JP6367991B2 - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Description

関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、日本国特許出願2013−244956号(2013年11月27日出願)の優先権を主張するものであり、当該出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
本発明は、ゴム組成物及びこれをトレッドゴムに用いたタイヤに関する。
車両の安全性を向上させる観点から、乾燥路面のみならず、湿潤路面、氷雪路面等の様々な路面上でのタイヤの制動性や駆動性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、湿潤路面での性能を向上させるために、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)等のゴム成分と共にアロマオイルを配合したゴム組成物をトレッドゴムに用いる手法が知られる(特許文献1)。
また、氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を向上させるために、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを合計30質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、C系樹脂を5〜50質量部配合してなるゴム組成物をトレッドゴムに用いる手法も知られる(特許文献2)。
特開平5−269884号公報 特開2009−256540号公報
しかしながら、上記のアロマオイルを配合する手法において、アロマオイルはNRやBRとの相溶性が高くないため、湿潤路面での性能を向上させる効果が小さく、また、アロマオイルを配合すると、転がり抵抗が上昇するなどの課題があった。また、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを合計30質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、C系樹脂を5〜50質量部配合してなるゴム組成物においては、乾燥路面における制動性能は高いものではなく、また、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい路面でのウェット制動性能も充分なものではなかった。
本発明の課題は、乾燥路面での制動性能が高く、かつ、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい湿潤路面においても高い制動性能を有するトレッドゴムを製造可能なゴム組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、乾燥路面での制動性能が高く、かつ、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい湿潤路面においても高い制動性能を有するトレッドゴムを用いたタイヤを提供することにもある。
本発明のゴム組成物は、天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分(A)を配合してなり、ゴム成分100質量部に対して、C系樹脂、C〜C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を5〜50質量部、並びにシリカを含む充填剤(C)を20〜120質量部配合してなり、前記充填剤(C)中のシリカの含有量が50〜100質量%である、ことを特徴とする。
系樹脂、C〜C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂より選ばれる熱可塑性樹脂(B)の配合は、ゴム組成物全体のガラス転移点(Tg)を高め、0℃での損失正接(tanδ)を向上させ、タイヤの湿潤路面での性能を向上させることができる。熱可塑性樹脂(B)は、ゴム成分として天然ゴムを70質量%以上含むゴム組成物において、特にその配合効果が得られやすい。また、ゴム成分自体も、天然ゴムを70質量%以上含有することで高い柔軟性を有し、乾燥路面や、マンホール等の滑りやすい湿潤路面においても高い制動性能を示す。
更に、熱可塑性樹脂(B)が充分に分散したゴム成分中に、シリカが分散することで、ゴムのより柔軟な変形が可能となり、その結果、摩擦係数の低い路面への追従性が向上する。これにより、滑りやすい湿潤路面での制動性能をより高めることが可能である。
なお、本願において、「C系樹脂」とは、C系合成石油樹脂を指し、C留分を重合して得られる固体重合体を指す。「C〜C系樹脂」は、C〜C系合成石油樹脂を指し、C〜C11留分を重合して得られる固体重合体を指す。「C系樹脂」は、C系合成石油樹脂を指し、C留分を重合して得られる固体重合体を指す。
ここで、「C〜C系樹脂」としての固体重合体の重合に用いられるC〜C11留分には、C留分及びC留分以外の留分が含まれるものとする。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)中にスチレン−ブタジエン共重合体ゴムが10〜30質量%含まれることが好ましい。
ゴム成分中にスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを一定量配合することで、ガラス転移点(Tg)を高め、乾燥路面での制動性能と、操縦安定性を向上させることが出来る。
前記充填剤(C)中のシリカの含有量は、90質量%以上であることが好ましい。シリカの配合量を高めることで、滑りやすい湿潤路面での制動性能をより向上させることができる。
本発明のタイヤは、上記のいずれかのゴム組成物をトレッドゴムに用いた、ことを特徴とする。
上記のいずれかのゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに用いることにより、該タイヤは、湿潤路面での制動性能のみならず、乾燥路面、マンホール等の滑りやすい湿潤路面での制動性能にも優れたタイヤとなる。
本発明によれば、乾燥路面での制動性能が高く、かつ、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい湿潤路面においても高い制動性能を有するトレッドゴムを製造可能なゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、乾燥路面での制動性能が高く、かつ、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい湿潤路面においても高い制動性能を有するトレッドゴムを用いたタイヤを提供することもできる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分(A)を配合してなり、ゴム成分100質量部に対して、C系樹脂、C〜C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を5〜50質量部、並びにシリカを含む充填剤(C)を20〜120質量部配合してなり、前記充填剤(C)中のシリカ含有量が50〜100質量%である、ことを特徴とする。
<<ゴム成分(A)>>
本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分(A)には、天然ゴム(NR)が70質量%以上、好適には80質量%以上含まれる。ゴム成分(A)中のNR含有量を70質量%以上とすることで、後述するC系樹脂配合の効果が充分に発揮されやすい、という効果を奏する。
更に、ゴム成分(A)には、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が5〜30質量%、特に10〜20質量%含まれることが好ましい。SBRを配合することで、ゴム組成物のガラス転移点(Tg)を高め、乾燥路面での制動性能と、操縦安定性を向上させることが出来る。ゴム成分(A)中のSBRの含有量が10質量%未満では、上記の効果が充分に得られない可能性がある。また、ゴム成分(A)中のSBRの含有量を30質量%超とすると、必然的にゴム成分(A)中のNRの含有量が70質量%未満となり、NRの配合による前述の効果が得られにくくなるのに加え、ゴムの発熱性が上がるため転がり抵抗が上昇しやすい、ゴムの柔軟性が下がるため滑りやすい湿潤路面での路面追従性が得られにくい、等の問題が生じ得る。
ゴム成分(A)は、他のゴム材料として、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム等を適宜含有することが出来る。
<<熱可塑性樹脂(B)>>
本発明のゴム組成物は、C系樹脂、C〜C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を、ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部配合してなる。規定量の熱可塑性樹脂(B)を配合することで、本発明のゴム組成物は、ガラス転移点(Tg)が高くなり、0℃での損失正接(tanδ)が向上するため、主にタイヤの湿潤路面での性能を向上させることができる。本発明のゴム組成物におけるゴム成分(A)は、上記の通り、NRを70質量%以上含有するものであるが、上記の熱可塑性樹脂(B)は、NRとの相溶性が高いため、上記の効果が特に得られやすい。
本発明において「C系樹脂」とは、C系合成石油樹脂を指し、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C留分を重合して得られる固体重合体を指す。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン及び1−ペンテンなどを主成分とする共重合体、2−ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3−ペンタジエンを主体とする重合体などが例示される。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてC系樹脂を用いれば、更に氷雪路面上での制動性能を向上させることもできる。
本発明において「C〜C系樹脂」とは、C〜C系合成石油樹脂を指し、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C〜C11留分を重合して得られる固体重合体を指す。「C〜C系樹脂」としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。本発明においては、このC〜C樹脂として、C以上の成分の少ない樹脂が、(A)成分との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることをいうものとする。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてC〜C系樹脂を用いれば、更にハンドリング特性を向上させることもできる。
ここで、「C〜C系樹脂」としての固体重合体の重合に用いられるC〜C11留分には、C留分及びC留分以外の留分が含まれるものとする。
本発明において「C系樹脂」とは、C系合成石油樹脂を指し、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C留分を重合して得られる固体重合体を指す。「C系樹脂」としては、例えば、インデン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてC系樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。
前記テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油、或いはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂などがある。また、テルペン−芳香族化合物系樹脂としては、代表例としてテルペン−フェノール樹脂を挙げることができる。このテルペン−フェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、或いは更にホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α−ピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素が好ましく、α−ピネンを含むものがより好ましく、特にα−ピネンであることが好ましい。本発明においては、フェノール成分の比率の少ないテルペン−フェノール樹脂が好適である。ここで、「フェノール成分の比率が少ない」とは、樹脂全量中のフェノール成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを指すものとする。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてテルペン−芳香族化合物系樹脂、特にテルペン−フェノール樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。
前記ロジン系樹脂としては、天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどがあり、また、変性ロジン、ロジン誘導体、変性ロジン誘導体として、例えば重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジン;などがある。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてロジン系樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。
前記ジシクロペンタジエン樹脂は、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒等を用い、ジシクロペンタジエンを重合して得られる樹脂を指す。前記ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン製)、クイントン1105(日本ゼオン社製)、マルカレッツM−890A(丸善石油化学製)、などが挙げられる。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてジシクロペンタジエン樹脂を用いれば、更に氷雪路面上での制動性能を向上させることもできる。
前記アルキルフェノール系樹脂としては、例えばp−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂などのアルキルフェノール−アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてアルキルフェノール系樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。
上記の熱可塑性樹脂(B)は、ゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜30質量部配合される。熱可塑性樹脂(B)の配合量をゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部とすることで、所望の破壊特性や耐摩耗性を確保することができる。熱可塑性樹脂(B)の配合量が5質量部未満であると、湿潤路面での制動性能が充分に発揮されにくく、一方、50質量部超であると、所望の耐摩耗性や破壊特性が得られにくくなるおそれがある。
<<充填剤(C)>>
本発明のゴム組成物には、充填剤(C)が、ゴム成分(A)100質量部に対して20〜120質量部、好ましくは50〜100質量部配合される。また、充填剤(C)中には、シリカが50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%含まれる。すなわち、本発明のゴム組成物には、ゴム成分(A)100質量部に対して、シリカが10〜120質量部、好ましくは45〜100質量部含まれる。充填剤(C)の配合量をゴム成分(A)100質量部に対して20〜120質量部とすることで、一方でゴム成分(A)の柔軟性等の特性を損ねることなく、その補強効果を奏することができる。更に、充填剤(C)中のシリカの配合量を50〜100質量%とすることで、特に、転がり抵抗の低減、湿潤路面での制動性能の向上といった効果を奏しつつ、かつ、ゴム成分の柔軟性を損ねにくい、という利点がある。
本発明のゴム組成物におけるシリカ配合の効果は、NRと熱可塑性樹脂(B)とが良好に分散した状態で、その柔軟性を損ねることなく、充分な補強性と低発熱性とを付与することができることである。そのため、本発明のゴム組成物は、その柔軟性により、摩擦係数の低い路面(例えば、マンホール等の滑りやすい湿潤路面)への追従性が高く、このような滑りやすい湿潤路面で充分な制動性能を奏することができる。
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられるが、中でも、湿式シリカを好適に使用できる。この湿式シリカのBET比表面積は40〜350m/gであるのが好ましく、150〜300m/gであるのがより好ましく、200〜250m/gであるのが更に好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜300m/gの範囲にあるシリカが更に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ(株)社製、商品名「ニプシルAQ」、「ニプシルKQ」、エボニック社製、商品名「ウルトラジルVN3」等の市販品を用いることができる。このシリカは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填剤(C)としては、シリカの他に、カーボンブラック、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等を適宜配合することができる。
<<シランカップリング剤>>
本発明のゴム組成物においては、配合するシリカの補強性及び低発熱性を更に向上させる目的で、シランカップリング剤を配合してもよい。
シランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドおよび3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、好ましくは2〜25質量%の範囲で選定される。この量が2質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、25質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果およびゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤のより好ましい配合量は2〜20質量%の範囲であり、更に好ましい配合量は5〜18質量%の範囲であり、特に好ましい配合量は5〜15質量%の範囲である。
<<軟化剤(D)>>
本発明のゴム組成物は、更に、軟化剤(D)を配合して得ることができる。ここで、軟化剤(D)としては、アロマオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル等の石油系軟化剤や、パーム油、ひまし油、綿実油、大豆油等の植物系軟化剤が挙げられる。軟化剤(D)を配合する場合には、軟化剤(D)としては、取り扱い容易性の観点から、上述した中でも、25℃等の常温で液体であるもの、例えば、アロマオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル等の石油系軟化剤を配合することが好ましく、また、植物系軟化剤を配合しないことが好ましい。そして、軟化剤(D)を配合する場合には、当該ゴム組成物は、軟化剤(D)を、ゴム成分(A)100質量部に対して、10質量部以下で配合してなるのが好ましく、5質量部以下で配合してなるのがより好ましい。軟化剤(D)の配合量がゴム成分(A)100質量部に対して10質量部以下であることにより、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい湿潤路面における制動性能の向上効果を高めることができる。ただし、湿潤路面における制動性能の観点から、本発明のゴム組成物には、軟化剤(D)を配合しないことが特に好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分(A)、熱可塑性樹脂(B)、充填剤(C)、軟化剤(D)の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して、通常の配合量の範囲内で配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、本発明のゴム組成物は、NRを含むゴム成分(A)に、熱可塑性樹脂(B)と、充填剤(C)と、必要に応じ適宜選択した軟化剤(D)及び/又は各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明のタイヤは、上述したゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をトレッドゴムに用いて生タイヤを成形し、常法に従って生タイヤを加硫することで製造できる。なお、本発明のタイヤのトレッドゴムには、上述のゴム組成物が用いられているため、本発明のタイヤは、氷雪路面及び湿潤路面の双方での性能が特に良好である。また、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
表1〜表6に示す配合処方に従って、ゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従ってサイズ:195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製した。
<鉄板湿潤路面での制動性能>
排気量2000ccの乗用車に供試タイヤ4本を装着し、該乗用車をテストコースの鉄板湿潤路面評価路で走行させ、時速40km/hrの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの距離を測定した。結果は、距離の逆数について、対照例の数値を100として指数表示した。指数値が大きい程、鉄板湿潤路面での性能に優れることを示す。
なお、表1及び2では比較例1を対照例とし、表3では比較例14を対照例とし、表4では比較例19を対照例とし、表5では比較例20を対照例とし、表6では比較例25を対照例とした。
<乾燥路面での制動性能>
排気量2000ccの乗用車に供試タイヤ4本を装着し、該乗用車をテストコースのアスファルト評価路で走行させ、時速80km/hrの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの距離を測定した。結果は、距離の逆数について、対照例の数値を100として指数表示した。指数値が大きい程、乾燥路面での性能に優れることを示す。
なお、表1及び2では比較例1を対照例とし、表3では比較例14を対照例とし、表4では比較例19を対照例とし、表5では比較例20を対照例とし、表6では比較例25を対照例とした。
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※1・・・天然ゴム RSS#3
※2・・・ブタジエンゴム BR01
※3・・・スチレン−ブタジエン共重合体ゴム #1500
※4・・・C系樹脂、エクソンモービルケミカル社製、商品名「ECR1102」
※5・・・C〜C系樹脂、エクソンモービルケミカル社製、商品名「ECR213」
※6・・・C系樹脂、新日本石油化学社製、商品名「ネオポリマー140」
※7・・・テルペン−フェノール樹脂、ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスターT100」
※8・・・ロジン系樹脂、大社松精油社製、商品名「ハイロジンS」
※9・・・アルキルフェノール系樹脂、SI GROUP社製、商品名「R7510PJ」
※10・・・ジシクロペンタジエン樹脂、日本ゼオン社製、商品名「クイントン1105」
※11・・・カーボンブラック ISAF
※12・・・シリカA、東ソー・シリカ(株)社製、商品名「ニプシルAQ」、BET比表面積:205m/g
※13・・・シリカB、エボニック社製、商品名「ウルトラジルVN3」、BET比表面積:175m/g
※14・・・シリカC、東ソー・シリカ社製、商品名「ニプシル」特注品、CTAB:191m/g
※15・・・シリカD、東ソー・シリカ社製、商品名「ニプシル」特注品、CTAB:94m/g
※16・・・老化防止剤、6PPD
※17・・・加硫促進剤、DPG
表1〜表6の結果より、本発明のゴム組成物を用いることで、乾燥路面での制動性能が高く、かつ、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい湿潤路面においても高い制動性能を有するトレッドゴムを製造することができることが分かる。
本発明のゴム組成物は、タイヤトレッドゴムとして使用可能であり、主にタイヤ生産業において利用可能である。

Claims (3)

  1. 天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分(A)を配合してなり、ゴム成分100質量部に対して、C系樹脂、C〜C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を5〜50質量部、並びにシリカ及びカーボンブラックを含む充填剤(C)を20〜120質量部配合してなり
    前記充填剤(C)中のシリカの含有量が90質量%以上100質量%未満であり、更にナフテンオイルを配合してなり、前記ナフテンオイルの配合量が10質量部以下である、ことを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分(A)中にスチレン−ブタジエン共重合体ゴムが10〜30質量%含まれる、請求項1記載のゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とするタイヤ。
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