JP6342353B2 - 血液試料中の物質の測定法 - Google Patents
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Description
1〜100の数を示す)
式(2)又は式(3)のPOE・POPアルキルアミン縮合物又はPOE・POPジアミン縮合物としては、プルロニックTR−704(分子量5000、EO含量40質量%)、プルロニックTR−702(分子量3500、EO含量20質量%)が好適に使用できる。
ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。このうち、POE付加モル数30〜60のポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルが好ましく、POE付加モル数3〜60のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルがより好ましく、POE付加モル数3〜60のポリオキシエチレンソルビタンC8−C24脂肪酸エステルが好ましい。
ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルの市販品としては、Tween20(登録商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C12))が好適に使用できる。
[3]血液試料中の物質が、酵素反応により生成する過酸化水素を定量することによって測定が可能な、ヘモグロビン及びビリルビン以外の血液試料中の物質であり、より好ましくは尿酸、クレアチニン、コレステロール、トリグリセリド、ポリアミン、胆汁酸、1,5−アンヒドログルシトール、ピルビン酸、乳酸、リン脂質、尿素、グルコース、コリン、クレアチン及び遊離脂肪酸から選ばれる物質である[1]又は[2]の測定法。
[4]非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物(POE・POP縮合物)類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはPOE・POP縮合物、POE・POPアルキルアミン縮合物又はPOE・POPジアミン縮合物から選ばれる1種又は2種以上である[1]〜[3]のいずれかの測定法。
[5]非イオン性界面活性剤の使用量が、血液試料と接触させた後の濃度が0.1〜10w/v%、より好ましくは0.5〜10w/v%となる量である[1]〜[4]のいずれかの測定法。
[6]ベタイン型両性界面活性剤が、アルキルベタイン、アミドアルキルベタイン、スルホベタイン及び2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはアルキルベタイン及びアミドアルキルベタインから選ばれる1種又は2種以上である[1]〜[5]のいずれかの測定法。
[7]ベタイン型界面活性剤の使用量が、試薬中濃度で0.5〜10w/v%となる量である[1]〜[6]のいずれかの測定法。
[8]酵素が、測定対象物又はその派生物に特異的な酸化酵素である[1]〜[7]のいずれかの測定法。
[9]被酸化性呈色試薬が、過酸化水素と反応して呈色する1種又は2種以上の成分である[1]〜[8]のいずれかの測定法。
[10]血液試料中のヘモグロビン及びビリルビンの測定値に対する影響を回避するための測定法である[1]〜[9]のいずれかに記載の測定法。
[11](A)非イオン性界面活性剤を含有する第1試薬と、(B)ベタイン型両性界面活性剤と、(C)測定対象物又はその派生物に特異的な酸化酵素と、(D)被酸化性呈色試薬を含有する第2試薬とを含むことを特徴とする酵素法測定試薬。
〔試験例1〕
プール血清に対し、ヘモグロビン(血球由来)を500mg/dLになるよう添加して、ヘモグロビン添加血清を調製した。
日立U3310形分光光度計(日立製作所社製)を使用し、測定用試料45μL、第1試薬1.8mL、第2試薬0.9mLの液量比により、第1反応、第2反応をそれぞれ、37℃、5分間行い、ヘモグロビンの吸収スペクトルを測定した。なお、第2反応以降(7分、10分)は希釈比を考慮して液量補正を行った。
ヘモグロビンは540nm、575nm付近に特有のピークを有しており、ヘモグロビンの性状に変化があるとピークの形状が変化する。例1では、第1反応ではピークの形状に変化がないが、第2反応開始後ピークが崩れてなだらかな形状に変化し始めた。例2および例3では第1反応開始1分後にはヘモグロビン特有のピークが認められたものの、3分後にはピークが崩れ、第2反応においてもスペクトルに大きな変化はなかった。これらの結果から、アンヒトール24Bはヘモグロビンのスペクトルを変化させる作用を有することが分かった(図1〜図3)。
下記の表2の組成の第1試薬、第2試薬を用いて、測定用試料中のヘモグロビンの吸収スペクトルを測定した。
プール血清に対し、ヘモグロビン(血球由来)を500mg/dLになるよう添加して、ヘモグロビン添加血清を調製した。
日立U3310形分光光度計(日立製作所社製)を使用し、測定用試料45μL、第1試薬1.8mL、第2試薬0.9mLの液量比により、第1反応、第2反応をそれぞれ、37℃、5分間行い、ヘモグロビンの吸収スペクトルを測定した。なお、第2反応以降(7分、10分)は希釈比を考慮して液量補正を行った。
実施例1では第1反応、第2反応のいずれにおいてもヘモグロビン特有の540、575付近のピークの形状は変化しなかった(図4)。
尿酸測定系を用いて本発明の効果を確認した。
第1試薬及び第2試薬に処方する界面活性剤は、表3記載の組み合わせとし、実施例2及び比較例1〜4の測定試薬を調製した。
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
TOOS(製造元:同仁化学、カタログ番号:OC13)0.75mmol/L
POD(製造元:東洋紡績、カタログ番号:PEO−301)3U/mL
界面活性剤 2.0w/v%
プルロニックTR−704(製造元:アデカ、CAS No.11111−34−5)
又はアンヒトール24B(製造元:花王、CAS No.683−10−3)
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
フェロシアン化カリウム(製造元:キシダ化学、カタログ番号:63532)0.05mmol/L
4−アミノアンチピリン(4−AAP)(製造元:東京化成工業、カタログ番号:6694)0.75mmol/L
ウリカーゼ(製造元:キッコーマン、カタログ番号:60199)0.7U/mL
界面活性剤 2.0w/v%
プルロニックTR−704(製造元:アデカ、CAS No.11111−34−5)
又はアンヒトール24B(製造元:花王、CAS No.683−10−3)
プール血清に対し、ジタウロビリルビン(製造元:Promega)を50mg/dL、又はヘモグロビン(血球由来)を500mg/dLになるよう添加して、ビリルビン添加血清とヘモグロビン添加血清を調製した。
日立7170型自動分析装置を使用し、検体5.0μL、第1試薬200μL、第2試薬100μLの液量比により、第1反応、第2反応をそれぞれ、37℃、5分間行い、主波長600nm/副波長800nmの吸光度をエンドポイント法により測定した。
各血液試料中の尿酸濃度は、濃度既知の標準液(アナセラムUA−E標準液、以下同じ)(製造元:積水メディカル、カタログ番号:154966)と対比させて求めた。
各測定用血液試料の尿酸濃度測定値を、対照用血液試料の尿酸濃度測定値を100とする比率に換算し、ビリルビン及びヘモグロビンの影響回避程度を相対値化した。
第1試薬にアンヒトール24Bを処方した比較例2及び比較例4の場合、第2試薬の界面活性剤の種類によらずビリルビンの影響を受けないものの、ヘモグロビンの影響を強く受けた。この場合の相対値は、第1試薬及び第2試薬に界面活性剤を含有しない比較例1の相対値よりも低くかった。
第1試薬及び第2試薬にプルロニックTR−704を処方した比較例3の場合、ヘモグロビンの影響は受けないもののビリルビンの影響を強くうけていた。
これら比較例1〜4に対し、第1試薬にプルロニックTR−704、第2試薬にアンヒトール24Bを処方した実施例2の場合、ビリルビン及びヘモグロビンの影響を受けておらず、ビリルビン及びヘモグロビンの両者の影響を同時に回避できることが確認された。
尿酸測定系を用いて、各界面活性剤の至適濃度範囲を確認した。
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
TOOS(製造元:同仁化学、カタログ番号:OC13)0.75mmol/L
POD(製造元:東洋紡績、カタログ番号:PEO−301)3U/mL
界面活性剤 2.0w/v%
プルロニックTR−704(製造元:アデカ、CAS No.11111−34−5)
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
フェロシアン化カリウム(製造元:キシダ化学、カタログ番号:63532)0.05mmol/L
4−アミノアンチピリン(製造元:東京化成工業、カタログ番号:6694)0.75mmol/L
ウリカーゼ(製造元:キッコーマン、カタログ番号:60199)0.7U/mL
界面活性剤 2.0w/v%
アンヒトール24B(製造元:花王、CAS No.683−10−3)
プール血清に対し、ジタウロビリルビン(製造元:Promega)を40mg/dL、又はヘモグロビン(血球由来)を400mg/dLになるよう添加して、ビリルビン添加血清とヘモグロビン添加血清を調製した。
(対照用血液試料)
上記プール血清に対し、上記測定用血液試料調製時のジタウロビリルビン及びヘモグロビン添加容量相当分の生理食塩水を添加して使用した。
日立7170型自動分析装置を使用し、検体5.0μL、第1試薬200μL、第2試薬100μLの液量比により、第1反応、第2反応をそれぞれ、37℃、5分間行い、主波長600nm/副波長800nmの吸光度をエンドポイント法により測定した。
各血液試料中の尿酸濃度は、濃度既知の標準液と対比させて求めた。
各測定用血液試料の尿酸濃度測定値を、対照用血液試料の尿酸濃度測定値を100とする比率に換算し、ビリルビン及びヘモグロビンの影響回避程度を相対値化(回収率(%))した。回収率は±10%以内を効果ありと判断した。
各界面活性剤の至適濃度範囲を検討したところ、非イオン性界面活性剤であるプルロニックは0.1%〜10%、両性界面活性剤であるアンヒトールは0.5%〜10%で本発明の効果があった。特に、非イオン性界面活性剤であるプルロニックが0.5〜1.0%、両性界面活性剤であるアンヒトールが2.0〜10%でその効果は顕著であった。
尿酸測定系を用いて本発明に使用可能な界面活性剤を確認した。
第1試薬及び第2試薬に処方する界面活性剤の種類及び濃度は、表5記載のとおりとし、測定試薬を調製した。
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
TOOS(製造元:同仁化学、カタログ番号:OC−13)0.75mmol/L
POD(製造元:キッコーマン、カタログ番号:PEO−301)3U/mL
界面活性剤
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
フェロシアン化カリウム(製造元:キシダ化学、カタログ番号:63532)0.05mmol/L
4−アミノアンチピリン(製造元:東京化成工業、カタログ番号:6694)0.75mmol/L
ウリカーゼ(製造元:キッコーマン、カタログ番号:60199)0.7U/mL
界面活性剤
プール血清に対し、ジタウロビリルビン(製造元:Promega)を50mg/dL、又はヘモグロビン(血球由来)を500mg/dLになるよう添加して、ビリルビン添加血清とヘモグロビン添加血清を調製した。
日立7170型自動分析装置を使用し、検体5.0μL、第1試薬200μL、第2試薬100μLの液量比により、第1反応、第2反応をそれぞれ、37℃、5分間行い、主波長600nm/副波長800nmの吸光度をエンドポイント法により測定した。
各血液試料中の尿酸濃度は、濃度既知の標準液と対比させて求めた。
各測定用血液試料の尿酸濃度測定値を、対照用血液試料の尿酸濃度測定値を100とする比率に換算し、ビリルビン及びヘモグロビンの影響回避程度を相対値化(回収率(%))した。回収率は±10%以内を効果ありと判断した。
表5に示した通り、プルロニックTR−704以外の非イオン性界面活性剤を使用した場合においてもビリルビン、ヘモグロビンともに影響を回避できることが判った。両性界面活性剤としてベタイン型であるアンヒトール24Bの代わりにN−オキシド型であるアンヒトール20Nを使用したところ、ヘモグロビンの影響を大きく受けることが確認された。アンヒトール20Nは従来ヘモグロビンまたはビリルビンの影響をそれぞれ回避することができるとされていたが、発明者らの検討によるとその効果は実用的なレベルではないことが明らかになった。一方、アミドアルキルベタインであるコカミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインであるココアンホ酢酸ナトリウム、スルホベタインである3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアミノ]−1−プロパンスルフォネートでは、アミドベタインと同様の効果が確認された。
(第1試薬)
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
TOOS(同仁化学:カタログ番号:OC−13)0.75mmol/L
各界面活性剤 2.0w/v%
(第2試薬)
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
ウリカーゼ(製造元:キッコーマン、カタログ番号:60199)2.3U/mL
(第3試薬)
MES緩衝液 75mmol/L (pH7.0)
POD(製造元:東洋紡績、カタログ番号:PEO-301)8.6U/mL
フェロシアン化カリウム(製造元:キシダ化学、カタログ番号:63532)0.05mmol/L
4−アミノアンチピリン(製造元:東京化成工業、カタログ番号:6694)0.75mmol/L
各界面活性剤 2.0w/v%
日立7170型自動分析装置を使用し、検体5.0μL、第1試薬200μL、第2試薬30μL、第3試薬70μLの液量比により、第1反応、第2反応、第3反応をそれぞれ、37℃、5分間行い(計15分反応)、主波長600nm/副波長800nmの吸光度をエンドポイント法により測定した。
各血液試料中の尿酸濃度は、濃度既知の標準液と対比させて求めた。
実施例5、比較例5〜8の手順は、ヘモグロビンを含む検体液と界面活性剤、発色剤を接触させる第一工程、第一工程で得られた検体液にウリカーゼを反応させて過酸化水素を生成させる第二工程、第二工程で得られた検体液にPODを添加し、過酸化水素が発色剤を酸化縮合させて呈色する第三工程、と分けることができる。本発明においては、第一工程で非イオン性界面活性剤が検体液中のヘモグロビンの色調を変化させないこと、及び、第三工程で両性界面活性剤がビリルビンをPODの基質になりにくくすること、によってビリルビン及びヘモグロビンの影響が回避されると考えられる。すなわち、検体液に含まれる基質や第二工程で使用される基質に特異的な酵素に制限されるものではなく、尿酸以外の基質、ウリカーゼ以外の酵素を使用した場合も効果を発揮するものと考えられる。
Claims (5)
- ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジアミン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤を有効成分とする、テトラゾリウム化合物を使用せず、被酸化性呈色試薬及びベタイン型両性界面活性剤を用いた酵素法により血漿、血清及び尿より選ばれる試料中のヘモグロビン及びビリルビン以外の物質を測定する際のヘモグロビンの影響回避剤であって、
前記影響回避剤は前記試料に直接接触させて使用されるものであり、その使用量が、前記試料と接触させた後の前記非イオン性界面活性剤の濃度が0.5〜10w/v%となる量であり、
前記ベタイン型両性界面活性剤は前記試料と前記影響回避剤との混合後に使用されるものであり、その使用量が、前記試料と接触させた後の濃度が0.5〜10w/v%となる量である影響回避剤。 - 前記血漿、血清及び尿より選ばれる試料が、血漿又は血清である請求項1記載の影響回避剤。
- 前記試料中の前記被測定物質が、酵素反応により生成する過酸化水素を定量することによって測定が可能な、血漿、血清及び尿より選ばれる試料中のヘモグロビン及びビリルビン以外の物質である請求項1又は2記載の影響回避剤。
- 酵素が、測定対象物又はその派生物に特異的な酸化酵素である請求項1〜3のいずれか1項記載の影響回避剤。
- 被酸化性呈色試薬が、過酸化水素と反応して呈色する1種又は2種以上の成分である請求項1〜4のいずれか1項記載の影響回避剤。
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