JP3651586B2 - 防汚性シート、防汚性複合シート及びその製造方法、防汚性複合シート構造物 - Google Patents

防汚性シート、防汚性複合シート及びその製造方法、防汚性複合シート構造物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防汚性シート、防汚性複合シート及びその製造方法、並びに防汚性複合シート構造物に関するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は、塩化ビニル系樹脂層含有シート基体の最外表面を光触媒層により全面被覆し、その最外裏面をアクリル樹脂で全面被覆している防汚性シート、この防汚性シートと、塩化ビニル系樹脂層含有シート基体の少なくとも1表面に形成されたフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚シートとを含む防汚性複合シート、この防汚性複合シートの製造方法、及びこの防汚性複合シートを用いて構成された防汚性複合シート構造物に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業資材用途の塩化ビニル系樹脂膜材は、例えば、ポリエステルなどの長繊維織物に塩化ビニル系樹脂層が被覆されて造られており、柔軟で使用勝手が良いためテント倉庫やトラック用の幌、看板用バックリットなど幅広い用途において使用されている。このような膜材は、加工性、経済性、防炎性等の点において優れているが、屋外で長期間使用した場合には、太陽光により次第に樹脂分解、及び劣化が起こり、膜材に含まれている可塑剤、安定剤等が膜材表面に移行するため、次第に表面が粘着性を示すようになり、防汚性が低下するという問題があった。
【0003】
この欠点を改善する方法として、一般的には塩化ビニル系樹脂層の表面にフッ素樹脂被膜をコーティングにより形成させたり、フッ素樹脂をフィルム化して塩化ビニル系樹脂層の表面にラミネートし、防汚被覆層を設けた防汚性シートが提案されている。このように、塩化ビニル系樹脂層の表面にフッ素樹脂をコーティングにより防汚層を形成させたり、フッ素樹脂をフィルム化したものを塩化ビニル系樹脂層の表面にラミネートして防汚層を設けた場合には、塩化ビニル系樹脂層に含まれる可塑剤、安定剤等が膜材表面へ移行するのを抑えるため防汚性が向上し、耐候性の向上も認められる。しかし、これらの防汚性シートをテント倉庫などの構造物に使用した場合は、垂直部(側面部)には雨筋汚れが目立ちやすく、雨筋汚れを取り除くためには洗浄作業を施して汚れを洗い流す必要がある。しかし、テント倉庫等の大型膜構造物では洗浄作業が現実的に難しく、美観を損う場合がある。また、最近では、塩化ビニル系樹脂層の表面に酸化チタンをコーティングして光触媒層を形成し、光触媒作用を利用して防汚性を付与する方法も提案されている(特開平10−237769)。この方法は、光触媒層の光触媒作用により防汚性は格段に向上し、この防汚性シートを使用した構造物の垂直部(側面部)には雨筋汚れも殆どなく、優れた防汚性を示すが、構造物の天井部分には、紫外線照射が強く、光触媒層の光触媒作用により基材樹脂が劣化し、光触媒層が脱落したり、塩化ビニル系樹脂層が耐候劣化を受け、構造物の垂直部分(側面部)に比べ、天井部分の耐候性及び防汚性が劣る場合があった。また、この光触媒層を有する防汚性シートは、光触媒層自体が熱融着性を殆ど示さず、通常の熱融着(熱風融着、熱鏝融着、熱板融着、高周波ウエルダー融着)では接合は難しいといった問題があった。
【0004】
上記のような防汚性シートの接合には、通常は接合予定部分の光触媒層を予め除去し接合する方法が実施されている。この接合方法では光触媒層のみを精度良く除去する作業は煩雑で難しく、光触媒層の除去が足りなかった場合には、融着性が悪く、融着しても除去されずに残った光触媒層の光触媒作用により接合部の強度が経時的に低下することがあり、また、光触媒層の除去が過剰な場合には、基材となる塩化ビニル系樹脂層も削り取られてしまうため、接合部の初期強度低下の原因となる。その他、接合部分を重ね合わせずに、裏面に当て布をして融着又は接着するという接合方法も考えられるが、作業が煩雑で難しく、任意の形状の接合には対応しにくいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、防汚性と、防水性を有し、かつ接合方法が容易な防汚性シート及び防汚性複合シート、この防汚性複合シートの製造方法、及び前記防汚性複合シートを用いた構造物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の防汚性シートは、繊維布帛及びその両面上に形成された塩化ビニル系樹脂層を有するシート基体と、このシート基体の前記塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に最外層として形成され、かつ、光触媒粒子を含む光触媒層と、前記シート基体の裏面の全面上に最外層として形成され、かつ、アクリル系樹脂を含むアクリル樹脂層とを有し、
前記シート基体中の塩化ビニル系樹脂層が、
(1)前記繊維基布に含浸され、かつ熱処理されたペースト塩化ビニル樹脂含有下塗り層と、
(2)前記下塗り層含浸繊維基布の両面に貼着されたストレート塩化ビニル樹脂含有フィルム層と
から形成されていることを特徴とするものである。
本発明の防汚性シートにおいて、前記シート基体の前記塩化ビニル系樹脂層と、前記光触媒層との間に、接着性樹脂材料を含む接着保護層がさらに形成されていることが好ましい。
本発明の防汚性シートにおいて、前記接着保護層に含まれる接着性樹脂材料が、ポリシロキサン樹脂とアクリルシリコーン樹脂との混合物を含むことが好ましい。
本発明の防汚性シートにおいて、前記光触媒層の上に、保護層がさらに形成されていてもよい。
本発明の防汚性複合シートは、前記本発明の防汚性シート(1)と、繊維布帛及び、その少なくとも1面上に塗布、貼着又は含浸された塩化ビニル系樹脂層を含むシート基体、並びに前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に最外層として形成され、かつフッ化ビニリデン系樹脂を含むフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)とを含み、
前記防汚性シート(1)の前記アクリル樹脂層の少なくとも1部分と、前記接合用防汚性シート(2)の前記フッ化ビニリデン樹脂層の少なくとも1部分とが互に接触するように重ね合わされ、熱融着されていることを特徴とするものである。
本発明の防汚性複合シートにおいて、前記接合用防汚性シート(2)の前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層と、前記フッ化ビニリデン樹脂層との間に、アクリル樹脂を含む接着層が形成されていることが好ましい。
本発明の防汚性複合シートの製造方法は、前記本発明の防汚性シート(1)に、繊維布帛及びその少なくとも1面上に塗布、貼着又は含浸された塩化ビニル系樹脂層とを含むシート基体、並びに前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に最外層として形成され、かつフッ化ビニリデン系樹脂を含むフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)を接合するに際し、
前記防汚性シート(1)の前記アクリル樹脂層の少なくとも1部分と、前記接合用防汚性シート(2)の前記フッ化ビニリデン樹脂層の少なくとも1部分とを、互いに接触するように重ね合わせ、かつ熱融着することを特徴とするものである。
本発明の防汚性複合シートの製造方法において、前記接合用防汚性シート(2)の前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層と、前記フッ化ビニリデン樹脂層との間に、アクリル樹脂を含む接着層が形成されていることが好ましい。
本発明の防汚性複合シート構造物は、天井部分と、この天井部分の縁端の少なくとも1部分に連結され、かつ下向きに伸び出ている側面部分とを有する構造体であって、
前記天井部分が、繊維布帛及びその少なくとも1面上に塗布、貼着又は含浸された塩化ビニル系樹脂層を含むシート基体、並びに前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層の最外表面の全面上に最外層として形成され、かつフッ化ビニリデン系樹脂を含むフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)によって、前記フッ化ビニリデン樹脂層が、前記天井部分の外表面を形成するように形成され、
前記側面部分が、本発明の前記防汚性シート(1)によって、その光触媒層が、前記側面部分の外表面を形成するように形成されており、
前記天井部分と前記側面部分との連結部分において、前記接合用防汚性シート(2)の前記フッ化ビニリデン樹脂層に、前記防汚性シート(1)の前記アクリル樹脂層が互いに接触するように重ね合わされ、かつ熱融着されている、
ことを特徴とする
本発明の防汚性複合シート構造物において、前記接合用防汚性シート(2)の前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層と、前記フッ化ビニリデン樹脂層との間に、アクリル樹脂を含む接着層が形成されていることが好ましい。
本発明の防汚性複合シート構造物において、前記天井部分の少なくとも1部分が水平面に対して傾斜していてもよい。
本発明の防汚性複合シート構造物において、前記側面部分の少なくとも1部分が、垂直面に対して傾斜していてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1において、本発明の防汚性シート(1)の一例の断面の構造が図示説明されている。
図1において、防汚性シート1は、シート基体2と、シート基体2の表面の全面に、必要により接着保護層5を介して、光触媒層3が形成されており、シート基体2の裏面の全面に、アクリル樹脂層4が形成されている。
【0008】
図2には、本発明の防汚性複合シートに用いられる接合用防汚性シート(2)の一例の断面構造が図示説明されている。
図2において、接合用防汚性シート6は、シート基体7の表面の全面上に、必要により接着層9を介して、フッ化ビニリデン樹脂層8が形成されており、シート基体の裏面側は被覆されていなくてもよいが、必要により防水剤及び/又は防汚剤などを含む裏面層10が形成されていてもよい。
【0009】
前記防汚性シート(1)及び接合用防汚性シート(2)の各々のシート基体は、繊維布帛と、その両面上に形成された塩化ビニル系樹脂層とを有するものである。
前記シート基体中の塩化ビニル系樹脂層は、(1)前記繊維基布に含浸され、かつ熱処理された、ペースト塩化ビニル樹脂含有下塗り層と、(2)前記下塗り層含浸繊維基布の両面に貼着された、ストレート塩化ビニル樹脂含有フィルム層とから形成されるものである。
【0010】
本発明の防汚性シート(1)及び接合用防汚性シート(2)の各々に使用されるシート基体用繊維布帛としては、天然繊維、例えば、木綿、麻など、無機繊維、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維など、再生繊維、例えば、ビスコースレーヨン、キュプラなど、半合成繊維、例えば、ジーおよびトリーアセテート繊維など、および合成繊維、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリオレフィン繊維など、から選ばれる少なくとも1種類からなるものが用いられる。繊維布帛中の繊維は、短繊維紡績糸条、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状のものであってもよく、また布帛の組織は、織物、編物、不織布又はこれらの複合布のいずれであってもよい。
繊維布帛の重量には格別の制限はないが、一般に50〜400g/m2 であることが好ましく、より好ましくは100〜300g/m2 である。
【0011】
本発明の防汚性シート(1)及び接合用防汚性シート(2)の各々のシート基体に使用される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体などを用いることができ、これらを単独あるいは2種以上を混合したものに可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料などや必要に応じて防炎剤などの機能付与剤を加えて混合して用いてもよい。下塗り層に用いられるこれらの塩化ビニル系樹脂はペースト樹脂であり、フィルム層に用いられる塩化ビニル樹脂はストレート樹脂である。
【0012】
本発明の防汚性シート(1)及び接合用防汚性シート(2)の各々のシート基体に含まれる塩化ビニル系樹脂において、それに含有される可塑剤としては、汎用のフタル酸エステル系可塑剤を使用することができる。前記フタル酸エステル系可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノリルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどが使用される。また、本発明の防汚性シート(1)及び接合用防汚性シート(2)の防汚性を更に向上させるには、可塑剤として特定の液状可塑剤及び/又は高分子量可塑剤が用いられることが好ましい。前記液状可塑剤は、ポリエステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤から選ばれた少なくとも1種類からなるものであることが好ましい。また前記高分子量可塑剤としては、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、及びエチレン−アクリル酸エステル−一酸化炭素三元共重合から選ばれた少なくとも1種類からなるものであることが好ましい。
【0013】
本発明の防汚性シート(1)及び接合用防汚性シート(2)の各々に用いられるシート基体において、塩化ビニル系樹脂層下塗り層は含浸法により形成され、フィルム層は、トッピング法、又はフィルム貼着法、などにより形成することができる。
【0014】
本発明の防汚性シート(1)において、シート基体の表面側の全面上に光触媒層を形成するには、光触媒性無機粒子と必要により結着剤とを含む塗布剤を塗布し固化すればよい。このとき、必要により塩化ビニル系樹脂層と光触媒層との間に、接着保護層を形成してもよく、この接着保護層は、ポリシロキサン樹脂とアクリルシリコン樹脂との混合物を含むことが好ましい。また、この接着保護層に圧着又は加熱圧着操作を施してもよい。
【0015】
光触媒層は、例えば、光触媒性無機粒子、例えばシリカゾル1〜10重量%と有機珪素化合物成分、例えば、モノアルキルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物1〜10重量%と、及び、酸化チタンゾル1〜10重量%とを含む混合液を、前記塩化ビニル樹脂層上に、又は前記接着保護層上に塗布し、乾燥して形成される。モノアルキルトリメトキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、及び/又はメチルトリエトキシシランなどを用いることができる。シリカゾルと、モノアルキルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物との混合比率は、重量比で100/0〜60/40であることが好ましく、90/10〜50/50であることがより好ましい。光触媒性無機粒子ゾルと、前記有機珪素化合物成分との配合において、光触媒性無機材料/有機珪素化合物の重量比が5/95〜75/25であることが好ましく、10/90〜65/35であることがより好ましい。有機珪素化合物の配合比率が95%を超えると、得られる光触媒層の光触媒活性が不十分となることがあり、またそれが25%未満では塩化ビニル樹脂層又は接着保護層への接着性が不十分となることがある。
【0016】
光触媒層中の光触媒性無機粒子としては、 TiO2,TiO3nH2O,ZnO, SrTiO3,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO3,K2NbO3,Fe23,Ta25,WO3,SnO2,Bi23,NiO,Cu2O,SiC,SiO2,MoS2,InPb,RuO2,CeO2などの粒子を例示することができ、またこれらの光触媒性無機粒子に Pt,Rh,RuO2,Nb,Cu,Sn,NiOなどの金属及び金属酸化物を光触媒活性促進剤として添加してもよい。光触媒層中の光触媒性無機粒子の含有量は、多くなるほど触媒無活性が高くなるが、それに伴って接着性が低下するので、光触媒層の合計重量に対し、25〜75重量%であることが好ましく、40〜60重量%であることがより好ましい。光触媒層の重量は、0.1〜5g/m2 であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2である。この塗布重量が0.1g/m2未満の場合には、得られる光触媒層の光触媒活性が不十分になることがあり、またそれが5g/m2をこえると、光触媒活性がほとんど変らず、透光性、膜密着性が低下するなどの不都合を生ずることがある。
【0017】
また、必要によりシート基体の塩化ビニル系樹脂層と光触媒層との間、又は塩化ビニル系樹脂層と接着保護層との間に、塩化ビニル系樹脂に含まれる可塑剤の移行を防止する可塑剤移行防止層を形成してもよい。可塑剤移行防止層を形成することにより、光触媒層に対する塩化ビニル系樹脂層の可塑剤の影響を抑制することができ、このため、光触媒層の表面親水化効果及び汚れ分解効果の低下を防止することができ、光触媒層の本来の防汚効果を確保することができる。
【0018】
本発明の防汚性シート(1)において、前記可塑剤移行防止層を形成するために使用される樹脂としては、合成樹脂、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素含有重合体樹脂、および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など、あるいは天然ゴム又は合成ゴム、例えば、ネオプレン、ハイパロン、ポリニトリルゴム、SBR、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、EPT、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、フッ素含有ゴム、シリコーンゴムなどから選ばれた少なくとも1種類の樹脂を使用することが好ましい。
【0019】
本発明の防汚性シート(1)において、アクリル樹脂層に用いられるアクリル系樹脂としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C4アルコールのエステルを主構成モノマーとする重合体もしくは共重合体を主成分とする樹脂が好ましい。このようなアクリル酸エステル系樹脂の主構成モノマーは具体的にはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタアクリレートが好ましい。また、これらの主構成モノマーと共重合させるコモノマーとしては、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C12 アルコールのエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエンなどのモノマーがある。これらの共重合体は、ランダム共重合体に限定されるものではなく、グラフト共重合体であってもよい。例えば、メチルメタクリレート重合体にフッ化ビニリデンを添加後、これをグラフト重合させた重合体などを使用することもできる。また、アミノ基、イミノ基、エチレンイミン残基、アルキレンジアミン残基を含むアクリレートを用いることもでき、これらをエポキシ樹脂と組み合わせて用いることもできる。また、このアクリル樹脂層の中には、必要に応じて、良好な相溶性を有する樹脂や安定剤、加工助剤、紫外線吸収剤などを含有させてもよい。
本発明の防汚性シート(1)において、その光触媒層の上に保護層をさらに設けてもよい。この保護層は、前記接着保護層、アクリル樹脂層及び可塑剤移行防止層の形成に用いられる高分子材料の1種以上を用いて形成されることが好ましい。また、この保護層は不均一(不連続)又は均一(連続)に形成されてもよい。
【0020】
本発明の防汚性シート(1)と熱融着するための、最外表面にフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)の構成は図2に示されている。本発明に用いられる接合用防汚性シート(2)において、それに含まれるフッ化ビニリデン樹脂層に用いられるフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデン単独重合体の他、フッ化ビニリデンを好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上含有し、これと共重合可能な単量体、例えば4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、フッ化ビニル、3フッ化塩化エチレン、フロロクロロビニリデン、6フッ化ビニリデンなどから選ばれる1種類以上の単量体を共重合させて得られる共重合体を包含する。また、少なくとも1種の含フッ素単量体を含む1種以上の単量体と、分子内に二重結合とペルオキシ結合を共に有する単量体とを共重合した含フッ素弾性共重合体(幹ポリマー)にフッ化ビリニデン単量体をグラフト重合したフッ化ビリニデン系軟質フッ素樹脂も包含される。また、このフッ化ビニリデン樹脂層の中には、必要に応じて、フッ化ビニリデン系樹脂に対して良好な相溶性を有するアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂などの追加樹脂成分、安定剤、加工助剤、及び/又は紫外線吸収剤などを含有させてもよい。
【0021】
本発明に用いられる接合用防汚性シート(2)において、フッ化ビニリデン樹脂層をコーティング法により形成させてた場合には、シート基体の塩化ビニル系樹脂層とフッ化ビニリデン樹脂層との間に、両間の接着強度を向上させるための接着層として、前述の本発明の防汚性シート(1)のアクリル樹脂層に使用されるアクリル系樹脂を塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に被覆して接着層を形成することが好ましい。また、フッ化ビニリデン系樹脂をフィルム化して塩化ビニル系樹脂層の上にラミネートする場合にも、塩化ビニル系樹脂層とフッ化ビニリデン樹脂フィルムとの接着強度を向上させるための接着層として、本発明に有用な前述のアクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂を積層構成したフィルムを用いてもよい。
【0022】
本発明の防汚性シート(1)及び接合用防汚性シート(2)の各々において、シート基体の繊維布帛の重量は、50〜400g/m2 であることが好ましく、より好ましくは100〜300g/m2 である。繊維布帛を被覆する塩化ビニル系樹脂層の合計重量は、50〜500g/m2 であることが好ましく、より好ましくは100〜300g/m2 である。防汚性シート(1)の接着保護層5の塗布重量は0.1〜5g/m2 であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2 である。光触媒層3の塗布重量は0.1〜5g/m2 であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2 である。防汚性シート(1)のアクリル樹脂層4の塗布重量は、1〜50g/m2 であることが好ましく、より好ましくは5〜15g/m2 である。接合用防汚性シート(2)のフッ化ビニリデン樹脂層がコーティングにより形成させる場合、フッ化ビニリデン樹脂層8およびアクリル樹脂含有接着層9の塗布重量は、いずれも1〜50g/m2 であることが好ましく、より好ましくは5〜30g/m2 である。また、フッ化ビニリデン樹脂層をアクリル樹脂層及び/又は塩化ビニル系樹脂層と積層して、フィルム化したものを用いる場合、このフィルムの厚みは5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。
【0023】
本発明の防汚性複合シートの構成及びその製造方法は図3に示されている。
本発明の防汚性複合シートは、本発明の防汚性シート(1)と、接合用防汚性シート(2)とを、シート同士の面の向きを揃え、それらが隣接する部分で防汚性シート1の最外裏面アクリル樹脂層4と、接合用防汚性シート6の最外表面フッ化ビニリデン樹脂層8とを、所定の幅(A)で互に接触するように重ね合わせ、通常の熱融着(熱風溶着法、熱鏝溶着法、熱板溶着法、高周波ウエルダー溶着法)して、接合する。
【0024】
本発明の防汚性複合シート構造物は、前記本発明の防汚性複合シートを使用して構成する。防汚性複合シート構造物には、それが本発明の防汚性複合シートを利用している限り格別の制限はないが、例えば図4に示すようなテント倉庫11、図5に示すようなトラック幌15、及び図6に示すような日除けテント16などを包含する。これらの防汚性複合シート構造物は、本発明の防汚性複合シートを使用することにより、最外上面に光触媒層が形成されている防汚性シートを使用しているにも拘わらず、接合予定部分の光触媒層を予め除去する必要がなく、通常の熱融着接合方法(熱風融着、熱鏝融着、熱板融着、高周波ウエルダー融着)で容易に接合することが可能である。また、これらの防汚性複合シート構造物11,15,16は、その天井部分(屋根部)12が接合用防汚性シート(2)により形成され、そのフッ化ビニリデン樹脂層が天井部分の最外面を形成している。また、防汚性複合シート構造物の側面部分(垂れ部)13は、本発明の防汚性シート(1)により形成され、その光触媒層が側面部分の最外面を形成している。天井部分12及び側面部分13はともに防汚性に優れ、特に側面部分13は雨筋汚れの形成もなく良好な防汚性を示す。また天井部分12は、日光照射に対して優れた耐候性を示す。防汚性複合シート構造物の連結部分14においては、天井部分を形成する接合用防汚性シート(2)のフッ化ビニリデン樹脂層と、側面部分を形成する防汚性シート(1)のアクリル樹脂層とが、互に重なり合わされ、熱融着されている。
【0025】
本発明の接合方法において、本発明の防汚性シート(1)のアクリル樹脂層と、接合用防汚性シート(2)のフッ化ビニリデン樹脂層とが互いに接触するように重ね合わされ、熱融着される。熱融着縫製方法としては通常の熱風融着、熱鏝融着、熱板融着、高周波ウエルダー融着などが使用される。
【0026】
本発明者らは、最外上面に光触媒層が形成されている本発明の防汚性シート(1)は、その最外裏面にアクリル樹脂層を形成することにより、その最外表面に光触媒層が形成されているにも拘わらず、最外表面にフッ化ビニリデン樹脂層が形成されている接合用防汚性シート(2)との接合が、通常の熱融着縫製方法(熱風融着、熱鏝融着、熱板融着、高周波ウエルダー融着)で容易に可能であることを見出した。
【0027】
また、この接合方法により得られた本発明の防汚性複合シートを防汚性複合シート構造物に使用し、その際に、防汚性複合シート構造物の天井部(屋根部)には接合用防汚性シート(2)をそのフッ化ビニリデン樹脂層が最外面を形成するように使用し、その側面部分(垂れ部)には本発明の防汚性シート(1)を、その光触媒層が最外面を形成するように使用する。上記のように構成された本発明の防汚性複合シート構造物は、その天井部分及び側面部分ともに優れた防汚性を示し、その天井部分は日光照射に対するきわめて高い耐候性を有し、また、その側面部分は優れた雨筋汚れ防止性を有する。
【0028】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に説明する。
下記実施例1,2及び比較例1,2の製品に対して用いられた試験方法は下記の通りである。
(1)接合部引張強さ
作製した防汚性複合シート試料の接合部分を中央に位置させた状態で、JISL1096 ストリップ法の引張試験に供して接合部の引張強さを測定し、本体の引張強さに対する保持率(%)を計算し、縫製部性能を下記のように3段階に評価した。
Figure 0003651586
【0029】
A 防汚性シート
実施例1
(1)シート基体(繊維布帛及び塩化ビニル系樹脂層の形成)
繊維布帛として、下記組織のポリエステルフィラメント平織物を用いた。
1111dtex×1111dtex
───────────
22/25.4mm × 25/25.4mm 目付:215g/m2
【0030】
この繊維布帛を、塩化ビニル樹脂ペーストを含む下記配合(1)の樹脂組成物の溶剤希釈液中に浸漬して、繊維布帛に樹脂液を含浸し、絞り、150℃で1分間乾燥後、185℃で1分間熱処理し、繊維布帛に対し前記樹脂を145g/m2 付着させて、下塗り層を形成した。
次に、ストレート塩化ビニル樹脂を含む、下記配合(2)の樹脂組成物からなるフィルム(0.16mm厚)をカレンダーを用いて作製し、これを前記下塗り層含浸基布の両面に貼着して、片面当り200g/m2 の塩化ビニル系樹脂層を形成し、合計重量760g/m2 のシート基体を作製した。
【0031】
配合(1)
ペースト塩化ビニル樹脂 100重量部
DOP(可塑剤) 70重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
トルエン(溶剤) 20重量部
配合(2)
ストレート塩化ビニル樹脂 100重量部
DOP(可塑剤) 55重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
顔料(TiO2) 5重量部
【0032】
(2)光触媒層の形成
前記基体シートの表面上に、下記配合(3)に示された組成の接着保護層処理液をグラビヤコーターで15g/m2 の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、1.5g/m2 の接着保護層を形成し、その上に、更に下記配合(4)に示された組成の光触媒層形成用塗布液をグラビヤコーターで 15g/m2の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、1.5g/m2 の光触媒層を形成した。
配合(3)接着保護層処理液組成
シリコン含有量3mol %のアクリルシリコン樹脂8重量%(固形分)
を含有するエタノール−酢酸エチル(50/50重量比)溶液 100重量部
ポリシロキサンとして、メチルシリケートMS51
(商標:コルコート(株))の20%エタノール溶液 8重量部
シランカップリング剤として
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 1重量部
配合(4)光触媒層処理液組成
酸化チタン含有量10重量%に相当する硝酸酸性酸化チタンゾルを
分散させた水−エタノール(50/50重量比)溶液 50重量部
酸化珪素含有量10重量%に相当する硝酸酸性シリカゾルを
分散させた水−エタノール(50/50重量比)溶液 50重量部
【0033】
(3)アクリル樹脂層の形成
前記基体シートの裏面上に、下記配合(5)に示された組成のアクリル樹脂層処理液をグラビヤコーターで30g/m2 の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、6.0g/m2 のアクリル樹脂層を形成し、防汚性シート(1)を作製した。
配合(5)
アクリプレン(登録商標)ペレットHBS001
(三菱レイヨン(株)製) 20重量部
トルエン−MEK(50/50重量比)(溶剤) 80重量部
【0034】
B 防汚性複合シート
(a)最外上面にフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)の作製
前記(1)と同様にして基体シートを作製した。この基体シート上に、前記配合(5)に示された組成のアクリル樹脂層処理液をグラビヤコーターで30g/m2の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、6.0g/m2の接着層を形成し、その上に、更に下記配合(6)に示された組成のフッ化ビニリデン樹脂層処理液をグラビヤコーターで30g/m2 の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、6.0g/m2 のフッ化ビニリデン樹脂層を形成し、最外上面にフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)を作製した。
配合(6)
フッ化ビニリデン樹脂(商標:KYNAR710、
エルフ・アトケム・ジャパン(株)製) 20重量部
MEK−トルエン−DMF
(40/30/30重量比)(溶剤) 80重量部
【0035】
(b)防汚性複合シートの作製
前記接合用防汚性シート(2)の最外上面フッ化ビニリデン樹脂層と、前記(3)で作製した防汚シート(1)の下面アクリル樹脂層とを、それらの対向する側縁部分(4cm幅)において図3に示すように接触させて重ね合わせ、これに40mm×300mmのキザ刃を具備している高周波ウエルダー(山本ビニター(株)製型番YF−7000)を用いて熱融着を施し、防汚性複合シートを作製した。
この防汚性複合シートを前記試験に供した。試験結果を図7に示す。
尚、光触媒層の上に、前記配合(3)の処法液を5g/m2 の塗布量で塗布し、乾燥して、乾燥塗布量0.5g/m2 の表面保護層を形成した。この表面保護層には不連続部があって、この部分において光触媒層が、露出していた。このようにして得られた防汚性シートは、表面保護層を有していない前記防汚性シートと同様の性能を有していた。
【0036】
実施例2
実施例1と同様にして防汚性複合シートを作製した。但し、実施例1、B.−(a)に記載の接合用防汚性シート(2)の作製を下記のように変更した。
前記実施例1、(1)と同様にして基体シートを作製し、この基体シートの塩化ビニル樹脂層面上に、KFCフィルムST−50Y(呉羽化学工業(株)製、フッ化ビニリデン樹脂層/アクリル樹脂層/塩化ビニル樹脂層=4μ/4μ/42μ)を160℃で加熱貼着して、基体シートの塩化ビニル樹脂層と、KFCフィルムの塩化ビニル樹脂層とを接合させて接合用防汚性シート(2)を作製した。
得られた防汚性複合シートを前記試験に供した。試験結果を図7に示す。
【0037】
図7に示されているように、実施例1,2で得られた防汚性複合シートは、高周波ウエルダーにより熱融着された接合部の引張強さ試験において、本体破壊を示した。このことにより、従来の熱融着方法による熱融着部において、両シートは互に完全に接合していることが確認された。
【0038】
比較例1
実施例1と同様にして防汚性複合シートを作製した。但し、防汚性シート(1)の代りに、最外上面に光触媒層を有しているが、下面にアクリル樹脂層を有していない比較防汚性シートを使用し、比較防汚性複合シートを作製した。この比較防汚性複合シートを前記接合部引張強さ試験に供した。試験結果を図8に示す。
【0039】
比較例2
実施例1と同様にして防汚性複合シートを作製した、但し、防汚性複合シートの作製において、最外表面にフッ化ビニリデン樹脂層が形成されている接合用防汚性シート(2)の裏面の塩化ビニル系樹脂層に、前記実施例1のA−(1),(2)及び(3)に記載の方法で作製した防汚性シート(1)の最外表面光触媒層が、接触するように重ね合わせて熱融着し、比較防汚性複合シートを作製した。この比較防汚性複合シートを前記接合部引張強さ試験に供した。試験結果を図8に示す。
【0040】
図8に示されているように、比較例1,2で得られた比較防汚性複合シートは、高周波ウエルダーにより熱融着した接合部の引張強さ試験では接合部において層間剥離を示し、本体強力に対する保持率も非常に低く、従来の熱融着方法では容易に接合できないことが確認された。
【0041】
実施例3
実施例1で作製した防汚性複合シートを使用して、図4に示す構造を有するテント倉庫を作製した。このテント倉庫は、天井部分に実施例1で作製した防汚性複合シートの最外上面にフッ化ビニリデン樹脂層が形成されている接合用防汚性シート(2)部分により形成され、側面部分は本発明の防汚性複合シートの最外上面に光触媒層が形成されている防汚性シート(1)部分により形成した。
このテント倉庫の縫製の容易性と施工6ヶ月後の防汚性(耐候性を含む)を評価した。評価結果を表1に示す。
【0042】
実施例4
実施例1で作製した防汚性複合シートを使用し、図5に示すようなトラック幌を作製した。このトラック幌において、その天井部分は、実施例1で作製した防汚性複合シートの、最外表面にフッ化ビニリデン樹脂層が形成された接合用防汚性シート(2)部分により形成され、その側面部分は、防汚性複合シートの最外表面に光触媒層が形成されている防汚性シート(1)部分により形成された。
このトラック幌の縫製の容易性と走行6ヶ月後の防汚性(耐候性を含む)を評価した。評価結果を表1に示す。
【0043】
実施例5
実施例1で作製した防汚性複合シートを使用し、図6に示すような日除けテントを作製した。この日除けテントにおいて、その屋根部分は実施例1で作製した防汚性複合シートの最外上面にフッ化ビニリデン樹脂層が形成された接合用防汚性シート(2)部分により形成され、その垂れ部分は、防汚性複合シートの最外上面に光触媒層が形成されている防汚性シート(1)の部分により形成された。この日除けテントの縫製の容易性と施工6ヶ月後の防汚性(耐候性を含む)を評価した。評価結果を表1に示す。
【0044】
表1から明らかなように、実施例3〜5で得られた防汚性複合シート構造物は、通常の熱融着縫製方法(熱風融着、熱鏝融着、熱板融着、高周波ウエルダー融着)で容易に縫製可能であり、また天井部分及び側面部分とも防汚性に優れ、特に側面部分には雨筋汚れの形成もなく良好であった。また天井部分は良好な耐候性を示した。
【0045】
比較例3
実施例3と同様に図4に示す構成を有するテント倉庫を作製した。但し、このテント倉庫の天井部分も側面部分も全て最外表面に光触媒層が形成されている防汚性シート(1)を使用し、これらを接合部分において熱融着して形成した。
このテント倉庫の縫製の容易性と施工6ヶ月後の防汚性(耐候性を含む)を評価した。評価結果を表1に示す。
【0046】
比較例3で得られたテント倉庫は、表1に示されているように、その側面部分においては、実施例3と同様に優れた防汚性を示した。しかし、このテント倉庫の作製に通常の熱融着縫製方法(熱風融着、熱鏝融着、熱板融着、高周波ウエルダー融着)を用いるときは、縫製予定部分(重ね合せ部分)の光触媒層を予め精度良く除去する必要があり、作業が非常に難しく煩雑であった。また上記熱融着に際し、光触媒層を除去しないと、接合部において層間剥離を生じた、また天井部分は日光照射により劣化し、その防汚性は側面部分の防汚性より劣っていた。
【0047】
比較例4
実施例3と同様に図4に示すようなテント倉庫を作製した。但し、このテント倉庫において、天井部分も側面部分も全て最外表面にフッ化ビニリデン樹脂層を形成し、最外裏面にアクリル樹脂層が形成された比較防汚性シートを用い、これらを接合部分で熱融着して作成した。
このテント倉庫の縫製の容易性と施工6ヶ月後の防汚性(耐候性を含む)を評価した。評価結果を表2に示す。
【0048】
比較例4で得られたテント倉庫は、実施例3と同様に通常の熱融着縫製方法(熱風融着、熱鏝融着、熱板融着、高周波ウエルダー融着)で容易に縫製可能であり、その天井部分の防汚性は良好であったが、側面部分において雨筋汚れが目立った。
【0049】
【表1】
Figure 0003651586
【0050】
【発明の効果】
本発明の防汚性シートは、防汚、防水性にすぐれ、特に雨筋汚れの発生を防止できるものであり、それと、接合用防汚性シートとを接合する本発明方法により得られた防汚性複合シートは、良好な熱融着強度、易熱融着作業性を有し、かつ良好な防汚性、防水性、耐候性を示し、この防汚性複合シートをテント倉庫、トラック用幌、日除けテントなどの構造物用途に用いたとき、その天井部分は良好な耐候性、防汚性を示し、側面部分は良好な雨筋汚れ防止性を示し、従って、本発明の防汚性シート及び接合用防汚性シートのそれぞれの特長を相互に発揮することができ、実用上きわめて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防汚性シートの一例の断面説明図。
【図2】本発明の防汚性複合シートに用いられる接合用防汚性シートの一例の断面説明図。
【図3】本発明の防汚性複合シートの一例及びその製造方法を説明するための断面説明図。
【図4】本発明の防汚性複合シート構造物の一例としてテント倉庫の一例の構成を示す斜視説明図。
【図5】本発明の防汚性複合シート構造物の一例としてトラック用幌の一例の構成を示す斜視説明図。
【図6】本発明の防汚性複合シート構造物の一例として、日除けテントの一例の構成を示す斜視説明図。
【図7】図7は、実施例1及び2の防汚性複合シートの接合部の構成と、接合部引張強さ(保持率)を示す説明図。
【図8】図8は比較例1及び2の比較防汚性複合シートの接合部の構成と接合部引張強さ(保持率)を示す説明図。
【符号の説明】
1…防汚性シート
2,7…シート基体
3…光触媒層
4…アクリル樹脂層
5…接着保護層
6…接合用防汚性シート
8…フッ化ビニリデン樹脂層
9…接着層
10…裏面層
A…接合幅
11…テント倉庫
12…天井部分
13…側面部分
14…接合部分
15…トラック幌
16…日除けテント

Claims (12)

  1. 繊維布帛及びその両面上に形成された塩化ビニル系樹脂層を有するシート基体と、このシート基体の前記塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に最外層として形成され、かつ、光触媒粒子を含む光触媒層と、前記シート基体の裏面の全面上に最外層として形成され、かつ、アクリル系樹脂を含むアクリル樹脂層とを有し、
    前記シート基体中の塩化ビニル系樹脂層が、
    (1)前記繊維基布に含浸され、かつ熱処理されたペースト塩化ビニル樹脂含有下塗り層と、
    (2)前記下塗り層含浸繊維基布の両面に貼着されたストレート塩化ビニル樹脂含有フィルム層と
    から形成されている、
    ことを特徴とする防汚性シート。
  2. 前記シート基体の前記塩化ビニル系樹脂層と、前記光触媒層との間に形成され、かつ接着性樹脂材料を含む接着保護層をさらに有する、請求項1に記載の防汚性シート。
  3. 前記接着保護層に含まれる接着性樹脂材料が、ポリシロキサン樹脂とアクリルシリコーン樹脂との混合物を含む、請求項2に記載の防汚性シート。
  4. 前記光触媒層の上に形成された保護層をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚性シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚性シート(1)と、繊維布帛、及びその少なくとも1面上に塗布、貼着又は含浸された塩化ビニル系樹脂層とを含むシート基体、並びに前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に最外層として形成され、かつフッ化ビニリデン系樹脂を含むフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)とを含み、
    前記防汚性シート(1)の前記アクリル樹脂層の少なくとも1部分と、前記接合用防汚性シート(2)の前記フッ化ビニリデン樹脂層の少なくとも1部分とが互に接触するように重ね合わされ、熱融着されていることを特徴とする、防汚性複合シート。
  6. 前記接合用防汚性シート(2)の前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層と、前記フッ化ビニリデン樹脂層との間に、アクリル樹脂を含む接着層が形成されている、請求項5に記載の防汚性複合シート。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚性シート(1)に、繊維布帛及びその少なくとも1面上に塗布、貼着又は含浸された塩化ビニル系樹脂層とを含むシート基体、並びに前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に最外層として形成され、かつフッ化ビニリデン系樹脂を含むフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)を接合するに際し、
    前記防汚性シート(1)の前記アクリル樹脂層の少なくとも1部分と、前記接合用防汚性シート(2)の前記フッ化ビニリデン樹脂層の少なくとも1部分とを、互いに接触するように重ね合わせ、かつ熱融着することを特徴とする防汚性複合シートの製造方法。
  8. 前記接合用防汚性シート(2)の前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層と、前記フッ化ビニリデン樹脂層との間に、アクリル樹脂を含む接着層が形成されている、請求項7に記載の防汚性複合シートの製造方法。
  9. 天井部分と、この天井部分の縁端の少なくとも1部分に連結され、かつ下向きに伸び出ている側面部分とを有する構造体において、
    前記天井部分が、繊維布帛と、その少なくとも1面上に塗布、貼着又は含浸された塩化ビニル系樹脂層とを含むシート基体、及び前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層の表面の全面上に最外層として形成され、かつフッ化ビニリデン系樹脂を含むフッ化ビニリデン樹脂層を有する接合用防汚性シート(2)によって、前記フッ化ビニリデン樹脂層が、前記天井部分の外表面を形成するように形成され、
    前記側面部分が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚性シート(1)によって、その光触媒層が、前記側面部分の外表面を形成するように形成されており、
    前記天井部分と前記側面部分との連結部分において、前記接合用防汚性シート(2)の前記フッ化ビニリデン樹脂層に、前記防汚性シート(1)の前記アクリル樹脂層が互いに接触するように重ね合わされ、かつ熱融着されている、ことを特徴とする防汚性複合シート構造物。
  10. 前記接合用防汚性シート(2)の前記シート基体の塩化ビニル系樹脂層と、前記フッ化ビニリデン樹脂層との間に、アクリル樹脂を含む接着層が形成されている、請求項9に記載の防汚性複合シート構造物。
  11. 前記天井部分の少なくとも1部分が水平面に対して傾斜している、請求項9又は10に記載の防汚性複合シート構造物。
  12. 前記側面部分の少なくとも1部分が、垂直面に対して傾斜している、請求項9,10又は11に記載の防汚性複合シート構造物。
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