また、シリコンアルコキシドの加水分解速度を変えるために、酸や塩基触媒を少量添加しても構わない。ポリシロキサンを導入させる樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等どのような樹脂でも使用できるが、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂が耐久性の点で最も優れている。
【0031】
接着層がコロイダルシリカを含有する樹脂の場合、そのコロイダルシリカの粒子径は50nm以下が好ましい。50nm以上になると、接着層中の樹脂は光触媒により劣化し易くなるばかりか、光触媒層と接着層との接着も悪くなる。
コロイダルシリカを樹脂に導入する方法としては、樹脂溶液とコロイダルシリカ溶液を混合後、塗布・乾燥して保護膜を形成する方法が最も簡便であるが、コロイダルシリカを分散した状態で、樹脂を重合し、合成したものを使用しても良い。コロイダルシリカと樹脂との接着性及び分散性を良くするために、シランカップリング剤でコロイダルシリカを処理して用いても良い。
【0032】
コロイダルシリカを導入させる樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等どのような樹脂でも使用できるが、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂が最も耐久性の点で優れている。コロイダルシリカは、珪酸ナトリウム溶液を陽イオン交換することにより作られるシリカゾルであっても、シリコンアルコキシドを加水分解して作られるシリカゾルであっても、どのような物でも使用することができる。
【0033】
接着層樹脂に光触媒作用による劣化を抑える目的で、光安定化剤及び/又は紫外線吸収剤等を混合することにより耐久性を向上させることができる。使用できる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が最も好ましいが、その他のものでも使用可能である。紫外線吸収剤としてはトリアゾール系等が使用できる。添加量は、樹脂に対して0.005重量%以上10重量%以下、好ましくは0.01重量%以上5重量%以下である。また、接着層上をシラン系若しくはチタン系カップリング剤で処理すると光触媒層との接着性が向上することがある。接着層の溶液中に界面活性剤を0.00001重量%〜0.1重量%添加することによっても良好な光触媒担持体とすることができる。
【0034】
接着層をテント地キャンバスに塗布する方法としては、キャスティング法、シート成形法、スプレー吹き付け法、ディップコーティング法、スピンコーティング法等でコート、乾燥する方法のいずれも使用できる。乾燥する温度は、塗布方法や溶媒やテント地キャンバスの樹脂の種類によっても異なるが、一般的に150℃以下が好ましい。接着層の厚さは、0.5μm以上が好ましい。
【0035】
光触媒層中の金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルは、光触媒粉末を固着し、接着層と強固に接着させるだけでなく、ゲルが多孔質であることから吸着性を持っており、光触媒活性を高める効果もある。この金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルの光触媒層中での含有量は、酸化物換算で25〜95重量%が好ましい。25重量%以下では、接着層との接着が不十分となり、95重量%以上では、光触媒活性が不十分となる。また、金属酸化物ゲル若しくは金属水酸化物ゲルの比表面積が100m/g以上であるのが好ましく、この場合、接着性はより強固になり、触媒活性も向上する。
【0036】
金属酸化物又は金属水酸化物ゲルの材質としては、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステンの金属の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルが好ましい。また、これらを混合したゲルでも、共沈法等の方法で作られる複合酸化物ゲルでも使用することができる。光触媒と混合するためには、ゲルとなる前のゾルの状態で混合するか、若しくは、ゾルを調製する前の原料の段階で混合するのが望ましい。
【0037】
ゲルを調製する方法には、金属塩を加水分解する方法、中和分解する方法、イオン交換する方法、金属アルコキシドを加水分解する方法等があるが、ゲルの中に光触媒粉末が均一に分散された状態で得られるものであればいずれの方法も使用可能である。但し、ゲル中に多量の不純物が存在すると、光触媒の接着性や触媒活性に悪影響を与えるので、不純物の少ないゲルが好ましい。特に、ゲルの中に有機物が5%以上存在すると、光触媒活性が低下する場合がある。
ジルコニウムやアルミニウムの酸化物ゾルを含む光触媒層を使用した場合は、水道水中での15分間の耐沸騰水性試験後のテープ剥離試験に合格したり、5%炭酸ナトリウム水溶液中への24時間浸漬試験後のテープ剥離試験に合格するものが得られるため、特に好ましく使用できる。
【0038】
光触媒層中の光触媒としては、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、KNbO、Fe、Ta、WO、SnO、Bi、NiO、CuO、SiC、SiO、MoS、InPb、RuO、CeO等、及び、これらの光触媒にPt、Rh、RuO、Nb、Cu、Sn、NiO等の金属及び金属酸化物を添加した公知のものが全て使用できる。光触媒層中の光触媒の含有量は、多量なほど触媒活性が高くなるが、接着性の点から酸化物換算で75重量%以下が好ましい。また、抗菌性や防カビ性を更に向上させるため、光触媒層中に酸化チタン光触媒に対して0.05〜5重量%の銀や銅の金属若しくは金属化合物を添加することも好ましく採用できる。添加量が0.05重量%以下では防カビ性の向上効果に乏しく、5重量%以上では光触媒層が変色したりするという現象が生じるためテント地キャンバスの色や柄によっては使用が困難になる場合もある。
【0039】
光触媒層を接着層上へ形成するには、金属酸化物ゾル若しくは金属水酸化物ゾル溶液中に光触媒を分散した懸濁液を接着層を形成するのと同様のコート法でコートすることができる。金属酸化物ゾル若しくは金属水酸化物ゾルの前駆体溶液の状態で光触媒を分散し、コート時に加水分解や中和分解してゾル化若しくはゲル化させてることもできる。ゾルを使用する場合には、安定化のために、酸やアルカリの解膠剤等が添加することもできる。また、ゾル懸濁液中に光触媒に対し、5重量%以下の界面活性剤やシランカップリング剤等を添加して、接着性や操作性を良くすることもできる。光触媒層形成時の乾燥温度としては、塗布方法やテント地キャンバスの材質及び接着層中の樹脂材質によっても異なるが、一般的に150℃以下が好ましい。
【0040】
光触媒層の厚みは、0.5〜5μmの範囲が好ましい。厚い方が活性が高くなるが、5μm以上になるとほとんど変わらなくなり、透光性、膜密着性が低下する等の問題が生じる場合がある。厚さが、0.1μm以下になると透光性は良くなるものの、光触媒が利用している紫外線をも透過してしまうために、高い活性は望めなくなる。光触媒層の厚さを0.1μm以上5μm以下にし、しかも、結晶粒子径が40nm以下の光触媒粒子及び比表面積100m/g以上の金属酸化物ゲル若しくは金属水酸化物ゲルを用いた場合、高い光触媒活性を有し、下地のテント地キャンバスの風合いを損なうことがないので美観の上でも好ましい。
【0041】
上記のような可塑剤を選択するか又はテント地キャンバスと光触媒コーティングの間に可塑剤移行抑制層を設けるかのいづれかあるいは両方を選択して、その上に接着層と光触媒層を設けたテント地キャンバスは、JIS−K5400のサンシャインカーボンアーク式促進耐候性試験において1500時間経過した後に、テント地に含まれる可塑剤量が初期と比較して50%以上残存しており、初期と比較して引裂強度の低下が30%以内であり、JIS−K5400碁盤目テープ法による付着性が、評価点数6点以上を維持するような高耐久性を示す。
【0042】
本発明のテント地キャンバスは、広く使用されているB種テント地キャンバス又はC種テント地キャンバスとして好ましく使用できる。
また、本発明に示す光触媒を担持したテント地キャンバスは、広く一般建築用材料として用いることができる。具体的には、テント、テントシート倉庫、テント倉庫の屋根、トラックシート等の輸送体機器の幌、野積みシート、店舗用装飾テント、商店等の軒だし日よけ、各種アーケードの屋根、展示会パビリオン等の屋根や側面の覆い、ガソリンスタンドの屋根や側面の覆い、防水保護シート、防雪シート、エアードーム、プールカバー、オイルフェンス、シートシャッター、フレキシブルコンテナ、建築養生シート、レーダードーム等に使用する場合を例示することができる。特に、防汚、抗菌、防カビの効果を必要とする場所に使用した場合、優れた防汚性、抗菌性、防カビ性を生かして長期にわたって表面の美麗な状態を維持するため、好ましく使用できる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1
(1)テント地キャンバスの製造
基布として、下記組織のポリエステルフィラメント平織物を用いた。
1000d×1000d
25×25 目付 215g/m
この基布を、ペースト塩化ビニル樹脂を含む下記配合1の樹脂組成物の溶剤希釈液中に浸漬して、基布に樹脂液を含浸させた後、絞り、150℃で1分間乾燥後、185℃で1分間熱処理して、基布に対し樹脂を145g/m付着させて、下塗り層を形成した。
次に、可塑剤としてn−ヘプチル−n−ウンデシルフタレートを含む下記配合2の樹脂組成物からなるフィルム(0.16mm厚)をカレンダー法で作成し、これを前記下塗り層含浸基布の両面に貼着して、片面あたり200g/mの塩化ビニル樹脂を形成し、合計重量760g/mのテント地キャンバスを製造した。
【0045】
<配合1>
ペースト塩化ビニル樹脂 100重量部
n−ヘプチル n−ウンデシルフタレート 70重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
炭酸カルシウム 10重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
顔料(TiO) 5重量部
トルエン(溶剤) 20重量部
【0046】
<配合2>
ストレート塩化ビニル樹脂 100重量部
n−ヘプチル n−ウンデシルフタレート 70重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
炭酸カルシウム 10重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
顔料(TiO) 5重量部
【0047】
(2)光触媒コーティング層の形成
前記テント地キャンバスの塩化ビニル系樹脂の上に、接着層としてビストレーターL、NRC−300A(日本曹達(株)製)をグラビヤコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、厚さ約2μmの接着層を形成し、その上にさらに光触媒層としてビストレーターL、NRC−300C(日本曹達(株)製)をグラビヤコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、厚さ約1μmの光触媒層を形成して、光触媒坦持テント地キャンバスを製造した。
【0048】
比較例1
実施例1中、配合2の可塑剤であるn−ヘプチル n−ウンデシルフタレートの代わりにジ−2−エチルヘキシルフタレートを用いる以外、実施例1と同様にして光触媒坦持テント地キャンバスを製造した。
【0049】
実施例2
塩化ビニル系樹脂層と光触媒コーティング層の配合3に示す樹脂組成物溶剤希釈液を用い、グラビヤコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却し、厚さ約2μmの可塑剤移行抑制層を設け、引き続いて接着層塗布液を塗布・乾燥する以外、実施例1と同様にして光触媒坦持テント地キャンバスを製造した。
【0050】
<配合3>
アクリプレンペレットHBS001(三菱レーヨン製) 20重量部
トルエン−メチルエチルケトン(重量比50/50)(溶剤) 80重量部
【0051】
参考例1
実施例2中、配合2の可塑剤であるn−ヘプチル n−ウンデシルフタレートの代わりにジ−2−エチルヘキシルフタレートを用いる以外、実施例と同様にして光触媒坦持テント地キャンバスを製造した。
【0052】
(評価方法)
屋外暴露試験
試料を各南向きに、傾斜角度30度にして連続的に屋外に暴露して、試料の防汚性、可塑剤残存率、及び引裂強度を評価した。
(イ)防汚性
初期の試料を基準として屋外暴露3年後の試料試料表面の色差ΔEを測定し、下記のように3段階に評価した。
ΔE= 〜5:○:汚れが認められない
〜15:△:わずかな汚れが認められる。
15〜:×:顕著な汚れが認められる。
(ロ)可塑剤残存率
100cmの試料を300mlのヘキサンに40℃、24時間浸漬し、可塑剤を抽出後、試料をギヤオーブンで60℃、10分間乾燥し、初期重量からの減量分を可塑剤残存量とし、暴露前、暴露後の可塑剤残存量を下式で比較して可塑剤残存率を求めた。
可塑剤残存率(%)=暴露後可塑剤残存量/暴露前の可塑剤残存量×100
(ハ)引裂強度
日本工業規格JIS L 1096トラぺゾイド法に従って、測定した。
促進耐侯性試験
日本工業規格JIS K 5400に記載されているサンシャインカーボンアーク式促進試験に従い、1500時間経過後の可塑剤残存率及び引裂強度を評価した。
【0053】
実施例1、2、参考例1、及び比較例1で調製した試料を評価した結果を第1表にまとめて示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004491535
【0055】
第1表中、防汚性における括弧内の数値はΔE値を表す。
また、引裂強度における値は、(縦方向の引裂強度)×(横方向の引裂強度)の形で表す。
また、引裂強度における強度低下率とは、[{初期引裂強度である21×21(kgf)の値}−(屋外暴露、又は耐候促進試験後における値)]/初期引裂強度×100で求められる値を表し、その値を(縦方向強度低下率)×(横方向強度低下率)の形で表す。
第1表から、本発明のテント地キャンバスは、比較例1と比べて、防汚性、引裂強度両方の点で優れていることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、促進耐候試験1500時間経過後、又は屋外暴露3年経過後に初期と比較してテント地キャンバスに含まれる可塑剤が50%以上残存するようにして、テント地キャンバスの硬化による引裂強度の経時劣化を抑制することを特徴とするものである。この光触媒層表面に付着した有機物系の汚れは光触媒作用により速やかに分解され、残った無機系の汚れも付着剤の役目を果たす油分等の有機物系の汚れが無いため降雨時等に速やかに洗い流されるという特徴を有しており、長期にわたって防汚性を維持できるとともに、可塑剤を必要以上に消失させることがなく引裂強度の経時変化を促進させることがない効果を有するものである。
また、高温多湿の場所等での従来の光触媒担持テント地キャンバスでは、可塑剤等を栄養源として光触媒耐性のカビが生える等の問題があったが、本発明のテント地キャンバスを用いることにより、可塑剤の移行を抑制することができるので、上記問題をも解決することができる。

Claims (7)

  1. テント地キャンバス表面に光触媒コーティング層を有する光触媒担持テント地キャンバスであって、
    前記テント地キャンバスが、ペースト塩化ビニル樹脂を含む樹脂組成物を、基布に含浸させて熱処理して得られる下塗り層含浸基布と、その少なくとも一面に形成される、ストレート塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含む樹脂組成物からなるフィルム層とからなり、
    前記テント地キャンバスに含まれる可塑剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、n−ヘプチル n−ノニルフタレート、n−ヘプチル n−ウンデシルフタレート、n−ノニル n−ウンデシルフタレート、n−オクチル n−デシルフタレート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィンから選ばれた、分子量が400以上の化合物のうち少なくとも一種であり、JIS−K5400に規定されるサンシャインカーボンアーク式促進耐候性試験において1500時間経過した後に初期と比較して50%以上残存していること
    を特徴とする光触媒担持テント地キャンバス。
  2. テント地キャンバス表面に光触媒コーティング層を有する光触媒担持テント地キャンバスであって、
    前記テント地キャンバスが、ペースト塩化ビニル樹脂を含む樹脂組成物を、基布に含浸させて熱処理して得られる下塗り層含浸基布と、その少なくとも一面に形成される、ストレート塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含む樹脂組成物からなるフィルム層とからなり、
    前記テント地キャンバスに含まれる可塑剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、n−ヘプチル n−ノニルフタレート、n−ヘプチル n−ウンデシルフタレート、n−ノニル n−ウンデシルフタレート、n−オクチル n−デシルフタレート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィンから選ばれた、分子量が400以上の化合物のうち少なくとも一種であり、屋外暴露3年経過後に初期と比較して50%以上残存していること
    を特徴とする光触媒担持テント地キャンバス。
  3. テント地キャンバス表面に光触媒コーティング層を有する光触媒担持テント地キャンバスであって、
    前記テント地キャンバスの前記フィルム層と光触媒コーティング層の中間に可塑剤移行抑制層を有する
    請求項1または2に記載の光触媒担持テント地キャンバス。
  4. 前記可塑剤移行抑制層の厚さが0.5〜5μmである請求項3に記載の光触媒担持テント地キャンバス。
  5. 前記光触媒コーティング層が、光触媒層とその下に設けられた接着層からなる構造を有し、該接着層が、酸化物換算でシリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを酸化物換算で3〜60重量%含有する樹脂、又は、コロイダルシリカを酸化物換算で5〜40重量%含有する樹脂からなり、前記光触媒層、金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルを酸化物換算で25〜95重量%含有する光触媒粒子複合体からなる請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒担持テント地キャンバス。
  6. テント地キャンバスのフィルム層上に、可塑剤移行抑制層、接着層及び光触媒層を順次積層する光触媒担持テント地キャンバスの製造方法であって、
    前記テント地キャンバスのフィルム層上に可塑剤移行抑制層と接着層を連続的に積層することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光触媒担持テント地キャンバスの製造方法。
  7. 前記可塑剤移行抑制層の形成に用いられる塗布液の溶剤の沸点が接着層乾燥工程温度以下であることを特徴とする請求項6に記載の光触媒担持テント地キャンバスの製造方法。
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